「WTWオピニオン」

【第103巻の内容】


「説明責任に背を向ける安倍政権」
「迫る超新星爆発」
「無能経営と成果主義の密接な関係」
「枝野代表質問全文」
「志位代表質問全文」
「予算委員会と私的ジャーナリズム」
「葬式も出せない格差社会」
「こびへつらう男」
「山中教授に費用削減を迫った女性官僚」
「ウイルスショックに消費税減税を」


1631.説明責任に背を向ける安倍政権 20/1/20-1/22

1/19の朝日新聞の朝刊の社説からです。

「1月20日」を忘れない
あす、安倍首相は施政方針演説をする。歴代最長の記録を伸ばし続ける宰相として演壇に立つ。
その胸中に、2017年「1月20日」は、どう刻まれているのだろう。
この日、首相が議長をつとめる国家戦略特区諮問会議が、加計学園の獣医学部新設計面を認めた。
…まず、経緯をたどろう。
加計問題が国会で取り上げられたのは17年春から。
「総理のご意向」といった文書が次々に判明。首相と加計孝太郎理事長が「腹心の友」だったことから、行政がゆがめられたとの疑念が渦巻いた。
そして7月、首相の仰天発言が飛び出す。認可当日の「1月20日」まで、加計学園の計画を知らなかったと言ったのだ。
…知らなかったのだから、支持も忖度もありえぬ、という論法だ。
…加計理事長は16年夏に、農林水産相や地方創生相に獣医学部の話をしていた。同じころ、首相と何度も食事やゴルフをしている。
「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言う」と語ったと名指しされた首相補佐宮がいる。
選考這程で、加計学園を利する「条件変更」を首相周辺が施したとみられる文書もある。さらに15年の申請前に、首相秘書官が官邸で「本件は、首相案件」と言ったというメモまで出てきた。
だが、政治家も官僚も、「知らぬ存ぜぬ」で押し通した。与党は加計理事長らの国会招致を拒み続け、いまに至る。
いまや加計問題は記憶のかなたの人が多いだろう。
しかし、「1月20日」答弁は忘れまい。これがまかり通ったことで、説明責任に背を向ける長期政権がつくられてきたのだから。
森友学園問題も「桜を見る会」も構図は同じ。その意昧で、加計問題は昔話ではない。
つくづく思う。権力者にとって不都合な事態を、時間とともに忘れてゆくのは、それを容認するのと同じだ。(夕刊素粒子担当)


ところで、いささか旧聞ですが、1/19のTBSサンデーモーニングで、政府の説明責任が話題になっていました。

谷口真由美(法学者)「…説明と責任の意味がわかっていない。刑事事件になるまでは雲隠れ。刑事事件になったら捜査に支障があるからと言って説明しない。ならば政治家にならない方がいい」

荻上チキ「捜査に支障があるからコメントは控えると言っているが、政治家が真実を国民に説明したところで捜査に支障は来たさない。それをあたかも捜査に配慮していますというポーズをとることによって、言葉の意味を大きく変えてまで、発言機会を減らすということは、この二人だけではなくて、この内閣が様々な疑惑の度にやってきたこと。だからその後も同じようなことが行われている…」

青木理「与党に力を与えるとこうなってしまうということ。与野党が拮抗していれば、こんなことは起きない。説明できないのは、森友でも加計でも桜の会でも、党首が説明していないから。そうやって時間を稼いでいるうちに、忘れられて、支持率が戻るという成功体験があるから、皆それを真似するようになる…」

・首相、汚職発覚もカジノ推進。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6348940
関連記事。桜の廃棄ログ、開示せず。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6348937
関連記事。首相実績に疑問続々。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6348883
コメント:正義感ゼロ。だから順法精神もないし、憲法を尊重する気もない。有るのはごり押しだけ。

・野党のパフォーマンスは各段に向上。
https://this.kiji.is/592204436316914785?c=39546741839462401
関連記事。枝野、政権追及。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012201111&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
関連記事。安住、自民に桜餅差し入れ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012200717&g=pol
関連記事。IRは白紙に。東京社説。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020012202000133.html



1632.迫る超新星爆発 20/1/21

私の趣味の一つがアマチュア科学で、取り分け天文学です。この分野で、昨年から話題になっているのが、オリオン座の左肩の赤い星、ベテルギウスの超新星爆発です。太陽でさえ40億年の歴史を持ち、更に同じくらいの寿命があると予想されているのに、ベテルギウスは僅か1千万年前に誕生した星なので、極めて短い寿命の星ということになります。
でも超新星爆発は、それほどまれな現象ということでもありません。人類はその短い歴史で、何度も超新星爆発を目撃しています。でも実際に、それを自分の目で見る機会は、そう滅多にあるものではありません。
太陽の質量の8倍以上大きい(重い)星は、燃料を燃やし尽くすと、超新星爆発を起こすことが知られています。水素がヘリウムに変わる核融合反応が、太陽の熱と光の正体であり、それが地球の生命も支えています。ヘリウムがたまると、今度はヘリウムが核融合を起こします。核融合反応で星が爆発しないのは、質量に伴う重力が恒星を支えているからです。
恒星の寿命の9割は水素がヘリウムに変わる過程です。その次は、ヘリウムが炭素に変わる段階で百万年、炭素がネオンに変わるのに1千年。そしてネオンからケイ素に変わるのに1年。ケイ素が鉄に変わるのはたった1日です。
このように段階的に、しかも加速度的に核融合が繰り返され、やがて星の中心部に、数千キロの鉄の核が形成されます。その時の中心部の温度は数億度にもなります。
鉄はそれ以上の核融合を起こさない安定した元素ですが、極限まで圧縮されると電子の量子効果(お互いを嫌う)と、原子の電子の吸収効果の両方で、お互いを支えていた力が失われ、膨大な量の鉄が内部に向かって、光の1/4の速度で落ち込みます。これが始まると星の寿命は残り1秒です。
同時に、星全体のガスも中心部に落ち込んで、全体が潰れます。それが大爆発を引き起こします。爆発の明るさは、銀河系の星全体の合計の明るさに匹敵するほどです。但しこの圧縮から爆発に至る過程は、未だ十分に解明はされていません。
爆発の衝撃波(超音速のショック・ブレイクアウト)が恒星を引き裂きますが、その時の星の構造は、重い鉄を中心にして、その外側に軽い元素が層をなして取り巻く構造です。中心に重い鉄があることでより強いリバウンド、即ち衝撃波が生まれます。
但し、最近のシミュレーションの結果、重い元素が生成する過程は、この超新星爆発ではなく、中性子星同士の衝突だと言われています。
ベテルギウスの爆発は、始まってから2週間ほどで満月の明るさになると予想されています。それが続くのは数時間か、長くても1日と言われています。その後にはモンスターである中性子星が残ります。
超新星爆発は、壮麗な天体ショウでは済まないことに問題があります。爆発の時にガンマ線バーストが、双方向へのジェットの形で発生するからです。そのジェットの向きにある星は、膨大な放射線を浴びて、壊滅的な被害を受けます。
ベテルギウスは恒星といっても大きいので、その表面の様子も、ある程度観測できます。今それは爆発寸前のデコボコした状態であることも分かっています。
また、それが爆発した時に、ガンマ線バーストは太陽系の方向は向かないだろうと言われています。
昨年、ついにアメリカ軍が、公式にUFOの存在を認めました。米国ではかなり前から、根強い人類の宇宙人起源説があり、しかも古代人の言い伝えでは、オリオン座から来たことになっています。ということはベテルギウスの爆発を察知した宇宙人が、太陽系(最初は火星)に避難した結果が、現在の人類かもしれません。人類のDNAにはまだ説明のつかない部分がかなりあるのです。
温暖化、台風、間近に迫った大地震、一触即発の戦争の危機、そして肺炎と豚コレラ。今年はなんという年になることでしょうか。場合によっては五輪どころではなくなるかもしれません。
それにしてもベテルギウスが消えてしまうと、オリオン座が三角形になり、なんとも格好の悪い星座になることが残念です。



1633.無能経営と成果主義の密接な関係 20/1/22

・賃上げは成果重視。経団連。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6348828
関連記事。富士通、三菱商事でも見直し。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200121/k10012253601000.html
関連記事。独検察、三菱自を家宅捜索。ディーゼル不正の疑い。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54682950S0A120C2000000/
コメント:F社は同じ過ちを繰り返そうとしています。以前の成果主義導入でどれだけ社内のモラールが下がり、その結果生産性が落ちたかを忘れたのでしょうか。欧米流の経営を取り入れたつもりの当時の社長(S氏)の目玉政策どころか、大失敗だったのです。私はF社の後で、完全成果主義の外資系にも勤務した経験があり、成果主義がうまくいかない理由を目の当たりにしています。
社内が競争社会になり、足の引っ張り合いが日常茶飯事になっていたからです。社内がぎくしゃくして、チームワークが破壊されます。なにより、人間が判定している以上、万人が納得するような絶対公平な判断など絶対に不可能なのに、そこを無理やり判定するから、えこひいきが生まれるのは当然なのです。もともと口が悪い私などは、(人間の小さい上司についた時に特に)散々嫌な思いをしました。
成果主義は、給与の原資が増えるわけではないので、能力の劣る者から取り上げて、目立つ者に配布するだけのシステムなのです。
その時の判定基準で、差別化が実質的にえこひいきで行われるのだから、社員はたまったものではありません。私も上司の恣意的な判定で、煮え湯を何度も飲まされました。数字の上では問題がなくても、最終的には好き嫌いで判定され、しかもそれが人間というものなのです。
言い過ぎついでに言わせてもらうと、F社やM社のような重工長大企業は、どうしてこうも「役員人事」が下手くそなのでしょうか。人品骨柄申し分ない人をトップに据えないと、企業がもたないのです。成果主義はまず役員から適用するべきだし、その時には、人間性も評価されるべきなのです。また降格人事もないと、成果主義が有名無実になります。役員会が(自分達に甘い)仲良しクラブになった企業は大抵駄目になります。日産を見ればしれが分かります。赤信号、皆で渡れば怖くない、になるからです。
それでも成果主義をどうしても取り入れたいというのなら、それを、昇格と降格の判断だけに使えばいいのです。賞与にもある程度は繁栄されるでしょう。でも基本的に、生活の基盤である基本給与はいじらない方がいいのです。その結果、課長より若い部長が誕生しても、それはそれで仕方がないことだと思います。
この際なので、言いにくいことをはっきり言わせてもらえば、「無能な」経営者ほど、自分の責任を棚に上げて、業績不振を社員のせいにしたがるものなのです。F社のS社長も例外ではないと思います。
しかもこの成果主義を、国家レベルで適用しようとした「愚かな」政治家も出ました。競争社会でないと国が発展しないと言い出した小泉首相と竹中大臣です。その結果、日本で何が起きたでしょうか。10年のデフレに突入したのです。
歴史に学ばないのは、政治家も経営者も(多くは私より年下)同じです。しかも彼らが自分の判断ミスの責任を取ったという話を聞いたことがありません。
成果主義で、収入の格差が開く、ということは、平凡で並みの人間は、その生活さえ保障されなくなるということです。しかも富裕層向けに賭場(カジノ)は開く。どこかが根本的に間違っています。安倍首相は一体、日本をどんな国にしたいのでしょうか。
安倍とトランプに、一日も早く退いてもらわない限り、日本も米国も悪しき資本主義の泥沼に飲み込まれるしかないのです。一方で、日米双方で野党があてになりません。だから国民が自分の頭で判断し、自らの手を下して、状況に立ち向かうしかないのです。



1634.2020年1月衆院本会議枝野代表質問全文 20/1/24

施政方針演説に対する代表質問
立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム 枝野幸男

 私は、会派を代表し、私たちが目指す社会について、もう一つの選択肢を示しながら、安倍総理に質問します。

1.「桜を見る会」をめぐる問題
 もっとも、たいへん残念ですが、それに先立ち、安倍政権の体質そのものについて、たださなければなりません。

・公選法・政治資金規正法違反疑惑
 「桜を見る会」の前夜祭は、会費が5,000円。入り口で会費を集めたそうですから、会費負担者と出席者とが一致しているはずです。提供された飲食等の出席者一人当たりの額は、都心の一流ホテルであることから、これを大幅に上回るとみるのが常識です。
 この差額を後援会等で補填していればその分が買収となり公職選挙法違反です。会場ホテルが相場を大幅に下回る額で飲食等を提供していたならば、差額分が、政党等を除いて禁じられている企業団体からの寄付に該当し、政治資金規正法違反となります。国会議員としての正当性すら問われる違法行為の疑いが、極めて濃厚です。
 ホテルには、発注者から求めがあれば明細書再発行に応じる義務があり、やましいことがないなら、明細書を入手し開示することで、簡単に疑いを晴らすことができます。開示すれば都合が悪い中身だから出せないのだと言われても仕方ありませんが、総理はなぜ、これをしないのか明確にお答えください。
 総理は、前夜祭の主催者が安倍晋三後援会であることを国会答弁し、会見で、安倍事務所の職員が会費を受け取り、ホテルにまとめて支払ったことを認めています。これは政治資金規正法の収支に他なりません。
 収支報告書には、前夜祭に関する記載が一切ありません。政治資金規正法違反は明白です。説明を求めます。
 安倍晋三後援会が、不特定多数に呼びかけ「桜を見る会」の参加希を募っていた文書が明らかになっています。結果として、バス17台、約800人の地元の支持者が「桜を見る会」に招待され、無料で飲食の提供を受けました。
 「桜を見る会」は、後援会の不特定多数に呼びかけて参加者を募ることのできる性格のものなのですか。「桜を見る会」の一般的な招待基準とともにご説明ください。
 このようなことは、公職選挙法違反の買収と実質的に何が違うのですか。また、交通費、宿泊費など参加に関する諸経費は、参加者が全額自己負担していることで間違いありませんか。明確にお答えください。
 これらの疑惑に対し、総理は、多くの国民が納得できる説明をするどころか、説明そのものからから逃げ回ってきました。あなたが、疑惑まみれのままその地位にとどまり続ければ、日本社会のモラル崩壊が続くばかりです。潔く、総理の職をみずから辞すことを強く求めます。

・反社会勢力の参加
 問題はこれに留まりません。「桜を見る会」に、反社会勢力と見られる参加者がいたと指摘されています。
 政府は、個人情報という理由で招待者名簿の公開を拒否し、反社会勢力は定義できないと、取締り現場を困惑させる支離滅裂な説明をしています。
 「桜を見る会」の招待者は、一定の功績等があった方ですから公開に問題ないはずです。当然に公開対象となっている叙勲を受けた方や園遊会招待者との違いを含め、公開しない理由を具体的にご説明ください。また、反社会勢力は定義できないという答弁を本当に維持するのかもお尋ねします。

・ジャパンライフとの関係
 詐欺まがいの消費者被害を招いたジャパンライフの山口元会長が、「桜を見る会」に招待されていました。同社は、「桜を見る会」に招かれたことを、みずからが信用できる企業であると宣伝するために利用していました。
 山口元会長は、招待者区分60番。過去の政府資料によれば、区分60番は総理大臣枠です。総理の枠で招待されたのではないですか。それが、結果的にジャパンライフによる被害拡大につながったのではないですか。被害者が納得できるような説明を求めます。

2.「桜を見る会」に関連する公文書管理

・昨年の招待者名簿
 昨年分の招待者名簿は、野党から資料要求がなされた1時間後に裁断されました。これをたまたまなどという都合の良い偶然など、多くの方が信じていません。総理の認識を伺います。
 電子記録について、担当者の「記憶」に基づいて確実に消去したと説明しています。他方で、廃棄記録、いわゆるログの存在は認めていますが、調査・開示するよう求めると、担当者の説明を信じるから調査も開示もしないとの答えです。
 なぜ記憶より確かな記録を調査し開示しないのですか。意味不明です。記録を調査したら都合が悪いからとしか思えません。ログの調査と開示を強く求めます。
 さらには、正式な公文書の形でなくても、関係官署に名簿が残っている可能性が濃厚です。昨日も新たな資料が出て来ました。再調査と開示を指示するよう求めます。
それぞれ明確にご回答ください。

・一昨年までの招待者名簿
 2017年までの招待者名簿は、公文書管理法で義務付けられた管理簿への記載がなく、保存期間満了後に義務付けられた内閣総理大臣との協議や廃棄簿への記載もありません。
 菅官房長官は、会見で、民主党政権時、2011年と12年の不記載を漫然と続けた旨、説明しましたが、2011年と12年は、「桜を見る会」が開催されず、招待者が確定しなかったため、決定事項を印した招待者名簿も作られようがありません。意思決定の途中段階で作成された文書と、最終的な決定事項を印した招待者名簿とでは、文書の性格が決定的に異なり、保存期間を含め公文書管理法上の扱いも異なります。前政権への印象操作にほかならず、説明になっていません。
 踏襲すべき前例となる2010年には、管理簿への記載等がなされています。前例に反して違法な扱いに変更することを、担当者限りでできるとは思えません。官房長官等から指示や示唆があったのではないか。だからこそ担当者に軽い処分しかできなかったのではないか。明確な答弁を求めます。

・いわゆる「白塗り」問題
 いわゆる「黒塗り」ではなく、「白塗り」された文書が提出されました。
 「黒塗り」についても、その対象が広すぎる問題はありますが、どこに非公開部分が存在するのかを知ることができます。しかし「白塗り」では、文字があったことすら分からなくなり、意味が違います。一貫して「黒塗り」で対応してきたのに、「白塗り」文書が作られたことは、意図的としか言いようがありません。刑法の公文書変造罪にも該当しかねない重大な違反行為です。
 さらなる事実関係の解明と官房長官を含む担当者への重い処分が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。

3.閣僚等についての問題

・秋元司元副大臣の逮捕・起訴とカジノ問題
 秋元司.元IR担当副大臣が逮捕されました。IR整備法が議論されて成立したまさにそのときに、安倍総理が任命した担当副大臣でした。逮捕容疑は、当時の職務権限に関連するものです。所属国会議員の属人的な問題ではありません。安倍政権の職務行使そのものの問題であり、その責任は極めて重いことを、総理は認識しているのですか。端的にお答えください。
 カジノは、持統天皇以来の伝統に反して、規律ある日本社会を壊す賭博行為そのものです。あらゆる世論調査で6割以上が反対しており、カジノは要らないというのが大方の国民の声です。私たちは、これまでの議論でも、金権、利権まみれの状況を生むと懸念してきましたが、今回の件ではっきりしました。
 政府は、異論や不祥事などなかったかのように準備を進めていますが、とうてい容認できません。安倍内閣の成長戦略は汚れたカジノに頼らざるを得ないものなのでしょうか。
 野党は共同して、20日にカジノ推進法・整備法廃止法案を提出しました。今国会はいわば「カジノ国会」です。速やかに審議して成立させるべきです。総理の答弁を求めます。

・閣僚の辞任と説明責任
 改造後、短期間で、二人の重要閣僚が辞任に追い込まれました。
 総理は辞任に際して、『責任を痛感している』とおっしゃいましたが、さらに前法務大臣が検察による強制捜査の対象となるという前代未聞の事態にまで至り、どのように責任を取るのか、具体的にお答えください。
 二人の閣僚は、長期にわたって雲隠れし説明責任を果たそうとしませんでした。最近になってようやく記者対応の場こそ作りましたが、いずれも具体的な説明はありませんでした。みずからが任命した元閣僚が説明責任を果たすことには、総理ご自身にも責任があります。二人が説明責任を果たしたと受け止めているのか、認識を伺います。

4.政権ビジョン

・日本社会の現状
 超高齢化と人口減少が進む中で、一年間に生まれる子どもの数は90万人を切りました。消費税率が引き上げられたにもかかわらず、医療費の窓口負担を引き上げようとする動きなどが伝えられ、老後の不安は高まるばかりです。
 七年が経過しても、いわゆるトリクルダウンは起こらず、多くの皆さんは豊かさを実感できていません。格差が固定化し、明日への希望を見いだせない国民が増えています。日本経済の過半を占める個人消費は回復の兆しすら見せず、アベノミクスの限界は明確です。総理の施政方針演説は、見たくない現実に目を背けた無責任なものと断じざるを得ません。
 しかし私は悲観していません。
 日本は、戦後復興から高度成長へと人口も経済も急激に拡大してきた昭和の後半から、平成期を挟んで、人口減少社会、成熟経済へと大きく変化しました。その中で、社会状況に合わなくなったにもかかわらず、昭和の成功体験にとらわれ、無理やり引っ張り続けてきた多くのことが、限界に達し、矛盾を露呈してきたのが現状です。
 限界が見えてきたからこそ、何をどう変えていくのかが明らかになり、新しい道を切り拓いていくことができます。今、政治を変え、新しい道を切り拓くことができれば、私たちの国には、またまだ潜在的な力があります。
 私は、潜在力を引き出す新しい道を切り拓くため、安倍政権に代わるもう一つの政権の選択肢を示します。

・支え合う安心
 第一に、「支え合う安心」を作ります。
 本来、超高齢社会とは、人類が夢見てきた長寿社会にほかなりません。そのこと自体は望ましいことのはずです。ところが、老後の不安が大きくなる一方だから、高齢化社会を後ろ向きに受け止めざるを得ない方が多くなっています。
 人口減少は続いていますが、潜在的なものも含めれば、子どもを産み育てたいと望む方々は多く、その希望をかなえることが可能な社会を作れば、一定程度歯止めをかけることができます。
 老後も、子育てや教育も、かつては個人や家庭に委ねられていました。しかし、今の日本では、いずれも自分の力だけではどうにもなりません。自己責任に帰すのでは不安が広がるばかり。今こそ、自己責任論から脱却し、社会全体で「支え合う安心」の仕組みを構築しましょう。私は、これこそが、政治の最大の役割であると明確に位置づけ、その役割を担う新しい政権を作ります。

・豊かさの分かち合い
 第二に、「豊かさの分かち合い」によって経済を活性化します。
 バブル崩壊後のGDP国内総生産の成長率は、2018年までの平均で1%未満。昭和の終わり、バブル前の10年と比較すると実質で4分の1、名目では10分の1にもとどきません。施政方針でいくら虚勢を張っても、この基本構造は、アベノミクスの七年間も何ら変わっていません。
 その原因は、ひとえに国内でお金が回らないことです。海外との関係で、日本が貧しくなったわけではありません。
 同じ期間の輸出の成長率は実質で4.1%、名目でも2.9%。昭和の終わりの10年と比較して6割程度の成長をしています。国際収支も、一時的なマイナスはありますが、黒字基調が続いており、海外との関係では、日本はこの間も豊かさを拡大し続けています。
 経済が低迷している主要因は、輸出ではないのです。低下しているとはいえ、今なお日本は一定の国際競争力を持っています。国全体が貧しくなったのではなく、一人ひとりに行き渡らないため、多くの国民が豊かさを実感できず、消費を冷え込ませ経済を低迷させているのです。
 国際競争力を維持拡大させるための努力は、今後さらに強化する必要があります。しかし、それと同等以上に、偏って存在している豊かさを分かち合うことで、多くの国民がその実感を持てるようにします。それが、可処分所得を実質的に拡大させ、国内消費を伸ばし、GDPの持続的成長につながる最大の経済対策となります。
 また、若年人口が減り続ける中で国際競争力を維持・強化していくためにも、すべての若者が個々の持ち味を発揮できるような「学ぶ機会」を保障します。貧困などによって「学ぶ機会」が奪われている若者を、豊かさの分かち合いによってなくしていきます。
 昭和の高度成長期は、「成長するから分配できる」時代でした。しかし、バブル崩壊後の平成期は、大企業が成長して大きな利益を上げても、賃金や下請けなどに分配される部分や国内投資に回る部分が限定され、内部留保が積み重なるばかり。適正な分配がなされないために可処分所得が伸びず、経済の過半を占める内需が成長しないことで、全体としての経済成長の足を引っ張っています。この実態から目を背けても経済の安定的発展はありません。
 「分配なくして成長なし。」
 私は、社会状況の変化を踏まえて経済政策の根本を転換し、「豊かさの分かち合い」を進めることで、一人ひとりが豊かさを実感できる社会と、内需が着実に成長する経済を実現します。

・責任ある充実した政府
 第三に、「責任ある充実した政府」を取り戻します。
 「支え合う安心」も、適正公平に「豊かさを分かち合う」ことも、民間だけでは、市場原理では実現できません。
 昭和の終わりころから、多くの先進国で、「競争を加速することが正義、政府は小さいほど良い」という方向に大きく傾きました。日本では、「民間でできることは民間で」「小さな政府」などという言葉が、絶対的な正義として語られました。
 しかし現状は、「民間でできないことまで民間へ」。背負うべき役割まで放棄した「小さすぎて無責任な政府」になっています。
 民営化の先で生じた、かんぽ生命の問題。大学入学共通テストの民間丸投げ。公営に限定されてきたギャンブルを民間開放しようとしたカジノ。
 さらには、非正規化と定員抑制を進めすぎた挙句、長時間労働が常態化して正規でも希望者が激減し、非正規が集まらなくなっている教職員の世界。常勤職員が不足して大規模災害対応がパンクしている地方自治体。介護サービスの不足や待機児童の問題も、民間だけでは対応できない広い意味での政府の仕事です。
 今こそ、「小さな政府」幻想から脱却し、必要なことには「責任ある充実した政府」を、そして「民間でできないことはしっかりと官が責任を持つ」「まっとうな政治」を取り戻します。もちろん、立憲主義を回復させ、適正な公文書管理と情報公開を進めることは大前提です。

・決意
 私は、最大野党の党首の責任として、「支え合う安心」と「豊かさの分かち合い」を実現する「責任ある充実した政府」をもう一つの選択肢として高く掲げます。そして、立憲民主党はもとより、会派を共にする皆さん、連携協力する他の野党の皆さん、そして、今の社会と政治に不安と不信を抱く多くの有権者の皆さんと、違いを認め合いながら幅広く力を合わせ、政権交代を実現する決意です。
 以下、こうした政権ビジョンに基づき、いくつかの重要項目に絞って質問します。

5.経済財政

・実質賃金・実質可処分所得
 暮らしの豊かさを示す実質賃金指数や実質可処分所得は、2005年ころから2009年ころにかけて急激に低下しました。そして、安倍総理が「悪夢」とおっしゃる時期は、むしろ回復傾向にあったものの、2013年に再び大きく下落して回復の兆しを示していません。安倍政権は、一部には好転させた数字があるものの、一人ひとりの暮らしの真の豊かさについては、これを膨らますどころか、むしろ低下させているのです。
 アベノミクス七年。その転換なくして、暮らしの豊かさを取り戻すことはできません。
 私たちは、一貫して訴えてきたとおり、まずは第一歩として、政治が直接関与できる低賃金労働者について、合理的な賃金引上げと正規雇用化を図ります。
 保育士や介護職員等、第一に公的な資金配分の多寡によって支払いうる賃金に制約がある分野であって、第二に低賃金であるために人員の確保に困難をきたし、第三に需要が大きいにもかかわらず供給が不足している公的サービス分野について、大幅な賃金引き上げを図るべく、資源配分を大胆に転換します。
 また、定員削減という美名の下で、必要な人員まで削られ、あるいは非常勤化が極端に進んでいる地方公務員や公立学校教職員、ハローワーク職員や消費生活相談員等の常勤雇用化や定数の適正化によって、特に地方に対する再分配を強化します。
 総理は、七年かけても実現できなかった実質賃金や実質可処分所得を増やすことを、どのような手段で、いつごろまでに実現しようとしているのか。具体的にお答えください。

・所得税の非累進性
 昨年10月、私たちの強い反対を押し切って、消費税が10%へ引き上げられました。消費を冷え込ませ、国民生活をより厳しいところへ追い込んでいます。今、必要なのは、広く薄く負担をお願いすることではなく、適正公平に豊かさを分かち合う仕組みです。
 日本の所得税は、累進課税であると言われています。しかし、株式譲渡所得のほか多くの金融所得は分離課税の対象となり、所得税は15%、住民税は5%です。そして、高所得者ほど所得に占める株式譲渡所得等の割合が高いことから、ある段階から、所得税の実質的な負担率は所得が増えるにつれて低下しています。
 国税庁の標本調査から試算すると、1億円までは所得が増えるほど所得税の負担率は高くなりますが、これを超えると順次低くなり、所得100億円超では所得2,000万円程度と同じくらいの負担率まで下がります。日本は真の累進課税ではありません。この認識で間違いないか。これで良いと思っているのか。総理にお尋ねします。
 私は、株式譲渡所得など金融所得課税を累進化しつつ強化した上で、将来的に総合課税化を目指します。総理の見解を伺います。

6.社会保障・教育子育て

・社会保障制度改革の視点
 政府は、高齢者医療や介護に関し、いわゆる窓口負担の引き上げや、保険給付の対象を小さくすることなどを進めています。
 しかし、医療費や介護費用については、いざという時に、いくら、何年間必要になるか予測がつきません。ごく一部の超高額所得高齢者を除けば、それなりの所得や資産のある高齢者であっても、大きな不安を抱いています。中低所得者であればなおさらです。
 窓口負担を引き上げることや給付対象を絞り込めば、否応なくこうした不安が高まります。進めるべきは公的給付の縮小ではなく、税や社会保険料という将来の見通しが比較的つきやすい負担について、高所得高齢者を含め支払能力に応じてお願いすることです。また、高所得高齢者について、税を原資とする部分の支給制限、いわゆるクローバックの仕組みを検討すべきです。
 税については不十分ながらも累進性が採られている一方で、社会保険料については、原則として定率な上に、比較的低い金額で上限が頭打ちになり、所得が増えるほど負担率は下がります。社会保険という制度の本質を維持しつつも、定率、逆進的な保険料負担について、応能負担の方向で抜本的に見直すべきです。
 以上三点について総理の見解を求めます。

・保育所無償化の問題点
 昨年10月、待機児童問題を放置したまま、保育所等の無償化がスタートし、私たちが危惧した弊害が各所で表れています。
 一つは低所得世帯の実質負担増です。元々保育料が免除されていた方などに無償化の恩恵はほぼありません。それなのに、無償化による財政負担が大きくなった自治体等で、それまで免除していた給食費等の徴収を始めたため、負担増になっている低所得所帯が出ています。
 基本となる保育料が免除された結果、保育料を払って延長保育を利用してもトータルの負担が減るため、その利用が急増しているケースが見られます。これ自体は歓迎すべきですが、保育士の待遇改善が進んでいないため、延長保育に対応した保育士を確保できず、個々の保育士の負担がさらに大きくなっています。このままでは重労働に耐えられず離職する保育士が増え、保育士不足がますます加速します。
 これら二つの事例について、どのような実態把握をしているのか、総理にお尋ねします。
 今からでも遅くはありません。少なくとも無償化に要した予算規模に匹敵する以上の予算を振り向け、保育士の処遇改善と人員確保を進めること。そして、低所得世帯が実質的な負担増にならない措置をきちんと担保することを、強く求めます。総理の見解を伺います。

・子どもを産み育てることへの支援
 少子化対策が叫ばれる中、希望しながら子どもを持つことができない方がいます。
 経済的理由で、希望しながら子どもを産み育てることや家庭を持つことを諦めている方や、そうした希望について考える余裕さえない方などを「豊かさの分かち合い」を進めることで減らしていきます。これこそが重要な少子化対策の一つです。総理の見解を伺います。
 いわゆる不妊・不育治療、生殖補助医療を受けている皆さんは、肉体的、社会的、そして極めて大きな精神的負担に苦しんでいます。生殖補助医療について、せめて経済的負担だけでも軽減するよう、保険適用するか、国の責任で保険適用された場合と同程度の補助を行うかするべきです。認識をお示しください。

7.エネルギー政策の転換
 今や、世界の電力の4分の1は自然エネルギーで作られ、原子力発電の2倍にあたります。自然エネルギーのコストは大幅に下落し、原発ゼロはまさに「リアリズム」です。地域分散型の再生可能エネルギーや住宅断熱化等は地方の活性化にもつながります。
 原発事故を経験した日本だからこそ、原発ゼロを明確に掲げ、再生可能エネルギーや蓄電、断熱などの技術革新や普及拡大にシフトすべきですが、いかがでしょうか。

8.外交・安全保障

・イラン情勢・自衛隊派遣
 自衛隊の中東派遣について、基本的な前提として、何を「調査」し、何を「研究」するのでしょうか。また、なぜ堂々と特措法の提案などをしなかったのですか。明確な答弁を求めます。

・日ロ関係・北方領土問題
 総理は昨年の施政方針演説でも、戦後日本外交の総決算を宣言していました。では、領土問題を解決して平和条約を締結すると言明した日ロ関係について、この1年でいったい何が進展したのか。過去一年間の「総決算」の具体的内容についてお答えください。

・辺野古新基地建設問題 
 辺野古新基地建設について、防衛省の地盤改良工事に関する「技術検討会」で、本体工事が9年3か月に延びた上、総工費も約9300億円に膨れ上がることが明らかになりました。軟弱地盤の改良が成功したとしても米軍への引き渡しは2030年代以降になるといわれています。この事実関係に間違いないかお尋ねします。
 県民の反対を無視し、莫大な税金を投入して工事を強行しても、普天間基地の危険を除去することができるのは10年以上も先です。もはや唯一の選択肢という前提は崩れています。今こそ立ち止まって考え直すべきです。総理の見解を伺います。

・防衛予算
 本来、災害対応等、緊急の対応が迫られている場合に限って編成される補正予算で、戦闘機やミサイルなど高額兵器を購入するのは趣旨を逸脱しています。本予算に計上すべきF-35Aなど正面装備の購入費を補正予算案に組みこんでいる理由を、財政法などを踏まえてご説明ください
 令和二年度本予算案には、設置場所も決まっていないイージス・アショアに129億円が計上されています。イージス・アショアの設置が、コスト面・運用面でイージス艦の配備より優れていると言えるのか、具体的根拠を示してご説明下さい。

9.結び
 国民の皆さん、特に将来への展望を見失っている若い皆さん。困難と闘っている皆さん。この国には、今なお経済的な豊かさをはじめ有形無形多くの蓄積があります。これを活かして、「豊かさを分かち合い」、「支え合う安心」の仕組みを構築すれば、一人ひとりの暮らしに豊かで明るい未来が拓かれます。それを作ることができるのは、政治だけです。政治を動かすことができるのは主権者である皆さんです。多くの高校生が、大学入学共通テストの問題で「動けば変わる」ことを実感されたと思います。
 高度成長やバブル景気の恩恵を受け、その再来を期待している皆さん。社会構造が大きく変化したこれからの日本に、同じことは起きません。しかし、この間に積み上げてきたものを活かせば、安心して年を重ねることのできる長寿社会を実現することが可能です。そのために、「責任ある充実した政府」を作ろうではありませんか。
 私は、2009年からの非自民政権で、官房長官や経済産業大臣として、千年に一度とも言われた東日本大震災の対応にあたりました。至らない点、ご期待に応えられなかった点があったことを率直にお詫びしながら、しかし、その経験と教訓があるからこそ、そしてそれを活かすからこそ、皆さんとともに、明治維新にも匹敵するこの大きな転換点の向こうに、明るい日本を切り拓くことができます。
 立ち止まったり、後ろを振り返ったりするのでなく、ぜひ、私と一緒に、未来に向けて「右でも左でもなく前へ」一歩を踏み出しましょう。私には、あなたの力が必要です。



1635.2020年1月衆院本会議志位代表質問全文 20/1/24

志位委員長の代表質問
衆院本会議
 日本共産党の志位和夫委員長が23日の衆院本会議で行った安倍晋三首相に対する代表質問は次のとおりです。

「桜を見る会」、カジノ汚職――総理の重大な責任を問う
総理の直接の責任が厳しく問われる問題――その自覚がないのか

 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

 総理、あなたの施政方針演説を聞いて、私が驚いたのは、「桜を見る会」の「サ」の字もなく、カジノ汚職の「カ」の字もなく、公職選挙法違反の疑惑で2人の閣僚が辞任した問題にも、一言も触れなかったことです。
 これらはすべて、総理の直接の責任が厳しく問われる問題です。総理には、その自覚がないのですか。国民にすすんで説明しようという意思がないのですか。まず、お答えいただきたい。
血税を使った買収疑惑――事実上ノーチェックで招待されていたのではないか
 具体的に聞きます。

 「桜を見る会」疑惑で第一に問われるのは、総理が、国民の血税を使って、地元有権者を買収していたのではないかという疑惑です。
 総理は、安倍事務所が「後援会の関係者を含め、…幅広く参加者を募り、推薦を行っていた」ことを認めたものの、招待者は最終的には内閣官房と内閣府で取りまとめを行っているので、公選法違反にあたらないと弁明しています。

 ならば聞きます。安倍事務所が推薦した人は何人で、そのうち内閣官房と内閣府の判断で招待者にしなかった人は何人いるのですか。事実上ノーチェックで招待されていたのではありませんか。そうであれば、血税を使った買収そのものではありませんか。
悪徳商法の会長の招待――個人情報を盾に答弁を拒否することは成り立たない

 第二は、悪徳商法で悪名をはせていたジャパンライフの山口会長を、総理自身の推薦で招待し、被害を広げた疑惑であります。
 総理は、この問題を問われると、「招待者や推薦元については、個人情報なので、回答を控える」といいますが、なぜ「推薦元」まで開示できない個人情報なのか。また、山口会長自身が招待をされたことを自ら大々的に明らかにしている以上、個人情報を盾に答弁を拒否することは成り立たないではありませんか。
 悪徳商法の会長を一体誰の責任で招待したのか。しかとお答えいただきたい。
公文書を法律や規則を無視して廃棄――最初から組織的隠蔽をはかったのではないか

 第三は、2013年〜17年の招待者名簿が、公文書管理法に違反して、行政文書ファイル管理簿にも記載せず、総理の同意手続きも行わないまま破棄されるという、違法行為が行われていたことを政府が認めたことについてです。
 そうなりますと総理の昨年12月2日の「内閣府は定められた手続きにのっとって招待者名簿を廃棄している」とした国会答弁は、虚偽答弁だったということになるではありませんか。内閣府の責任者は総理大臣です。総理、あなたは違法行為の責任、虚偽答弁を行った責任を負っているとの自覚はありますか。お答えいただきたい。

 さらに、政府が2019年の招待者名簿を、「会の終了後、遅滞なく破棄」したとしていることにも重大な問題があります。公文書管理法にもとづく行政文書管理ガイドラインは、森友問題などを踏まえ、「事業の実績の合理的な後付けや検証に必要となる行政文書」については、原則として1年以上の保存を義務づけているからです。「遅滞なく破棄」したなら、自ら決めたガイドライン違反ではありませんか。

 これらのすべての事実は、安倍政権が当初から、国民の知的共有財産である公文書を法律や規則を無視して廃棄したとすることで、招待者名簿の組織的隠蔽(いんぺい)をはかっていることを疑問の余地なく示していると考えますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。
カジノ汚職――総理の責任は重大、カジノ実施は中止すべきではないか

 カジノ汚職にかかわっても、総理の責任はきわめて重大です。総理自身が成長戦略の「目玉」にすえたカジノをめぐって汚職事件が起こり、総理自身が任命したカジノ担当副大臣が、収賄疑惑で逮捕された。総理は、この責任をどう自覚しているのですか。
 総理は、“事件とIRは別だ”として、カジノ実施への暴走をやめようとしません。しかし、国会で、カジノ実施法が強行されたさいの参議院の付帯決議では、「収賄等の不正行為を防止」することを国に義務づけています。この付帯決議が守れなかったのです。ならば、カジノ実施は中止すべきではありませんか。野党は共同で「カジノ廃止法案」を提出しました。それへの態度も含めて答弁を求めます。

消費税10%、全世代型社会保障大改悪を問う――家計応援の政策への転換を
消費税10%が新たな不況をもたらし、中小業者を苦境の淵に追い込んでいる

 暮らしと経済について質問します。

 消費税10%への増税が、新たな不況を引き起こしつつあります。家計消費は前年比で2カ月連続のマイナス、景気動向指数は4カ月連続の「悪化」、日銀の世論調査では個人の景況感が6期連続で悪化し、5年ぶりの低さに落ち込みました。
 中小の商店は、増税による売り上げの減少にくわえて、大手店舗やポイント還元参加店に客を奪われ、複数税率で事務負担が増えるなど、三重苦、四重苦を押し付けられています。スーパーマーケットの倒産は、7年ぶりに前年比で増加に転じました。破産した高知市の幸町スーパーマーケットの店頭に掲示されたおわびの文書には、こう書かれていました。「軽減税率の実施に伴う新規レジ購入による負担や、電子マネーの普及により、想定していた以上に資金繰りが難しくなった」

 総理、あなたが強行した消費税10%への増税が、日本経済に新たな不況をもたらし、中小業者を深刻な苦境の淵に追い込んでいるという認識はありますか。はっきりお答えください。

「全世代型社会保障」の正体は、全世代を対象にした社会保障切り捨てではないか
 重大なことは、安倍政権が、「社会保障のため」といって消費税増税を強行しながら、その直後に、「全世代型社会保障」の名で、社会保障の全面的な切り捨てを進めることを、宣言したことです。

 総理は、「若い世代の負担上昇を抑える」ために、高齢者に「ある程度のご負担をいただく」と言っています。しかし、実際にやろうとしていることはどんなことか。
 政府は、75歳以上の医療費窓口負担に、2割負担――従来の2倍の負担を導入しようとしています。高齢になればなるほど複数の病気を抱え、治療にも時間がかかります。総理、あなたは、所得が少ない方に2割負担を押し付ければ、深刻な受診抑制を引き起こす危険があると考えませんか。

 政府は、介護施設に入所する月収10万円〜12・9万円の方々の食費負担を、月2万円引き上げる計画をうちだしています。介護・医療の関係団体からは、この負担増案が実行されれば、負担を苦にした施設からの退所や、入所断念が起こりかねないという、強い懸念が表明されています。総理、高齢者への負担増の押し付けは、高齢者の命と暮らしを壊すとともに、現役世代の負担増に直結し、「介護離職」に拍車をかけることになるという認識が、あなたにはないのですか。

 年金では、「マクロ経済スライド」によって、現在37歳〜38歳の人が年金を受け取り始める時まで給付削減を続け、基礎年金を現行より約3割、7兆円も削ろうとしています。その被害をもっとも受けるのは、若い世代ではありませんか。
 結局、総理、あなたのいう「全世代型社会保障」の正体は、高齢者も、現役世代も、若い世代も、文字通り全世代を対象にした社会保障切り捨てではありませんか。

 このような血も涙もない大改悪を、「現役世代のため」というウソをついて、高齢者と現役世代の間に対立と分断を持ち込んで、押し付けるなどというのは、まともな政治のやるべきことではないと考えますが、いかがでしょうか。

消費税を緊急に5%に減税し、社会保障を充実に切り替えることを求める

 日本共産党は、消費税を緊急に5%に減税し、景気回復をはかることを強く求めます。
 社会保障切り捨てをやめ、充実に切り替えることを強く求めます。全国知事会が提唱しているように、公費1兆円を投入して、高すぎる国保料を大幅に値下げするべきです。「マクロ経済スライド」を廃止し、「減らない年金」にするべきです。

 中小企業支援とあわせて最低賃金をただちに全国どこでも時給1000円に引き上げ、1500円をめざし、全国一律の最低賃金制度を創設すべきではありませんか。すべての学生を対象に、授業料をすみやかに半分に値下げし、段階的に無償にすべきです。
 日本共産党は、これらの施策のための財源を、富裕層と大企業優遇の不公平税制をただし、応分の負担を求めるとともに、トランプ大統領言いなりの米国製武器の「爆買い」をはじめ無駄遣いを一掃し、消費税に頼らない別の道でまかなう具体的な提案をしています。

 以上の点について、総理の見解を問うものです。

中東における緊張激化と自衛隊派兵について――三つの大問題を問う

 中東における緊張激化と自衛隊派兵について聞きます。

 トランプ大統領の指示によって行われた、米軍によるイラン司令官殺害をきっかけに、中東の緊張が激化し、軍事衝突から戦争に発展する危険が依然として続いています。私は、安倍政権の対応には、三つの大問題があることを、指摘したいと思います。

 第一は、総理が、米軍によるイラン司令官殺害に対して、一言も批判をのべていないことです。どんな理由であれ、主権国家の要人を空爆によって殺害する権利は、世界のどの国にも与えられていません。それは国連憲章に違反した無法な先制攻撃そのものです。総理は、米国の無法な軍事力行使を是とするのか、非とするのか、明確な答弁を求めます。

 第二は、今日の米国とイランの軍事的緊張の根源は、2018年5月、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことにあります。にもかかわらず、総理が、イランには核合意の維持・履行を要請しながら、トランプ大統領には核合意への復帰を求めないのは一体なぜなのですか。説明していただきたい。

 第三は、中東の緊張が著しく高まっているにもかかわらず、トランプ大統領がよびかけた「有志連合」に事実上こたえる形で、中東沖への自衛隊派兵を進めていることです。政府は、自衛隊は米軍に情報を提供し共有するとしています。そうなりますと、かりに米国とイランに軍事衝突が起きれば、自衛隊は米軍とともに戦争をすることになるではありませんか。

 こうした安倍政権の対応は、「橋渡し」などとは決して言えません。米国の「お先棒」かつぎそのものではありませんか。

 日本船舶の安全のためにも、中東地域の緊張緩和のためにも、いま総理がなすべきは、自衛隊を出すことではない。トランプ大統領に対してイラン核合意への復帰を説く外交努力ではありませんか。見解を求めます。

ジェンダー平等――総理の基本認識、政治の責任を問う
日本におけるジェンダー平等の遅れ――政治が責任を負っているという自覚はあるか

 最後にジェンダー平等について、総理の基本認識をただしたいと思います。

 世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、2019年、日本は153の国のうち、121位となり、過去最低を更新しました。総理は、この結果をどう受け止めていますか。恥ずかしい結果だという認識はありますか。
 そのうえでお聞きしたいのは、そもそも総理が、ジェンダー平等という概念をどう理解しているかという問題です。

 ジェンダーとは、社会が構成員に対して押し付ける「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担などを指し、一般には、「社会的・文化的につくられた性差」と定義されています。しかし、それは決して自然にできたものでなく、その多くが政治によってつくられてきたものだと考えますが、総理はどのように認識していますか。

 日本におけるジェンダー平等の遅れは、政治が大きな責任を負っているという自覚はありますか。答弁を求めます。
政治の責任について――四つの点について政府の対応と認識を問う

 そのうえで、政治の責任について、具体的に4点について聞きます。

 第一に、日本の男女の賃金格差は、OECD(経済協力開発機構)の調査では、正社員でも男性100に対して女性は75・5。OECD35の国のうち33位です。この是正のためにも、賃金格差の実態を見えるようにすること――すなわち企業が実態を情報公開することは第一歩になります。
 ところが安倍政権は、昨年の女性活躍推進法改正で、男女の賃金格差状況の開示を義務づけることを、経団連の意向を受け入れて見送ってしまいました。これでいいのでしょうか。この態度をあらため、男女の賃金格差状況の開示を義務づけるべきではありませんか。

 第二に、夫婦同姓を法律で強制している国は、世界で日本だけです。民法を改正して、選択的夫婦別姓を実現するべきではありませんか。同姓か別姓かを自由に選べるこの制度によって、不利益を被る人は誰もいないはずです。なぜ総理は、この制度の導入に賛成することをかたくなに拒むのか、説明していただきたい。あわせて同性婚を認める民法改正を行うべきではありませんか。答弁を求めます。

 第三に、2017年の刑法改正は、性犯罪を非親告罪にするなど前進がありましたが、なお大きな問題点を抱えています。「同意のない」性交=強制性交であっても、被害者が拒否できないほどの「暴行・脅迫」があった、もしくは酒や薬、精神的支配などにより抵抗できない「抗拒不能」の状態であったことが認められなければ犯罪になりません。
 強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」を撤廃し、同意要件を新設すべきではありませんか。いま、性暴力根絶を求めるフラワーデモが全国に広がっていますが、この声に政治が応えるべきではありませんか。

 第四に、総理は、安倍政権のもとで、「セクハラ罪という罪はない」、「LGBTは生産性がない」など、ジェンダー平等に逆行する発言が繰り返される原因はどこにあると認識していますか。自民党改憲案が「個人」でなく「家族」を「社会の基礎的単位」とあえて位置づけ直したことに象徴されるように、男尊女卑に貫かれた戦前の「家制度」への逆行の思想が、根底にあるのではありませんか。しっかりとお答えいただきたい。

 ジェンダー平等社会をめざすとは、あらゆる分野で真の「男女平等」を求めるとともに、さらにすすんで、男性も、女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に、尊厳をもち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会をめざすということです。

 日本共産党は、その実現をめざして、学び、自己改革をはかり、他の野党のみなさんとともに、力をつくす決意を表明するものです。

共闘の力で、政権交代を実現し、新しい日本を

 安倍政権が発足して7年。政治モラルの崩壊、内政・外交の行き詰まりなど、安倍政権に、この国のかじ取りをする資格はもはやありません。
 他の野党のみなさんとともに、野党共闘の力で、安倍政権を倒し、政権交代を実現し、新しい日本をつくるために全力をあげる決意をのべて、質問を終わります。

コメント:太字は編集子が強調したい部分です。



1636.予算委員会と私的ジャーナリズム 20/1/28-29

昨日(2/27)の衆院予算委員会はIRと桜の会の質疑が中心でした。野党の詰めが十分だったとは言えませんが、黒岩が、安倍晋三後援会で領収書をもらった人がいなかったという指摘をしていました。この質問に対する安倍首相の答弁が傑作で、安倍晋三事務所からは、領収書をもらった人がいたという連絡があったというもので、領収書を出した方が言うセリフではありません。貰っていない人もいたというのなら未だ話が分かります。ちなみに、委員長の棚橋は、明白に政権に有利なように議事進行をしており、公平性を著しく欠いていたと思います。公正でないから委員長に指名されたのでしょう。

アウシュビッツの数少ない生存者が語りました。政治に過去を都合よく解釈させてはならないと。負の記憶ほど風化を食い止めるのが難しい。しかもこれこそまさに安倍首相がしていることでもあります。国会の答弁を聞くと、改憲(平和憲法の否定と明治憲法回帰)だけでなく、現在の政治(議会政治の否定と独裁政治)・経済(実体経済の悪化)・社会(階級社会と貧富の差の拡大)まで、実態と異なる、「自分」に都合の良い解釈ばかりです。
関連記事。外国人経営者に巣くわれた日産とマツダの大きな差。長期在任こそが最大のミス。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58885
コメント:WTWもそう思います。しかもそれは日本の政治でも言えることです。

トランプは新型肺炎には一言もなし。あるはずがない。だって世にも珍しい、金髪のお猿さん(血の通った人間ではない)なので。

・賃金が上がれば自殺率が下がる。26年間の米調査。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/626-1.php

・フェイクニュースとの付き合い方。
https://toyokeizai.net/articles/-/326948

・国際感染症の名医に聞く。
https://diamond.jp/articles/-/227016
関連記事。日本経済の景気後退リスク高まる。
https://toyokeizai.net/articles/-/326887
コメント:最初は観光と小売りでしょう。

・自衛隊明記は禍根残す。古賀。
https://www.47news.jp/video/kyodo-video/4459987.html
関連記事。岸田に発奮促す。
https://mainichi.jp/articles/20200127/k00/00m/010/148000

・NHK新会長、中立公正、肝に銘じて。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020012702000142.html

・東京の大水害。いつ起きてもおかしくない。
https://toyokeizai.net/articles/-/326413


今回の予算委員会での野党の質問は、かつてないほど骨のあるもので、見ごたえと手ごたえがありました。これは、いままでバラバラの印象が強かった野党の質問が、意識を統一できたからでしょう。即ち複数の質問者がいても、あたかも一人が続けて質問しているように見えたからです。その背景には、野党一本化の流れがあることは確かでしょう。

高級ホテルを50軒建てるという菅の思い付きを、1/28の予算委員会で立国社の大西健介が批判しました。なぜなら箱は日本企業が作り、いくら雇用が生まれても、運営、即ち経営を外資が担当すれば、利益は米国に持っていかれるという指摘です。無責任な高級ホテル構想に対する、災害で疲弊している日本の観光業界の怒りも代弁していました。この質疑応答で最も重要なことは、そういう収奪の仕組み自体を、首相も国交大臣も全く否定しなかったことです。安倍政権はどこまでトランプのケXを舐めれば気が済むのか。まさに売国議員の群れなのです。
関連記事。棚橋委員長は首相のポチ。枝野。
https://mainichi.jp/articles/20200128/k00/00m/010/257000c
コメント:やじを制止する以外は、「質問が理解できない」を連発するだけでした。この委員会は重要であるだけに、歴代、優秀な人物(鴻池等)が担当してきたので、何たる有様でしょうか。後刻理事会で協議しますという決まり文句が、今委員会ほど虚しく聞こえたことはありません。それにそれを言うだけなら委員長などいらないのです。自民党の人材が底をついていることを如実に示しているように感じました。

また同じく小川淳也の、安倍首相の答弁では、桜を見る会は招待基準が曖昧だったので、その結果招待客が増えたという説明だが、歴代政権でも基準は同じだった。だから、そのタガを外して招待客が2倍、費用が3倍になったのは、総理の指示ではないかという指摘も納得できるものでした。そこで官房機密費がどのように使われているのかも気になるところです。結局、午後の追及で、選定に問題があったことだけは正式に認めました。これを端的に言えば、公的行事が私的行事になっていたということになります。

・安倍首相が珍答弁。募っているけど募集ではない。
https://www.asahi.com/articles/ASN1X6H4XN1XUTFK024.html?iref=comtop_latestnews_03
関連記事。参加決定を選定前に応募者に知らせていた。
https://www.47news.jp/news/4463989.html
関連記事。招待者選定に問題あった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012800189&g=pol
関連記事。桜を見る会の病巣、町内会は秘密警察。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200127/pol/00m/010/006000c
コメント:これはツアーの参加者全員を(自動的に)招待者として認めていたことを意味しており、何ら判断基準らしいものが無かったことを意味しています。しかしこの説明では、仮に反社会勢力が含まれていても、意図的に入れた訳ではないという言い訳も成り立ちます。しかし特に自民党の後援者の中には、自分が暴力団では無くても、地方や地域のボスなど、反社に極めて近い立場の人物がゴロゴロ混じっていることが容易に想像できます。ジャパンライフもそうした氷山の一角に過ぎないと思います。

ということは、自民党政権を一度ご破算にして、リベラルな政権を据えて一斉清掃しないと、政治を中央の既得権や地方のボスから、国民の手に取り戻すことができないということでもあります。長期政権の最悪の面(権力の腐敗)を、今日本の国民は目の当たりにしているのです。奇しくも桜を見る会が、日本の歪んだ保守政治の問題を国民の前にさらけ出してくれたのです。そしてその中には、アベのプーチン化(秘密警察と党内の批判勢力の排除)があるのです。

昨日の質問の中で、(メディアはなぜか取り上げないが)圧巻は、前原のそれでした。まず補正予算で剰余金があれば、それを当年度の公債償還に振り向けるというのがルールなのに(当初ベースだけでなく、決算ベースで公債発行額を比較)、安倍政権ではそれをしていない。剰余金を次年度の予算に繰り入れることで、翌年度の財源を増やすのは、財政健全化を遅らせて、令和2年度の国債発行を減らすというのは粉飾だという指摘でした。

更に重要なことは、日本と外国の18歳の意識調査(日本財団)で、自分が国を変えられると思っている若者が、外国(米国、インド、ベトナム、韓国、インドネシアなど9か国)では60-70%に達するのに、日本では18%しかいないこと。これから国が良くなると考える学生に至っては9.6%しかいないという指摘があったことです。

あのごう慢な安倍、麻生が前原の質問に対してはしゅんとしてしまいました。ところが、何と思ったか、日本のメディアは、麻生が自分は市場を相手にしており、野党を相手にしていないと言ったという強がりだけを取り上げています。TV中継を見る限り、麻生の態度はとてもではないがそんな威勢の良いものではなく、眼が泳ぐ、全く自信のないものでした。

日本のメディア、というよりおそらく記者のレベルが低いことを、我々国民は常に念頭に置いておく必要があると思います。記者が国民より優秀な訳ではないのです。実際自分で取材すれば、全く違った(というより実態に近い)世界を紹介できることが間違いないことを思うと、WTWが記者の資格を持ち、現場(や各省庁)で取材できないことがもどかしく感じられます。

匿名の誹謗中傷のネット炎上がネットの最低の使い方(但し権力批判もあるので全部を否定はできない)、次は二流の記者の主観でゆがめられた、フェイクに近い報道です。でも権力におもねる報道は、国民が求めている情報ではないのです。あくまで「何が国民にとって必要な真実なのか」が重要なのです。

今回からWTWは(手前味噌を承知で)プライべート・ジャーナリズム(=非営利)を名乗ることにさせて頂きます。これは単なるまとめサイトではないという宣言でもあります。その目的の一つは、国民にとって読む必要のない記事(例えばタレントの不倫や薬物依存の情報、政権のよいしょなど)で、国民の貴重な時間を使わせないことです。

関連して最近、気になることがあります。それは、これまで中立良心的なネットのニュースサイトとして信頼していたヤフーニュースが、芸能人のゴシップに重心を置き始めたことです。私は分析も意識も浅く、結局はゴシップ重視になってしまっている、ハフポストに失望して、読むのを止めたのに、ヤフー迄これでは、ネットニュースの総ポピュリズム化です。

ということは、自分を振り返って、メディアの情報を仲介するサイトも、ニュース選択の眼力と、世界を見る見識を問われる時代に、(嫌でも)なってきたということだと思います。

関連記事。不倫報道、異常な処罰感情を煽る。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200128-01280255-nksports-ent
コメント:不倫が良いとも、離婚と結婚を繰り返すのが良いとも思わないが、基本的にこの種の問題(以前は痴情のもつれ等と言われた)は、当人同士の問題です。一方で、報道姿勢にも不自然なものを感じます。例えばIT長者のM澤は、昭和初期でもあるまいし、3人の愛人もしくは内縁の妻がいて(週刊文春による)、その上で有名タレントと結婚しようというのだから、これが事実なら呆れざるを得ません。ところが、日本の主要なメディアは通称美談やハワイの豪邸は取り上げても、この超がつく不倫を報道しようとはしないのです。権力(この場合はカネと知名度)におもねっているとしか思えない。面白い金持ち(パックン)で済む話ではありません。なぜならそこには、女性蔑視を含めた、本人(とメディア)の倫理感と教養の欠如や、人権の軽視が感じられるからです。



1637.葬式も出せない格差社会 20/1/30

・直葬、背景に貧困。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349629
関連記事。ブラック企業、辞めても明暗。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349650
関連記事。若者の借金を肩代わりして再出発を後押し、アムステルダム。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92248.php
関連記事。介護施設で子ども食堂。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/202001/CK2020012902000177.html
コメント:何十億も趣味に使う者もいれば、家族にまともな葬式も出してやれない人もいる。過酷な労働環境に置かれた若者たちや、食事さえ満足に取れない子どもたちがいる。年収の格差は30倍(1億対300万)。このどこが豊かな国で、このどこがアベノミクスの成功なのだろう。世界の一流国、福祉国家なのだろう。



1638.こびへつらう男 20/1/30

・米で暴露本。「俺にこびへつらう男」安倍。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59123
関連記事。民主党、大統領候補指名、アイオワ決戦。
https://jp.wsj.com/articles/SB11948372840409943605404586169472527080658



1639.山中教授に費用削減迫った女性官僚。20/1/30

・山中教授に費用削減迫った女性官僚。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349701
コメント:やり取りは私も見ていました。泉補佐官と不倫旅行の噂のあった官僚です。答弁は基本、知らぬ存ぜぬです。でも山中教授に証言させれば、嘘はばれます。何様官僚がもう一人。

1640.ウイルスショックに消費税減税を。20/1/30

ウイルス・パニックが現実のものとなりつつあります。

・東証401円安。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55017180Q0A130C2000000/
関連記事。株式市場に不安拡大。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55051830Q0A130C2EA2000/
関連記事。インバウンド4000万人に影響。
https://toyokeizai.net/articles/-/327494
関連記事。沖縄旅行、キャンセル1万3千人。
https://www.47news.jp/localnews/4464947.html
コメント:ていうか、8兆円減なのだから、観光立国としては確実に不況でしょう。オイルショックやリーマンショックと同じ状況です。だから政府は直ちに消費税を引き下げるべきなのです。それも早ければ早いほど、経済効果が高いのです。

・さらに1.2万人に感染疑い。中国全土に拡大。
https://www.asahi.com/articles/ASN1Z6FPZN1ZUHBI01Z.html?iref=comtop_8_01
関連記事。影響広がる新型肺炎。国内の動き。
https://www.47news.jp/news/core/4471255.html
関連記事。210人、帰国3人感染、うち2人は無症状。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020013001076&g=soc&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
関連記事。帰国便8万円は高すぎる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202001/CK2020013002000280.html
関連記事。厚労相、ウイルス検査拒否の帰国者に自宅待機を要請。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92263.php
関連記事。勝浦、市民に不安。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349737
関連記事。大阪府、感染女性の移動ルート公開。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349756
関連記事。観光地で大流行の恐れ。タイ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020013000252&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
関連記事。印と比でも初の感染確認。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020013001281&g=int
関連記事。北が新型肺炎の流入を懸念。国民が戦々恐々。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92268.php
関連記事。武漢から国民退避。2週間強制隔離。シンガポール。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020013001178&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
関連記事。僅か6日で病院建設。
https://www.bbc.com/japanese/video-51291088
関連記事。中国経済への影響度が、SARSとは決定的に異なる理由。
https://diamond.jp/articles/-/227259
関連記事。帰国者に思いやりを。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6349699
関連記事。正しく怖がる。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200130/k10012265231000.html
コメント:野生動物を食べるのは貧困と関係があるとのこと。資本主義の格差が招いた疫病と災害なのです。それから帰国便には政府専用機を使って頂きたい。また検査拒否者には、氏名の公表を視野に、強く交渉すべきです。

・米で暴露本。「俺にこびへつらう男」安倍。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59123
関連記事。民主党、大統領候補指名、アイオワ決戦。
https://jp.wsj.com/articles/SB11948372840409943605404586169472527080658





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