「オンライン・オピニオン」


「戦争とゴジラ」
「311は終わっていない」
「ほぼトラ」
「眠気こらえて」
「フェイク合戦」
「気象予報士」
「さくら」
「失言・暴言」


2501.戦争とゴジラ 3.23

今回の前書きは朝日新聞(3.22)からです。

[天声人語]
ゴジラはなぜ、東京にやってくるのだろうか。何度も何度も、日本の首都を襲うのだろうか。1954年に初代のゴジラが破壊して以来、国会議事堂は幾度となく、がれきと
化した。あの異形の怪物が暗喩するものはいったい、何なのか。

ゴジラとは「亡霊」なのだ、あの戦争で死んだ日本兵の「凝集体」なのだ、と書いたのは評論家の加藤典洋さんだった。南洋の海から怪物が現れるのは、私たちが死者に向き合っていないからではないか。著書『さようなら、ゴジラたち』に記している。

兵士たちは「尊い祖国の防衛のための犠牲者」だった。同時に「侵略戦争の先兵」でもあった。戦後の日本社会は、彼らのこの二つの異なる側面を「消化」できていない。戦後を考え続けた加藤さんはそう訴えた

戦没者を奉る靖国神社をめぐって、気になる動きが生じている。自衛官らの集団参拝が相次いで明らかになった。新たな宮司には、海上自衛隊の元海将が就くという。元将官の就任は初めてだそうだ

昔の傷口がうずくような、ひどく落ち着かぬ気持ちになる話である。 何がいま、自衛隊と靖国神社の結びつきを強めさせているのか。戦前の体制への回帰を強く懸念しつつ、しかと、その背景に目をこらしたい。
(以下略)

コメント:加藤某の見立てがどうであれ、またゴジラが気まぐれにぶち壊すものが何であれ、我々日本人は、大東亜戦争(太平洋戦争)と、これまで直接向き合ったことがあるのかどうかが、常に問題であった。今、戦後最大の防衛予算を組み、米軍との事実上の一体化(むしろ配下)が進められる時に、太平洋戦争で何が起きたのか、どうして起きたのか、どうすれば良かったのかに思いをはせる必要がある。
それを拒否する者にも、我々(リベラルとリベラル保守)のように、検証と総括の必要性を肯定する者にも、実は共通点がある。それは戦後生まれで戦争の実体験がないということだ。
しかし我々中高年の多くには、戦火をくぐり抜けて、戦後の貧しい時代を生き抜いてきた親がいる。無論彼らの多くは他界しているものの、我々のような彼らの子どもたちは親の記憶もまた受け継いでいる。
無論同世代の中にも、安倍や麻生のように、恵まれた生活しか知らない者もいる。
それでも、戦争を知らないということは、戦争を賛美する理由にはならない。歴史はいつも最善の教科書である。我々は、常に時代の流れを振り返りつつ、今後の進路を決めてきた。これからも多分そうだろう。
その思考過程で、太平洋戦争(東亜戦争)だけ参考にしないという理屈は見当たらない。
取り分け太平洋戦争から学ぶべきこと(歴史の示唆)で、私は二つ大事なことがあると思う。最初は、どんな場合でも、基本的人権は、人種、国籍を超えて尊重されなければならないということ。
そしてもう一つは、国民が自分の命や財産を『自分で』守るためには、世間のどんなに些細な動きや傾向でも見逃すことなく、その真意と背景を、一度は疑ってみる必要があるという事である。一切疑う(もしくは批判)こともしないで、政治家の演説や、官僚の説明、そして専門家の意見を鵜呑みにしていれば、次にやって来るものが経済的な繁栄や平和であるという保証などどこにもないのだ。今の自民党政治を見ていればわかるように、政治家の善意や正直、理想や自己犠牲などというものに、期待出来ないことは、我々は嫌と言うほど、学習してきたではないか。従って、任せておいた挙句に、次の太平洋戦争が起きないという保証もないのである。
なおこの疑う対象は、政治なら与党のみならず、野党でもあり、また経済や社会も対象になるのである。



2502.311は終わっていない 3.27

今回の前書きは、サンデー毎日(4.7)の「東日本大震災は終っていない、M8級を引き起こすアウターライズ地震の怖さ」鎌田浩毅 京大名誉教授からです。
但しお世辞にも(失礼)読みやすい文章ではないので、結論部分だけをご紹介します。

(前略)
『緩めてはならない陸域・海域の警戒』
アウターライズ地震は震源域が沿岸から離れているため、津波到達までに時間がかかり、陸上の震度が比較的小さくなる傾向があります。一方、震源が浅い海底にあるため、揺れがさほど大きくない割に大きな津波が襲ってきます。

明治三陸地震では2万人以上の犠牲者を出し、38mの巨大津波に製われました。こうした事実があったのにもかかわらず、昭和三陸地震では避難が遅れて多数の犠牲者を出しました。地球科学者にとって自然災害の啓発がいかに困難かを痛感した事例です。

明治三陸地震と昭和三陸地農の間隔は37年でしたが、地霞の破壊現象は「複雑系」 なので、この期間が東日本大震災のアウターライズ地震に適用できるわけではありません。よって、もし海岸で大きな揺れを感じたら直ちに高台へ避難し、警報解除まで留まる必要があります。

日本列島は東日本大震災以来1000年ぶりの「大地変動の時代」に突入し、数十年という時間軸で地震が頻発するでしょう。陸域と海域で発生する地震への警戒を、今後も緩めてはなりません。加えて日本列島では2035年±5年に南海トラフ巨大地震の脅威が西日本に迫っています(鎌田 浩毅著『知っておきたい地球科学』岩波新書を参照)。

地震調査委員会は、今後30年以内にM7クラスの首都直下地農が起きる確率を70%と試算しています。こうした中で、地震が起きる日時を特定する地震予知は科学的に不可能であることを日本地震学会も認めています。

東日本に暮らす方々にも「地震学的には東日本大震災は終わっていない」ことを、改めて認識していただきたいと思います。千葉県東方沖も含めて首都圏全域で万全の地震対策に取り組んでください。

コメント:そのつもりです。私たちの地域では、防災活動を、年度を超えて引き継いでゆくための具体的な手段として、自治会の防災担当役員に加えて、ボランティアの専門委員を他薦・自薦で任命し、防災資器材やノウハウの継承に抜けが起きないように、努めています。


【注目】

・大谷会見。
https://www.yomiuri.co.jp/sports/mlb/20240326-OYT1T50108/
コメント:私も説明を生放送で見ました。米メディアの言うように、どうやって大谷の口座から「第三者」が送金できたのかは分かりません。「第三者」が大谷の口座番号とパスワードを知っていなければできないからです。仮に大谷自身が送金したのなら、送金先が不正賭博の胴元と知っていたかどうかが焦点です。水原に金の管理まで任せていたという方が、未だ救いがあります。更にこれが単なる賭博の問題に終わらないのは、野球賭博の可能性があることです。そうなると内部情報の問題が出て来るからです。加えて水原の逃亡はマイナスに働く可能性があります。証言したくない内容があったと思われるからです。会見で一つだけ良かったのは通訳(アイアトン)です。本質だけを手短かに伝え、誤解しやすい表現の連続なのに、大谷の意図を正確に表現していました。日本の一流の通訳でもここまでは出来ないでしょう。以下は通訳に関する関連記事です。
関連記事:米メディアが通訳に脚光。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6495893

・23年難民認定過去最多の303人。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6495865
コメント:いやむしろたったの300人でしょう。法務省関連のこれまでの事件報道を見る限り、法務省が、もっと民主主義や人権の思想を尊重するようにならないと存在する理由がなくなると思います。24年は是非とも法務省の精神的かつ抜本的な改革をお願いします。確か話題の上川(外相)も、法務相だったと記憶しています。

・勝組人生、ギャンブルで暗転。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240326-OYT1T50058/
コメント:ハマコーや大王製紙が有名。ところが私にはその心理が分からない。私は酒もたばこもやらず(できず)、異性に(無論同性にも)関心はない。博打は更に興味がなく、競馬場に足を踏み入れたこともない。米国ではラスベガスやアトランティックシティ(ニュージャージー州)、欧州ではウィーンのカジノにも行ってみたが、興味が長続きしなかった。基本、運任せのゲームでは、自分の意志や、熱意が反映する余地がない。だから勝っても負けても感動というものがない。統計学でも必ず胴元が勝つという結果が出ている。ならば金のかからないドラクエで遊んでいる方が未だまし。実際今やっているのは数独の超難問だけ。後は食って寝てを繰り返す日々。昔の言い方なら朴念仁。ならばギャンブルに熱中し、例え一瞬でも生きがいを感じられる方がましだと言う人がいるかもしれない。でもここで人生の構成要素を思い出してみて欲しい。賭博の他に、どれだけ多くの楽しみが潜んでいるだろう。その多くは私も未だ経験しないものだけれど、偶然の幸運だけが、人生の生きがいなら、この世の中は、とても殺風景でつまらない場所になってしまうだろう。

・首相はしたたか。甘く見るな。小沢。
https://mainichi.jp/articles/20240326/k00/00m/010/192000c
今回の前書きは朝日新聞(3.22)からです。



2503.ほぼトラ 3.28

今回の前書きは週刊文春(3.28)の、町山智浩の言霊USAです。

「究極かつ絶対的な復讐」
3月5日は「スーパーチューズディ」」、共和党では、全米15州で大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、11月の本選でのパイデン大統領とのリターンマッチが確実になった。
現在、全米各州でトランプの支持率はバイデンを上回っており、このままだとトランプ再選は避けられない。

では、トランプは大統領に返り咲いたら何をするつもりなのか?

まずは復讐だ。

2月24日、メリーランド州で開かれた共和党右派の集会CPACでトランプは「私の究極かつ絶対的な復牲」について演説した。「アメリカ人にとって、11月5日(大統領選挙)は新たな解放の日となるだろう。私たちの政府を乗っ取った嘘つき、詐欺師たちにとって審判の日となるのだ!」

「政府を乗っ取った嘘つき」とは、2020年の大統領選挙でトランプに勝ったパイデン以外にいない。トランプは票を盗まれたという根拠のない主張をL続けているので、今回の大統領選に勝ったら、バイデンを選挙不正で逮捕しないと整合性がなくなる。

また、トランプは連邦議会襲撃を扇動した件など合計91の罪で刑事告訴されているが、ワシントンポスト紙によると、トランプは自分を起訴した司法担当官たちを刑事告訴する準備をしているという。つまり現司法長官のメリック・ガーランドや特別検察官ジャック・スミス、FBI長官クリストファー・レイ、マンハッタン地区検事のアルビン・プラッグなどだ。

「敵は司法省とFBIを武器にして私を攻撃している」トランプは2月ニューハンプシャーの集会でそう演説した。・

「私も大統領になれば、奴らに同じことをしてやる」

そのため、 トランプは司法省やFBIを自分に忠実なメンバーに入れ替えるつもりだ。2020年10月 にトランプは政権末期に公務員5万人をトランブ支持者と交換しようとしていた。それを今度こそ実行するのだ。

「政府機関に寄生するコミュニスト、マルキシスト、レイシスト、極左凶悪犯を根絶するのだ!」

去年3月、ニューハンプシャーの集会でトランプは叫んだ。でも、政府に共産主義者がそんなにいるわけがない。彼の言う極左とはただのリベラルや民主党支持者で、彼の言う「レイシスト」とは「白人優位を批判する人」という意味である。

これはハッタリではない。(中略)「ヘリテージ財団」は、既に「2025年大統領移行プロジェクト人材データベース」で履歴書を集めている。

しかし、そんな大粛清が法的に可能なの?

第一期のトランプは憲法違反の大統領令を連発した。イスラム教国からの入国を禁止し、アメリカで生活している不法滞在者を捜索して検挙して強制収容所に放り込み、メキシコとの国境を越えて入国する不法移民を「迎え撃つ」ために軍隊を派遣する……。そのたびに違憲とされて裁判所に阻止された。

だが、今度は違う。違憲審査をする連邦最高裁判所の判事9人のうち6人が共和党員で、そのうち3人がトランプの任命だから。司法を味方につけたトランプほど恐ろしいものはない。

トランプの復活を誰よりも恐れているのはウクライナだ。

ウクライナはロシアとの戦いで劣勢で、武器弾薬が不足している。だが、アメリカは追加支援していない。共和党のトランブ派が支援を拒否しているから。このままトランプが大統領になればウクライナ支援は打ち切られるかもしれない。

「私はウクライナの戦争を1日で止めてみせる」

トランプは繰り返し言っているが、それはウクライナを勝たせるという意味ではない。トランブの案は、ウクライナに国土の2割をロシアに譲り渡させることだ。

「トランプはプーチンと戦わないんだ」

ブーチンは2016年の米大統領選にサイバー介入した。民主党のメールをハッキングしたり、SNSでプロバガンダをしたり……それはアメリカの諜報機関が確認した事実だが、大統領になったトランブはブーチンを責めるどころか、彼と会見して握手して「索時らしい男だ」と褒め称えた。まあ、 選挙で自分を勝たせてくれたんだからね.

ロシアがウクライナに勝てば、EU(欧州連合)に危機が迫る。だが、トランプは「EUを助けに行かない」と言っている。EU高官ティエリー・ブルトン氏によると、トランブは2020年に「アメリカはNATOを離脱する」と語ったという。実際、トランプは2月のサウスカロライナ州の集会で「コストを払わないNATO加盟国には、ロシアの好きなようにさせてやる」と発言した。

・ロシアだけじゃない。トランプは去年7月、台湾が半尊体ピジネスを独占していると非難し、「中国から守りますか?」と聞かれて答えを拒否した。

トランブのアメリカ第一主義と孤立主義は、80年近く続いてきたパックス・アメリカーナを終わらせる。ならず者国家が好き勝手に他国を侵略し、独裁者が民主主義を踏みにじり、世界は無秩序なカオスに突入する。

「トランブの今回の任期はたった4年だから、少しの辛抱さ」という人もいる。しかし、共和党でトランプに抵抗するリズ・チェイニー議員はトランプが大統領の任期を延長する可能性を警告している。なにしろトランブは2018年に中国の習近平との会見で彼が終身主席になったのをうらやましがり、「私も試してみたい」と言っているのだから。

コメント:町山はBSでも番組を持っていますが、そちらではもっと穏やかな表現を使っています。しかし私は文春のこの記事が一番、自分の感覚にマッチしています。だからこそ、トランプが当選したら何が起きるのか、考えたくもありません。そしてトランプを支持する米国民(共和党)の頭の中身が全く理解できません。愚かな国民が自分さえ良ければ(アメリカ・ファースト)いいと言う。そんな国に追随していたら、いいように収奪され、挙句は使い捨てにされる。そうは思いませんか。与党の政治家諸君。


【注目】

・戦闘機の輸出解禁。国民的議論なき原則の空洞化。朝日社説。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15896812.html?iref=comtop_Opinion_04
コメント:一読を。



2504.眠気こらえて 3.29

時には眠気をこらえて深夜まで、歯をくいしばって続けているこのwtwですが、一番得をしているのは自分だということに、改めて気が付きます。なぜならニュースは、時勢を把握する最良の教師(もしくは素材)だからです。経験を積めば積むほどに、即ち多くの情報をこなすうちに、真実と虚偽、及び全体の情勢を見極める眼識が備わってきます。物事の本質を捉えることが出来れば、投資での失敗も少なくなるし、ポピュリズムのあだ花政治家や独裁政治家に惑わされることもなくなります。鑑定団ではないが、本物と偽物の区別がつくようになります。即ち世間と人を見る眼の確かさです。同時にそれが、いやそれだけが、私が皆様にお贈りできる数少ないメリットです。



2505.フェイク合戦 3.30

今回の前書きは朝日新聞(2.30)の異論のススメ・スペシャル、トランプ現象と民主主義、佐伯啓思からです。
「検証不可能な事実、推し通す己の価値、陥るフェイク合戦」
米大統領選挙はまだ半年ばかり先であるが、すでに、トランプ現象が再来しつつあるようだ。再び現職の民主党バイデン大統領との対決になることが確実な情勢だ。

すでに両候補ともに、「相手は民主主義を破懐する」といっているのが少し面白い。バイデン氏は、前回大統領選の結果を認めないトランプ氏に対し、民主主義の破壊者と批判し、一方トランプ氏 は、バイデン氏側が、司法を政治的圧力として利用していると批判し、民主主義の破壊だという。

前回の2020年の大統領選挙でも「民主主義」が争点となった。トランプ氏が表面に出てくると、常に「民主主義を守れ」といった言葉が飛び交うのは、まさにこの人物の特異なキャラクターのなせるところであろう。

と、ひとまずいうことはできるが問題はそれほど単純ではない。いくら「民主主義の破壊者」と呼ばれても、トランプ氏はまったく意に介さず、様々な批判や司法的な嫌疑にもかかわらず「復活」してくる。この「トランプ現象」を前にすれば、改めて「民主主義とは何か」と問いたくもなってくる。

私が関心をもつのは、「フェイク」と民主主義の関係である。

「フェイク」とは捏造することだ。ある言説が「フェイク」か否かは、「事実」に照らせばわかるであろう。だが、何でも事実によって検証できるわけではない。たとえば、トランプ氏の持論である「中国からの輸入が米国経済に打撃を与えている」という主張にせよ、「移民が米国労働者の仕事を奪っている」にせよ、「事実」によって容易に検証できるものではない。

こうして多くの言説は、厳密な検証は不可能で、それゆえ、フェイクといえばフェイクになってしまう。かくて、トランプ氏とメディアの間で、双方ともに相手の言説をフェイクだと決めつける「フェイク合戦」になってしまった。

どうしてこうなるのであろうか。ここで問題となっているのは「事実」ではなく「価値」だからである。客観的事項ではなく、主観的意見の対立なのである。

トランプ氏やその支持者からすれば、重要なのは事実ではなく、「アメリカ・ファースト」や「米国を強くする」という価値なのである。この価値こそが彼らにとっては決定的に重要なのであり、「事実」は問題ではない。

かりに、トランプ氏の主張が事実に反するということが明らかになったとしても、彼の支持者は、この事実を、反トランプ派による捏造だ、というであろう。

そして確かに、メディアの報道にせよ、事実の検証にせよ、客観的かつ中立的に現実を映し取っていることはまれであろう。いかにデータや証言を提示しても、データのとり方やその解釈において、その「事実」を論じる側の立場や主観が入ってくるからだ。

これでは、政治は「フェイク」の霧のなかを危なっかしく進むほかない。今日すでに、SNSが真偽不明の情報を昼も夜も垂れ流しているが、今後、生成AI(人工知能)が広範囲に使用されれば、もはや「フェイク」と「事実」の区別を問うことさえ意味を失いかねない。

A1時代には、AIによって捏造されたバーチャルな事実こそが、現に、われわれの意見や行動を左右し、それが「現実」を実際に創り出してしまうからである。 果たして、このような近末来に われわれは民主主義に信頼をおけるのであろうか。

(中略)

実際、個人の自由と価値の相対主義を唱えるはずのリベラルも、自己の奉じるリベラルな価値だけは決して譲らない。自らのリベラル的主張は正義だという。そしてそれが行き過ぎると、ポリティカル・コレクトネスのような不寛容な正義の絶対化になる。

ここにリベラルの傲慢と欺瞞を感じた人たちがトランプ支持者になったのだ。それならば「本音」をどなりちらし、あからさまな「フェイク合戦」を挑むトランプ氏の方がわかりやすいのである。

大衆扇動は民主主義の異形というより、その根本的な性格のひとつである。トランプ現象はそれをあらわにしてしまった。

だがその背後にあるものは、「馬とは何か」というソクラテスの問いを排除し、「大衆は黒い馬が好きか、白い馬が好きか」と論争に興じ、また「馬を速く走らせるにはどうすればよいか」という効率追求に走った現代社会の風潮そのものであろう。

コメント:現状分析としては面白いし、分かり易いが、だからと言ってリベラルの旗を降ろす気にもなれない。フェイクを仕方がないと諦めるつもりもない。なぜなら誹謗中傷には事実の裏付けがなく、他方批判には事実の裏付けが必要だからだ。フェイクがフェイクであるかどうかは、情報を流す本人しか分からない。即ちその情報には悪意という「意図」が込められている点が、事実の報道とは異なる最大の点なのである。



2506.気象予報士 3.30

今回の前書きは雑談です。

最初の話題は庭の椿です(写真参照)。せっかくきれいに咲いているのに、大小様々な鳥が
しかもつがいでやってきては、花の蜜を吸いまくっています。
おかげで花が散ってしまいます。
野鳥が来る庭は素敵だなどと思う方は、考えを改めることをお勧めします。

二番目の話題は、水原の違法賭博の問題に巻き込まれている大谷の、奥さん
の方です。背も高いし、顔立ちにも嫌味がなく、お似合いの二人だと思って
いましたが、同時にどこか夫妻が似ているという印象もありました。
でもそう思ったのは私だけではないらしく、今夜も生でさだまさしという番組で、
さだが以前、新幹線の車内で、大谷のお母さんに会ったことがあるという話を
していました。お母さんは今の奥さんにそっくりなのだそうです。
だから大谷夫妻が似ているのも当然だと思いました。大谷がマザコンか
どうか迄は分かりません。

最後は女子アナの話題です。女子アナは画面を通じて毎日のように
接するので、たまに見かけるタレントや女優より、遥かに身近な
存在です。そういう時には、やはり見た目も良く、感じの良い人で
あって欲しいと思います(差別ではありません。個人的な
希望です)。

でも今回はアナウンサーではなく、気象予報士の方です。
NHKの近藤奈央氏がそれで、ぱっと目立つような人ではないが(失礼)
あえて指摘したいのはその服装のセンスです。
例えば、最近寒い日が続いて、毎回オーバーでの登場となりましたが、
オーバーも取り換えており、柔らかい色のセンス、或いはマフラーとの
コーデが、私にはとても心地よく感じられたのです。

男性も女性も、詰まるところ、雰囲気が全てです。
雰囲気を上手に演出できれば、印象は大きく変わります。
無論そこでは見た目と同様、話し方や、話の内容(すなわち教養)も
大きな要素です。

さて皆様は如何お考えでしょうか。但し私は素材が良くないので、
最初から対象外であり、(裏方として)目立たない格好に徹しています。



2507.さくら 4.1

私の好きな歌に、森山直太朗の「桜」があります。
その歌詞の一部は以下のようなものです。

(前略)
さくら さくら 今、咲き誇る
刹那に散りゆく運命と知って
さらば友よ 旅立ちの刻
変わらないその想いを 今

(中略)
さくら さくら ただ舞い落ちる
いつか生まれ変わる瞬間を信じ
泣くな友よ 今惜別の時 
飾らないあの笑顔で さあ

さくら さくら いざ舞い上がれ
永遠にさんざめく光を浴びて
さらば友よ またこの場所で会おう
さくら舞い散る道の上で

無論これは若者の旅立ちの歌ですが、
我ら高齢者の「旅立ち」にも使えそうな気がします。



2508.失言・暴言 4.4

ウェブへの掲載を始めてから50年、何処のどなたがこのサイトをご覧になり、どんなお役に立っているのか、いないのか、こちらからでは皆目分かりません。でも何人か見ておられる方がいることは確かで、それが分かったのは311の時です。

日本のメディアでは、被害範囲などの情報が全く分からず、何より放射能がどう広がっているのかという肝心の情報がありませんでした。関東まで広がっていれば、こちらも避難の準備をしなければなりません。そこで海外(確かドイツ)の情報を探して、当面の危険性はない旨の情報を掲載したところ、(初めて)反響(お便り)がありました。

その方が今でも読んで頂いているのかどうかは分かりません。でもその時感じたのは、人間は感じ方も、知りたい事も同じだという事です。いまでは海外の情報も集めて紹介するという形はとっておらず、情報の対象範囲は国内に限定していますが、自分が関心のあることは、他の人にも関心があるという前提が、このコラムの精神の根幹を成しています。

プロのジャーナリストなら、政治家から直接取材も出来るのでしょうが、アマチュアにそれはできません。皆さんと同じメディアの、同じ情報を読んでいるだけです。ではどこが違うのかというと、複数の情報源に目を通して、ベストの情報を選ぶようにしている点です。普通の市民なら新聞を購読しても、せいぜい1紙や2紙でしょう。でも私は10種類以上のメディアに目を通すようにしています。

昔は社内で新聞を読むのは窓際族の仕事でした。ならばそれを徹底して見ようと思いました。その時の職場はNYで、駐在員事務所の役割の一つが情報収集なので、矛盾はありません。また日本とは全く情報源が異なるというメリットもありました。帰国してからも、NYタイムズやWSジャーナルを継続して読んでいましたが、数日遅れではあまり意味がなく、全面的に日本のメディアに切り替えました。

なるべく多くのメディアに目を通すことに加えて、もう一つ大事なことは、記録性と継続性です。メディアはどんな事件や事象でも、直ぐ飽きてしまう傾向があります。しかし、重要と思った事件なら、こちらは何年でもフォローします。これもメディアには出来ないことです。

政治家や有識者、専門家の意見でも、これと思うものは要約や抜粋を残します。政治家や専門家が、以前何と言ったのか、そして今はどう言っているのか。これをざっくり言えば語り部です。語り部のメリットは、情報の継続性です。世間が許しても(または忘れても)、俺が許さん…というアレです。

裏金問題ではないが、自民党の政治家は、今はひたすら頭を下げていれば、嵐が頭上を通り越し、その内国民は忘れて(禊が済んで)、また復帰するという魂胆です。でもそれを忘れない国民が一人くらいはいてもいいのではないか。某氏は、こうおっしゃるが、同じ人は過去にこんなことを言いましたよねと揚げ足を取る。またはお節介をする。少なくとも、同じ過ち(アベノミクスや集団的自衛権のように)だけは繰り返さないように、警鐘を鳴らして、国民(その中には自分の子孫も含まれる)を、少しでも政治や行政の暴走から守りたいというのが私の願いなのです。

今回はこの流れで、ひとつご紹介したい番組があります。それはBS211で月一度放映している鈴木哲夫の番組で、今回(3/29,鈴木哲夫の永田町ショータイム、政治家の失言・言い逃れ、不適切にもほどがある)は過去の政治家の失言の特集でした。例に挙がった暴言を以下に列挙します。

日本は単一民族だから教育水準が高い 中曽根首相(1986年)
なりたくて首相になったんじゃない 宇野首相(1989年)
日本は天皇を中心にした神の国、無党派層は投票に行かないで寝ていてくれればいい 森首相(2000年)
早く料亭に行きたい 杉村衆院議員(2005年)
私の友人の友人がアルカイダだ 鳩山法相(2007年)
自衛隊は暴力装置 仙谷官房長官(2010年)
女性は子供を産む機械 柳澤厚労相(2007年)
アルツハイマーの人でもわかる 麻生外相(2007年)
広島・長崎への原爆投下はしょうがない 久間防衛相(2007年)
核を持たない限り一人前には絶対扱われない 石原都知事(2011年)
いつの間にかナチス憲法に変わった、あの手口に学んだらどうか 麻生副総理(2013年)
米軍は風俗産業活用を 橋下大阪市長(2013年)
全く正しいとおもいますよ、私は総理大臣なんですから 安倍首相(2015年)
女性が沢山入っている理事会の会議は時間がかかります 森元首相(2021年)

正に突っ込みどころ満載の、オンパレードです。日本がなぜ世界で尊敬されないか。もしくは政治家が三流だと言われるかの理由が良く分かります。未だ現役の議員もいれば、退職後にTVに出演している者もいる。但し鳩山は邦夫(故人)の方です。杉村太蔵が時々変なことを言うと思っていたら、最初からネジが緩んでいたことが分かりました。麻生や石原の右翼体質もそのままです。論破が好きな橋下徹は、実は差別主義者であることが分かります。維新は、自民党が支配する不毛な日本の政治の風土で育った毒キノコのようです。

非力な一人一人の国民に出来ることはあまりありません。それでも、世界の情勢から眼を放さずに、記憶(記録)し、比較し、指摘し、書き残す。それが人権や正義や民主主義を守る上で、少しでも役に立つのであれば、私は誰が読むとも分からないコラムにかける、毎日の数時間を惜しむつもりはありません。