「ナーフの正しい遊び方」



私事ですが、数ある趣味の一つがシューティングです。アーチェリー、BB弾(含む空気銃)、吹き矢、ダーツ、在米中はライフル射撃もやっていました。但し生き物を殺める事に興味はないので、ハンティングには関心はありません。五輪にもあるクレー射撃(散弾銃)も、費用が莫大なので、やったことはありません。
そこで、安全で楽しい射撃は無いものかと、散々探し回った結果、ゆきついたのが米国製の玩具ナーフです。これは私達が子どもの頃にはなかったものです。日本で大人の射撃遊びと言うと、すぐに出てくるのがBB弾です。直径5ミリ程度の丸いプラスチックの弾丸を、圧縮空気や、ガスで飛ばすものです。殺傷力は殆どないが、そこそこの飛距離もあり、銃は本物のそっくりのサイズと重量で、製品が多数販売されています。それらを使ったサバイバルゲーム(サバゲ―)などという遊び方もあるようですが、いい年をしてミリタリー装束で山に入り、撃ち合いはいかがなものかと思います。「正常な神経」の成人にとっては違和感が強すぎます。BB弾はあくまで大人の玩具で、子どもと一緒に遊ぶ事も、子どもに勧めることも出来ないものです。
そこでナーフです。弾丸は、銃の弾丸(英語でいえばア―モ)とは全く異なり、同社ではダーツ(ダーツの投げ矢)と呼んでいます。長さ72mm、直径13mm、重さ1gです。胴体は発砲プラスチックで、中が空洞になったチクワ状になっており、弾頭(?)はゴムか、柔らかいプラスチックです。


1)ダーツについて
ダーツは基本2種類です。違いは弾頭の差です。普通のものと吸盤がついたものです。通常モデル(というのかどうか知らないが)でも、ヘッドの形状の違いで、少なくとも3種類あります。丸いヘッドは製品について来る、いわば純正品ですが、命中率はイマイチです。2枚目の写真で真ん中の、胴がピンクで頭が平らなものは、メーカ名でアキュストライクで、名前の様にやや命中率が高いのですが、飛距離が短くなります。多分ヘッドが重くなったためでしょう。そこで、他社製ですが、その右隣のヘッドが網目状になったものがお勧めです。命中率が高く、飛距離もあります。なお、他社製のダーツは色が多い(10色ある)が、黒だけは、的との区別がつきにくいので避けた方が良いと思います。但しセット購入なので、色を選ぶことは出来ないと思います。


左が吸盤=サンクション(吸盤)ダーツ、右が通常(弾頭)モデルです。

左からメーカー標準、同じくアキュレイト(高精度)、他メーカーの別売りダーツです。

2)ダーツの保管方法について。
ダーツは保管に気を使います。まず本体が柔らかいので、強くつかむと変形します。爪の跡もつきます。但しそれがすぐ性能に影響する訳でもなさそうです。但し全体が曲がってしまったり、無理にシリンダーに押し込むようだと、そのダーツは諦めたほうが良いと思います。消耗品と割り切るべきかもしれません。
なお買い足して、溜まって来たダーツを、そのまま箱に放り込んで保管することは出来ません。なぜなら胴体が軽く頭が重いので、箱の中でしっちゃかめっちゃかになるからです。そこで私の場合は、ダーツの長さ(72mm)に近い内径の、小分け出来るプラスチックの容器を、ホームセンターで買って、保管に使っています。中でもお手軽なのは、写真で一番左にある、ダイソー(百均)の三つ100円の容器です。右の二つは部品用の容器です。買う前には、内径をきちんと図ってから、というよりダーツを持参して、買うことをお勧めします。



3)ブラスターについて

銃や武器と言うと物騒な感じがあり、ナーフの玩具チックなイメージにそぐわないので、弾丸をダーツというように、武器にはブラスターという名称を使っています。
メーカーが指定している対象年齢は8-18歳で、実際に宣伝写真でも中高生がよく登場します。対象に18歳が入っているので、成人が遊んでも抵抗感は少ないと思います。

ナーフの銃には、何十という種類があって、その全てを試したわけではないが、私が「最終的」に落ち着いたのが、6連発のエリートディスラプターです但し威力の強い、オレンジトリガーモデルです。この機種の特徴は、シリンダーを押し出さなくても、そのままの位置で、銃口から弾込めできることと、何よりスポンジ弾の玩具銃とは思えないほど、命中精度が高い(多分シリーズで最高)からです。銃の値段もさほど高いものではなく、アマゾンで実売2千円くらいです。



発射は右手(右利きの場合)でブラスターを持ちます。左手でスライドを一番手前まで引き、それを戻すと充填完了で、発射可能体制になります。スライドを引くたびにシリンダーが回転します。
発射の原理は、圧縮空気、即ち簡易的な空気銃だと思われます。
ディスラプターはサイズはややかさばりますが、重くはないので、子どもでも持てます。とはいえ、扱えるのは小学年の高学年からでしょう。しかもスライドを引くのは成人女性でもきつい場合があります。

私がシリンダー銃を選ぶのには、もう一つ理由があります。それは自動小銃式だと、吸盤ダーツが詰まってしまうことがあるからです。また電動式はパワーが低い上に、故障がつきものです。しかも命中率が低く、最悪の場合、発射時に銃口からポロリとダーツが落ちてしまうこともあります。

クアドラントというモデルはり小さくなりますが、装填は4発迄です。同じくオレンジトリガーで、レバーを引くのにはそれなりの力が必要です。命中精度はディスラプターの方がやや上です。


4)ターゲット(的)について

ではナーフで何を撃つかです。ナーフからも、後で紹介する製品を含めて、いくつか製品が出ています。でも正直、どれも満足できるものはありません。なぜかと言うと、ナーフのパワーと命中精度には限界があり、機種によって発射ダーツ数に制限があるからです。同時に数撃ちゃ良いってものでもないのです。問題はどれだけ的に当てられて、最大の満足感が得られるかなのです。そこで簡単に工作できるので、(自分の子供のためにも)的を手作りすることをお勧めします。

まず60px30p、または60px15pの板を用意します。なお厚さは5o以上ないとヘナヘナします。

そこに電動ドリルで口径3-5oの穴を等間隔で明けます。

別にコーラ等の空き缶を6個用意して、底にキリで穴を明けておきます。缶の穴に、15p程度に切った中太のゴムひもを通し、上下に結び目を作ります。缶の下から出ているゴミひもを、台の板の穴に通したら、クリップで挟んで、缶が倒れた時に、ゴムひもが穴から抜けないようにしておきます。

こうしておけば、撃って缶が倒れても、台から落ちることはなく、しかも倒れた缶は、台の下のひもを引くだけで、元の位置に戻ります。

私の場合、台に5個と6個と8個の穴を明けて、様々な場面に対応しています。

的に空き缶を使うのは、当たった時の音が大きく、倒したときの満足感が大きいからです、但しいかにラフなナーフでも、近距離なら結構当たるので、私はあえて小さい缶を使っています。アルミ缶は衝撃でへこみますが、手で戻せます。

缶の穴以外に、中心部に三脚用の穴も明けておきます。


小さい缶なら8個まで置けます。



下のヒモを引けば,倒れた缶が立ち上がります。


裏側には三脚との取付金具をねじ止めします


三脚は足が余り広がらない物の方が邪魔になりません


5)自動ターゲットについて

的をいちいち起こすのが面倒という人の為に、自動敵に復帰する的があります。当たると大きな音と共に倒れ、3つとも倒れると、的が立ち上がります。点数は私が後で貼ったものです。


カウンターは3つの的が全部倒れると1になります。


6)吸盤ターゲットについて

より正確に得点を競いたい場合は、吸盤ターゲットを使います。ナーフが用意している吸盤ターゲットには、以前は大きな盤(直径36p)がありましたが、今入手できるのは事実上卓上盤(直径17p)だけです。36cmのものはプレミアがついて販売されていますが、そんなものを買うくらいなら、ホワイトボードで代用した方が良いと思います。


ナーフの純正ターゲットは、ターゲット板がペラペラで、全体も軽く、弾が弾かれたり、本体が動くことがあります。そこでターゲット板を一度外して、合板の板に貼り付け、その板全体を元のプラスチックの枠にねじくぎで付け直します。これでダーツがしっかり吸着するようになり、台が重くなるので、近距離で当たっても全体が動きにくくなります。この標的は小さいようですが、ディスラプターなら滅多に的を外すことはありません。的から外れるよりも、既に命中している弾に当たる場合の方が多いくらいです。的が小さいので、台の上に二つ並べることもできます。




この的なら、自作の台に、二つ並べることもできます。


旧モデルの大型の吸盤的です。


ホワイトボードで自作した的です。


7)どう遊べばよいのか

私は毎年、1月に地域で開催される餅つきイベントで、子供向けのアトラクションとして、ナーフを使った射的を無償出展しています。
子供向けのアトラクションで大事なことは、難しくしないことです。的を大きくして、距離も近くして、当たりやすくしています。

ナーフは所詮、威力の弱い玩具であって、本格的なシューティング・ツールではありません。またBB弾を含めて、モデルガンは子どもに遊ばせる訳にはいきません。
そんなナーフでも、工夫次第で、大人でも、子どもでも、それなりに楽しめて、将来もっと本格的な射撃に興味を持ち始めるきっかけに出来ると思います。

ナーフは10m以上も飛ぶと、盛んに宣伝していますが、飛んだとしても山なりの弾道で、的に当てる事は無理です。
なので、誰でも楽しむ為には、的からの距離は、せいぜい大人なら3m、子どもなら2mがいいところだと思います。ここで紹介している機種は特に精度が高いので、慎重に狙えば、ほぼ当たります。ある点を狙い、そこに当てるという行為自体が、全てのスポーツに共通する基礎的な技量でもあります。ゴルフしかり、野球しかりです。

ナーフのダーツは、当たっても負傷するようものではないが、それでも絶対に人に向かって撃つことだけは無いよう、その点だけは厳しく子どもに徹底して指導する必要があります。
また的から近いと、予期しない跳ね返りもあるので、眼鏡を掛けていない人為に、以下のようなゴーグルを用意しておいた方が良いかもしれません。



自宅で楽しむ場合でも、イベントに使う場合でも、以上の情報が少しでもお役に立てば幸いです。

本記事問い合わせ先:kinya.nishimaki@gmail.com



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