「オンライン・オピニオン」
「いざ総選挙へ」
「石破の船出」
「ガザの戦闘、NHK」
「ガザの戦闘、石破首相」
「総選挙で問われるもの」
「麻生太郎の危機」
「よき統治のために」
「究極の選択」
「主権者の意思を示す時」
「立憲は中道を行け」
2641.いざ総選挙へ 10.4
・衆院選投票先。自民40%。立民15%。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA305520Q4A930C2000000/
コメント:石破の選挙戦略はお世辞にもフェアとは言えないが、少しでも有利なうちに解散総選挙を打つのはむしろ政党政治の鉄則だから仕方がない。新政権が新鮮さを保っているうちに無党派層をとりこまなければならないからだ。ダラダラしている内に支持率が下がろうものなら、それ見たことかと旧安倍派や老害の麻生が騒ぎ出し、石破政権の足を引っ張るのは目に見えている。
野党は野党で、自民の身勝手な挑戦を受けて立ち、貴重な時間を無駄にせず、全野党の党首が一堂に会して対策を協議するのが先決だ(これは10.3に実施)。ポスターの印刷だって時間がかかる。早く候補者を一本化しなければならない局面だが、維新は既に候補者を立てている選挙区は譲らないと言い、お誘いが無いからどうのと言う、国民の玉木の馬鹿さ加減にも呆れる。2人とも、自分勝手は相変わらずだ。この際総力戦と割り切って、共産も令和も含めて、全野党が結集しないと絶対に勝てない。それだけでなく、小沢が使者になり公明の取り込みも画策した方が良い。そして国民の期待に応えるためにも、裏金議員は一人たりともを再選させないという強い意思表示が必要だ。そういう点で、野田の危機感の欠如が気にかかる。また各選挙区では、上からの指令をまつのではなく、選挙区ごとに現地の状況を分析し、個別の対策を検討し、具体的な対策を積極的に上申するべきだ。
仮に野党が工夫も努力もしないままに、我が八王子で、結果的に統一教会+裏金で腐敗した萩生田が再選されるようなことでもあれば、私は野党を絶対に許さないだろう。
この際だから、あらゆる手段を動員し、仁義なく闘うべきだ。今回の選挙で勝てなければ、もう野党には永遠に政権交代の機会は来ないという覚悟が必要だ。裏金以外にも自民党の議員達は、スキャンダルや突っ込みどころ(例えば新閣僚では三原じゅん子)が満載であり、敵の弱点は遠慮なく指摘しなければならない。
2642.石破の船出 10.7
・麻生が高市に助言。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515720
コメント:自民党議員は石破の所信表明で、一言の応援もなかった。無論それは石破の所信が気に入らなかった為だろう。しかもまだ選挙が始まってもいないのに、悪の枢軸達が政治を私物化し、選挙を党利党略の機会にしようと狙っている。岸田、菅は総裁選の恩で縛り、森山も石破を助けるどころか、後から羽交い絞めにしている。
この際、国民は総決起して、安倍の祟りと極右の自民党議員を一掃するよう石破に圧力をかけなければならない。野党も野党で、守旧派の幼稚な筋書きも読めず、石破の個人攻撃ではあまりにも能が無い。自民党の守旧派の筋書きとは、今回の選挙では、自民党の票が減ることはあっても、増えることはない。おそらく過半数割れにはなるので、その責任を石破に取らせて、詰め腹を切らせるというものだ。詰まるところ、裏金の責任を、岸田や安倍や麻生ではなく、石破に取らせるという貧乏くじ作戦だ。しかもこれが高市なら責任は取らせないだろう。しかもこの慌ただしい選挙こそ、自民党の既定路線で、それも小泉進次郎が総裁に選ばれた時の為のものだった。即ち小泉が首相になることで、自民党が人気を回復し、選挙で議席を維持できれば、その時は正式に小泉を首班として認めるというものである。無論選挙で敗ければ問答無用で交代だ。だから石破自民党が選挙で議席を減らした時(公認を減らすので議席が減るのは目に見えている。ところが党員停止の重鎮議員については、野党がよほどの人物を立てないと、無所属で立候補してもやすやすと当選してしまう可能性がある。実際、高木などは余裕さえ見せている。選挙の結果次第で、もう一度石破降ろしの騒ぎが起きるのも確実で、麻生の(いつもの)軽口も、このあたりの事情を反映したものだろう。今後情況がどう変化しようとも、事実上責任を取らずに逃げおおせた岸田こそ逃げ得と言える。
ところで国民にとってみれば、いまは石破に、日本の政治から安倍色を一掃させることが先決だ。なぜなら野党は、安倍の暴政を、自分達ではどうすることもできずに、ただ指をくわえて見ていただけだからだ。国民は野党が、頼みもしないのに分裂し、しかも無力ときているので、自民の党内改革に期待するしかなく、現在がその奇跡的な機会なのだ。
いまのところ石破の味方は国民だけだ。野党はいま石破に肩入れすることが、ひいては自分達の為になることを理解せよ。なぜなら多少減ったにせよ、未だに石破の背後には多くの国民がついるからだ。無論、特に防衛問題を含めて、石破の所信に問題が無いとは言えない。しかし今はより過激(厚化粧?)な高市が間違っても復活しないよう、まずは石破に自民党政治がこれ以上右傾化しないように、地ならしだけはしておいて貰わなければならない。
今回の総選挙は血で血を洗う戦いになるだろう。なぜならそれは、自民党対野党の競争だけではなく、リベラル(平等、自由、人権)な国民と、国家主義(既得権、差別主義、権威主義)の国民との命がけの闘いになるからである。今回の選挙では、今迄以上に有権者の一人一人の判断(票の重さ)に、日本の将来が大きく掛かっているのだ。
私は10年来の立憲支持の立場ではあるが、この際はっきり言わしてもらえば、過去に失策のある野田政権より、石破政権の方が、閣僚の顔ぶれを見るだけでも安心感がある。石破の組閣の失敗は、野田聖子の代わりに三原じゅん子を入れたことくらいだ。それに引き換え、今の立憲は小川淳也(幹事長)だけでもっているようなものだ。他の議員たちは寝ているか、死んだふりでもしているのだろうか。
誰がどのように騒ごうとも、絶対に日本を全体主義の国に戻してはならない。それは我々令和の世代に生きる国民の、英霊を含めた、先立った世代への責任なのである。
なお一都民としては小池知事だけでも持て余しているのに、屋上屋で高市首相という、独裁・独善の二重構造の悪夢から、少しは解放されたかと思っていたのに、今度はナチスのシンパの麻生(国民が辞めてほしい老害ナンバーワン)が蠢いており、これでは何時までたっても、政治の右傾化に歯止めがかからないことに、疲労感を覚えている。しかも若手の論客にも、右翼が多いのは、悩みの種である。出でよリベラルの希望の星。政治家でも、コメンテーターでもいい。年齢性別は不問だ。
なお石破は非公認の明確な方針を打ち出したが、森山のいままでの党内処分で十分という意見を押し切れたのは、公認の候補者達から、裏金議員と一緒くたにされたら、党のイメージが悪化し、勝てるものものも勝てないという悲鳴が上がったからだと聞いている。
関連記事:自民党員右旋回のハテ?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK290TX0Z20C24A9000000/
関連記事:どうなる麻生の威光。
https://digital.asahi.com/articles/ASSB53RPHSB5TIPE00DM.html?iref=comtop_7_07
コメント:飛ぶ老兵(帽子男)は後を濁すな。
・石破、裏金議員の比例重複認めず。一部非公認。
https://mainichi.jp/articles/20241006/k00/00m/010/073000c
関連記事:裏金議員の比例重複、党内に不満。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515717
関連記事:萩生田も含まれる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/358753
関連記事:政治資金不記載。非公認。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0614O0W4A001C2000000/
コメント:裏金全員を非公認に。その世襲議員も含めて。なぜなら党内の事情と党利党略は国民には関係が無いから。もう一つは、いくら党内で処分したと言っても、それは国会で議論して、国民が納得したものではないから。
2643.ガザの戦闘、NHK 10.9
今回の前書きは朝日新聞(10.8)交論「終わらぬガザの戦闘」から
「被害者意識と抵抗 攻撃を正当化」鶴見太郎(歴史社会学者)
―イスラエルの過剰なほどの攻撃には、どんな歴史的背景があるのですか。
「ホロコーストの記憶は、自衛のためには手段を選ばない現在のイスラエルの姿勢を規定しています。一方、19世紀末から旧ロシア帝国内で起きたポグロム(ユダヤ人襲撃)によるトラウマも源流にあります」
「ロシア支配下の東欧に多く住んでいたユダヤ人に対し、農村の不況を背景に、共生していた周りの住民が彼らを比較的富裕とみなして敵視し、虐殺や略奪をしました。ロシア革命後の内戦期にはさらに激しくなり、ウクライナを中心に6〜20万人ほどの犠牲者が出たと言われます」
「ポグロムを経て、ロシア帝国のユダヤ人(ロシア・ユダヤ人)たちは、ユダヤ人が弱いからさげすまれるのだ、という意識を持つようになります。『ロシア帝国の構成員』『ポーランドの住民』『ユダヤ教徒』といった多面的なアイデンティティーが脱色され、民族としての『ユダヤ人』という意識のみが残り、既存の体制に頼らない『強いユダヤ人』の自存自衛が必要と認識したのです」
―「ユダヤ民族の国家」を求めた背景ですね。
ポグロムから逃れたユダヤ人の一部はパレスチナに入植します。彼らはアラブ住民の反乱をポグロムと同一視し、差別を受ける被害者との自意識を強くして衝突を繰り返しました。イスラエル建国(1948年)の中心も担いました。
―第二次大戦では さらに悲惨な虐殺、ホロコーストが起こりました。
「イスラエルは建国当初、ホロコーストの被害者に冷淡でした。周囲とのあつれきをいとわない武力闘争を続けてきたロシア・ユダヤ人たちは、ホロコースト被害者を『抵抗しなかった弱いユダヤ人』とみなしました。ホロコーストが『国民の記憶』となるのは、60〜70年代以降、国民統合の必要性が出てきてからのことです」
「ホロコーストの記憶は 『罪のないユダヤ人が理不尽に殺された』という被害者意識を呼び起こします。一方、『抵抗しなかったためだ』とユダヤ人を責めるロシア・ユダヤ人の一見矛盾する考えも、文脈を変えつつ現在まで続いています。自衛名目で過剰な攻撃を正当化する論理は、せんじ詰めるとこの二つの結びつきにあります」
―100年規模で続いてきた問題を、国際社会は解決できないままです。
「第1次世界大戦後の戦間期、『独立に値する民族的集団』を意味する『ネーション』の単位を前提にした国際秩序が定まります。
ネーションごとに国家を形成すべきだという考えのもと、『リベラル』な国際社会が成立しました」
「パレスチナに住むアラブ人は本来、宗派や部族も多様でした。そこにユダヤ人が入植し、ユダヤ民族かアラブ民族か、というネーション前提のルールが押しつけられました。93年のオスロ合意では、イスラエルとパレスチナ人が対等なネーションとして交渉することが認められたかに見えましたが、交渉を代表する自治政府と対立するハマスなどが伸長したことで、パレスチナ人は一体性を示せない『不全なネーション』だとして国際社会に冷淡に扱われました」
「ネーション単位の考えに基づき、戦間期の欧州周辺では、住民の意思を無視して国家間で民族単位の強制移住をさせる『住民交換』も行われました。異民族との共生を選ばず、排除を正当化する論理は、ユダヤ人の欧州からの追放を目指しホロコーストに至ったナチ・ドイツにつながりました。今のイスラエルでもアラブ系住民の追放を求める言説が発せられます。ガザやヨルダン川西岸に壁を設けてアラブ住民を分離す る行為も、近い発想です」
―現状を打開できますか。
「即効薬はありません。
イスラエルの姿勢は、ポグロムから100年以上かけて形成されました。変化にはまた100年かかるかもしれないと考え、ここまで起きてきたことを体系的に反省して取り組む必要があります」
「その責任は当事者では なく、国際社会が持つべきものです。孤立ではなく国際協調こそがイスラエルの安全保障につながる、という経験を積んでもらうしかありません。(以下略)」
(聞き手・平賀拓史)
コメント:初めてイスラエルの狂気の行動の背景が理解出来ました。動機がホロコーストだけではない事も分かりました。またネーション単位で国家を規定するというのは今回初めて知りました。但しネーションというのはそのまま国家(=民族+区切られた土地)と訳するのはちょっと抵抗があります。国というよりは、民族の集合体、もしくは共同体と翻訳したいところです。そこで興味があるのは、United States of AmericaとUnited Nationsの違いです。合衆国ならUNAだが、USAでは合州国だという意見もあります。
間もなく労働力不足の日本も、多民族国家になるのでしょう。即ちUnited Nations of Japanです。しかしそこでは日本人と定義する為には、肌の色や宗教ではなく、共通の価値観(及び憲法)で定義するのが望ましい。無論日本語は大前提です。なぜならそれは共通の文化だからです。もしそこで土地が足りなくなれば外国から買えばいいのです。日本が多民族国家として成長してゆく過程で、仮に国家主義、全体主義の国になるようなことでもあれば、私はこの国を立ち去るか、クーデターを起こすしかなくなるでしょう。
関連記事:ガザの人質101人。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515916
関連記事:反ユダヤの暴行、激増。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515879
関連記事:強硬一辺倒のイスラエル。
https://mainichi.jp/articles/20241006/k00/00m/030/145000c
コメント:西欧諸国は武器の輸出を禁止せよ。
もう一件、週刊新潮(10.10)「偽装辞任の元NHK理事が局のカネで企んだ世界一周の旅」から
―世界を股にかけるジャーナリストと言えば聞こえはいいが、渡航賣用に視聴者からの受信料が充てられるとなれば、いかがなものか。しかもこの人物、不祥事の責任をとってNHKの理事職を辞したばかり。これには現場職員からも、呆れる声が聞こえてくるのだ。
ことの発端は、公共放送の管理体制が問われる前代未聞の不祥事だった。
NHKラジオの国際放送などで、中国人の外部スタッフが「尖閣諸島は中国領」「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷」といった類の不適切発言をした問題。先月10日、NHKは稲葉延雄会長ら幹部4人の減俸、国際報道を担当していた理事・傍田(そばた)賢治氏(62)の引責辞任で幕引きを図ったはずだった。
それから間もない先月26日、毎日新聞が報じたスクープが、事態を再燃させた。記事によれば、理事を辞した傍田氏は、メディア総局工グゼクテイブ・プロデューサーとして再雇用。しかも辞令は17日付、辞任のわずか1週閥後だったとして、まるで偽装辞任だと批判されている。
しかも、である。後追いを含め、この件を取り上げた新聞テレビは詳しく報じていないが、傍田氏がNHKで任される仕事は、まさに不祥事が起きた国際報道の分野だというのだ。(中略)
傍田氏はNHKに入局後、政治部や国際部の記者、ワシントン特派員を経て、モスクワ支局長、アメリカ総局長を歴任してきた。局内では国際畑、のエキスパートだと評価されているというのだが、後輩たちの見方はやや異なる。
「NHKは、北米南米、欧州、中東、アフリカ、アジアなど全世界に29の取材拠点、いわゆる総局や支局を設けていますが、そこへ自ら足を運ぶと宣言したわけです。局内では“経費で世界一周旅行か…”なんて椰楡されていますよ」と明かすのは、さるNH K関係者だ。
「NHKの昨年度決算は、受信料収入が前年度より396億円減の6328億円で、減少額は過去最大。5年連続の減少という状況で取材現場には合理化の嵐が吹き荒れています。NHKにおける報道の要は「災害」と「選挙』ですが、ここ最近でも取材用ヘリや総選挙のための経費が削られているんです。現場の記者たちは青息吐息なのに、引責理事を真っ先に再雇用したあげく、ムダな海外出張を認めるなんて世間に示しがつきませんよ」(以下略)
コメント:多分自民党の右派の議員に泣きついて助けてもらったのだろう。中国がNHKに干渉したとかなんとか言ってね(ところで前総務大臣は誰だったっけ)。しかしどこにでもいるよね。こういう世渡りだけで、頭も心も空っぽな輩が。同じように無責任で厚顔無恥と言えば、直ぐに思い出すのは兵庫の斎藤前知事だ。NHK視聴料の不払い運動でも始めようか。
2644.ガザの戦闘、石破首相 10.10
今回の前書きは朝日新聞(10.8)交論「終わらぬガザの戦闘」から
「被害者意識と抵抗 攻撃を正当化」鶴見太郎(歴史社会学者)
―イスラエルの過剰なほどの攻撃には、どんな歴史的背景があるのですか。
「ホロコーストの記憶は、自衛のためには手段を選ばない現在のイスラエルの姿勢を規定しています。一方、19世紀末から旧ロシア帝国内で起きたポグロム(ユダヤ人襲撃)によるトラウマも源流にあります」
「ロシア支配下の東欧に多く住んでいたユダヤ人に対し、農村の不況を背景に、共生していた周りの住民が彼らを比較的富裕とみなして敵視し、虐殺や略奪をしました。ロシア革命後の内戦期にはさらに激しくなり、ウクライナを中心に6〜20万人ほどの犠牲者が出たと言われます」
「ポグロムを経て、ロシア帝国のユダヤ人(ロシア・ユダヤ人)たちは、ユダヤ人が弱いからさげすまれるのだ、という意識を持つようになります。『ロシア帝国の構成員』『ポーランドの住民』『ユダヤ教徒』といった多面的なアイデンティティーが脱色され、民族としての『ユダヤ人』という意識のみが残り、既存の体制に頼らない『強いユダヤ人』の自存自衛が必要と認識したのです」
―「ユダヤ民族の国家」を求めた背景ですね。
ポグロムから逃れたユダヤ人の一部はパレスチナに入植します。彼らはアラブ住民の反乱をポグロムと同一視し、差別を受ける被害者との自意識を強くして衝突を繰り返しました。イスラエル建国(1948年)の中心も担いました。
―第二次大戦では さらに悲惨な虐殺、ホロコーストが起こりました。
「イスラエルは建国当初、ホロコーストの被害者に冷淡でした。周囲とのあつれきをいとわない武力闘争を続けてきたロシア・ユダヤ人たちは、ホロコースト被害者を『抵抗しなかった弱いユダヤ人』とみなしました。ホロコーストが『国民の記憶』となるのは、60〜70年代以降、国民統合の必要性が出てきてからのことです」
「ホロコーストの記憶は 『罪のないユダヤ人が理不尽に殺された』という被害者意識を呼び起こします。一方、『抵抗しなかったためだ』とユダヤ人を責めるロシア・ユダヤ人の一見矛盾する考えも、文脈を変えつつ現在まで続いています。自衛名目で過剰な攻撃を正当化する論理は、せんじ詰めるとこの二つの結びつきにあります」
―100年規模で続いてきた問題を、国際社会は解決できないままです。
「第1次世界大戦後の戦間期、『独立に値する民族的集団』を意味する『ネーション』の単位を前提にした国際秩序が定まります。
ネーションごとに国家を形成すべきだという考えのもと、『リベラル』な国際社会が成立しました」
「パレスチナに住むアラブ人は本来、宗派や部族も多様でした。そこにユダヤ人が入植し、ユダヤ民族かアラブ民族か、というネーション前提のルールが押しつけられました。93年のオスロ合意では、イスラエルとパレスチナ人が対等なネーションとして交渉することが認められたかに見えましたが、交渉を代表する自治政府と対立するハマスなどが伸長したことで、パレスチナ人は一体性を示せない『不全なネーション』だとして国際社会に冷淡に扱われました」
「ネーション単位の考えに基づき、戦間期の欧州周辺では、住民の意思を無視して国家間で民族単位の強制移住をさせる『住民交換』も行われました。異民族との共生を選ばず、排除を正当化する論理は、ユダヤ人の欧州からの追放を目指しホロコーストに至ったナチ・ドイツにつながりました。今のイスラエルでもアラブ系住民の追放を求める言説が発せられます。ガザやヨルダン川西岸に壁を設けてアラブ住民を分離す る行為も、近い発想です」
―現状を打開できますか。
「即効薬はありません。
イスラエルの姿勢は、ポグロムから100年以上かけて形成されました。変化にはまた100年かかるかもしれないと考え、ここまで起きてきたことを体系的に反省して取り組む必要があります」
「その責任は当事者では なく、国際社会が持つべきものです。孤立ではなく国際協調こそがイスラエルの安全保障につながる、という経験を積んでもらうしかありません。(以下略)」
(聞き手・平賀拓史)
コメント:初めてイスラエルの狂気の行動の背景が理解出来ました。動機がホロコーストだけではない事も分かりました。またネーション単位で国家を規定するというのは今回初めて知りました。但しネーションというのはそのまま国家(=民族+区切られた土地)と訳するのはちょっと抵抗があります。国というよりは、民族の集合体、もしくは共同体と翻訳したいところです。そこで興味があるのは、United States of AmericaとUnited Nationsの違いです。合衆国ならUNAだが、USAでは合州国だという意見もあります。
間もなく労働力不足の日本も、多民族国家になるのでしょう。即ちUnited Nations of Japanです。しかしそこでは日本人と定義する為には、肌の色や宗教ではなく、共通の価値観(及び憲法)で定義するのが望ましい。無論日本語は大前提です。なぜならそれは共通の文化だからです。もしそこで土地が足りなくなれば外国から買えばいいのです。日本が多民族国家として成長してゆく過程で、仮に国家主義、全体主義の国になるようなことでもあれば、私はこの国を立ち去るか、クーデターを起こすしかなくなるでしょう。
関連記事:ガザの人質101人。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515916
関連記事:反ユダヤの暴行、激増。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6515879
関連記事:強硬一辺倒のイスラエル。
https://mainichi.jp/articles/20241006/k00/00m/030/145000c
コメント:西欧諸国は武器の輸出を禁止せよ。
もう一件、週刊新潮(10.10)「偽装辞任の元NHK理事が局のカネで企んだ世界一周の旅」から
―世界を股にかけるジャーナリストと言えば聞こえはいいが、渡航賣用に視聴者からの受信料が充てられるとなれば、いかがなものか。しかもこの人物、不祥事の責任をとってNHKの理事職を辞したばかり。これには現場職員からも、呆れる声が聞こえてくるのだ。
ことの発端は、公共放送の管理体制が問われる前代未聞の不祥事だった。
NHKラジオの国際放送などで、中国人の外部スタッフが「尖閣諸島は中国領」「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷」といった類の不適切発言をした問題。先月10日、NHKは稲葉延雄会長ら幹部4人の減俸、国際報道を担当していた理事・傍田(そばた)賢治氏(62)の引責辞任で幕引きを図ったはずだった。
それから間もない先月26日、毎日新聞が報じたスクープが、事態を再燃させた。記事によれば、理事を辞した傍田氏は、メディア総局工グゼクテイブ・プロデューサーとして再雇用。しかも辞令は17日付、辞任のわずか1週閥後だったとして、まるで偽装辞任だと批判されている。
しかも、である。後追いを含め、この件を取り上げた新聞テレビは詳しく報じていないが、傍田氏がNHKで任される仕事は、まさに不祥事が起きた国際報道の分野だというのだ。(中略)
傍田氏はNHKに入局後、政治部や国際部の記者、ワシントン特派員を経て、モスクワ支局長、アメリカ総局長を歴任してきた。局内では国際畑、のエキスパートだと評価されているというのだが、後輩たちの見方はやや異なる。
「NHKは、北米南米、欧州、中東、アフリカ、アジアなど全世界に29の取材拠点、いわゆる総局や支局を設けていますが、そこへ自ら足を運ぶと宣言したわけです。局内では“経費で世界一周旅行か…”なんて椰楡されていますよ」と明かすのは、さるNH K関係者だ。
「NHKの昨年度決算は、受信料収入が前年度より396億円減の6328億円で、減少額は過去最大。5年連続の減少という状況で取材現場には合理化の嵐が吹き荒れています。NHKにおける報道の要は「災害」と「選挙』ですが、ここ最近でも取材用ヘリや総選挙のための経費が削られているんです。現場の記者たちは青息吐息なのに、引責理事を真っ先に再雇用したあげく、ムダな海外出張を認めるなんて世間に示しがつきませんよ」(以下略)
コメント:多分自民党の右派の議員に泣きついて助けてもらったのだろう。中国がNHKに干渉したとかなんとか言ってね(ところで前総務大臣は誰だったっけ)。しかしどこにでもいるよね。こういう世渡りだけで、頭も心も空っぽな輩が。同じように無責任で厚顔無恥と言えば、直ぐに思い出すのは兵庫の斎藤前知事だ。NHK視聴料の不払い運動でも始めようか。
2645.総選挙で問われるもの 10.11
昨日の前書きが長かったので、今回は短めにしました。
朝日新聞(10.10)2024衆院選「問われるのは何か」
早稲田大教授 長谷部恭男 法政大教授 杉田 敦から
(前略)
長谷部 今回の選挙は、政治とカネの問題、そして旧統一教会との関係をどうするかが最大の争点でしょう。誰が「よりマシ」な対応をしそうか。そして、当選した「裏金議員」は「みそぎは済んだ」と言うのでしょうが、選挙に勝ったからといって全てがチャラにはならないと、あらかじめ釘を刺しておきます。
杉田 「みそぎ」はいかにも選挙至上主義的発想です。有権者は限られた選択肢の中で、留保付きの選択をしたに過ぎず、全権委任したわけではない。問題行為をした事実はあくまで残るし、政治家たるもの自分でどう責任を取るかを考え、実行しなければならないはずです。
長谷部 今の政治の惨状は、あれも嫌、これも嫌だと棄権したり、勝敗と関係なく「まごころ」で投票したりしてきた有権者にも責任があると思います。現在の選挙制度では「小異を捨てて大同につく」を実践しないと勝てない。小異にこだわる姿勢は大事ですが、ひとまず大同につかないと「まごころ」は死票となり、望む政治も引き寄せられません。
杉田 石破首相はアジア版NAT0などの持論をいまのところ封印していますが、総選挙後どう出てくるか。岸田前首相が「置き土産」にした憲法改正にも留意が必要です。
長谷部 憲法9条は自衛隊の存在を禁止しておらず、「自衛隊明記」は不要です。緊急事態条項も、失職した衆院議員を居座らせようという話なので危うい。今ある参院の緊急集会で対応するのが正道です。物価高で国民の生活がこれほどいたんでいるなか、不必要な憲法改正に政治的エネルギーを注いでいる暇は、与野党ともにないはずです。
コメント: 9条改正(改悪)にはあくまで反対します。
2646.麻生太郎の危機 10.12
今回の前書きは週刊文春(10.17)のThis Weekです。
「政治 高市支持で求心力が低下、麻生太郎が政治生命の危機」から。
愛憎入り乱れた先の自民党総裁選で「誰よりも下手を打った」と評されるのが自民党最高顧問に就いた麻生太郎氏だ。
投票日前日に決めた高市早苗前経済安全保障担当相への支持が完全に裏目となり、「キングメーカー」の称号喪失はおろか政治生命の危機に直面している。
9月30日、党役員人事を決定する臨時総務会は異様な空気に包まれた。
総務会の終了宜後、石破茂首相が立ち去ろうとする麻生氏に対し深々と頭を下げるも、麻生氏は目線すら合わせず出口へ向かう。新執行部の集合写真を撮る報道陣が「麻生顧問!」と声をかけたが、麻生氏は一瞥もしなかった。
「総裁選では石破、高市、小泉進次郎の『三強』のうち、会長は天敵の石破だけは阻止したかった」
麻生派の古参幹部は、麻生氏の思いをこう代弁する。
投票日前日、岸田文雄前首相に「高市で行きます」と通告。これまで麻生氏に従順だった岸田氏だが、「うちは違う道を歩むかもしれません」と初めて言い返し、離反に至った。
自ら率いる麻生派内でも、深刻な亀裂を生んだ。
麻生派として支えるはずだった河野太郎デジタル相などの陣営に入っていた派閥メンバーに対し、側近議員を通じて「一度目の投票から高市に入れろ」と指示を飛ばした。この時、指示する対象者を細かく絞ったことがかえって遺恨を生む原因となった。たとえば上川陽子陣営にいた山東昭子前参院議長や鈴木俊一総務会長に「高市支持」の連絡をしなかったのだ。
鈴木氏は指示の存在を報道で知り、「俺は何も聞いていない」と激怒。山東氏も「禍根を残すやり方だ」と憤っていたという。鈴木氏は派の後継会長とも目されるだけに、今後の派閥運営への影響は必至だ。
「土壇場で裏切られた河野氏は『派閥の意味とは何だろう』と周囲に漏らし、離脱を検討している。またキングメーカーの称号は、副総裁となった菅義偉氏と岸田氏に完全に奪われてしまった」(政治部記者)
今回の総裁選について、麻生派の中堅議員は「勝ち馬に乗りさえすればいいという麻生さんのみっともなさが浮き彫りになり、求心力が一気に落ちてしまった」と総括する。
だが、意外なことに麻生氏の危機感は薄いようだ。「無役となった茂木敏充前幹事長に冷や飯の食い方を教えてやる』と軽口を叩き、高市氏には『次の総裁選に向けて用意しとけ』と発破をかけているのです」(中略)
麻生氏だけ、自分が権力を失ったと気付いていない。そう揶揄する声が永田町で日に日に増えている。
コメント:なるほど、これだから週刊誌はやめられない。ア・ソウはワースト日本一の称号もついでに手に入れている。
2647.よき統治の為に 10.13
今回の前書きは朝日新聞(10.12)寄稿 2024衆院選
「よき統治のために」小熊英二 歴史社会学者
幸福追求の条件整備、低賃金の非正規増で人の尊厳保てぬ現代、から
選挙が近い。現状には不満だが中身のない「新」「反」「改」では物足りない。ここで根本的に、日本の課題を考えてみよう。
よい統治とは何か。それは当該社会の構成員が幸福を追求する条件を整えることだ。
では幸福とは何か。古代ギリシャ哲学では、人間の幸福は「善くあること」だと考えられていた。各自に役割があり、人として認められ、健康に日々の仕事をしている状態だ。現代日本語なら「みんなに居場所がある」「誰もが一人前と認められる」「各人の尊厳が保たれている」にあたるだろう。
こうした幸福は英語では「ウェルビーイング」と訳される。「善く(well)ある(being)」という意味だ。それは「楽しい」「おいしい」などの瞬間的な喜びを指す 「ハッピネス」と区別される。
よき統治(グッドガバナンス)とは構成員がこうした意味での幸福を追求する条件を整えることである。企業組織なら「よき統治」(グッドガバナンス)とは構成員がそれぞれ適切な役割を果たせるように組織を運営することだ。国の場合はさまざまな政策、たとえば雇用や教育機会の確保、個々人が尊厳を維持するに足る生活保障、経済活動や言論の自由、差別や独占を禁ずるルール設定などが具体的方法になる。
では現代日本で「よき統治」を実現するために解決すべき課題は何か。私見を述べてみたい。
欧米では失業問題の解決を、誰もが役割のある社会を実現する重要課題とみなすことが多い。望んでも職がない社会は、誰もが役割のある社会とは言えないからだ。
だが日本では、失業がそうした問題として論じられることは少ない。なぜなら日本では、低貨金の非正規雇用なら職はあるからだ。 だが日本は欧米諸国より正規と非正規の差が激しいので、それでは生活ができず「一人前」と認められない。これは単に所得の問題だけではなく、人間の尊厳が保てないという問題でもある。(中略)
「人間にしかできない仕事」の典型は判断と感情に関わる仕事である。判断は経営者や管理・専門職にあたるので、量的には多くの雇用を期待できない。だが感情はケア労働、つまり保育・教育・介護・医療などにあたり、量的にも雇用増を期待できる。とくに福祉(介護)はここ10年の日本でもっとも正規雇用が増え、今や地方圏の主要産業の―つでもある。
しかし保育や介護は低賃金でも知られる。これは「女の仕事」として低く位置づけられてきた経緯と政府による抑制が大きい。低貨金なので人も集まらず、雇用の受け皿とみなす意見も少ない。
だが逆に言えば医療?福祉は政府の決定で高賃金にでき、雇用を増やせる産業でもある。実際に北欧諸国は政府が福祉部門の雇用を増やすことで失業問題と女性の地位向上に対処した歴史がある。(中略)
それは現代日本における根本的課題の所在を示している。それは人間の尊厳が保てない低賃金の職が多いことであり、それが各方面に影響しているということである。
最後の部分は一つの問題提起にすぎない。だが以下のことはこの短文から読み取ってほしい。「よき統治」とは各人の尊厳を保障することである。それは政府の政策によって、ある程度まで実現可能である。そして政府の政策は政治の判断で決定され、政治の判断は有権者の意志で決定される。そのことを再確認し、想像力と知恵をめぐらせ、有権者が未来への自信を持つことが求められている。それなしには、各人の幸福も、「よき統治」もありえない。
コメント:雇用、即ち収入と生活の安定こそが、幸福の大前提です。最近の耳を疑うような犯罪の数々も、せんじ詰めればその原因は、経済的環境(貧富の差)にあるのです。働いても、満足に食べられないような社会が、良い社会であるはずはないのです。
2648.究極の選択 10.24
今回の前書きは文藝春秋11月号です。本号は見どころ満載です。
「究極の選択」を決した岸田の一押し 赤坂太郎から
(前略)
一方、外相の上川陽子も立候補し、旧岸田派の一部が支持に回ったが、大半は林に乗った。当初、齋藤健の陣営に入った岸田最側近の幹事長代理・木原誠二ら六人も、齋藤が出馬を断念するや、岸田日く、次のように各陣営に送り込んだという。
「本人の意向も踏まえて、林に四人、小泉に二人と振り分けた」
では、決選投票でどう行動するか。岸田は当初、小泉が「岸田政権の政策を引き維ぐ」と言ったことに、「気を遣ってくれている」と評価していたが、討論会での迷回答を連発する姿に、さすがに資質を疑問視するようになった。
「いざとなったら岸田派から小泉陣営に行った(小林史明ら)五人を切捨ててでも、石破に行く選択肢は持っておかねえとな」
ところが、決選投票が石破vs高市となる様相が強まってくると、岸田は側近議員にこう嘆き始めた。
「高市は日本会議の影響が強すぎる。旧統一教会問題で突っ込まれたら、どうするんだ。石破も予算委員会を開くと言っている。早期解散ができなくなったら、オレが辞めた意味がないじゃないか」
最後まで「オレが」の御仁なのである。それでも側近の一人、参議院幹事長・松山政司が「さすがに高市では駄目ですよ」と具申すると、大きく頷いた。岸田は周辺に語った。
「安倍派に支援された高市じゃあ、オレが裏金問題の責任をかぶった意味がなくなる。それに右過ぎて、立憲の野田(佳彦代表)が中道を取りやすくなる。選挙が厳しいな」
さらに岸田は総理在任中、盟友・遠藤利明の仲介もあって石破と良好な関係を保った。昨年九月の内閣改造では石破の入閣を検討した他、幹事長を信用できない茂木から石破にスイッチすることも一時検討した。
一方の石破もどんなに支持率が下がっても、岸田を批判しなかった。結果、岸田は決選投票で石破に票を回した。これが帰趨を決した。
総裁選が終わり、ある自民党幹部は「ものすごく後味の悪い総裁選だった」と力なくつぶやいた。
総裁選を通じて自民党がアピールしたかったのは、党の多様性と刷新感だったはず。ところが、むしろ党の人材不足を露呈し、決選投票の「究極の選択」(自民党幹部)は、党内に深刻な分断を生んだ。この総裁選は生まれ変われなかった自民党の「終わりの始まり」として記憶されるかもしれない。
コメント:石破政権が衆院選で議席を減らすことは確実です。そこで自民党議員は自分達の不正を棚に上げて、石破に責任をなすりつけ、石破降ろしに動くでしょう。その時後継に担ぐのは高市でしょう。しかも私怨で凝り固まった自民党議員たちは、民意など全く気にしないでしょう。徹頭徹尾、自己中だからです。
もう一つは、「インフレに克つ臆病者の資産防衛術」橘玲から
(前略)
このとき、もっとも確実で誰でもできるのが「働くこと」だ。老後に備えて2000万円の貯蓄があり、それをいっさいリスクにさらしたくないとしよう。その場合は、4分の1の500万円相当が30年で減価するのだから、その分を追加の収入で補えばいい。退職後も10年働くのなら、これは年収50万円で達成できる(より正確には、物価の上昇に合わせて収入が増えていくことを想定している)。そう考えればけっして 無理な想定ではないし、なおかつ失敗するおそれがない。
貧乏になったとはいえ日本はまだ世界4位のGDPがある国で、もっとも有効な「資産運用」は人的資本、すなわち働いてお金を稼ぐちからを活用することだ。月額10万円の仕事でも10年で1200万円、20年で2400万円になる。日本はこれから経済格差が拡大していくといわれるが、それは退職後に乏しい年金だけで生活をやりくりするひとと、生涯現役で働きつづけるひとのあいだで開いていくのだ。
さらに余裕があれば、世界株インデックスをNISAで積み立て投資しながら、老後の「安全弁」として無リスク資産である国債を保有し、楽しみながら働くことで実質価値の減価を補うといいだろう。このとき、複利のパワーを最大限活かすために、NISAで投資するのは株式ファンドだけにするべきだ。
物価連動国債ファンドをNISAで保有すれば分配金や売却益を無税で受け取れるが、その期待収益はインフレ率と同じで、実質利益はほぼゼロだ(物価上昇をヘッジすることしかできない)。それに対して世界株インデックスの期待収益率は年率7%程度あるだろうから、せっかくの非課税メリットを収益性の低い(リスクの小さい)ファンドで使うのはあまりにもったいない。
以上をまとめると、次のようになる。
@インフレのリスクに保険をかけることはできるが、それでも資産の実質価値が少しずつ減っていくのは避けられない。
Aただしこの損失は予想できるので、働いて補うことが可能だ。
B老後の安心のために必要な金融資産を確保したら、それ以外はNISAで世界株のインデックスファンドに積み立て投資するといい。
「人生100年時代」なのだから、60歳から積み立てを始めても90歳まで30年ある。これが、インフレ時代の「臆病者」のための資産運用戦略の基本になるだろう。
コメント:こればかりは自己責任です。個人的には投資信託は中身が見えないので敬遠しています。この世に絶対確実などいうものはないからです。せめて株なら日々、株価がどう変動しているかが分かりますし、判断は自分の責任だと諦めがつきます。
ついでにもう一件。今度は週刊文春(10月31日号)言葉尻とらえた隊616
能町みね子から
(前略)
そんなわけでにわかにテレビも選挙モードだけど、情報バラエティ程度の番組だと、 政策も政局も報じず、街の人に意見を閥いて「あなたは投票に行く?行かない?」な
んてことをやっている。
私は、この手のヌルい街頭アンケートを2局で連続して見た。いくらなんでもくだら なすぎでしょう。どうせスタジオでは「行きましょう」「政見放送や広報やサイトで 政策を見比べて、自分と近い人に入れましょう」という結論になるのだ.行かないほうの意見を聞いてどうする.
ちなみにこのとき、街頭で行かない」と言うのはやはり若者の役目。だから、同様の若者が「私も行かなくていいか」となりかねなくて、悪影響である。(中略)
さて、投票率が高いと何がいいのかというと、政党と癒着した関連団体や宗教団体な ど、投票意欲だけは極めて高いが個人の意思で投票しているとは言えない人の勢力を削げるのである。組織票を防げる、ということだ.投票率が低ければ低いほど組織票が生きて、一般的な一票の意味がなくなっていく。「あなたの一票が日本を変える」というより、「あなたが投じないせいで、宗教票や組織票が日本を変える」のである。
今のテレビでは、こんなことすら言ってくれない。オブラートに三重に包んだような 言い方で「投票に行きましょう」と機械のように繰り返すばかりだ。
選び方も、「政策が自分に近い人」なんていうのは性善説すぎると思う。みんな、否 定から入る投票をすべきだ。
「政策で選ぶ」と言ったって、だいたい表向きはみんないいこと言ってますよ。だか ら、ネガティブな情報をたくさん仕入れて、こんな不祥事の人はダメだ、こんなヤバい考えの人は落とさなきゃ、と Xをつけていき、消去法で最後に残った人に投票すればいい。だから、報道も現状への批判が多くないと意味がない。この人(党)はこのようにダメです、という否定的な報道をもっとしてくださいよ.
笠松を始め、投票に行かない人に地上波レベルの「行くべき論」を押し付けたって、 行きやしないです。
コメント:投票しても何も変わらないから行きたくないという理屈は通りません。投票すれば僅かでも変わる可能性があるからです。しかし面倒がって、投票しなければ変わりません。
関連記事:投票したい候補者がいなかったら。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6517438
関連記事:投票率日本一の島に政治不信じわり。
https://mainichi.jp/articles/20241023/k00/00m/010/165000c
2649.主権者の意思を示す時 10.26
テレ朝のモーニングショウで、玉川(たまかわ)が、日本は世界でも貧しく国になっているのに、その認識がなさ過ぎると言っていました。だから労働組合の賃上げ闘争も中途半端に終わっているとのことです。連合の認識が甘いとすれば、彼らは労働者にとって役に立っていないということです。日本が貧しくなっていることは、貧富の差(経済格差)が拡大している事でも分かります。発展途上の国ほど、富裕層と、貧困層の差が極端に開いています。日本もやがてそんな国になってゆくのでしょうか。それを食い止める(政策を変えさせる)為に、国民が出来ることは、政権を交代させることです。大企業や富裕層などの既得権階層から、市民の手に政治を取り戻しましょう。そしてそれが出来るのは選挙の機会しかないのです。
今回の前書きは、朝日新聞(10.25)2024衆院選 政治をアップデート 耕論
見くびるな鼻つまみ一票 小説家 津村記久子から
「どうせ何も変わらない」。投票に行かない有権者のそんな思いをよく聞きます。最近は裏金問題などで「政治不信」が広がり、諦念が大きくなっているかもしれません。
私も政治を信用したことなんて一度もありません。でも必ず投票に行きます。
かつては一票に「世の中をもう少しマシに」という願いを込めていました。今は「〈その人ではない〉と言う権利を行使する」という感覚です。投票は「あなたの一票が社会を変えます」みたいな前向きな行動ではなく、「それをやらないといいようにされるから」という自衛として向かうものになっています。
大阪に住んでいたことが理由として大きいかもしれません。都構想の住民投票が2回も行われ、「投票しなければ自分の納得がいかない方向に物事が進んでいく」という状況に直面しました。選びたい候補者がいない選挙は何度もあります。それでも、「少しでも嫌じゃない方」に鼻をつまんで入れる。投票に行かず、黙認したことにされるわけにはいかないですし、政治家たちから「こいつらは諦めているから怒らない」と見くびられたらたまらないからです。
2022年の仏大統領選関連で読んだ記事の言葉が印象に残っています。デモをしていた人が、マクロンとルペンのどちらを選ぶかを問われ、「どちらも嫌だけどマクロンに投票する。マクロンならまたデモをすればいいけど、ルペンになったらデモもできなくなるかもしれない」と話していました。私も同じような気持ちで投票しています。
候補者の得票が「いいね」の数である必要はないんですよね。「今回はあなたが一番嫌じゃなかったけど、もっとマシな人が現れたら次はそっちに投票するからね」と考える私のような有権者の票もある。投票した候補者が落選したとしても、「負けた」なんて思わず「嫌だ」の足跡を残したと考えればいいんです。
多くの「普通の人」は、生きていくのに必死で、普段から政治や選挙のことを考える余裕なんてありません。でも、「だから行かない」だと、「政治に熱心な人」が推す政治家ばかりになってしまいます。「給料が安い」とか「コメがない」とか、「生きていくのに必死」だからこそできる意思表示があるはずです。
「行っても変わらない」から脱却し、「ノー」を突きつけに行きましょう。
(聞き手・田中聡子)
コメント:付け足すことは何もないが、文中の大阪の都構想で思い出したことがある。それはい言い出しっぺの橋下徹のことだ。最近TV番組に出まくっているが、やっている事は論破の若造となんら変わらない。断定するだけならだれにでも出来る。それより、都構想と万博の責任を少しは感じたらどうか。自分は知らないと白をきるつもりか。
続いてサンデー毎日(11.3)から3連発。
最初は、
今の自公政権は中南米の往時の独裁政権と瓜二つ。作家 海堂尊から
(前略)
自民党の石破茂新総裁は選出直後、直ちに解散・総選挙すると表明した。それは国会軽視の暴挙で民主主義の破壊行為である。万事をうやむやにしようとしている自民党の横暴ぶりのおかげで、さすがに国民も政権とメディアが一体化して流布しようとしている欺瞞に気付き始めた。そんな自民党の液状化現象が露わになった今、賢明な国民が政権交代を選ぶ可能性は高い。それには投票率を上げることだ。選挙で裏金議員や旧統一教会と協調する議員を選ばず、他の候補に投票するしかない。国民は「有権者」と呼ばれる。だが本来は「主権者」のはずだ。
今こそ「主権者」の意思を明確に示すべき時である。
腐敗病巣には切開手術が必須で、瀕死の日本への唯一の処方箋は政権交代という大手術だ。既得権益層とメディアはその事態を阻止すべく様々な手を打つだろう。
「自民党は酷いが野党は頼りない」という市民の声の報道は、政権交代を恐れる人々への援護射撃の誤誘導だ。選挙前にはまたぞろ北の独裁者が援護砲を打つだろうが、それを国家の危機と煽る報道に騙されてはならない。
昨年の日本の出生数は70万人台と、最大だった頃の三分の一以下に落ちた。子育てを支援せず、市民生活を貧しくする施策を続けた自民党の悪政の結果である。子どもが減れば社会の活力が落ちるのは自明の理だ。
ただし気をつけなければならないのは今、政権交代が起これば日本は未曾有のトラブルに襲われる。だが政権交代後の惨事は前政権のせいだということは認識しておく必要がある。かつて安倍元首相は「悪夢の民主党政権」と連呼したが、今の日本の惨状は「地獄の自民党政権」がもたらしたものだということを認識すること。すべてはそこから始まる。
(以下略)
二番目は、
新型コロナワクチンとは何かを改めて問う。日本人の超過死亡の原因を探る。
4年間で予測よりも60万人も多く死んでいる、から
(前略)
コロナワクチンの接種後に超過死亡の数が上昇していることがわかる。
「ファイザーやモデルナなどのmRNAコロナワクチンを接種すると、体内にスパイクタンパクが生産されます。これにより抗体ができる仕組みですが、このスパイクタンパクそのものが毒性を持つことが明らかになっています。厚労省も認めるコロナワクチンの副反応に、血栓症や心筋炎があります。血栓が心臓の血管で起これば心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞になる。コロナワクチンが原因とは知らずに、これらの病で亡くなった方も多かったのではないかと考えられます」(小島氏、編者注:名大名誉教授)
(中略)
ロックダウンでがん検診や医療を受ける機会が減ったことが理由なら、がんの種穎を問わずに、死亡者数が増加するはずだ。そのことから「特定のがんの死亡者数が増えた原因は、他にあると考えられます」と宜保氏(編者注:高知有志医師の会)は言う。
「スパイクタンバクが人間のACE2受容体につくことによって炎症反応や免疫抑制が起こり、がん化を引き起こす可能性があります。そのACE2受容体が多いのが血管内膜や鼻や喉などの気道の細胞であり、口唇・ロ腔・咽頭がんの増加はそれが原因ではないかと考えられます。また乳房や卵果細胞に共通するのはエストロゲン受容体αの発現で、体内にスパイクタンパクが生産されるとこのエストロゲン受容体αと結合 し、乳がんの進行を早めるという研究結果が出ているのです。卵巣がんや白血病でも同様の機序が考えられます」(宜保氏}
さらにはコロナワクチンをプースター接種し続けることによって免疫が下がり、がんを発症する、またがん再発の危険が高まるとの指摘もある。人の体内にはがん細胞が日々生まれているが、体の自然免疫により退治されている。その免疫の働きが抑制されることにより、がん細胞が生き延びて、がんを発症することになるというのだ。
(以下略)
コメント:いつがんになってもおかしくない年齢になっているので、コロナ・ワクチンの継続接種には腰が引けています。確か7回接種し、しかも6回目の後で、コロナ検査で陽性にもなっているので、できればこれ以上の接種はご勘弁頂きたいと思っています。しかもこの記事の別の記載では、ワクチンの後遺症の症状も半端でなく、しかも長期であり、自分にも後遺症の兆候があるので、なおさらです。
関連記事:5類移行後、コロナ死者年間3万2千人。インフルの15倍。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6517538
コメント:mRNA ワクチンでなければいいのでしょうか。
3つ目は、
死が近づいて想うあの世はあるのか、ないのか?
山折哲雄 宗教学者(93歳)、帯津良一 医師(88歳)の対談から
(前略)
山折 西行に対する尊敬の念は今でも変わらないですよ。でも、実際のところ、最後には認知症になってしまうかもしれないですしね。 認知症になると、死を忘れてしまうといいますね。自分の最後はどうなるかわからない。そうなってくると、自分の死にゆく体を宇宙に向けて、放り出すしかないじゃないかという気がしています。どうにでもなれという気持ちですね。
(中略)
帯津 私は死に対して、少し違ったイメージを持っています。
患者さんが死ぬときに、できるだけそばにいるようにしていたときがあるんです。患者さんと私は一緒にがんと戦った戦友。ですから戦友の死を見送ろうと思っていました。患者さんが亡くなると担当医から私のところに連絡が来て、病室に出向く。そこで、患者さんのそばに座るんですが、みんなある時間がたつといい顔になるんですね。早い人で1、2分、長い人で1 時間。仏様のような顔というか、もっと、人間的ななんともいえない、いい感じなんですよ。例外なく、みんなそうなる。これは何だ ろうと思っていたんですが、あるとき、これはこの世でお勤めを終えて、ふるさとへ帰る安堵の表情だなと思ったんです。
山折 そんなにいい顔になるんですか。それはいい話だなあ。
帯津 で、私自身も79歳のときに、「来年は80歳、そろそろ自分の死に方について 考えよう」と思ったことがあるんですね。ところが、ちょうどそのとき、経済企画庁長官もやった相澤英之さんと対談をしました。
相澤さんは当時96歳。私のクリニックにやってきて、かくしゃくとしている。話すことも理路整然。感心しました。対談が終わって私が帰ろうとすると、相澤さんは、すでにクリニックの隣の寿司屋に入って秘書と一杯やっているんです。これはかなわないと思いました。79歳の私なんかまだヒヨッコ。死に方を考えるなんて、かっこうをつけずに、ただオドオドと生きていけばいいという気になりました。それが今でも 続いています。
(以下略)
コメント:だから40、50は鼻たれ小僧、60代でもティーンズみたいなものです。私(79歳)もオドオドと生きております。
2650.立憲は中道を行け 10.30
今回の前書きは、私見(エッセイ)です。ネタはTVの報道番組です。
馬場は斎藤前知事を推薦した失敗も、口を拭って知らん顔。そもそも今回の選挙で、維新の議席を減らしたことについての反省も弁明もない(目が飛んでいる音喜多が落選したのはプラス)。
馬場は、野田が立憲の党内を右寄りで統一すれば連携すると言ったという。あれだけ口汚く立憲を罵ったのは、何処の誰だったのか。今一番困っているのは退潮著しい維新の方であり、立憲に条件を付けられるような立場にはない。馬場が野田を引きずって、立憲を右傾化させるなど、絶対に許される事ではない。そこには民意に対する配慮はかけらもなく、小物の独裁者同士が談合している姿しか見えない。
それでなくとも右寄りの野田が党首選で勝つことになったのは、自民党に嫌気がさした自民党支持者を、立憲が受け皿になって取り込むには、中道右派が良いと小沢を口説いたからである。しかも共産党と手を切る方向に進んだが、これにはこれまた右傾化している連合の意向もあるものと思われる。そんな右傾化しつつある立憲でも、リベラルな市民が投票したのは、他に選択肢が無かったからに過ぎない。共産も令和も刺激が強すぎる。
本来なら、立憲はあくまで王道の中道、即ちリベラルと保守中道を糾合する存在として、双方の受け皿になることが望ましいし、そこに存在理由がある。
そもそも今回の選挙で野党が躍進できたのは、野党に魅力があったからではなく、一重に自民が嫌われたからだ。いわば敵失である。しかし自民党は選挙慣れしているので、自分達の不利な立場にいち早く気が付いた。だから幹部が総出で、必死に応援に向かった。
ではその間、野田を含めた立憲の幹部は何をしていたのか。必死感は全く感じられなかった。それどころか肝心かなめの野党一本化さえ実現できず、各地で野党同士が争う構図となった。そして、最大の問題児、萩生田さえ僅差で当選しているのである。
野田は選挙戦で、裏金・裏金と馬鹿の一つ憶えの連呼以外に何もしていないに等しい。しかも元はといえば、野田が嫌っている共産党が、最初に赤旗で裏金問題をとりあげているのだ。TVのコメンテーターは、野田の裏金連呼に呆れていた。
少なくとも私だけは、こともあろうに消費増税(減税ではなく)の為に、官僚の口車に乗って、安倍に政権を売り渡した野田を、許すわけにはいかない。同じことはいずれ繰り返され、野田がまたもや民意よりも、肥大した自我を優先するような事態が起きないとも限らない。
しかし、自分達が選んで議席を増やした立憲に対する、国民の目は一掃厳しいものになるはずだ。適当な言い訳も、容易な前言撤回もできなくなる。それ以上に悪いのは、野田の暗愚のせいで、立憲が維新に引きずられることだ。でもそれは決して民意ではない。なぜなら民意は明確に維新を否定しているからである。さもなくば議席を減らすはずがない。
野田は、自分が右寄りの中道路線を取ったので、立憲が勝ったのだと思いたいようだ。しかし自民離れした人たちは、むしろ国民民主に投票したのだ。もしくは選挙に行かなかったのだ。そうでなければ3倍もの議席数の説明ができない。これ以上、安閑としていると、立憲は参院選でその報いを受けることになるだろう。
こうなると皮肉なことに、リベラルが頼るべきは、自民党の左派しかいないということになる。それでなくとも、間もなく行われる首班指名でも、野田よりは、石破の方が、未だましだと思う。
端的に言えば、野田も馬場も早く交代して欲しい。もし政党党首が公選制なら、この二人は選ばれていなかったと断言できる(立憲は枝野、維新は吉村だったはず)。昔のことを憶えていない国民ばかりだと思ったら大間違いである。私だけでも、徹底的にこの二人をマークし続けるつもりだ。
関連記事:維新、受け皿になれず失速。馬場の発言でダメに。
https://digital.asahi.com/articles/ASSBW3DZRSBWUTFK03WM.html?iref=comtop_AcsRank_01
コメント:厨房に戻りイチから出直しを。