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2581.内戦 7.16
トランプが狙撃されました。文藝春秋の8月号(1450円!)を読んでいたら、以下のような記事が目に留まりました。関係がありそうなので、通読、要約(但し長め)してみました。
「米国で南北戦争が再び起こる日」
2021年1月6日に突如起きた前代未聞の「連邦議会襲撃事件」。トランブ氏の大統領選敗北を認めない支持者が議事堂を占拠し、警官ら5人が死亡。1000 人以上が訴追され、トランプ氏自身もワシントン連邦地裁に起訴された。「あり得ないことが起きた!」と世界を震撼させたこの事件を半ば“予言“していた政治学者がいる。カリフォルニア大学サンディエゴ校・政治学教授のバーバラ・ウォルター氏だ。戦略学者の奥山真司氏が”予言的中“の理由と今秋の米大統領選について尋ねた。
―『アメリカは内戦に向かうのか」という衝撃的なタイトルのご著書は、日本語版(井坂康志訳、東洋経済新報社)も出ていますが、なぜこの本を書かれたのですか。
ウォルター 私は政治学者として世界中の「政治的暴力」を研究してきました。1990年からは「内戦」を研究しています。2017年から2021年にはCIAの「政治的不安定性タスクフォース」のメンバーに加わりました。どの国が政情不安や政治的暴力に見舞われる可能性が高いかを「モデル」を使って予測するのです。
そこで過去の政治的暴力や内戦に関する研究を調べ上げた結果、38個の変数を見つけました。統計的に一度でも有意であると判断されれば、とりあえず「変数」としてカウントしたわけです。貧困、民族多様性、人口規模、領土の大きさ、不平等、腐敗、地形(湿地帯や山岳地帯が多いかどうか)などです。
さらにアナリストたちは、予測値が最も高く変数の数が最も少ないモデルに辿り着くまで試行錯誤を繰り返しました。その結果、「本当に重要なのは二つの変数だ」ということを発見したのです。しかもそれは私たちが予想していた変数ではありませんでした。
第一の変数は、「アノクラシー」と呼ばれるものです。
世界には、民主主義の特徴を持つ国、独裁的専制の特徴を持つ国がありますが、その中間にある「アノクラシー」と呼ばれる政体の国があります。この「部分的民主主義」と呼ばれる国家では、政情不安や内戦に至る危険性が、「専制国家」の二倍、「民主主義国家」の三倍にも及んでいたのです。
北欧のような十全な「民主主義国家」で内戦が起きることはほとんどありません。北朝鮮のような抑圧的な「専制国家」で内戦が起きることもほとんどありません。例えば中国には反乱を起こすだけの理由を持つ集団が数多く存在しますが、実際に反乱を起こすチャンスは彼らにはありません。他方、民主主義国家にも不満を持つ集団が存在しますが、システムを変えるための暴力以外の平和的な方法を彼らは手にしています。「内戦」はいずれでもない「中間的な政体」で起こるのです。
私たちの当初の予想に反して、内戦リスクが最も高い国は、「最貧国」でも「不平等国」でもなく、さらには「民族的・宗教的に多様な国」でもなく「抑圧度の高い国」でもありませんでした。むしろ部分的に民主主義が機能する社会、すなわち「アノクラシー」―専制国家から民主国家への移行過程、民主国家における民主主義の退行過程―の国において、「内戦」が起こるリスクが高かったのです。
ただし、すべてのアノクラシー国家が内戦に陥るわけではありません。シンガボールのように、長年、専制的な国家体制が保持されながらも、暴徒化することなく、平和と安定を見出す国も存在します。
―もう一つの変数は何ですか。
ウォルター「民族、宗教、人種的アイデンティティによる政治的分断の激化」という変数です。
ただ誤解してはならないのは、多民族を抱える国が他国より必ずしも内戦が勃発しやすいわけではない、ということです。
タスクフォースでは、「国内の民族・宗教グルーブの数と種類」よりも「民族がいかなる権力と結びついているか」を分析することで、一つのパターンを発見しました。内戦に陥る国には「イデオロギー」より「民族、宗教、人種的なアイデンティティ」に基礎づけられた「政党」が存在し、他者を排斥する「派閥主義(factionalism)」の特徴が見られるのです。
アイデンティティに訴える政党は、政治信条に基づく政党よりも柔軟性を欠き、妥協をいっさい拒否します。ユーゴが内戦に突人したのは、クロアチア人、セルビア人、ボスニア人が互いに消しがたい憎悪を抱いていたからではなく、機会主義的な指導者が、恐怖や憎悪を掻き立て、権力獲得のために小規模の武装集団を利用したからです。同じ悲劇がルワンダのフツ族とツチ族の間でも起きました。
タスクフォースでは、この二つの特徴ーアノクラシーとアイデンティティによる政治的分断―を持つ国を「監視リスト」にピックアップし、ホワイトハウスに提出していました。会合では、「エチオビアで何が起きているか」などと世界中の国について情報交換をしましたが、ただ米国については議論する機会はありませんでした。そもそもCIAには米国内に関する調査は、法的に認められていないからです。
しかし私は民間人です。そこで私は、米国の政党に目を向けて、何が起きているのかを二つの変数に注目しながら本格的に調べ始めました。
―実際に何が起きていたのですか。
ウォルター 米国には民主党と共和党の二大政党がありますが、仮に私が比較的裕福なら、「おそらく共和党支持者だろう」とあなたは予想するでしょう。減税を望む私は、財政的に保守的な共和党の政策とマッチするからです。逆に私が労働者階級の白人なら、福祉政策やセーフティーネットを重視する民主党の政策を好むでしょう。
ところが、2008年以降、「労働者階級の白人」が民主党から離れ始め、共和党に投票するようになりました。今日、共和党支持者の90%が白人です。
二番目に確実な指標は、福音主義キリスト教徒かどうかです。白人で福音主義キリスト教徒なら、ほぼ間違いなく共和党支持者でしょう。
以前の米国では、人種による支持政党の固定化はここまで起きていません。ところが白人の人口比率が低下していくなかで、共和党は「白人の政党」と化してしまったのです。
そして例の「1月6日」がやってきました。すると担当編集者が「なんてことなの、あなたの書いている通りじゃない!」と。ただし、「こんなことは一度きりの事件で、二度と起こらないわ」というのが彼女の反応で、私は、「一過性の事件ではなく、何か大きなことの始まりだ」と答えました。
「内戟」は突然、始まる
―事件後に多くの取材を受けられましたね。
ウォルター 事件の前、私の話を聞いた人の多くは、「大げさな話だ!」と取り合ってくれませんでしたが、これはある意味で納得できる話です。というのも、世界各地で内戦に巻き込まれた人々にインタビューしたところ、 彼らが口を揃えて言ったのは、「信じられないことが起きて驚いた!」ということだったからです。
「内戦」は突然、始まるものなのです。皆が普段通り仕事に行ったり、結婚式に行ったり、休暇を取ったりと、日常生活を送っている時にいきなり発生するのです。
私は、米国における民兵の増加、ヘイトクライムの増加、ユダヤ人などマイノリティグルーブを標的とした国内テロの増加について研究していましたが、このような“癌”が大きくなっていることに、ほとんどのアメリカ国民は注意を払っていませんでした。
1月6日以前、米国内で起きるテロの主要な発生源は、「国外の過激派イスラム教徒」と見られていました。それに対して私は、最大のテロ組織は、「国内の白人至上主義・反連邦政府主義・アメリカ第一主義」から生じると指摘していました。しかし誰もこのことに目を向けず、民主党も共和党もうやむやにしてきました。白人の有権者を遠ざけることになると考えたからでしょう。
事件を機にFBIはようやくこの問題に取り組み始め、ついに民兵組織のリーダーを逮捕し、刑務所に収監し始めました。事件のポジティブな効果と言えます.もし1月6日の事件が起こらなかったら、アメリカ国民は、この問題から目をそむけ続けていたはずです。
襲撃犯は高学歴の裕福な白人
―連邦議会襲撃犯の1000以上の起訴状をシカゴ大学のロバー卜・ペイプ教授が細かく調べていますね。
ウォルター ペイブ教授によると、被らの共通点は「白人」で、ほとんどが「男性」であることです。暴徒たちは「教養のある中流階級」であり、ある者は非常に裕福で、ある者は大学院の学位を持ち、ある者はプライベートジェットで乗り込んできて、ある者は法執行機関で働いていました。
彼らは、「米国は自分たちの国で.自分たちの気に入らない民主制度はいらない」という態度で、白昼堂々と議事堂まで歩いていく自分達の姿をスマホで動画撮影し、自分 達が悪いことをしているとは微塵も考えていなかったのです。ペイプ教授は、「民主制度の敵は一体誰なのか」を見事に暴いてくれました。
民族主義仕掛人
―ご著書では「エスニック・アントレプレナー(民族主義仕掛人)」 の重要性を指摘されていますね。
ウォルター この呼称は、1990年代にセルビアのミロシェビッチやクロアチアのツジマンのような人物を説明するのに用いられました。 彼らは、支配下にあるメディアの力で、外からの脅威に対抗するには仕掛人のもとに集結しなければならないと思い込ませようとします。人々を囲い込むために恐怖を刺激し、利用するのです。そうして例えば、民族主義仕掛人のラジオインタビューの過激な内容がSNSでいっせいに拡散され、街頭での大乱闘にまで発展してしまうのです。
ヒンドゥー至上主義を掲げてイスラム教徒を排斥しているインドのモディ首相も「民族主義仕掛人」の一人です。そして米国に出現した民族主義仕掛人の超大物が、ドナルド・トランブです。彼はアイデンティティに訴えることで権力を握れることに気づきました。そしてトランプが刺激する白人の不満は、他の民族主義仕掛人によってさらに増幅されます。ペイブ教授のデータでも、連邦議会襲撃犯の多くが「トランプの指示で集まった」と答えています。
―本の刊行は、襲撃事件の1年後の2022年1月ですね。反響はどうでしたか。
ウォルター 米国の右派のほとんどは、 本の内容を知らないと思います。2022年2月にフォックス・ニュースが私の本を取り上げましたが、「カリフォルニア大学の教授がキリス卜教徒の白人男性を攻撃した」といった見出しで、しばらくの間,多くの殺害予告を受け取りました。
トランプ裁判と大統領選
―11月の大統領選はどうなりますか。トランブの裁判は選挙を左右するのでしょうか。
ウォルター おそらく六つ以下の州の票で勝敗が決するでしょう。2020年までは、オバマに投票した後にトランブに投票し、その後はバイデンに投票したような無党派層、いわゆる「揺れ動く有権者」に左右されてきましたが、近年、トランブが好きか嫌いかで支持がますます固定化され、「揺れ動く有権者」の数は少なくなっています。
トランブの裁判は、トランブ支持者たちの結束をむしろ強める効果を持つでしょう。
わずかに残る「揺れ動く無党派層」の典型は、ミルウォーキーやグリーンべイといった大都市の郊外に住む比較的高学歴の女性たちです。 彼女らは中絶問題に敏感ですから、過去にトランプに投票していても、今回はバイデンに投票する可能性があります。いずれにせよ、11月の選挙は接戦になりそうです。 (中略)
―最後に、民主制度を維持し、内戦を防ぐには、何をすべきですか.
ウォルター 我々にできる最も重要で最も簡単なことは、ソーシャルメディアの「規制」と「正しい利用」の促進です。
巨大IT企業が設計するアルゴリズムは、人々をスマホに縛り付けるために、最も憎悪に満ち、最も扇動的で最も脅迫的なメッセージを優遇しています。しかし、米国政府はこれを放置しています。巨大企業が莫大なカネを使って、規制を設けないよう議会に働きかけているからです。その結果、ソーシャルメディアが「民主制度の敵」にとって最良の手段となっているのです。しかもこれは、米国に限らず日本でも他国でも起きている事態で、民主主義への最も危険な脅威となっています。
コメント:トランプが福音派を動員していることはよく知られた事実です(但し本人は長老派)。その政治主張は出鱈目で、発言の多くは嘘(フェイク)です。それでも支持者が多いのは、正に白人男性のアイデンティティを突いているからでしょう。米国万歳、米国人(特に白人)万歳。MAGA(Make America Great Again)。民族至上主義及びナショナリズムであり、それは戦前の日本人の民族主義、或いはドイツ人のアーリア人至上主義と通じるものです。極右になると、思想が偏狭に、また頑固になり、他人の存在(生命や人権)を気に掛けず、他の意見に一切耳を貸さなくなる。それは今のイスラエルやロシアとも同じです。しかも残念なことに、日本の保守政治家(与党、野党を問わず)にもその兆候が見られます。
言い換えれば白人男性のアイデンティティと引き換えに、米国は主義(民主主義)も理想(憲法)も全て投げ捨てようとしているのです。即ちトランプを大統領に選ぶことで、国家を崩壊もしくは自滅させることになるのです。先進国としての米国は、いまや存亡の危機を迎えていると言っても、過言ではないと思います。
狙撃事件で時の英雄になったトランプには、大統領選の敵はいません。しかも当然、共和党としては、暗殺計画に民主党が直接関わるか、その思想的影響が事件の背景にあるというネガティブ・キャンペーンを仕掛けてくるでしょう。
だから今回の20歳の容疑者の射殺は、最悪の対応で、これでは警察の二重のチョンボです。最初の失敗は、銃を持った男が屋根を登っているという市民の通報を無視したことです。射殺してしまえば、肝心の動機が分からなくなります。
容疑者は全く目立たない存在で、しかも共和党に登録していた。一方で民主党の主張にも同調していたと言われます。そんな中産階級、無党派、白人の若者の、真の動機こそ、世界中が知りたい事なのです。
なお日本は民主主義国だと自認しているようですが、それが退行している兆候も感じられる(与野党、労組の右傾化)ので、「アノクラシー」(民主国家における民主主義の退行過程)の国でないと断言は出来ないと思います。従って「内戦」が起こるリスクが全くないとも言えないと思います。というよりは、昨今の世相から考えれば、むしろ某国防組織の“クーデター”(令和の2.26)の方が心配です。
関連記事:警護隊に強まる批判。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6507570
関連記事:車内から爆発物
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6507554
関連記事:妻子かばおうと男性死亡。
https://digital.asahi.com/articles/ASS7G66YWS7GUHBI03RM.html?iref=comtop_ThemeLeftS_01
関連記事:謎の動機
https://digital.asahi.com/articles/ASS7G7F99S7GUHBI006M.html?iref=comtop_7_02
関連記事:介護施設で勤務。
https://mainichi.jp/articles/20240715/k00/00m/030/082000c
関連記事:次は逃すな。
https://mainichi.jp/articles/20240715/k00/00m/030/077000c
コメント:そう思っていても、これだけは口に出してはいけない。
関連記事:バイデン。米国では銃弾でなく、投票箱で意見の相違を解決する。
https://www.yomiuri.co.jp/world/uspresident/20240715-OYT1T50035/
関連記事:バイデン・トランプ両人、批判封印。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN150N00V10C24A7000000/
コメント:多分双方とも冷静に対処しようとするでしょう。
2582.米国の異常な日常 7.17
今回の前書きはニューヨーク・タイムズの記事を朝日新聞が要約したものです。
コラムニストの眼(7.17)
トレッシー・マクミラン・コットム
「米国の異常な日常 民主主義から眼を離したら」
米大統領選のテレビ討論会を、私はアイルランドのパブで見た。隣に座っていた男性は、私を米国人だと見抜いた。
「お気の毒に。どうしようもないね」。
討論会がまだ終わらないうちに彼はそう言った。私は男性の言葉にうなずき、彼の同情を受け止めた。
私にとって自分が米国人であることを自覚するのは、米国にいないときだけだ。入国審査で青い表紙のパスポートを持って別の列に並ぶ瞬間から、米国市民であるということが、人種や性別、宗教よりも雄弁になる。自分たち米国人に何が起こっているのかをしっかりと理解するために、私はあの討論会を国外から見る必要があったのだろう。
政治の専門家や解説者をざっと見渡すと、ある共通認識が形成されつつあることがわかる。バイデン大統領の戦いは最終にさしかかっていて、審判は判定を下さないが、おそらく下すべき状況にあるというものだ。
私はいつも、ニュースや世論調査にすべて目を通してから、一般市民の政治談議に耳を傾けるのだが、それらはプロの政治ウォッチャーの意見とは異なる場合が多い。バイデン氏の信奉者を非常に不安にさせるのは、今回はその両者の意見が一致していることだ。筋金入りの民主党支持の有権者でさえ、バイデン氏の衰えぶりが、トランプ氏が2期目となる大統領の座をつかむ道を開いていると見ているのだ。
あの悲惨な討論会の数日後、米連邦最高裁判所はついに大統領の刑事免責について判断を示した。その内容は、共和党を支配する者は法を犯す力も手にする、というメッセージとしか理解のしようがない。大統領選に勝とうが負けようが、トランプ氏は共和党の一切合切を握っている。その意味するところをこの国が完全に受け入れているのかどうか、私にはわからない。 (中略)
ギリシャの例が示しているのは、我々が思想について、擁護する必要のない当然にあるべきものだと考えれば何が起こるのかということだ。この小さな国は、何十年も続く経済不振と何年にもわたる政治不安から抜けだそうと苦戦している。民主主義思想のまさに中心であった国が、今では政治的に不安定と言える状態にある。
米国人は、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を異常事態だったと主張し続けているが、私たちは自国の制度の強度についての認識が甘い。ギリシャのような国が示しているのは、1月6日を異常事態だと言えるのは、それが日常的になる前だけだということである。
大統領の刑事免責に関する最高裁の判断は、裁判所の力が強まることの兆しであるばかりでなく、一般市民を守る能力が民主党にはないことを示す予兆でもある。この最高裁の保守派判事たちの判断は、少数派の利益を成文化するだけではない。二度と多数派の意思に権力を譲るつもりなどない共和党の強さを見せつけているのだ。
たとえわずかな時間でも民主主義というボールから目を離せば、どんなに長い歴史があっても救われることはない。
米国人はボールから目を離してしまった。批評家たちは、政治的な戦いに敗れたときや単に博識に見せかけたいときに、民主主義の終わりだと言い立てることがあまりにも多い。終末が近いと常に主張しているうちに、最後には誰も我々の叫びに耳を傾けなくなるのだ。
しかし、今こそ声を上げる時だ。私が立つ側の意見が、つまり身体の自己決定権や経済的正義、多様性といった私が正しいと信じる考えが、思想の自由市場において単に形勢が悪いからではない。私が正しいと信じる考えの多くは、思想の自由市場において圧倒的に優勢なのに、それが大事にされないことが問題なのだ。米国では、女性が安全な中絶を受けられることを望んでいる人が多数を占める。しっかりした社会福祉プログラムを求める人も多数派だ。米国人の多くが、手頃な価格の住宅や安全な学校、理にかなった銃規制を望んでいる。私の考えは多くの人に支持されているのに米国の選挙戦の駆け引きにおいては、もはやこうした多数派の意見を反映することなど、どうでもよくなっているのだ。
討論会後の分析は、たちまちリアリティ一番組の騒々しい口論となってしまった。頭の切れる人たちは、自分のお気に入りの候補者に賭け始めた。カマラ・ハリス氏にすべきか?
他のダークホースの候補はいないか? なんてエキサイティングなんだ!
ただし、これがエキサイティングなのは、誰が大統領の座をつかんでも失うものがない人たちにとってだけだ。
それ以外の米国人にとっては、すでに敗北が確定しているのである。
(NYタイムズ電子版、抄訳)
コメント:トランプはかすり傷の代わりに大統領の椅子を手に入れた。そして米国民は当たりもしなかった銃弾の代わりに、貴重な民主主義を失った。但しこれをトランプの極端な性格と、歪んだ価値観のせいと決めつける前に、トランプの大嘘を信じ、両手を挙げて迎える米国民というのは、一体どんな思想や理念で生きている国民なのかを、改めて問い直す必要がある。それは現代の米国がどんな思想傾向にあるのかということなのだ。
フランスでは、半ばやけっぱちだったマクロンの解散で、それでも辛くも極右政党が第一党になるのは免れた。イスラエルの人命を軽視した狂信的な極右については今更言うまでもない。ロシアはロシアで、70%の国民がプーチン(国粋主義)の路線を支持している。
目を自国に転じれば、そもそも維新のような政治的な理念のない場当たり政党が、野党第二党になりそうになった時点で、日本の政治の列車が、民主主義の線路から外れそうになっていたのである。
支離滅裂な維新の代表は言うに及ばず、立憲の代表も椅子にしがみついており、今はもめている時ではない(だから自分を中心に結集せよ?。党も、国民も二の次にして)と宣う。絶対に勝てる、いや勝たなければならないのに、危機感も、責任感も希薄では、きたるべき総選挙での(良くても)惜敗は必死だ。
国民にとって自民党に代わり得る政党、しかも安心して政治を任せられる政党でなければならないのに、国民の信頼を取り戻す努力を惜しんでいるようにしか見えない。
最近の地方選での優勢は、立憲の候補が優れていたからではない。自民党が拒否されていたという敵失でしかない。しかも泉はそれを認めようとしない。都知事選の惨敗から、立憲の不人気を学んでいなければ、代表を含めた立憲の執行部は、機能不全と言われても仕方がない。
前置きが長くなったが、ようは、まともな野党が必要な時期に、(知的な=エデュケイテッド)国民に、妥当な選択肢を提示できないというだけでも、野党第一党(の代表)としては疑問符が付くのである。いかに芳野が無理無体を言おうとも、そもそも国民の全員が連合の組合員ではない。適当にあしらって、連合の相手は国民民主に任せておけばよい。不毛な野党のどんぐりの背比べ、コップの中の嵐などに、国民は関心はないのである。
もっと言えば、裏金問題だって最初に指摘したのは神戸大の上脇教授であり、機関紙で取り上げたのは共産党である。立憲は何もせずに、そこに乗っかっただけなのだ。そして国民はそれを見て、白けているのである。
野党には、今の日本が、米国やフランスと同じように、政治的に危ない崖っぷちに立っていることが分かっているのだろうか。都知事選の、外国が驚くような、お寒い現状が、日本の民主主義の「後退ぶり」を端的に示している。現在の自民党政治に不満を持つ国民が、よく考えもせずに、手っ取り早く、与党でも野党でもない者を持て囃す。それが都知事選の実際の姿である。これが、次回は国政選挙で発揮されることになったらと思うと、背筋が寒くなる。今日本に最も必要なものは、無党派層でも耳を傾けることのできる、一本筋の通ったリベラルな野党なのだ。
言い方を変えれば、日本でも水面下で右傾化が進んでいるという事だ。しかもその軌道修正の方法が無い。以前であれば、メディアや出版を通じて、国民の正気を支えてきた知識階層(インテリ)もしくは一言居士がいたのに、彼らは皆、高齢になったのか、どこかに行ってしまった。その代わりに、海外の大卒をひけらかす、若手の論客が、メディアで浅薄な意見を吐き散らす。そこからは、まともな国民にとって、必要な情報もなければ、判断基準も、政治的な助言もない。これで、日本の民主主義が方向を誤らなければ、その方がよほどおかしい。
もし、いまでもどこかに(自称でない)本物の知識階層が生き残っているのであれば、この機会に全員が結集して、大規模な国民集会を各地で開催し、その知識を共有し、国民の意識を高めなければ、今の日本の危機を乗り切ることはできない。バイデンの民主党にはそれが出来ないから、米国が危ないのである。
米国で起きているような総白痴化現象と、それが招く極右の国家主義が、日本で起きてもらっては困る。なぜなら魑魅魍魎(含む身勝手な知事=しかも男女)が跋扈し、平和憲法を踏みにじる改憲に突き進むような、地獄の日本を、子孫に残すわけにはいかないからである。
現状を座して見過ごすのではなく、危機が迫っていることを、国民自らが自覚し、日本人の残り少ない知性と教養、理性をフルに動員して立ち上がることで、何としても米国の二の舞だけは避けなければならない。
関連記事:バイデン最高裁改革案表明。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/340584?rct=world
コメント:バイデンの改革案は、上記のNYTの記事、特に「一般市民を守る能力が民主党にはないことを示す予兆でもある」という記述と無関係ではないように思われる。トランプの置き土産の4人の保守系判事。とりわけ、接待漬けのクラレンス・トーマスは、評判が悪い。
参考記事:
https://www.bbc.com/japanese/65223984
関連記事:石丸伸二を支持する人の熱が冷めてきた。
https://toyokeizai.net/articles/-/778115
関連記事:立憲代表クイズで野田が立ちくらみ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1fc6a404278cfad4f51cad53f71aa665964cbce4
コメント:まさに可もなく不可もなく、ついでに優もなく。
関連記事:泉代表の自信と焦り。
https://digital.asahi.com/articles/ASS7J25VJS7JUTFK024M.html?iref=comtop_7_07
・ウクライナに5200億円支援。日本。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6507767
コメント:なんでそこまで巨額を。誰かと相談したのか。それとも得意の閣議決定か。岸田は外交を私物化していないか。
・晴海フラッグは都有地9割引。
https://news.yahoo.co.jp/articles/29dcd914f76e6c70a69629d2328c24e02d9b93fe
コメント:三井不動産との(特に小池知事との)関係やいかに。
・受かった途端にSNS無視。小池知事。
https://news.yahoo.co.jp/articles/52d354fdc7425d498928101640725eadc69b7bb8
コメント:驚くには当たらない。これが彼女の流儀です。相手がルームシェアの相手であれ、同棲相手であれ、側近(局長)であれ、自民党の領袖(二階)であれ、ヒカキンであれ、パックンであれ、利用価値がなくなればあっさりポイ。多分それが彼女の人生哲学なのでしょう、役に立たない者には何の未練もなく、使い捨てる。究極の断捨離です。まともな人間なら、絶対に近づくべきではない。それは都民でも同じです。信用すれば酷い目に会うことを覚悟した方が良い。問題はそれ(都民への裏切り)がいつ、どんな形で現れるかです。
2583.リンクの羅列 7.19
朝日新聞(7/18)の朝刊に、時々刻々、記事抜き出すAI 見えぬ共存という記事が全頁で掲載されました。
生成AIでネット検索すると様々なサイトやブログなどから情報を抜き出し、検索の回答が文章として表示されるので、これは著作権の侵害に当たるのではないかという趣旨です。無論このテーマは今後の精緻な議論が必要ですが、それより私が注目したのは以下の記述です。
…リンク先の情報を生成AIがまとめ直した文章になっている。従来のリンクの羅列とは根本的に違う。無論利用者からするとまとめ型の方が楽だ…。
読者の気持ちはよく分かります。私が「羅列」しているのも(私が関心を持った)リンク先のアドレスです。だから記事の内容は、サイトを開くまで分かりません。読者にとって、最初から関心の無い題名(テーマ)ならリンクを開くまでもなくスルーするでしょう。だから(私が)内容を数行にまとめて報告すれば、その方が忙しい読者には便利であることは重々承知しています。でもその場合、オリジナルの記事で記者が伝えたい内容が正確に伝えられるという保証はありません。しかも零細個人営業の私には、数十本の記事を要約している時間はありません。だからリンクの羅列に留まっているのです。wtwも、敢えて言えば纏めサイトの一種と言えないこともありません。しかし目的、または動機は、一義的にあくまで自分の(社会勉強?の)ためなのです。閲覧数稼ぎや、小遣い稼ぎではないのです。そもそも内容が地味ですから、そういう目的には向いていないのです。
とはいえ、将来AIの活動範囲で合意が成立して、AIが情報の発掘、比較、要約の仕事を全部(しかも瞬時に)やるようになれば、(読者にとって)wtwが必要なくなる日が来るかもしれません。AIに重要、又は必要な情報を探して、要約せよと、命令すれば済むからです。でも私は、少なくとも当分の間は、AIの判断力よりは自分の選択眼、情勢の判断力の方が上を行っている、なぜならこちらには半世紀を超えるニュース・ウォッチの歴史があるからと自負しています。でも近い将来、AIとwtwが、「目の付け所」で、競争する日が来てもおかしくはありません。
一方で、こちらは人力の家内制手工業なので、(すべての分野をカバーするには)慢性的にパワー不足であり、内容を確かめずに、情報を右から左に流してしまう場合もないとは言えません。なお数十年前、NYから社内向けに海外の新聞や雑誌の記事の要点を報告していた時は、さすがに英語のままでは誰も読んでくれないので、趣旨だけを日本語に翻訳して報告していました。その時に、社内の法務部の人に相談したら、引用の範囲内であれば著作権の侵害には当たらないのではないかという意見もありました。
しかし、世間には、ネットには載らない情報も多数あり、それら印刷物又は放送の情報については、なるべく原文を損なわないようにしながら、こつこつと書き写すしかありません。但し情報の出典、即ち書名、著者名(発言者名)を明記し、後で読者が追認できるようにしています。一方、つたない文章で、感想文や反論(あれば)も付け加えています。なぜこの情報に価値があると思ったのかを、説明する義務があるからです。
とは言え、wtwの目的は比較的、単純明快です。それはこの世界で何が起きているのか、どういう方向に進んでいくのかを、既存のメディア、政府、組織の意向に左右されずに、できるだけ正確に把握することです。なので忖度を排除する必要があり、wtwでは一切の宣伝や広告をお断りしています。
それでは今後も引き続き、wtwのご愛読をお願い致します。明日に道(道理や真実)を聞かば、夕べに死すとも可なり。見ること、聞くこと、考えること。それが我々が、地球の表面にはびこる動物の一種ではないことの証なのです。
さて今回の前書きは、兵庫県知事のパワハラです。
週刊文春7.25から「兵庫県知事パワハラ告発、局長を死に追い込んだ7人の脅迫者」
から。
(前略)そもそもX氏が告発したのは、斎藤知事だけではない。片山副知事、総務部長、産業労働部長、若者・ZX世代応援等調整担当理事の4人への言及がある。
(中略)知事になった斎藤は県庁職員とのコミュニケーションを拒み、4人組への依存を深めていくばかり。敵対的とみなされたものは次々と排除された。最近は意見できる職員はいなくなっていた(県OB)。
(中略)虚偽答弁や答弁拒否をした場合に、罰則を課せられる百条委員会を片山副知事は極度に恐れていた。辞職しますから、百条だけは勘弁して下さいと懇願する様子を多くの人が目撃している(自民議員)。
(中略)維新の岸口実県議と、増山誠県議が、X氏のPCに入っていた全てのファイルを公開するよう強く主張し始めた。
Xさんの秘密を暴露することで、Xさんの人間性を貶め、告発文書の信頼性を下げるのが狙いでしょう(自民県議)
(中略)知事、4人組、強硬な二人の維新県議。七夕の日、X氏は7人の脅迫者のいない世界へと旅立った。家族へのメッセージと共に、「百条を最後までやり通して」と書き置いて。
(中略)
X氏は告発文書の発表以来、陰に陽に脅迫され続け、ついに自死を選んだ。
(以下略)
コメント:皆さんは何を、または誰を思い出しますか。無論、佐川と赤木氏のことでしょう。善良な官僚が自殺を強要される。力が正義を圧殺する。なんという国でしょうか。その背景にいる政治家にも責任があります(自民なら安倍、今回は維新の岸口、増山)。
関連記事:令和なのにパワハラ首長が続出。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ec90f5ed847cea047d790ddc061a8196083c8c3
関連記事:斎藤県知事は何処で間違えたのか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4de00615b5d8c2d24a977af573b677eab55fbfd2
2584.法を超越したトランプ 7.20
今回の前書きは昨日に引き続いて、週刊文春(7.25)の記事からです。
最初は町山智浩の言霊USA,「今や大統領は法を超越した存在、王になった」から。
7月1日、アメリカ連邦最高裁は、トランプの公務に関わる行為の刑事訴追からの免責」を認める判決を下した。
トランブは選挙結果の転覆計画を含む4件の刑事犯罪で起訴されており、今回の判決でそれが無罪になる可能性が出てきた。
9人の最高裁判事のうち、免責に賛成した判事は6人。6人とも共和党の大統領に任命された(うち3人はトランブの任命)。
民主党の大統領に任命された判事3人は免責に反対した。ソニア・ソトマイヨール判事は反対意見で「今や、大統領は法を超越した存在、王になってしまいました」と書いた。”The President is now a king above the law”
「政治的なライバルをネイビーSEALsに暗殺させても、免責。自分の権力を維持するために軍事クーデターを組識しても免責。恩赦と引き換えに賄賂を受け取っても免責。免資、免資、みんな免責」
そもそも法治国家はNo one is above the law (誰もが法の下にある)を原則とする。たとえ大統領でもだ。
「合衆国憲法のどこにも、前大統領を犯罪行為や反逆行為で処罰を受けることから守るといった記述はない。だから私は反対する」
いちおうジョン・ロバーツ最高裁長官は「大統領の免責は公務に関わる行為に限る」と言っている。つまり、この判決で、トランブが起訴されている4つの刑事犯罪について、それぞれの裁判官が公務に関わる行為かそうでないかを判断する事態になった。
どうなりそうか、見ていこう。
まず、不倫関係にあったポルノ女優に支払った口止め料を不正に処理した件。これは既に有罪評決が出ている。口止め料支払いは大統領に就任する前の選挙期間中の行為だし、会計の不正処理は就任後の行為だったとはいえ、いくらなんでも「公務」とは言えないから、有罪のままだろう。 ただ、初犯なので収監される可能性は低い。
次に、最高機密文書を自宅に持ち帰り、大統領の任期を終えた後も返却しなかった件。これも 「返却しなかった」行為は大統領在任期間中ではなかったからアウト。でもやはり収監される可能性は低い.
次に、選挙結果をひっくり返そうとした件。これは連邦大陪審とジョージア州の大陪審から起訴されている.
連邦のほうは、まず、投票日の直後、トランブと彼の弁護士ルドルフ・ジュリアーニが「投票の集計に不正がある」と事実無根の主張をして、アリゾナ州下院議長に電話をし、選挙結果を覆すよう圧力をかけたこと。
ジョージア州では、選挙を総括する州務長官にトランプが直接電話をして、トランブが選挙に勝つのに足りない票をなんとかデッチ上げろと恫喝した件が、恐喝にあたるとして起訴された。
この時に適用されたのは、ジョージア州で州を超えた組識的犯罪に対して立法された「反マフィア法」だった。
また次に、翌年1月6日、憲法で定められた連邦議会での選挙結果の認定手続きを妨害しようと支持者たちに襲撃させたこと。
そして、選挙結果を覆すことで、憲法で守られた有権者の投票権を侵害しようとしたこと。
これで適用された連邦法は、「反KKK法」だっ た。(中略)
反マフィア法と反KKK法で起訴された大統領なんて!
どれも公務とは言い難い。議会に混入したり、「票を寄こせ」と恫喝する公務なんてないでしょ。
検証すると、すべて公務とはいえないのだけれど、たとえ地方の裁判所がそう判断してトランブを有罪にしても、控訴されて最高裁まで上がれば、例の6人の共和党判事たちが「公務です!」 と判断して無罪にしちゃうだろうなあ。目に浮かぶよ。
このトンチキな最高裁判決にあきれた英国 BBCテレピの司会者デヴィッド・アーロノヴィッチはSNSにこう書きこんだ。
「もしも私がバイデンだったら『トランブはアメリカの安全保障に対する脅威である』という理由ですぐに彼を殺害させるだろう」
おお、これなら公務だ!
もちろんトランプ支持者は「暴力の扇動だ!」 と激怒してアーロノヴィッチは炎上、投稿を削除してしまった。しかし、「暴力の扇動」? どの口がそれ言う?
さて、当のバイデンは先月の討論会で高齢によるボケっぶりを露呈して民主党内からも「降りろ」コールを浴びながらも、出馬辞退を否定。「討論会では眠かったんだ。今後は夜8時以降の仕事は断るよ」とボケを重ねた。
大統領の公務は24時問営業だよ!
コメント:トランプを見ていると、多分、ヒトラーもこのようにして、時の勢いと、扇動的な演説でのし上がったのではないかと想像する。そして、その場には熱狂する大衆もいたのだろう。これまた今のトランプ支持者のように。言い方を変えれば、これはある種の英雄待望論なのかもしれない。大衆は、誰でもいいから強い意志を持ち、分かりやすい言葉で国(と国民を)引っ張る(引きずる)、強いリーダーを求めているのではないか。ところがそのリーダーを選び、政治を委託するのは、他ならぬ、国民自身なのだ。ということは、国民が無教養で感情的、かつ人を見る力がない場合、とんでもないことが起きてしまう。ナチスドイツのように。
同じような政治的背景により、いまや世界中で衆愚政治が始まっているように感じられる。無論日本もその例外ではない。都知事選における石丸人気こそ、その兆候なのかもしれない。
二番目は、能町みね子の言葉尻とらえ隊、「前っ提のくだりが全く正しくないなと。石丸伸二」
都知事選、小池百合子が当選するという地獄を石丸伸二の衝撃が上回るとは。2位に なった衝撃ではなく、公共の電波で堂々パワハラする衝撃。ということで、彼がいち ばんパワハラを行使したと私が感じた、7月7日の『Mrサンデー』での山崎怜奈とのやり取りについて考えたい。
中継先の石丸に対する山崎の質問は、要約すると、「小池さんのゼロ公約も、石丸さんも、他の候補者も、公約内に国政でできることと都政でできることの混同が見られた。石丸さんが今後やりたいのは国政/都政レベルで言えばどっちに重点がありますか?」という内容。(中略)
ところがなんと石丸は、「小池ゼロ公約」と自分の公約が共通していると言われたと誤解し、「大っ変申し訳ないんですが、前っ提のくだりが全く正しくないなとー」と 鼻で笑いながらカマします。 さらに、「ゼロ公約と私が今回掲げた政策、どっこに共通 点があると(笑)」と強いロ調で質問をあざ笑います。リモート出演していた橋下徹も加勢して鼻で笑う。
山崎は、小池と石丸の公約の内容に共通点があるとは言っていません。両者とも国政 でできることが公約に入っている、と言っただけ。石丸は嘲笑し威圧しながらビント外れな返答をする羽目になった。
石丸&橋下というパワハラ 2人の嘲笑にも折れず山崎は質問を続けますが、石丸は相 手の発首を遮るように大声で「全然次元が違うと思うんですけども!」と、俺と小池は違う、という主張だけで押し切ろうとする。何も間違っていない山崎が「小池さんとは分けさせてください。すみません不勉強で」と折れるまで彼はその態度を続けました。テレビ局もこんな言動を「論破」なんて呼ぶなよ…。(以下略)
コメント:もう少し続きますが、これだけでも石丸の底の浅さ(とレベルの低い自己顕示欲)、橋下の知性不足(これって誹謗中傷かね)がはっきりと分かります。小池百合子の当選は、心ある都民にとっては確かに地獄です。でもこんな理不尽な若者が都知事になっていたら、もっとえらいことでした。小池より始末に困る。何しろ対話が成立しないのだから。
3番目は心身ともにむさくるしい松本人志のケースです。
「松本人志、出廷妨害に新証言」
「『週刊文春電子版』掲載記事について」と題された A4用紙7枚の反論文に目をやりながら、男性は、意を決したように語り始めた。
「あの日、私が田代政弘弁護士からA子さんに証言台に立たないようにしてほしい旨の打診を受けたことは、紛れもない事実です。私がその申し出を拒絶したのは、何より『性的行為を強要された』とするA子さんの話が真実であり松本人志氏のおぞましい行為に憤りを感じているからです」
さらに、こう統ける。
「松本氏側は事実ではない噂話をまき散らして私を脅迫し、探偵を付けてA子さんに圧力をかけ、裁判への出廷を妨害している。また今回の会見で田代弁護士が断りなく私の名前を出したと聞いておりますし、A子さん個人を訴えると口にするなど、彼女を委縮させる行動を続けています。こうした言動を受けて実名でお話ししようと考えました」
思いの丈を吐き出す男性の名は、サン綜合法律事務所の中村信雄弁護士(63)。(中略)
小誌は前号で松本側によるA子さんに対する出廷妨害について報じた。探偵業者による尾行と、中村弁護士を通じて裁判に出廷しないようA子さんを説得するというものだった。
松本側の反応は迅速だった。小誌前号の電子版配信当日、松本の代理人の田代弁護士が反論文をホームページで公開。その翌日には、新聞、テレビの司法記者などを集め、記者会見を開いた。
田代弁護士は「妨害工作はなかった」と繰り返し主張する一方、A子さんの外出先である繁華街やホテルでの尾行を探偵業者に依頼した事実を認めた。会見で次のように語っている。
「『こういう情報があって、調査会社に調べさせた方がいいと思うけど、どうです か』と(松本に相談した)。で、松本さんが『お願いします』ということですよ」
驚くべきことに、A子さんを恐怖に陥れた監視行為は、松本の了承の上で実行されたのだ。田代弁護士が探偵業者にA子さんの尾行を依頼したのは、小誌が確認した二日間だけではない。
田代弁護士は、A子さんだけではなく、もう一人の告発者であるB子さんも調査対象とし複数の探偵業者に尾行を依頼していた事実まで明かした。
また、別の.部屋飲み経験者の女性二人は、それぞれ次のように言う。
「Xで(事実無根なので闘いまーす)と言っておきながら、裏でコソコソと探偵を使っていることに仰天しました。そもそも、事実無根であれば、こんなことをする必要はないでしょう。 世間に対して余計に疑惑を生んでいるだけです」
「『女性たちは性被害に遭ったら、必ず実名で告発しなければいけないのですか』匿名であることが、なぜ悪いのか』という(前号の) A子さんの言葉が心に響いた。
田代弁護士も質問に一切答えることなく、文藝春秋の代理人に抗議書を送付してくるだけだった。
(中略)また田代弁護士は小誌に対し、次のような申入書を送付している。
(直撃取材を受けた調査員(編集部注:探偵のこと)は、突如、自宅や職場の近辺に「週刊文春」記者が複数名で押しかけてきたことに恐怖を感じております)
「恐怖を感じて」いるのは、探偵に尾行されたA子さんをはじめとした告発女性たちに他ならない。そこに松本側の人間はなぜ思い至らないのだろうか。
今後、A子さんは裁判に出廷し、自らの被害を主張するという「当たり前の権利」を行使していく。
コメント:おそらくすべての芸能人・有名人は、不倫を含むセックスがらみの問題を抱えている事が想像できます。でも全員が今回の松本騒動のような修羅場になっているわけではない。裁判になる前に、示談で済ませているケースが殆どでしょう。もちろん、全く身に覚えがなくて、本当に濡れ衣なら最高裁まで戦えばいいけれど、私には(そして多くの国民にも)松本が真っ白だとは到底思えない。松本が慰謝料を惜しんだとしか考えられないのです。今後、弁護士の費用を含めて、裁判に要するであろう膨大な費用は、慰謝料どころの金額ではないはず。裁判の費用は敗訴した方が全額負担だと思っていても、そもそも敗色が濃厚なのです。しかも悪名はすでに、全国に轟いてしまっている。失うものは余りに大きい。
ただ一つだけ注意するべきは、松本が悪徳弁護士に引っ掛けられている可能性です。セカンド・オピニオンの必要性からも、私は、別の弁護士に相談することを勧めたい。そうしないと、今のままでは、控訴に継ぐ控訴で、評判も資産も失い、不毛な泥沼の闘いが待っているだけです。今更引くに引けないと思っているかもしれない。でもこの世には方向転換出来ないことなどないのです。思い切って引いてみる。そこから新しい人生が始まる場合もあるのです。それもまた人生だと割り切る事で、新たな道が開けるのです。
2585.トンチンカン 7.21
今回の前書きは、朝日新聞(7.20)多事奏論のご紹介です。
デフレ完全脱却「円一弱」招いたトンチンカン 編集委員 原真人から
平均株価がバブル期の最高値を大きく超え、一時4万2千円を突破した。そう聞いて首をひねった人も多かったのではないか。はて、景気がそこまで絶好調という実感はまったくないのだが…と。
春闘では満額回答が相次ぎ、33年ぶりの大幅な賃上げという明るいニュースもある。とはいえ中小零細企業では大手ほどの賃上げは実現していない。超円安でモノやサービスの値上げラッシュは今も続く。給与明細に記される支給額は増えても家計の購貿力は逆に下がっている。
輸出企業の業績はたしかに好調だ。ただし円安で、円換算した海外収益が決算上は良く見えているという事情がある。
株価もそうだ。史上最高値といえども ドル換算で考える海外投資家の目から見れば日本株は安売り状態に見えている。
東京証券取引所の上場株式の時価総額は6月末に1004兆円と大台に乗っているものの、ドル換算(約6.2兆ドル) だと、1月末の931兆円(約6.3兆ドル)よりむしろ安い。ハリボテの史上最高値というのが実態だろう。
超円安は日本経済の力が衰えたことの表れと言っていい。「日米金利差が縮小すればまた円高に戻る」という経済専門家もいる。とはいえ、多少戻したところ で、三十数年ぶりの超円安水準となったトレンドは変わらない。‘
円は対ドルだけでなく、ユーロや英ポンド、韓国ウォン、タイバーツなどあらゆる通貨に対して安い。その低下傾向は 5年以上続いており、一時的でもない。
安さの原因は円そのものにあると見るべきだ。超高齢化や人口減少など構造的な要因もある。ただ昨今の極端な「円一弱」はそれだけでは説明がつきにくい。
円安誘導を狙った異次元金融緩和がもたらしたもの、と考えるのが自然だろう。
11年に及んだ日本銀行の異次元緩和によって失業や廃業が抑えられた一方で、「ぬるま湯」状態をあまりに長く続けたために、経済の新陳代謝や財政規律を失ってしまった。新しい開業や投資が細り、国家財政は日銀の国債買い支えに甘えて借金依存に拍車がかかった。
「日銀が(物価高に)責任を負わないなんてやばい。中央銀行としてそれはないでしょう」。意外な人物が最近そう批判していた。岸田政権で新しい資本主義実現本部を仕切る新原浩朗内閣審議官。安倍政権の官邸官僚として知られる。
「今の円相場が(理論値より)ずっと安くなっているのは金融緩和の副作用だ」と新原氏は断じる。
それがわかっているなら、なぜ岸田政権は今も「デフレ完全脱却」を目標に掲げ続けるのか。いったい誰のために。
デフレとは物価が下がって景気が悪くなること。目の前では逆に、望まぬ物価高に国民が2年以上も苦しんでいる。いくらなんでもトンチンカンではないか。
日銀はいまだに円を安くして物価を上げるために超低金利政策を長引かせている。それはこの政権方針があるからだ。
「デフレ脱却」はもともと第2次安倍政権が長期政権を築くのに利用したマジックワードだった。その大義名分があれば景気が悪くなくとも大規模な経済対策をいつでも打てたし、消費増税を何度も延期できた。人気取り策を連発するにはかなり便利なキャッチフレーズだった。だが安易に使いすぎて日本経済を地盤沈下させ、通貨価値の失墜を招いた。
今月末、日銀の金融政策決定会合が予定されている。今の日銀は本当に「私たちの日銀」なのか。それが試される。
コメント:いいえ、私たちの日銀でありません。大企業と自民党政権の為の日銀です。安倍晋三自らが、日銀は政府の銀行(だから政府の言うことを聞くべき)だと言い放ったこともあるのです。いまなお物価目標2%は達成可能の見込みなどと、何処を見て判断しているのか。とっくにオーバーして、むしろインフレの懸念もあるというのに。しかも日銀の茶番劇には、黒田前総裁の勲章授与などという非常識なおまけまでついてきた。現在の財政状態を知るうえで、歯に衣を着せない、今回の寄稿が、最も分かりやすい意見だと思って紹介させて頂いた次第です。
ところでもう一件、これは単行本のご紹介です。
経済成長なき幸福国家論 毎日新聞出版
劇作家,演出家 平田オリザ
地域振興、人口問題研究家 藻谷浩介
今回は大いに共感した橋下徹とトランプに関する対談の部分です。
(前略)
平田 長く大阪の大学に勤めていて大阪の状況を見てきましたので、橋下徹さんという人は、トランブにそっくりだなと今になってあらためて惑じます。その意味では先駆者ですね、橋下さんは。安倍さんとは全く違うキャラクターで、マスコミの操作と恫喝がすごくうまい。大阪はローカルのテレピ局が強くて、視聴率もあがるから橋下さんをよいしょする取り巻きもいます。橋下さんは「タイガースは優勝しなくていいから巨人には負けるな」という大阪人気質をすごくうまく利用してきたんです。外から何か言われても「ほら束京の人間は、大阪のことなんて何も知らずにああ言ってるでしょう」という論法でずーっとのし上がってきた。ところがそれが国政になったときに通用しなくなって、外で敵をつくらなきゃいけなくなってぼろが出たのが従軍恩安婦問題発言でした。
スタイルは一貫して非常にわかりやすい。外に敵をつくってそれを叩く。最初は公務員や教員叩き、そのうちに文楽とかぜんぜん関係ないものまで叩き始めて、四方八方に鉄砲打って自分のプレゼンスをあげていくという手法ですね。たまたまその時大阪にいたので、ああいうふうにファシズムというのは広がっていくんだと実感しました。
藻谷 ある戦前生まれの識者が、オフレコの場で、「橋下徹氏のキャラクターは辻政信を思い出させる」と話していました。旧日本軍で、ノモンハン、ポートモレスビー、ガダルカナルなどの作戦参謀だった人物ですが、指揮する作戦はどれも死屍累々の失敗を重ね、東条英機などの中枢にも疎まれて大佐で終わります。しかし、とにかく陽性で、自慢話はするけれども地位に連綿としがみつかないタイブの言動が大衆に受け、戦後は衆議院議員をやっていた。最後は紛争を収めてみせると大見得を切ってラオスに出かけ、行方不明になるのですが、大戦中に何万人もの死者を出したことへの反省がないのに怒った旧軍人に暗殺されたという説もあります。これまでそういう比喩は考えたこともなかったのですが、 彼と同時代を生きた人が言うことですから、なるほどそういう感じなのか、と思いましたね。
それから、トランブは確かに辻政信的なキャラです。陽性な自信家で、直情的で、人気がすべてを正当化すると思っている節があり、表での冒険も裏での陰謀も大好きで、何より背負っているものへの責任感が欠けている。陰性のヒットラーや東条英機とは全然違ったタイプですが、実はスターリンはこれと似ていたかもしれません。
(以下略)
コメント:この本は2017年の出版です。橋下の印象で一番強く残っているのは、安倍にすり寄っている当時のイメージです。あの座った目を見るだけでもげんなりです。
それでも最近TVで議論を重ねている事が少しはプラスに働いたのか、若干ソフトな方向に転換しているような雰囲気も感じられます。でも基本的に論破、断定型のキャラであり、論旨に一貫性のない、」無責任な言いっぱなしで、社会にとっては、余り有難くない存在だと思います。

2586.11波 7.21
コロナ禍は去ったものと思っていましたが、11波が来ているという報道もあり、改めてグラフで9波、10波と比較してみると、流行の波が確かに始まっていると確信せざるを得ません。ウイルス(オミクロンの変異株)も、免疫をすり抜ける能力が増しているようです。但し症状は今までと同じ、即ち脱力感、喉の痛み、咳、発熱、吐き気などです。具合が悪ければとにかく受診するのが一番ですが、検査(2500円)や、治療薬(1万6千円=保険適用後)を辞退するケースが多いと言われています。
でもそれは当然であって、厚労省は特定感染症の2類から、インフルエンザと同じ5類に変更しているからです。ようは、どうせ風邪の一種でしょ、もはや危険な病気ではないんでしょという見方です。
とは言え、コロナでは既に10万人の日本人がなくなっている(世界では700万人)し、しかも2023年でも3万8千人がなくなっており、インフルの場合は1万人です。
というわけで、もう完全に緩んでしまっているようだが、もう一度気を引き締めた方が良いと思います。9波以前でも、地域では一人で騒いでいた記憶がありますが、オオカミ少年と言われても、正しくおそれることに意味があるのです。
そこでまずデータを集めてみました。
1.5類感染症移行後の対応について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html
上記にもあるように5類になったからと言って、何でも解禁になったわけではなく、単に強制ではなくなったというだけで、(自主判断で)マスクの着用、手洗い手指消毒、換気、3密の回避が必要であることは変わりはないのです。報道でも、若者なら症状も軽いが、高齢者は命に関わると警告しています。
2.コロナ患者数。(定点観測)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/pref/tokyo.html
3.同じく感染者数、死者数。(数値とグラフ)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
こんな事を申し上げると、顰蹙を買いそうですが、5類になってからコロナで亡くなったら、馬鹿みたい(犬死に)です。なぜならワクチンも治療薬も出来ているからです。つまらない死に方だけはしないように注意したいものです。
2587.地位協定 7.24
今回の前書きは、サンデー毎日(8.4号)からコラム2件の(いつものように部分的な)ご紹介です。
サンデー時評 高村薫
「首都の騒動、世界の惨状 日本人を足蹴にする地位協定」
(前略)
そして、日本でも都政そっちのけの東京都知事選があり、現職がなんなく3選を果たしたが、首都のこのバカ騒ぎの空疎さはそのまま日本社会の沈滞の証だろう。
この間、ウクライナとガザでは依然として無慈悲な戦争が止む気配もなく、ウクライナがアメリカに供与されたミサイルでロシア領を攻撃すれば、ロシアもキーウを含む要衝へのミサイル攻撃を激化させる消耗戦である。また、民問人の死者が3万7千人に達したガザの戦火は、イスラエルとヒズボラの緊張をも高めており、大国イランの出方を含めた中東情勢は薄氷を踏むような不安定さが続く。
そして日本は、7月1日に発足70年を迎えた自衛隊の約4000人が、安全保障上の日米一体化を象徴するように米軍の大規模統合演習「バリアント・シールド」の一環に
初参加した。台湾有事の際、中国のミサイル攻撃をかわすために米軍が主要基地の部隊を直ちに分散させる構想に合わせた共同訓練とのことで、自衛隊は日本領海外のフィリピン海域やグアム近海にも展開したようだが、これはいざとなれば速やかに安全圏へ退避する米軍に代わって、自衛隊が第1列島線防衛の最前線に立つということだろう。日本は中国と敵対するアメリカにおとなしく追随していたつもりが、気がつけば、中国と正面きって対峙する力もないまま国土を戦場にする道を突き進んでいるのである。実のところ、日本がアメリカから2500億円で購入する400発のトマホークは巡航速度が遅いため、中国に到達する前に大半が中国のミサイルに迎撃される一方、日本全土には敵のミサイルが一斉に降り注ぐと予想されている。
このように中国の脅威を減らすのは明らかに防衛力増強より外交なのだが、その防衛の現場も現実にはどこまで身が入っているのか 疑わしいと言うほかはない。折しも海上自衛隊と防衛産業の長年にわたる癒着が明らかになり、企業側は架空取引などで捻出した裏金で海自隊員の接待を繰り返していたとされる。
(中略)
この海自の実態は、現在進んでいる防衛力強化の中身の薄さの象徴ではないか。
そして何より、日米一体化の最前線で犠牲を強いられている沖縄では、米軍関係者による性犯罪の情報が外務省や防衛省止まりで、肝心の沖縄県に届いていなかった悲痛な実態が明るみに出て私たちを愕然とさせた。個人のプライバシーを理由に公表しなかったという政府の言い訳は沖縄を踏みにじるものであり、その耐えがたい不実さは本土に住む者にとっても他人事ではない。中国のミサイルが日本全土を狙ういま、退避する米軍に代わって沖縄と南西諸島の住民が攻撃にさらされる理不尽を、私たちが受け入れなければならない理由はない。日本人を足蹴にするに等しい地位協定の改定すらできずに、何が日米一体化か。国民に対する正義と公正がないところに、まともな防衛戦略はないことを国は肝に銘じるべきである。
コメント:まさに胸のすくような論旨です。こういうのを(屁理屈や自己正当化ではない)真の論破というのです。
もう一件は、
青木理のカウンタージャーナリズム、
「世襲為政者の本質について」から
(前略)
いまは亡き「一強」政権の主は、少なくとも「本気」で改憲を訴えていた。いや、彼のルーツや生い立ちを取材したルポを上梓した私が見るところ、もともとは大した政 治的信念も思想も持ち合わせてなどおらず、政界入り後に偏頗な思想に染められたのか、あるいはそれが政治的に得だと思い定めたのか、それでも「本気」で改憲を目指す「ふり」を漂わせる芸風は身につけていた。だから宗教右派をはじめとする牢固な改憲勢力が喝采を浴びせ、岩盤支持層となって長期政権を支え、彼も支えられた。
だが、現首相は違う。そもそも与党内の出身派閥は伝統的に穏健な護憲派が多く、これまでの政治遍歴のなかで彼が改憲を声高に訴えたことがあるとは寡聞にして知らない。むしろ彼もまた本質的に無思想かつ無節操であり、もっと直戟に記せば“空っぽ”なのだろうと思う。
なのにいまになって改憲を目指す「ふり」を示すのは、毎日の記事にあるとおり、「保守層取り込み」のための政治的打算。言葉を変えるなら、憲法をいじるー少なくとも、いじるのだという「ふり」を盛んに誇示して自らの政権維持を躍起に目論んでいることになる。
(中略)かつて与党を割って出て新党さきがけを結成し、8党派連立政権樹立の立役者にもなった田中秀征は、1974年に出版した『自民党解体論』のなかで、世襲議員を(相続する政治基盤の維持のために推挙されるがため、自己の政治基盤に対する主体性を持たない)などと指摘し、その本質を次のように喝破していた。
(彼らは政治生活の基軸を、政治基盤の維持に置く。政治的能力によってではなく、政治基盤の維持能力によって認められている彼らにとっては、基盤の解体を防止することこそ一義的な役割なのである)(すなわち彼らは、維持者としての使命を忠実に果たすために、何かをしているふりをしながら、「何もしない」ことを厳しく要求される)
なるほど、半世紀を経た現在読んでも普遍的で頷くところの多い政治分析である。だからなのだろう、同書は旬報社から過日復刊された。一読をお薦めする。
コメント:安倍晋三は言わずもがな、岸伸介以来の世襲。岸田も三代目。しかしどんな理由であれ、我々平和憲法を愛する国民には、自民党及びゆ党による(戦争を肯定し、国民の人権をないがしろにする)改憲は、絶対に認められない。
関連記事:岸田、米国からの飛び火警戒。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6508368
コメント:しかし、もう再選の目は全くないと思う。
関連記事:裏金政権の幕の引き方。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/341874
コメント:ことここに至っても、森喜朗は白を切り通すつもりか。どこが元ラガーマンなのか。
【注目】
・おねだり知事。なぜそこまで勘違い。
https://toyokeizai.net/articles/-/782679
コメント:維新の会に責任が無いとは言わせない。
・片山副知事。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5af843418d70f73ca58c94e834c86311f4038b9a
コメント:府民が片山を刑事告訴できないものか。やっている事は不正行為、明らかな脅迫だ。局長を死に追いやったという自覚さえないらしい。辞表さえ書けば、全てがちゃらになるとでも思っているのか。世間はそれほど甘くない。
【災害】
・被災地で汗だくの車中泊。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/341751
コメント:これでは死者(災害関連死)が出てしまう。なんとかせよ馳(トンチキ=失礼)知事。
・能登半島地震から考える超高齢化社会日本の防災。
https://toyokeizai.net/articles/-/756123
コメント:是非とも一読を。
2588.ゲリラ豪雨 7.25
・台風・大雨・危険な暑さ。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6508487
コメント:これって天変地異のことですよね。これまで荒天にはあまり縁がなかったのですが、今日はついにそれを体感しました。
私事ですが、家人が週一で体操教室に通っており、いつも送迎のバスが自宅の前迄来てくれます。午後零時の帰宅時刻に、門前で立ってバスの到着を待っていると、一点俄かにかき曇り、ごろごろと遠雷の音。
しかも雷の音はみるみる内に近づき、やがて近所に立て続けに落雷の稲妻が立ちました。話には聞いていたが、正に魔界の扉が開いたかのようです。しかも眼前に落雷する時の音は半端ではない。ガラガラどころか、爆弾が落ちた時のようなドッカーンという轟音で、周りがビリビリと振動します。
雷に当たれば多分死ぬでしょう。しかも生まれてこの方、これほど雷を身近に感じたことはありません。一瞬、家に逃げ込もうかと思いましたが、いつバスが来るか分からない上に、家内は傘を持っていません。
続いて突風が横殴りに吹き付け、間髪を置かず滝のような雨。しかも間の悪いことに、丁度その時にバスが到着。傘を家人に渡し、門から数歩の距離を玄関まで駆け戻る数秒の間に、頭から足までシャワーでも浴びたように(実際に浴びている)ずぶ濡れになりました。ゲリラ豪雨なるものを、初めて身をもって経験しました。
それから10分後には雨もやみ、TVを点けると、都心では遠くに雨柱が立っているとのこと。ざまあ見ろ、その内雷が落ちて、腰を抜かすぞと思っていると、こちらでは陽がさしてきました。
なんでこんな狭い時間帯を、狙ったかのようにピンポイントで雷雨が襲ってくるのか。1分でも2分でもずれていれば、こちらもずぶ濡れにはならずに済んだのに。これも日頃の不摂生の致すところかと悟った次第です。
「思い知ったか、小僧。自然の力を」
「へへ―。恐れ入りましてございます。大魔王様」
(背景の音楽はシューベルトの魔王)
関連記事:スカイツリーに落雷直撃。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c3cfe671644185b6cd871ba2169d5ded5d6265a3
【注目】
・原発建設費を電気料金に上乗せ。
https://digital.asahi.com/articles/ASS7R3PZVS7RULFA01NM.html?iref=comtop_Topnews2_01
コメント:前世紀の遺物、刑惨省のやりそうなこと。そもそも小さい列島に50もの原発を作り、原料は海外依存、廃棄物の処理処分の目途さえ「未だに」立っていない。費用が掛かれば、全部国民負担。子供が見ても明らかに失敗である原発政策で、省内の誰かが責任を取ったという話も聞いたことは無い。この省庁は、こと原発に関して言えば、国の為にも、国民の為にもなっていないと言えば、誹謗中傷になるのだろうか。
・ハリス支持、トランプ上回る。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6508472
コメント:やったと言いたいが、未だ3ケ月ある。どうなるかは分からない。
・ハリス、犯罪者と戦う。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23EAV0T20C24A7000000/
コメント:無論トランプのこと。
・トランプ再選で、日本は更に貧乏に。
https://toyokeizai.net/articles/-/782866
・小池百合子の答えない力。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a7928b5b1b42137992012b7142bc8b2f3fb1a0f7
コメント:女帝の本性がむき出しに。外苑再開発も強行の姿勢。
・エッフェル騒動の反省なし。160人が海外視察。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/342120
コメント:松川るいだっけ。
2589.雷神 7.26
「また雷雨ですか。たまにあるから、畏怖の念も持つけれど、
こう毎日となると飽きちゃうんじゃないかな。要するにマンネリだと
いうことですよ。ねえ雷神さん」
「お前さあ。非力な人間の癖に生意気な口をきくんじゃねえよ。
一発ビリビリとやってやろうか」
「いやそれは遠慮しますけど、雷神さんは、見た目も俵屋宗達の絵とは
だいぶ違うようですね」
「どこがどう違う」
「背負っているものが、太鼓をつないだフラ・フープじゃなくて
リチウムイオン電池をケーブルで直列につないだものじゃないですか。
雰囲気が無い上に、それって発火するので危ないっすよ」
「しょうがねえだろ、タイコの材料になる良質の木も皮も、人間どもが
取り尽くしてしまったんだから。風神だって悲惨だぞ。風を入れておく
大袋が、布の質が悪くてボロボロだ。しょうがないから北朝鮮のゴミ風船の
風船を横取りして使っているのだ」
「それは確かに悲惨ですね。おやどちらへ」
「雨雲が移動しちまったので、後をついていかないと。じゃあな小僧」
「もう来なくていいですよ。第一こちらも小僧じゃないし」
「なあにー、もう一度言って見ろ」
「これは失言。忘れてくらはい。クワバラ,クワバラ,アキハバラ」
【注目】
・特捜部の杜撰な捜査。
https://news.yahoo.co.jp/articles/21b99684529fc498bf59c83490e1dcc0349956dc
・国連人権理事会。日本の社会規範は時代遅れ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240724/k10014521941000.html
コメント:兵庫県知事を見よ。人権意識など皆無。
・泉再選に黄信号。
https://mainichi.jp/articles/20240724/k00/00m/010/135000c
コメント:再選されては困る。
【災害】
・山形に大雨特別警報。
https://digital.asahi.com/articles/ASS7T1D2YS7TUTIL00YM.html?iref=comtop_7_02
・大雨の時のNG行動。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6506308
2590.歴史継承 7.27
今回の前書きは、朝日新聞(7.26)私の視点です。
市民が取り組む歴史継承
共生の意識 行政は敬意を
東大教授 外村大(まさる)から
(前略)
市民自らが地域や職場、学校などの過去を振り返り、継承すべき史実を確認する作業はとても大切だ。ところが、行政は市民の歴史実践を大切にせず、それに基づく自治体史の記述すら無視する態度も見せる。
関東大震災時の朝鮮人虐殺について、政府は「事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」(官房長官)と言う。東京都知事は虐殺された朝鮮人の慰霊行事に追悼文を寄せず、都人権部職員は虐殺を事実として語る作品を人権啓発行事で上映することを問題視した。都の刊行物の「東京百年史」が、自警団の暴虐について「東京の歴史の、ぬぐうことのできない汚点」と記述しているにもかかわらずだ。新潟県知事も、佐渡鉱山への朝鮮人の強制連行を記述した「県史」を尊重しようとしない。群馬県は、戦時動員に関わる朝鮮人労働者の追悼碑を撤去した。これらは、史実発掘と継承に取り組む市民への敬意を欠く。
市民による歴史の掘り起こしでは、1970年代ごろから朝鮮人にも目が向けられ、民族間の加害・被害とともに交流の足跡が見いだされ、そうした発見は、自治体史に反映された。それは、歴史問題の葛藤を解きほぐすきっかけにもなる。
震災時に迫害された留学生や、強制動員で炭鉱や軍需工揚に配置された朝鮮や中国の人々は、学校や職場の先輩であり地域の住民だった。マイノリティーの存在を含む私たちの身近な歴史を確認することは、ますます重要になる。なぜなら、私たちは共にコミュニティーを築いており、外国籍住民や外国をルーツに持つ日本国籍者は増え続けるからだ。共有すべき歴史にも、ダイバーシティーや多文化共生が求められよう。
関東大需災百年にあたり東京大学教職員有志は昨年、虐殺された犠牲者を追悼する声明を発表した。声明では、事実の歪曲を看過せず、東大が掲げるダイバーシティーを実現すべきこともうたった。マイノリティーの同僚・学生は、自身が被っている差別や偏見、ルーツにかかわる歴史自体を語れない状況に置かれていることも多い。そこには日本帝国が過去に行った加害のタブー視も関係する。それをコミュニティーレベルで変えていくことも重要な課題だ。
コメント:何事も力で強引に押しまくる小池都知事の意識と姿勢は、我々常人には理解しがたいものがある。群馬県知事の山本一太の場合は、本音なのだろう。自民党は彼を必要としていないが、国民はもっと必要としていない。彼らが、戦後の民主教育を受けたとは、到底信じられない。都民、県民は、背中に気を付けた方がいい。いつ寝首を掻かれるか分からない。
関連記事:佐渡金山、日韓合意。
https://mainichi.jp/articles/20240726/k00/00m/030/111000c
【注目】
・石丸伸二の強烈な虚しさ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d17dbc5a061a9224ef6d47b7c0df9b7b93d5a19c
コメント:石丸が面白半分で立候補しなければ、僅かなチャンスではあれ、蓮舫が勝つ機会もあった。しかも都民の過半数が反小池だった。だから都民にとっては大迷惑。もう東京には来るな。広島で、岸田の足でも引っ張っていてくれ。一方、蓮舫などを立てる立憲も立憲だ。国民に人気が無い事もわからないのか。己が権力欲の為に、民意を踏みにじったという点では、小池、石丸、蓮舫は皆同罪だ。
・自民和歌山県連、3千万円不記載。
https://mainichi.jp/articles/20240726/k00/00m/040/124000c
コメント:あの二階の地元。
・敦賀原発2号機、再稼働に不適合。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA240Z90U4A720C2000000/
・原爆の日、平和運動締め出し。広島市。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/342847