「オンライン・オピニオン」
「志なき世襲」
「トランプ、野田、松本」
「派閥」
「詐欺メールの実例」
「当事者再生」
「せめて原発無かりせば」
「アカデミー賞」
「日航機事故、トランプ」
「ネット社会を生きる」
「小沢一郎」
2491.志なき世襲 3.8
今回の前書きは、同じサンデー毎日(3.17)から、3つの記事を紹介します。まずはおなじみ青木理のカウンタージャーナリズム、「最後に審判を下すものは誰か」です。
(前略)
無惨、ひたすら無惨である。ひるがえってこの国の現状を眺めれば、巨大震災によって多くの人びとがいまも苦難に喘ぎ、それどころか長期の経済低迷や少子高齢化、さらには財政難などによって 社会の持続可能性すら疑われている。なのに現下政治の無惨な体たらくに憤り、これではマズいと懸命に声をあげる者すら与党やその周辺からは現れない。
「いまの政界は、特に与党とその追随勢力は、志なき世襲と下卑た野心家ばかりになってしまった」。 こちらは、かつて政治改革を訴えて55年体制に反旗を翻した与党OBが最近私に漏らした台詞である。なるほど、たしかにその通りだと頷く。そのうえで再び冒頭の検察幹部の台詞に戻れば、当然ながらすべては「最終的に有権者がどう判断するか」に委ねられる。 保身に走る「志なき世襲」と「下卑た野心家」が右往左往するだけの現状を放置し、しかたないさと諦念に沈み、堕ちるところまで堕ちなければ私たちは覚醒できないのか、決して大袈裟ではなく、状況は終末局面に近いと私には思われるのだが、さて。
次は、川柳で読む「永田町生き物劇場」(葉月亭遊人)から
「泉なら房穂がいいぞ健太より」
裏金まみれがバレたのに、真相解明から逃げまくる岸田政権、自民党。内閣も自民党も支持率の下落が止まらない。でも、なぜか危機感はゼロ。だって、野党の支持率も一向に上がらないんだもん。とにかく野党第1党・立憲民主党の存在感がね。その理由のーつが代表・泉健太の発信力不足。今だに泉って誰?状態。で、その一方で存在感抜群なのが、泉は泉で も泉房穂前明石市長だ。鋭い政権批判と歯切れのいい物言いで、今 テレビに引っ張りダコだし、SNSでの人気も凄まじい。試しにGoogleで「泉」って入れたら、最初に出てくるのが房穂さん。立憲さん、いっそのことこの人を党首にしてみたら?一挙に存在感倍増かもね。名字も同じことだし。
「与党への青いトリガー逃げてゆく」
ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」解除をめぐる自公と国民民主の協議が終わった。ホンネは政権与党に入るためのトリガー。 幸せの青い鳥を探す玉木。森の中で迷子になったチルチルミチルか?
「山盛りの証拠あっても記憶なし」
政治家が「記憶にない」といった時は、嘘をついていると思ったほうがいい。が、この人の場合はちょっと酷すぎる。当初は記憶にないといい、その後うっすらと蘇ったかと思ったら、次の日にはまた記憶がなくなっちゃったって。旧統一教会との親密な関係を示す写真や証言が山ほどあるのに、それでもシラを切る厚顔ぶりは大したもんだけど、この人が教団を所管する文部科学大臣だと思うと、ちょっと寒気がする。だって、この人、家庭教育支援法だの青少年健全育成基本法なんていう怪しげな法律の成立を目指す教団と一緒に、実現しましょうと約束する政策協定を結んでたんだから。危うし日本の教育、子どもたち。
関連記事:教会側との確認書。
https://digital.asahi.com/articles/ASS355WYXS34UTIL01L.html?iref=comtop_Politics_02
関連記事:団体が小出しで揺さぶり。
https://mainichi.jp/articles/20240306/k00/00m/010/084000c
最後はちょっと変わった話題です。
「運気を上げる、人生が変わる、神社の正しい参拝法」田村幸子から
「一陽来復、酉の市」
円安、物価高にあえぐ中、金連を熱望する人も多いだろう。著名人の自宅リビングの壁や柱には、大概「一陽来復」の札が貼ってある。
東京都新宿区西早稲田にある穴八幡宮で毎年冬至から翌年の節分までの期間に購入できる札だ。(窮地に金銀を融通して くれる)と、言い伝えがある。
すぐ近くの放生寺にも「一陽来福」の札があり、一緒に貼ると、さらなる効果が期待でき るという説もある。
(以下略)
コメント:写真は娘が毎年くれる、我が家の「一陽来復」(穴八幡)です。但し我が家では、お金が増えることより、減らないことを目標にしています。
2492.トランプ、野田、松本 3.9
・バイデンによれば、トランプはプーチンが好きなようにしたらいいと言ったらしい。
https://jp.reuters.com/world/us/V6GUSMM64RKUTAMBROBZYJUYTI-2024-03-08/
今回の前書きの最初は朝日新聞(3.8)からです。いつも長くて済みません。
朝刊1面の「武器持たぬ女性いつも犠牲に」国連女性機関前事務局長プムジレ・ムランボヌクカから
世界各地で戦争が起き、多くの命が失われるとともに、ジェンダー平等に向けた動きも困難にさらされている。国連女性機関(UN Women)前事務局長で、南アフリカ初の女性副大統領を務めたプムジレ・ムランボヌク力氏に課題を聞いた。
戦争は、常に女性にとってよくないものだ。兵士の多くは男性で、武器を持つ女性は少数派だ。
しかし、前線にいないにもかかわらず、多くの女性が命を落としている。
パレスチナ自治区ガザでは、男性よりも多くの女性が犠牲になっている。昨年のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃でも、女性がより危険にさらされた。ウクライナでは、あらゆる世代の女性が戦争による困難に直面している。
女性の解放と平等の問題は、常に社会で起きていることに影轡される。戦争以外にも、世界では経済、政治、気侯変動など、多くのことがうまくいっていない。それだけ、女性をめぐる状況が悪化している。
一部の国では右傾化が進み、人々がますます保守的になっている。右翼的な価値観が社会で目立つようになると、変化を求める女性や少女に対するバックラッシュ(反発)が起きやすくなる。変化に反発する声が束になり、女性へと向かう。
ジェンダー平等の問題が社会課題に直結している以上、女性だけでは解決できない。課題が男性を含む社会全体と深く関わっているため、みんなで考えていくしかない。
南アフリカは国会議員の半数近くが女性だ。一方、日本は(衆院議員に占める女性の割合が10%で)半分に遠く及ばない。長年、日本の政府や指導者と関わるなかで、 女性はすでに活躍するために必要な能力があると思っている。重要な役割に彼女たちを任命すれば、日本は変わる。
教育を受けてきた女性が活躍する揚がないのは、社会にとって損失だ。輝ける女性がいるのに、その機会が与えられていない。
日本の指導者たちには「勇気と決断力をもって、女性が社会で重要な役割を果たせる機会をつくっていくべきだ」と訴えたい。その決断ができれば、日本の社会は変わり、経済も伸び、何より女性自身が輝ける国になっていくだろう。
(聞き手・今泉奏=ヨハネスブルク)
・朝日新聞からもう一つ。トランプ指名に関する社説です。
「トランプ指名、論戦なき独走の危うさ」
対立と不安をあおる言説ばかりが勢いづき、理のある異論を凌駕(りょうが)する。米国の伝統保守を自任する政党が健全な姿を保っているのか、疑念が深まった決着である。
11月の大統領選に向けた共和党の候補選びで、トランプ前大統領の指名が確実になった。開始から2カ月弱で決まるのは異例の早さだ。
最後まで挑み続けたヘイリー元国連大使を除く候補者は序盤に相次いで撤退し、トランプ氏の独走だった。見応えのある論戦もなく幕を閉じたことは実に残念である。
その主因は、論議自体を拒むトランプ氏にある。公開の場で政策論を交わす討論会に一度も出ず、もっぱら単独集会で自説を発信。中傷や極論で耳目を集める大衆扇動型の選挙運動を続けている。
他の候補も「米国第一」の外交や移民対策強化など、大差ない主張が多かった。前回選挙での敗北を認めないトランプ氏の態度は民主主義の否定というべきだが、非難する声は少数にとどまった。
同盟関係の意義や自由貿易の規範を顧みない主張は、長年の共和党の姿勢から逸脱するものだ。だが、それらをめぐる議論をほぼ置き去りにしたまま、「トランプ党」化の道へと進んでいる。
トランプ支持層の中心は、保守層に加え、低学歴・低中所得の白人労働者層である。産業構造の変化に伴う格差拡大や、社会の多様化への不満が指摘される。彼らが置かれた構造的な状況を改善する責任を、バイデン大統領も果たしてきたとは言いがたい。
今回の大統領選は異例ずくめになる。現職と前職の同じ顔合わせの再戦となるだけでなく、トランプ氏は3年前の議会襲撃事件などをめぐる刑事裁判4件を抱えている。
トランプ氏側は大統領公務中の行為は刑事免責されると主張し、議会襲撃で服役中の支持者らを恩赦する考えも公言。国民統合に背を向け、支持層にのみ報いる強権志向を隠そうともしない。
ペンス前副大統領は選挙戦のなかで議会襲撃事件を振り返り、「だれであれ憲法の上に立とうとする者に大統領の資格はない」と断じた。こんなまっとうな意見が新鮮味をもって響くほど、いまの米政治の病は深い。
(以下略)
全文は下記
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15881516.html?iref=pc_rensai_long_16_article
次は週刊文春(3.14)から3件。まずは野田ブタ氏の登場です。
This Week 政治「もしウチの議員だったら、野田佳彦が自民で高評価の訳」
二月の最終週に、現職首相と元首相が直接対決する「政治ショー」が二度も行われた。
一度目は、26日の衆院予算委員会。
岸田文雄首相と対峙した立憲民主党の野田佳彦元首相(66)は冒頭、「同い年で1993年の同期当選。 93年の総選挙の最大の争点は政治改革だった」と語りかけた。自民党の石破茂氏や公明党の赤羽一嘉元国土交通相らの名を挙げ、熱い政治改革論をぶつけ合った思い出を紹介した上で、「(岸田首相とは)当選後に割り当てられた議員会館の 事務所は七階の隣同士だったが、政治改革の議論はしていない」と述べた。
政治部記者は、「首相が本音では『政治改革』に関心がないことを印象づけたかったのだろう」とみる。
さらに野田氏は、首相が 2022年に七回の政治資金バーティーで約一億五千万円を売り上げたことを紹介。大規模バーティーの自粛を求める大臣規範を逸脱していると指摘した。首相が務める党政治刷新本部の本部長を「辞めた方がいい」と迫った。
そして第二幕は3日後に訪れた。
首相が突然、自らの出席を表明した29日の衆院政治倫理審査会だった。
野田氏は「政倫審に内閤総理大臣が出席すること自体に、強烈な述和感を覚える」と批判から始め、リーダーシップ論を展開した。第一幕の続編とばかりに、首相のパー ティー問題を取りあげ、岸田氏から「首相在任中はパーティーを開かない」と言質を取った。
だが、政治部デスクは 「リーダー論は政倫審でやるべきことか。政倫審の野田氏は時間の無駄遣い。立憲にとっては野田氏の無駄遣い」と手厳しい。
「せっかく首相が『自民党総裁として出席する』と言ったのだから、裏金事件で総裁が果たすベき役割を明確に求めた方が良かった。せめて『裏金の経緯を調べろ。そのためには森喜朗元首相を事情聴取しろ』ぐらいは言うべきだった」(同前)
翌3月1日に登場した枝野幸男前代表は、弁護士らしく安倍派幹部に事実関係を一つ一つ詰めた。安倍晋三元首相がキックバック取りやめを決めた22年4月の幹部協議や、安倍氏死去後の同年8月の協議の一端を浮かび上がらせた。
「政倫審での岸田首相への追及は枝野氏の方が良かった。野田氏の起用は失敗だった」(立憲関係者)
一方、「ポスト岸田」が見当たらない自民党からは、「もし野田氏がウチの議員だったら…」との声も漏れ伝わる。堂々とした風格と分かりやすい弁舌が「どちらが総理か分からない」と評判を呼んだのも事実である。
コメント:主要メディアでも、野田は良くやったという論調なので、違和感を感じる。この文春の記事でやっと腑に落ちた。どちらが総理かというが、とんでもない。岸田の方が10倍もましだ。少なくとも、全体のバランスを考えつつ、とりわけ民意を念頭に、何らかの筋を通そうとしているようには見える。野田が総理の時には市民の抗議運動を全く無理した。国民の立場からの発言は殆どなく、話題は自分のことばかり。野田にあるのは自己顕示欲だけ。見た目でも、岸田に見劣りする。何より政治家にはあって欲しい品格が感じられない。短期間とは言え、首相になったのに、世界では誰も彼のことを覚えていない。一番悪いのは、勝財務次官にそそのかされて(=頭が悪い)、消費増税を推し通すために、あろうことか安倍と協議して解散に打って出たこと。これで民主党は大敗し、政権を自民党に明け渡した。民意を踏みにじるのもほどがある。だから後に続く安倍政治の悪夢の8年間にも半分責任がある。今でも彼がのほほんと議員をしていることが信じられない。早く議員を辞めて欲しい。それだけである。
次は「池上彰のそこからですか」です。
「トランプ、裁判対策に懸命」
今年11月のアメリカ大統領選挙を前に、いまは共和党も民主党も党の候補を決める予備選挙の最中です。共和党はトランブ前大統領、民主党はバイデン大統領になりそうな様相を示していますが、トランブ氏に関しては、四件の事件で起訴されています。
トランブ氏は、「いずれも民主党バイデンの策略だ」と全面否定。これまでに膨大な弁護士費用を支払っています。「トランプ氏が2023 年に弁護士費用に使った額は5120万ドル(約77億円)。さらに2350万ドルをスーパーPAC(政治活動委員会)などの資金から弁護士費用用に充当することができる。しかし 4件の刑事裁判を抱える同氏の弁護士費用が積み上がり、使用できる資金は7月頃に尽きると予想される」(ブルームバーグ日本版2月15日)。
一年間に日本円にして77億円も弁護士に払っているとは。一体弁護士は何人いるのか。トランブ氏の足元を見て法外な弁護士費用を請求しているのか。裁判が始まる前からこれだけの費用がかかっているのですから、裁判が始まったら、弁護士費用はどこまで増えるのでしょうか。
アメリカも候補者個人への政治献金は限度がありますが、「スーパーPAC」と呼ばれる政治活動委員会は、献金額の限度がなくいくらでも資金を集めることが可能で、候補者を応援するテレビCMなどに充当します。トランプ氏を大統領選挙で勝たせるために政治献金した個人も大勢いるでしょうが、その資金の多くがトランプ氏個人の弁護士費用に使われてしまっているのです。
こうなると、選挙運動に使える資金が底を突きます。そこでトランプ氏が目を付けたのが、共和党全国委員会が集めてきた政治資金です。共和党全国委員会を親族で乗っ取って、資金を自由に使えるようにしようというのです。既に全国委員会の委員長は、トランプ氏の圧力を受けて辞意を表明しています。トランプ氏はその後任に、全国委員会の法律願問であるマイケル・ワトリー氏を、共同委員長に義理の娘(息子エリックの妻)で元テレビプロデューサーのララ氏を推薦すると発表しました。
共和党全国委員会は、今年11月の大統領選挙に合わせて実施される連邦議会議員選挙に立候補する共和党員を応援する資金を集めてきましたが、ララ氏は「この資金はすべてトランブ前大統領を当選させるために使う」と宣言しています。
自分の裁判対策で使ってしまった資金の穴埋めに共和党の資金を注ぎ込む。まさに「トランブ・ファースト」ですが、これでは11月の選挙でトランプ氏は返り咲いても共和党議員は減ってしまったということになりかねないのです。
トランプ氏が起訴されている四件のうち、「ポルノ女優に不倫の口止め料を払った」とされる事件の裁判が最初に始まることが決まり、3月25日からニューヨーク州地方裁判所で開始されます。(以下略)
3番目は松本問題、私はこう考える、の第4回です。
「メディアが一丸となって調査すべき」荻上チキ
ジャニーズの性加害から宝塚歌劇団のバワハラ、そして松本人志の一連の問題。相次ぐ芸能界の不祥事について、評論家で社会調査支援機構チキラポ代表の荻上チキ氏(42)はこう提唱する。
「各事務所の一連の問題は、メディアが一丸となって調査するべきです」
個別の事案の事実関係は把握できませんが、松本氏に関する報道や反応で気になることを二つ指摘します。
一つは、業界に蔓延する悪質な手法についてです。
誰かを集団で権威のように扱うこと。直前まで飲み会の開催揚所や参加者などを告げないこと。外部との連絡を取りづらくすること。「ゲーム」という形をとって、集団で性的な雰囲気へと誘導すること。
相手が断りづらい状況を作って、あたかも能動的にその選択をしたかのように罠を仕掛け、性的な行為に及ぼうとする。このようなやり方を「エントラッブメント」と言います。
旧ジャニーズ性加害問題の際、ジャニー喜多川氏が性加害目的で所属タレントを信頼させて手なずける 「グルーミング」が指摘されましたが、それと似た問題があります。
例えば「仕事の相談」や「友人の頼み」といった仕方で断りづらい状況を作って誘い出す心理的なエントラッブメントや、個室などに誘導して逃げづらくする物理的なエントラップメントなどがあります。
飲み会などに参加することには合意しても、性的な行為そのものに合意しているわけではない人が、エントラッブメントによって拒否し難い状況に追い込まれる。こうした構造については、もっと広く知られる必要があるでしょう。
もうーつの懸念は、一連の性加害問題などに対して、芸能界とメディアが一致団結して向き合っていないことです。私が代表を務める「社会調査支援機構チキラポ」では、昨年11月 から今年1月まで、芸能・メディア関係者に調査を行い、275人から回答を得ました。そこでは次のような回答が得られました。
〈芸能事務所社長から、性的な関係を断ったら殴られた。言うことを聞くまで殴られ続けた〉
〈イベント後、ホテルで複数人で飲み会をしていたら、いつの間にか一番立場の高 い人と2人きりにされ、性行為を強要された〉
〈男性へは飲み会時の暴力や人格否定など、女性は酔わせて性加害なども〉
〈性的関係を持たなければ仕事はやらないと言われました。そのままホテルヘ半ば拉致されました〉・
〈上納システムという言葉は好きではないが、でも似たような経験はあった〉.
これでもあくまで一部の回答です。芸能界、メディア業界の至るところで、類似の問題がある。メディアの多くは、これらを芸能ニュースとして処理しようとしている。しかし、業界の構造や風土の問題として捉える必要があります。
昨年の旧ジャニーズ問題に際して、各メディアはそれぞれ検証報道をしましたが、他の大手芸能事務所などのハラスメント、および 圧力などの問題は一切、検証できていません。
「雑誌協会や民放連といったまとまりで、横断的調査と、改善の取り組みをしてほしい」。チキラボではそうした要望を送りましたが、回答は消極的でした。しかし、実態を把握しない限り、再発を止められません。
メディア業界の当事者性が問われます。文藝春秋も、雑誌協会などと横断的な調査を行い、ハラスメントや人権佼害の撲滅に取り組んでほしいと思います。
コメント:経歴だけをひけらかす、若手の男女論客とは次元が違う。地道な努力で足が地についている。荻上の取り組みを応援したい。
関連記事:松本人志はトランプと同じ。文春。
https://news.yahoo.co.jp/articles/489d2cff43528d64f77fd5bbbaf2db10e8d1a046
2493.派閥 3.10
朝日新聞(3.9)耕論 派閥という存在から3つのオピニオンを紹介します。
「政権回す非公式の舞台」野中尚人 政治学者
自民党でなぜ派閥が続いてきたのか。国会論戦をはじめ、ほぼあらゆる表舞台を避け、派閥を通じて政浩を動かしてきたからです。 自民党政治はインフォーマルな裏政治なのです。
その特徴は、意思決定のプロセスを隠そうとすることです。国会で質問されてもまともに答えない。政府内の議論も文書を残さず、 文書があっても消してしまう。国会や閣議のような公式の場で議論をかわして記録を残すといった、説明責任の姿が見当たりません。
それでも政権をまわすために、もうーつの舞台が必要になります。それが派閥です。カネを配り、ポストを配分し、事前に調整して物事を決め、国会対策までやっている。まさに自民党政治の背骨であり、裏政浩を支えています。本当に派閥がなくなれば、自民党は大混乱に陥るでしょう。
岸田文雄首相は、岸田派を解散すると表明しましたが、自分の言ったことが政治に何をもたらすか、意味がわかっていないのではないでしょうか。ただ、表面を取り繕っているだけのように見えます。・
自民党リーダーの劣化も、派閥と無縁ではありません。有能さを厳しくチェックされることもなく、有力者に気に入られれば重要ポストを得てしまう。派閥の仕組みはわかっていて永田町ではうまく立ち回るけれど、まったく日本のためになっていない。
派閥は、まるでミニ政党のようです。事務所もあって、選挙やカネ集め、人材のリクルートまでする。他国にも政党内グループはありますが、大きく異なるのは派閥が非常に排他的で、総裁選の票固めに使われていることです。実態として派閥連合政党なのです。
政治改革で選挙制度も変え、政治資金制度も変えたのに、自民党はそのすき間をぬってせっせと裏道を作り、派閥を中心とした裏政治を立て直してしまいました。これを変えるには、 政権交代が必要でしょう。
一日も早く、国会での与野党の論戦を機能させなければなりません。(中略)
もっとオープンで、公正な競争を政治に取り戻すべきです。このままでは、リ一ダーの育成も、政策も、インフォーマルな派閥政治の中で力を失い、どんどん駄目になってしまうのではないでしょうか。
(聞き手・小村田義之)
「内向き政治 民主主義劣化」中林美恵子 元衆院議員
派閥が注目されていますが、私は派閥の存在自体が問題だとは思いません。派閥が選挙支援やポストと結びつき、その構造が議会政浩や民主主義を劣化させていることこそが問題です。
私が衆院議員だった時の民主党にも「グループ」がありました。掛け持ちで入れるなど自民党の派閥に比べればゆるやかなつながりでしたが、勢力争いはなかなか激しいものでした。
勢力争いには関心がなかったので、私は特定のグループに所属しませんでした。小沢一郎さんが擁立に関わったことで「小沢チルドレン」などと扱われたのも、「同じグループだろう」と片付けられたのも迷惑でした。大勝によって慢心した民主党政権に「次はない」と感じていたこともあり、グループに入る必要性を感じませんでした。
民主党内の争いは、ある種の青臭さを感じるものでした。多少の好き嫌いや政策の違いはあれど、与党が団結するために、ある程度のみ込むという腹芸ができなかった。「自分の手柄だ」という功績争いもあれば、年功序列も激しかった。政権を取るまで蓄積してきた欲望が分かりやすく表れたのかもしれません。この時の内向きな姿勢を、国民は決して忘れないでしょう。
「内向き」は自民党の派閥にも通じます。こちらは大臣など政治的なポストや選挙もからむ互助会として、より重要な意味をもちます。長老が子分の面倒をみつつ勢力拡大を図る。派閥内には、大臣の順番をずっと待つ人も出てくる。派閥の中で、このサイクルが繰り返されてきました。政策集団というより政治団体と言う方がふさわしい。
米国の連邦議会に派閥はありません。議員は所属する委員会で専門性を磨き、実力でポストを獲得してゆきます。(中略)
選挙に勝つ、権力闘争に勝つ、そのために長老の勢力の中に入るという内向きの政治では、国民の心は離れてゆきます。民主主義のあるべき姿を勝ち取るために、やらなければならないことは山積しています。
(聞き手・田中聡子)
コメント:中林氏は、是非もう一度議員になって国会に戻って頂きたい。一党を率いるに不足の無い人物だと思います。今日本に本当に必要なのは、若者に理解しやすいリベラルな議員なのです。
「中選挙区時代の発想 今も」伊藤淳夫 政治アナリスト
解散を宣言したはずの自民党の派閥で、政治資金パーティーやカネをめぐって 混乱が続いています。30年以上前にもリクルート事件をめぐる「政治とカネ」の問題で政界は大変な経験をしました。当時、私は自民党本部事務局の職員で後藤田正睛・元官房長官の指示を受け、党の政治改革事務局で「政治改革大網」の取りまとめを担当しました。
政治資金を「ガラス張り」にすることや「派閥の弊害除去と解消への決意」を盛り込みました。だがそれらが実現できないままだった結果が今回の派閥の裏金事件にいたったのだと思います。
自民党の派閥は、毎週木曜日の昼に会合を開き、議員がそれぞれの場所に集まって昼食を食べます。必然的に複数の派閥に加わることはできない仕組みです。
さらに、大手メディアも、それぞれの派閥を同時に取材するために、派閥ごとに担当の記者を置く必要が出てきます。そうやって、日本の「政治」記者は、派閥中心の.「政局」記者として育っていくのが現実です。こうした独特の派閥の仕組みは、かつての中選挙区制という選挙制度と深く結びついていました。一つの選挙区で同じ政党の人間が争い、複数が当選するため、最も厳しい競争相手が同じ自民党議員でした。
そのため、中選挙区制を背景に「選挙」「人事」「カネ」のいずれでも、派閥の役割が重要になっていきました。その弊害を取り除く必要があるという発想で、1994年の選挙制度改革は小選挙区制を中心とした選挙制度を衆議院に導入しました。同じ政党の候補同士が争うことが基本的にないようにすることで、日本の政治から派閥の重要性を低下させようという試みだったはずです。
確かに、選挙においては 中選挙区制時代とは変わりました。しかし派閥はこの30年間も相変わらず、「人事」と「カネ」を差配し続けました。選挙制度を変えても、自民党は中選挙区時代の発想のままで派閥を維持してしまったのです。
私は何度解散を宣言したとしても、派閥は実質的になくならないと思っています。
(中略)岸田文雄首相は「政策集団」と呼ぶことを好んでいるようです。そうであれば、しっかりと目指すべき政策を掲げる集団に生まれ変わるべきです。
(聞き手・池田伸壱)
2494.詐欺メールの実例 3.7
警察庁について
私たちは警視庁です。
あなたのお子様は窃盗容疑で逮捕され、被害者に180万円の賠償金を支払う必要があります。
至急下記口座にお振込下さい。
1:
金融機関名:三菱UFJ?行
支店名:惠比寿支店
支店番号:136
口座番号:0146217
受取人名:株式会社デジタルワイド
フリガナ:カ)デジタルワイド
2:
銀行名:GMOあおぞらネット銀行
支店名:あじさい支店
口座種別:普通
口座番号:8046155
口座名義:カ)ポプラ
3:
金融機関:みずほ銀行
金融機関コード:0001
支店名:祐天寺支店
支店番号:224
口座番号:普通3011526
口座名義:カ)オフイス アールテイーシー
東京都千代田区霞ヶ関2-1-2 100-8974
「#9110」
03-3581-0141(代表)
2495.当事者再生 3.13
今回の前書きは朝日新聞(3.12)耕論、被災地のコミュニティ、からです。
「幅広い当事者再生担う」社会学者 山下祐介
高齢化や人口減少が進む限界集落や孤立集落がありますが、これを数字だけで見ていると間違います。ずいぶん前から「地方消滅」が語られながら、現実になかなか消滅しないのは、その周辺に、数字では見えない当事者がいるためです。
高齢者が多いので、いずれ「消滅」すると考えるのも無理はありませんが、その周辺には、都市部に出た子どもや孫、家族がいて、行き来しながら支えている。将来的には再び集落に住み、地域の担い手になるような人たちです。
集落に住む高齢者だけを見ていると「こんな大きな家は必要ないだろう」と思うこともあります。でも都市部から家族が泊まりがけで帰ってくるから、その大きさが必要だったりする。家には歴史も備わり、仏壇があり、山や海と連なる暮らしがあって外に出た人を引きつける。住民の背後にはそうやって「幅広い当事者」がつながっています。
能登半島地震の被災地にも限界集落や孤立集落がありますが、財政的な理由で復興から切り捨てるような議論は、集落のもつ潜在的な力を見落としており、論外です。むしろ災害が起きると「戻って故郷を守りたい」という気持ちが高まるようにもなる。当事者の幅を広くとらえれば、新しい発想や人脈、資力を持つ人もいて、再生の推進力となるものです。そうした人の声が表に出せるような自由な討論の場が必要です。
その意味で、東日本大震災の復興計画は失敗でした。復興を急ぐ世論に押され、行政主導で進み、当事者の声が排除されてしまった。巨額のカネが動き、津波被災地には巨大防潮堤ができましたが、その後ろには人が住んでいない。本当は帰りたかった人たちがいたのに、数々の歴史ある地域社会を壊してしまった。
原発避難者の中には、各地で会合を開いてきたグループもありましたが、その声はかき消され、結局は当事者不在の復興になっています。この失敗を能登で繰り返してはなりません。
心配なのは広域避難やみなし仮設が広がるなか、被災者の存在が見えにくくなることです。SNSなどで連携しながら、当事者をつなぐ仕組みが不可欠です。
なにより子どもたちの声が重要です。中高生も10年後には立派な大人になって地域を支えてくれる。焦らず時間をかけ、つながりながら自由に声をあげることが、消滅すると思われた集落の未来を開くのです。
(聞き手・小村田義之)
コメント:故郷への気持ちは尊いが、破壊された故郷を元に戻すことに拘ることには賛成できません。というのは、一度災害が起きた場所は、二度三度の可能性があるからです。原状復帰の対策の中でも最悪のものは、視界を遮るだけで、高さも十分でない防潮堤です。危険地域から逃れ、最適な移転先を探す方が遥かに建設的です。仏壇は無論のこと、お墓だって移転できるのです。土地は日本中でつながっています。どこに移住しても日本であり、もっと言えば、同じ地球なのです。失われたものを悲しむより、新たに得るものの中に希望を見出すことの方が、建設的です。より安全で住み易い場所を求めて移動するのは、人類のみならず、動物の本能でもあるのです。
2496.せめて原発なかりせば 3.14
今回は詐欺メールの警告から始まります。私はエビチリが好きですが、買おうとするバカ高い(ファミレスでも高い)ので、躊躇していました。スーパーでむきエビを売っていたので、自分でエビチリを作ればいいのではないかと気が付きました。
早速ネットでレシピを探して、読み始めたら、急にサイトの中に次へという大きなボタンが表示されました。次のページに進むボタンだと考え、それを何気にクリックしたのが間違いの元で、あんたのパソコンは、マイクロソフト向けのウイルスに感染してまっせでんがな、はよう以下の番号に電話しなはれまんがなというメッセージの画面が表示され、派手に点滅しています。しかもこのメッセージの枠のX印のアイコンを何回クリックしても消えません。
最近ご近所でも同種のウイルス被害が2件報告されており、それが回ってきた(感染)のかと思いました。いつものCtrl+alt、deleteでもいいが、こちらは江戸っ子で気が短かい。電源ボタンを長押しして電源を切りました。
そして再度立ち上げて、またグーグル(クローム)でサイトに入ろうとしたら、今度はのっけから、開くというボタンと、次へというボタンが仰々しく表示されています。馬鹿野郎、その手に二度と乗るかよとつぶやきながら、良く見ると、グーグル・クロームのポップアップ広告であることが分かりました。広告は画面の上の部分、又は右側に表示され、右上のバツのマークをクリックすることで、今後の表示を拒否することが出来ます。上の広告も、右の広告も拒絶して、これで一件落着です。しかし、これでは何の為にマカフィーに年会費を払っているのか分からないと、腹が立ちました。ちなみに見よう見真似で作ったエビチリは、何とか食用に耐えました。
関連サイト
https://cs.myjcom.jp/knowledgeDetail?an=000477497
ちなみに、この前に、実際に当方に届いた詐欺メールの全文を公開します。無論警察には届けましたが、実際の被害がないと対応は出来ないとのことでした。
・警視庁を名乗る詐欺メール。
http://wtw.xsrv.jp/indexsekai2494.html
さて今回の前書きは朝日新聞(3.13)の社説です。その前に川柳から一句ご紹介します。
震災のせめて原発無かりせば。
(前略)
事故の1年半後、民主党政権は「30年代に原発ゼロ」の目標を固めた。運転期間の40年制限を厳格に適用し、新設や増設はしないことを原則に掲げた。世論の大勢も段階的廃止を支持した。
朝日新聞の社説も事故後、脱原発を主張してきた。電力の安定供給やコストを考えれば一気に全廃は無理だとしても、再生可能エネルギーを増やしつつ、ゼロに向かうべきだとの考え方だ。
自民党の政権復帰後、原発ゼロの目標は消えた。それでも安倍・菅政権は「原発依存度を可能な限り低減する」とし、新増設や建て替えは想定しないとしてきた。
だが、岸田政権は、原発の「最大限活用」へと政策を反転させ、新増設・建て替えや60年を超える運転を認める方針を決めた。次世代炉の開発も加速させるといい、原発に頼り続ける道を描く。
60年を超える運転は、経済産業省が主導し、原子力規制委員会も多数決で認めた。福島第一事故の教訓の根幹をなす「推進と規制の分離」の変質が懸念される状況だ。
関西電力は昨年12月、大飯3、4号機について60年を超える運転を可能とする新制度での認可を申請した。森望社長は今年1月、新増設・建て替えの「検討を始めなければならない時期に来ている」と福井県内で述べた。
政権の政策転換を具体化していく動きが、徐々にかたちをとり始めている。
(中略)
脱炭素に向けては、太陽光や風力は劇的なコスト低下が進んでいる。広大な海を生かした洋上風力、ビルの壁面にも使える次世代太陽電池。自然環境と技術力を十分に生かし、国内で自給できる再エネの主力化に本気で取り組むことこそが、王道だ。
(以下略)
全文は下記。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15885466.html?iref=pc_rensai_long_16_article
コメント:原発どこかえもってけ、という看板は、県民の気持ちそのままでしょう。ちなみにえはへと書くべきでした。
2497.アカデミー賞 3.15
第96回アカデミー賞は生放送版と字幕版の両方で見ましたが、生放送の同通はお世辞にも聞き易いものではありませんでした。日本の君たちはどう生きるかと、ゴジラの受賞はご存じだと思います。役所広司の映画は受賞できませんでした。宮崎駿がなぜ授賞式に出ないのかは分かりません。行けばスタンディング・オベーションは間違いないでしょう。ゴジラの関係者の英語のスピーチは、内容は良かったが、発音が酷くて聞き取りできませんでした。日本人の場合、片言でいいから、スピーチは短く、はっきりを心掛けるべきです。何が大事と言って、このような晴の舞台では印象が一番大事です。女優のファッションも見どころですが、今回は奇抜なだけで、あまり感心できませんでした。追悼のコーナーでは、坂本龍一が、作曲家として名前が上げられていました。
今回のポイントの一つはドキュメンタリー部門です。20 days of MARIUPOL(マリウポリの20日間)が受賞しました。リベラルなアカデミーの政治的な意図が働いていたと思います。受賞スピーチで、監督は、本当はこのような映画は作りたくなかったと述べました。この賞と引き換えに出来るものなら、ロシアのウクライナ侵攻をなかったことにしたい。そしていずれ真実は勝利する。命を捧げたマリウポリの人たちは記憶に残る。映画は記憶となり、記憶は歴史となると述べました。
もう一つのポイントは司会者キンメルのジョークです。最後の部分で、スマホにメッセ―ジが入ったと言って読み上げました。誰からとは言いませんが、その中で、キンメルは最低の司会者だ、ABCのダレソレと交代させるぞと、悪口が並んでいます。そして最後にMake America Great Againで締め括っています。これで誰から来たメールかが分かり、会場は大爆笑でした。但しキンメルも負けてはおらず、もう出所したのかと皮肉りました。これはトランプが4つの裁判を抱えているからです。
今回のショウでは、プレゼンターの他に、5人の候補者のそれぞれに、過去の受賞者が割り当てられ、順番に賛辞を述べました。これは是非来年も続けて欲しい企画です。それから敢えて言っておきますが、映画関係者は何時なんどき受賞が決まるか分からないので、日頃から、もっと英語の勉強をして欲しいと思います。ひょっとして宮崎駿も、スピーチが嫌で授賞式を欠席したのかもしれません。ならば私が同行するのでご用命下さい、なんちゃって。
・アカデミー賞受賞者。
https://jp.reuters.com/life/oscars/QFXH766QZVPQDOGZ5N2PWXMUEU-2024-03-11/
前書きの二つ目は、文藝春秋(4月号)から、日本の地下水脈、石橋湛山に学ぶ、真正保守の哲学、保阪正康です。その中で私が興味を持ったのは、明治天皇に関する記述です。
(前略)
「明治天皇とデモクラシー」
当時、明治天皇の偉業を記念して神社を建立すべきだとの意見があったことに対して、湛山はまず、明治天皇が体現した明治の精神とは、帝国主義的に軍事を突出させたことではなく、日本社会に民主主義を根付かせようとした改革にあると言う。そして、明治天皇とその時代を記念するには、まず憲政、産業、民の福利といった明治天皇の意志を引き継ぐことであり、事績を固定してしまう神社を建てることよりも、ノーベル賞のように「明治賞金」を設立して、平和と文明に貢献する態度を世界中に広めよと主張するのである。(中略)
湛山は近代日本の民主主義の始まりに「五箇条の御哲文」があるという理解に立っているのである。天皇と国民の回路は民主主義にこそあるという捉え方は、現在の象徴天皇制を予見していたとも言えるだろう。
前回、私は、明治以降の近代日本にあり得た国家ヴィジョンとして、
以下の五つのモデルを示した。
(1)帝国主義国家
(2)帝国主義的道義国家
(3)自由民権国家
(4)連邦制国家
(5)江戸的「閉鎖」国家
現実の近代日本は(1)の「帝国主義国家」への道筋を走ったわけであるが、湛山は明治国家の二面性を論じ、軍事主導国家に傾いて版図を広げた「帝国主義国家」と、民主主義を拡張していく過程に存在する (3)の「自由民権国家」とを対比して、(3)の理想に向かう姿こそが 明治天皇と国民が目指した方向だったではないかと問題提起したのだ。
湛山と桐生という、明治期に生まれ育った特筆すべき二つの精神が、「五箇条の御誓文」においてそのヴィジョンを共有していたことは重要である。軍国主義やファシズムヘの抵抗は、これまで左派の立場から語られることが多かったが、それを「真正保守」の視座から見直す必要があると思うのだ。
「安倍政権の行政独裁」
歴史を大きく往還して現代政治に戻ることになるが、井出孫六がいまから十年前に、湛山を改めて読み直そうと考えたことにも意味があるような気がしてならない。
2014年の政治や社会の状況を振り返ってみよう。
この年、第二次安倍政権は、消費税率を五%から八%に引き上げた。アベノミクスの恩恵を受けるのは一部の富裕層であり、大半の国民は生活に苦しんだ。
安倍政権は「内閣人事局」を発足させ、中央省庁の幹部人事を一元管理することで首相官邸による官僚支配を強めた。軍部が存在しない現代では軍事独裁は起こらないかのような錯覚があるが、戦前の日本を振り返ると、軍事独裁の実態は行政独裁と見るべきであった。東條英機を長とした軍事政権が、立法、司法、行政を支配したのであり、まさに安倍政治は行政独裁だったのである。
そして安倍政権は、アメリカの強い意向を受けて、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を一部容認して、翌2015(平成二十七)年の安全保障関連法を準備した。さら に、メディアヘの独善的な介入を露骨に行うようになった。
それらは、かつてどの自民党政権もやらなかった、独裁的性格を色濃く持つ政治手法であると言えた。
強権的な支配によって国民は精神的にも経済的にも疲弊し、国民やメディアからは、政権に対する抗議の声がたしかに上がった。しかし一方では、安倍政権の一強体制を支持する国民、メディアも力を持ったのである。また、かつて過ちを犯した戦争体験を教訓として学ぶ姿勢が社会全体から薄れていった。そして、この時期に「ヘイトスビーチ」という言葉が定着し始めたことにあらわれているように、極端なナショナリズムや排外主義を煽る空気も広がっていったのだ。
(以下略)
コメント:詳しくは本書をご覧ください。いまや単純なリベラルと保守では分類できない時代になっていたようです。保守もリベラルも、再定義が必要です。面白い時代になってきました。ますます世界の時流から眼が離せません。なので、今後ともwtwをよろしくお願い致します。電子瓦版、大人の壁新聞、そして令和のリーダーズ・ダイジェストです。
2498.日航機事故、トランプ 3.16
今回も文藝春秋(4月号)です。年初の日航機と海保機の事故について、未だ納得できる事故原因は公表されていません。そこで航空機事故の日本の第一人者、柳田邦男の分析(の一部)をご紹介します。
(前略)
衝突までの四分半
17時43分02秒「東京タワーヘ、こちらJAL516、(着陸後は)スポット18番です」(注・スポットは航空会社側が決める)
「JAL516へ、こちら東京タワー、グッドイブニング、滑走路34Rに進入を継続してください。風320度(ほぽ北西)7ノット(3.6メートル)、(滑走路
34Rからは)出発機が出るところです」
43分12秒「こちらJAL516、34Rへの進入を継続します」
誤聴を防ぐための復唱だ。JAL516便は順調に進入降下を続けた。
44分56秒「JAL516便へ、滑走路34Rは着陸に支障なし、風310度8ノット」
45分01秒「滑走路34R、着陸支障なし(を了解)、 こちらJAL516」
JAL機は管制官の情報連絡を復唱して、安心して着陸の態勢を整える段階に入った。海保機JA722Aが 無線の周波数を東京タワーに合わせて、これら一連の管制交信のなかに入ってきたのは、その直後だった。
45分11秒「タワーヘ、こちらJA722A、C(誘導路上を走っています)」
交信はすぺて英語。海保機は東京タワーヘの交信に加わるに際して、いきなり自分の居場所を「C」とだけ伝えたのだ。公表された交信記録の邦訳文では、「JA722A、C誘導路上です」となっているが、交信原文は
「JA722A C」だけだ。これに対し、東京タワーは丁寧に返答・指示をしている。
「JA722Aへ、こちら東京タワー、グッドイブニング、(あなたは離陸順番が)ナンバー1です。(誘導路から34Rの途中に入る通路の)C5上の滑走路停止位置まで走行してください」
これに対し、海保機はすぐに復唱している。
45分19秒「滑走路停止位置C5に向かいます。(離陸順番を)1番目にしてくれてありがとう」
海保機との交信はこれですべてだ。JAL516便は、C滑走路にぐんぐんと近づきつつあった。機長らは着陸直前のランディング・チェックリストの点検に集中する段階に入っていたはずだ。着地まで、あと二分余り。タワーとの交信はない。そしてー
47分30秒頃、まさに日航機着地時に衝突事故が発生!
以上のような交信経過を見ると、管制官(東京タワー)の、日航機と海保機のそれぞれに対する交信に明らかな誤指示があったとは言えないことがわかる。
重要なポイントを箇条書きにするとー
(1)日航機516便に対し、C滑走路への着陸許可を優先的に与えた。海保機はまだ誘導路C上を走っていたのだから、順番として当然のことだ。
(2)誘導路Cを走ってきた海保機に対し、すでに滑走路末端脇の停止位置C1に近づきつつあった旅客機より優先して、出発順番を「ナンバー1」と伝え、滑走距離が短くて済む「滑走路停止位置C5」で待機するように指示したのは、海保機が担った震災救援物資の緊急搬送という任務を考慮すると妥当な判断と言えよう。
(3)そうであっても、先に許可していた日航機516 便の着陸が優先されるべきであることに変わりはない。
(4)海保機には、C滑走路内に入って離陸態勢を取るようにとの管制官の指示は出されていなかったし、そう海保機側が誤解しかねないような管制官の言葉遣いはなかった。
(5)だが、海保機はC滑走路に入って離陸態勢に入った。衝突事故直後、機から脱出した機長M氏は病院で海保職員に、「進入許可を受けて滑走路に入った」「離陸許可を受けた」と報告したという。
(6)海保機が東京タワーに無線の周波数を合わせてはじめて通話をしたのは、日航機516便が東京タワーに「滑走路34R、着陸支障なし」と復唱した直後なので、日航機がC滑走路に着陸してくるということを、きちんと理解していなかった可能性がある。
これらの重要なポイントの中でも致命的に重大なのは、海保機が管制官の指示通りに滑走路停止位置C5で停止せずに、C滑走路に入って離陸滑走開始態勢を取ったことだ。機長M氏は、なぜ管制指示を復唱したにもかかわらず、滑走路に入ってしまったのか。
(中略)
機長M氏が海保機を滑走路に進入させた理由となると、それは意識や心理状態や判断(意思決定)の問題になるので、法的な権限を持った事故調査官や捜査官による事情聴取でなければ、真実に迫ることは難しい。しかし、様々な事故事例をヒューマン・ファクター理論の視点や方法で分析すると、新たな事故における人間の意識や意思決定の「なぜそうしたのか」という問いに対する解答あるいはヒントを得られることが少なくない。
(以下略)
コメント:端的に言えば機長Mの思い違いということでしょう。しかしその思い込み、又は思い違いがどうして発生したのかは、専門的な調査が必要です。とはいえ、機長や管制官の思い違いで、大きな事故が起きたのはこれが初めてではなく、人間だから間違いはあるで済ますわけにはいかないのです。同種の事故が再発しないためには、不愉快ではあっても、人間の心理を深く分析することも必要になるでしょう。また自動操縦の範囲を拡大して、判断の一部を機械が分担するようにすれば、より安全になることも考えられます。
次は最近では一番憂鬱な話題、即ちトランプです。雑誌世界4月号が、「トランプふたたび」という特集を組んでおり、その中から、我々草の根(大衆)の日本人にも理解できそうな議論(の一部)をご紹介します。一部と言ってもかなりの長さです。最後までお付き合い下さい。
座談会 なぜトランプなのか、極端化と幻滅の果てに、遠藤乾(東大教授)渡辺将人(慶應准教授)三牧聖子(同志社大准教授)
「消えた穏健派」
遠藤 2024年は世界中で重要な選挙が行なわれる一年となりますが、中でも大きな影響力をもつのがアメリカ大統領選です。そして、驚くべきことに91もの罪に問われ 起訴もされているドナルド・トランプ前大統領が予備選で連勝し世論調査でもトップを走っており、「トランプ2.0」、あるいは「もしトラ」「ほぼトラ」なんて言い方もされるくらいです。トランプ氏は大統領経験者ではありますが、前政権時に中枢を担った元軍人を中心とした関係者には既に見限られており、今の彼の周辺にはまともな人は少ないでしょう。もし勝利した場合にはQアノン系や MAGA(Make America Great Again)系の人たちが政権に入ってしまうのではないかとの懸念もあります。
トランプ再登場は、真空の中で起きているのではなく、アメリカの、国際政治の地盤が揺らいでいる中での出来事です。米中対立や二つの戦争が現在進行形であるのみならず、ガザヘの対応をめぐってバイデンの政権運営が厳しく問われるなど、国際秩序とアメリカの関係も問い直されることになります。
なぜこのような現象が起きているのでしょうか。アメリカはどこへ向かおうとしているのでしょうか。
渡辺 トランプが共和党主流派にも支持される背景として、 私からは三つの問題について触れておきたいと思います。
一つは分断の行方、もう一つは選挙のクレディビリティ(信頼性)の担保、三つ目は外交の内政化の問題です。
まず分断に関しては、穏健派すなわち中道派の縮小が起きました。退潮のきっかけはイラク戦争に彼らの大半が賛成したことです。クリントン政権は(中略)穏健派の主要議員が戦争に賛成した「前科」だけで力を失い、ナンシー・ペロシが下院議長に就任し、バラク・オバマ大統領が誕生します。いわば、党内抗争でのリベラル派勝利はイラク戦争による「棚ぼた」だった上に、ある種の内向き主義の始まりで、平和主義でもなかった。(中略)
共和党側にも転換点が来ました。2008年のリーマンショックの後、公的資金の注入がプッシュ政権によって行なわれたのですが、それに対していわゆる財政保守派のリバタリアンによる反発が生じ、ティーパーティー運動へとつながっていきます。つまり、共和党側にとっての中道の喪失は、当初は財政問題として生じ、その後に反移民や文化保守の運動が合流する異変が起きます。(中略)ティーパーティー運動2.0になる。これがトランプ支持運動の大もとの―つの起源です。
オバマは2012年に再選しますが、スローガンが 「GMは生き残り、ビン・ラディンは死んだ」でした。公的資金を注入して自動車産業を救い、9.11以来の難敵だった、ビンラディンを殺害した。オバマは安全保障に弱腰という印象を払拭し、プッシュの宿題を片付けて共和党の面子を潰しました。(中略)
民主党に穏健・中道派が残っていれば、共和党の穏健・中道派も、トランプの影響力をそぐために、一期ぐらいは 民主党の穏健派に大統領をやらせてもいい、(中略)そう思わせたかもしれません。しかし共和党からすると、今の「サンダース化したバイデン」は論外で、バイデンに不測の事態があればハリス政権という彼らにとっての悪夢になる。すると消去法でトランプのほうがマシとなるわけです。
第二の背景、選挙のクレディビリティについてですが、アメリカの選挙制度は変化の時を迎えています。
従来アメリカ大統領選挙はアイオワ州党員集会から始まり、ニューハンプシャー州での予備選に続くのが慣行でした。予備選挙過程が同日に一斉開催されるのではなく州ごとに行なわれるのは、小さな州を緒戦にすることで資金力や知名度のない候補にもチャンスを与えているからです。ただ、初戦はその後の争いに大きな影響を及ぼします。今回民主党は、バイデンに有利なサウスカロライナ州の予備選を前倒し、彼が苦手なアイオワの党員集会を種々の口実で取りやめました。(中略)サンダースやオバマも運動としてアイオワ産です。バイデンはそれを潰した。今回は共和党側でも、党員集会方式か予備選挙方式か、(中略)どの順番で実施するか、トランプ派と反トランプ派で駆け引きがありました。フェアな選挙は誰のためのものか、定義が曲がり角にきています。
最後に外交の内政化です。私が夏に渡米調査したときは、 バイデン政権当局は、外交の主要課題はロシアと中国と口を揃えていました。ところが、秋にイスラエルとの関係が浮上し、ロシア(ウクライナ)、中国(台湾)、イスラエル(ガザ)という「三正面」を抱えます。三つは同時に制御できないパイデン政権は、そのうち中国を衝突回避の相手に選び、暫定的な講和策に急旋回します。
とはいえ奇妙なことにウクライナで割れていた共和党がイスラエルを軸にまとまり、一方で民主党はウクライナの支援に関しては、一部の左派を除いて一致していたにもかかわらず、イスラエルについては割れています。若者たちがデモを起こし、バイデン政権は追い込まれている。(中略)ヘイリーは対中強硬論も売りでしたが、米中対立は米中首脳会談以降、一時棚上げ状態です。トランプは台湾の半導体産業を保護主義から批判するなど錯綜しています。
「パイデンとリベラルヘの不信」
三牧 「もしトラ」が話題ですが、では「バイデンのアメリカ」が続けば世界は安泰か。パレスチナ自治区ガザの事態を見ているとそうとも言えない。昨年10月7日ハマスに越境攻撃を受けたイスラエルは、ガザで大々的な軍事行動を展開してきました。現時点で市民の犠牲は2万8000人超、その七割が女性と子どもという大惨事になっていますが、米議会は超党派でイスラエルを支持し続けている。アメリカの「穏健派」とはどういう存在か、再考する契機になりました。
12月、国連総会で停戦決議が153カ国の賛成で採択された際、アメリカはイスラエルとともに反対。安保理での停戦決議にも、「停戦はハマスを利する」と拒否権を行使し続けてきた。停戦を求める声は民主党のサンダース、
オカシオ=コルテス、唯一のパレスチナ系議貝タリーブといった一部の議貝から出ているのみです。
ィスラエルの問題になると「穏健派」でも、国際社会の圧倒的多数による停戦要求を無視する。バイデン大統領は民主党の穏健派と目されていたはずですが、「自衛」で到底正当化できないイスラエルの軍事行動を前に、自制を促すだけ。グローバル・サウス諸国では、「殺されているのがムスリムならば、アメリカは超党派で黙殺する」、「アメリカの国際主義や人道主義の対象は白人のキリスト教国家だけなのか」という怒りの声があがっています。
バイデン政権は、(中略)トランプ外交を批判し、「法の支配」や「人権」等の価値の実現、そのことを通じたアメリカの逍義的リーダーシップの回復を掲げてきました。しかし、ガザ危機でその価値外交の欺瞞が露わになっている。12月末に南アフリカはICJ(国際司法裁判所)に、イスラエルのガザでの軍事行動が「ジェノサイド」にあたるのではないかと提訴しました。一月末、ICJは暫定措置として、イスラエルに「ジェノサイドを防ぐためのあらゆる措置」を取ることを命じました。しかし、アメリカは南アフリカが提訴した時点から「根拠がない」と一蹴し、国際社会における「法の支配」を司るICJの命令があっても、イスラエル支援をやめようとしない。(中略)
バイデンでもトランプでも、民主党政権でも共和党政権でも変わらないといった乱暴な議論をする気はありませんが、ガザ危機は「超党派のアメリカ」の問題を露呈しています。
「トランプはなぜ支持されるのか」
遠藤 お二人の話を聞いてると、コインの裏表という印象を受けました。穏健派がやせ細っていく過程で左右の中抜きが生じて分断が慄まっていき、そうすると正当性を担保するはずの選挙もフェアに見えなくなり、あらゆる争点が人質に取られて外交に跳ね返っていく。その結果として、極端化した政治の領域が広がっているということですね。そして今のアメリカはそのような潮流の廷長上にあり、もはやトランプかバイデンかという対立軸だけでは見えてこないくらい混乱した状況になっているのかもしれません。
私は9.11の前後に一年ほどアメリカに滞在していて、 プッシュ政権がイラク戦争に突入していく、アメリカが大 きく道を踏み外していくのを驚きとともに見ていました。
一定の免疫がある思いの私にとっても、トランプ大統領の登場とその顛末は衝漿的でした。NATOは壊そうとする、米中対立も激化するし、北朝鮮のハンドリングも危なっかしいものだった。挙句の果てにキャピトルヒルの襲撃です。
そこまでの混乱を引き起こしたにもかかわらず、なぜまたトランプ再登揚なのか、今一度問いたい。
渡辺 トランプが台頭する背景に、民主党の左傾化もあります。主に気候変動、LGBTQの権利、人種正義といった文化・社会政策です。2020年大統領選で本選でのバイデン支持と引き換えに、サンダース陣営の次期政権への要求をほぼ丸呑みしたからです。ただし安全保障面は例外で、そのことが三牧さんの指摘とつながります。
今回、ハイデン陣営が一番懸念したのは、イスラエルの問題が起きて、「スクワッド」と呼ばれる四人の民主党女性議員やサンダース支持の若者たちが別の候補を擁立することでした。これをバイデン側が回避できているのは、皮肉ですがトランプのおかげです。トランプとの一騎打ちに勝つためにも、今はとにかくバイデンを支持してくれ、と。
一方、トランプ支持者は「本当は今もトランプ政権のはずだ」というわだかまりを引きずっています。しかも共和党の中で他の候補が育っていません。
さらにキリスト教保守、文化的な保守化という要素もあります。三人も保守的な最高裁判事を指名して現実にロー対ウェイド判決をひっくり返してしまったわけです。もちろんトランプ自体は経験なキリスト教徒ではなく、保守的な福音派の人たちはトランプを尊敬はしてないのですが。
遠藤 たとえばキャピトルヒルの問題などを共和党は気にしていないんでしょうか。
渡辺 共和党員だという意識の強い人たちとは別の人たちがトランプ前大統領を強く支持しています。政党支持と候補者支持は乖離しつつある。三牧さんのお話にあったバイデン政権のイスラエル政策に対する民主党内部での批判と同じことが、共和党とトランプの関係についても言えるでしょう。(中略)
三牧 バイデンは2020年も今回も、積極的に支持される存在ではありません。ラディカルな変革を期待し、サンだースを支持した人たちには、2020年の選挙は妥協でした。それでもサンダースの働きかけもあり、2020年大統領選では、バイデンはトランプよりも若年層から圧倒的に支持されました。しかし最近の世論調査では、バイデンはこの年齢層からの支持でトランプヘの優位を失いつつある。要因は様々ですが、若者の七割がバイデンのガザ危機対応への不支持を表明しており、これも関係している。民主党側には、いざ本選になれば、多くの罪に問われているトランプに、‘ハイデンが負けることはない、といったら楽観論があるようにも見えます。しかしこうした驕りは危険です。NBCの世論調査によれば、不法移民対策、経済政策、犯罪対策など、2024年大統領選で有権者が重視している項目について、ことごとくトランプはバイデンより信任されている。バイデンは中絶問題やLGBTQの権利、民主主義の用語といった価値の而ではトランプより信任されていますが、具体的な政策面に関してはトランプがリードしている現実がある。
目の前の危機を打開してくれそうだからと、順法意識に欠け、憎悪や差別を喚起するような発言を続け、暴力にも容認的なトランプがここまで支持されることは、市民の意識の問題でもあり、まさに民主主義の危機です。これは日本も無関係な話ではない。国民に対する政治家の背信行為が明らかになったとき、国民は選挙を通じ、常にきちんとその政治家にNOを突きつけることができたでしょうか。
「大きな分断、小さな統合」
遠藤 かつては4年に一度の大統領選挙にはある種の統合機能みたいなものが期待されていたように思います。しかし、もはやそれはまったく消失しています。先ほど渡辺さんが大統領候補支持と政党支持の乖離を指摘されていましたが、政党の統合能力も低下している。そう考えると、大統領選の機能が全然違うものになっている気がします。アメリカという国自体が歪な状態になる中で、選挙が機能しなくなったという点は重要で、この国の統合がうまくいかないことの悪しき影響が全世界に伝播されている。(中略)
遠藤 大きな分断と小さな統合。而白いですね。
三牧 渡辺さんがおっしゃる通り、近年のアメリカは選挙 やればやるほど国内の分断を深め、対外的に民主主義の魅力をまったく見せられていない。選挙結果を受け入れない大統領が登楊し、その支持者による議事堂襲撃まで起こってしまった。トランプ大統領は以前、国の習近平国家主席が任期を撤廃した際、「我々も試してみよう」と述べたことがあり、今回も大統領に返り咲いたら「初日だけは 独裁者になる」と豪語しています。トランプ支持の背景にあるものは多様ですが、トランプの政治観を共有する人、少なくともそれほど抵抗感を感じなくなっている人が多くなっていることは確かです。(以下略)
コメント:太字は私が加工しています。独裁者を辞任するトランプ。一度権力の味をしめたトランプにはその味が忘れられなかったのでしょう。独裁者になる等という言葉一つとってみても、品格のかけらもない人物だということが分かります。そして独裁者を支持する米国民、これはもう米国ではなく、プーチンが支配するロシアと紙一重です。そして私がここで敢えて強調したいのは、メディアを含む米国の知識層の沈黙です。第4の権力がなぜこの重要な時期に、事実上状況を看過しているのか。しかもこれは対岸の火事ではない。いやむしろ日本の方が先行しており、安倍政権の悪夢の8年間で、政権寄りのメディア(NHKも)を含め、我々日本国民は嫌というほど独裁政治の弊害を目にしており、いま自民党政権が裏金問題、インフレを含めて、その後始末に躍起になっているのです。
現在の米国の惨状(分断)は、我々が米国をもう(民主主義の)お手本にはできないことを意味しています。自民党銀と自民党支持者にもそれを早く理解して欲しいと思います。
関連記事:異例のイスラエル批判。米上院重鎮。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031500717&g=int
関連記事:米欧、イスラエルに圧力。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6494783
関連記事:バイデンがトランプをリード。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6494744
関連記事:バイデン、黒人支持者に響かず。
https://jp.reuters.com/world/us/7GR4ITYXGFNMTNCDYC6LIFRETA-2024-03-15/
2499.ネット社会を生きる 3.17
今回の前書きはちょっと古いが朝日新聞(3.15)の耕論です。
「災害時のデマ投稿・拡散 質より閲覧数稼ぎ求められる対策」
山口真一のメディア私評
2024年1月1日に起きた能登半島地震は甚大な被害を引き起こし、現在も被災地では復旧作業が精力的に行われている。このような災害時の人命救助や迅速な復旧に不可欠なのが正確な情報の提供である。
情報の発信・共有には、近年SNSが重要な役割を果たしている。11年の東日本大震災の際には、ツイッター(現X) が有効に活用され、被災地域の自治体アカウントからの1日当たりの投稿が増加し、フォロワー数は震災後に10倍に跳ね上がった。
さらに、SNSは被災地の状況や救助要請の情報共有にも利用される。例えば、東日本大震災では津波により子どもを含む約400人が公民館に孤立したケースがあったが、海外にいた家族がツィッターで救助要請を行い、その投稿が拡散されることで東京都の幹部が情報を得てヘリコプターでの救助を実現させた。
しかし、能登半島地震においては、X上で虚偽情報が大量に投稿され、災害発生の翌日には岸田首相が虚偽情報の流布を非難するに至った。災害時におけるデマの問題は重大であり、誤情報がパニックや混乱を引き起こし、避難行動の誤りや物資の誤った扱い、不適切な対応につながる。不要な救助隊の派遣や自治体の業務負荷増加も起こる。特に深刻なのは、人々がすべての情報を疑ってみなければならなくなり、正確な情報取得をする妨げとなることだ。
社会全体が大きな不安に包まれる大災害やパンデミック時には、デマが拡散しやすい。過去の関東大震災、東日本大震災、熊本地霙でも、様々なデマが拡散したことは事実である。しかし今回、大量のデマがとりわけX上に投稿されたばかりか、全く同じ内容のデマが様々なアカウントから投稿される事態となっていた。
例として、東日本大震災の津波映像を、今回の地震によるものと偽って投稿するケースがあり、数百万回も表示された投稿もあった。さらに、真偽不明の救助要請が「#SOS」「#拡散希望」などのハッシュタグを用いて広く拡散され、同じ内容の救助要請が複数のユーザーから投稿される現象も見られた。
このようなデマの大量拡散に関して、アテンション・エコノミーが重要な要因として指摘されている。アテンション・エコノミーとは、情報の質よりも人々の関心を集めることが重視される「関心経済」を意味している。情報の量が膨大になり、すべてを消費することが不可能な現代において、人々の注意を引きつけ、その関心や注目が経済的価値を持ち、交換財となる概念である。この概念が具体化している例が、インターネット広告の収入とPV(ページビュー)至上主義で ある。
アテンション・エコノミーの影轡範囲は近年急速に拡大しており、多くの個人がこの市場に参入するようになっている。かつてはメディア間の競争という枠組みだったが、現在では誰もが情報を発信できる人類総メディア時代に突入している。個人がウェブサイトを立ち上げたり、動画を投稿したりして、注目を集め、利益を得ることが可能となった。過激な内容は閲覧されやすいため、暴露系や迷惑系、私人逮捕系などの過激な動画を投稿し、注目を集める手法が活用されている。
Xにおいて、特定の条件を満たすユーザーを対象にした広告収益分配プログラムが始まった。Xは投稿のハードルが低く、拡散力も高いため、さらに多くの人々がアテンション・エコノミーに参入しやすくなった。これにより、人々の関心を引くための様々なデマが大量に投稿され、それが複製される状況が生じている。(中略)
プラットフォーム事業者には、適切な対策の実施が求められている。表現の自由を尊重することは前提である。しかし、社会の混乱を引き起こす虚偽情報に対しては、厳格に規約を運用する必要がある。虚偽情報の拡散による収益化の停止は、その対策の一環として有効だろう。
利用者側も、情報の扱いには注意が必要である。救助要請や被害状況に関する投稿であっても、安易に拡散しない姿勢が求められる。デマと知らずに拡散してしまうケースでは、怒りや不安といった感情や、情報を広げて助けてあげたいといったような利他的な感情が動機となっていることが多い。そうした感情に駆られた時ほど、情報の検証を行うことが重要である。
コメント:ネットが収益源になることがまず問題。もういい加減にネットの宣伝に制限を設けて、ユーチューバーなどという不健全な職業も自然消滅して欲しいものです。
一方で、情報を受け取り、或いは拡散する側としては、フェイクニュースを見極めるための、見識、或いは常識を身に着けなければならない。しかし問題はネット上の情報がフェイクかどうかを見分ける術が、我々(一般市民)にはないことです。
情報伝達は、言葉に嘘(意図的な虚偽)がないことを前提にしています。そうでないとコミュニケーションがなり立ちません。しかし、発信者の全てがまともな人は限らない。愉快犯もいるでしょうし、悪意のない誤解の場合もあるでしょう。でもそれはネット社会だけでなく、現実世界(アナログ)でもあることです。
では自分が受け取り、或いは中継する情報がフェイクではないことをどう保証すれな良いのか。我々に出来ることは、他のニュースソースと比較し、矛盾がないか、どちらがより真実に近いかを比べること。もう一つは信頼できる情報提供者を選ぶこと、及び自分の波長と合う有識者を選ぶことです。
後は自分の知識、価値観、経験を信じて、(個人的に)判断するしかありません。情報の選択や、コメントには嫌でも人格が反映する。だからネット社会でも、最後は人間性(個性)が決め手です。だから個性のないAIには無理なのです。一方で、個性は嫌われる場合も(当然)ある。好き嫌いがあるということは、出し手と受け手の双方に、価値感の相違があり、それゆえ、情報に多様性があることを意味しています。
ネット社会のプラスの面は、誰でも自分の意見を公開できることです。百花繚乱、種種雑多。1億の主張がネット社会を埋め尽くす。そこからどうやって自分に役立つ情報を引き出せるのか。偽情報や有害な情報から身を守れるのでしょうか。
残念ながら、その方法が確立されているとはお世辞にも言えません。ルールもなければマナーもない。そんな現状を具体的に指摘したのが上記の論文だと思います。
それでも、もう元(昭和)に戻ることはできません。でもネットの情報の海に飛び込む前に、やっておくことがあります。それは、人格(自我)を確立しておくことです。そうでないと付和雷同に陥り、フェイクな情報や、評判に振り回され、自分のプライドや評判のみならず、財産さえ失いかねない。少し批判されただけで落ち込むこともある。ネット(の情報)は両刃の剣です。相手を傷つけることもあり、自分も傷つく可能性があるのです。
ネット社会では情報を受け取るだけでなく、発信も出来る。だからその機能を活用しないと、価値も半分です。ネット社会では、批判も、議論も、対話も出来るのです。
ネット社会は未だ始まったばかりです。どういう方向に進んでゆくのか、本当に分かっている人は未だいないのではないでしょうか。
wtwも、編集者個人の価値観が色濃く反映しています。当然それを好まない人もいるでしょうし、私も、自分が絶対だというつもりもありません。だからと言って、自分の価値観や個性を、急に変えることも出来ません。従って、こんな情報でも、有効に活用してくれる人が一人でも増えることを願うだけです。
2500.小沢一郎 3.20
今日の最初の前書きは、朝日新聞(3.19)天声人語からです。
ひとりで近くのスーパーに買い物に行き、自宅アパートメントに戻ってきたところだった。 満杯の買い物袋を抱え、エレベーターに乗ったアンナ・ポリトコフスカヤさんは銃で撃たれ、亡くなった。2006年のこと、モスクワで起きた事件である。
彼女は、新聞記者だった。48歳で、息子と娘を持つ母親だった。プーチン政権の暗部を暴く記事を、何本も書いていた。幾度も脅迫を受け、毒殺されかかったこともあった。それでも怯むことなく、「私は書かなければいけない」と言っていた。
ロシアの治安当局がチェチェンで、どんな非道な殺戮をしたか。反テロ戦争はいかにその隠れ蓑にされたか。彼女が明らかにしなければ、虐げられた人々の証言は永遠に闇に埋もれていたかもしれない。(中略)
彼女の死から18年。銃撃犯らは逮捕されたが、黒幕の存在はナゾのままだ。記者へ の弾圧はさらに強まっており、政権に都合の悪い人物の不審死も絶えない。ウクライナ侵攻では、ロシア軍の残虐行為が繰り返されている。
きのうプーチン大統領の5回目の当選が伝えられた。ポリトコフスカヤさんが身命を賭して、訴えた言葉を反芻する。「勇敢でありなさい。そしてすべての物事を然るべき名前で呼ぶのです。独裁者は独裁者と」
コメント:さて我々は国会で平気で嘘をつく自民党の議員諸君をどんな名前で読んだらいいのだろう。
ついでに同じ朝日の朝刊から関連の川柳を二句。
取り合えず選挙しちゃえば民主主義。
死ぬ日まで主席総書記大統領。
更にもう一句。これは日本。
踏み込めば帰路が危うい深い森。
下村も世耕も、老害の頂点に立つ妖怪が潜む魔の森には踏み込めず。
前書きの二番目は、サンデー毎日(3.31)、倉重篤郎のニュース最前線です。長いがお付き合いのほどを。
「小沢一郎が仕掛ける!来年夏の衆参ダブル選挙で3度目の政権交代を実現する」から
(前略)(政権交代の効能は)第三に、宿命的に腐敗、傲慢化する権力に対する抑止効果である。今回の裏金事件が象徴的だ。政治家にとって最低限のモラル(立法者たるものの法遵守義務)が、組織的、慣行的に破られていた。検察権力までも人事により手中に収めようとした一強政治の驕り、ゆがみが極限にまで達していた。この権力の暴走を誰がどう制御、真っ当な権力に生まれ変わらせるのか。岸田文雄政権もしくはその亜流政権にそれが可能なのか。そこにもまた政権交代というダイナミズムの優位性が表れよう。
ことほどさように、政権交代の大義は日々強まっている。細川政権から民主党政権まで16年、民主党政権からまた15年が経過したことを勘案すると、またその周期が巡ってきたともいえる。
にもかかわらず、そういった雰囲気にならないのは野党がバラバラとの印象が強いからだろう。立憲民主党と日本維新の会は野党第1党争いをやめないし、国民民主党はなお独自路線を疾走、共産党は共闘から排除されつつあり、その他弱小野党も自勢力を維持するので精一杯だ。
誰か野党の束ね役はいないのか。小沢一郎氏はどうか。言うまでもなく、過去二つの政権交代の立役者である。前者では8党会派(社会、新生、公明、日本新党、民社、新党さきがけ、民主改革連合、社会民主連合)を、後者でも3党(民主、社民、国民新党)を束ねて多数派を確保した。
『朝日新聞』2月23日付紙面には、大島理森元衆院議長のインタビュー記事として、「第2の小沢氏、野党にいるか」という記事が掲載された。小沢氏的な剛腕な束ね役が政権交代のカギになる、との見立てを吐露したものだ。同感だ。ただ、小沢氏にはこの記事は面白くなかったようだ。「第二がいるわけないだろう。第ーがまだ元気なのに」と言う。その心境やいかに。小沢氏を直撃した。
裏金疑惑どう見える?
「明確な法令違反だ。何であんな馬鹿なことするのかと思う。僕も長年政治家をやっているが、普通あり得ない。『モリカケ桜』(森友、加計、桜を見る会問題)でも何のお咎めもない。安倍(晋三元首相)1強以来の、権力の驕りと言うか、倫理のマヒ状態だ」
検察捜査どう評価?
「官邸と世間の顔色を見ながらの捜査だ。いい加減だし、だらしない。逮捕したのは若手謙員1人だけで、不正を主導、容認した派閥領袖、事務総長クラスは事実上不問だ。脱税疑惑も捜査せず、政治資金に申告し直させている。あんなのでいいと言うなら僕に対する捜査は一体何だったのかと思う」
09年の検察捜査だ(小沢氏の資金管理団体『陸山会』の政治資金規正法違反事件。小沢氏は強制起訴されたが、一、二審とも無罪となり確定)。
「僕はきちんと政治資金報告書に記載していたのに強制捜査、そして強制起訴までされた。何か捜査すれば出てくるだろうと思っていたのだろう。検察総動員で捜査したが1銭も出なかった。捜査に行き詰まり、罪名を収賄罪から政治資金規正法違反へ訴因変更迄した。無理やりやった。正に国策捜査だった」(中略)
政倫審、役にたった?
「野党はもっと資料を集めて、ぎりぎり攻めないと駄目だ。あそこで釈明すれば許される、という一種の免罪符化が起きている」
裏金、誰が始めた?
「森(喜朗元首相)さんだという説がある。いかにも、という感じもある」
森氏参考人招致は?
「岸田首相がその気になると自民党はやらざるを得なくなるかもしれない。(中略)さらなる安倍派潰しのためにやらないとは限らない」
自民の75%が無派閥だ。
「それはーつの経過に過ぎない。いろいろ批判を受けたからそうなっているだけだ。人間には好き嫌いもある。自民党国会議員が衆参で370余人もいて派閥化しないわけがない。総裁選になると必ずできる」
世の中は納得する?
「そこまでやれば(総裁選での)再選は間違いない。森氏に義理のある人は自民党内にはもういない」(中略)
陣営から誰かを立てる?
「国民が飛びつくような人を立てなければならない。昔の名前で出ていますでは駄目。全くの新人が良い。総理としての能力云々というより、国民受けがよく、野党党首として全体を束ねられる人だ。それを年寄りが支えればいい」
そんな人物どこに?
「数人いる。男も女も含めてだ。右と左と両方の票を集められないと過半数にはならない。リベラルの固有の票以外にリベラル保守の支持も得られる人物だ」
共産党はどうする?
「もちろん、何らかの連携は必要だ」
維新は扱いにくい?
「そんなことはない。立憲の今の執行部と信頼関係がないだけだ。変わればうまくいく。維新は嫌でも取り込まなければ過半数にならない。大阪、関西が強い。国民民主とは連合を蝶番に連携は可能だ」
解散時期はいつと?
「首相官邸だって自民党だって、いま完全に勝てるという確証はないだろう。こっち もないが、向こうもない。そんな賭けをする必要が、岸田君にはないだろう。僕は3 年前から(25年の夏の)衆参ダプル選挙だと言っている」
あまり聞かない説だ。
「僕の意見を取り上げないだけだ。(根拠は?)岸田政権というのは意外と長続きするだろう、と言ってきた。 現実に2年半も続いている。低支持率でも選挙しない限り大丈夫だ。もちろん、日本経済がおかしくなれば別だが、それもすぐにばたっとはいかない。今の株価高は徒花だけどね。秋だって再選になるでしょう」
再選?
「だって他に誰がいるの。安倍派が潰されるのを見ていたら、誰も抵抗できない。 『宏池会解散』宣言だって、もう総理になってしまっているからできた。岸田君は総理という地位に執着、したたかに立ち回っている」
再選された岸田政権に翌年のダブル選で勝つ?
「そうだ。野党が政権を獲ったら自民党はバラバラになる。しかし、そんな中からいい人材が出てくる。与野党ともに混沌とした状況の中から、新しい政治が出てくる。日本の政治を変えるためには、どうしても政権交代というきっかけが必要だ。利権構造を壊す。そして新しいものを作る」
トランプ再選、どう見る?
「僕は米国の良識が最後には働くと思うけどね。トランプがなれば、世界はますます不安定化する。日本も困る。米国ファーストで経済も安保もガンガン要求してくるだろう」
日本に自立図る動きが?
「出てくる。日本の場合は、右翼の武装独立というゆがんだ形にならないよう気をつけなければならない。僕が政権にいたら米国に言う。あまり日本を追い込むな、また日米が戦う場になってしまうとね。米国には、安保だろうが経済であろうが、やることはやる、と言い、米国も公正で良識のある行動をとれと言うべきだ」
日本の国際的役割は?
「ウクライナもガザも日本は武力行使はできないが、医療や食糧、生活物資、仮設住宅等の支援をもっと徹底的にやるべきだ。ガザであれば浜辺に民間の輸送船、自衛隊の揚陸梃を並べてどんどん物資を送る。もちろん、国連のお墨付きを得ての行動だ。安保理では拒否権行使で封じられるから総会で了承を取りつけ、国連の措置として行う。イスラエルも国連旗の下での活動を邪魔できない。ウクライナも同様だ。日本には援助する武器はないが、医療や食糧、精密機械、建設機械等はいくらでもある」
中国をどう見る?
「習近平政権は見かけほど盤石ではない。毛沢東流に政敵をすべて逮捕、排除した上での安定だ。不満がどこかで必ず爆発する。不動産大手が2社潰れ、経済の悪化が心配だ。今は経済が何とか持っているから我慢しているが、経済が悪くなると、中国固有の大衆暴動が起きるのが歴史の教えるところだ。そうなると、台湾有事どころではない。中国本土が各軍区、軍閥による群雄割拠状態になる可能性もなしとは言えない」
日本はどうする?
「将来的には中国に民主主義を定着させるしかない。もちろん、日本一国でできることではなく、米英や韓国と連携して、外側から中国の民主主義を助ける。そのためには足元の民主主義を踏み固めなければならない。世界で権威主義陣営が台頭、民主主義陣営が受け身に回っている。日本はその流れに身をもって抗すべき時だ。そのためにも3度目の政権交代を起こし、国民主権、民主主義の健全性を示す。その時までは頑張り抜く覚悟だ。その意味では第二の小沢が出てくる余地はないだろう」
どっこい。第一の小沢氏は生きている。相も変わらずその政局観は明確だ。9 月に岸田再選、立憲も党首を代え来年夏にダプル選挙。そこで政権交代という勝利の方程式。画餅となるか、3度目の成功となるか。
コメント:3度目の成功を祈っているのは、私だけではないと信じます。
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