「オンライン・オピニオン」
一票の不平等
米ロの国際秩序観
記者殺害
国際秩序の破壊者
市場経済の偽装
MCI診断チェックリスト
日米防衛相会談
エンゲル係数
首相談話なし
自由の女神を返せ
2731.一票の不平等 3.24
今回の前書きは朝日新聞(3.24)の社説からです。
「一票の不平等、是正への司法の役割」
選挙で投じる一票の重みが住む場所によって2倍以上も違う。そんな不平等をいったいだれが救済するのだろう。
最大2・06倍だった24年衆院選の「一票の格差」をめぐる16の高裁判決が出そろい、すべて「合憲」と判断した。
有権者が最も多い北海道3区の人の投票価値は、最も少ない鳥取1区の人の半分にも満たなかった。「投票価値の平等を求める憲法に違反した」と、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きていた。
高裁判決はおおむね、投票価値の平等は選挙制度を決める絶対の基準ではないとし、国会に広い裁量を認め、現行の区割り制度を、格差是正を図る合理的なものだと評している。2・08倍だった21年選挙を「合憲」とした最高裁判決を踏襲した内容だ。
それでいいのだろうか。
昨年の衆院選は、選挙制度の抜本的な見直しに後ろ向きだった国会が区割りを改めて初めての選挙だったが、格差はほぼ是正されなかった。
長い経緯があった。最高裁は格差が2倍を超えた09年、12年、14年選挙を「違憲状態」と判断。国会は16年、人口比を選挙区の定数に反映しやすくする「アダムズ方式」を新たに導入すると決めたが、21年選挙には間に合わなかった。24年選挙で運用されたが、格差が1・99倍になるとの見込みは、人口移動が進むなか、実現しなかった。
21年選挙の最高裁判決は、新方式導入で「今後、格差の是正が予定されている」との見通しに立っていた。だが実際は、新区割りは功を奏していない。この結果を各高裁は直視すべきではなかったか。
さまざまな政治課題は国会議員の多数決で決まるが、各議員が代表する人口にあまりにも大きな違いがあれば、国民の多数の意思とのねじれが起きかねず、国会の正統性に重大な疑義が生じうる。
区画審設置法は格差が2倍以上とならないよう求めるが、国会は自ら決めたその規定も守れていない。そもそも平等原則からも「2倍程度はいい」で済ませる事柄ではない。最高裁も、議員1人あたりの選挙人数のできる限りの平等は「最も重要かつ基本的な基準」だと明言してきた。
国会は、進みゆく人口減や都市への人口流入など将来の社会像も見すえながら、「一人一票」に近づける抜本策を議論しなければならない。
国会の裁量は尊重されるべきだが、とりわけ議員を選ぶ選挙制度は議員自身の利益と結びつく一方、国民の利益と反することもある。だからこそ、より厳しく審査する姿勢が、司法に求められている。
コメント:その通りと言うしかないでしょう。
【注目記事】
・不安しかない、万博直前の大坂。
https://news.yahoo.co.jp/articles/56a5aadc9589c576c5b4c7a858e6fe957e3793af
コメント:とはいえ、入場券を買った(買わされた)人は行くしかない。半値で転売という手もあるが。
・斎藤と橋下。
https://news.yahoo.co.jp/articles/709785c616f96ac20b7849284017252deea8f29e
コメント:初めて橋下からまともな意見を聞いたような気がする。
・マイナ免許証、初日にアプリに不具合。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250324-OYT1T50068/
・国家公務員の人材確保、危機的状況。
https://mainichi.jp/articles/20250324/k00/00m/040/030000c
コメント:まずクソ難しい採用試験の見直しを。
・世界初の汚染土再利用。
https://mainichi.jp/articles/20250322/k00/00m/040/178000c
・小池、スマホの東京アプリ開発に799億円。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/393675
コメント:この人は金銭感覚がおかしい。自分のカネではないと思っているからだろう。それに問題の巨大噴水はどうした。もうこれ以上動かないでくれ。4年間じっとしていて欲しい。救いは石破が騙されにくいこと(安倍も岸田も篭絡された)。簡単に口車に載せられたら、国民はたまったものじゃない。
・言論に無限の自由はない。
https://www.nikkei.com/video/6370218716112/
コメント:少なくとも虚偽情報と根拠のない中傷をまき散らす権利はない。
2732.米ロの国際秩序観 3.26
今回の前書きは朝日新聞(3.25)オピニオン&フォーラム「巻き戻される国際秩序」です。私達もなじみの深い二人の論者が、分かりやすく解説してくれています。重要な内容なので、全文をご紹介します。
(以下引用)
ロシアの全面侵攻を受けたウクライナをめぐり、トランプ米大統領の主導で停戦への模索が進む。ウクライナを力で押さえつけるかのような進められ方には懸念や反発も寄せられている。事態は国際秩序のどのような変化を示しているのだろう。(聞き手 編集委員 塩倉裕)
「捕食者化する米、ロシアに追従」国際政治学者 藤原帰一
―「和平」を目指しているはずのトランプ米大統領の動きが、世界中の少なくない人々に不安や反発を抱かせています。
「当然です。トランプ氏が今進めているのは和平ではなく、プーチン氏の考え方への全面的な追従です」
?追従ですか。
「少数意見で驚かれるでしょうが、それ以外に評価のしようがありません。交渉に臨んでいるトランプ氏の判断のうち、現状でカギになるのは次の二つだろうと私は見ており、それらはいずれもプーチン氏の判断と同じだからです」
「@ ロシアが武力でウクライナから奪った支配地域をロシアの主権下にあるものと認めるAウクライナ住民への大規模虐殺や人権侵害に関心を持たないーです。どちらも国際政治の原則を踏みにじる判断です」
ー国際政治の原則とは何を指すのでしょう。
「戦争に関する国際政治の最低限の原則は『主権国家の独立は保全される』、つまり、侵略戦争の禁止です。加えてジュネーブ4条約(1949年)が、たとえ戦争中でも民間人や民間施設への攻撃は禁じるとの原則を定めています」
「それは悲惨な第1次世界大戦と第2次世界大戦の体験を経て人類がようやく手に入れた原則であり、いろいろと限界はありながらも制度化していました」
―トランプ氏の二つの判断は、彼の持つどのような国際秩序観を映し出しているものでしょうか。
「大国が小国を力で支配するのは国際関係ではむしろ当然だとする考え方でしょう。そう考えるから、米国がウクライナを支援する意味は理解できないという話になる。和平交渉でウクライナを重視しないのもロシアと対等な主権国家ではなく従属すべき小国だとの考えの表れでしょう」
―今を歴史的に見たとき、国際秩序のあり方にどのような変化が起きていると捉えるべきでしょうか。
「現代世界は『大国が小国を支配する国際政活』ではない国際政治を,何とか実現できていたはずでした。しかし今、その中心の一つだった米国が世界を第2次世界大戦以前の状態に戻そうとしています。大国による植民地獲得競争が戦争を繰り返し引き起こしていた時代への逆戻りです」
「現代の米国は『デモクラシーの帝国』だと、私はこれまで語ってきました。けれど米国は今、『プレデター(捕食者)の帝国』ヘと急速に変わりつつあります。和平を掲げていながらトランプ氏の言動が人々に不安をもたらしている理由も、そのためです」
―米国の「プレデター」化は、いつ、どのように進んだのでしょうか。'
「トランプ大統領が再任される以前、ここ15年間ほどの米国は、むしろ、ロシアと中国のプレデター化を食い止めようとしていました。ロシアがクリミアを併合したり、中国が島嶼部への支記を広げたりする動きを抑止しようとしたのです。その試みはバイデン前政権まで続きましたが、結局は失敗しました」
「そしてトランプ氏のもとで今、米国は自分自身がプレデターになる道を進み始めています。ロシアと中国と米国がそれぞれ捕食者として小国を蹂躙する世界が現れつつあるのです。トランプ氏の話は荒唐無稽に見えますが、グリーンランドを獲得する話もカナダを併合する話も、本気で受け止めたほうがいい」
―アジアにはどう影響が表れてくるでしょう。
「ロシアがウクライナを支配するのを当然視するのと同様に、中国が台湾を支配するのを当然視する可能性はあるでしょう」
―大戦の反省から侵略をなくす方向へ進んだ世界で、米国は大きな役割を担いました。そもそも「デモクラシーの帝国」の特徴とは何だったのでしょう。
「領土としての植民地を支配・拡大するのではない方法で世界的影響力を広げたことです。具体的には軍事基地を他国に置いたり同盟関係をネットワーク化したりすることを通じて、米国の言うことを聞く国家を世界各地に広げました。その際、国境を超える普遍的価値として資本主義とともに掲げたのが民主主義、つまりデモクラシーでした」
―帝国であるかのように他国を従わせる米国の振る舞いがなぜ、一定の国際的支持を得たのでしょう。
「大国であっても武力で小国をのみ込むことはしないという原則は、他国にとって受け入れやすいものだったからです。ウクライナを支援するかどうかは、国際政治の原則を変えるかどうかの問題でもあります」
「小国を抑圧し、大国同士の平和」軍事アナリスト 小泉悠
―トランプ氏の停戦交渉をどう見ていますか。
「撃ち合いの止まる可能性は今、この3年間の中では最も高くなっています。米国が現実に停戦を目指しており、ロシアにとって戦争は成算の見えないものになっているからです」
―見えないとは?
「戦い続けても当初の戦争目的を達成できそうにないのです。ロシアの戦争目的は根本的には、ウクライナが独立状態にあることをやめさせることです。しかし実は、ロシアがこの1年間に新たに拡張できた支配地は、ウクライナの国土の1%くらいに過ぎません」
「膨大な死者を出しながら1年で1%だとしたら、あと何年戦争を続けなければならないのか。『戦場』では勝っているけれど、勝っても勝っても『戦争』に勝てる見通しが得られない。その状態が続くことはロシアにとって好ましくないことになっていました」
「そこヘトランプ政権が登場し、ウクライナに降伏を迫る勢いで停戦を持ちかけてきた。プーチン氏には好条件に見えたはずです。ただ、やはりそのまま進むこともなかった。ロシアも簡単には戦闘を止めることはできないでしょう」
―ロシアと米国の停戦交渉から見える、両国の願う国際秩序像とは、どのようなものでしょう。
「プーチン氏もトランプ氏も『大国同士が戦争してはいけない』と言っているように聞こえます。ロシアは『ウクライナを支援すればロシアと戦争することになるぞ』と言い、米国は『ウクライナが戦うと大国も巻き込まれて第3次世界大戦になってしまう』と言う。そこから『ウクライナが戦争をやめれば平和になる』との共通認識が生まれているという構図です」
「しかし、それは秩序と呼ぶに値するものでしょうか。もしロシアという乱暴者の乱暴を追認して、その場限りでおとなしくさせるだけで終わるなら、待っているのはさらなる侵略戦争かもしれないのです」
―第2次世界大戦の前年に開かれたミュンヘン会談の教訓を思い出せ、という声が今あがっています。
「あの会談で英国のチェンバレン首相は、旧チェコスロバキアの領土の一部割譲を求めるナチスドイツの要求を、それで戦争が避けられるならばと認めてしまいました。翌年、ヒトラーはチェコスロバキアを勢力の下に置いています」
「同じように、もしプーチン政権が一度おこなった侵略を見逃したらミュンヘン会談の二の舞いになってしまうのではないかという思いは、私にもあります」
―プーチン氏はそもそも、どのような国際秩序観を持っていたのですか。
「世界は6個か7個の勢力圏に分割されていることが望ましいと考えているのだろうと思います。2000年代以降にプーチン政権下のロシアで語られるようになった世界構想です」
「構想では、個々の勢力圏にそれぞれ『力のセンター』となる国が存在します。ユーラシアであればロシア、アメリカ大陸であれば米国、東アジアであれば中国、といった具合です」
ー国々の間の関係性はどうなるのでしょう。
「センターである国々は、自身の勢力圏を支配下に置く一方、他のセンターたちが支配する勢力圏には踏み込みません。つまり、大国同士の間では『平和』が共有されるのです。ただし、大国とその周囲にある中小国との関係は、きわめて大国中心的になります」
「この勢力間分割構想は、19〜20世紀の地政学の思想にそっくりです」
―プーチン氏のそのような国際秩序観は、トランプ氏の抱く秩序観とも共嗚するものでしょうか。
「その可能性はあると感じています。トランプ氏の世界観は明瞭ではありませんが、北米のカナダを併合したいと願ったり、中米にあるパナマ運河を獲得しようとしたり、北米大陸に近いグリーンランドを獲得しようとしたりする姿勢から、そう惑じるのです」
「従来の米国は、大西洋や太平洋を越えて他の大陸にまで勢力を広げようとする国でした。しかしトランプ氏は、北米大陸と周辺には強い関心がうかがえるものの、欧州やアジアには経済以外の関心をあまり向けない印象があります。勢力圏分割的な発想があるのでは、と疑うゆえんです」
―そのような世界で、日本の人々が意識した方がいいことは何でしょう。
「東アジアでの私たちは、中小国を取引する大国ではなく、大国に取引される中小国の側なのかもしれない、ということです」
コメント:それでは困る。大国が支配する世界。中小国は、大国に支配され、収奪される。そんな世界のどこがいいのか。そもそもそれでは国連などあってなきがごときではないか。現実として長いものに巻かれ続けてきた日本(基地の国)ではあるが、それを快いと感じるのは自民党とその支持者くらいのものだ。しかも農業中心の社会ではなくなっているので、国力は領土と人口の大きさでは決められない。技術力や生産力の方が大きな影響力を持つ。そういう意味では日本は国土は狭くとも、準大国である。とにかく国際秩序を大国が力任せで壟断するのではなく、平等や公平や福祉といった人権の理念を政治の基本に置く。人権優先の立場から、ルールを作り直すところから再出発するしかない。そうでなければ、人類の歴史など意味のないものになってしまう。
2733.記者殺害 3.27
今回の、前書きは朝日新聞(3.26)の社説の一部です。
「ガザの記者殺害 戦場の真実封じる蛮行」
戦場の実相を伝え続けてきたジャーナリストの命を奪う蛮行を強く非難する。戦火の中、懸命に家族を支えてきた若い父親でもあった。その死に哀悼の意を表したい。
パレスチナ自治区ガザで朝日新聞の通信員を務めてきたムハンマド・マンスールさん (29)が、イスラエルによるとみられるミサイル攻撃を受け自宅で死亡した。
同じ日、中東の衛星放送局アルジャジーラの記者も死亡した。国際NPO「ジャーナリスト保護委員会」は、2人は意図的に殺害された疑いがあるとして国際的な調査を求めた。イスラエル政府は誠実に応じるべきだ。
ガザ当局によると、2023年10月のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始以来、死亡したジャーナリストは200人を超す。「プレス(報道)」と明記した防弾チョッキを着たり、車で移動したりしていても、攻撃される例が後を絶たない。
イスラエル軍は「テロ組織の一員だ」と正当化するが、とうてい納得できない。国連の特別報告者は「批判的な報道を黙らせる戦略で、戦争犯罪だ」と指摘している。
ガザでの激烈な戦闘は多数の民間人を巻き込み、国連機関は人道法違反を指摘する。 だがイスラエル政府は、外国の報道機関が現地に入ることを認めない。
マンスールさんをはじめガザに暮らすジャーナリストを突き動かしているのは、「自 分たちが発信しなければ、何が起きているかが世界に伝わらない」という危機感だ。
生きのびることすら精いっぱいな状況で、取材・発信に取り組む彼らの口封じをするような行為は許しがたい。
ガザでは先週、2カ月足らずの停戦が破られ、イスラエル軍が攻撃を再開した。死者 はついに5万人を超えた。
その一人ひとりに人生があり、家族がいる。現地で紡がれる言葉や、送られてくる映 像に向き合えば、単なる「数字」からはわからない戦場の真実が見えてくる。(中略)
かけがえのない仲間を失っても、私たちはガザから決して目をそらさない。人びとの声を伝える努力を尽くし、戦争はやめよと訴え続ける。
コメント:まさにそれこそがジャーナリスト(報道人)の本懐です。
関連記事:ミャンマー国軍は報道の自由を殺した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/394115
もう一つは、一般人ならあまり触れたくない性教育がテーマです。
オピニオン&フォーラム 包括的な性教育、今こそ。
「いかがわしい話? 命と人権そのもの 無理解の悪循環」教育評論家 尾木直樹
(前略)
―尾木さんは、21年に北海道旭川市の女子中学生が自殺した問題で、市の再調査委員会の委員長を務めました。昨年出した報告書ではいじめと自殺の因果関係を認めた上で、性教育の必要性を明確に示しました。
「彼女の叫びが聞こえてくるようでつらい作業でした。女子生徒や相手側がSNSなどで発信していた4千以上の発話を分析し、浮かび上がったのが深刻な『性的ないじめ』の実態でした」
「女子生徒は発達の特性ゆえにいじめられてクラス内で孤立し、公園で集まるグループに居場所を求めて依存していった。性的な要求をされても拒めなくなっていたのです。僕たちは、『性を差し出す』という踏み込んだ表現をしました」
「でもこの事案は特殊ではない。今はもう、小学生のうちからスマホを持っていたり、SNSを使っていたりしますよね。それなのに、インターネット上の人権侵害行為やSNSを利用した性被害、性加害についての教育が不十分だと思います」
ー学校における性教育の現状を、どう評価しますか。
「『寝た子を起こすな』という考え方が、いまだにまかり通っていますね。最近、性教育に取り組む産婦人科医や助産師の方のお話を聞く機会がありました。コロナ禍で10代の望まない妊娠や性被害の相談が急増して、改めて性教育の重要性を痛感したということでした。性犯罪・性暴力対策など、昔と比べれば評価できる点もあるけれど、あくまでも条件付き。本質的には変わっていません」
「たとえば、性暴力根絶を目指した文部科学省の教育プログラム『生命の安全教育』が23年度から本格的に実施されましたが、これは『性教育』ではない。いくら性暴力について教えられても、前提となる『性』の知識や『性は自分の大切なもの』という教育がされなければ、自分ごととしてイメージすることは 非常に難しいと思います。やっぱり日本では、性教育はずっと取り残されたままです」(中略)
―尾木さんは性教育の推進のため、23年に「包括的性教育研究協議会」を設立しました。
「近年、性暴力が人権問題として許されないという認識が、これまでになく広がってきていると思います。23年は、旧ジャニーズ事務所の性加害問題が明るみに出た年でした。その後、芸能界における性加害疑惑なども相次いで報じられました」
「一連の問題に通底しているのは、加害者への甘さ、組織としての無責任な体質、そして人権意識の低さです。今、性教育を必要としているのは子どもだけじゃない。大人も学び直しが必要なのです。一方、性加害の問題が大々的に報じられるようになり、社会的に注目されるということは世の中の意識が変わってきていることの表れでもあると思います」.
―今年1月には、協議会のポータルサイト「CSE HUB」を立ち上げ、本格的に活動を始めたそうですね。
「まずは、包括的性教育に関する正しい知識と情報を提供していきます。その普及に尽力している人たちはいますが、横のつながりがなかなかないように思うんです。そういう人たちをつなぐ『ハブ』のような存在になりたいです。性暴力をめぐる問題が浮かび上がっている今だからこそ、発信もしやすい。はどめ規定の撤廃に向け、ロビー活動もしていきますよ」
「義務教育段階から包括的性教育を学ばなければ、これから日本で、多文化共生やジェンダー平等といった多様性のある社会にしていくことは不可能でしょう。子どもたちだけでなく、保護者も教員も、子どもと関わる全ての人が共に学び合っていかなければなりません。また、たくさんの宿題ができちゃいましたね」(聞き手・島崎周)
コメント:尾木ママは言葉遣いはおかしいが、考えていることは真面目です。
2734.国際秩序の破壊者 3.28
今回の前書きは朝日新聞(3.27)オピニオン&フォーラム、論談時評です。
「既存秩序の崩壊 他者と折り合う ルール探して」政治学者 宇野重規から
論談時評を執筆するのも今月が最終回となる。身の回りから世界に至るまで、つねに何らかの変調を感じ続けた2年間であった。その感党はいまや既存秩序の崩壊として現実化しつつある。わたしたちはこの崩域感覚のうちに身を潜めるしかないのだろうか。
文筆家の木澤佐登志は、トランプ米大統領とその周辺にいる人々の思想を「権威主義的リバタリアン」と呼ぶ。彼らの多くはシリコンバレーの億万長者であり、既存の国家や政府を敵視し、それを支える官僚やジャーナリストの排除を訴える。多様性や社会正義を叫ぶ人々を一掃し、無力な民主主義を放棄して、米国のトップに専制君主となるCE0を設置することを夢見る。エリート意識と歪んだ被害者意識を持つ国家の破壊者たちが国家のトップに居座る矛盾は、世界の末来にどのような影を落とすのだろうか。
トランプ政権は軍にもねらいを定める。政治学のロナルド・R・クレブスによれば、政権についたポピュリストは最初こそ軍の威光を利用するが、次第に軍のプロフェッショナリズムを敵視するようになる。やがては軍の規律を重視する職業軍人を自分に忠実な人間と入れ替え、軍の乗っ取りを目指す。第2次トランプ政権が行っているのがまさにそれであるが、軍の政治化は市民の軍への信頼を傷つけ、国家安全保障に大きなダメージを与えると説く。
トランプ政権は通商政策も「ディール(取引)」の材料にする。 国際経済法の川瀬剛志は、トランプ大統領の周辺に見られるのは、製造業中心の地域社会へのノスタルジーであるとする。米国の強みはつくり手としての国民であり、労働がもたらす自尊心を回復するために、輸入を遮断し、米国に生産を回復する。このような「物語」が好まれると同時に、極度に左右二極化した国内政治に起因するゼロサム的思考が、自由貿易の「放棄」をもたらす。しかしながら、トランプ氏との「取引」は何も保証しない以上、日本は、お目こぼしに甘い期待を抱かず、米国不在でもルールの支配に基づ く自由貿易体制の維持・発展に努めるべきであろう。
国際政治の遠藤誠治もまた、予測可能性を低下させることによって自国に有利な結果をもたらすことを意図するトランプ大統領に対抗する必要を説く。いまやトランプ政権によって脅かされるのは自由主義的国際秩序、あるいはさらに「秩序」そのものである。第2次世界大戦後の世界は、制度化され組織化された国際的なルールの体系によって、相互の予測可能性を高め、相互利益を追求してきた。これに対し、現在の日本はトランプ氏の機嫌を損ねることを極力回避し、ダメージを軽減することに汲々とするばかりである。今こそ東アジアの安定や社会保障を考えるため、予測可能性とレジリエンスを高める国内社会の改革を相互に進める必要がある。
日本国内でも新たなルール・メイキングが求められる分野は多いが、今月は労鋤をめぐって興味深い論考が目立った。
エコノミストの河野龍太郎は、この25年間で日本の時間あたり労働生産性が3割も上昇したにもかかわらず、時間あたり実質貨金がまったく上がっていないことを問題視する。とくに長期雇用制度の枠外にいる非正規雇用の人々は定期昇給もなく、その実質賃金では、インフレで物価が上がることで、生活が成り立たなくなっている。実質賃金を上げずに生産性向上の恩恵を企業がため込む状態は、極めて収奪的である。このことが昨年10月の衆院選でのポピュリズム台頭の背景になったとする河野は、中間層へのセーフティーネットを拡充することがむしろ成長につながると提言する。
(中略)
秩序が崩れる時代に、人は他者を裁き、非難する。そのことが更に既存の秩序を揺るがす。
(中略)
他者と折り合えるルールを根気強く探し続け、新たなルール作りの時代を目指したい。2年間の結びである。
関連記事:第二次トランプ政権の混乱と無能ぶりが露呈。欧州で批判。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250327-OYT1T50181/
次は同じ朝日新聞の社説から。
「教団に解散命令 救済に検証課題は山積みだ」
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、東京地裁が宗教法人法に基づき解散を 命じた。
高額の献金集めなど類例のない膨大な規模の被害が生じたうえ、途切れなく続いてお り、著しく公共の福祉を害することが明らかだと判断した。その上で教団に法人格を 持たせたままにしておくのは極めて不適切と結論づけた。
教団側は即時抗告し審理は高裁で続く見通しだ。被害救済と再発防止に向け、取り組むべき課題は山積している。
「被害の継続」を重視
教団は1964年に宗教人として認証された。教義を広める「原理研究会」の勧誘活動で大学生の子どもを奪われたとする親たちが反対運動を展開。80年代には困難な事情を抱える人に「問題解消には献金が必要だ」などと勧誘し、生活が維持できなくなるほどの献金をさせる「霊感商法」が社会問題化した。
今回の決定で地裁は、少なくとも80年代以降に甚大な被害があったと指摘。2009年の教団の「コンプライアンス宣言」以後も、被害申告は減ったが根本的な対策は講じ られておらず、被害が継続していることを重視した。(中略)
解散して法人格を失えば、 財産は清算される。「公益法人」でなくなることで、税制上の優遇もなくなる。
もっとも、法人ではなくなっても、宗教団体としては存続できる。信者の宗教上の行 為は制限・禁止されない。
この前提に立ち、さらに23 年までの献金被害が1559人、総額で約204億円にのぼると認定した規模をふまえれば、解散命令は納得できる判断といえるだろう。
なぜ、半世紀にわたり問題の抜本解決が図られなかったのか。政治、とりわけ自民党の責任は見過ごせない。
自民党と教団のつながりは、岸信介元首相と文鮮明教祖との関係にさかのぼる。
教団による被害は、安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に改めて社会問題化した。岸氏の孫でもある安倍氏が教団側を称賛するビデオメッセージを送るなど、議員らはお墨付きを与える役割を果たし、他方で教団から選挙支援を受ける構図が明らかになった。
解散命令請求した当時の文部科学相、盛山正仁氏をはじめ、多くの政治家が教団との 関与を指摘された。だがどう説明責任を果たすかは個々の議員の対応に委ねられ、党として総括されていない。
いわば教団だけを解散手続きに持ち込み、政治の責任はうやむやにする構図ともいえ る。その意味では、政府の審議会も含め、請求に至った議論の全容を公開する必要がある。他の宗教法人の萎縮や政府の不当な介入を今後招かないためにも、透明性の確保は必須の課題だ。
一方で最近、選挙支援などで教団の信者が自民議員に再接近する兆しもある。組織的な関係を包括的に検証し、決別の意志を示さない限り、過ちは再び起こりうる。
自民党と教団の関係に限らず、多額の資金を有する団体に政治がゆがめられる危険性を政治家は鋭く自覚すべきであり、メディアや社会は関心を持ち続ける必要がある。
(以下略)
コメント:確かに自民党の総括は終っていない。萩生田などに至っては巻き返しさえしかねない。
2735.市場経済の偽装 3.29
今回も前書きは朝日新聞(3.29)からですが、複数の新聞を購読する余裕がない(仮にあっても今度は読む時間がない)ので、毎回朝日新聞からの引用になってしまうことをお詫びします。朝日新聞とサンデー毎日が私の依拠です。
最初は山火事に関する投書です。
「山火事 背景に感じる意識の低下」浅井洋子 愛知県 86歳
ここ最近、国内外で大きな山火事のニュースが続いている。住宅にまで及ぶ被害の様子に、山火事に対する意識の低下を心配している。
代々林業を営む夫と結婚したのは60年以上前。杉やヒノキを育てて売るのに、家族総出で雑草木を刈り払ったり、成長に応じて混みすぎた木を伐採したりした。そんな中、一番心配したのが山火事である。生木も一度火がつけばものすごい勢いで燃えるので、山火事が起きると取り返しがつかない。冬は暖を取り、また害虫を退治する目的もあって山でたき火をしたが、地下足袋で火をもみ消し、さらに谷川の水をかけるなど後片付けに万全を期した。
外国からの輸入木材が増え、生活をまかなえなくなって、1970年ごろには林業をやめた。高齢化もあり、周囲にも同じように手を引いたところが多かった。こうして放置された民有林はたくさんある。
日本の山火事の一番の原因はたき火だという。温暖化により乾燥が進む中、山火事の恐ろしさを知らない。
人が里山でキャンプをするのも心配だ。国の対策にも物足りなさを感じるが、まずは今、山に入る一人ひとりに緊張感を持ってもらいたい。
コメント:まず86歳でこれだけの文章が書けることに敬意を表したい。この投稿で一番印象が強かったのは「生木も一度火がつけばものすごい勢いで燃える」という一節である。正に油断大敵、火がぼうぼうである。
関連記事:韓国山火事。墓参りの男性による失火。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/395125?rct=world
コメント:死者30人。
次は社説で、wtwでも常連の斎藤元彦の再々登場です。
「斎藤兵庫知事 組織の長として失格だ」
(前略)
組織に問題が生じた際、独立した中立の立場から調べてもらう。調査結果に基づいて 関係者の責任を明確にし、必要な対策を講じて、信頼を回復していく。そのために第三者委員会はある。
しかし兵庫県の斎藤元彦知事は、第三者委が認定した自身の職員へのパワハラ行為を 謝罪しつつ、自らの処分は否定。知事を告発した元県民局長の男性への対応が「違法」とされたことには「見解が違う」と受け入れを拒否した。あまりに恣意的で、第三者委の意義自体を否定するとも言える、看過できない事態だ。
(中略)
職員のパワハラ行為については、懲戒処分指針に基づき減給などの処分がされてきた。自身への処分に触れない斎藤氏に対し、県庁内で不公平だとする声が出ているのも当然だろう。
(中略)
この人には、言葉や論理が通じない。そう思わせるようではトップの資格はない。報告書への姿勢について、斎藤氏は「さまざまな方から意見をうかがい、最終的に知事である私が見解を判断した」と説明するが、「その内容や手続きの詳細についてはコメントを控える」という。報告書を「真摯に受け止める」と繰り返しながら実質的に拒否する姿勢は、もはや独善と言っても過言ではない。斎藤氏こそが「知事として失格」と言うほかないだろう。
コメント:なにより人情もなければ、人間性も薄く、人間として失格だ。影絵のような存在。真摯ではないのに、真摯という言葉には、真実もなければ、誠意もない。しかも、内部告発への処分は「県の判断だ」と言っている。自分は県民に選ばれた、だから自分の判断は県の意志だとでも言いたいらしいが、ならば正規の手続きで設けられた、百条委員会と第三委員会の判断こそ、正式な「県」の判断である。それを無視するのは、もはや公務員でさえなく、ただの身勝手な独裁者である。しかも私がと言わずに、県がと言うところに、傲慢さに加えて、いざとなれば責任を逃れようとする、卑しい魂胆が透けて見えるような気がする。もし斎藤元彦が本当に兵庫県の民意を代表しているのであれば、日本国にとって兵庫県は、法の支配も行き届かず、自治の概念も異なる、異質な地方自治体なので、外国(台湾でも韓国でも)に出て行って頂きたい。同じ日本人と思われたくはない。
全文:
https://www.asahi.com/articles/DA3S16181844.html?iref=comtop_Opinion_04
3つ目は多事争論 編集委員 高橋純子です。
「首相の延命策…」
(前略)
興味深いのは、「でもいまは石破さんを応援する」と小声でささやくアンチ自民の人が けっこういることだ。「安倍一強」がもたらした政治の荒廃、ひとことで言うなら「無理が通れば道理が引っ込む」政治をとにかく変えてほしい、と。変えるといっても、特段なにかを「する」必要はない。道理に合わぬことを「しない」が大事。手間もかからず元手もいらず、それで応援してもらえるのなら実に「おいしい」はずだが、当の首相はそのへんまったく見ていない。恐るべき鈍さ。その象徴が、差別発言で名をとどろかす杉田水脈氏を公認したことだ。21日の参院予算委員会で首相は杉田氏の差別発言をわざわざ例示し「強烈な違和感」があると。ならばなぜ公認する?水脈通して道理が引っ込んどるやないか。
(以下略)
最後は異論のススメ。
「市場経済 剥がされる偽装」京大名誉教授 佐伯啓思から
(前略)
あらゆる国が多かれ少なかれ自国中心に傾くのは当然であり、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」をことさら難じる必要もない。自由貿易はおおよそ表看板に過ぎなかったのであり、実際には自由貿易も「戦略」のひとつであった。とはいえ、これほどなりふり構わぬ既存の自由経済秩序への挑戦は、確かに異常な出来事に見える。
だが、どうしてこうなったのだろうか。われわれは、つい、トランプ氏個人の独善的性格を取り上げたくなるのだが、ここでも問題はさほど簡単ではない。
私は、以前にこの「異論のススメ」で、トランプ氏が米国の民主主義を破壊し、米国社会の分断をもたらしたのではなく、米国社会の分断や、民主主義政治の機能不全がトランプ氏の誕生を招いた、と論じた。
それと同じことがここでもいえる。トランプ氏が自由貿易体制を破壊したのではなく、グローバリズムのもとですでに自由貿易体制がうまく機能しないがゆえにトランプ氏の強硬な政策が顕在化した、と論じたい。
トランプ氏の米国中心主義が適切だなどというつもりはないのだが、「トランプ現象」を特異で変則的な事態と見ているだけでは真に重要な点が看過されると思う。
冷戦以後のグローバリズムとは、自由な市場競争の世界への拡張であった。その市場競争論を唱えたのは米国の経済学であり、自由貿易論もその一部である。(中略)
すると、今日のような国家間競争が激しい時代には、特に大国たらんとする国では、大きな利益を生む先端技術や先端産業を政府が支援しようとするだろう。今日では、AI(人工知能)やロボット、宇宙技術、半導体などのハイテク開発や産業戦略がじっさいに国力を決しかねない。これでは、とても自由な市場競争や自由貿易の教義は成り立たない。
これこそが今日のグローバル経済の姿なのである。端的にいえば、グローバリズムのもとでは、「自由貿易は世界を豊にする」などという命題は成り立たない。
米国は、冷戦後、世界の覇権を意図して、情報・金融中心の産業構造に転換した。それが、逆に、製造業のいっそうの哀退を招き、また大きな所褐格差を生んだのである。こうして、米国では、一方で、シリコンバレーを中心とする先端技術開発に巨額の資金が流れ込み、他方では、哀退する製造業を維持するための保護政策を取らざるを得なくなった。
これは、米国流の経済学が生み出した皮肉な帰結である。経済学の市場競争論や自由貿易論が冷戦後のグローバリズムを可能としたが、それが米国へのバックラッシュを引き起こし、トランプ氏の戦略的介入主義へと帰結したのである。彼のやり方はいささか強引に過ぎるとしても、それ以前に、問題は、グローバリズムの支柱である「市場競争体制による世界秩序形成」が機能しない点にある。(中略)
私は、別に経済学のすべてが間遮っているなどといっているわけではない。今日、経済学は細分化され、様々な個別分野での研究が展開されている。だが、「市場経済とは何か」という大きな問いが忘れ去られてしまった。経済学には「自由な市場競争こそが世界を調和させる」という信念が隠されている。しかし、この米国流の価値観は、科学と称することでオブラートに包まれた。そして、科学を装ったひとつの価値観・思想がグローバリズムを覆い、今日、その擬装が剥がれつつある。
科学的真理にも科学者エリートにもリベラリズムにも関心をもたないトランプ氏が、この擬装を剥がしてしまった。トランプ氏にとっては米国の「強さ」が、そして彼の支持者にとっては、彼らの生活の方が大事なのだ。しかし、だからといって、「トランプ流」によって次の段陪への道が見えているわけでもないのである。
コメント:現在の経済学が行き詰まっている、或いは目詰まりを起こしているというのはこれまでの私の主張でもある、だから今こそ、技術万能時代に見合った、社会科学、中でも19世紀のマルクス・ケインズではない新世紀に相応しい先端的な経済理論が生まれてくれないと、人類が世界をコントロールできなくなってしまう。社会科学が今ほど必要とされた時代がかつてあっただろうか。
現在主流の新自由主義には、技術と人間の精神に対応する力がなく、弊害(経済格差の増大等)ばかりだとしたら、思い切って計画経済、もしくは官の権限を一時的に拡大する、言い換えれば新時代の計画経済を短期間、試験適用することも考えてみた方が良い。これはトランプの逆張りをせよと言っているのではなく、むしろ大きな政府(リーダーの指導力)という意味では、似たような手法と言えなくもない。
但しそれがいかに計画的と言っても、現状の経産省の補助金の現状は、とても褒められたものではない。投資も裏目ばかりで、結果は惨憺たるものだ。トランプの思い付きには、日本の精鋭の総合知の方が勝っていなければおかしいではないか。言い換えればトランプの思い付きより、日本の政府(及び役所)の方が、計画面(新鮮さ)でも、実施面(迅速性)でも優れていなければならないということである。
トランプにアメリカ・イズ・バックが可能なら、日本も、ジャパン・ウィル・ビー・バックでなければならない。このまま国家間の競争をことなかれで座視して敗退し、長い物に巻かれていけば、日本経済は衰退の一途を辿るだけである。もはや、原発や半導体のような、既存の技術にかまけている暇などない。目を覚ませ経産省と財務省、そして日銀の黄金バット。トランプ(米国)に振り回されて酷い目に逢わされる前に、トランプが嫉妬するような新市場やニッチを開拓することだ。しかもその方向に、今すぐ全力で走り出さねばならない。国会で後ろ向きで不毛な議論をちまちまとやっている暇などないはずだ。
2736.MCI診断チェックリスト 3.31
今回の前書きは認知症の自己診断です。
週刊新潮(4.3)「自分でできる認知症グレーゾーンチェック法」
脳機能画像診断の第一人者 朝田隆 筑波大学名誉教授
私は認知症になりかかっているのではないか、(中略)
人生100年時代において、いかにして認知症にならずに晩年を過ごすかということが大きな健康課題となり、多くの人が「自分はまだ大丈夫だろうか」と気に掛けていることと思います。そのため、ちょっとしたもの忘れをしても、(中略)不安になってしまう。
実際、もしあなたが、 全に認知症になったわけではないものの、このまま放っておくと認知症になる 「認知症グレーゾーン」の状況に骰かれているとすれば、何らかの対策をとったほうがよいでしょう。なぜなら、医学的には「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる認知症グレーゾーンの人でも、4人に一人は健常な脳の状態にUターンすることができるからです。
一方、加齢に伴い記憶力等が低下するのはごく自然な現象であって、過度に怯える必要はありません。いずれにしても、いまの自分の認知機能がどのような段階にあるのかを知っておくことに損はないでしょう。
まず改めて説明すると、MCI、すなわち認知症グレーゾーンとは、認知症になる人が必ず通る分かれ道であり、認知機能が低下しているものの日常生活に大きな支障はない、しかし放置すると危険な状態を指します。「認知症グレーゾーン」から「認知症」になるまでの猶予は517年とされており、この期間に対策をとればUターンできる可能性もあります。したがって、認知症予防のひとつの重要なポイントは、認知症グレーゾーンに足を踏み入れているか否かを把握することにあるのです。
では皆さんは、自分が認知症になりかかっているかもしれないと疑う時に、どんなことを気にしますか? 多くの人が気にするのは記憶力の低下だと思います。人の心の働きは「知・情・意」(知性・感情・意志)という言葉で説明されることが多く、皆さん真っ先に記箆力の低下、すなわち「知」の衰えを気にするわけです。患者さんに限らず医師の側も、認知機能テストなどで計測しやすい「知」の衰えを董視しがちです。
しかし認知症とは、必ずしも記憶力の低下から始まるわけではありません。記恒を司る脳の海馬の機能よりも先に、前頭葉の機能が低下することがあるからです。前頭葉とは、脳の司令塔とも言うべき部位で「意欲」を司っています。つまり、認知症の入り口であるグレーゾーンか否かを見分けるには、意欲の低下も大きなポイントとなるのです。
意欲が失われれば、感情 も色あせてしまいます。したがって私は、認知症の進行は「意・情・知」の順番で注意を払うべきではないかと考えています。認知症グレーゾーンのサインは意欲の低下、要は「面倒くさい」という言葉を頻繁にロにするようになることとして表れるのです。
「知」に限らない「意」「情」の衰え。これを踏まえた上で私が作成した、認知症グレーゾーン自己診断チェックリストは次の10ポ イントです。
@ いま何をしようとしていたか思い出せない。
A 同じことを繰り返し言ったり、訊いたりする
B 人と会う約束を忘れてしまうことがある
C 物を探すことが多い。
D 何かをしようとしても 「まあいいか」と止めてしまう。
E 長年親しんできた趣味を楽しめなくなった。
F 外出する機会が減った
G 段取りが下手になった。
H お会計をする時に小銭を使うのが面倒くさくなった。
I 今日の日付が言えない。
以上の10項目のうち、3 個以上該当する人は、認知症グレーゾーンの可能性が考えられます。
他方、以前は定期的に足を運んでいた場所や集まりに顔を出さなくなったとすれば、認知症グレーゾーンの疑いありです。なぜなら、それは典型的な「而倒くさい」の兆候だからです。(中略)
「俳優の名前が思い出せない」
テレビを観ていて、こんなもどかしさを感じたことがある中高年は多いと思います。しかし、これは誰にでも起こる老化現象であり、気にする必要はないでしょう。一方、子どもや孫といった、ごく身近な家族の名前を思い出せなかったりした場合は認知症グレーゾーンの要注意信号です。(中略)
これまで説明してきたチェック項目等を踏まえ、仮にあなたが認知症グレーゾーンに突入してしまっていると分かったとしても、決して諦めないでください。繰り返しになりますが、4人に一人は健常な脳の状態にUターンできます。
「うっかり忘れ」に気付き愕然とするのは、大変ショ ックなことかもしれません が、手帳を見返して予定を思い出せるようであれば、 まだ大丈夫です。認知症グレーゾーンの場合、手帳を見ても何の予定だったかす ら思い出せなくなります。(中略)
認知症グレーゾーンも早めに判明すれば早めに対策がとれると、むしろ前向きに捉え てください。
逆に、諦めてしまい何も手を打たないと、認知症グレーゾーンの人は5年以内に約40%の人が認知症になるとされています。ここが最後の踏ん張りどころなの です。
では、Uターンするには 何が大切なのでしょうか。
先ほど私は「意・情・知」と言いました。認知症の人であろうと、グレーゾーンの人であろうと、「知」以上に「意」の衰えが先行すると考えた場合、Uターンする最善の方法は「意」を鍛えることです。すなわち、「脱・面倒くさい」こそが認知症対策には欠かせないのです。
いかにして意欲を取り戻すか。そのためのキーワードは「年甲斐もなく」です。あるいは、少々気恥ずかしく感じるかもしれませんが、「ワクワク感」と言い換えることもできます。(中略)
人生100年時代を迎え、実際、女性の二人に一人は90歳まで生きる時代です。昔の60歳はいまの75歳、昔の75歳はいまの90歳と考えていいでしょう。つまり、昔の「年甲斐もなく」という社会的規範を、そのまま適用するのには無理があるのです。
「意」を鍛えるために年甲斐もなく、ワクワクしながら生きるためのポイントは、「挑戦」「変化」「生き甲斐」「孤独の回避」「利他」です。科学的にも、ワクワクすれば、やる気や幸福憾を生み出すドーパミン、愛梢の源となるオキシトシン、心を癒すセロトニンといった脳内ホルモンが分泌され、認知症対策に寄与することが判明しています(以下略)
コメント:内容に興味を持たれた方は本誌をお求めください。ちなみに私は10項目すべてに心当たりがあります。特に日付はどの脳内科医(或いは物忘れ外来)でも必ず尋ねる質問です。他には曜日と年、季節などです。
2737.日米防衛相会談 4.1
今回の前書きは朝日新聞(3.31)の社説からです。
「日米防衛相会談 対中抑止 力だけでなく」
トランプ大統領就任後初の日米防衛相会談が開かれた。第2次トランプ政権は内政外交全般にわたり、矢継ぎ早に政策の変更や見直しを打ち出しているが、日米同盟の強化については、従来の路線を踏襲することが明確になった。
中国に対抗し「力による平和」「抑止力の再構築」をめざす姿勢も鮮明だった。一方的な現状変更が認められないのは当然だが、力頼みの米国にただ追随するのではなく、対話を含む外交努力と併せ、真に地域の安定に資する役割が日本には求められる。(中略)
ヘグセス氏は前日、太平洋戦争末期の激戦地、硫黄島での日米合同の慰霊式に、米国防長官として初めて、石破首相や中谷氏とともに参列した。トランプ政権が欧州の同盟国を突き放すのとは対照的に、日本との関係の強固さをアピールするものだ。
計画中止の可能性が報じられた在日米軍の態勢強化についても、ヘグセス氏は会見で、統合軍司令部への移行の第1段階を開始したと発表、日本側の懸念を打ち消した。
対日重視の背景には、米国が「唯一の競争相手」と位置付ける中国に対するうえで、日本が役に立つという判断があるのだろう。ただ、アジアの隣国であり、もし軍事的な衝突が起これば甚大な影響が避けられない日本には、抑止力一辺倒ではない、緊張緩和に向けた努力が不可欠だ。協調しつつ、主体的な判断を貫けるかが試される。
トランプ政権の高官から、日本の防衛費を国内総生産(GDP)比で少なくとも3%に増やすべきだといった声もあったが、今回の会談では、数字をあげた議論はなかったという。
現在の防衛費大幅増の計画自体、総額ありきで、費用対効果を踏まえた積み上げに乏しく、財源も定まらないままだ。中谷氏は会見で、防衛力強化は「我が国自身の判断で進めていくことが重要だ」と伝えたと述べたが、その言葉を忘れてはならない。
南西地域での共同訓練の拡充が打ち出される一方で、普天間飛行場の辺野古移設は「唯一の解決策」として維持され、在日米軍による事件・事故の再発防止の具体策は示されなかった。沖縄の負担軽減にどう取り組むのか。地位協定の見直しを封印した石破首相の姿勢が問われる。
コメント:米国としては(太平洋の反対側の中露からの防波堤、もしくは不沈空母=中曽根の言葉、にも関わらず)何故、米国の軍隊が日本を守ってやらなければいけないのか、戦争中は敵国だったではないかという不満があり、トランプの言葉の端々にもそれが感じられる。でも日本は海外派兵はしない(憲法上当然)ので、米国までのこのこ出かけて行って積極的に守ることはできないし、やらない。武装でも米や露とは比較にならない。従って日米の安全保障は、最初からアンバランスな関係であり、それがうまくいくとすれば、相応の見返りがある場合に限られる。だからトランプの言い分は驚くにはあたらないと同時に、どんな(理不尽な)要求が来るかといつもびくびくすることになる。
ならばこれからもプライドのない、外国の基地の国として、だらしなく米国により掛かり続けるのか、それとももっと健全で対等な関係にする方法はあるのか。但し、仮にそれが可能としても、それは少なくとも(卑屈で傲慢な=矛盾しているが)自民党政権の間ではないだろう。
日本は(米国依存から卒業し)国家としての自尊心と責任感を持つ国になるべきだと語った田中角栄は、仕掛けられたロッキードの罠で失脚させられた。小沢は検察(米国の顔色を伺う行政)に潰された。もっと遡れば国鉄の総裁は暗殺された。但し、いずれも憶測、陰謀論の可能性も否定はできない。
でも一体いつになったら日本は本当の意味で外国から独立できるのだろうか。今のような体たらくで、いくら経済大国と威張って見ても、どの国も、まともに相手にする気にはなれないだろう。まして大日本帝国の軍隊が、一度は侵攻したアジア各国では、腹の中では軽蔑している(らしい)。だからこそ、統一教会には上納金を召し上げられ、自民党政治に介入され、北に市民を拉致され、中国に尖閣列島を実効支配され、露は北方4島を返さない。ようするに馬鹿にされ放題なのだ。
それでも武装強化より先に、できる事と、するべき事があるはずだ。キーワードは国連(および国際機関)である。なのに、拒否権を振り回す、理不尽な大国はともかく、日本までが国連を見捨ててどうするというのか。
しかしこう書くと、青臭い左翼の観念論だと思われる恐れがあるので、私なりの自衛のコンセプトを述べたい。
順序として、国際紛争の兆候をキャッチしたら、まず相手国と話し合う。これは当然だ。それでも相手国が話し合いに応じない場合、或いは法外な要求(トランプやプーチンのように)を突き付けられた場合は、国際組織(国連、国際司法裁判所、その他)に提訴し、調停を依頼することになる。第三国に頼めば借りが出来るので好ましくない。
紛争解決に武力は用いない。但し、緊急の攻撃があった場合は、公海上での抑止(迎撃)を含め、自衛手段を行使することを否定しない。いや正確に言えば、否定しないではなく、否定できない。国際紛争の解決手段として武力を用いないという憲法の「理想」とは矛盾はしていないと思うが、武装放棄の理想とは相いれないかもしれない。それでも、憲法は自衛の戦闘を否定していないという解釈が重要である。ロシアに突然侵攻されたウクライナが大国を相手にここまで踏み留まれたのも、ウクライナに戦闘能力があったからだ。
ガンジーのような無抵抗主義で平和を説けば、外国は攻めてこないと思うほど、私もノー天気ではない。右の頬を叩かれたら、相手の頬も叩くしかない。即ち、必要最小限度の防衛装備(威嚇の目的もある)を必要悪として持つしかないと考える。但し厳重なシビリアンコントロールが大前提となる。
一旦装備を持つと決心した以上、抑止効果のない装備はあっても費用の無駄遣いだ。人道的(?)、かつ効率のよい武装を、最小限装備し、いつでも正しく使えるよう自衛隊は訓練しなければならない。これは非武装中立ではなく、武装中立だが、あくまで自衛以外の戦闘は考えない。
更に武装より重要なのは最先端の情報収集技術である。誰よりも早く侵攻(地球上全ての)を探知できる体制を整え、侵攻を受ける国と国連に警告を行う。また軍人でも民間人でもない部隊を設置し、世界中にスパイを放つ。
とりわけ外国同士の戦争には、一切関知してはならない。人道の危機がある場合のみ、国連のPKO活動に参加する。
以上だが、コメントの方が長くなって失礼。
社説全文:
https://www.asahi.com/articles/DA3S16182932.html?iref=comtop_Opinion_04
関連記事:米から防衛費増額要求なく、政府安堵。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6533958
2738.エンゲル係数 4.2
今回の前書きはサンデー毎日(4.13)から。しかし何の関心もない大学合格者数の特集で770円は詐欺ではないか。
牧太郎の青い空白い雲「一日一食の高齢者が増えて…エンゲル係数なんてアテにならない」から
(前略)
エンゲル係数をご存じか?家計の消費支出全体に占める食料費支出の割合を示すものだ。昨年は28.3%(2人以上世帯)。1981年以来の高水準を記録。身近な食べ物が異常に値上がりしている。キャベツは普通の3倍になり、ハクサイも2倍…コメは5キロ4000から5000円…。エンゲル係数が高くなるのは当然だ。
最近「年金募らし」の年寄りが「一日一食」に追い込まれている!と聞かされた。同い歳(80歳の友人に聞いてみると、毎月15万円の年金受給額だけで暮らすのは至難の業。家賃、光熱費、社会保障、医療や介護の自己負担分などを差し引くと手許に残るのが1万円弱。満足な食事もできない。
「じゃあ、どうするんだ?」と聞けば、「一日一食にする」。
定期的に福祉団体などが慈善事業の一環として行っている「食料支援サービス」を活用しているそうだが…。「我々一日一食組が、エンゲル係数の上昇をかろうじて止めているんだぞ」と笑った。
確かに「エンゲル係数28.3%」は正確ではないような気がする。「一日一食組」を勘定に入れれば、 本当のエンゲル係数は30%を超えているのではないか?エンゲル係数は時代を反映する。例えば、第二次世界大戦直前のエンゲル係数はおよそ30%。敗戦で日本中が貧乏になってエンゲル係数は何と約60%。昨年は「戦争直前の貧乏」に似ているようだ。
この4月、物価高はさらに進む。
備蓄米が流通してもコメの値段は上がる。自宅近くのスーパーの店員さんは「4月からコメは値上がりし95月に在庫がなくなる!との連絡を本部から受けた」と話す。 まさかコメが食べられなくなる?
(以下略)
コメント:我が家はかろうじて3食だが、昼食はカップ麺。それより大戦前と同じ状況というのがどうにも気にかかる。何かとんでもないことが世界中で起きているのに、それに気が付いていないだけなのか。
関連記事:月収20万、それでも年金全額カット。
https://www.asahi.com/articles/AST300VNYT30USPT009M.html?iref=comtop_7_06
関連記事:安く買いたたかれた自宅。高齢者狙う押し買い。
https://www.asahi.com/articles/AST3X22N9T3XULZU001M.html?iref=comtop_7_01
コメント:年金は削られ、詐欺師のカモにされ、玉木や成田に早く死ねとののしられる。最悪の逆差別。最近の若者は人の命よりカネらしい。それを拝金主義というのだよ。教養も理念もない君たちには分からんだろうが。しかもそれ(領土或いは富)は世界大戦の動機にもなり得る。
次は川柳で詠む「永田町生き物劇場」葉月亭遊人から2件
「フェイクまで言い始めたぞ玉木節」
国民民主党の躍進はたまきチャンネルのおかげ、と周りがチャホヤするから、最近の発言は調子に乗って度が過ぎる。「高額療養費」問題で「外国人がわずか90日の滞在で数千万円の高額療養費制度を受けられる」と▼でも実際は20 22年から1年間の高額療養費支給額9606億円のうち、外国人への支給額は約1%の111億円。わずか1%をもって外国人がブッたくっている」というフェイク▼こんなことも言っている。「社会保険料を下げるために尊厳死を法制化する。そうすれば医療給付が抑えられ、消費が活性化し給料も上がる」。早い話が若者へのウケ狙い。〈外国人が悪い〉〈年寄りは早く死ね〉ってそんな支持層を集めてどんな政治をやるつもりか。
コメント:見た目通りのお馬鹿さんの地が出たまでのこと。国民の知性が上れば自然淘汰される人物。成田祐輔が高齢者は自決しろと言った。おなじ理屈。高齢者=富裕層だとどこに書いてあるのか。若者の憎悪の向け先は、企業の富を独り占めし、しかも税制の優遇迄要求する会社の役員、或いは不労所得層でないとおかしい。
「商品券よりもびっくり ミオ公認」
いや、驚いた。というか呆れたよ。石破自民党に。だって、あの人権侵害の常習犯にして、多額の裏金がバレて総選挙での立候補辞退に追い込まれた杉田水脈が、参院選の自民党公設候補になっちゃったんだから▼杉田といえば、安倍元首相もお気に入りだった、いわゆる党内保守派。アイヌ民族や在日コリアンヘの差別発言が法務局に「人権侵犯」と認定されただけじゃなく、女性やマイノリティーへの差別的言動を繰り返しているのは周知のとおり▼ところが、そんな人物に「強烈な違和感」を持っているはずの石破首相が、なぜか参院選の比例公認候補にしちゃった。きっと「岩盤保守府」の票狙いなんだろうが、その分、まともな保守府の自民党離れは確実だよね。
コメント:眼を見れば狂っていることが分かる。これは誹謗中傷ではない。客観的事実だ。
2739.首相談話なし 4.3
今回の前書きは朝日新聞(4.3)社説です。
「戦後80年 歴史の教訓 首相談話で」
第2次世界大戦後の国際秩序が大きく揺らぐ中、日本は戦後80年の節目を迎える。
国策を誤り、国民を存亡の危機に陥れ、アジアをはじめ諸外国の人々にも甚大な被害を与えた歴史の教訓を改めて思い起こし、平和国家としての誓いを新たにすることには、今日的な意義がある。
石破首相は、首相個人としてのメッセージなどではなく、過去3回の節目と同様、閣議決定した「首相談話」の形で、内外に日本の姿勢を明確に示すべきだ。
戦後50年にあたる1995年の終戦記念日に、時の村山首相は、日本の「植民地支配と侵略」について「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明し、国際協調を通じて平和の理念と民主主義を広めるとした談話を発表した。戦後60年には小泉首相、戦後70年には安倍首相が、それぞれ談話を公表している。
戦後80年となり、実際に戦争を体験した人が少なくなる中、首相は繰り返し、先の戦争の「検証」の重要性を指摘してきた。有識者による私的諮問機関を設ける意向だというが、閣議決定を伴う談話は見送り、個人としてのメッセージを出す方針だという。
自民党内には、安倍談話によって戦後の「謝罪外交」に区切りがついたとして、新たに談話を出すことに否定的な意見が根強い。政権基盤の弱い首相は、党内に亀裂を招く事態を避けたいのだろうが、あまりに内向きで、大局観を欠く判断と言うほかない。(中略)
政府はこれまで、先の戦争を自前で総括することをしてこなかった。首相が今回、正面から検証に取り組むというのなら評価したい。首相談話を出さずに済ますための方便にしてはならない。
また、本格的な検証となれば、短時日で結論を得ることは難しかろう。終戦記念日の首相談話とは切り離し、期限を区切ることなく多角的な検討を加え、後世に残る成果をめざすべきだ。
全文:
https://www.asahi.com/articles/DA3S16185795.html?iref=pc_rensai_long_16_article
2740.自由の女神を返せ 4.4
今回の前書きは週刊文春(4.10)から3件です。
「解散命令でも合同結婚式強行、統一教会が始めた新霊感商法」
(前略)
日本の献金ノルマはアメリカの十倍以上ともいわれるので、百五十億円以上のノルマが課されていてもおかしくありません」(元信者)
これまでも日本の信者たちは、清平で行われる数々の行事や施設建設に多額の献金を強いられてきた。
「霊界で苦しんでいる祖先を解放するという名目の先祖解怨は、両親の家系をそれぞれ四百三十代前までさかのぼって供養することが求められます。一世代二十年としても、縄文時代の祖先。夫婦なら四つの家系について行う必要があり、諸々を合算すると、およそ千五百万円が必要になります」(同前)
さらなる資金集めのため、教団は新霊感商法を生み出した。昨年以降、盛んに行われている「中心霊分立摂理」だ。
「人の体のあちこちに、あらゆる病気と苦難を誘発する中心霊が取り憑いている。これを見つけて、取り祓うという儀式です。誰でも最低十三種類の中心霊に取り憑かれていると言われていて、それぞれのお祓いにお金が必要です。日本人信者の場合、中心霊一体につき二万円ですから、十三体で 二十六万円。高額献金が問題視されたあとに発案されたので、低めに設定されている。とはいえ、中心霊は、一度祓ったとしても、体の中を移動したり、別の楊所に新たに現れたりしますから、際限なくお祓いのお金が必要になる」(現役信者)
(中略)
韓国の法律では、賄賂を約束、供与、又は贈与する意思を表示した者の他、目的を知った上で金を提供した者にも五年以下の懲役、又は二千万ウォン(約二百万円)以下の罰金が科される。
「今年三月には京畿北部警察庁が関係者を召喚したようで、捜査は水面下で進んでいるようです」(同前)
解散命令を受け、日韓それぞれの統一教会に今後の方針を尋ねたが、いずれも期日までに回答はなかった。
日本人信者に献金や動員を要求し続ける教団。その行動に、反省の色を見ることはできない。
コメント:反省する訳がない。信者の基本的人権、中でも生存権と、子供たちの思想と信教の自由の侵害、現信者の脱会を封じる事実上の脅迫などで最高裁まで戦うしかない。但し要注意はトランプで、キリスト教原理主義だから、統一教会にメッセージなど送った過去がある。安倍晋三と波長が合ったのもそれが一因かもしれない。
「WeWork」社長をクビにした孫正義右腕の恫喝動画」
AI投資で注目される孫正義氏。その足元を支えるソフトバンクの現役会長が、子会社 WeWorkで暴走していた。社員を「ド素人」と罵倒、社長を「お前」呼ばわり…
コメント:詳しくは本誌をお読み頂きたい。またもや腰巾どもが暴走。私も証券会社から勧められてSBの株を買ったことがあるが、孫の動きに違和感を感じて直ちに処分した。若干の損が出たが、全損よりはましと考えた。その後一切SBの株には手を出していない。今回は孫の部下だが、それでもSBの会長だ。こんな人物がトップで会社が良くなるわけがない。日枝が滅茶苦茶にしたフジTVを見よと言いたい。日本の独裁体制は企業から始まっているらしい。
町山智浩の言霊USA
「アメリカは自由の女神をフランスに返せ」から
「自由の女神を返せ」8月16日、EU欧州議会のフランス代表、ラファエル・ブリックスマン議員は中道左派政党「プラス・ピュブリック」の党大会で言った。
自由の女神像は、1886年にフランス政府からアメリカに贈られた。フランス革命に先駆けてイギリスの暴政に立ち向かったアメリカ国民への尊敬の念を込めて。
「しかし、アメリカは暴君の側に立つことを選んだ」グリュックスマンはトランプ大統領がウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領の側についたことに抗議し、自由の女神を返せと言った。
翌日、ホワイトハウス定例記者会見で、報道官カロライン・レヴィットは言い返した。
「フランスの三流議員は、フランス人が現在ドイツ語を話していないのはアメリカ合衆国のおかげだと思い出すべきです」
第二次世界大戦でナチスドイツに占領されたフランスを、アメリカと連合軍が解放したことを言っている。
もちろんグリュックスマンは反論した。
「その時のアメリカはファシズムと戦った。しかし今は独裁者プーチンの味方で、ウクライナのゼレンスキー大統領を攻撃している」
カロライン・レヴィットは史上最年少27歳の報道官として、失言やウソの数でも歴代最多の記録を更新しているが、この日も「我々トランブ政権は司法省を、法と秩序のために戦うのではなく、法と秩序と戦うために作り直すのです!」と 誇らしげに宣言した。
え? 法と秩序と戦うの?
それは失言でも冗談でもなかった。トランプとその司法省は、裁判所を攻撃し始めたのだ。(中略)
レヴィットはトランプの報道官として完璧だ。
無知と暴言、冷酷さが。17日の記者会見では、エルサルパドルに送られる移民たちが手と足を鎖でつながれたピデオを紹介し、「こんな楽しいビデオに出たくなければ自分で国外退去してくださいね」と微笑んだ。
人を鎖につなぐのが「楽しいビデオ」?
レヴィット報道官は知っているだろうか。自由の女神像の足元に鎖があることを。彼女は鎖を断ち切って、前ヘ一歩踏み出したところなのだ。
自由の女神はニューヨークに設置され、ヨーロッパからアメリカに渡る船が目指す灯台になった。移民や難民を迎える女神の台座にはこんな詩が彫り込まれている。
「彼女の名は亡命者の母…私のもとに送りなさい。疲れた人々、貧しい人々、自由に息がしたい群衆、拒絶された惨めな者たち、嵐に襲われて家のない人々を」
自由の女神も国外退去になりそうだ。
コメント:ところでどのTV局か忘れたが(NHKかもしれない)、レヴィットの特集を放映していた。出産で一時職を離れていたが、トランプが再選されたので責任感に燃え、家庭を犠牲にして復職したという内容だったと記憶している。しかしその実態は上記の通りだ。
レヴィットに限らず、人間、特に女性は見た目ではわからない。全く同じ事が某都知事にも言える。桜井もかなりたちがわるいが、タカイチやミオに至っては言うまでもない。だいいち二人とも目がぶっ飛んでいる。
しかも現在の日本でも、国民の中で女性の右派が急増している兆候がある。女性=平和主義の公式がもはや通用しない。それは右派の雑誌の読者の多くが、女性であることでも分かる。これはかなりヤバイ状況だ。なぜなら理性より感情が先走るから、一度信じ込んだら盲信と暴走が止まらなくなるからだ。
同じ理由で、統一教会に限らず、新興宗教の信者の多くが女性であることも理解できる。一方で統一教会の合同結婚で韓国に嫁ぎ、農村で苦難の生活を強いられているのも日本人女性だ。どこかで踏みとどまることは出来なかったのだろうか。しかも統一教会のお友達安倍晋三(今なら萩生田)の時代ならともかく、日本政府には韓国で困っている日本人女性に助けの手を差し伸べる動きもみられない。彼女たちはいわば韓国の拉致被害者なのにも関わらずである。
無論信者には男性もいるし、日本の政治家、言論界でも、男が足元にも及ばない優れた女性達(上野千鶴子、浜田敬子、田中優子、村薫、吉永小百合等々)がいる事は言うまでもない。今問題にしているのは一般女性の、全体的な傾向である。
一方、以前はアカと愛国主義という構図が、今や右翼が右派と呼ばれ、リベラルが左翼と言われるようになった。それは言い換えれば、国全体が大きく右傾化し始めているということだ。国民民主の躍進、連合の自民党べったり、独裁者知事の誕生など、あらゆる局面で右傾化の兆候を見ることができる。リベラルが弱体化し、排斥され始めている感触がある。平和主義、自由と平等の理念が誤解され、あたかも右翼が中道であるかのように宣伝されることは甚だ危険である。なぜなら右傾化の歯止めの方法が無くなるからだ。
右傾化がなぜ悪いかというと、トランプを見ていれば分かるように、無知と狭量と排他主義で、俯瞰的なものの見方が出来ず、分析や議論を避け、他人の意見には耳を傾けず、狭い自分の知識と経験だけで判断するからである。しかも新興宗教が、その心の隙間に入りこむ。そして、自身の意識の蛸壺に潜り込んで周囲が見えなくなる。無論それは女性、男性に限らない。
右傾化した大衆の価値判断の基準は、あくまで自分にとって得かどうかだ。そこで手っ取り早く、効用を空約束する指導者に引き付けられる。米国のトランプ、日本の国民民主。でも目的は理想ではない、実利だ。そういう価値観は、必然的に大風呂敷の独裁者を救世主と混同してしまう。他国はともかく、自分達だけが豊かになる事に全力を挙げる。それこそトランプの理屈だ。でもそれは言い換えれば、究極の利己主義である。結局民主主義を捨てて、ファシズムに向かうコースをひた走ることになる。レヴィットは正にその具体例と言える。
冷戦時代は、核の過剰保有が、第三次世界大戦を起こさない皮肉なブレーキになっていた。でも今や自国さえ良ければという価値観が、外国を従わせ、或いは外国に侵攻すること江尾正当化し、その先には戦術核の実用化が待っている。言い換えれば、各国の右傾化が、独裁者(トランプ、プーチン、習近平)を生み、その独裁者同士が覇権を争い、とりわけ領土問題から、核戦争が始まる可能性も出てきたと言える。
但しそこにはもう一つのおぞましい解が存在する。それは独裁者同士がお互いの権益を最大限にするために裏で手を結ぶというものだ。無論人民は彼らにとって生産手段、奴隷でしかない。覇権争いにせよ、独裁者の群雄割拠にせよ、民主主義とは無縁の世界を作り出すのは、政治家の質の判断が出来ない、もしくは判断を自ら放棄した蒙昧な国民のポピュリズムだと思うと、人類4千年の歴史と智恵とは一体何だったのかと思う。自然災害もあるだろうが、我欲で身を亡ぼす人類とは、地球の歴史で、一体どんな生物なのかと、やり切れない思いがする。地球史という観点で見れば、人類は繁栄期間が最も短い生物種ということになるのかもしれない。他の種は億年単位で繁栄しているのに、人類は知性を持つようになってからは10万年さえ難しいということだ。
ちなみに人類が価値感も理念も喪失し、精神的に混乱しているこの重要な時期に、まともな宗教は全く機能していないことも問題だ。それも不穏な予感野一因だ。宗教は、もはや宗教ではなく、政治の人集めと正当化の道具に堕している。私は仏教(利他の精神)などが、キリスト教を含む原理主義と真っ向から勝負してくれないものかと思う。それが衆生を救い、結果的に全人類を破滅から救う事にならないとは言えないからである。
もう一つは朝日新聞(4.4)の社説です
「トランプ関税と世界 歴史の教訓思い起こす時だ」から
大国が身勝手に交易の扉を閉ざせば、各国も利己に走る争いの連鎖は止めようがなくなる。その歴史の過ちを一顧だにしない蛮行である。
トランプ米大統領が「相互関税」を発表した。ほぼ全ての国や地域の品目に一律に課税したうえで、多くの国々に対して一方的に算定した高率をかけるという。
抜きんでた超大国が貿易システムそのものを崩壊させかねない異常事態である。大戦後、国際社会の安定役を担ってきた米国自らが、秩序の破壊に動く衝撃は大きい。
この独善的な米国の動きに各国が反発と困惑を深めるのは当然だろう。だとしても、国々が個々に対抗して貿易戦争に陥れば勝者はいない。
日本や欧州など主要国は冷静かつ毅然(きぜん)とトランプ政権に再考を促すとともに、保護主義の拡散を防ぐ協働を強めなければいけない。(中略)
トランプ氏は、関税が自国産業の再生に役立つとするが、実際には米国民の負担増は避けられない。輸入品のコストは上がり、インフレが再燃する恐れが強い。報復を考慮すると成長率を2%以上押し下げるとの試算もあり、米国経済がマイナス成長に転落する可能性も指摘される。
世界経済への打撃はさらに深刻だ。中国や欧州連合などは早々に報復措置を打ち出している。貿易量の急減により、世界景気が腰折れするリスクが高まる。
米国は、国際的な共通規範をめざす世界貿易機関(WTO)への拠出金も一時停止しており、さらなる空洞化が懸念される。活発な貿易を通じて世界全体のパイを拡大し、互いに利益を享受するという国際社会の営みが危機に追いやられている。
(以下略)
コメント:ここまでくれば、トランプに逆らっても失うものはない。石破よ、不信任が出る前に言いたいことを言え。そこを間違ってトランプにすりよりでもしたら、取り返しがつかないことになる。