「オンライン・オピニオン」


 「差別主義」
 「ガーシー問題」
 「311に考える」
 「死者最多の第8波」
 「慢心病の小物たち」
 「大江健三郎と田原総一朗」
 「高市が無理心中」
 「妖怪都亡霊の国」
 「米国と日本の価値観」
 「見主主義の再建」

2301.差別主義 3/13

今回の前書きはサンデー毎日(3.26)からです。

「放送法文書問題の本質はズバリ政治介入だ」鈴木哲夫から

松本剛明総務相は 3月 7日の記者会見で、文書が省内のものであると認めた。文書を独自に入手し、国会で取り上げたのは立憲民主党の小西洋之参院議員。総務省出身でパイプもある。

問題の文書は総務省の担当が残していたものだ。安倍晋三政権時代の 2 0 1 4年、首相官邸が当時の複数の番組について「番組ごとの公平性が保たれていない」と、放送を主管する総務省に圧力をかけたことが記録に残されていた。それまで総務省の「公平性」の見解は番組ごとではなく、他番組も合わせ「局全体での公平性」としてきた。安倍官邸は政権批判の出演者ばかりの番組を念頭に、見解を変えろと迫ったものだ。

官邸の主役は当時補佐官だった磯崎陽輔氏だが、当時総務相の高市早苗経済安保担当相の名前も出てくる。安倍首相との電話で「今までの放送法の解釈はおかしい」などと話したという。

小西氏が問題提起したかったのは、「放送法について一部の権力者が都合のいい解釈をさせ、 『自分に有利な番組へ』と私物化していいのか」だ。だが、答弁に立った高市氏が「 (自分の部分は)捏造」「事実というなら議員辞職する」と言った。冒頭の会見後は「不正確」「これが正確なものだということ立証してください」と言っている。ただ、文書にあることが事実なら、高市氏は議員辞職を免れないだろう。

だが、本質的に肴過できないのは、放送への政治的圧力や介入が厳然とあったこと。そして、政治的公平性に対し、放送局や番組がどう覚悟を決め、対峙すべきかという点ではないか。
(中略)

私は放送法に定める公平性について、それに局が縛られたり、政権に忖度して議員や政党だけを並べて総花的になってしまったりしては、結局は広報番組に成り下がると思ってきた。特に報道関連番組はジャーナリズムと政権ウオッチャ?の役目を果たさなければならない。政策論などは視聴者にしっかり伝える責任もある。番組ごとにたっぷりと主張があっていい。(中略)

数カ月の審議の末、 BPOの意見書の最後にこうあった。一部引用する。〈政治的公平性に過度に神経質になるあまり、番組制作者が各政党をただ機械的に平等に扱うだけの番組を制作するようなことがあれば、政治報道は平板になり、いきおい政治に関する情報の提供も画一的になりかねない〉(中略)

日本の放送は許認可制で縛りもある。放送法には第 4条で「政治的公平性」が書かれているが、一方で第 1条に「表現の自由を確保する」、第 3条に「放送番組は (中略 )何人からも干渉され、又は規律されることがない」とも書かれている。局の自立性を前提に、公平性の形を決めるのは局自身であり、番組自身だということだ。であるのに、番組作りの内容にまで介入した政治の罪が今、行政文書で再び明らかになったのだ。そもそも先進国の中で電波の許認可を政府が握っているのは日本ぐらいだとキー局の元役貝は言う。

「例えば米国は、許認可は政府とは独立したFCC (連邦通信委員会)という機関が行う。メンバーは大統領が任命し、多少は政府の意図が反映される面もあるが、独立性は非常に高い」許認可を政府が握っている日木はどうか。安倍政権以降、いまだにテレビ現場は政権への忖度や自制があり、それに苦しんでいる制作者や作り手、出演者を私はたくさん知っている。行政文書の存在が明らかになった今、放送の自由の重要性や意義についてもう一度政府と放送業界、国民が確認し合う国会議論の契機にすべきである。


同じく、「共産党除名事件に潜む『戦後日本最大の危機』、問題は米国の生贄からどう脱却するかだ」白井聡から、その末尾部分。

(前略)ただし、私は立憲民主党を軸とする野党共闘にはもう何の意味もないと考える。同党の執行部は、迷走の挙句、民主党政権を自民党政権と同様のものに引き下げた主犯格であり実質において自民党の政治家と何も変わらない連中を重用するという愚劣極まりない路線を走っているからだ。

こうした喧騒のなかで、松竹氏が提起したうちで最も重要な論点である、「核抑止抜きの専守防衛」 (つまり、日米安保を当座維持しつつ東アジアの非核化を図る)という提案が注目されていないことは残念だ。「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」を脱するためには、段階を踏まねばならない。一夜にして日米安保を葬り去るなど、まさに空想的である。しかし、その段階を踏むために、対米従属以外の国家指針を想像することすらできない勢力に原則面で妥協すれば、対米従属批判の強度を引き下げることになるのではないかという危惧、これが共産党の松竹氏への強い対応を引き起こしたのではないか、と私は感じる。

日米安保の否定という無限遠点から現実を見るからこそ現状に対する鋭敏な認識と批判が可能になるが、それは無限遠点である限り、決して実現しないことが前提になってしまう。このジレンマを日本共産党に特有のものと思う者は、よほどのお気楽者だ。

それは、歪んだ対米従属の果てにアメリカ天皇のための生贄になる運命を認識した正常な理性の持ち主すべてが直面しているジレンマなのである。


もう一つ、牧太郎の青い空白い雲、
「高齢者は集団自決しろ!の『成田悠輔』の悪夢にうなされている」から

(前略)
「国は年金制度をやめます。逆に長生きすると老人税を払うようになります。ご存じでしょ」
「エッ?そんなこと、知らないぞ !」
「生きていくためには、すべてカネを払わなくてはならない。すべて世の中、カネ、カネですよ」
「……」
「通告します !これまで編集部が払った原稿料は全額返済してもらいますよ」
「エッ、全額返済?ちょうど 9 0 0回ぐらいだから…」
必死に計算を始めて…。やっと目が覚めた。
変な夢だ。カネ、カネ、カネが最前線…。悪夢だ。
ライパル誌「週間朝日」が体刊するのを知ったからこんな夢を見たのだろうか?
そういえば、経済学者で「米イェール大学助教授成田悠輔」という人物がインターネットテレビで「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいな事をすればいい」などと発言した時も「衝撃」だった。
集団自決、集団切腹、ただ気持ちが悪くなって…。
忘れよう!と思ったのだが、頭の片隅に残っていたのだろう。アレが「変な夢」に?がったのかもしれない。
確かに、ウザくて邪魔な年寄りが大勢いる (多分、僕もそうだろう)。
そのせいで、若い人が割を食っている!と思っている人は多いだろう。でも、「老人が自動でいなくなるシステム」を作るなんて、まるで、ナチスのユダヤ人虐殺みたいなものだ。
ずば抜けて頭が良い学者さんが「福祉削減のための高齢者抹殺」を口にするなんて…。何年か前、あるアナウンサーが、「実費が払えない人工透析患者は殺せ!」と主張するのを聞いた時も、「衝?」だった。
有能な人物の間で「差別、排除の思想」が平気で前面に出てきた。成田悠輔という人物は「切腹」という文化を再評価する形で、自分の手を汚さず「洗練された殺人システム」を作ろうとしているのだろうか。
「悪夢」だ。彼の悪夢にうなされている。この人物と議論する気は全くない。
ただ「自分が年寄りになってから言え」というだけだ。
コメント:成田を見て、その意見を聞きたければ、今なら誰にでもできる。なぜなら羽鳥のモーニングショウのコメンテーターだからだ。一体テレ朝の誰が、差別主義者を、しかも玉川の席に座らせたのか。同じ理由で、五輪のイベントで担当者の交代があった事を忘れたのか。そんな狂った価値観のスタッフがいるようでは、テレ朝にはジャーナリズムも、良識さえも期待することはできない。
週間朝日が休刊するのも、経営上の問題ではなく、政府に阿る為ではないのかと疑いたくなる。問題の成田は、番組ではあまり過激な発言はしていなかったが、枠の形が左右で違うという変わった眼鏡を着用していた(以下のサイトの写真で確認できる)。但しこの眼鏡は、フランス人のデザイナーによるもので、誰でも買えるものらしい。
最近、成田をTVで見た時は、未だ集団自決の発言は知らなかったが、どこかに爬虫類的なぬめっとした印象が残った。
成田に言いたいことはただ一言。楢山節考という小説を一度読んでみよということだ。十分教養(但し本物の)のある人間なら本の名前くらいは聞いたことがあるだろう。
成田登用で分かるように、テレ朝の幹部に、政権に魂を売る腐敗が進んでいるとすれば、極めて残念である。テレ朝、又は朝日グループの凋落が、日本のリベラリムの凋落を招くことがないことだけを切に願っている。なお、本当に優秀な人間は、学業(論理)だけでなく、人間性でも優れている。国立大出身の先輩や友人を見ているので、それは断言できる。だから、成田なにがしは、ヒロユキやガーシーと同類で、自分が目立ちたいだけの、中身のない人間である可能性が高いと(個人的には)考えている。
・炎上中の成田が平然と出演
https://npn.co.jp/article/detail/200026793
・玉川が完全否定
https://article.yahoo.co.jp/detail/044714dcd4547c5cdc724319075f844a92efa4e3




2302.ガーシー問題 3/13

・ガーシー除名決定。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400123&g=pol
コメント:開き直っているが、有権者に謝罪するべきはガーシーの方だろう。真面目な支持者への裏切りと国会の侮辱。歳費の返還も必要だ。天然の福島瑞穂はここでは反対するべきではない。そもそもメディアは、諸悪の根源、立花をなぜ放置し、糾弾しないのか。それどころか、二人をダークヒーローに祭り上げ、記事のネタ元にでもしようとしているかのようだ。そうなると、メディアが反社ということになる。であるならば、国民はこの二名をまとめて集団提訴するべきだ。選挙制度と国民の権利を愚弄した詐欺師(及び国賊)と言われても仕方がない。言いたいことを代わりに言ってくれるから溜飲が下がるという有権者もいるかもしれないが、(ネットで)悪口を言うことで一時的に(支持者の)うっぷんが晴れても、それで社会を変えることはできない。しかるべき場所で、しかるべき言葉とデータで、自分の主張を述べ、賛同者を増やす努力をして、初めてそれが社会を変える力になる。負け犬の遠吠えからは何も生まれない。しかもそうした(公式の)場を、国民がガーシーに用意してやったのに、その機会をガーシーと立花は踏みにじった。そのお詫びの言葉さえない。しかも帰国拒否の本当の理由が借金取りを避けるためだったというのだから呆れる。自分が犯罪者で、どうして他人の言動を指摘できようか。有権者も次回は少し事前に情報収集して、短絡的に候補者を選択せず、せめて周囲の人達と意見交換をしてから、投票に臨んで頂けたら幸いである。

・テレビ現場に与えた自民党の萎縮と忖度。
https://www.asahi.com/articles/ASR3F6DFTR3FUPQJ00G.html?iref=comtop_Opinion_02
コメント:誰とは敢えて言わないが、理屈になら理屈で強弁する某大臣の表情には、品性の卑しさが日増しに強く表れている(ように私には思える)。

・たちはだかった田真貴子秘書官に拍手。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2023030900006.html?iref=comtop_Opinion_06
コメント:明白な言論弾圧です。某大臣はぐだぐだ言っているが、停波発言だけで十分。その直接の原因となった当時の官邸の責任はさらに重大である。

・ガーシー対応、後手の国会対応。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456385

・立花辞任。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023030801037&g=pol
コメント:またも嘘。女性候補者を騙し、党名を変更し(しかも相変わらず珍妙な党名、センスが悪いのか、頭が悪いのか)、院政で自分が支配するだけのこと。そもそも脅迫などの刑事罰で既に有罪になっているのに、なぜ政治活動が許されるのか。立花が大手を振って歩き回ることで、日本の政治が一層信用されなくなる。どれだけ国民がガーシーの件で迷惑し、嫌な思いをしたと思っているのか。ところが国民を騙した反省は愚か、ガーシーに寄りそう訳でさえない。冷酷な卑劣漢。自分に金が入れば(しかも政党助成金だから国民の税金)よく、48党も使い捨て。それが彼女たちにはなぜ分からないのだろう。



2303.311に考える 3/12

昨日(録画での)時間14:46に黙とうしました。震災の日に思うことは何でしょうか。私は「救える命を救う」ことに尽きると思います。相手が戦争であれ、疾病であれ、天災であれ。

NHKの番組、アナザーストーリーズによれば、311の地震の直後に日本に到着した歌手のシンディ・ローパーは、日本に踏みとどまる決心をした。しかもその翌日、今度は福島の原発がメルトダウンし、水素爆発を起こした。各国政府は在日自国民の安全を危惧して、帰国勧告を出した。50万人の外国人が日本を離れた。それでもシンディの一行は日本に踏みとどまった。
今一番危惧されるのは南海トラフ地震である。しかもその規模は311と同等(マブニチュード9.震度6-7)だが、震源地が大都市に近く、大阪、東京、名古屋などの大都市を津波が襲う。その結果、犠牲者の数は311(2万人)の10倍以上(32万人)と想定される。
しかもそこに原発の被害は含まれていない。原発が被災した場合の被害は、推定すらされていない。
しかし原発が被災した時に、何が起きるかは明らかだ。電力会社の幹部、与党の政治家は、我勝ちに日本脱出を図るだろう。残って何とかしようとするのは、(311と同様)現場の人間と、原発に反対してきた市民だろう。
何故そう言えるのか。それは原発推進派の人達に共通するのは、責任感の欠如だからだ。自分の都合を最優先し、他人の迷惑は考えようともしない。そういう人間が、自己犠牲の精神を発揮して、放射能の中で踏みとどまるとは考えにくいからである。

・天皇一家が黙とう。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031100408&g=soc

・鎮魂の一日。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230311/k10014004911000.html

・命を守る人の命をどう考えたら良いのか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230311/k10013992211000.html

・福島原発。残る大量のがれき。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456670

・震災伝承施設に警鐘。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456668
コメント:こういう非営利の施設こそ、国が支援しなくてなんとする。

・被災地の人口急減。復興の足かせに。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456629
コメント:これは当然の成り行きであって、仕方がない事です。

・福島県産、購入ためらう人、過去最少。
https://news.yahoo.co.jp/topics
コメント:これは良い傾向です。

・潜水士、自ら取得、不明の妻探す。女川湾。
https://news.yahoo.co.jp/articles/406f42e704d2c4d0eed9a68f264794414fb3b050

・白鵬、気持ち受け継いで。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230311/k10014005351000.html

・謎だらけの福島国際研究機構。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/235886

・除染廃棄物の仮置き場、大半は農地。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8908a4d2400e5ab689e90c55f9c212674629936f

・たった30pでも。津波。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456646

・災害時のトレイ問題。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6456674



2304.死者最多の第8波 3/17

今回の前書きは雑誌世界4月号です。特集は、女性と法の現在と、学校、息苦しさからの脱却ですが、私が注目したのはコロナ第8波に関する分析です。

「死者最多のコロナ第八波」和田秀子から
…「三年ぶりの行動制限のない年末年始」は過去最大の 医療崩壊を引き起こし、過去最多の死者を出した。

昨年12月から、わずか二カ月間で約二万人弱が死亡。
コロナ累計死亡者約七万人のうち、三人にひとりが第八波で命を落とした。そのうち約八割が70代以上の翡齢者だ。

政府と大手マスコミは、この現実を黙殺した。政府は、医療・介護現場の崩壊を尻目に、「三年ぶりの行動規制のない年末年始」を喧伝し、大手マスコミは、こぞって帰省や旅行に出かける人々の様子を報じた。黙殺したのは、若い世代がバタバタと亡くなったデルタ株と異なり、犠牲になったのが高齢者だったからに他ならない。

「コロナはもう終わった」かのような世間と、ひっ迫した医療・介護現場の大きなギャップ。これに違和感を党えた第者は、昨年末から医療・介護現場の取材を重ねた。
その結果、浮き彫りになったのは、「無かったこと」の ように切り捨てられていく高齢者や社会的弱者の姿だった。(中略)

「早期診断・早期治療をすれば、コロナはほぼ治る。当院で診ている息者は、どんなに高齢でも、いままで一人も死なせていません。内科や小児科を標榜している医者は、 すべて黄任を持ってコロナを診るベきです」
そうひなた在宅クリニックの田代院長が明言するのも、効果の高い抗ウイルス薬があるからだ。

「併用禁忌薬が多かったり、事前に腎機能の検査が奨励されたりしていますが、抗ウイルス薬を服用する五日間だけ禁忌薬を中止すれば問題はありません。腎機能に関しても、以前から腎臓に問題がある人以外は処方しています」

実際にアメリカでは、検査場で陽性になった重症化リスクの高い息者には、その場で処方箋が発行され、薬局で受け取ることができる。この影響か死亡数が減っている。
厚労省は、なぜ早急に対策をとらないのか。

田代さんがネットで政府のコロナ対策に疑問を呈すると、「経済を止めろというのか」という批判も寄せられる。「私はただ医師として、最低限の医療さえ受けられずに切り捨てられる命をなくしたいだけなんです」(中略)

そんな光景を目の当たりにしてきたベテラン看護師の吉川さんが、ずっと違和感を抱き続けてきたことがある。 それは、吉村洋文大阪府知事が折に触れ、「大阪のコロナ死者数が多いのは高齢者多いから」と、繰り返してきたことだ。

「かかりつけ医が、検査・診察し、速やかに地域の病院につなぐという当たり前の医療体制があれば、高齢者でも救える命は増える。その体制を構築しようとせず、〈死ぬのは高齢者だから〉と、為政者が繰り返すのは無賓任。一度、命の切り捨てを許したら、歯止めがかからなくなってしまう。障害者だから仕方ない、子どもだから仕方ない、とエスカレートしていくんです」(吉川さん)(中略)

高齢者が亡くなり続けている最中の1月20日、岸田文雄首相は、5月8日から新型コロナを、2類相当から季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げると決定した。
医療・介護関係者からは、懸念の声が上がっている。

補助金が減らされることで、コロナ病床の確保が困難になり、コロナ患者を診る医療機関が減るのではないか。医療費が公費負担ではなくなることで、「診療控え」が相次ぎ、必要な医療を受けられずに亡くなる患者が増えるのではないか、などという懸念だ。

都内の特養に努める介護士は、こう憂えた。
「このままだと高齢者は、インフルエンザにかかって 殺処分される鳥のような扱いになるんじゃないか」
そう思わせるほど、現場は深刻なのだ。

第八波で過去最多の死者を出したのは、対策を打たず、「高齢者だから仕方ない」と言わんばかりに切り捨てた政府の不作為によるもの、“人災”だ。コロナ禍以前から進めたかった高齢者・弱者切り捨てを、コロナ禍に乗じて一 気に進めようとしているのではないか。
第八波は、そんな政府の“コロナ・ショックドクトリン”を露呈させた。
コメント:政府の不作為による大量殺人事件。これでは集団自決の必要もない。現代の楢山節考である。
・コロナ医療体制、実効性ある移行計画を。朝日社説。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15582226.html?iref=comtop_Opinion_04



2305.慢心病の小物たち 3/18

雑誌文藝春秋4月号から

「慢心病」におかされた小物たち、「今だけ、俺だけ、ポストだけ」、勘違い政権幹部の醜悪な生態、赤坂太郎から要約

岸田文雄内閣の支持率は菅義偉政権末期に近い低空飛行を続け、反転上昇する気配もない。だがよほどのことがない限り、2024年9月の自民党総裁任期満了まで岸田の首相の座は安泰だ。

立憲民主党は2月19日の党大会で代表の泉健太が「政権交代」を呼びかけたが、それに続いて幹事長の岡田克也は「政権を目指して競い合うことのできる状況を少なくとも作り出す」と述ぺ、事実上、次期衆院選で政権交代は厳しいと表明する有様だ。これでは政権側が危機感を抱くはずもない。

弛みの決徴の一つが首相秘書官の荒井勝喜による差別発言だろう。
問題はリカパリー策だ。その一つが 21年の東京五輪・パラリンピックに 合わせて超党派で議論を進めていたが自民党保守派の反対で宙に浮いたままになっていた「LGBT理解促進法案」の成立だ。その舵取りを担うのが政調会長の萩生田光一だ。

萩生田は故安倍晋三の最側近として 頭角を現し、今や自民党政大派閥の安倍派でも、最高幹部の一人だ。ところが…

「あいつはなにを焦っているんだ。そんな風格まだ出てきてないじゃないか」。安倍派に今なお影響力を持つ元首相の森喜朗が萩生田の最近の言動におかんむりだ。萩生田は1月31日に「一周忌ぐらいまでをめどにリーダーを立て、みんなで支える体制にしたい」と述ぺた。この5日前には会長代理の塩谷が新会長選出の動きについて「今のところない。 昨年の(集団指導)体制を今年も当面やっていく」と表明したばかりだった。

最近では五人組の一人である世耕の擦り寄りも萩生田の不遜さに拍車を掛ける。昨年十月、安倍派の新会長に塩谷が決まりかけた際、画策して「塩谷派」への衣替えを阻止する結果となった。温厚な松野が 「あの時の動きだけは絶対に許さない」と激怒するなど、派内の世耕への反発は根強い。

茂木は1月25日の衆院代表質問 で児童手当を巡り「全ての子どもの育ちを支える観点から所得制限を撤廃すペきだ」とぷち上げた。政府や政調との打ち合わせもなく、事前に官房副長官の木原誠二に電話をかけ「児童手当の制限撤廃について言うからな」と通告した。過去に所得制限を求めていたこととの整合性を問われると「反省する」とまで言ってみせた。

2月9日、茂木は公明、国民民主両党との三党幹事長会談を行い、賃上げと子育て支援の拡充策を巡る実務者協議を発足させる段取りをつけた。結局、国民は反対に回り恥をかいた(党幹部)。しかも、政策案件にもかかわらず萩生田に相談することはなかった。

「何をはしゃいでいるのだか。俺も高市みたいになってきたな」。茂木と折り合いが憑く重要案件から外されることが多く、不快感を示した高市を引き合いに出しながら、萩生田は周囲に怒りをぶちまけた。

茂木は今、ポスト岸田に向け躍起だが、懸念の一つは認知度の低さだ。FNN・産経合同世論調査の「次の首相に誰が一番ふさわしいか」との設問に、茂木はトップの河野太郎デジタル 相の19.7%から大きく離され、立民の泉と同じ1.1%だった。

「自らの感情を抑えることができない。ポスト岸田を意識する余り、周りが見えなくなっている」と指摘する。

最大派閥の安倍派が一枚岩でない中、茂木が将来に向け頼りにするのが茂木派と並ぶ党内第二派閥の麻生派を率いる麻生だ。
さすがに麻生も「無理に総理を狙わなくていいじゃないか」と諭すが、茂木は聞かない。それどころか、金融関係者や旧知の創価学会幹部との会食では「五月の広島サミット後には自分は総理になっている」と自ら切り出しているという。

当然、こうした話が岸田の耳に入るのは言うまでもない。周囲に冗談めかす岸田だが、その心中は穏やかではない。岸田が物心両面で期待をかける萩生田には「茂木さんが総理になることはない」とまで言い切る。

返す刀で岸田は「国産再エネに関する次世代型技術の社会実装加速化議員連盟」を仕掛ける。
茂木には声をかけていない。岸田は周囲に「茂木さんは森山さんともうまくいっていないみたいだしな」と漏らした。首相側近の一人は「この議連は今後の岸田政権の核となるだろう。かつての新資本主義議連の面々が現政権の中枢を担っているように」と読み解く。

とはいえ、岸田にも目襟とする来年九月の自民党総裁選再選への展望が描けているわけではない。首相周辺ですら「総理は何かやってくれそうという期待感を抱かせるキャラクターではなく、支持率が劇的に上がることはないだろう」とさじを投げ気味だ。最早、総裁再選へ残された唯一の方策は衆院解散総選挙での勝利しかない。

「今の政権には解散に打ってでるには致命的な弱点が二つある」。自民党選対関係者はこう指摘する。ーつは内閣の不支持率の高さだ。軒並み五割を超えており、政権への批判票が雪崩を打つ恐れがある。もう一つは自民党支持層の内閣支持の弱さだ。現在は五割から六割程度にとどまっているが、一昨年の衆院選、昨年の参院選の前には八割程度あった。支持基盤を固めきれていないのが弱みというわけだ。

慢心から脱した者のみが「一寸先は闇」の永田町を生き残ることになる。

コメント:傲慢を絵に描いたような茂木(人間の器に問題)や未熟な世耕は論外だが、統一教会とあれだけズブズブの関係で、何のお咎めもない萩生田は、更にお断りだ。萩生田が首相になれば首相暗殺の動機を作った統一教会が、復活する恐れさえある。そもそも、尹の来日の根回しをした麻生(統一教会と浅からぬ因縁を持つ)の訪韓時に、尹とどのような裏取引があったのか国民には分からない。権力よりの日本のメディアも絶対にそれを報じようとはしない。あくまで憶測だが、徴用工と統一教会の違法献金を相殺した可能性すら考えられる。そうなれば重大な国民への裏切りだ。ロクな総理の候補者がいないことが、日本に対する外国の評価を下げることになる。


・世界で最初に飢えるのは日本。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d0b6ff4173978e4019b8b9bf9b10f1ea18ccece3

・日本医師会の政治団体が麻生派に異例の高額献金。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/238478
コメント:やはりそうか。

・増える若者の岸田押し。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230316-OYT1T50343/
コメント:問題は安倍を推した多くの若者がいたことです。考えずに投票するのなら、投票の意味がない。猿や鳥が投票しているのと変わらないからです。

・何の反省もない黒田日銀。戦前との比較。
https://diamond.jp/articles/-/319570




2306.大江健三郎と田原総一朗 3/21

今回の前書きは週間朝日(3.31)の田原総一朗のギロン堂です。
「大江健三郎氏は私に挫折と社会運動への刺激をくれた」から

作家の大江健三郎さんが亡くなった。
私はかねて大江さんにインタビューしたいと強く望みながら、一度もできなかった。これまでインタビューしたいと思って実現できなかった人は大江さんだけである。
偉大すぎてその度胸が持てなかったのだ。
私は、子どものころから小説家になりたい、いや、なるつもりであった。

家が貧しかったので、早稲田大学の第二文学部に人った。東京での生活費はもちろん、滋賀県彦根市の実家に仕送る資金を得るために働いていた。何としても小説家になりたかったのだ。そこで、いくつもの同人雑誌団体に入ったが、どの団体でも文才がないから頑張るのは徒労だと言われ、かなり自信を失っていた。そのころに大江さんの「飼育」を読むことになった。
芥川賞を受賞した「飼育」は当時、世界の知的エリ?卜たちが打ち出していた「実存主義」を見事に作品化した小説であった。私は、大江さんの「飼育」を読んで完全に挫折し、小説家になることをあきらめたのである。

大江さんはノーベル文学賞を受賞している。だが、大江さんは小説家として素晴らしいことを成し遂げただけではない。大江さんは、社会に関わり続けてきた。反核、平和、護憲を訴え、東日本大震災以後は反原発を巡る集会などにも参加した。

2004年には、呼び掛け人の一人として、加藤周一、井上ひさし、鶴見俊輔各氏とともに、「九条の会」を結成した。
同会の世話人に名を連ねる日体大の清水雅彦氏は、「左や右といった政治的立場を超える、平和に強い関心を持った『良心的な作家』だった」と語っている。
「最後に席を共にしたのは、 14年にあった集団的自衛権の行使容認に反対する市民集会。以来、直接会うことはなかったが、全国の各地域で 7000の『九条の会』が立ち上がったのは、核兵器が使われた後の時代の平和を考え、憲法の堅持を訴えた大江さんたちの貢献があったから。これからの平和運動は私たちでもり立てていきたい」と話した。

私は、大江さんとは比べようもないほど非才で、いい加減な人間だが、私にも続けるべきことがある。それは、生命を掛けて言論・表現の自由を守り、この国を絶対に戦争をしない国として持続させることだ。その決意を新たにしたのである。

コメント:九条の会は、最近聞かないが、それでも7000もあるというのは驚く。近くで集会でもあれば参加してみたい。まず補足説明から。早稲田の第二文学部というのは夜間のコースである。だから田原は昼間働いていたのだろう。なお吉永小百合も第二文学部。私は第一文学部だったので、夕方から夜にかけての教科では共通のものがあると、ミーハーな私は敢えて同じ教科を取ったこともある。言うまでもなく、私とは段違いで、彼女はとてもまじめな学生だった。
というわけで、田原と私では、学業に臨む姿勢から天地の違いがあったわけだ。その結果だろうが、同じジャーナリズムを目指しても、こちらは入社試験で軒並み失敗し、果ては留年して一般企業に就職することになり、ジャーナリズムともメディアとも遠く離れた人生を送ることになった。
今回は、田原はいつもの一歩引いたエッセイではなく、珍しく本音を直接ぶつけてきている。そしてその決意こそ、素人ジャーナリストの私が目指している目標でもある。即ち、田原氏とは比べようもないが、生命を掛けて言論・表現の自由を守り、この国を絶対に戦争をしない国として持続させることである。でもそれが団塊の世代(正確には2年ほど年長)=戦争の記憶を残す世代、に課せられた使命ではないだろうか。もう二度と、若い世代が戦争で命を落とすようなことがあってはならないのである。



2307.高市が無理心中 3/22

週間ポストの最新号によれば、高市は岸田を相手に捨て身の攻撃、死なばもろともという自爆攻撃に出ているという。なんでそんな無茶が出来るのかと言うと、高市は自分が安倍の岩盤に支持されていると思っているからだ。即ち国内の極右の者たちが味方だという自負ヲ持っている。しかしそれが本当なら、なんで安倍派が代表を決められずに、内部争いが激化しているのか。しかも高石が安倍派の代表になる、もしくは相応しいと思っている自民党議員など、一人もいないというのに。矛盾だらけの、高石の横車なのである。岸田の足を引っ張りたいという、ただそれだけのネガティブな動きでしかないように、私には思える。多分そこには、本当は岸田の代わりに自分が首相になっていたはずだという、身勝手で甘い読みがあるのかもしれない。それは岸田への嫉妬の感情である。
岸田に閣僚にしてもらったのに、何をどう勘違いしたのか、その後にあっても、自分が岸田と対等に張り合えると思いこみ(誇大妄想)、ことごとく岸田に盾突き、増税反対では、閣僚を辞めてもいいとまで言っていた。その態度の延長上に現在のひらきなおりがあるのだろう。総務相時代の発言も、安倍や官邸にゴマを擦っていた当時のものである。今でも自分には極右の支持者がついている、おそらく、その思い込みだけが心の支えになっているのではないだろうか。
そもそも安倍が10年もの長きにわたり、独裁をほしいままに出来たのも、いわゆる岩盤層がいて、自民党が選挙に勝ち続けたからに他ならない。
ということは、彼らがいて、戦前の国家主義的な価値観を振りかざし続ける限り、日本には民主主義も、憲法が保障する基本的人権もないことになる。しかも神社政庁(日本会議)はおろか、統一教会(家父長制度)が解散を免れれば、また多くの被害者を生むことになる。市民の自由は制限され、夫婦別姓も認められず、事実上の言論統制も、原発回帰も、米国一辺倒も、中国敵視も変わらない。
即ち、いわゆる岩盤層の存在こそが、日本を住みにくくしている元凶のように思われる。どうすれば頑迷固陋な彼らの価値観を、現代のグローバルな世界に相応しい現代的な価値観に変えられるのか。私たちは遠回りではあっても、日本を根本から変えることが出来る唯一の方法を、もっと真剣に考えるべきではないだろうか。
・孤立無援の高市。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6457638
・見落とされる真の問題。
https://diamond.jp/articles/-/319795



2308.妖怪と亡霊の国 3/29

今回の前書きは週間朝日(4.7)のコラム、政官財の罪と罰です。週間朝日の廃刊で、最も惜しいのは古賀のコラムが読めなくなることです。

「妖術に操られていませんか?」古賀茂明から

安倍晋三元総理最大の「功績」は、日本の岩盤右翼層をがっちりと固めたことだ。強烈な反日思想を持つ旧統一教会 (世界平和統一家庭連合 )と、これとは全く相容れない国粋主義的思想を持つ日本の右翼層をともに自民党保守派を支持する層としてまとめるという、普通では考えられないことをやってのけた。その遺産を受け継いだのが自民党安倍派である。

彼ら岩盤右翼層は、数としては大きくなくとも、選挙の投票率が下がる傾向が続く中、自民党の得票の中では重要な地位を占める。そのため、岸田文雄首相のみならず、親安倍・反安倍に関わらず、ほとんどの自民党議員、とりわけ総裁を狙う者にとって、この「安倍派的」岩盤右翼層の支持を得ることが至上命題になってしまった。

私は、これを「妖怪に支配された自民党」と呼んでいる。 "昭和の妖怪“と呼ばれた岸信介元総理。その孫が安倍元総理だから、彼は“妖怪の孫”だ。そして“妖怪の孫”亡き後もなお、えたいの知れない安倍的なものが政界に漂っている。妖怪だけに、簡単には滅びず今もなお、その妖術で自民党を操っているのだ。

支配されているのは自民党だけではない。大手メディアも安倍政権時代に、安倍氏に支配され、忖度宣伝機関に堕していたが、今もそこから抜け出せない。特にテレビ局のスタッフたちに聞くと、今も局幹部には過剰な安倍派忖度があると聞く。とりわけ、安倍派の中でもマスコミ支配に熱心だった萩生田光一自民党政調会長を恐れて「忖度」しているという。旧統一教会問題の報道でも萩生田氏への厳しい追及があるべきなのに、実際にはほとんどスルーされたままであるのもその影響だろう。全てが圧力というわけではなく、局側が勝手に忖度している側面もあるようだ。

忖度という行動パタ?ンが何年も続いた結果、記者たちの問題認識能力自体が退化してしまったことも深刻な事態だ。面倒なことを避けるうちに公開情報に含まれる重大な問題にも気づくことすらできなくなっている。さらに困ったことは、私たち国民の心にもこの“妖術”が及んでいることだ。

10年前には議論されることさえなかった敵基地攻撃能力、防衛費倍増、憲法 9条改正、原発新増設などの問題に賛成する層が拡大している。安倍氏よりさらに過激な政策を岸田氏が異様な勢いで進め、日本の国の形が「軽武装・国民経済重視」から「重武装・軍事最優先」に変容しつつあるのに、国民がそれを本気で止める動きが見えない。それは国民の一定数が、安倍的なものに支配されるようになってしまったからという面もある。一度支配されると、他の意見には拒絶反応しか示さなくなる。議論の余地がなくなり、国民の間に深刻な分断がもたらされた。

一方、安倍的なものに支配されず、これに抵抗する人々もたくさんいる。しかし、実は、その人たちの心の中にも、「どんなに頑張ってもどうせ止まらない」という諦めの気持ちが広がっているのではないか。市民のデモなどの抗議活動は、明らかに力が弱くなっている。これもまた、“妖怪の孫”の支配ではないのか。

この支配を終わらせるためにはどうしたら良いのか。有権者はそのことを考えながら、春の選挙に臨んでほしい。

コメント:一字一句たりとも、足したり引いたりする必要のない完璧な原稿です。安倍支配の9年間で、国民はすっかり抵抗の意欲を奪われ、メディアは権力への抗議を忘れ、政権に阿るようになりました。与党のトップが交代しても、メディアの体質は変わりません。メディアのトップでありながら、首相との会食を続け、反政府的な発言の記者は左遷する(テレ朝、NHKを含む)。メディアの経営者が見ているのは国民ではなく、政権なのです。
その一方で、若者に媚びを売るために、過激な発言を繰り返す若手論者を起用する。高学歴を誇る彼らが攻撃するべきは権力なのに、高齢者で一括りする杜撰な論理だけでも、彼らが本当にはそれほど頭が良くないのではと思わざるを得ない。論破もただの決めつけです。
かたやメディアは、知名度を取れば何も残らないような中身のないタレントも使う。こういう時に、お笑い芸人は老若を問わず、便利な存在です。
政治家は政治家で、開き直り、言い張ってさえいれば、黒でも白に出来るとばかりに、安倍流の横車を押し通している高市。あれだけ統一教会にどっぷり浸かりながら、誰も追求しない萩生田。萩生田と安倍派の代表を競う、自己中の茂木。本当に、自民党にはろくな議員がいないと思います。そもそも安倍チルドレンという国会議員の基本的な資質さえ怪しい人達は、いまどこで何をしているのでしょうか。
デモを企画するでもなく、国民に反戦や平和を訴えるでもない、ただ与党にすり寄る事しか考えない野党への失望。素性が分からず、ただ異質なだけが特徴の泡沫政党。その理不尽な言動は、政治への不信感を書き立てるだけの役にしか立っていません。これでは誰が考えても、野党の復権は困難でしょう。メディアで過激な発言をする若者たちも、その頭の中は古色像然たる保守主義、資本主義から一歩も出ておらず、野党を攻撃するだけで、理想も未来図も、そのための努力もない。左脳だけで右脳がなく、IQは高くてもEQは低いという悪い例になっています。リベラルで知性のある国民に選択肢がないことこそ、日本の社会の、最大の問題点なのです。いまこの亡霊と妖魔が支配する国に必要な者は、ハリー・ポッターなのではないでしょうか。
関連記事:米国が日本に軍国主義を復活。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230328-OYT1T50078/
コメント:但しプーチンの側近の意見。

もう一つは、サンデー毎日(4.9)の冒頭の記事、倉重篤郎のニュ−ス最前線から、田原総一朗と斉藤幸平の対談の一部です。

田原:資本主義は限界に来ているという。何が問題?
斎藤:二つある。一つはコロナ禍でさらに露わになったことだが、貧富の格差が広がりすぎている。今、お金持ちは株や広告やコンサルで稼ぐが、それらは人間の生活と根本的な関係はない。一方、医療や看護や介護など人の生き死にに関わる仕事ほど低賃金で、こんなことでいいのかという疑問が共有されている。もう一つは気候変動や環境問題で、このまま成長を志向すると地球がもたない。今僕は神宮外苑の再開発に反対しているが、これまでの暮らしや伝統を破壊して高層ビルを造ることに、もはや意味を見いだせない。

田原:僕は1965年に訪ソした際、共産主義の実態に失望した。格差ができる、と言って競争を一切認めない。競争を認めないから言論の自由もなくなる。
斎藤:トップダウンの弊害だ。官僚が計画経済をやって、労働者がノルマに従うだけになると、悪しき平等主義、非効率がまん延してしまう。僕は競争は認める。ただ、確かに田原さんがおっしゃるように生活の安定により競争心のモチベーションは、ある程度ダウンするだろう。それは受け入れてもいいと思っている。
田原:世代対立、どう見る?
斎藤:不満を持っている若者たちはいっぱいいる。それが成田さんの集団自決発言 (成田悠輔米イエール大助教授の「唯一の解決策は高齢者の集団自決、集団切腹みたいなことではないか」との発言)が取り沙汰される温床になる。つまり、上と下の世代対立みたいになっているが、不満の矛先を老人のせいにするのは今の社会の問題だと思う。
田原:今の日本社会を仕切っているのは高齢者たちだ。
斎藤:仕切っている象徴的な人たちはいるが、そうじゃない大多数の高齢者は悪くない。満足に年金支給を受けてない人もいる。高齢者を大事にしない、働いている人を大事にしない、若者の教育や雇用を大事にしない、地球環境を大事にしない、こういうシステムはもちろん日本的システムでもあるが、資本主義という制度的問題として改めて考え直さないといけない。
田原:何をどう変える?
斎藤:脱成長型社会にする。市場をどんどん広げて経済成長していけばいいというマインドから脱却していくことだ。私は思想が専門なので、新しい価値観への転換を訴えていきたい。例えば、最大年収の上限を一億円にする制度を導人したらどうか。競争はあってもいいが、その結果としてどんなに勝っても、三木谷 (楽天グループ)さんでも孫 (ソフトバンクグル?プ)さんでも1億円以上は取れない。過剰なファストフード、ファストファツションなど、健康にも地球環境にもよくない商品の過剰広告は規制する。教育、医療、公共交通機関の無償化も大事だ。誰もがベーシックなものに対し、最低限のアクセスができるようにする。

田原:ポストアベノミクスの経済政策はどう構想?
斎藤:異次元金融緩和を10年やって成長しなかった。
田原:全く成長してない。
斎藤:かなり控えめだった。それを私たちは真剣に考える時が来た。では、別のやり方をするのか、というより、むしろ、これだけやっても成長しないのであれば、私たちはどこかで、成長に依存しない社会への転換や、成長しない場合の「プランB」を本気で考えないといけない。成長にとって必須の人口も減る一方だ。超異次元も無理だ。むしろ、異次元をやめて出口に向かう時、利上げや緊縮予算で急速に経済が悪化していく可能性がある。それに備えて私たちは成長しない経済の中で国民生活をどう守っていくか、その中でどう脱炭素を実現するか。これまで立ててこなかった問いを立て、それを真剣に考え始める勇気が必要だと思う。
田原:あなたは今36歳。 50歳代のとき世界はどう変わる? 
斎藤:米国は変わるのではないか。Z世代 ( 90年代後半から2000年代前半に生まれた世代)が多い。ミレニアル世代 (誕生日が 81年以降で00年代に成人または、社会人となった世代)と合わせると 28年には有権者数の過半数を超える。今の選挙制度であっても、サンダース政権のような社会主義的政権が誕生する可能性がある。日本は少子化社会なのでもう少し時間がかかるが、米国で起きるようなことが1世代遅れくらいで入ってくるのではないか。 
異次元緩和に対する斎藤氏の意見、全く同感だ。成長を求めに求め、従来の金融財政政策を異次元に歪めてまでしてきた結果がどうだったのか。名目GDPは(20122年から22年)ドルベースではむしろ 3割も縮んだ。斎藤氏には脱成長型「プランB」の詳細なる青写真を望む(倉重)。 

コメント:ここで声を大にして言いたいことは、デモなどの積極的な意思表示に参加しないまでも、心の中では、今の政治経済体制が間違っている、どうにかしなければと思っている国民が少なからずいる(メディアは内閣支持率の調査しかしないので、個人的な感触に留まるが)ことを信じて、我々リベラルな国民は勇気を持ち続けるべきだという事である。



2309.米国と日本の価値観 4/5

今回の前書きは、休刊間近い週間朝日(4.14)から3件です。

アラウンド90からが楽しい!から
「ひとつの怒りで一つ老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る。リーヌ・ルノー94歳」
 私が主演した「パリタクシー」は、老人ホームに入居しようとする女性マドレ?ヌがタクシー運紙手と出会い、パリの思い出の地を巡りながら自身の人生を振り返っていく物語です。マドレーヌは私が演じたなかで最も素敵なキャラクタ?で、私に一番似ていると思います。年齢もほぼ同じですし、私も彼女と同じように多くの困難を乗り越えてきました。
(中略)私は 1945年にパリで初めて歌のオ?ディションに合格し、ムーラン・ル?ジュやカジノ・ド・バリなどでシャンソン歌手として活動し始めました。そして中絶が合法になる前、 17歳のときに妊娠したのです。当時の私は不法に中絶をするしかありませんでした。 70年代の半ばまで、フランスでは中絶は合法でなく、女性は夫の承諾なしに自由にお金を使うこともできませんでした。私の曾祖母や祖母も夫から暴力を受けていましたが、でも彼女たち強く生きました。彼女たちの人生は私に、自分の人生を生きることと、闘う力を与えてくれました。特に私が 80年代の半ばからエイズ撲滅運動に注ぐ力を与えてくれたと思います。私もマドレーヌも闘う女性なのです。私たちは自分で自分を守り闘うことができるという点で共通しています。劇中で、マドレーヌが言う「ひとつの怒りでひとつ老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る」というセリフが一番好きです。自分が明るくハッピーな性格でよかったと思っています。いまも人生が喜びに満ちています。(中略)若者も新たなファンになってくれています。だからこそ94歳のいまも俳優として歌手として、若々しく活動できているのだと思います。元気の秘訣は「いま生きていられることを幸運だと思うこと」でしょ うか。人生は難しく、常に闘いでもあります。それでも人生は美しいものです。まずは自分を愛すること。それによって人生は美しくなります。女性をめぐる社会状況はよくなってきているとは感じています。(中略)時代が変わってきたことをうれしく思いますが、やるべきことは残っています。

田原総一朗のギロン堂「政治的公平性の押し付けはジャーナリズムを愚弄している」から
(前略)実は高市発言を知って、私は数人のテレビジャーナリストと一緒に、発言に対しての強い抗議を示した。しかしその後、高市発言を認めるかのように、複数のテレビ局で政権批判を行った人物が番組から外されるという出来事が起きている。(中略)
また、1980年代までは非正規労働者がほとんどいなかったのに、現在では全従業員の 4割にも達している。更に、男女格差は世界で116位、先進国では最低である。
 こうした間題を厳しく追及するのがジャーナリズムの役割で、政権側が「政治的公平性」を押し付けるのは、「政権批判をやるな」ということであり、危険極まりない主張である。
ジャーナリズムは政権批判こそが果たすべき大きな役割なのだと私は考えている。

政官財の罪と罰、古賀茂明「銃乱射多発の米国と日本の価値観」から
 「米銃乱射今年に人り1300件、死者9999人、うち子供 404人」英 BBCニュースで見た数字だ。
米テネシー州ナッシュビルの小学校で児童ら 6人が死亡した 3月 27日の銃乱射事件を伝える報道の関連で紹介された。(中略)
 つまり、自分の身を守るためには、相手を殺すぞと威嚇して良いと考える国なのだ。その是非はともかく、少なくとも私はそんな「価値観」は共有できない。
日本政府は二言目には「日米は価値観を共有する同盟国だ」と強調する。だが米国の安全保障の考え方は、銃の所持を権利だと認める考え方と共通している。自らを守るためには、相手の攻撃をやめさせるに足る威嚇が必要、故に高い殺傷力を持つ武器を持つべきだと発展していく抑止力の考え方だ。日本も中国を脅すのに十分な敵基地攻撃能力を持つ必要があり、それは自衛権の範囲だという考え方になる。
これは、個人が殺傷力の高い武器を所有する権利があるという考え方と瓜二つではないか。その権利を認める代償として、毎日多くの犠牲者が出ても仕方ないとする米国の考え方は、自衛権の先にある戦争で、多大な犠牲者が出ても仕方ないという考え方につながる。さらに、銃規制にはライフル協会が障害となり、軍拡と戦争の抑止には、武器産業という巨大な利権産業が立ちはだかるという構造もよく似ている。
 私は、平和主義を至高の価値と掲げる日本が、武器の呪縛から逃れられない米国と「価値観を共有する」ことはあり得ないと考える。共有するのは、「民主主義」「法の支配」「自由」などだというが、「平和」や「人の命」について全く異なる考え方を持った国と安易に「価値観を共有する」と言ってはならない。外交上の「リップサービス」ならまだしも、自民党は、「心の底から」米国とー心同体の考え方のように見える。それは、極めて危険な思想だ。
他国と共有すべき価値観とは、「平和」と「国民、さらには世界市民の幸福最優先」ではないのか。辛福度ランキング上位の北欧諸国などとはそうした価値観を共有できるだろうが、米国はそうした価値観を持つとは到底思えない。皆さんはどうお考えだろうか。

コメント:銃の死者9999人には驚く。私も米国に4年ほど住んでいたことがあるが、個々の米国人には好感が持てても、これが国家となり、トランプに代表されるような力が正義の哲学を振りかざし、イラク戦争のように、不十分な情報から、軍事力が誤った形で行使されるのを見るにつけ、国家としては、これでいいのかと思わざるを得ない。愚者、もしくは原理主義の狂信者が支配する、巨大な軍事国家に見えてくる。そもそも日本の政治、とりわけ外務省や、国際関係論の学者は、一体外交を何だと思っているのだろう。現状では日本の政治には外交などあってなきがごときであることを、なぜ素直に認めないのか。米国隷従が外交なら、外務省もいらないし、政府だって、首相だっていらない。日本国知事が一人いれば済む。でもその方が無駄飯を食らって議会で威張り散らす議員もいらなくなる。国民は只米国の方針に従っていればいいのだから、何も考える必要はなくなる。これは気が楽だ。但し徴兵制になるので、有事に子供達は対中、対ロの戦争に駆り出される。行き過ぎた自由経済、資本主義だから、貧富の差は天文学的に広がる。他人を蹴落とす競争が不得意なお人好しの国民は、全財産を失い、住む場所もなく、ホームレスとして路上で死ぬしかない。それも銃を持った国粋主義者やカルトの狂信者に射殺されなければの話である。それでも良ければ、米国追従でどうぞ。高市も、小池百合子も、櫻井よしこも、三浦瑠璃も、そして誰よりも岸田首相は。

関連記事:支援要請待たないODA。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5448c3c3b7a9660df9600f1324f4fa965bbb30af
コメント:これは非常に危険な発想です。加えて(与える側の)思い上がりでもある。まかり間違えば、内政干渉にもなりかねない。日本が自由主義や平和主義や法治主義を標榜しているうちは良いが、現在のように憲法9条さえなし崩す軍拡、しかも米国隷属だと、外国まで、軍国主義や独裁政治に巻き込んでしまう恐れがある。実際に同志国との連携とまで言っている。そもそもいつから同志国などという区別が出来たのか。世界中と仲良くするのが日本の立場だろう。戦争もしていないのに、中国とロシアは、いつから敵国になったのか。そして岸田は何時から(統帥権を持つ)日本国総統になったのだろう。

関連記事:反撃能力、存立危機でも発動可能。
https://news.yahoo.co.jp/articles/281323f9ad410b7a827dbf4dd874563101d5a234
コメント:憲法第九条が踏みにじられている。このどこが平和国家なのか。



2310. 民主主義の再建 4/7

今回の前書きは朝日新聞(4.5)のオピニオン&フォーラムです。以下はそのネット版からの引用です。

「先進国民主主義の再建を」 筒井清輝(政治社会学者)から

 ロシアのウクライナ侵攻を契機に、途上国・新興国を中心とした「グローバルサウス」の動向が注目されている。民主主義と権威主義両陣営の双方に距離を置く国が多い現実に、日本を含む民主主義の国々はどう向き合えばよいのか。国際政治と価値観外交のあり方に詳しい米スタンフォード大学の筒井清輝教授に聞いた。

 ―ロシアのウクライナ侵攻から1年あまりが過ぎました。国際社会の反応をどう見ますか。
 「ロシアのウクライナ侵攻は、不可侵だと思われた国境線を踏みにじり、虐殺まで引き起こしました。米国では支援に後ろ向きな声は一部にとどまり、今のところ、ウクライナへの支援で団結しています。欧州を含めて先進国は揺らいでいないと思います」

 「ただ、『グローバルサウス』と呼ばれるアジア・アフリカなど新興・途上国の中には、ロシアに対する非難や制裁に距離をおく国も少なくない。米国人の多くは、国際社会はもっと一致団結して動くはずだと期待していました」
 ―バイデン政権は2021年12月、「民主主義サミット」を立ち上げました。ロシアのウクライナ侵攻から1年が過ぎて開かれた今春の第2回サミットで、共同宣言に署名したのは招待した120カ国・地域の6割でした。新興・途上国は必ずしも積極的ではありません。

 「ウクライナ問題をめぐって割れる対応を、民主主義と権威主義の対決として規定するのは適当ではありません。『敵』を明確にする効果を狙った戦略としては有効かもしれませんが、その中間的な国家が濃淡さまざまに存在するからです」
 「民主主義や人権規範をより広げるには、新興・途上国の政治体制や歴史的背景をより理解することが必要です。各国が受容できるやり方で働きかける努力を通じてこそ、連帯は生まれます」
 ―新興・途上国からは、米国が自国との関係に応じて、人権や民主主義を使い分けているとの批判もあります。

 「米国が民主主義や人権の規範について独善的なダブルスタンダード(二重基準)の問題を抱えていたり、国連が拒否権を持つ安全保障理事会常任理事国に振り回されたりすることも、今に始まったことではありません」

 「また、権威主義勢力の台頭は世界中でみられます。ロシア、中国など国家ベースに限りません。米国も内側に抱えています。民主主義では何も決められない、自分たちの声は届かないと怒る人たちがいる。そこに扇動的なポピュリストが出てきて排外主義をあおる。トランプ現象はまさに権威主義勢力によるものです」

 ―国際社会への影響力を増す中国は共産党一党独裁のうえ、習近平(シーチンピン)国家主席への権力の集中が強まっています。

 「中国をみると、昔の権威主義ではありません。北朝鮮や軍部がクーデターで政権を握ったミャンマーとは違います。独裁者といえども暴力だけでは治めきれず、民の声を拾いあげ、生活を改善しようとする形で進化させている。本来なら民主主義が持つ優位性を自らのシステムに巧妙に取り込み、統治の正当化の手段に使おうとしています」

 「それは国内の多くの人に対して一定の成功を収めてきたと言えるかもしれませんが、少数民族や反体制派などへの弾圧の問題は深刻です」
 ―民主主義の国々はどうすれば?
 「ロシアのウクライナ侵攻は権威主義体制が抱える問題の本質をあぶり出しました。権力を少数者に過度に集中させて異論を封じ込め、法の支配や権力の相互監視が働かない体制のもとで何が起きるか。意思決定過程が不透明で、自国民に対する説明責任も問われない。そんな指導者の振るまいが国内外にどれほどの恐怖と不安をもたらすかが明白になりました。同じ権威主義体制の中国への懸念も強まっています」
 「これを機会に、先進国は国民の一体性を取り戻すために自らの内側に抱える権威主義勢力と闘い、権威主義国が『学んだ』自らの体制が本来持っている強みを立て直すべく、動くときです」(聞き手・吉岡桂子)

二つ目は単行本からです。
「アメリカがカルトに乗っ取られた」町山智浩

【東京五輪はアメリカで電通地獄と報道された】21年8月12日から

「ワクチン接種率が僅か16%で、国民の83%が中止か延期を求める中でオリンピックを実施しようとする、それは近代スポーツ史上、量も傲慢で人間を踏みにじる金儲けだ」。ワシトン・ポスト紙に掲載された批判だ。
「強欲オリンピックがあるなら、金メダルはIOC、銀メダルはNBC、銅メダルは日本の組織委員会だろう」
三者とも今更後には引けない。IOCはNBCから独占放送権の延長料金3億ドルを受け収っている。IOCの予算の73%は放送権料だ。NBCはオリンピック放送で12億5千万ドルのCM料を見込んでいる。日本の五輪予算は当初の74億ドルから154億ドル(1兆7000億円)に膨れ上がり、最終的な出資は2兆円に達すると目されている。
「東京五輪、2兆円規模の大失敗に」という見出しを出したのは7月21日付の経済紙ウォールストリートジャーナル日本語販。
 東京五輪の最大手スポンサーであるトヨタが、企業イメージ低下を恐れてオリンピック関連のCMの放送をやめたこと、70億ドル(7700億円)かけて建設・改修された会場に観客を入れられないこと、
無観客だから期待されていた旅行客による経済効果が肖えたことなどが列挙されている。
「このオリンピックには黒幕がいる」と書いたのはニューヨーク・タイムズ紙の「東京五輪の背後の見えざる手」という記事。
「それは神話的なまでの権力と影響力を持つ広告代理店の巨人、電通だ」
「電通は五輪誘致を主導し、日本国内の企業から36億ドルのスポンサー料を集め、五輪のマーケティングのほぼすべてを掌握した」
「日本国内で取引される広告料の28%近くを占める電通は、企業やメディアだけでなく、長年にわたって自民党の非公式な広報担当を務めてきた」
「政治家や大企業経営者の子息が多く就職する」
それはコネを作るためだ。IT株取引の利益を申告しなかった平井卓也デジタル相も自民党の労働大臣の息子で電通出身。五輪開会式を演出するはずだった小林賢太郎が過去にホロコーストをジョークにしていたことをユダヤ人団体にご注進した中山泰秀防衛副大臣も、自民党議員の息子で電通出身。安倍前総理の昭惠夫人も森永製菓の社長令嬢で電通に就職した。これは新聞社やテレビ局でも同じで、電通は政財界とメディアと一体になっている。 「日本以外の国では、広告代理店は一つの業界の企業を一つしかクライアントに持てない。ところが電通は同じ業界で競合する複数の企業を受け持つ」
「電通はテレビのCM枠を販売し、その企業のCMを制作する」
これは独占禁法違反で、公取委から何度か警告を受けているがメディアは大きな話題にしない。広告によって、電通に支配されているからだ。
 電通はスポンサーを集める力を利用して、さまざまなスポーツにその手を広げた。2016年の夏季五輪では、リオデジャネイロに敗れたものの、招致委員会の支出の87%が電通に支払われた。
(中略)電通が五輪に必死になり、自民党との 癒着を深めている背後には、ネット時代になって、テレビの広告収入が激減したことがあるとニューヨーク・タイムズは 書いている。(中略)
酷暑の東京でマラソン選手を守るため、194億円かけて路面の工事が行われたが、結局マラソンは北海道で行うことになった。
「酷暑の7月に大会を行うのはNBCの都合であって、アスリートのことは考えていない」
どうしても7月にやりたいなら、季節が逆になる南半球でやればアスリートにとっては楽だ。
「しかし今まで南半球で開催されたのはオーストラリアで2回、プラジルで1回の計3回のみ。アフリカではオリンピックは開催されていない」
ウガンダやケニアでは年間通して30度を超えることがなく快適なのに。アフリカでやらないのは、IOCが金目当てだから。
「ロシア(2014年のソチ)や中国(2008年と2022年の北京)のような独裁国家にも五輪をさせる。プーチンは五輪を利用した。ドーピングでメダルを取り、国民の支持率を高めてウクライナを侵略した。バッハ会長からオリンピック功労賞を受けた習近平国家主席は香港やウイグルを弾圧している」
ベルリン五輪がナチスのプロバガンダに利用された失敗から学んでない。
「近代五輪はヨーロッバの白人貴族たちが始めた9世紀から変わっていない」
でも、ずいぶんお金に卑しい貴族さんたちだね。

コメント:その後高橋が逮捕され、電通にも捜査の手が及んでいることはご承知の通り。でもあの巨大企業は、それくらいでは破綻しないだろう。政官財のバックアップがあるからだ。今は関係者で落とし所をさぐっている段階ではないのか。そして延命し、性懲りもなくまた政官財とグルになって悪事を繰り返すものと予想される。
菅の弔辞を取り上げ、電通の名前を出しただけで、テレ朝の玉川記者が番組から外された。でも今また復帰の兆候が見えている。玉川は坂本龍一も買っていた。彼の復帰だけが一本の光明だろう。
ところで、五輪汚職の解明については、政治の関与、特に森と小池の喚問がないのは解せない。検察にその気があるのかどうかさえ分からない。統一教会と政治家の関係の追及を見ていても、検察は政治家の追及に本気度は感じられない。五輪汚職の追求だけで、権力者のトライアングルの仕組みがそう簡単に変わるとは思えないが、まずはこの国の構造を理解するところから始めて貰って、いつかは若い力が、この国の構造を変える力になってくれればと、切に願うしかない。

同じ本からもう一つ、
「クォモNY州知事がセクハラで辞任。じゃあトランプは?」21年9月3日
(前略)
なぜトランプは非難されないのか。
連邦最高裁判事プレット・カヴァノーは、トランプによって指名された際、大学時代に彼にレイプされそうになったという女性が名乗り出たが、上院議会を多数支配する共和党はほぼ全員一致でカヴァノーを承認した。
そしてトランプは、少なくとも18人の 女性から公に告発されている。ハグやキスどころか、服の中に手を突っ込まれて股間や乳房に触れられたり、何人かのミス・アメリカ大会出場者は、控室で着替え中に入ってきた大会オーナー(当時)のトランプに裸を見られている。
E・ジーン・キャロルさんはデバートの更衣室でトランプにレイプされ、証拠として彼の体液がついた服を持って、裁判を待っている。
しかし共和党からはトランプを批判する声は聞かれない。支持者に議会を襲撃させても、共和党議員たちはトランプを弾劾しようとしない。票を失いたくないからだ。
民主党はマイノリティやリベラルなど正義や平等を求める人々を支持基盤にしているので、クォモを擁護したら票を失う。ところが共和党は違う。その支持基盤は、人工中絶禁止を求めるキリスト教福音派、 銃規制を恐れる銃所有者、移民排斥を求める保守的白人、減税を求める富裕層、規制緩和を求める大企業など、それぞれ違う理由で共和党を支持している。
求めるものさえ満たしてくれれば、レイブしようと気にしない。
署名偽造で逮捕者が出た県知事リコールを主導し、金メダルに噛み付いた名古屋市長が再選され続ける理由はよくわかりません。
コメント:トランプの起訴を見て、町山はなんと言うのか。

この勢いで、ついでにもう一つ。前書きの一部です。
(前略)2022年6月のエコノミストよる世論調査では、共和党支持者の75%、全体では4割が選挙に不正があったと信じている。トランプの主張以外にまったく何の証拠もないにもかかわらず。(中落)
アメリカは常哉が通じないカルト国家になりつつある。いや、もうなってしまった。
今年6月、アメリカの最高裁が、「人工妊娠中絶は女性の権利として憲法に守られる」という1973 年の最高裁判決を覆した。これで中絶の是非が各州に委ねられたので、テキサスなど南部や中西部の州で中絶が禁止になった。たとえそれがレイプによる妊娠でもだ。厳格なカトリック国家で長らく中絶を禁止してきたアイルランドですら、中絶の権利を認めたのに、これは世界の時代の動きに完全に逆行している。
 最高裁は判事9人の多数決で判決を出すが、今回、中絶の権利は憲法で守られないとした判事は6人。最年長のクラレンス・トーマス判事は「次は同性婚、避妊、同性愛の権利を標的にする」と宜言した。
 この6人の判事を任命したのは共和党の大統領(うち3人はトランプの任命)。そして6人ともカトリックである。これは実に奇妙だ。というのも、カトリックはアメリカの全人口の22%しかいないからだ。しかも、そのうち中絶は女性の権利ではないと考える伝統派は2割。つまり全人口のわずか4%しかいないカトリック伝統派が最高裁判事の約7割を占めるという異常事態になっている。
(以下略)
コメント:町山はこの前書きで、トランプがカルトの教組になったと指摘している。そのトランプのせいで、国内の分断が進み、亀裂が大きくなって、やがて内戦(第二南北戦争)に発展しないとは誰が言えるだろう。そうなれば、間違いなくトランプは史上最低・最悪の元大統領になる。米国が、尊敬される国に戻れるかどうかは、トランプの裁判が公正に行われるかどうかに掛かっている。でも上述のように最高裁まで行けば無罪になるのは決まっている。米国の司法制度をトランプが捻じ曲げてしまっているからだ。ということは、米国が政治の正気を取り戻すには、米国民が大統領選挙でトランプ(金髪の悪魔、というより野獣)を支持しないことしか方法はないのである。




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