「オンライン・オピニオン」
「欧州と右傾化」
「寝具のリサイクル」
「マイナ保険証」
「地震注意報」
「SNSが政治を侵食」
「タイの解党命令」
「震災備蓄」
「キャット・レディ」
「国民放送局」
「イスラエルの意図」
2601.欧州と右傾化 8.6
今回の前書きは朝日新聞(8.6)オピニオン&フォーラム、『右傾化?欧州は今』からです。欧州が右傾化している事は聞いていましたが、その実態はいま一つ良く分かっていませんでした。それに、トランプ支持の米国のキリスト教右派や、イスラエルの強硬派は、右翼どころか極右です。
「国ごとの差異に目向けて」中井 遼 政治学者
欧州が「右傾化」しているといわれますが、私は違った見方をしています。
今年の欧州議会選挙で右派の議席が増えたのは事実です。ただ、増えたのは主に仏、独、オランダです。北欧では退潮気味で、ハンガリーやポーランドなど東欧でも伸びていない。
かつての欧州では、右と左を分けるのは主に経済政策で、右派は自由市場重視で小さな政府、左派は再配分重視で大きな政府を目指しました。今はその枠組みが崩れてしまっています。
左派は、環境問臨や格差問題など政策や理念がわかりやすいのですが、右派はどこが「右」なのかが明確ではなくなっています。右派を結びつけている論理は、自由、宗教、伝統といわれます。しかし、具体的な政策として何を重視するかは国によって違う。左派は各国共通ですが、右派は一様ではないのです。
右派イコール反移民というわけでもありません。西欧の右派政党支持者には反移民の人が多いのは確かですが、反移民で左派に投票する人もいる。欧州全体の移民に対する態度は、この20年ほとんど変わっていません。2015年の欧州難民危機の頃に比べると、むしろ好転しています。
反欧州連合(EU)の姿勢は右派政党に普遍的ですが、左派にも見られます。さらに欧州全体でみると、EUへの信頼度は上がっている。反EUで右派が伸びたとはいえないのです。
反移民や反EUとは無関係に、政権与党への批判票として右派に投票する人も多い。右派支持と所得との相関もほぼないので、低所得層が右派に投票しているともいえません。
西欧で右派政党が伸びているのは、「右傾化」というより、政党政治の変化が大きいと思います。かつての西欧では、政党が労働組合などの組織と結びついていました。そうした伝統的な政党が衰退し、右・左を問わず新興政党が台頭して、選挙のたびに結果が揺れ動くようになった。フランスはその典型です。 (中略)
欧州で右派政党が伸びているといっても、それぞれ主張も支持される理由も違います。「欧州が右傾化している」と一口に言ってしまうのではなく、国ごとの差異に目を向ける必要があると思います。
(聞き手・尾沢智史)
コメント:折角の説明ですが、国によって違うというだけでは、政治の偏向を阻止するための役には立ちません。但し階級闘争(ネット版の記事)だというのはその通りだと思います。私が警戒しているのは、右派の台頭に合わせて、(独裁)政治家がポピュリズム(大衆迎合)を使って権力を握ろうとすることです。以前ならヒトラー、現代ならネタニヤフ、トランプ、エルドアンがそうした例です。しかも一旦権力を握れば、警察権力や軍隊も使い放題。居座り続けられます。
選挙の時も、嘘も方便で、ある事ない事言い立てる。「善意で」「愚かな」大衆を扇動し、「民主的な手続き」で権力の座に就く。都知事選もそのような選挙だった(大衆誘導)という印象を私は持っています。
現職の岩盤層は保守なので、右翼は勿論、自民党、公明党支持者も現職に投票したでしょう。しかも左派にはこれという対立候補がいなかった(蓮舫は反小池ではあっても、民主主義の代表とは言えなかった)ことも現職の勝因です。石丸は左派でも右派でもなく、無党派層とダブルヘイトの都民の逃避先になっただけです。
上の投稿にもあるように、福祉型(配分型)の政治主張は強い投票動機にはなりません。自分の利益より他人の利益、平等、公平性、最大多数の最大幸福を志向するからです。言い換えれば正義の為に、公益の為に、投票をするのです。かたや右派即ち自由経済の支持者は、自分が中心(個人主義)です。目標が自分の利害なので分かりやすい上に、投票の動機づけが極めて強い。
加えて、宗教を背景にすれば、冷静で論理的又は道徳的な思考は、一層隅に追いやられてしまいます。利害と感情(右派)、対、理性と道徳(左派)ともいえます。
右派には勢いがあるから、民主主義から逸脱します。トランプの支持者(議会襲撃)を見ればそれが分かります。それをどう防止し、軌道修正すればいいのか、それが左派の最大の問題です。解決の手掛かりは、上記の投稿だけでは、十分とは言えないのです。
2602.寝具のリサイクル 8.8
今回の前書きは少々変わったところで、寝具メーカーの社長です。
朝日新聞(8.7)「寝具リユース 五輪から社会へ」エアウィーブ社長 高岡本州
2007年にマットレスパッドの販売を始めたとき、リユースやリサイクルができるとうたっても、ほぼ振り向いてもらえませんでした。
ポリエチレン樹脂を溶かし、糸状に絡み合わせて成形した当社開発の寝具は、水洗いして済潔にできるので、再利用に回せます。砕いて溶かして素材に戻せば、新たな製品に作り直すこともできます。
東京五輪・パラリンピックが、もっと力を入れたいと考えたきっかけでした。大会の公式パートナーとして、1万8千床の段ボールベッドやマットレスを選手村に入れましたが、日本にはベッドを再利用するという文化がほぼないのでしょう。組織委員会からは大会後の引き取りを求められました。公共の宿泊施設や鉄道会社に声をかけ、すべてリユースとリサイクルに回りました。
パリ五輪では1万6千床を選手村に入れましたが、日本とは達いますね。大会後の再利用が明確な条件でした。紹介を受けた仏軍や生活困窮者の支授団体などと交渉しました。
日本ではたいてい、寝具を使い終えると粗大ごみとして捨てます。従来のスプリングマットレスは構造が複雑でリサイクルしづらい。車ほど高い資源価値もない。ラベルがすぐはがせるペットボトルのように、行政が入った収集のしくみもない。たまにしか出ないため、集めてリサイクルする社会的な価値も低い。(中略)
レジ袋の有料化など身近なところで変化があり、環境問題に敏感な方は増えました。会社の社会的責務に向きあう姿勢が、顧客の商品やサービスヘの信頼を左右する時代へ変わりつつあると、ここ数年感じます。
(聞き手・伊藤裕香子)
コメント:経営者でもこれだけ人格の違いがあるのかと驚くばかりです。長者番付に載り、浪費をし、有名になることだけが目標の経営者達を見ると情けなくなります。志が大事なのは政治だけではありません。
続いてもう1件、サンデー毎日(8.18・25)から
牧太郎の青い空白い雲、「コロナ治療薬が3万円近い、死ぬしかないと思わせる薬価」。
(前略)薬の値段が高すぎるような気がしてならない。
薬価は、製造原価(原料費、労務費、製造経費)、研究開発質、販売費などに「製薬企業の営業利益」を乗せて算定されるが、もしかして「製薬会社」が儲け過ぎと疑いたくなる。
というのも、製深会社のトップ の役員報酬がベラボーに高いのだ。
たとえば、武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長兼CE0(最高経営貫任者)の役員報酬の総額は20億8200万円(2024年 3月期)と報じられている。
どう見ても「稼ぎすぎ」だ。
他の製薬会社でも役員報酬1億円以上の経営者」がけっこういると聞く。命を守る仕事だから、それ相応の「報酬」があって当然だが…。「年収1億円が普通」 というのは、ビンボー人の当方から見れば異常な稼ぎである。
なぜ、世間で「儲けすぎ」が批判されないのか不思議である。大手メディアは製薬会社の広告料をもらっているから? 製薬会社の中には「政治献金」もしているから、政治家は「儲けすぎ」を問題にしないのか?
新型コロナも怖いけど…。
「高額すぎる治療薬」の,“慢性疾病”も深刻だ(笑)。
コメント:特に外国人経営者は青天井が当たり前みたいです。
ではもう一つサンデー毎日から、サンデー時評 高村薫
「老い、衰え、しかし執念 米大統領選に見る政治の熱量」から
(前略)それにしても、バイデン氏が高齢を理由に選挙戦から撤退し、トランプ対ハリスの新たな戦いが老いと若さの対決になったのはなんとも皮肉なことである。政治家は基本的には思考さえ衰えていなければ車椅子でも現役でいられる。政治日程をこなすための体力の衰えは側近が補佐すればよいし、高齢ゆえの決断力の衰えはあって
も、人をまとめ、多様な意見をすり合わせる高齢者の知恵と経験値に代わるものはない。とすれば政治を真に価値あるものにするために高齢の政治家は十分な存在価値があるはずで、一律に年齢で否定されるべきではないと思うが、若さが選挙戦の分かりやすい注目点になるのは、いまや世界共通の傾向である。そこに今日では女性であることのポイントも加わる。
ところで自身も高齢者である筆者は、高齢を理由に大統領選から撤退したバイデン氏の胸中に学ぶところが大きかった。演説会場で転びそうになり、声はかすれて弱々しく、身振りも緩慢で切れもない。他人には分からない痛みが節々にあり、疲労感が抜けない身体はつねに重く、長く歩くのは難しい。そうした身体の確実な衰えを引きずりながらアメリカ大統領を務めるのは、問違いなく強靭な精神力の為せる業だし、八十を超えてなお衰えない政治の情熱がみなぎっていることの証でもあろう。それを断ち切らざるを得なかった理由が、政治的失敗ではない、たんなる加齢であるというのはまことに残酷な現実であり、その失意は何をもってしても贖われることがない…(以下略)
コメント:とはいえ、記憶力と判断力に顕著な低下があれば、辞任の正当な理由になり得るでしょう。但し一言弁護すれば、トランプも似たような記憶違いや言い間違いがあり、到底バイデンのことを言えるような立場ではないのです。
おまけとして次は川柳です。
「永田町生き物劇場」葉月亭遊人から
『寝首かく ことはしないと 明智言い』
ポスト岸田で茂木が殊勝なことを言っている。「総裁選で最初に手を挙げることは絶対にない」「明智光秀は一人で本能寺を急襲した。私が先頭ということはない」しか し、永田町での解釈は違う。「後出しじゃんけん。他のポスト岸田候補の動きを見ている。しかし、岸田との不仲はみんな知っているから、先走りたくない」(中略)石破が手を挙げなければ、茂木は本当に「明智光秀」になってしまう。
『食事して 仲良くなるのは 男女だけ』
自民党の総裁選に比べれば、いかにも地味な立憲民主党の代表選。昨年来、自民党が裏金問題で失速し、立憲に追い風が吹いた。泉も6月の地方遊説で「総選挙をやれば、私が総理をさせていただくことになる」と調子に乗っていた。でも風はあっさりと凪。そこで次の総選挙で野党協力を取り付けるための食事会を始めた。(中略)代表選に向けて枝野幸男や小沢一郎も動き始めた。焦る泉。食事をすれば仲良くなる。そんなのは付き合いはじめの男女しかない。
コメント:今回の川柳では枝野に手厳しい作品もありますが、悪いのは単身で再結党した枝野ではなく、排除の論理で野党共闘をぶち壊し、何の責任も取らなかった小池百合子であることを忘れて貰っては困ります。
更にもう一つサンデー毎日から、
「日本の水が汚染されている」
(前略)やはりこのドキュメンタリー番組のディレクターだった島袋夏子氏はこう語る。
「16年に沖縄県の記者会見があった時は、水に問題があると言われても正直、ピンときませんでした。でも欧米ではすでに汚染問題が認知されていて、ジョンさんからやるべきだとの提案があり、取材しはじめたのです。汚染源となっていたのは米箪の泡消火剤でした。
60年代のベトナム戦争の時に、米軍では歴史に残る大規模な空母火災があり、搭載していた戦闘機が破壊され、多くの軍人が亡くなりました。その後、米軍の財産と軍人の命を守るために、PFASの泡消火剤を使うようになったのです。それ以降は基地内で消火訓練が行われたり、泡消火剤の流出事故が起こるたびに、沖縄の水は汚されてきました。私たちは、それを知らなかった。水は人の営みや命と直結したものです。私たちの尊厳が冒されたと言ってもいい」
さらに、20年4月には普天間基地から約23万リットルもの泡消火剤が流出。その6割が民間地へ流れた。映像には、そのPFASを含む有害物質の泡を、宜野湾市の消防士がバケツで処理する姿が記録されている。
そして後日、米軍からの報告書で明らかになった事故原因は、まったくあきれたものだった。普天間基地内の海兵隊員が格納庫の前でバーベキューをしたために、格納庫の消火システムが反応し、有害物質が流出したというのだ。
流出事故があるたびに沖縄県は基地内への立ち入り調査を求めているが、米軍は日米地位協定をもとに拒否することが多く、実態解明にはほど遠い状態が続いている。日本政府もまた、汚染源が米軍基地にあるとは認めていない。(以下略)
コメント:米軍ではないというのなら、日本政府は汚染源を明らかにしなければなりません。
2603.マイナ保険証 8.9
今回の前書きは、サンデー毎日(8.18・25)の続きから。
萩原博子が緊急警告
オンライン資格確認義務化で大混乱
保険証廃止で1万の医療機関が消滅する。
(前略)政府は、今年12月に保険証を廃止する前提でマイナンバー法等を改正している。
そうなると、「マイナ保険証」などで医療資格情報を確認しなくてはならないが、そのためには各医院のオンライン資格確認の整備が不可欠。
そこで、23年4月からオンライン資格確認の(原則)義務化」が始まった。ただ、 義務化を決めても、それにかかる費用を政府が出してくれるわけではない。(中略)
オンライン化にはカネがかる。医者の平均年齢は、 現在約60歳.65歳以上が30 %、75歳以上も9.3%で、後継者がいない医院などは今さら大きな借金を背負いたくない。 (中略)
今年4月に「1人の閉院・廃業も出さないようオンライン資格確認義務化撤回を求める」という理事会声明を出した、長野県保険医協会で話を聞いた。長野県保険医協会の声明文には、次のようなことが書かれている。
「医師・歯科医師の中には今回の義務化に対応できないことを理由に閉院を早めたというケースが既に出始めている。長年、地域医療に貢献してきたベテランの医師・歯科医師を失うことは患者・地域にとっては大きな損失である」(中略)
「もう少し頑張ってほしい先生が、『義務化』のためにあきらめて診療所をたたまざるを得なくなると、無医村が増える。自治体消滅に拍車をかける、絶望的な状況になっていきます」(宮沢会長)
もし義務化に従わなければ、どうなるのか。
「療養担当規則への違反として地方厚生局の指導対象となり、最終的には保険医療機関の指定取消しおよび保険医の登録取消しの可能性さえあると脅されています」 (宮沢会長)(中略)
「要は、国の勧める医療DX に協力させようということでしょうが、私たちには負担ばかりでメリットなし。私の周囲でも、すでに2 人の歯科医師が辞めました。2人とも70代のベテランで1人は政府がマイナ保険証のカードリーダーの導入を義務化した時に、導入せずに閉院を決めました。もう1人は、オンライン化しても意昧がないと、医院を売ってしまいました」(林副会長)(中略)
「保険証の廃止」のためにオンライン化を強硬に推し進めることに批判的なのは、開業医だけではない。
協会副会長の奥山医師は、ベテラン勤務医。やってくる人の多くはマイナ保険証を持っていないし、ポスターなどは掲示しているが病院も強いて持つことを積極的には勧めてはいないという。なぜなら、実際の医療の現場ではマイナ保険証の医療情報は、あまり必要ないからだという。
「政府は、9.9%の人が 診療でマイナ保険証を使っていると言っていますが、実感ではほとんど使われていない気がします」
保険証に比べて、毎回持っていかなくてはいけないマイナ保険証は、面倒だという人が多い。
奥山副会長が「保険証の廃止」に反対しているのは、マイナ保険証に、医師としてほとんどメリットを感じないからだという。
「マイナ保険証があれば、診療、健診や投薬データが見られ、病気に対して迅速な対応ができるのがメリットと言われます。けれど、私はマイナ保険証のデータはほとんど見ない。なぜなら、そこにあるのは診療報酬の請求書のデータ。1カ月から人によっては3カ月前のもので、しかも〇〇の病気の疑いがあったのでこんな検査をしましたという記録。検査した結果がどうだったかは、わからない。情報が遅く、リアルタイムではないので、ちゃんとした医者なら、そんなものよりもカルテや患者の話をい ろいろと聞いて診療方針を構築するんじゃないでしょうか」
こうした現場の医師の冷めた見方と裏腹に、政府は躍起になって,マイナ保険証がどれだけメリットがあるのかを示そうとしている。
5月23日から、救急搬送を迅速に行うための実証事業がスタートした。救急隊がマイナ保険証を現場で読み取り、通っている病院や服用している薬を把握する実証実験で、マイナ保険証があれば、患者が意識を失っていてもカードから情報がわかるので救急の現場で役に立つと胸を張る。
だが、意識を失っている患者の顔認証などスムーズにできるのだろうか。顔認証ができない時には暗証番号を打ち込むが、意識を失っている人からどうやって暗証番号を聞き出すのか。(以下略)
コメント:私の行きつけの歯科医も6月末に閉院してしまった。デジタル大臣は(総務相時代にマイナを推進した高市も)、私の入れ歯を作ってくれるのだろうか。まして河野や高市のように、国民の不便・不都合を顧みず、政策をごり押しするような人たちが総理になったら、日本は悲惨なことになるだろう。
関連記事:携帯電話の契約や、銀行口座の開設でも認証を強要。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff00a7490e9fd4ff0fff81d5fb98f7437f2a894f
コメント:やることがあざと過ぎる。この例も病院も、結局は民間同士の契約ではないか。公が口を出してなんでもかんでも管理する場面ではないはず。デジタル相は、相変わらず国民の不都合には一切耳を傾けようとしない。しかも私の経験では、薬局の窓口の認証手続きでスムーズに行った試しがない。前からおかしいと思っていたが、デジタル相は本当に何処かのネジが一本(または数本)足りないのではないか(失礼)。人格でも価値観でも、父親の河野洋平とは雲泥の差があるように思われる。
二番目は朝日新聞(8.8)の社説です。
「原発建設支援 国民負担で特別扱いか」
政府が原発の新増設に向けた新しい支援制度を検討している。事業ごとに原価や利益 を積み上げ、電気料金に転嫁する方式だ。実質的に国民負担で採算を確保するに等しいが、原発は「経済効率」が売りではなかったか。反省や検証もなく、方針転換をごり押しするのは許されない。
政府は、人工知能や半導体の普及で電力需要が増えると見込み、「脱炭素電源への戦 略投資を確保する仕組みをこれからしっかりと検討していく」(林芳正官房長官)との 方針を示している。
これを受け、経済産業省内で、政府が認可した原発について、想定した費用や利益を 建設開始時点から料金に上乗せする仕組みの検討が始まった。事業単位の計算ではあるが、電力自由化前の「総括原価方式」に似た制度だ。(中略)
加えて、原発は発電後も超長期かつ多額の費用が想定される。核燃料サイクルは行き 詰まったままで、高レベル放射性廃棄物の最終処分地も決まっていない。
未解決の問題が山積する原発を、自由化の例外として扱い、新たな国民負担を前提に してまで新増設するのか。議論するのであれば、そのコストやリスク、将来の原発依存の程度や期間を明確にすることが最低限の前提だ。
事故の苦い経験と困難な課題を直視すれば、すぐにゼロにはできなくても、原発に頼 らない社会をめざしていくのがとるべき道だ。岸田政権は「原発回掃」に突き進む姿勢を改めなくてはならない。
・記事全文
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16005569.html?iref=comtop_Opinion_04
コメント:まことにその通りです。
関連記事:東電、原電に電力料金前払い。1400億円。
https://mainichi.jp/articles/20240807/k00/00m/040/291000c
コメント:気楽に言うけれど、電力料金は、結局利用者負担だよね。
三番目は朝日新聞のかたえくぼです。
「手荷物検査」
核の傘は持ち込めません−平和祈念式典(神奈川・ホンチ)
コメント:お上手。
2604.地震注意報 8.9
地震の注意報が発表されました。
まさか、これをお伝えすることになろうとは、思ってもみませんでした。
予測通り、宮崎県沖地震は、南海トラフ地震の予兆だったようです。
新型コロナ、戦争、天候異変、国内外の政変、生物界の異変、熱中症、株の暴落、
人災、天災の数々。そして遂に首都圏も対象とする大型の地震が身近に。
皆様も一応のお覚悟をお願いします。
【南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。】
本日、気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域で、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとして、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。
この情報は、巨大地震が必ず発生することを示しているものではありませんが、今後の情報について、テレビやラジオ、スマートフォンなどから収集していただき、冷静な対応を行うとともに、日頃の備えについて、自身の防災対策を今一度確認してください。
「防災対策の確認例」
・家族への連絡手段や、集合場所の確認
・家具の転倒・移動・落下防止対策の再確認
・非常持ち出し袋の準備など、地震が発生したときにすぐに避難できる準備
・地震の後に生活に困らないよう、備蓄品の再確認
・いざというときの避難場所、避難経路の再確認
□気象庁「南海トラフ地震関連情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/nteq/
◆このメールは送信専用ですので返信できません。
◆発行 八王子市 生活安全部防災課 電話 042-620-7207
・神奈川県で震度5弱。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240809/k10014544361000.html
コメント:近くにおいてあったスマホがけたたましく鳴り、緊急地震速報を告げていました。初めての経験でした。我が家は八王子でも震源の厚木に近いので、震度4でもかなり揺れました。なお南海トラフとは少し地域が違うので、関係はないとのことです。
・巨大地震注意
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240808/k10014542271000.html
コメント:改めましてどうぞ。
・巨大地震、発生度が数倍高まる。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510143
・気象庁,通常と異なる地殻変動なし。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510224
・域内で一部割れ。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510147
・巨大地震、今できる備え。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510162
コメント:出かけてもいいとのこと。
・買いだめ控えて。商品品薄。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510217
コメント:そりゃそうだ。それで朝からOK(スーパー)が混んでいたのか。
・地震の備え、お盆に高齢の親と確認。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3a016d19c789e110859a07ac88167b9733a9d1bf
・旅行・帰省、どうする。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240809/k10014543961000.html
・岸田、1週間は国内に留まるべきと判断。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240809-OYT1T50208/
・各地で遊泳禁止。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510210
・台風への備え、何がどれくらい必要。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510229
【災害】
・宮崎地震、SNSの投稿。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510112
コメント:一覧を。南海トラフでも同じことが起きるのだろう。
2605.SNSが政治を侵食 8.10
今回の前書きは2件、いずれも朝日新聞(8.9)オピニオン&フォーラムからです。
「核開発 問われる科学者」
「止められない技術の暴走」ジェームズ・ノーラン 社会学者
米国の原爆開発「マンハッタン計画」に祖父が参加しました。放射線を扱う産婦人科医です。
祖父が残した文害によれ ば、1945年7月16日の 世界初の核実験(トリニティ実験)の前、祖父らは放射線の影響が周辺住民に及ぶ危険性を、マンハッタン計画を率いたレスリー・グローヌス将軍に訴えましたが、無視されました。
また、45年5月にドイツが降伏し、原爆開発の理由が失われたと感じた科学者もいました。自分たちがしていることに不安を持ち始めるのですが、オッペンハイマーはこれを鎮め、原爆の開発を続けさせました。(中略)
ジェームズ・フランクら一部の科学者は、無警告での都市への原爆使用に反対し、無人地帯で示威実験をするよう米政府に呼びかけました。しかし、政府や軍関係者には自分たちが開発した兵器を使って戦争を終わらせたいという強い望みもありました。それはもう科学者の手を離れていた。原爆という科学技術を開発したら、科学者は用済みとなったのです。
技術史学者のトーマス・ヒューズ氏は政府と産業、軍事、大学の複合体の原型としてマンハッタン計画を挙げ、そうしたシステムは強大な「技術的勢い」を得て突き進むものだと指摘しました。フランスの社会学者ジャック・エリュール氏もこれを「技術決定論」と呼んでいます。技術はひとたび始動すると勝手に増大し、抵抗は困難になるということです。
督技術は有益な性質と破壊的性質を併せ持つ。それは現代にも言えます。「AI(人工知能)のゴッドファーザー」と呼ばれ、昨年、米グーグルを退社したジェフリー・ヒントン氏は、AIの普及で真偽不明の情報があふれ、これが政治や軍事に利用されることを心配していました。
核兵器でもAIでも、ひとたび使われると、技術は命を得て、さらに新しい技術を育みます。その結果新たな問題が生じますが、人間は不都合な真実には目をつぶるものでつぶるものです。マンハッタン計画は、現代への教訓も残しているのです。
(聞き手・田井中雅人)
コメント:日本では原爆を開発せよと命じられたら、科学者の100%がそれに従うとのことです。米国では反対意見を言う人間がいたというだけでもましないかもしれません。
もう一件は「石丸旋風の先に、論破のSNS文化政治を侵食」山腰修三のメディア私評
今回の東京都知事選に関する話題が尽きない。言うまでもなく、それは前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の躍進による。選挙から1カ月が経過してなお、テレビや新聞、ネットで「石丸旋風」の評価をめぐり議論が続いている。
(中略)つまり、今回示された民意は小泉現象や維新の会の躍進といったこれまでの「改革の政治」の系譜に位置づけられるものである。この系譜においては、より新鮮でしがらみのない存在とみなされることが重要で、石丸氏はこうした条件を満たしていたため支持されたと考えられる。
この選挙結果が驚きをもって受けとめられた要因は、SNS上でこれまで蓄積 されてきた手法の活用によって無党派層からの多数の支持の調達を実現できた点にある。よく知られるように、情報が過剰に溢れかえるネット空間においては、人々の感情や関心を喚起して注目を集める文化が発達してきた。石丸陣堂の炎上をいとわない発言や切り抜き動画の拡散などはいずれもこうしたアテンション・エコノミーの特性を踏まえた戦略だと言える。(中略)
そこで、こうした状況が私たちの政治に関する日常的な経験にとって、いかなる帰結をもたらすのかを考えてみたい。メディアが私たちの生活に浸透する中で、民主主義を支える政治文化もまた、人々の日常的なメディア利用と一層切り離せなくなってきているからだ。
(中略)この問題を考えるうえで、次の点に注目すべきである。
第一に、都知事選で用いられた一連の手法は、石丸氏の安芸高田市長時代の日常的な政治運営の延長線上にあった。
第二に、切り抜き動画の作成や拡散の担い手の中には閲覧数による収益を目的としたアカウントも存在し、そうしたスタイルの動画が石丸氏関連以外でも政治のさまざまな話題をめぐり、今後ますます広がっていくことが予測される。
第三に、SNSユーザーの一部はもはやテレピや新聞などの伝統的なニュースを日常的に参照していない。それはニュースよりもSNS上の話題や動画の参照を通じて政治的に社会化されるということを意味する。そうしたユーザーにとって、「政治」とは何かという感覚はSNSを通じて形成されていくのである。
こうした視座に基づくと、今回の選挙で見えてきたSNS文化の一部が民主主義に与える負の側面がより深く理解できる。石丸氏は市長時代に政治家やメディアを批判する様子がSNSで話題となり、知名度を高めた。ネットにはもともと、相手を言い負かすことを正義とみなす「論破」の文化があり、SNSユーザーの共感を呼んだというわけだ。問題は、政治には非寛容的で排他的なSNS 的コミュニケーションが不可欠で、かつ有効であるという考え方が受け入れられ、広がっていく点にある。
(中略)自身の正義の基準から「許せない」「不快」と判断した対象を徹底的に排除・攻撃する運動を意味する「キャンセルカルチャー」がSNS 上で活性化している。こうした文化は、アイデンティティの政治と結びつく形で政治参加や抑圧された少数派の解放を促進するとみなされる一方で、特定の価値観を共有した集団がネット上で過剰に「政治化」した結果、非寛容性と排他性を伴う点が批判されるようになった。
以上を踏まえて都知事選におけるSNS空間に目を向けると、こうした非寛容性や排他性は、石丸陣営とその支持者の間のみの現象とは限らないことが分かる。対立陣営の支持者たちのSNSアカウントの一部に見られた石丸氏やその支持者を全否定するような発言もまた「論破」と同種の非寛容性を持っている。無論、蓮紡氏に向けられたSNS上のバッシングも同類であり、あるいは小池百合子氏の街頭演説をヤジで妨害するふるまいは、こうした文化が現実世界を侵食し姶めている兆候とも言えよう。それぞれの陣営の支持者が互いにバッシングし合うというSNSの構図は、立場の異なる他者の声に耳を傾けない政治文化の今後の進展を予言しているようでもある。
選挙における一定の「有効性」が示された以上、今回のようなSNS的コミュニケーションは今後政治の世界へますます浸透していくだろう。それは民主主義的な対話を難しくするだけでなく、米国で生じている社会の分断や陰謀論の蔓延とも地続きである。この問題を解決するには、異なる立場の声に触れ、耳を傾ける文化を涵養する必要があるが、その実現は容易ではない。(以下略)
コメント:米国の分断もまさにそれでしょう。またそれは日本でも同じことが起きるという、正に実例でもあったということでしょう。
2606.タイの解党命令 8.12
今回の前書きは朝日新聞から2件です。
最初は、有田哲文「斎藤隆夫がいた帝国議会」です。
(前略)明治末から大正昭和にかけ、兵庫県豊岡市で選出された衆院議員の斎藤隆夫(1870-1949)。演説の名手で知られた。
斎藤の選挙を早くから支えたのは地元の青年たちだ。(中略)
斎藤義規さん(74)は言う。「国民は政治を監視し、監督する責任があると斎藤は説いた。そんな訴えが、当時の若い人たちに響いたのかもしれません」
斎藤の名が日本の近代史に残るのは、帝国議会での二つの演説による。1936年の「粛軍演説」では、その年に起きた2.26事件を正面から取り上げた。陸軍の青年将校らが「昭和維新」を掲げ、首相や閣僚を襲った事件である。
演説は問題の本質を突いていた。
青年軍人たちの思想はあまりに単純で視野が狭い。そしてこれまで何度もあったクーデター計画を軍当局は厳しく罰しなかった。甘い処分の連続が大事件をもたらしたと訴えた。
軍人の横暴に対する国民の怒りにも触れた。それが大きな声になっていないのは「言論の自由が拘束せられている今日の時代において、公然これを口にすることはできない」からだと述べた。ものが言えなくなっていく時代にあって帝国議会にはまだ自由があった。それを最大限に用いようとしたのが斎藤だった。(中略)
やがて日中戦争が始まり、戦況は泥沼と化す。そのさなかの1940 年の質問演説は「反軍演説」と呼ばれるが、実際は反軍でも反戦でもない。追及したのはただ、「この戦争はいったい何のためなのか」と「戦争はいつ、どのように終わるのか」だった。しかしそんな問いすら許されない時代になっていた。「聖戦への冒涜だ」という軍人の声に、多くの議員が従った。斎藤は帝国議会から除名された。(中略)
斎藤のような代議士がいたのは戦前日本のデモクラシーが誇っていいことだ。しかし斎藤しかいなかったことは、この国の汚点であろう。除名から約2年後の選挙で返り咲くが、太平洋戦争下の議会は、政府に隷属する機関となりはてていた。演説の名手がその力を発揮できる場所ではなくなっていた。
立候補する前に著した「比較国会論」という本で、斎藤はこう書いていた。国民の意思を解釈し、誠実に発表する気力のない政治家は、名前は代議士であっても「その実を有せざるものなり」。そして有権者については「適当なる代議士を識別する知能なき者はたとえ法律上において選挙権を有すといえども政治上の意味における選挙権を有するものにあらず」。激しすぎる表現かもしれない。それほどまでに、有権者に覚悟を求めていた。
コメント:まず議員とは「国民の意思を解釈し、誠実に発表する」ことを本分としなければならない。野党は批判ばかりという意見もあるようだが、ならば誰が「国民の意思」を、国民に代わって政府に質問するのか。しかも、与党にすりよる野党もいて、正面から切り込んでいるのは、共産党と令和新選組くらいだろう。
有権者は有権者で、「適当なる代議士を識別する知能なき者」が多いのも、戦前と変わらない。米の大統領選、日本の都知事選を見れば、そういう有権者の方が多いくらいだ。そもそも今流行しているポピュリズム(大衆迎合主義)自体、大衆には十分な知能(というより批判能力)がないことを前提にした動きだ。
国民を馬鹿にするにもほどがあると言いたい。でも大衆には十分な判断能力がないことが事実だとすれば、対策が必要だ。それは義務教育の段階で、政治の意味や民主主義の意義をきちんと教えておくことである。それが達成できていないことにこそ、現代政治の堕落・凋落の根本原因があるのではないか。
一方で、文科省は、学校では日の丸を掲げよ、君が世を歌えと強制している。即ち、どうでもいいことに固執する一方で、最も重要な教育には関心がない。文科省には大きな問題があり、しかも誰一人それを指摘して来なかった。現に、統一教会とズブズブだった大臣が、今でも居座っている。
二つ目はタイの解党命令です。論者は最大野党のピター元党首。
軍・保守派と改革派の対立が続くタイで、世論調査で支持率約5割の革新系野党・前進党が司法判断で解党された。民主主義に迫る危機とは何か。判決で政治活動を禁じられたピター元党首が、判決前にインタビューで語った。
ー解党の動きにどう対応しましたか?
(中略)私たちは、政党を壊し続けるタイの悪循環と闘う。タイでは過去20年ほどの間に10近い政党が政治的理由で解党されました。その結果が「失われた20 年」です。昨年の経済成長率は1.9%。東南アジア諸国連合(ASEAN)で2番目の経済大国が、成長率は最下位近くで低迷しています。
ー解党するのは憲法裁判所ですが、実際に闘っている相手とは?
変化への抵抗勢力、エスタブリッシュメント(支配層)。憲法裁は独立機関とされていますが、本当に独立しているのか。権カチェックのため機能しているのか、あるいは権力の敵を倒すために使われているのか。これは選挙による民意と、支配層の闘争です。
ー支配層とは?
ーつは「カーキ(軍服)資本主義」。軍部と財閥の連合です。タイ国内に軍のゴルフ場は 70以上あります。各地に五つ星のホテル、クルーザー、サッカーチームまである。
軍は外敵から国民を守るもので、内政に介入するためのものではない。なのに13回も軍事クーデターを起こしている。
もう一つは世襲や縁故主義による政治王朝。日本にもある。タイ語では「大きな家」と呼びます。父や祖父が政治家なら、能力と関係なしに政治家になり、首相候補にもなる。前進党は選挙で1400万票の民意を集めて対抗しました。
ー解党命令の後、どうする考えですか。
これまで解党命令を受けた数々の政党は新しい政党をつくり、生まれ変わった。私たちもそうする必要があります。
失われた20年の間、私たちは都市と農村、年配者と若者、公共と民間の架け橋になろうと力を注いできた。そこに突然、誰かがハンマーを持って現れ、橋を壊す。また新しい橋を架け、また壊される…。あまりにも非効率です。
ー解党命令が出れば、あなたや幹部は政治活動が禁止されます。
党を解体し、私の政治生命を終わらせても、変化を止めることはできない。新たな世代が育つ。理想と精神を消すことはできない。
ー解党は世界のグローバルサウスの国々で相次いでいます。
暴力の現場は路上から法廷に移っています。かつて民意で選ばれた政権を倒すのは軍事クーデターでした。今は司法によるクーデターです。
民主主義は世界各地で後退しています。最も民主的とされる北欧でさえ極右が台頭しています。極右思想は進歩を阻害し、平等を妨げます。世界で当たり前ならば日本でも起こり得る。タイで起きているのはその序章です。世界中から異議を唱える必要があります。(中略)
ー若い世代へのメッセージは。
あなたたちが議会にいなければ声は届かない。あなたより悪い人が政治をやり、あなたは統治される。対立したくない、かかわりたくないとためらっていると、あなたより悪い人に税金を取られることになる。政治にかかわれ。議員になれ。
コメント:タイを見て、日本の現状を振り返る。無論、何も言わないより、声を上げた方が良いに決まっている。有権者の多くを占める無党派層、或いは沈黙層が、声を上げる(意見を言う)だけでも、政治は大きく変わるだろう。でも石丸の台頭を見る限り、サイレント・マジョリティーの判断をそのまま鵜呑みには出来ない。なぜならそれは、必ずしも正確とも十分とも思えないからである。
但し、そこには十分な判断材料が与えられていないというハンディがある。それはメディアがその役割を果たしていないからである。それでも少しでも情報を得ようと、石丸の演説会に押し掛ける都民を見ていると、その健気さに打たれる。決して政治に無関心ではないし、小池独裁体制を何とかしたいと思う有権者が大勢いるからだ。
一方で、小池百合子は、勝った勝ったと繰り返すだけで、自分への批判勢力の方が遥かに多数を占めている事実に向き合おうとしない。その存在や意見に注意を払おうともしない。実際に立候補者のTV討論会も最後まで拒否した。フェアな競争などハナから関心はなかった。まさに既得権の女王だった。しかも当選後にしたことと言えば、野球の始球式で怪我をして休業したことくらいだ。巨大地震注意への反応もない。
メディア(特にNHK)もメディアで、TV討論会の代わりにやったことと言えば、知性どころか常識も疑わしい泡沫候補の、マナ―違反の政見放送を垂れ流したことだけである。しかもあれだけ民主主義も選挙制度も馬鹿にした立花には、批判の一言もない。警察もメディアも、彼に弱みでもにぎられているのか。なぜ誰も怒りを露わにしないのか。私は何時か偶然、どこかで彼に出会うことを心から願っている。馬鹿にされた都民の気持ちを、ストレートにあのコレステロールの塊にぶつけたいからだ。
大衆参加が民主政治の基本であることに変わりはないにしても、無条件で施行することによる、様々な弊害も生んでいる。一番悪い例が米国だ。米国を見ていると民意が必ずしも正しいと言えないことがよく分かる。ナチスを見れば分かるように、付和雷同型の民意は危険だ。米国の西部劇ではよくリンチのシーンがある。馬泥棒は吊るせというあれだ。しかも米国では人種差別でリンチが行われた恥ずべき歴史もある。それも(集まった群衆の)民意ではあるかもしれないが、明らかに正義ではない。理性も平等も、公正さもない。あるのは憎悪の感情だけだ。
議会制度でも、単純多数決で決めるのは危ないという教訓から、二院制が取られていることも忘れてはなるまい。雑な表現で結論を急げば、未だ地球上には完全な民主主義は存在していないとも言えるのではないか。その代わりにあるのは試行錯誤の連続だ。民主主義のシステムは完全ではない。これまでの戦争や弾圧などの負の歴史が、その不完全さを証明していると言ってもよい。
SNS上の罵詈雑言・誹謗中傷は言うまでもなく(だから私はSNSは使わない)、主張を声高に叫ぶだけでは、正しい結論には至らない。論破と説得も違う。説得と納得も異なる。石丸やヒロユキ、橋下や成田に出来るのは論破だけだ。即ち言い負かしだけである。相手の意見を聞き、すり合わせなければ、説得も納得も得られないことを知るべきだ。コメンテーターは、その場で反論されることが無いので、あたかも自分が論破したように見えるだけなのだ。
本を読み、新聞を読み、他人と意見を交換する。そういう習慣があって、初めて精神的な成長の上に成り立つ、合意形成が可能となるのである。
2607.震災備蓄。8.13
311から13年。ことあるごとに直下型地震に備えてきました。
使っていない子供部屋が、防災機材の保管倉庫になっています。
最初に揃えたのは発電機です。でも室内では使えないし(排気ガスで一酸化炭素中毒になる)、庭で使えば運転音で近所迷惑。また燃料のガソリンも長期間保存できない(品質が劣化)など、結構問題が多くて、実用性には疑問符が付きます。屋外で照明器具を使う時か、延長コードでTVを見るくらいではないかと思います。その後、燃料にカセットボンベを使うものが登場。これも入手しましたが、やはり排気が出るので、屋内では使えないという問題があります。そこで今は両方とも山小舎に保管しています。
そこで電源という意味では、外部電源をメインにしています。要するに充電池です。大型の家電には使えませんが、小型のTVや、なによりPCと、スマホの充電にも使えます。家庭用電源で充電して使います。今日も早速充電しておきました。停電の時は、折り畳みのソーラーパネルで充電します。
さて肝心の水ですが、風呂の水は飲料には使えないので、トイレの水洗用にと思っていたら、実はこれがNGだそうです。というのは下水管が破損している場合があるので、水を流すのはご法度という事のようです。そこで段ボールの便座とポリ袋のセットを入手しました。ついでに、庭で用を足す場合の目隠し用のテントも入手しました。注意しなければならないことは、例え1週間といえども、結構な量のポリ袋が必要な事です。なお家が傾いた時の為に、テントと寝袋も用意しました。車の座席で横になる為のマットレスも売っています。
話を水に戻すと、ポリタンクをいくつか用意して水道水を貯めていたのですが、せめて年に一度は交換したいと思っても、これがなかなかできません。こちらは腰を痛めているのに、水の入ったポリタンクが結構重いからです。なので、料理用ならともかく、飲料用にはペットボトルのまとめ買いがベストです。
なお車のガソリンの備蓄用に金属製の缶を用意しましたが、爆発物だし、都内を出れば営業しているスタンドが見つかるかもしれません。
照明器具としては、いわゆる懐中電灯の他に、充電式のランタンがあります。携帯用のTVも、ラジオもあります。ワンセグ放送ならスマホでも見られるでしょう。地震直後は、東京がどうなっているかの情報が一番必要です。
なお今はあまり関係ありませんが、冬は停電で暖房が止まるので、自立式のストーブを二台用意してあります。
但し、この夏は異常に暑いので、今地震が来て停電になる方が遥かに危険で、命に関わります。
さて肝心の食料ですが、床下から、賞味期限切れの缶詰や切り餅などが出てきました。中でも餅は賞味期限から8年たっていましたが、外見上カビが生えている訳でもないので、思い切って個装を破って、トースターで焼いてみました。さすがに外皮は堅いが、それさえ取れば食べられなくはありません。いざとなれば雑煮や汁粉で煮れば難い表皮も使えるでしょう。そこで捨てるのは思いとどまり、その代わりに新しい餅を追加しておきました。
停電になれば煮炊きが出来なくなり、炊飯器も使えなくなります。無論ガスが使えれば煮炊きは出来ますが、お勧めはとにもかくにもカセットコンロです。以前は卓上の電磁調理器なども使っていましたが、カセットコンロの簡便さには及びません。とにかく火力が強い。しかもボンベが安い上に、何回も使えます。
特にこの冬は、ご近所で野菜を下さるお宅があり、白菜一個を消化する為に、数回鍋ものをやりました。夏は暑いが、それでも、たまに脂が少ない鍋ものをやっています。但し夏場はスープ出汁を売っているスーパーが少ないのが難点です。
カセットコンロでご飯を炊く場合を想定して、(キャンプ用の)お釜も準備しました。飯盒という手もあると思います。冬にはカセットを使うガスストーブもあります。
2608.キャット・レディ 8.15
いま週間文春(8月15.22日号)で一番面白いのは、町山智浩の言霊USAだと思います。
「Cat lady 猫オバサン」
(前略)「トランプの性的暴行疑惑は事実だと思いますよ」J・D・ヴァンスもトランプに寝返る前はそう言っていた。「訴えた女性と、嘘の常習犯のトランプのどちらが信じられますか?」
ヴァンスの「キャット・レディ発言」は「猫好きにケンカ売ってんのか」と大炎上。トランプはイーロン・マスクに勧められてヴァンスを選んだというが、今は後悔してるかも。
そのマスクは共和党大会まで自分の所有するX (旧ツィッター)でトランブ万歳投稿を繰り返しており、トランプは「イーロンが選挙資金4500万ドルを寄付してくれるそうだ」と自慢していたが、バイデン撤退の後、マスクは寄付をやめると言い出した。トランプが負けて水の泡になることを恐れたか。そもそもEV(電気自動車)のメイカー「テスラ」のCEOであるマスクにとってはEV化を推進する民主党政権のほうが有利。富裕層への 減税を掲げるトランブとどっちに味方しようか難しいところらしい。
カマラ・ハリスの選挙のキャンペーン・ソングはピヨンセの「フリーダム」になった。ビヨンセも了解済。
「私は自分で鎖を断ち切る/私の自由を地獄で腐らせない/私は走り続ける/だって勝者は決してあきらめないから/私は暴動/あなたの境界を突き破る暴動/私を防弾と呼んで」
政権を取ったら全米で中絶を禁止にしかねない共和党から女性の権利を守ろうとするハリスの応援歌にふさわしい歌詞だ。
トランプは選挙ではローリング・ストーンズやヴィレッジ・ピーブルの歌を使い続けている。ミュージシャン本人から再三「使うな」と言われているのにね。
コメント:暴動の意味が不明、多分原文ではriotではなくrebellionと言ったのではないかと想像する。ともあれバイデンの撤収戦略は大成功だろう、そしていま岸田がそれを真似て不出馬宣言。美辞麗句を連ねてみせたが、実行を伴っていないので、目的はただ一つ、自民党支持率を多少なりとも上げることだろう。
関連記事:会見全文。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510671
関連記事:野党が驚き。
https://digital.asahi.com/articles/ASS8G2GX0S8GULFA007M.html?iref=comtop_Topnews2_04
コメント:泉は悔しかったら自分も撤退して見よ。今解散されたら、泉代表の立憲ではボロ負けだ。
関連記事:最後まで場当たり。鈴木哲夫。
https://mainichi.jp/articles/20240814/k00/00m/010/221000c
関連記事:どうなる総裁選。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/347461
関連記事:長老道連れ。
https://toyokeizai.net/articles/-/803052
コメント:これは結構と存じます。老害一掃。但し醜く逃げ回った森だけは、きちんと落とし前をつけさせたかったが。
・石丸に感じる新しい戦前。保阪正康。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/347302
コメント:重要、一読を。維新を含めて、政治的信念はおろか、社会常識さえも怪しい。しかも言いっぱなしの無責任。
2609.国民放送局 8.16
終戦記念日です。正確には敗戦記念日です。
空襲に機銃掃射。しかも標的は無防備な民間人。人間のすることではない。
ところがその加害者の足をなめんばかりの保守系の政治家が日本を仕切っている。
もし日本人がユダヤ人なら、米国を焼け野原にするまで戦うかもしれない。
そこまで突き進むかどうかは別にしても、絶対に恨みを忘れないだろう。
それはガザを見ていれば分かる。
核の使用を含めて、米国がしたことを見て見ぬ振りはできないし、日本と
米国のしたことを、冷静に判断する能力までは失いたくない。
その関係で言えば、朝ドラの「虎に翼」が、原爆被災者が国を訴えた訴訟を取り上げている事に感心しました。NHKの面目躍如!。右傾化した政党や官庁からの圧力をはねのけ、とことん戦ってほしい。国民はNHKの味方です。
それでこその国民放送局(peoples broadcasting station=PBS)です。そもそも公共放送という名称はマヤカシの最たるものです。確かに公共の費用(税金)で運営しているでしょうが、公共(public)の名がつけば共用の意味になり、そこには政府や官も含まれてしまうからです。政府が放送を通じて(必要以上に)国民に影響を及ぼす余地が出てきます。しかも公共の福祉は個人の権利に優先するという言い訳が用意されています。
ところで国民放送局(仮称)に関して、提案したいことがあります。それは言論の自由を保障し、政府の干渉を極力排除して、放送を政治の第4の権力たらしめるためには、国民の寄付で運営して欲しいということです。寄付なので、費用はいくらでも良いし、無論学生や、無収入・低収入の人は払わなくても良い。どれくらい寄付金が集まるかは分かりませんが、有志で委員会を立ち上げて、米の大統領選のように、寄付金キャンペーンを繰り広げれば良いでしょう。カネ引き換えに、政府から経営方針や、とりわけ人事に口を出されたら、客観的な報道など不可能で、国民放送局の存在に意味がなくなります。
人事に関して言えば、歴代会長は大企業から名前も知らない2流、3流の人材を連れてきており、しかもその結果が良かったためしがありません。経営委員会も、体質は戦前のそれです。
これが国民放送局になれば、会長や経営委員を国民が直接選べるようになるので、政府お仕着せの、偏向した二流の人材に高給を払う必要がなくなります。試してガッテンを、自分の個人的な好みで潰した(銀行出身の眼の小さい)前会長を、私は未だに許すことが出来ません。
そこで、私が個人的に会長になって欲しい人は、前川喜平です。
2610.イスラエル戦争の意図 8.17
今日の前書きはガザの虐殺の新たな視点です。
関連記事:カタールでガザ停戦協議始まる。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6510860
コメント:ハマスが出席しなければ意味はない。イスラエルの蛮行は、いかにどんな歴史的背景があろうとも、これ以上一個の人間として見てはおられない。ましてネタニヤフは信念どころか、自分の地位を失いたくないことが理由だから、一層救いがない。人質の命さえ軽視している。米英にはイスラエルに占領地を勝手に与え、しかもその後分割した二枚舌外交の責任がある。独には600万人(!)のユダヤ人を虐殺した負い目がある。しかし我々日本人には英米の自分勝手な歴史観に付き合う義理はない。間違いは間違いと指摘できるし、指摘しなければならない。情況を整理する為に、田中宇(さかい)氏の分析を添付するので参考にして頂きたい。
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2024年8月11日 から
★イスラエル5正面戦争の意図
イスラエルのネタニヤフ首相は7月24-26日に訪米し、米議会超党派、民主党バイデン政権、共和党トランプという、米国上層のすべての政治勢力からの全面支援を取り付けた。
7月31日には、イランの首都テヘランにいたハマスの在外代表イスマイル・ハニヤが、イスラエルによってミサイル攻撃されて殺された。
ハニヤは、ガザの停戦と人質釈放についてイスラエルと交渉するハマスの責任者だった。イスラエルは、一方でハマスと交渉して人質を取り戻すんだと言いつつ、ハニヤを殺して交渉を頓挫させてしまった。しかも後任のヤヒヤ・シンワルは、ハニヤより好戦的だ。
自国の首都に国賓として来ていたハニヤを殺されて面子を潰されたイランは激怒した。イランは数日いや数時間以内にイスラエルを報復攻撃する、米国を巻き込んで第三次世界大戦だ、といった大騒ぎが(イスラエルに動かされる)米マスコミなどで喧伝された。
イランは今年4月、イスラエルが駐シリアのイラン大使館を空爆した報復に、イスラエルの軍事基地などを攻撃した。イスラエルが再報復して本格戦争になりかけたが、イランが再々報復をせず、そこで一段落して冷たい和平状態になった。
今回イスラエルは大胆にも、前回のようなシリアなど在外でなく、イラン国内にいたハニヤを殺した。イランからイスラエルへの報復攻撃は4月よりも大規模になるぞ、と喧伝された。
だが、本格戦争になると困るので米欧や露中が積極的にイランを説得した。その結果、10日以上たった今も、イランはイスラエルへの報復攻撃を控えて沈黙を保っている。どうやら報復せずに終わりそうだ。
ネタニヤフは、訪米によって米国の上層部から全面支援されていることを確認したうえで、ヒズボラとの戦争激化や、イランの反撃を誘発するハニヤ殺害を挙行している。
イスラエルの目標は、ユダヤ人国家建設の完遂と安定である。イスラエルが自国領と考える西岸とガザにパレスチナ国家の創設を許すと、パレスチナが(イスラム主義への傾注などで)イスラエルを批判・攻撃するようになり、イスラエルの安全が阻害されるようになる。
パレスチナは経済的にイスラエルに依存し続けるのに、イスラエルを敵視する。イスラエルの領土も減る。イスラエル国内のアラブ人口も増え、ユダヤ人国家性が毀損される。2国式はイスラエルにとってマイナスが大きい。
イスラエル内部でも労働党など中道派は、米英覇権派と協調し、2国式を了承してきた。米英の覇権が強い間は、中道派のやり方が合理的だった。
ガザ戦争は、こうした流れの集大成だ。イスラエルはガザを完全に破壊し、おそらくすでにガザ市民の大半をエジプトに越境させている(報じられないまま)。
ガザを破壊する際に、イスラエルは意図的に、極悪な人道犯罪を大っぴらに犯した。米欧はイスラエルの傀儡であり続けているので、重大な人道犯罪を犯したイスラエルを支援し続けざるを得ない。これは人権重視やジャーナリズムなど、大英帝国以来の米英覇権の支配体制を破壊している。
イスラエルは、ガザ戦争で極悪な人道犯罪国家になった。だが、政治家がイスラエルを批判してしまうと、落選やスキャンダルで無力化されてしまう。米欧の政界は丸ごと、人権重視の大義を無視して、人道犯罪国家のイスラエルを支持礼賛する。国際社会(非米側)は米欧を信用しなくなり、米覇権崩壊と多極化に拍車がかかる。イスラエルは、これを意図的にやっている。
全文は下記を参照願います。
https://tanakanews.com/240811israel.htm