「オンライン・オピニオン」
「戦前3文書」
「自治会が曲がり角」
「金融不安、見えぬ処方箋」
「ミサイル誤報」
「憲法9条は死んだ」
「過ち振り返らない米」
「放送への干渉、ガーシーと法相の正体」
「拝啓岸田首相閣下」
「社説も冒険の時」
2311.戦前3文書 4/9
今回の前書きは、朝日新聞の加藤陽子(歴史学者)のインタビューです。
戦前3文書から考える。
軍拡招く国防方針、米ロを仮想敵国に、身の丈超えた目標。
安全保障政策の大転換をうたい、防衛力の大幅増強を目指す岸田政権。その方針は今回改定された安保3文書に明記された。国民的議論がない中での大転換、大丈夫なのか。「戦前の3文害に立ち戻って考えてみては」と提案している歴史学者がいる。東京大学教授の加藤陽子さんだ。もうーつの3文書から何が見えるのだろう。
―政府は防衛政策の基本方針を示す安保3文書を改定しました。国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3点で、昨年12月に閣議決定しました。
「3文書を読むと、5年間の防衛費を今の1.5倍以上にあたる 40兆円超にまで増額すると書かれていますね。めまぐるしい政策転換です。しかもこの文書は、国会ではないどこかで議論され、国会ではない場で決定されました」
「このような文書が天から降ってきて歩き出す。それはそもそも異様なこと、おかしいことなのだと認識する必要があります。方針が決められたあとに予算の議論をさせられている現実には何か逆転があると思うべきなのです」
―1.5倍以上も変化の幅があると、これまでの議論との連続性が見えにくくなります。
「急に突きつけられたのは防衛費の問題だけではありません。安保3文書は中国を名指しして『これまでにない最大の戦略的な挑戦』と書くなど、敵を特定しようとする性格が濃厚です。中国の軍拡への不安が高まっているのは事実だとしても、現状は中国が日本を主たる敵だと言っている状況ではなく、不自然な記述です。ほかにも北朝鮮の『脅威』を強調した り、ロシアを『安全保障上の強い懸念』と書いていたりするなど、事実上複数の国を仮想敵国とみなす文書になっています」
―戦前の3文書について考えてみよう、と提案していますね。 どんな文書を指すのですか。
「日露戦争のすぐあと、明治期の907年に日本は『帝国国防方針』を作成しています。『用兵綱領』『所要兵力』と合わせた3 文書からなり、仮想敵国や必要な兵力を決めていました。時代に応じて改定されながら、第2次世界大戦に至るまでの日本の国防政策を方向づけています」
―なぜ今、昔の3文書を振り返ろうとするのですか。
「不意打ちのように突きつけられた現在の3文書を、これまでの歴史の流れの中に位置づける手がかりがほしいからです」
(中略)
「世界晟大級の陸軍国家・ロシ アと世界最大級の海軍国家・米国。その両方と同時に競う方針なのですから『必要な軍備』には終わりがありません。身の丈を超えた軍事力を持とうとする国防方針だったのです…」
(中略)
―安保3文書の方針は、具体的な安全保障環境に基づいて積み上げられたものに見えますか。
「見えません。どれだけの防衛費がなぜ必要なのかを検討する前に、北大西洋条約機構(NATO)諸国並みの国内総生産比2%に防衛費を増額するとの方針がまずあったからです」
「米国や窓の国々に向けてアピールするための文書なのだからこれでいい、という考え方だったのかもしれません。ただ、防衛力を大幅拡充するという方針が中国に対する威嚇や脅しとして機能することには注意するべきです」
(中略)
―軍備拡大に抗しようとした動きはあったのでしょうか。
「ありました。1907年に国防方針が制定されたとき、首相だった西園寺公望は天皇にこう奉答しています。複数の列強国に対して軍備で優越することは望みがたく、我が国の財政はそれを許せる状況にはありません、と」
「国防方針は事実上、政府や議会には知らせずに軍が作成したものであり、西園寺は首相でしたが 3文書のうち所要兵力しか閲覧を許されませんでした。しかし彼はその後、情報が自らに開示されていない現実を逆手に取り、自分は文書全てを認めたわけではないと主張するための足場にしました」
―民主的な仕組みは軍拡の抑制に力を発揮したのですか。
「議会や政党が軍拡に反対した歴史は軍要です。実際、二大政党 が交代で内閣を組織した『憲政の常道』の時代には、国防方針に掲げられた軍拡目標の達成は実親にくい状態になっていました…」
(中略)
―日本は戦後、民主的な国家として再スタートしました。安保 3文密のありようは民主的な社会 にふさわしいものでしょうか。
「いえ。安保3文書を読んでいて不安を感じるのは、誰がどう作成したのかが分からないところです…」
「日本政府は、米国政府と 裏側で何をどうすり合わせているのかを国民の前に明らかにしていません。先月の国会でも、具体的な説明をしない姿勢に終姶しました。軍事機密の部分はあるにしても、国民の税金を使うことの費用対効果がどうなっているのかを説明する方法はあるはずです」
―米国と中国の対立が深まり、台湾有事に備えるべきだという声が日本でも上がっています。
「米国と中国は、自国の領土内で戦争をしようとは思っていません。両国が衝突したら、火の海になるのは日本列島でしょう」
「戦争を違法化した不戦条約をはじめ、戦前期に達成されようとしていた国際秩序を、武力で踏みにじってしまった国が日本でした。その過ちを反省したことで戦後、日本は世界へ再参入する切符をもらったのです。急迫不正の侵害や存立が脅かされる事態が起きない限り武力行使をしない国として日本は歩んできました。そんな国家が、対立する中国と米国の間 に3千キロの長さにわたって位置していることは、両国の平和にとっても大きな意味があるはずです」
(聞き手 編集委員 塩倉裕)
コメント:加藤教授は、学術会議の推薦を、官邸が拒絶した一人である。かつてないほど重大な政治的決定が、しかも秘密裏に行われたというのに、国民はもとり、メディアも、野党でさえも、見て見ぬ振り。この世相は戦前のそれに酷似している。上記のインタビューは、ほぼ一面を使って掲載されており、朝日新聞としてはこれだけが、岸田の暴走に対して、出来るせめてもの抵抗だったのかもしれない。著名人で、現在が戦前と同じだと言ったのはわずかにタモリのみ。言論人では田原がそれを追認しただけである。かくして日本は戦争、しかも外国同士の戦争に自ら飛び込んでゆくのか。まさか自分が生きているうちに、日本が戦場になるとは思ってもみなかった。
2312.自治会が曲がり角 4/10
今回の前書きは朝日新聞(4.9)朝刊一面、二面の特集記事です。
「自治会活動曲がり角」から
自治会(町内会)の活動が岐路に立たされている。加入率が下がり、役員のなり手がいなくて解散や合併を選択するところも。地域コミュニティーを、誰がどう支えていけばいいのか。
「今はなんとか持っているが、10年もしたら自治会は消滅しますよ。限界です」。都営辰巳団地に住む高橋晶さん(69)はこう語る。
役員の多くは70-80代。役員になりたくないと退会する人もいて、なり手がおらず、同じ人が続けるしかない。住民の高齢化や都が進める建て替えなどで、会員は減った。
コロナ化で盆踊り大会といったイベントが減り、脱会する人が増えたという。若い世代も住んではいるが、自治会活動への関心は薄い。会員が清掃しているゴミ収集場に、非会員の住民もゴミを捨てるため、不公平感もある。
悩みの一つが、交通安全運動や民生委員の推薦など、区からの依頼の多さだ。
総務省の18年の調査によると、自治会は多くが任意の団体で、全国に約30万ある。加入率は、10年度の78%から20年度は71.2%に減った。地縁団体の数が一番大きく減ったのは調布市。22年までの6年で41減った。市によると、解散の主な理由として「高齢化による後継者不足」「会員数が少なく、意味がない」などがあがった。(以下略)
コメント:全2パージに渡る特集なので、とても全部はご紹介できませんが、自分の20年近い自治会との関りから言っても、問題は共通です。しかも、イベントや娯楽ならともかく、体操やスポーツは一人ではできないし、まして防災、福祉となると、連携がマストです。費用の問題ではなく、身近な人と人とのつながりだけが、人命を救う事が出来るからです。これは持論ですが、自治会は持ち周りの強制方式では長続きしません。ボランティアと、自動(但し辞退あり)の組み合わせしかなく、当地でもその方式を取り入れています。
・町内会、やめたくなる本音。
https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20230404-OYT8T50056/?utm_source=yomiuri&utm_medium=yol&utm_campaign=yoltop_otekomachi
2313.金融不安、見えぬ処方箋 4/12
今回の前書きは、朝日新聞(4.12)オピニオン&フォーラム、多事争論です。
「欧州初の金融不安、見えぬ処方箋、明日は我が身」原真人から
背筋が凍り付いた取材経験が一度ある。1997年11月26日、戦後の日本経済が最も崩壊の淵に近づいた日のことだった。
東京・八重洲の安田信託銀行本店1階、 入り口ドアを開けると青ざめた行員の肩越しに客がごった返しているロビーが見えた。取り付けと気づき、血の気が引いた。
その月、三洋証券から始まった金融破綻ドミノは北海道拓殖銀行、山一証券と続いた。「大手20行はつぶさない」という三塚博蔵相の公約はあっさり破られた。その後、仙合市の地銀が破綻すると、いよいよ不安になった全国の預金者が銀行に詰めかけた。最もひ どかったのが、私が取り付けを目撃した安田信託だ。1千人超が殺到した店もあった。
いま世界で金融不安がじわり広がる。先月、米国でシリコンバレー銀行など中堅2 行が突然破綻。当局はすぐ預金の全額保護を打ち出して収拾を図った。欧州では金融大手クレディ・スイス・グループが危機に陥り、スイス当局の仲介で金融大手のUB Sに救済合併されることになった。
信用不安は広がりだすと止められなくなる。両国ともすんでのところで抑え込んだように見えるが、乗り切れたのだろうか。
「まだ予断を許しません。米当局が破綻銀行の預金を法定額でカットせず、全額保護をすぐに決めたのは異例。米もスイスも平時のやり方でなく、かなり急いで処理した。相当な危機感があるのでしょう」
辻廣雅文・帝京大教授はそう見る。
―平時のやり方でなかったとは?
「クレディ・スイスは救済されたと言われるが法人格は消滅し、経営陣は辞めることになる。事実上の破綻処理です。株式を守ったのは合併を円滑に進めるため」
日本では98年、長期信用銀行2行が経営破綻した。政府は信用収縮を止めるため、
一時国有化に踏み切る。
「スイス当局は公的管理の手続きをすっ飛ばしたが、実態は日本の一時国有化と同じです。政府保証も付けて、株主の贄否も問わずに、かなり乱暴に引受先まで決めてしまった。ボヤのうちに火を消したいと考えたのでしょう」と辻廣氏は言う。
世界金融危機を起こしたリーマン・ショックは米国にとって痛恨事だった。先進各国の監査当局は同じ失敗を繰り返すまいと研究を重ねた。おそらく日本の金融危機もリーマンの失敗も、ときに反面教師として念入りに分析されてきたのだろう。ただ、今回の事態を巡っては「過去」から簡単に答えが見いだせない問題も浮かび上がる。
一つは信用不安の波及スピードがかつてと比べ、ケタ外れに速くなったことだ。
97年の日本の取り付け騒ぎでは、私たちマスコミはすぐに事態を詳しく報道しなかった。取り付けをあおってしまうことを恐れたからだ。だがSNSがこれだけ普及した現代では、いくら報道機関が自粛しても情報の拡散は止められない。
もう一つは今回の事態の大本の原因が、世界金融危機やコロナ危機を止めるために始めた巨額のバラマキ策だったことだ。
過剰な財政出動、行きすぎた超金融緩和がやがてインフレをもたらし、それを抑えるために当局が金融引き締めを急いだら、今度は銀行経営が揺さぶられた。劇薬の適切な処方箋はいまだに見つかっていない。
終わりの見えないゼロ金利、財政と債務の急膨張が日常風景となってしまっている日本にとってこれは対岸の火事どころの話ではない。明日は我が身と知るべきである。
コメント:我々の僅かな預金が、安倍と黒田の狂気(と無能)のせいで、無価値(インフレにより)になる。この経済的な災害は、安倍の支持者であろうとなかろうと、全員に降りかかる。国民に悪夢の瞬間が訪れようと手ぐすね引いて待ち構えているのだ。
・総人口12年連続で減少。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA078LC0X00C23A4000000/
コメント:増やせばいいというものではない。戦時中の産めよ増やせよの掛け声が思い出される。兵士を増やしたいのだろうが、国民は子どもを作るための機械ではない。発想を逆転して、総数に見合った経済に見直すべきなのだ。物質的に豊かであるかどうかより、国民全体が幸福かどうかを考えよ。最近の事故や犯罪を見る度に、幸せな国民の姿というのはこういうものなのかと落胆する。国の主体はあくまで(自由意思を持った)国民であり、経済ではない。経済は国民の幸福に奉仕する存在でなければならない。そのためには、政府はすべからく自然体で臨むべし。無理をすればろくなことにはならない。膨張した防衛予算や、行き過ぎた金融緩和のように。
・露、電子召集令状を合法化。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6459909
コメント:日本にはマイナンバーカードがあるから、アブナイ。今日も薬局で、マイナンカードでの支払いを、丁寧にお断りした。政治のあるべき姿は、政府が国民に紐をつけるのではなく、国民が政府(議員と役人)に紐をつけるべき。
・大阪のカジノIR,政府が認定。
https://www.asahi.com/articles/ASR4D42YSR4DULFA00H.html?iref=comtop_Politics_03
コメント:ふざけるなと言いたい。あれだけ府民が反対しているのに。お祭りは万博自体だけで十分だろう。ミャクミャクだって十分気持ち悪いのに。政府は国営賭博だけで飽き足らず、私営賭博も推進したいようだ。でもそれで誰がハッピーになるというのか。それとも一家心中する人達を横目に、あぶく銭を浪費する者たちか。
2314.ミサイル誤報 4/14
4/13の午前8時頃からNHKが、北朝鮮のミサイルが北海道周辺に落下する恐れがあるとして、延々とJアラート(総務省)を流し始めました。結局、8時19分になって、北海道周辺への落下の可能性はないと訂正されました。災害や攻撃に関しては、例えオオカミ少年になっても、早く通報した方が良いという鉄則は理解しているが、Jアラートのミスはこれで2回目です。しかもこの誤報で、仮に日米の軍事力が反撃(敵基地攻撃)でも引き起こしたらたまったものではありません。岸田も松野も間違った対応ではないと、言い張っていますが、誤報は決してあってはならないことなのです。政府に反省がないことが最大の恐怖です。更に日本中を巻き込む大騒ぎをNHKが引き起こしたことも気になります。勘繰ればそこには政府の意図があるのではないか。日本には危険が差し迫っていると言いたいのではないか。それが防衛費を増やす口実になるからです。NHKは絶対に政府の宣伝機関に堕してはいけないのです。そのために国民が直接費用を負担しているのです。またこういう時には、総務省の得体のしれないシステムではなく、より精度の高い、衛星による日本周辺をピンポイントで監視するシステムが必要だと痛感しました。
・北ミサイル。ネットで情報錯そう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/558ad9a194ac237daaee563132a3384d628b3718
関連記事:北ミサイル新型の可能性。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230413/k10014037071000.html
関連記事:EEZ外に。
https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/030/039000c
コメント:政府は北海道民を怯えさせるのはいい加減に止めにせよ。混乱の弊害が大きい。仮に東京に向かってミサイルが飛行しているという情報があれば、私はやれるものならやってみろと毒づいて、いつもの生活を続けるだけだ。そして仮に(万に一つだが)被害が出れば、米国や自衛隊は頼らない。張り子のトラなど何の足しにもならないからだ。有志を募って、又は傭兵で、少人数の隠密潜入部隊を構成し、ドローンを持ち込んで、トップの暗殺を狙うのが効率的だろう。暗殺部隊の脱出には自衛隊の手(潜水艦)も必要になるだろう。市民の敵は市民の手で…。但し以上はあくまで架空の話である。
・Jアラ−トの訂正に萩生田が苦言。
https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/010/095000c
・Jアラートとエムネットの仕組み。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6460053
・同志国って何だ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/243755
コメント:最近の岸田は危なっかしくて見ていられない。広島出身の非戦主義者かと思えば、そうではないようだ。タカ派ぶりはどうしたことか。安倍の亡霊にとりつかれでもしたのだろうか。
2315.憲法9条は死んだ 4/15
今回の前書きはノーカットで長いけれど、とても重要なテーマなので、最後までお付き合いください。
朝日新聞 4/14 オピニオン&フォーラム 憲法9条は死んだ
「他国へ攻撃力持ち、専守防衛は不変。政府見解の詭弁」
元内閣法制局長官 阪田雅裕のインタビューから
昨年12月、岸田文雄内閣は安全保障の革本方針「国家安全保障戦略」を改定した。日本が弾道ミサイルなどで攻撃を受けたとき、相手国のミサイル基地を攻撃できる能力を自衛隊が保有することを決めた。国是である専守防衛から逸脱する改定は、法治国家に何をもたらすのか。元内閣法制局長官の阪田雅裕さんに聞いた。
―昨年暮れ、岸田文雄内閣が国家安全保障戦略を改定した後、「憲法9条は死んだ」と話されています。どういうことですか。
「9条には第2項で定めた『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』としてきたことに圧倒的な意味がありました。自衛隊があっても軍隊ではないというための柱が二つあります。まず、海外で武力行使をしない。つまり集団的自衛権を行使して米軍と一緒に戦うようなことはできないとしてきました。しかし、安倍晋三内閣 が推し進めた安保法制で、この柱が一つ失われました」
「すなわち『我が国と密接な関 係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある』という『存立危機事態』に際しては、集団的自衛権を行使して良いと決めたのです。その結果、武力行使をする場所についても、わが国の周辺の公海、公空までという、地理的な制約が消え去ってしまいました」
―集団的自衛権を行使する場合、海外での武力行使も可能となったと。
「その通りです。すでに瀕死といっていい9条でしたが、かろうじて『専守防衛』というもう一つの柱は生き残っていました。しかし国家安全保障戦略改定により、わが国が弾道ミサイルなどによって攻撃された場合、ミサイル基地など相手国への攻撃を行う能力を自衛隊に持たせることが決まりました。敵基地攻撃能力とよばれ、政府が反撃能力とよぶものです」
「政府は依然として『専守防衛』の防衛戦略は不変であると唱えていますが、これは詭弁だと言わざるを博ません。なぜなら『専守防衛の神髄は自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領土、領海、領空を直接攻撃できる能力を持たない、すなわち役割と機能を『盾』に徹するという一点においてです。自衛隊の武力行使は敵国の軍隊をわが方の領域外に追い払うのに必要な範囲内にとどまって 外国の領域を攻撃することはしない、だから他国に脅威を与えることもない、というのがこれまでの『専守防衛』だったはずです」
―政府は今後、敵国を狙える米国の巡航ミサイル・トマホークなどを保有すると言っています。
「平生から攻撃的兵器を持つことが憲法の趣旨に反するのは、自衛隊が9条2項で保持を禁じた『戦力』そのものになってしまうからです。日米安保条約の下で強力な米軍部隊が駐留し続け、相当の攻撃力を持ち続ける中で、自衛隊にもこうした攻撃力を持たせることは、9条を死に追いやる行為以外の何ものでもありません。日本は自衛に徹する平和国家から、 強力な戦力を有する普通の国になったといえます」
―国民の多くは、日本が依然として平和国家と考えています。
「諸外国の受け止めは違うと思います。現に日本が攻撃的兵器を保有しだしたということは、いっていることとやっていることが違うと考えるでしょう。である以上、国民も覚悟を持って事態を受け止めなければ、いざ有事となって、聞いていない、では済みません。覚悟は政治にも迫られます。 平和主義が時代にそぐわず、戦力たらざる自術隊では国を守れないと考えるなら、正直にその実態を国民に訴え、憲法も実態を反映したものにしていくべきです」
―9条を改正するということ でしょうか。
「大切なのは法治主義の国であることを守っていくことです。憲法の拡大解釈ではなく、問題があるなら適宜、逐次改正して対応すべきです。方法はいくつかあるでしょう。まず、安保法制以前の姿に戻すという道。それが米国との関係など様々な理由で難しいなら、現在の条文はそのままとし、存立危機事態と反撃能力について、きっちりと何がどこまでできるのかを国民に説明して、それを書き加えるべきです。いってみれば限界を示す。政権が変われば、またぞろ解釈を変えて際限なき集団的自衛権、際限なき反撃能力になりかねません」
―改正しても、再び拡大解釈が横行する余地はありませんか。
「改正を発議する際、しっかりと内容や自的を国民に説明することが不可欠です。あいまいさを残してはいけない。いったん、きちんとした手続き、合意を経て、改正が行われれば、何年かたって、 状況の変化や問題が起きた時も、条文の改正という『王道』によることへのハードルは低くなるでしょう」
―安倍元首相の回顧録が出版され、「槍が降ろうが、国が侵略されて1万人が亡くなろうが、私たちは関係ありません、という机上の理論」「阪田雅裕元法制局長官は、集団的自衛権の行使を容認するならば憲法を改正すべきだ、 と言っていましたが、憲法改正の方がはるかにハードルは高い」などと阪田さんや「法の番人」と呼ばれてきた内閣法制局にいた人たちを批判していました。
「わが国が攻撃されたとき、自衛隊が応戦するのは当然です。槍が降ってきた時に、これを防いで国民を守るためにミサイル防衛システムやイージス艦を備えた自衛隊が存在するのです。安保法制の問題は、わが国が攻撃を受けていない、侵略されてはいないのに進んで戦争に参加することです。憲法改正のハードルが高いのはどの国も同じです。国民に必要性を説明し説得するのは政治家として当然の責務と思います。それをせずに、統治権者の意思で国のカタチを変えてしまうようでは、法治国家とよべず、北朝鮮のような独裁国家と同じになってしまいます」
―解釈変更でその都度、制度を動かしてきたことには、従来の内閣法制局にも重い賣任があると思います。
「安保法制前の武力行使の三要件、つまり自衛隊は@外国からの武力攻撃が発生しない限り武力を行使せず、かつ、その場合であってもA他に手段のないときに限ってB必要最小限度の行使にとどめるといった枠の中でギリギリやってきたつもりです。そうした柱を守りながら国際社会の要請が高まる中で内閣に対してもろもろの知恵を出してきましたが、どれもこの大枠をはみ出さない仕組みでした。法制局は内閣の一部局ですから、何もできませんといって済ますことは無理です。それが今日にいたったということかもしれませんが、そうであっても、存立危機事態や反撃能力の保有と従来の知恵とではあまりに差があります」
―9条は平和国家の「北極星」だから、なくせば秩序が壊れる、という意見もあります。
「それは非常にエゴイスティッ クな平和主義でしょう。本来、9 条は国際社会の中で輝くものであるべきなのに、現実には国民の精神安定剤のようです。小国から見れば、日本の戦力は強大なものに見えるでしょう。そのギャップを虚心坦懐に考えるべきです」
―従前の9条を残しつつ、存立危機事態などを書き込むというのはわかりにくい意見です。
「憲法の立法者が目指し、私たちが教わってきたあるべき姿と、現状は相当かけ離れてしまいました。平和国家になろうとした意志 誓いを忘れてはなりません。元に戻れないというのでは、いつか来た道になってしまいます。本来そうした努力を政治にしてもらいたいとずっと思っていました。せめて安保法制前に戻すことができないか。対米的には困難でしょう が、そうした旗を掲げて歯を食いしばって取り組むことがあっていいと信じています」
―取材を終えて
かつての内閣法制局長官が「9 条は死んだ」と見る変化があっても、世間の関心は低く、国会でも目立った論戦は展開されない。
それはすでに9条が死文化し、 反撃能力の保有でダメを押されたことを当然視する国民が多いということの証左なのだろうか。
ロシアによるウクライナ侵攻という事態を受けて、国民の平和志向が静かに、そして明らかに転換したということになる。少なくとも隣国にはそう見えるだろう。
しかし、「事態がこうだから、やむを得ない」と変化を安易に許容し、死んだ条文をそのままに放置することは極めて不健全な態度といわざるを得ない。与党政治家が言っていた「ナチスの手法」が横行する時代をこのまま放置すれば、 知らず知らずのうちに日本は日本でなくなっていくに違いない。
敵の国土を攻撃できる9条と は、なんと生まれた姿から離れたグロテスクな存在だろう。たとえ大きなエネルギーや時間を要するのだとしても、9条をこのまま放置すべきではないと私は考える。
(聞き手・駒野剛)
コメント:結論から言うと、9条は死んではいない。なぜならそれは戦後教育を受けた我々の心の奥深くにしみこんでおり、日本人としてのアイデンティティの一部になっているからである。極めて多くの日本人が、平和を愛する日本人であることを誇りに思っているのだ。それをなぜ駒野記者は理解できないのだろう。政治情勢や、過去の経緯など、どうでも良いのである。国民の気持ちになれば、おのずと進むべき方向は見えてくる。
通常なら、こちら(wtw)が紹介したい文献は、スペースの関係もあって、要約か抄訳に留めている。そこには版権に対する配慮もある。しかも今回の記事は、朝日新聞の5段組みの記事の、ほぼ全文である。それでもこの9条の問題に限っては、はしょることはできない。傍観者の第三者的な分析に、悠長に付き合う余裕もない。なぜなら、いまや憲法と国民の関係が、かつてないほど、風化し、劣化し、形骸化しており、その結果、国民は半ば諦めと無力感に囚われているからだ。それは憲法そのもの、とりわけ最重要な平和憲法の精神が、最大の危機に瀕している事を意味しているからである。
アジアの国なのに、ウクライナ侵攻問題に過度に肩入れをし、外国で起きたことは我が国にも起きると危機感をあおり、法外な防衛費の増額を行い、政府の御用部門と化した憲法審査会で、おためごかしの議論をする。
これでは9条が危ないと思うな、と言う方が無理なのである。
事実上空文化した9条の条文を、血の通った、現実的で、実行可能な条文として生き返らせることもまた、至難の技だということは分かる。専守防衛、即ち自国への攻撃への防御や対処なら、今の憲法で何の問題もない。問題があるという自民党の方に問題がある。問題は自民党が、敵基地攻撃で、攻撃を受けるまでは反撃はしないという、最も大事な原則を平然と破ってしまったことに起因している。インタビューにもあるように、安倍の拡大解釈による閣議決定が、9条を殺してしまったのである。好むと好まざるとに関わらず、中身のなくなった9条が、現在の憲法そのものの姿なのである。野党を束ねた大反対の声が日本中にこだましていてもおかしくないのに、そうはなっていない。ゆ党の維新、国民民主をはじめ、筆頭野党の立憲でさえ、9条の問題についての反応は鈍い。
政党も政治家も信用できないとなれば、残された方法はただ一つ。ベ兵連やシールズのような、(今度は)9条を守る会を、全国規模で拡大し、ゼネスト迄持ってゆけるような、日本を縦断する市民運動を展開することである。現在のネットでの情報拡散や炎上は、ネット社会の在るべき姿とはほど遠いものである。ましてガーシーやへずまりゅうやヒロユキは、目立つことが目的で、ユニークで過激な物言いから、ファンがいるのかもしれないが、決してそれらは国民の多数の意見とイコールではない。しかも、彼らの意見(暴論)が唯一無二の見解でもない。
もの言わぬ国民(しかもその多くが平和憲法を信奉している)の多くは、ユーチューバーとは異なる価値観を持っている。ユ−チューバーのように奇をてらう(フォロワー数を増やす)だけでは、目の前の問題を解決することも不可能だ。現象面だけを取り上げ、思い付きの分析や批判で済む問題ではないからだ。とことん深い洞察と、強い覚悟が必要な問題なのである。だからこそ、ネットであれ、印刷物であれ、自らの意見を述べようとする者は、最低限の教養と、分別と、マナーと、人間性が要求される。政治的理念もなく、自分の言葉への責任感さえないようでは、最初からネット・コメンテーターとしては失格なのである。
物珍しさや、その場の勢いに押されて、扇動或いは洗脳され、自分も騒ぎに加わる。ナチスの暴挙を例に引くまでもなく、そうした無批判で衝動的な大衆の行動が、どんな結果を生むかを、是非ともこの機会に世界史の本でもひも解いて、今一度確認していただければと思う。
トランプが大統領になれたのも、米国の衆愚のなせる業なのである。
即ち、論者でも、コメンテーターでも、専門家でもいいが、いわゆる有識者の資質と価値観を見抜く力を、我々大衆が身に着けることが、自分と国を守る、最良、しかも最短の方法なのである。一言で言えば人見る目である。そういう目で見れば、原発の再稼働どころか、新設迄言及し、自衛隊の新兵器開発を後押しし、コロナ対策の総括はせず、統一教会の解散を認めず、暴言の高市もお構いなしの岸田が、国の代表として相応しいかどうかも判断できるだろう。
・大阪IR計画。日本人の懐狙いなら共食いに過ぎない。
https://www.asahi.com/articles/ASR4F66W0R4FULFA019.html?iref=comtop_ThemeRightS_02
・小西発言。維新に言われてなんで謝罪しなけりゃいかんのか。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230412-OYT1T50313/
コメント:その通りです。維新が狙っているのは自民と維新が国内政治を分け合って支配する保守・保守体制です。そのためには立憲が邪魔なのです。
・13日の発射。固体燃料型ICBM。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230414/k10014038611000.html
・ガーシー容疑者を国際手配。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230414-OYT1T50160/
コメント:こんな小物相手にムキになるのもいかがなものか。
2316.過ち振り返らない米 4/16
今回の前書きは朝日新聞4/15から
多事争論 アメリカ総局長 望月洋嗣
イラク戦争20年「過ち」振り返らない米への不安、の抄訳
20年前の春、米国のブッシュ政権袖は、イラクのサダム・フセイン政権(当時)が大量破壊兵器の開発を進めているという誤った分析を根処に、同国への大規模軍事侵攻に踏み切った。戦闘やフセイン政権の崩壊と治安の悪化、長びく混乱によって、同国で失われた命は数十万と推計される。
節目にあたる今年、ワシントンで当時を振り返る人はほとんどいない。米軍が4千人超の死者、3万人超の負侮者を出し、数百兆円を費やした壮大な「失敗」は、まるでなかったかのようだ。
混乱のイラクを逃れ、米国に移住した人々はいま、どう思っているだろうか。
約10年前に移住したジュマナ・アルバヤ ティさん(39)は、フセイン政櫂の政府機関で父が慟<裕福な家庭に育ち、米軍侵攻時は女子大学生だった。だが、翌年に父親は銃で暗殺され、悲嘆した母親もあとを追うように死亡。父に代わって一家を支えた兄 も誘拐された末に心臓発作で他界した。
独裁的と言われたフセイン政櫂支配から「解放」されたはずのイラクは、宗派対立による武力闘争やテロで混乱と荒廃の一途をたどった。アルバヤティさんは復興を願って祖国で結婚し、観光概興を担う政府機関で慟いていたが、過激派「イスラム国」の台頭で治安は再び悪化。「子どもを安心して育てられない」と考え、悩んだ末に渡米を決めた。
「フセインをヒトラーのような独裁者だという人もいるけれど、完全な為政者などいるのでしょうか」。米国から見れば「フセイン体制側」にいた父親は、子ども思いのやさしい人だった。なぜ死なねばならなかったのか、との思いは消えない。
リトル・バグダッドでは、離民や移民の 姦団体で働くイラク人のアフラ・アブド ルカデルさんと姉のナジャさんは、イラク侵攻のニュースをサンディエゴ郊外の自宅のテレビで見た。「最初はイラクが解放されると思って、うれしかった。でも、すぐにおかしいと気づいた」。フセイン政権崩壊後の新政府は統治能力に乏しく、現地からは混乱ばかりが伝わってきた。
ナジャさんは2006年、祖国の治安回復復興に一役買おうと、米政府の通訳と してバグダッドに赴任した。だが、イラクを深く理解し、何をすべきかを考える米政府職員は少なく「赴任日からカレンダーを見て離任の日を数えている人ばかりだった」と振り返る。「理屈はいつも後知恵で解決策は電子レンジでチンするような即席。うまくいくはずがありません」
話を聞いた翌週、バイデン米大統領はサンディエゴの基地で英豪の首脳とともに豪州の原子力潜水艦保有計画を発表した。狙いはインド太平洋地域で台頭する中国に対抗する力を 強めることだ。
いまの米国は中国への対抗心をときにむき出しにし、強硬路線に突き進む。米外交を長年見つめてきた知人は「今のワシントンは中国に過剰に反応していて、ちょっとおかしい」と語るが、そうした声もかき消されがちだ。イラクのときと同様に、相手国への深い理解と長期的な戦略を置き去りにすることはないだろうか。「過ち」を振返らない国に一抹の不安を覚える。
コメント:大量破壊兵器は根拠のない偽情報だったが、フセインにはもう一つクウェート侵攻という罪がある。但し米国の無責任な統治はイラクが初めてではない。カリブ海諸国しかり。アフガンしかり。しかもアフガンはタリバンに奪還されている。ようは、米国という国家は、無条件で信用したり、こちらの都合だけで当てにしてはいけない国だという事である。そもそも平均的な国民のレベルからして、トランプのような屑人間が大統領になる国だという事実からしても、推して知るべしだと思う。
米国の中国との覇権争いに巻き込まれ、日本、韓国、豪州が対中戦に駆り出される。米国は喜んで兵器や武器を供与するだろう。ウクライナのように。その結果、米軍基地に(自衛隊の基地も)ミサイルが雨あられと降ってくる。近隣の民家も無論無傷では済まない。その時点で、日本が事実上の戦場となる。それでも太平洋を挟んで、遠く離れた米国本土は痛くもかゆくもない。
そんな当てにならない国に、べったりと隷従していくことが、本当に日本のためになるのか。思い切り裏切られるまで分からないのだろうか(特に外務、通産官僚)。いまこそ国民全体で、今一度、平和憲法を基盤に、日本のあるべき姿、外交の形を議論することこそ王道ではないのか。もうこの国は今のままでは放置できない。日本を将来の災厄から救い、代理戦争で市民の命を失わせないためには、いますぐ、国民が行動を起こす必要がある。岸田は暴走に暴走を重ねているので、一刻の猶予もない。次の総選挙などを待っていては間に合わなくなるのである
・独が全原発停止。再エネ注力。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6460267
コメント:そもそも東芝の経営がおかしくなったのは、経産省(特に例の今井)に強制的に買収させられたウェスチングハウスが、巨額の赤字を垂れ流したことによる。ところが経産省には全く反省の色がない。どころか、原発の新設まで言い出している。これではお役所、特に高級官僚は、国民のお荷物以外の何者でもない。威張り散らした挙句、政策の責任は取らず、天下りを強要。そんな役人ばかりになったら、日本が滅びることくらい、国交省を含む亡国官僚にも分かる道理だろう。
・東京メトロは国交省天下り役人のたまり場。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d147f271c59e13895e1afa4f24843892538670b
コメント:私ならいくら有給でも、やることがなくて、自分の能力を発揮できなければ、到底その職場にはいたたまれない。
・大阪IR,街の声。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6460215
関連記事:カジノ認定。懸念置き去り許されぬ。朝日社説。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15611500.html?iref=comtop_Opinion_03
コメント:国も大阪府も一番大事なことを忘れている。それは日本が観光立国としてやっていくうえで、これまでの清潔で安全で親しみやすい国というイメージがどれだけ役に立ったか。そこに娯楽施設に賭博場を持ち込めば、日本のイメージがぶちこわしになることに、なぜ気が付かないのか。大阪が日本のシン・シティ(意味が分かるかな)になってどうする。ちなみにシンは新ではない、罪の方だ。手っ取り早く言えば犯罪都市のことだ。私は一度調べたことがあるが、自民党政権も、欲の皮ばかり突っ張らせていないで、少しはラスベガスの歴史でも勉強してみるべきである。
・頭がおかしい長野市社会福祉協議会。厳しい批判も。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6460253
2317.放送への干渉、ガーシーと法相の正体 4/21
今回の前書きは4点あります。関心を持って頂ければ幸いです。いずれも紹介(抄訳)です。
朝日新聞4月19日 多事争論、
「都合よい法解釈、痕跡消える、放送への干渉」田玉恵美から
今月霞が関で気になる人事があった。 総務省の地上放送課長が、1日付で「大臣官房付」になり、16日付で傘下の研究機関へ移った。重要な課長ポストなのに就任から1年未満。何より引っかかるのは、この元課長が高市早苗氏の総務相時代に秘密官を務めていた人物だからだ。
2015年の当時、高市氏は国会答弁で放送法の解釈を不当にねじ曲げた。その答弁が作られる過程を記した行政文害が表に出ると、高市氏はこの文書が「捏造」で、そこに書かれた打ち合わせ自体なかったと主張。当時側近だった元課長らも「絶対にないと言ってくれている」と強調した。
ところが元課長らは、総務省内部の聞き取りには「大臣に対し『絶対にない』という表現をしたかどうかの記憶はない」と答えているそうだ。高市氏との間で板挟みになったさなかでの異動となった。総務省関係者は「いろいろあって、本人も疲れたようだ」と言葉少なに語る。
当の高市氏はどこ吹く風の様子だ。その高市氏による15年の答弁を、 総務省はしれっと撤回したようにみえる。
一つの番組だけで政治的に公平かどうか判断できる場合がある、というのが高市答弁の内容だった。これに対し、先月の国会で総務省幹部は「極端な(番組があった)場合でも、一つの番組ではなく(その局が放送している)番組全体を見て判断する」と述べ、高市答弁をいわば上書きした。
歓迎すべき修正ではある。とはいえ一件落箸とはとても思えない。番組の政治的公平を定めた放送法4条には、政府に都合良く利用される余地が残っているからだ。
たとえば、総務省が04年にテレビ朝日に出した厳重注意の行政指導がある。衆院選の最中に民主党の代表が「ニュースステーション」に出演し、政権を取った場合の閣僚名簿などについて長時間放送した。すると自民党が大きく反発。7カ月後の参院選の直前に、総務省はテレ朝に厳菫注意というおきゅうを据えた。
この行政指尊の理由が怪しい。「放送怯に規定する『政治的公平』との関係において‘適正な編集を図る上で遺漏があった」 という説明で、放送法に逸反したとは言っていないのだ。
法律がこんなにいい加減に使われているようでは、政府が番組に干渉する隙などいくらだってあるだろう。なぜこんな行政指導をすることになったのか。その経過を知りたくて総務省に開示請求すると、関連の記録は古いためすでに廃棄したという。
別の官僚からはこんな話を聞いた。最近上司から「文書は詳しく書きすぎる必要はない」「フォルダーに文書を残すな」と指示を受けたという。放送への干渉は今後ますます秘密裏に、論理も責任の所在もあいまいなまま進むということなのだろうか。
週間朝日4.28、投資の秘密教えます。
証券マン匿名誌上座談会から
…最初から路線変更すれば、マーケットは疑心暗鬼になって混乱する。
そう考えると、本命は6月でしょう。ここで、長期金利を低く抑え込むYCC(長短金利操作)の撤廃、ないし10年債利回りの誘導目標を引き上げるだろうと予想する人が多い。
YCCの撤廃はそんなに早いんですか。
一言で言うとYCCを続ける意味がないんです。黒田前総裁は異次元緩和を導入して、年2兆〜3兆円ベースでマネタリーベース(日銀が供給するお金)を増やすために国債購入枠の拡人などを進め、16年にはさらに日銀当座預金(民間銀行が日銀に預けている預金)にマイナス金利を導人しました。その結果、金利が急激に低下したのに、一向に資金需要は高まらなかった。日銀が掲げる「2%のインフレ目標」は達成できず、ひたすら大量の国債を買い続ける状況か続いた。それで、長期金利を誘導するYCCに移行したわけですが、今度は金利を±0.25%内に維持するために、大量の国債を買わされる羽目になってしまった。結局、債券市場の流動性が急低下して、金融機関の国債取引を通じた収益機会は減り、日銀のバランスシートはいぴつになった。
日米金利差の拡大で急激な円安から悪いインフレが起こり…といいとこなしでした。
(以下略)
サンデー毎日4.30,公共性とは無縁だったガーシーの正体、金の為に国会議員になった男
路上のデモクラシー石戸諭から
…彼がそもそも国会紐貝を目指したのは、本人も公言しているように「カネ」のためだ。
ことの発端は、芸能界とつながりが深かった東谷が高額レートの違法ギャンプルで作った借金にある。勝てば数千万巣位のカネが手に入り、負ければ一気に失う。手持ちの現金がなければ、 カネを借りてでも埋め合わなければいけないー。
そう考えた彼が資金源とし たのは、アテンダー業で知り合った芸能人からの借金と詐歎行為だった。そのーつが韓流アイドルグループ「BTS」の名前を使ったものだ。東谷が経営するアパレル会社がグッズを手がけることになり 彼に航空機代とホテル代などを支払えば会わせることができる、というのが騙し文句だった。華麗な芸能界の人脈をちらつかせる東谷を信じ込んだBTSファンは、言われた通りの金額を振り込んでしまう。ところが、出国予定日直前になり突如、旅行は中止になったと連絡が入り、返金をにおわせながら徐々に連絡は途絶えていく。いくつかの事実で人を信頼させ、肝心の部分は虚構だらけだった。
こうして借金を膨らませた彼は、いよいよ追い詰められ知人を頼ってドパイヘと向かう。彼の詐欺行為も広まっていくなか、関係を断ち切った芸能人も多かった。借金返済のために、東谷が手を染めたのが芸能人の暴露動画と選挙である。ユーチュープの収益化、旧 NHK党からは政党交付金を原資とする当選報酬 3億円を得るというシナリオは実現した。
一連の行為には芸能人への私怨、ギャンプルで作った借金を返済するための私益は確かに存在している。だが、それ以上のもの、すなわち公共的の担い手にはなり得ない。ポピュリストは少なくとも、人々の意思を代弁しようとする。人々、あるいはもっと狭い範囲かもしれないが支持者が思っていることを掬い取ろうと試みる。(中略)
彼らが社会を変えることもなければ、政治家としての活動が持続する可能性も薄い。東谷を一時的に政治家にすることはできたが、政治家としての結果を残せなかったという前例もまた残っているのだ。
「政治家の暴露ネタは持っているが出していない。どうせ既得権益に潰されるから」というのが東谷や旧N 党の言い分だったが、期待されたような政治家への暴露はほとんどと言っていいほどなかった。
それも当然の帰結である。 30年近く、関係を構築してきた芸能界の暴露ならぱいざしらず、いきなり飛び込んだ政治の世界でそう簡単に確度の高い情報が入ってくるわけがない。
ガーシー騒動から見えてくるのは、たとえ偽普的だと揶揄されても、公共的な課題を語り続けることの大切さなのかもしれない。偽善は少なくとも善を意識する。彼らが語る露悪的なホンネの先には善すらないのだから。
コメント:問題の根にはN等の立花がいる、偽計業務妨害、即ち恐喝で、既に有罪判決を受けており、執行猶予中の身なのだ。それでもなお、なぜ政治の世界で生き残り、政治は儲かるなどとほざけるのか。なぜ警察も検察も、立花をはれ物にさわるようにしているのか。なぜメディアは(現職議員でもない)立花自身を、追求し批判しようとしないのか。立花の背景に、何があるのか、誰がいるのかを知りたいと思う。除名決議を主導した鈴木宗男は、N党もガーシーも、何を言おうと(反論等せずに、無視して)相手にしないのが一番良いと言っていた。
関連記事:9政党に政党交付金78憶円。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042000822&g=pol
コメント:諸悪の根源。国民の寄付金で賄うべき。
同じく青木理のカウンタージャーナリズム、法相と入管の度し難い心性から
名古屋の入管施設で死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの遺族が起こした国家賠償請求訴訟をめぐり、遺族の弁護団は4月6日、国が名古屋地裁に提出した監視カメラ映像の一 部を公開した。5分ほどの映像を観て、私も胸をかきむしられた。
身体は動かせず、水も口にできないほどに哀弱し、懸命に病院での治療を懇願しても放置され、ついには入管職員の呼びかけにも応じず、固くて小さなペッドで冷たくなった33歳の女性。その様子を上部から俯瞰したカメラ映像は、もとより演出や作為の気配など一切なく、だからむしろ入管施設という異様な密室空間の非道を短いながらも淡々と、しかし残酷なほど雄弁に物語っていた。
一方、この映像公開について法相は、翌7日の会見で国が証拠 として提出した映像の一部を、原告側が勝手に編集し、マスコミに提供したと露骨な不快感を示した。また11日の会見でも法相は、訴訟中の事案を訴訟外で明らかにするのは差し控えるのが適当だ、公開すると監視カメラの撮影範囲や職員の巡回態勢が公になるなどと主張し、こんな台詞まで口にしたという。「ウィシュマさんの名誉や尊厳の観点からも問題がある」
自らの意思で発した言説か、あるいは法務官僚に言わされているのか、いずれにせよこの法相の心性をどう評すべきか。ウィシュマさんの名誉?尊厳?自らが統べる組織の施設で無残に命を奪われた若き女性のそれを持ち出し、弁護団批判の口実に堂々転化する振る舞いの浅ましさと度し難さは、反吐が出るといった最大限の罵声を浴びせてもまだ足りない。
孤独な独房で生を閉じたウィシュマさんを捉えたカメラ映像は、 そもそもが総計3 00時間近くに上ることが明らかになっている。
法務・入管はその公開を頑なに拒んでいたが、地裁に強く促され、しぶしぶその提出に応じたにすぎない。しかも提出されたのは5時間ほどで映像全体から見ればわずか2%にも満たない。ウィシュマさんの死をめぐっては入管当局がすでに内部調査結果を公表し、職員が侮蔑的な嘲笑を浴びせていたことも判明しているものの、今回提出された映像にそうした場面は含まれていない。
つまり映像の一部を切り出し、勝手に編集したのはまさに法務・入管の側。ましてその映像の一部は公判廷に提出されたものであり、憲法が明示する裁判の公開原則に則れば、弁護側がこれを広く世に問う行為に一片の瑕疵もない。
(中略)そしてその背後に何があるかといえば、今国会に提出した入管法改定案審議への 影響を最小限に抑えたい法務・入管の薄暗い政治的打算。
だから反吐が出るのだが、しかし私たちはこの法相と法務・入管の度し難き心性に心底慎りつつ、さらに広い視野でその根本問題にまで眼を凝らす必要もある。本連載では幾度も言及してきたが、入管施骰の監視カメラ映像にせよ、 あらゆる省庁の公文書類にせよ、あるいは刑事事件警察・検察がかき集める膨大な証拠群にしたって、およそ国家の所有する情報は 本来すぺて私たちの共有物。
畢竟、それは必要に応じてすべて公開され、広く公論の対象とされねばならない。逆にそれがなされないから為政者や官僚は放埓に振る舞い、事実を閉蔽し、都合よく捻じ曲げ、刑事司法では冤罪の発生が絶えることがない。(以下略)
コメント:そもそも非人道的な扱いで死者まで出したというのに、入管の職員と施設の責任者に沙汰が出という話は聞いていない。人権を守るべき法務省が率先して人権を軽視してろい、大臣が辞表を出してもおかしくない事件である。そこには死亡退所が異常に多い、八王子の精神病院に共通する何かもある。それは自省(または病院)の利益・権益の優先であり、加えて人間性を喪失した人間の、(浅ましい)獣性である。
牧太郎の青い白い雲、マイナンバーカードの神通力濫用、から
…岸田内閣は、運転免許も健康保険証もマイナンパーカードで!と声高だが、そんなことができるのか?健康保険証を2024年秋に廃止。マイナンパーカードと一 体化した「マイナ保険証」を導入する!と言うのだが、医療機関には「とんだ迷惑」。マイナ保険証を読み込み、健康保険の資格有無を調べる「オンライン資格確認」が来年4月から義務化されるそうだが、その費用を誰が払うのか? の負担が重くて、知り合いの内科医は廃業するしかないと嘆く。
それでなくても、失くしたら? システムエラーが発生したら? 個人情報漏えいのリスクは? と疑問は残る。しかも、マイナンバーカードで完全に自動化できるわけでもないのだ。 岸田内開の中途半端なA1神通力を許してよいのだろうか?
コメント:先日訪問した某大学病院で、マイナカードの提示を求められ、何に使うのかと尋ねたら保険証の代わりだという。従来の紙の保険証では駄目かというと、お好きなように(この辺から対応がぎくしゃくし始めた)という対応。紙の保険証を提示した。その時年甲斐もなく、「私はマイナカードが大嫌いだ」と大声を出してしまった。受付嬢との関係が険悪なものになったことは言うまでもない。
関連記事:72歳の覚悟。
https://www.asahi.com/articles/ASR3X5WJ3Q6JULZU00G.html?iref=comtop_7_01
2318.拝啓岸田首相閣下 4/20
岸田首相に問う。
敵国が攻撃してくる「可能性があるから」
こちらも相応の準備をする「必要がある」。
それがあなたの論理ですよね。
いまや世界的著名人となられたあなたは、
なぜ武力を背景にしない問題解決方法を
考えようとはしないのですか。
未だ記憶に残る東西冷戦時代、
米ソがお互いの武力を競い合い、
人類を何度でも滅ぼせるほどの核兵器を積み上げた、
あの不毛で危険な軍拡競争を、
憶えていない世代なのでしょうか。
防衛と攻撃は違うといくら言っても、
使う武器は同じです。そしてどんな武器でも、
一度でも使えば、血が流れ、命が失われる。
それは武器の目的が、殺傷と破壊にあるからです。
攻撃であろうが、防衛であろうが、
戦闘があれば、人が死ぬことに
変わりはないのです。
必要なことは防衛(戦争)の準備よりも、
「非戦」を世界に訴えることです。
それが遠回りに見えても、
日本国民と世界市民を救う、
最良で最速の方法なのです。
戦前の軍部独裁政治、市民を巻き込んだ、
大義の無い戦争。多くの犠牲を出した敗戦と、
悲惨な原爆被害。そしてその後の復興という、
あらゆる戦争の局面を經驗した日本だから分かる
平和の重要性。そして、そういう日本だからこそ出来る
提案があってしかるべきなのです。
サミットで広島を選んだことに大きな意義があります。
しかもそれを世界各国が「理解している」ことにこそ
真に重要な、代えがたい意味があるのです。
同じ敗戦国でも、ドイツには被爆の経験はないのです。
おそらく広島サミットで、岸田首相は、
世界平和を、改めて訴えることでしょう。
でも同時に訴えて頂きたいことは、
なによりもまず「非戦」の理想なのです。
いかなる戦争もしないという決意表明です。
何故なら、それが憲法第9条の精神だからです。
紛争の解決には武力を用いない。
それが出来た時に、初めて人類は、人類2.0に成長し、
宇宙市民の資格を得ることが出来るのかもしれません。
具体的な非戦活動の第一歩は国連の再活用です。
どうしても武力が必要と言うのなら、国連の平和維持軍に
参加し、平和維持の目的で兵を動かすしかないのです。
最近Jアラートが誤報を出しました。
もしそれが、敵基地攻撃の引き金になっていたらと思うと、
ぞっとしたと言っている人は、私だけではありません。
更に同志国という表現にも違和感を感じます。
世界中には同志国しかいないからです。
無論中国もロシアもです。
いくら勝手に色分けしても、何時寝返るか分からない。
それは日本の 戦国時代を振り返れば分かることです。
戦前の枢軸のような区分をすること自体、
時代遅れで、無意味なのです。
故安倍元首相の国家主義の延長線上で、
軍拡主義に走る岸田首相の姿など、
私たちは、絶対に見たくはないのです。
2319.社説も冒険の時 4/23
今回の前書きは、ネタはちと古いが、朝日新聞(4.18)のオピニオン&フォーラムです。
「大衆紙の精神で、社説も冒険の時」小沢香の要約
社説は何のためにある。大学生の読者に今年2月の「あすへの報道審議会」で聞かれるまで、深く考えたことはありませんでした。
「何のために毎日あるのでしょう」と山中季広論説主幹に尋ねました。
山中主幹は少し考え、「政治櫂力を持つ人たちに、『税金を払い投票もしている私たちは見ています、無視していませんよね』と言う役割は世の中に絶対必要だと思って書いています」と答えました。また、「社説は今のままでいいのか」との意識から、各国の新聞を比較し、論説委員の顔写真入りコラム「序破急」を年末に始めるなど、楔索をしていることも説明していました。
いま新聞社で意識されているのは、「私」や「あなた」の小さな主語で書く記事や、記者個人の当事者感覚です。新聞社の主張を書く社説は、外からどう見えているのでしょう。
50代男性は「人によって意見が分かれる話題について新聞社の旗織を鮮明にする特別な存在」と評します。50代女性は「あくまで『優等生』の答えなので深く感じ入ることはない」と。それでも新聞社のスタンスを確認したい時に読むそうです。 「首相は肝に銘じるべきだ」などの表現を高圧的に感じる、とは30代男性。
在籍が長い石川尚文論説副主幹に よると、社説の役割は「その時の集合知を縦と横で示す」ことと考えていて、縦は時間軸に照らし、横は分野を横断する視点だといいます。
そもそも始まりは何だったか。さかのぼると毀初に「論説」の表題が立ったのは、大阪での朝日新聞創刊から半年余り後の明治12 年。山脇魏による「新聞紙論説の事を論ず」です。当時の朝日は、漢文調の政論中心の「大新聞」に対し、ルビ付き口語体、絵入りで大衆にアピールした「小新聞」。紙面は市井の事件や醜聞でにぎわっていました。
山脇は書きます(以下要旨)。
「大新聞では毎日偉そうな社説や論説を載せているが、真の上等社会の人々はそんな理論は聞かなくても知っているし、庶民は何の利益も受けない」。皮肉った後で「我々はただ論説欄を埋めるために毎日書くようなことはしない。しかし論説は必要で、ときに発する思想は万行の基となり世論を動かすことになる」と意義に言及し、「本社では真に論ずべき問題のあるときだけ取り上げ、徹底的に論ずる」と述べました。
明治初期の地殻変動の中で、新聞は新奇の実験メディアでした。印刷文化とデジタルと、今また訪れた過渡期は、大衆紙の精神で社説が冒険する好機かもしれません。
(以下略)
・二度と五輪も万博もすべきではない。
https://mainichi.jp/articles/20230420/k00/00m/050/014000c
コメント:その通りです。政府も与党も信頼を失ったことをなぜ認めないのか。
・南西諸島を戦地にしたくない。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/245619
2320.自民、一強へ 4/26
今回の前書きは朝日新聞(4.25)の講論です。
「自民一強、むしろ強まる」中北浩爾から
維新のような「改革保守」の政党が野党第1党やその立場をうかがう状況は、55年体制後、過去2回ありました。
叢初が1994年に小沢一郎の主導で結成された新進党。もう一つが2017年に小池百合子・東京都知事が設立した希望の党です。いずれも結局、リベラル系の中道左派の政治家が合流せず、野党の一本化に失敗し、政権交代を実現できませんでした。
今の小選挙区制を中心とする衆院の選挙制度が続く限り、政権交代を実現させるためには、野党が結束することが必要です。ところが、当面、連合傘下の自治労や日教組といった労慟組合に支持されるリベラル系の政治家が消え去る可能性は極めて低く、維新が主導する野党の結集に加わるとも思えません。
維新もそれはよく分かっており、彼らの基本載略は、野党第1党になった上で、自民党を分裂させることだと聞いています。しかし、2度の下野を短期間で切り抜けた自民党内では、離党のハードルがはるかに高まっています。
したがって、今回の維新の蹄進は、与野党問の政権交代にはつながらず、むしろ現在の自民「1強」状態を強めるのではないでしょうか。自民の内部では、派閥が弱くなったとされた安倍政権までとは違い、多元性が復活しつつあります。岸田政権の発足そのものが、党内での「疑似政権交代」の結果でした。
自民の党内グループに野党が系列化される兆しもみられます。菅義偉前首相が維新や公明と強固なパイプを持つのに対して、岸田文雄首相を支える麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長は国民民主党との連携を模索しているといわれます。野党は疑似政罹交代メカニズムに組み込まれ、自民の補完物になっていくかもしれません。
維新は12年から国政に進出し、みんなの党など他党との合従連衡を繰り返しましたが うまくいかず、15年から独自路線に切り替えました。最近の勢いは同年に大阪市長となった吉村洋文氏の知名度が上がり、将来の首相候補の1人と目されるなど、世代交代に成功したことが大きいでしょう。 (中略)
残念ながら、「政権交代可能な民主主義」は遠のいています。当面、自民党内の「疑似政権交代」が日本政治の主たる関心事になる状況が続いていくのではないでしょうか。
コメント:確かに自民は今のところ最強だが、地盤が堅固とは言い難い。やはり安倍が亡くなって安倍派は空中を漂っているし、自民離れが、水メカで顕著になっている、だからこそ維新が票を伸ばせたのだし、自民党自身、痛いほどそれが分かっている。すべての問題は野党側にある。でも、党員個人が動いて、党首交代の機運が出来れば、少なくとも今よりは党の気運も、国民の期待も変わるでしょう。もっと具体的言えば、国民民主の党首が大塚になり、立憲の党首が辻元になれば、女性票も集められるし、リベラルな路線で一致団結もあり得る。今のように小物(両)党首が、思い付きをしゃべり散らしたところで、一体誰が注目し、関心を持つでしょうか。
関連記事:政権、菅を警戒。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6461261
関連記事:21区議選の結果に自民真っ青。首都圏の議席壊滅危機で衆院解散に急ブレーキ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f5d3313fe329bf7afdcaea6ded7d7338d07b8025
関連記事:公明が異例の大量落選、練馬区。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/246030
関連記事:都市部の無党派層、掬い取る。
https://news.yahoo.co.jp/articles/65aa990d6137957f215e7e9dd98c00f653f34a3c
関連記事:立民、総括着手。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042500846&g=pol
・国民、維新との連携意欲。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042500555&g=pol
コメント:自民の尻を追っかけたかと思えば、今度は維新。恥を知らない玉木は精神鑑定が必要。
関連記事:派手に動き回った小池知事。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/246029
コメント:、客寄せパンダ。内容(理想、信念)がないのだから、それ以上のものではない。
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