「オンライン・オピニオン」


忖度と憲法
橋下批判
赤帽大臣
トランプと安倍の共通点
石丸が名誉棄損
AIと民主主義
知性も教養もない富裕層
トランプ過激化の背景
憲法を破壊するトランプ
野田はナルシスト


2751.忖度と憲法 4.20

今回の前書きは朝日新聞インタビュ−「憲法 生死の分かれ目」憲法学者駒村圭吾から
『忖度政治に現れた抑圧と奉仕の宿痾 蘇生に動く司法』
(前略)
「容易に克服しがたい宿痾は今なお残っています。政治学者の丸山眞男が1946年に 発表した論文『超国家主義の論理と心理』で指摘した問題です。権力を持つ上位者が、道理に合わないことを順次下位の人たちに押しつけていくことによって秩序を維持するというゆがんだ精神構造を、丸山は『抑圧の移譲』と呼びました。戦後 しっかりと残存している」

「丸山はまた、政事という言葉に注目します。それは『まつらふ』こと、つまり下から上への『奉仕』という意味があり、上から下への支配と同時に、下から上への『奉仕の献上』が日本の政治の底層にあるというのです。安倍政権下で、上からの『抑圧の移譲』と下からの『奉仕の献上』という、日本の精神的権力構造が抱えている『宿痾』が『忖度政治』として現れたのです」

?具体的には?

「『抑圧の移譲』の恐ろしいところは、下に行けば行くほど抑圧の度合いは大きくなる。一方で上は、『そんなつもりはなかった』という意識でいる。責任が雲散霧消するのではなく、弱い一点に集中的に注がれることになる。森友学園の国有地売却問題で公文書の改ざんを強いられた近畿財務局職員の赤木俊夫さんの死は、21世紀になって も続くこの『宿痾』を告発しているのではないでしょうか」

(中略)
「こう考えますと、戦後私たちは、『個人の尊重』憲法13 条)を基軸とした社会を目指したはずなのに、80年を経た現在地は、それとはかけ離れていると言わざるをえません」

『学問・報道の独立 横のチャンネル 市民の復権が重要』

コメント:憲法を無理やり捻じ曲げようとした安倍晋三には岸伸介の怨霊が取り付いていたとしか考えられません。こうまで右翼思想と権威主義を叩きこんだ親の顔を見てみたいものです。

関連記事:安倍昭恵が台湾で講演。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6536013
コメント:個人としての行動なら文句を言う筋合いではないが、元首相夫人の立場での講演なら少々問題だ。なにより、自分が関係した学園の土地取得の不正が原因で、官僚が一人自死しているという特殊な事情があるからだ。未だ自分は無関係と言い切るのは早過ぎるだろう。講演の内容が分からないので、これ以上は何も言えないが、節度ある行動を望みたい。ついでに、余計なお世話であることを重々承知の上で申し上げれば、子供でも居たら、もっと暖かい家庭になり、2人ももっと豊かで幸せな人生を送り、極右に走ることもなく、普通の日本人の暮らしや価値観も理解できたのではないか。


【注目記事】

・夢洲。続発するトラブルは、大きな事故の前兆か。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a4438d935ebbdd27d1ed099e6d4a72a657cbe75
コメント:別に大事故を期待している訳ではない。しかし橋下のドヤ顔だけは許すことができない。知らぬ顔で同時進行中のIRの工事をどう説明するつもりか。ベガスに行ったことがあるのかどうか知らないが、カジノでの遊び方も知らない人間に、ギャンブルを宣伝する資格はない。賭博をすれば自治体が儲かるくらいの気持ち(儲かるのはカジノの事業者だけだ)だろう。もし賭博が善であるのなら、なんでオンラインカジノがこれほどの大問題になっているのか。政府と橋下に説明を要求したい。




2752.橋下批判 4.22

毎日のように情報を集めて、読みちらし、また書き散らしていると、著名人にも好き嫌いが出て来ます。関心のある人物の言動をメディアを通して見ていると、誰も表立って指摘しないけれど、やはりそれは違うだろう、それはおかしいと思うことが結構出てきます。当人と接点はないし、お互い一生見知らぬ仲で終わることも分かっています。インフルエンサーなどではない無名の私の批評など痛くも痒くもないでしょう。なので、目立つ人間には、称賛もあれば、非難もある(これを毀誉褒貶と申します)。それがネットハラスメント(=誹謗中傷と妬み)の大元ではないかと思います。

今日の人物批評は、御馴染みの橋下徹氏です。見た目では今どき流行らない刈り上げ頭が気になるが、むしろ問題は右傾化で凝り固まったその中身です。万博に50万人きたぞ、兆を超える経済効果が出るぞと大はしゃぎを始めた。でもそれが言えるのは、逆風の中でも、もうしばらく様子を見て欲しい、いざ開幕すれば必ずプラスの効果があると言って、国民に頭を下げてきた人間(そういう奇特な人がいればですが)だけでしょう。ところが橋下はそうはせずに、小ずるく立ち回って、万博とは距離を置いていたように感じます。

彼の論調でまず言えることは、その傲慢さです。究極の上から目線です。泉房穂との討論でも、失礼は度を超えていました。謙虚さのかけらもないということは、分かりやすく言えば、何様のつもりかという事です。年齢相応の分別が欲しい年齢だし、小僧でもあるまいし、突っ張るのは良い加減にした方が良いのではないでしょうか。しかも安倍の存命時には、見ている国民が恥ずかしくなるほど、安倍にすり寄っていた、その姿が忘れられません。

ところでもう一人は女性で、安倍昭恵氏です。さすがに人が悪いとは思いませんが、申し訳ないが、人並みの想像力と配慮があるようには、少なくとも私には思えないもです。一時、夫の立場を離れた独自の見解を持ち出して、期待もしたのだが、その後の展開はありませんでした。森友学園の名誉園長になった時から、本人の運命も財務省の運命も、何より籠池夫妻と赤木夫妻の運命が大きく変わりました。無論悪い方にです。配偶者を凶弾で失うというのはそうある経験ではありません。でもそれは統一教会のアコギな集金方法によるものです。しかも統一教会は未だに裁判で争う姿勢です。拳銃を撃ったのは犯人にしても、引き金を引かせたのは統一教会なのです。問題の根は、岸から続く安倍晋三の統一教会とのズブズブの関係にあり、それが犯人が安倍晋三を標的に選んだ理由なのです。

但しもう一つの大きな問題が森友学園です。たらればですが、仮に安倍昭恵が名誉校長でなければ、晋三が国会で大見えを切ることもなく、公文書改竄の問題も起きず、従って佐川から理不尽な命令が部下に下されることもなく、赤木氏も命を落すこともなかったでしょう。無論、昭恵に直接の責任はなく、周囲が忖度で動いた結果だが、それにしても、常識のある一般市民なら、同じ立場に立たされたら、相当に落ち込む場面です。それがあまり感じられないことが不思議なのです。自分という存在が、日本の政治史に、余り芳しくない1頁を付け加える事になったという点を、記憶しておいて欲しいと思わざるを得ません。

森友事件で感じる事はもう一つ、それは財務省という役所の存在です。森友学園では、国有地を安売りすることで国民に大損をさせたのに、その意識が感じられない。時の総理に、恥をかかせるわけにはいかないという一念だけが伝わってくる。だから国民に対する謝罪も反省もない。だって仕方がないじゃないかという開き直りしか見えない。無論、財務省の態度は、当時の財務大臣が、ゴーマンが背広を着て、中折れ帽子を被って歩いているような御仁だということとも大いに関係があることでしょう。

ついでに言わせて貰えば、週刊誌などでは、野田佳彦は財務省のいいなりの人形だと書かれています。官僚の下働きのような人間が、野党第一党の党首というのはどう考えても納得できない。ならば財務省は、政権が与野党どちらに転んでも問題がないという異様な政治環境が存在するのです。だから誰も(特にメディアは)財務省を批判しない(ザイム真理教の森永は亡くなった)。しかも野田の体質は、石破より更に右寄りで、権威主義的です。

与野党の批判能力に問題がある以上、財務省は自浄の機能を持つ必要があると思います。例えば、財源が不足気味になったら、「身体を張って」防衛費の削減を政府に要求するなどです。誰のための行政かって?無論国民の為の行政です。政府のためでも、省庁の為でもありません。省益しか念頭になかった役所が、国民の立場と目線で判断をするようになった時に、初めて官庁の中の官庁が生まれるのです。



2753.赤帽大臣 4.23

今回の前書きは朝日新聞(4.22)天声人語からです。

[天声人語]
あの赤い帽子のことである。
ホワイトハウスが公開した写真を見て、考え込んでしまった。トランプ氏の唱えるスローガン「米国を再び偉大に」と書かれた野球帽をかぶって、両手の親指をたてる日本の経済再生相の姿である ▼かつて外交官の友人が教えてくれた。外交には「三つの目的」があるという。 順不同でいえば、国民の経済的な利益を守ることが―つ。多くの日本企業が頭を抱える米国の関税措置に対し、是正を求める今回の交渉はまさにそれだろう▼もう一つは国民の生命や財産を守ること。安全保障上の意義と言い換えてもいい。先日の会談でも、在日米軍の駐留経費が俎上に載せられた。対米関係において、通商はときに防衛問題に直結する▼さて三つ目である。友人は朗らかに言った。「ああ、この国の国民でよかった。そんな誇りを感じてもらうのも大事です」。目先の利益に目をつぶっても、人権を説いたり、平和を訴えたり。国民が誇りを覚える外交は、長期的な「国益」にかなうというのだ▼帽子の写真を見て、そんな友人の言葉を思い出した。国益といった表現を安易に振りかざす危うさは分かっているが、ひとこと言わずにはいられない。帽子の下の乾いた笑顔に「格下も格下」という阿諛のにおいを感じるからか▼交渉事には「韓信の股くぐり」が必要なときがあるのは理解する。毅然たる態度を、と肩を怒らせて批判するつもりもない。でも、いや、しかし。いくつもの逆接が頭をめぐり、離れない。

コメント:強者にへつらう者は、自分より「格下」の者にはパワハラで当たる。あたかも意趣返しのように。実際、赤澤のパワハラは悪名が高い。しかしこのざまでは、誇りに思うどころか、日本人のプライドはぺちゃんこだ。帽子はやむなく被ったかもしれないが、親指(同意のサイン)は立てるべきではなかった。将来民主党の政権になったらどうするつもりか。正に国辱ものである。こんな調子では現地でどのような交渉(もしくは約束)をしてきたのか背筋が寒くなる。しかもトランプは人心掌握の達人だ。日本の木っ端議員がまともに太刀打ちできる相手ではない。英語の問題もあるだろう。掌で踊らされた挙句、ハイそれまでよである。
非常識だから、いずれ転覆が免れないトランプの泥船に乗って、一緒に沈みたくなければ、今からでも距離を置くことだ。赤澤に言いたいのは写真が世界中に出回った時に、トランプの宣伝だけでなく、同時に自分の赤恥(まさに)を世界中に晒す事になるということだ。しかもそこには日本の政治家というものはこの程度だという、暗黙の注釈が付くことだろう。メディアでも、なぜ茂木では無かったのかという意見が多い。石破のミスキャストであり、この件でまた一歩解散に近づくことになる。
ちなみに逆接とは、前の文の内容と反対のこと、または前の文から予想されることとは異なることを述べるときに用いる表現。接続詞や接続助詞を使って、前の文の内容と後文の内容が対比される、または予想を裏切るような関係を示す場合に用いられるとのこと。分かりにくい説明だが、私も初めて知った。逆説の方ならしょっちゅうお目にかかるが。



2754.トランプと安倍の共通点 4.24

今回の前書きは、サンデー毎日(5.4-11)からコラムを2件です。

青木理のカウンタージャーナリズム「思慮なき為政者の共通点」から
あまりに破茶滅茶な「外交」や「関税」政策ばかりに注目してしまいがちだが、米メディアを眺めていると、再執権した異形の米大統領は足下でも論外の破茶滅茶を続けている。特に露骨な攻撃を加えられているのが、まずは科学や科学者、大学や研究機関である。
 ご存知の通り、異形の政権下の米国ではいま、大統領お気に入りの富豪が音頭を取って政府予算や人員の削減などが猛烈な勢いで進められ、米国際開発局(USAID)の混乱などは日本でも伝えられた。広く対外援助などを担ってきた組織の混乱は世界中に重大な影響を及ぼすから当然ではあったが、予算や人員の削減対象はこの程度にとどまらない。
 たとえば感染症対策などを担う米疾病対策センター(CDC)、同じく感染症や医学、生命科学研究を担う米国立衛生研究所(NIH)、さらには気象や海洋調査などを担う米海洋大気局(NOAA)や宇宙開発などを担う米航空宇宙局(NASA)等々も大幅な予算や人員削減のターゲットとされ、現場には大混乱が広がっている。
 また、全米各地の大学にも助成金や税免除の打ち切りなどをちらつかせた露骨な恫喝が加えられている。その際に異形の政権が声高に訴えているのが、例によってDEI(多様性、公平性、包摂性)方針などの否定。これに加え、イスラエルによるガザ攻撃への抗議が各地の大学に広がったことにも異形の政権は憤懣を募らせてきたから、教育省を通じて各地の大学に政権の“要求”を突きつけた。
 だが、ハーバード大の学長は公開書簡を発して真っ向から拒絶した。「大学が何を教えるか、誰に教えるか、誰を雇用するか、どの分野の学問を追究できるかについては、いかなる政府も指示すべきではない」と。それに先立ってはノーベル賞受賞者を含む約1900人もの科学者が書簡を発し、政権にこう異を唱えた。「科学の声を封じるな」「我々は政権に対し、米国の科学に対する全面的な攻撃をやめるよう求める」と。
 いずれも至極当然な訴えであり、至極真っ当な態度だと深く頷く。しかし、異形の大統領は意に介さず、ハーバード大には自身のSNSでさらに威圧を加えた。「八―バード大が政治的、イデオロギー的、そしてテロリストに触発された“病”を推し進めるなら、大学は免税資格を取り消され、政治団体として課税されるべきだ」と。
 心底うんざりするが、同じような攻撃はメディアにも加えられている。「メキシコ湾」の名称を「アメリカ湾」に変更するーそんな馬鹿げた政権決定に従わず、従来通りの表記を続けたAP通信に大統領執務室などでの取材を禁じた一件は、AP側がその撤回を求める訴訟を起こし、今月に入ってワシントンの連邦地裁が「報道の自由を保障する米憲法に違反する」との判断を示した。
 だが、これも異形の大統領は一向に懲りていない。APをめぐる判決のわずか数日後、今度は米CBSテレビの名物番組「60ミニッツ」が自らに気に食わぬ報道をしたと憤懣を爆発させ、またも自身のSNSに堂々こう書き散らしたのである。「彼らは“ニュース番組”ではなく、“ニュース”を装っているだけの政治工作員だ」「彼らは免許を剥奪されるべきだ」
 またも心底うんざりしつつ、ふと既視感のようなものを覚えたりもする。そう、かつて我が世の春を謳歌した「一強」政権の振る舞いと、いずれの点でも相似形では
ないか。科学や学術の独立性に怨嗟の眼を向け、意に沿わぬ日本学術会議の会員任命を拒む。自らを批判するメディアにあからさまな攻撃を加え、政権の総務相は「電波停止」に堂々言及するー。
 もっとも、片やは衰えが目立っても世界の覇権国、片やは所詮極東の島国、世界に与える悪影響に雲泥の差はあれ、思慮と謙抑さに欠けた為政者の思考回路と振る舞いはさして違わないのだな、と感慨に耽ったりもする。だから両者のケミストリーが合ったというのも、まんざら誇張でも嘘っぱちでもなかったのだろう。

コメント:無論言わずと知れたれ安倍政権のことである。カルト【安倍が統一教会、トランポウが福音派】デモ同じ。トランプのしている事は常識と教養を備えた中間層と、労働者階級(及び福音派)を明確に分離し、その分断の溝を思い切り広げている。分断して米国が偉大になれるのだろうか。答えて欲しい。トランプ?は映画にもなった新南北戦争(シビル・ウォー)でも起こしたいのだろうか。
トランプの支持率は下がってはいるものの、未だに40%はあり、支持者にその理由を尋ねると(TV報道)自分達の代わりに戦ってくれるからというものだった。でもIT長者(及び富裕層、支配階級)が振り回す人員整理に労働者が含まれないと誰も約束していない。口先だけの(リップサービス)しかも矛盾だらけの約束を雨あられとバラまいているだけではないか。労働者に本当に必要なものは、偽物の英雄ではなく、新市民革命であり、都市型人間性の回復運動(ルネッサンス2.0)なのである。

牧太郎の青い空白い雲「特別会計の闇を指摘したみのもんたじゃないけど、財務省デモに!から
 「衝撃!特別会計の闇を暴露したみのもんたは、財務省に消されていた……」という動画がネットで話題になっている。
 みのもんたがテレビ朝日系の「報道ステーション」にゲスト出演したのは、2016年3月末日。一部から「偏向している!」と批判され、番組から降ろされる古舘伊知郎キャスターの「最後の放送回」だった。みのもんたは突如、「特別会計の闇」を取り上げた。「表の国家予算である一般会計に対して、裏の予算の特別会計がある。何に使われているのか?この闇を公認会計士を10人雇って精査すべきだ!」と主張した(例えば、24年度の予算は一般会計112兆717億円。特別会計は約4倍の436兆円)。
 思い出した。この番組で12年間、キャスターを続けた古舘さんは「情熱をもって番組を作れば多少、番組は偏るんです!」「私は今、こんな思いでいます。『人の情けにつかまりながら 折れた情けの枝で死ぬ』。『浪花節だよ人生は』の一節です。死んでまた再生します!」と話していた。感動した。
 多分、“古舘十みの連合軍”は財務省(つまり日本国)の最大のタブー「特別会計」を取り上げたかったのだろう。これが原因かどうかは分からないが、その後、みのもんたは「次男の不祥事」で番組から消された。この頃、みのもんたと東京・浅草で「すき焼き」を食べた時、彼は「司会者という仕事は孤独なんだ」と話していた。
 今冬から財務省前で減税や積極財政を求める「財務省解体デモ」が続いている。生活が苦しくなった元凶は、財政出動をせず、減税をしない財務省!という主張。最近は財務省前だけでなく、地方庁舎にもデモが拡大しているらしい。
 反財務省の抗議デモは以前にもあったが、今回はちょっと違う。経済評論家の森永卓郎さん(故人)が著書を通じて広めた「ザイム真理教」というフレーズが影響している。財務省は財政再建路線をまるで「宗教の教義」のように仰ぎ、政治家やマスメディアへ布教する。財務省はインチキ宗教だと言う!分かりやすい。深刻なのは……今までのデモは「反権力」だったのに、今回はイデオロギーと無縁な「生活路線」であることだ。この30年、経済成長率はいっこうに伸びず、われわれの賃金はまったく上がらない。生活ができない!のだ。
 ともかく、税金が多すぎる。働いたら所得税、買ったら消費税、持ったら固定資産税、住んだら住民税、飲んだら酒税、吸ったらタバコ税、乗ったら自動車税・ガソリン税。起業したら法人税、死んだら相続税、贈ったら贈与税……。このほか社会保険料、NHK受信料まである。しかも「退職金税制の見直し」までもくろむ。退職金2000万円で101万円の増税?
 俺だって、財務省解体デモに行きたい!

コメント:私も行きたいが目的は異なる。まず財務省は消費税を既得権にしないで、柔軟に運用せよ。今は消費税を下げる時だ。その代わり金利は維持せよ。インフレになったら、庶民の資産など吹っ飛んでしまう(紙切れになる)からだ。景気が良くなったら、また消費税を上げれば良い。それと国の借金を増やすだけの赤字国債の発行は、もういい加減やめようではないか。


【注目記事】

・備蓄米入札開始。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6536401
コメント:コメの流通を市場に委ねると、おかしなことが起きることが証明された。食料安全保障面での大きな懸念事項だ。政府が必要に応じて米価に介入できる仕組み作りが必要な段階に来ている。物流に関しては、農協→卸売り業者でなく、商社の物流網を活用できないか。即ちコメの流通経路に商社も加えてはどうか。

・トランプ、FRB議長解任せず。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250423/k10014787011000.html

・全米170超の大学のトップがトランプ政権の干渉拒否。
https://news.yahoo.co.jp/articles/380d33016780d4079093f70cf1f91aae56b6ebac

・万博。駅に滞留4千人。
https://www.yomiuri.co.jp/expo2025/20250423-OYT1T50077/
関連記事:早く帰りたい。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6536375
コメント:橋下は何とか言ってみよ。

・万博来訪者100万人突破。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6536419

・万博費用13兆円の矛盾。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d30b02fb2fd66fd759592de2e6db6eacda4672e3
コメント:なんでもかんでも万博の費用にして、直接関係のない事業を推進。



2755.石丸が名誉棄損 4.25

・石丸が市議の名誉棄損。
https://mainichi.jp/articles/20250424/k00/00m/040/136000c
コメント:石丸や斎藤のような、特に我々中高年とは価値観が全く異なる、常識も正義も通用しない新人類の暴走を、どうすれば阻止できるのだろうか。彼らこそ、昔良く言われた宇宙人そのものではないか(まさに宇宙人の侵略)。鳩山由紀夫はそれでも国民ファーストだったが、令和の宇宙人は徹底した自分ファーストだ。実際、評論家は日本のトランプと呼んでいる。自己犠牲、おもいやり、協調などという言葉は、彼らの辞書にはない。反省も感謝もない。ひたすら攻撃あるのみ。地球の常識が通じない、異世界の住人。爬虫類と人間のハイブリッド。おそらく橋下徹がそういう自我肥大(もしくは自己正当化)モンスターの第一号かもしれない。他人が何と言おうとも、いつでも自分の方が正しい。なぜならそう言っているのは自分だから。これはひろゆきの論破にも言える。我々はそうした論法を屁理屈、もしくはこじつけと呼んでいる。

・共産、党首討論に参加できず。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6536458
コメント:悪質な差別。



2756.AIと民主主義 4.26

今回の前書きは朝日新聞(425)インタビュー歴史家ユヴァル・ノア・ハラリです。以下のサイトに抄訳がありますが、重要な内容はその後にあるので、部分的にかいつまんで紹介します。

『AIは民主主義の脅威? 大量の偽の人間が対話に入り込み合意形成に影響』から
(前略=前半は以下のサイト参照)
https://www.asahi.com/articles/AST4S1CLMT4SUCVL017M.html?iref=pc_opinion_top

「ーつが帝国主義です。農耕社会は自国で必要なものを育てるだけなので小規模で済みます。しかし産業は、製造するための原材料が必要で市場が必要です。だから、それらを提供してくれる大帝国を持つ必要があると考えられ、帝国主義の波につながりました。帝国がなくても豊かな産業社会を築くことができると気づくまでには何十年もかかりました。同じような過ちとして、産業社会を築くためには全体主義体制が必要と考えたことがあげられます。産業社会においても自由民主主義を築くことができると理解するのに長い時間がかかりました。これらは新技術に適応することの難しさを示しています」 (中略)

「人類の力は、個々の知性からではなく、大規模な協力によって生まれます。月へ行くにしてもワクチンを開発するにしても協力に依存しています。この協力のためには情報が重要です。民主主義を可能にしたのも新しい情報技術です」

ーどういうことですか。

「民主主義とは対話による合意形成です。しかし何百万の人が何千キロにわたって広がっている状態では対話は難しい。だから大規模な民主主義はなかなか生まれませんでした」

「しかし、新しい情報技術が生まれ、新聞を皮切りに、その後ラジオやテレビ、そしてインターネットが登場します。それにより、広い範囲で人々が対話することが可能になった。外交政策や経済政策を議論できるようになった。これで多くの人や組織が意思決定に関与できるようになったのです。しかし近年、この人間同士の対話にAIなどのエージェントが大量に入り込み影響を与えている。『偽の人間』によって民主主義の土台が崩されています」

ー権威主義体制では、そもそも対話は必要ないですね。

「民主主義の土台が対話だとすれば、独裁は命令です。権威主義体制では、すべての情報が1カ所に集中し、そこで意思決定が下され、指示として送り返されます。非常に単純です。だから歴史上ほとんどの大規模な社会は権威主義で運営されてきました」

「この情報の流れのほかにも民主主義と権威主義の間の重要な達いがあります」

ーなんでしょうか。

「『自己修正能力』があるかどうかです。権威主義体制では『独裁者は天オで完壁。決して間違えない』という前提があります。本来誰しも間違いは犯すのに、例えばロシアでは誰もプーチン大統領に『あなたは間遮っています』と言えません」

「民主主義では選挙で交代させることができる。自由な報道や学問によって批判することができる。独立した裁判所が間違った決定を覆すこともできる。この自己修正能力のおかげで民主主義国家は、間違いを特定して、修正していくことでより繁栄してきました」

?しかし民主主義は今、魅力を失っているように思えます。あなたは以前からイスラエ ルの民主主義が崩壊の危機にあると訴えてきましたね。

「最大の問題は、政府の権力を抑制する唯一の実質的な機関が最高裁判所しかないということです。イスラエルには憲法がなく、一院制です。連邦制度もありません。国会の多数派がアラブ系市民の投票権を奪う法律を可決した揚合、『民主的でない』として阻止できる唯一の機関が最高裁なのです。それなのにネタニヤフ政権はこの2年間、最高裁を掌握しようとしてきました。最高裁が持つ法律を無効にする権限を奪おうとしています。まだ崩壊はしていませんが、確実に民主主義の危機に向かっています。このことは世界レベルで生じています」(以下略)(聞き手 田島知樹)

コメント:ここではAI云々より、イスラエルが民主主義の危機にあるという指摘が重要です。即ちガザの虐殺を止めることができるのは、トランプが権威主義に加担しているので、イスラエルの国民以外にいないということです。でもどうやれば我々一般市民がイスラエルの国民に働きかけて、イスラエルの政策を変えることができるのか。その方法が見つかれば世界が変わる。無論良い方向にです。



2757.知性も教養もない富裕層 4.30

・二馬力選挙で公平性が失われる。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6537149
コメント:当たり前です。

・減益71%のテスラ。形勢は想像以上に不利。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6537127
コメント:知性も教養もないカネの使い方という表現をすれば、日本でも例がないわけではない。紀Xのドンファン、高Xクリニック、そしてIT成金の前X友作。資本主義の行き過ぎた過熱が生んだ、徒花のような存在だ。社会の役に立っているようには到底思えない。裕福な者は、愚かな金を使い方をしてもなお、冨を積み増し、貧しい者は貧困から這い上がる事はほぼ不可能。そういう社会現象には、倫理観の欠如、とりわけ精神世界の荒廃が背景にある事は、昨今の無差別個人テロを引き合いに出すまでもない。愚かな富裕層は、自分達が知性も教養も十分ではないことを恥じるべきだ(マスクを含む)。粗野で、極度の自我肥大という点ではトランプも立花も同じレベルだ。こんな荒んだ世界を子どもたちに残さなければならないのかと思うと、憂鬱になる。彼らは、死ぬ前に自らの生涯を振り返って見る事はあるのだろうか。そこではカネを取れば後には何も残らない虚しい風景が広がるだけなのに。しかもこの傾向は彼らだけでなく、権力層、支配層全般に言えることだ。それは自分たちが搾取されている事に気が付かない大衆にも責任がある。取り分け、容易に躍らされて犬笛を吹いて同じ弱い立場の同胞のいじめに回るような軽薄な連中は、死ぬ前に一度でいいから自分の人生を振り返って見るべきだ。自分達がお天道様に恥じない生き方をしてきたかどうかを考えてみると良い。

・面白いと犬笛に加担。
https://www.asahi.com/articles/AST4Y21HJT4YPTIL00ZM.html?iref=comtop_7_03
コメント:4/30の朝刊で、朝日新聞が1面と3面で長い説明を書いている。ところが、それでさえ途中で腰が砕けて、立花に気を遣った文面に変化している。国内トップのジャーナリズムにあるまじき報道姿勢である。なぜ誰も正面から、お前は人間のクズだと言わないのか。日本の民主主義、議会政治がコケにされているのに、なぜ誰も抗議しないのか。立花のお陰でどれだけ国民が嫌な思いをしたと思っているのか。



2758.トランプ過激化の背景 5.2

今回の前書きは朝日新聞(5.1)から2件です。

「月刊安心新聞」神里達博 客員論説委員
「極端なトランプ政権、読み解くヒント、支持勢力つなげる終末論」
トランプ政樺が「復活」して3カ月あまり、米国、そして世界はますます混迷の度を深めている。

政権は米国際開発局や教育省などの連邦職員を多数解雇すると発表、政府を混乱に陥れた。かと思えば、ハーバードやコロンビアなどの名門大学への補助金を止め、さまざまな科学研究の予算も大幅に削減した。

また、1798年に制定された法律を持ち出して移民たちを国外に追放、そして、ウクライナのゼレンスキー大統領に対してはロシア寄りの和平案をのむよう、迫っている。

目下、諸外国の最大の関心事は、もちろん関税である。この単語がこれほど激しく世界中を飛び交ったことが、かつてあっただろうか。

それにしても、なぜこの政権はこれほどまでに「極端」なのか。その「原動力」はどこから来るのか。

謎を解くヒントとなる論考が、先月、英国のガーディアン紙に載った。著者は著名な作家ナオミ・クライン氏とドキュメンタリー映画監督のアストラ・テイラー氏だ。「終末論ファシズムの台頭」という題の長い論考だが、全体として、トランプ政権を支える諸勢力は危険な「終末論」的思想で結びついているとして、警鐘を嗚らす内容となっている。その議論の前提と骨格を概説しよう。

トランプ政権2期目の大きな特徴として、1期目とは遮ってIT大手の童要人物たちが政権に接近しているという点がある。起業家イーロン・マスク氏にいたっては、政府の要職に指名されるなど、特に初期は蜜月ぶりが報じられていた。

彼らは「自由至上主義=リバタリアニズム」に親和的で、優秀な人材ならば人種を問わず活躍すべき、という考え方をとることが多い。「テック右派」と呼ばれることもある。

一方で、以前からトランプ政権を支えてきた「ラストベルト」などの岩盤支持層は、キリスト教福音派などの宗教右派の影響が強い。しばしば移民に反対し、反エリート主義的であるとされている。一見するとシリコンバレーで巨万の宮を生み出す「テック右派」とは似ていない。従ってトランプ氏は両者の板挟みになり、政権内に亀裂が生じるのではないか、という声もあった。

だがクライン氏らの論考を読むと それが誤解だと感じるようになる。

まずテック右派に共有されていると言われる「加速主義」について確認しておこう。資本主義は不平等や環境問題など多くの課題を抱える。これに対して小手先の変革は諦め、逆に技術革新や資本主義を加速させることでシステムの矛盾を露呈させ、いわば破壊を通じて社会変革を起そうという考え方が、加速主義だ。

本来、左派的な思想に淵源があるとされるが、最近はもっぱら右派と結びつき、反動的な社会変革を目指すものへと変質しているという。そこでは所得再分配などのリベラルな制度や考え方は、イノベーションや資本主義の邪魔と見なされる。また人間の知性を上回る人工知能(AI) の出現や、先端技術による身体の改変で人類を超えた存在に移行することに、期待を寄せる傾向もある。そして現在の社会システムが被綻した後、強くて優秀な「超人」の時代が来る、来るべきだと、夢想するのだ。

まるで荒唐無稽なSF小説のようだが、確かにテック右派と呼ばれる人たちは、そのような未来の到来を期待し、AIや宇宙開発に積極的な投資を進めているようにも見える。

一方、宗教右派の多くは聖書の内容を文字通り受け取り、世界最終戦争の後に「千年王国」が到来すると信じているとされる。もちろん、それが純粋に信仰の領域にとどまるなら個人の自由なのだが、特に近年の米国共和党政権では現実の政治的なシーンにも、その種の思想がしばしば入り込んでくる。

例えば、かつてブッシュ(子)大統領は「悪の枢軸」という言葉を使った。奇妙に感じた人もいるのではないか。だがその背景には米国が「神の側の国」という前提があり、これは支持層である宗教右派に向けたメッセージだったと解釈すべきだろう。またトランプ氏も、昨年、選挙運動中に銃撃されても助かった理由を「全能の神のご加護」と語るなど、宗教的表現を用いることが多い。

そしてクライン氏らは、テック右派と宗教右派は終末論的なビジョンを共有し、どちらもその現実化を目指していると指摘する。にわかには信じがたい話である。だが、ウクライナやガザヘの対応など、最近の米国の不可解な態度は、クライン氏らの論考を補助線とすると、残念ながら確かに理解しやすくなるのだ。

では、米国は変わってしまったのだろうか。そうとも言えるし、そうではないとも言える。むろん、ハリウッド映画やインターネット、メジャーリーグやハンバーガーは米国の所産だ。一方で、最近の調査でも米国成人の約9割が神または他の「高次の力」の存在を信じると回答、通貨には「我々は神を信じる」と刻印されている。フランスの思想家トクヴィルがかつて看破した通り、やはり米国は宗教的な国なのだ。従って私たちが今、目にしている驚くべきできごとも、実は米国に元々内在していた性質が、極度に肥大化しているという側面もあるかもしれない。

そして、そんな米国と私たちはどう向き合うべきか。本当に難問だが、とにかく彼の国の実像を深く知ることが先決だ。まずは、そこから。

コメント:米国にはそもそもファシズムの素地があると思う。なぜなら日本とドイツにはファシズムの無残な傷跡の経験があるが、米国にはその経験がないからである。即ち免疫が出来ていないのだ。だからどんなきっかけで全体主義に傾き、暴走するか知れたものではない。いくら同盟国でも、日本だけは、ファシズムの片棒を担ぐことがあってはならない。


次は天声人語です。

世論調査は「味噌汁の味見」である。選挙分析に詳しい三春充希さんは、著書『武器としての世論調査』でそう例えてみせた。みそを入れて鍋の中をよくかき混ぜてからすくえば、ひとさじでも正しい味がわかる。かき混ぜずに上澄みをすくっても味見にはならない▼「よくかき混ぜる」のは、世論調査では無作為に対象を選ぶ作業だ。ネット調査のように回答数が多くても無作為抽出でないと、「かき混ぜもせずに寸胴鍋を持ち上げてゴクゴク飲んでいるようなもの」と三春さんは表現する▼きのう、就任100日で演説するトランプ米大統領を中継で見ながら、混ざっていないスープ鍋を大事そうに抱える姿を想像してしまった。最新の各種世論調査では支持率が軒並み低下したが、「フェイク調査」だという。「正当な調査」なら60〜70%台になるはずだと▼決まり文句の「フェイク」が世論調査へ及んだかと、暗い気分になった。トランプ氏は演説で、支持率が落ちたのは「共和党支持者よりも民主党支持者を多く調査した」からだと主張した。根拠や証拠は示さなかった▼フェイク扱いされたのは、世論調査で実績がある会社やメディアばかりだ。個別の項目をみると、経済関連で特に評価が落ちている。関説政策の影響によるインフレや株安への懸念が反映された結果だろう▼たとえ口に合わなくても民意と受け止め、政策に生かすのが政治家の務めではないか。混ぜない鍋でいくら味見しても、おいしいスープはできない。

コメント:最近やむを得ぬ事情で自分で料理を作るようになった。おいしい味噌汁を作るには、ただ水に味噌を足せばいいというものではなく、まず出汁を作り、味噌は濾さなければいけないということを学んだ。ちなみに、具は豆腐が定番だが、一緒に入れるねぎは万能ねぎが一番良い事も分かってきた。ところでフェイクが蔓延するトランプ政権。平等も公平もあったものではない。敬虔なキリスト教徒ならなぜ嘘を吐き散らすのか。しかも本人の下半身問題一つ取ってみても、信仰を口にする資格などないことは明らかだ。即ちトランプの場合、信仰自体がフェイク(偽物)ということになる。

関連記事:トランプ、就任100日の支持率戦後最低。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6f3652e67609cc073278e14b44d2561560bac92
コメント:コングラチュレーション。アマチュア集団の政権で八方塞がり。

関連記事:米、マイマス成長。
https://mainichi.jp/articles/20250501/k00/00m/020/207000c
コメント:あんな無茶な政策を取れば当然だ。しかも悪い事は全部他人のせいにしている。生まれるべくして生まれた、トランプ政権の悪影響。

関連記事:トランプがまた政敵排除。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6537290
コメント:本人でもないのに。何という狭量。

関連記事:マスク、米政権に別れ。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250501-OYT1T50149/



2759.憲法を破壊するトランプ 5.4

今回の前書きは雑誌「選択」5月号から、トランプ関連の論説を2件です。

「トランプは米国憲法『破壊』を目指す」ヤシャ・モンク ジョンズ・ホプキンス大学教授。

―トランプ大統領の傍若無人ぶりが米国社会と世界を揺るがしています。

モンク 米国は「憲法危機」に向かっている。米国では移民問題について伝統的に連邦政府の権限が強い。トランプ大統領はまず移民問題で司法命令を無視している。これは、大統領が司法制度に背くことを、社会や裁判所がどこまで許容するのか試している段階だ。危険な兆候である。私は、トランプ大統領が州兵を使って市民デモを鎖 圧するような事態を懸念している。州兵は、各州政府傘下の組織だが、連邦政府の二重統制下にもあり、決定的な7司法との対立になりかねない。

ートランプ氏の言動の大元には何があるのでしょうか。

モンク トランプ政権は、政府機関が急進的リベラルの考えを推し進める「ディープ・ステート」の一部であるという考えを触れ回っている。自らの計画にそぐわない大学や企業、官僚組織をこの論理で攻撃し、裁判所に従わないことさえ正当化しようとしている。これはトルコのエルドアン大統領やインドのモディ首相など、ポピュリスト政治家の手法と共通している。問題はトランプがこの論理をどこまで押し通すか、そして、裁判所や議会がどう対応するかだ。たとえば議会には破滅的な関税策を撒回させる権限がある。しかし、共和党が多数を占める議会は、関税や司法の問題について大統領との対立を現時点で避けている。

ー市民の声はワシントンの政治家に届きませんか。

モンク 広範な大衆運動は指導者の暴走を抑えうる。しかし、米国の反トランプデモは現時点で規模が小さく、しかも極端なリベラル勢力に偏っており幅広い市民の共感を得にくいと私は感じるまたトラノウの1期目と比べて、市民の熱気は弱い。過激なトランプに対して野党の民主党も急進的な考えで応えてしまい、支持率を落としている。民主党は断固とした立場を取りながらも、穏健な姿勢でトランプと対峙しながらビジョンや政策を示すべきだ。

ー社会の反発が高まらない理由は何でしょうか。

モンク トランプ大統領の攻撃の一つ―つは多くの人々にとって身近なものではない。記者が会見から排除され、大学の教授が助成金へのアクセスを失い、公務員が解雇されても、庶民の実生活からは遠い出来事だ。劣悪の経済政策は今後、徐々に普通の人々の生活を蝕むだろう。しかし気づいた時には時すでに遅しとなりかねない。民主主義は急に壊れるのではなく、少しずつルールが変えられ、いつの間にか手遅れになってしまう。プーチンもエルドアンも、それなりに自由で公正な選挙を1〜2回経て、時間をかけて国家システムを掌握した。

ートランプ大統領は3選を狙うかのような発言もしています。

モンク 今やどんな可能性も排除できず、3期目を目指してもおかしくない。しかし、合衆国憲法は明確に3選を禁じ、技術的にもこれを打ち破るのは非常に難しい。トランプ政権は権力者への制約をすべて破壊する「革命政府」かもしれない。革命には段階ごとの計画があるわけでなく、エネルギーのままに急進化してそれ自体が予想しなかった行動も取る。ただし米国の権力システムは広範に分散されており、トランプ大統領がたった4年間でこれを破壊し尽くすことは難しい。民主党が選挙で巻き返す希望はある。

コメント:今ほど民主主義が危険な淵に立たされたことはないというのに、デモも起きなければ、野党やリベラルからの強い抗議もない。どうしても対岸の火事という意識が抜けきれないようだ。でも同じことは日本でも言える。護憲の動きに陰りが見え始めている事が気にかかる。米国の後を追うように、日本が右傾化すれば、その大きな責任は野党(特に立憲、国金)にあることになる。与党の政策に否定的だからこそ、野党に国民が投票する。即ち野党は自党の役割に責任を持ち、国民の期待に応える義務がある。


「衰弱してゆく米国」超大国が歩む瓦解の道程、から
(前略)米国の親イスラエルの外交路線は、共和、民主の歴代政権に共通するが、医療機関や学校を攻撃し、女性や子どもを含むパレスチナ住民5万人以上が犠牲となったイスラエルの軍事行動は常軌を逸したものだ。国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルにジェノサイド(集団殺害)行為の防止などを命じる暫定措置命令を出すなかで、イスラエルの行動を是認し綾ける米国の対応は、国際法に基づく法の支配を根底から揺るがすだけでなく、米国の外交モラルに対する根本的な不信を国際社会に与えている。
(中略)軍事大国である米口中が接近し、互いの行動を是認すれば、大国が小国を力で踏みにじる「ジャングル外交」を抑止することも難しくなる。力の均街が崩れれば、他国への侵略など一方的な現状変更を誘発する事態を招く。トランプ大統領が、領有する意向を示しているパナマ運河やグリーンランド。その意向がただちに実現する可能性は低いが、もしそうなればロシア、中国にとって「類似の行為」を正当化する格好の理由になる。中国にすれば台湾侵攻、武力統一の誘惑にかられるだろう。トランプ政権は、欧州を軽視し、中固を最大の脅威とみることで、アジア重視の姿勢を出しているとの見方もあるが、日米同盟や米韓同盟も「ディール外交」の駆け引き材料になっている以上、盤石とはいえない。(以下略)



2760.野田はナルシスト 5.5

今回は雑誌選択5月号から気になった記事の抄訳のご紹介です。

@「ウクライナ戦後利権に中国の魔手」

(前略)プーチンの意図を理解した中国は、「建設的な役割を果たす」と表明するだけで、いまは交渉を静観している。交渉はどう転ぶかは分からない。中国はむしろ「停戦後」を見据えているフシがある。ヨーロッパに対しては、有志国が計画する停戦後の平和維持軍への参加の用意があることを打診したとの報道もある。

中国はかねてよりウクライナを戦略的な地域と位置付けている。肥沃な穀倉地帝を有するウクライナは中国にとってまず、食料の供給甚地となりえる。(中略)

中国はロシアの侵略後もウクライナ産トウモロコシを大量に調達しており、ウクライナの国別の穀物輸出先でトップに立つ。今年3月には、農水産物の貿易の品目を拡大することでウクライナと議定書に調印している。アメリカの関税引き上げによる質易摩擦が深まり、穀物調達の多角化を迫られる中国にとって、ウクライナの存在感は増す傾向にある。

ウクライナはヨーロッパと中国をつなぐ一帯一路の戦略の要衝でもある。22年のロシアの本格的な侵略前には、中国国有企業が黒海沿岸の港湾開発や穀物倉庫の建設、首都のインフラ整備などに投資してきた。「戦後」のウクライナの復興需要の恩恵に中国が目を付けていることは間違いないだろう(中略)。

ヨーロッパは、アメリカとロシアが停戦の枠組みで合意し、それに中国が乗っかる流れを警戒する。ヨーロッパとウクライナを除外したまま、3大国がウクライナの将来を決めてしまう事態を恐れる。(中略)

ウクライナ停戦が3大国による取引で世界を仕切る先例となることこそ、ヨーロッパ、そして日本にとっても最悪のシナリオだろう。


A「タイ政権の危うい媚中外交」

(前略)「Made in China」ならぬ「冥途in China」―
3月のミャンマー中部を震源とする地震は約1千km離れたタイ・パンコクをも揺らしたものの、震度はせいぜい「4程度」に過ぎない。にもかかわらず、建設中だったタイ会計検査院(SA0)の高層ビルは跡形もなく崩れ落ち、低賃金で重労働させられていた多くのミャンマー人労働者たちが生き埋めとなった。(中略)施工ミスを認めず、証拠隠滅に走る姿に、タイ人の間では嫌中感情がますます高まっている。(中略)

タイ工業連盟によれば、タイの鉄鋼業界は中国の過剰生産のあおりを受けている。中国は年間10億トンの鉄鋼を生産しているが、国内需要は9億トンに過ぎない。その大半が東南アジア諸国連合(ASEAN)各国へと輸出されており、そこには規格外の鋼材も含まれている。

タイではかねて、地場産業を圧迫する安価で低品質な中国製品の流入や、横柄な中国人観光客に嫌中感情が高まっていた。(中略)

タイ政府は2月、バンコクの入管施設で収容されていたウイグル自治区出身のウイグル族40人を中国へ強制送還し、欧米や人権団体から非難を浴びた。中国との対決姿勢を鮮明にする米政府も激怒。ルビオ米国務長官は3月、関与したタイ政府関係者を対象にビザ発給を制限すると発表した。タイ政府高官への制裁は過去に例がない。

トランプ政権による関税措置でも、タイは36%という、ASEANではカンボジア、ベトナムなどに次ぐ高い関税を課せられた。(中略)

中国依存の「一本足打法」を続けるペートンタン政権がビル倒壊を巡り付度なしの調査結果を公表し、「本丸」の関係者に刑事責任を負わせる可能性は、今のところ極めて低い。


B「中国共産党が異例人事で大揺れ」

「中国共産党中央の権カバランスに異変が起きている」
4月以降、北京の共産党幹部の間でこのよう囁きが聞こえるようになった。理由は三つある。ーつ目は党中央の組織部長と統一戦線工作部長が突然ポストを交換したこと。二つ目は、中央軍事委員会副主席の何衛東上将が「失踪」したこと。三つ目は、胡錦濤元国家主席の側近、胡春華氏の復権の兆しが見えたことだ。米中対立が深まる中、「米国と融和路線を取る改革派が権力の中枢に戻り始めた」との見方が出ている。
(以下略)


C「石破少数読与党政権長持ちの不思議」国難の陰で続く安泰

昨年10月来、石破政権で2度目の討論が4月23日にあった。全体時間45分のうち、30分を占めた立憲民主野田佳彦代表の発言に、野党の姿勢がよく表れていた

のつけから「国難とも言うべきテーマで一致点を見いだすためのいい機会だ」と友好ムード。(中略)
持ち時間9分の日本維新の会・前前原誠司共伺代表は、「日米安保条約の見直しという石破氏があえて封印している持論を今こそ提起するときだ」とくすぐる.残り6分を務めた国民民主・玉木雄一郎代表は、ガソリン価格を1リットル当たり10円引き下げる補助金について「連絡も相談もなかった」とすねて、自民党がためらっている年企改革法案を「一定の意義がある。国会提出を」と発破をかける。何のことはない、どちらも石破氏にエールを送る内容だ。批判勢力の共産党やれいわ新選組は登壇なし。これが国会の残り会期で毎月行われるのだから、石破氏が余裕なのも当然だ。

2025年度予算成立後、一瞬うごめきかけた自民党内の反石破勢力は、卜ランプ・ショックで一気に嗚りを潜めた。「国難」は挙党体制を要求する。神輿と目される高市早苗、小林鷹之両元経済安全保障担当相も、関税・為替・防術自立といった国策課題に、直ちに独自の主張をぶつける準備は全くできておらず、沈黙するしかない。両氏が支援を期待する麻生太郎最高願問は「親米」が看板。その米国相手の「国難」時に、政局を仕掛けるやり方を最も嫌う。当面は石破氏で行くしかないというスタンスだ

旧安倍派への分断策は続いている。衆院へくら替えした世耕弘成前参院幹事長が、派閥裏金問題で古巣の参院予尊委員会に、自民党も合意して参考人招致されたのは、驚きの事件だった。真相究明より身内も手を貸して「さらし者」にする政治的懲罰の意味合いが強く、参院と旧安倍派内にくすぶる「堕ちた権力者」への反感の強さを改めて見せつけた

コメント:共産党とれいわに質問の機会を与えず、どこが議会制民主主義か。彼らにも国民の支持者がいるばかりでなく、杉田水脈などより遥かにまともな議員だ。


D「彷徨える内閣不信任決議案」暴発ダブル選挙の残る筋書き

(前略)「議員が内間の信任又は不信任に関する動議若しくは決議案を発議するときは、その案を具え理由を附し、50人以上の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない」

衆議院規則第28条の3の規定だ。即ち、内閣不信任決識案の提出には少なくとも発議者1人と賛成者50人の計51人が必要となることを意味している。衆院の構成をみれば、51人以上の議員を擁する野党は立憲民主党のみだ。不信任案提出の是非は同党の野田佳彦代表の一存にかかっていると言っても差し支えないだろう。

当初、野田は2025年度予算成立後企業・団体献金の禁止や選択的夫婦別姓導入の議論を進め、「いずれにも後ろ向きな自民党の姿勢を灸り出す」戦略で、その先には不信任案を提出し、夏の参院選の争点とすることを描いてきた。

そこにトランプ米大統領による「相互関税」の問題が降ってきた。日本の経済や国民生活に大きな影響が及びかねない。石破茂首相は4月4日に与野党党首会談を開き、トランプ関税を「国難」と位置付けた。

立憲内から「国難のさなかに首相を代えるのは望ましくないとの世論がある」(幹部)として、不信任案提出の時機ではないとの声が上がる。枝野幸男元代表も4月12日、講演で「不信任が通ったら、自民党総裁選や衆院解散などで1カ月半の政治空白ができる。(国難の時に)不信任案提出は無貢任だ。どっちにしろ夏の参院選で国民の審判は下る」と強調した。
少数与党下では、野党が結束すれば不信任案が可決される可能性が充分ある。

(中略)「ナルシスト」の決断
党内には野田自身も「不信任案を出したくないのでは」(閣僚経験者)との見方が根強い。4月12日には不信任案提出の有無を記者団から問われ、トランプ関税に触れ「場合によっては総理も渡米しなきゃいけない。そういうことがいつ行われるかなどによって流動的だと思いますから、予見を持って申し上げることはできない」と述べるにとどめた。

ただ党内外から不信任案提出の圧力は強まる一方だ。政権交代に執念を燃やす重鎖の小沢一郎衆院議員は「もしかして(不信任案が)通るかもしれない時に消極的になるのは不可解だ」と批判。日本維新の会の前原誡司共同代表も「不信任案を出さなければ、立憲民主党は野党第1党の責任を果たしたとはいえないと述ぺ、国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「(立憲は)政権交代と言っているのだから出さないと示しがつかない」と煽り続ける。

同党の玉木雄一郎代表に至っては「不信任案は出せないんじゃないの。かつての社会党のように万年野党の方が居心地いいんでしょう」と当てこする。

野田が不信任案提出を見送れば「弱腰批判」の大合唱を浴びるのは確実だ。「ナルシスト」(立憲関係者)でもある野田はこうした批判を最も嫌う。首相在任中の2012年11月の衆院解散の時もそうだった。消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」を巡る同年6月の自民、公明両党との3党党首会談で、「法案成立後、近いうち国民の信を 問う」として協力を取り付けた。しかし10月末の臨時国会召集後も解散の気配がなく「墟つき」との大合唱がわき起こった。これに抗して当時の民主党が厳しい情勢にもかかわらず解散を断行、多くの同志を失い政権転落となった。こうした経緯を知る安住淳衆院予算委貝長は「野田さんは勝負するだろう」と予言する。(中略)

筋論にこだわる野田であれば、可決される可能性がある不信任案を提出する際には、次期政権の枠線みを示さなければならないと考えるはずだ。立憲幹部は「ネクストキャビネットがあるにはあるが、閣僚経験者も少なく政権を担える人材がどれほど我が党にいるのか疑わしい」と政権構想などとても覚束ない実情を打ち明ける(中略)。

甘い見通しに定評のある野田が自尊心を満たすために不信任案を提出すれば、衆参同日選に至る可能性は低くない。結果、政党支持率が好調な国民民主だけを利し、野田が最も忌み嫌う玉木首班が現実味を帯びかねない。野田の判断が注目される。

コメント:なるほど野田がナルシストだという表現で多くの疑問が解ける。尊大な口ぶり。自分の言葉に酔っているような国会の質問。消費増税が日本に取って必要不可欠という自分勝手な思い込み。でもその前に是非鏡で自分の顔を見て頂きたい。無表情で年度の仮面のようにしか(私には)思えない。立憲が支持者をこれ以上増やしたければ代表を代えなければ無理。但し野田が今の状態が一番居心地が良い(国会でその都度無責任な質問だけしていれば良い)と思っていれば、政権交代自体あり得ない。