「オンライン・オピニオン」


トランプ支持者
教皇とトランプ
介護と家族
憲法と歴史の教訓
笑えないトランプ劇場
消防庁のHP
進退が問われている

維新は正念場
昭恵は身を弁えて

新植民地費主義


2771.トランプ支持者 5.23

今回の前書きは朝日新聞(5.22)政治季評「トランプ支持者の心性とは 取り残された赤の州の憎しみ」明治大学教授 重田園江から

(編集者注)人生のある時期を米国で過ごしたことがあるという個人的な経験を除いても、我々団塊の世代は、幼い頃からモノクロのTVで西部劇を見ながら育った、いわば米国の大衆文化の中で育った側面を持つ。映画と言えば時代劇より西部劇だった。今当時の映画を見返すと、そのあまりの粗暴さ、とりわけ殺し合いの安易な正当化に呆れることだろう。
そこで今回の重田教授の論説である。個人的な興味も手伝い、文章も読みやすいので、気がついた時には終わりまで読んでいた。
トランプのような理屈も倫理観も通用しない、政界のならず者が、なぜ世界の頂点に君臨して、嘘とでたらめを押し通せるのか。この記事は原因を分かりやすい言葉で解説している。但し文中にも指摘がある通り、本当の原因は下層階級ではない。イスラエルの非道を批判することさえ許さない、特権階級、富裕層こそが社会悪の根源である。自分達さえ豊かなら、他の国民がどんなに苦しんでいようとも(それは彼らの能力と努力の不足のせいだと責任を転嫁して)自分たちの知った事ではないという、人間性(とキリスト教の本質さえ)欠落した者の集団がそこにある。
しかしながら、貧富の差が開くのは、支配層の金欲、権力欲が直接の原因であって、資本主義、中でも新自由主義が持つ、カネが全てという、制度面での欠陥が原因だと思わざるを得ない。日本人でも富裕層が愚かなカネの使い方をして恥を晒している(自称IT長者や美容整形医)。カネに執着しないビル・ゲイツやジョブスのような人物は極めて少ない。
言い換えれば、自由主義経済という経済システムが、現代社会を運営して行くうえで、必ずしも適切なシステムではないことを認めるべき時期に来ているということだ。(誰も言わないが)経済システムの見直しこそ、今世界が直面している最大の課題ではないかと思う。


昨今の米国はどうなっているのか。

誰もが不安を口にする。トランプという人物を2度も大統領にした米国民をどう理解したらいいのだろうか。

大統領選挙の際には、米国の地図がテレビに映し出され、票取りが確定した州から青(民主党)や赤(共和党)に塗られていく。CNNなどのサイトではさらに詳しく、地域ごとの得票率を見ることができる。はじめはどの州も共和党優位だ。これは人口の少ない周辺部で先に開票が終わるからだ。

だが中心部の開票が進むと、突然、州全体が赤から宵に変わる。2020 年の選挙で、トランプ氏はこの現象を民主党による不正だと主張した。これがただの言いがかりであることは、米国人なら誰でも分かるはずだ。民主党支持が都市部に集中するからだ。

他にも地図から分かることがある。米国では成人の40%以上が肥満という深刻な状況にある。州ごとの肥満率と大統領選挙の星取り地図を軍ねると、分布がよく似ている。喫煙者の割合でも、これまたかなり重なる。どうやら肥満率と喫煙率が高い州では、共和党支持者が多いのだ。

トランプ政権のバンス副大統領は16 年に「ヒルビリー・エレジー」という回想録を書いた。邦訳の副題「アメリカの繁栄から取り残された白人たち」が同書のテーマを明確に示している。彼が生まれ育ったアパラチア山脈周辺では白人比率、肥満・喫煙率が高く、共和党優位、そして貧困率も高い。

ではこうした地域の人たちの心性を推し量るには、どんな手がかりがあるだろう。米国に住む友人が最近送ってきた写真から思うところがあった。

友人は今回、サンフランシスコからコロラドまで3日かけて車で移動したそうだ。その間がもう、日本ではあり得ない景色ばかりなのだ。真っ平らな土地に一直線の道路。凹凸があるとすれば岩山。枯れ果てた土地を横断するので、車が故障すれば死がよぎる。これは多くの旅行者の感想だ。

そしてカラカラに乾いた何もないところに、突如町が現れる。町と言っても、ガソリンスタンドがあり、ダイナー(食堂)があり、申し訳程度の買い物ができるぐらいの場所だ。米国は国土の半分が誰も住まない地域とされ、人口密度は日本の約10分の1だ。この地理的特徴が人々の心性に何らかの影響を与えていても不思議ではない。

24年の選挙結果を見ると、トランプ支持者が最も多いのは白人の非大卒男性である。この「繁栄から取り残された」人たちを想像するきっかけが、こうした風景に隠れているかもしれない。

米国の歴史とは、先住民を追い立て士地を奪って杭を打ち「ここは俺のものだ」と宣言する、ルソーの「人間不平等起源論」で人々の争いの始まりとされる出来事そのものだ。これはセトラーコロニアリズム(入植者植民地主義)と呼ばれ、批判の対象となってきた。(中略)

白人たちがフロンティアと称したのは、移動しながら生きる先住民たちが共存してきた広大な土地だった。そこに道路を造って「文明」を押しつけた白人にとって、険しい自然は克服すべき脅威だった。途中かろうじて町を建設し馬を休め、自然災害と無法者、また先住民の襲撃に備えたのだろう。

そしてとうとう19世紀末に、白人は先住民とバファローをほぼ絶滅させ、フロンティアは消滅した。ゴールドラッシュに沸く西海岸にたどり着いた人たちは、豊かなカリフォルニアで富を蓄えた。ビバリーヒルズもシリコンバレーもみなカリフォルニアにある。

では、西に向かう人たちが通過した土地はどうなったのか。海外からの旅行者は、共和党の赤で塗られたこれらの地域に立ち寄ることはほぼない。この「ディープ」な地域で、住民たちは外界からの脅威におびえながら日々の営みを続けているだろう。ここでは、自動車という米国の夢そのものである存在を欠いては募らしが成り立たな い。馬を自動車に変えても、石油がなければ行き倒れるしかないのだ。

そういう揚所に暮らし、米国から急速に富と産業が失われていくなら、危機感をあおられて当然だ。Make America Great Again(米国を再び偉大に)を唱えるのにも納得がいく。

実際には、米国では餐富の差が劇的に拡大している。彼らから富を奪ったのは移民ではなく、トランプ氏やマスク氏ら大金持ちなのだ。再分配政策の必要性から目をそらすため、敵を作って対立をあおるやり方にまんまと乗せられる人たちは、外部の敵を恐れているのだろう。東と西にもたらされた繁栄から取り残され、自然と先住民から の略奪の記憶をとどめる土地に暮らす人々は、今は憎しみと怒りに駆り立てられている。

赤く染まったヒルビリー(田舎者)たち。彼らの夢と現実、欲望と自尊心が、狂気をはらんだ今の米国を理解する手がかりになると思えてならない。

コメント:かつてTVでビバリー・ヒルビリーズ(じゃじゃ馬億万長者)という題のシリーズが放映されたことがある。石油で当てた田舎者の一家が、金持ちに相応しい生活を目指して、LAにぼろ車で乗り込んでくる。いざ大邸宅に入居したものの、生活は田舎のそれだから、あちこちでトラブルが発生するという喜劇だった。ヒルビリーという言葉は初めてこの映画で知った。バンスもこの映画からヒントを得て著書の題名に使ったのかもしれない。米国では貧富の差は昔からあり、しかもそれが拡大している。しかもなぜかそれを指摘する者はいない。たまにいれば(サンダース等)共産党だと決めつけられる。自己責任論だけがまかり通る、唯物的な社会。多分この現状への無理解にこそ、民主党の後退の原因があるのではないかと思われる。



2772.教皇とトランプ 5.24

中居の記事を読もうと週刊文春を買ってはみたが、特に新しい情報もないので、ご紹介は差し控えたい。要は、中居は暴力を振るって言うことを聞かせた訳ではない、合意の上の行為だということを一生懸命言いたいらしい。だが私も前回書いたように、(文春も同じ意見)対等の立場ではないのだから、第三者委が言うように、そんな言い分は通用しないということだ。それにしても被害者はこれでまたSNSで中傷され始めたらしいが、なぜいつも弱い方を攻撃するのか。投稿者の異常な加虐の神経は、到底理解できない。それ程中居にほれ込んでいて、事の善悪の区別もつかない阿呆が、下らない情報を垂れ流しているのか。それとも強い者にはへつらい、歯向かう心配のない弱い者をいじめる下種な精神のなせるわざなのか(豚花のように)。

しかもここでも、パワハラ知事の斎藤を持ち上げ、委員会のメンバーを罵り、死にまで追い詰めた、石器時代の価値観の低能たちと同じ空気が漂っている。
見方を変えれば、なぜ斎藤や立花や中居を叩くSNSは出て来ないのか。でもそれは、まともな市民なら、SNSで誹謗中傷をばらまくような下らない行為に割く時間はもったいないと思っているからではないか。
その結果、SNSの候補者の評価についても、実際の世論とは逆転の現象が起きており、とてもではないが、SNSの評判をそのまま投票の参考にすることなど、怖くて、到底できない。だからこそ、世論調査でも、選挙の時のSNSにはなんらかの規制が必要という意見が世論の大半を占めることになったのだろう。
悪い奴ほどネット上で騒ぎ立てるから有利という矛盾した状況が生まれた(一方で、善良な有権者はネットで攻撃するやり方も知らない)のだろう。しかしもういい加減にSNS、いやネットを、馬鹿者どもの楽園にするにはやめにしようではないか。

さてそこで今回は、中居ともフジテレとも関係のない情報を2件ご紹介したい。なおこれ以外に個人的に興味を持ったのは玉木の国民民主が参院選で擁立する候補者が揃いも揃って問題だらけという記事で、詳しくは本誌をご覧頂きたいが、個人的に分からないのは、なぜNHKの元女子アナ(牛田)を使うのかという理由だ。特に知的でもない(失礼)のに、玉木は何を評価基準にしているのだろう。NHKの現役となるとさすがに優秀でまともなアナが多く、中でも桑子、和久井、鈴木は一流だ。元NHKの場合、なぜか今は有働が一番人気だが、私はその人間性を評価できない。なぜなら朝の番組を担当していた当時、何か気に入らないことがあったらしく、突然自分から辞めると言い出したからだ。その時感心したのはむしろ相方だった井ノ原のリアクションだった。有働が辞めるのなら自分も辞めると、あっさり降板した。別に有働の気まぐれに付き合う必要などなかったのだから、完全に井ノ原の男気である。同時に、有働にはわがまま女子の印象しか残っていない。無論あの程度の知識では政治家は難しいだろうが、それを言い出せば切りがないとも言える。自民党には丸川という問題児もいる。それどころか、そもそも現在我々も実害を蒙っている、小池百合子という最悪の例がある。おそろしや、女子アナの祟り。ナンマンダブ。

私は美醜ではなく感じの良さと知性でTVの出演者を判断している。アナウンサーではないが、その点で元アエラの浜田敬子は別格だ。但しアナウンサーではないが、NHKの朝の天気予報の近藤奈央のファッション・センスは最高。感じの良さに、高い知性とセンス。それが女性の魅力(人間的な魅力)の大部分だと言えば、言い過ぎだろうか。

週刊文春(5.20)「東大、違法エロ接待を提訴。放置し続けた大学の責任は?」から。
東大教授らによる耳を疑う違法エロ接待。舞台はついに法廷へと移った。

事件は、東京大学大学院・医学系研究科の皮膚科学教授?佐藤伸一氏(61) と、特任准教授の吉崎歩氏 (45)が、2023年春から、共同研究の相手である一般社団法人の代表の男性に、総額1500万円以上に及ぶ高額な接待を求め、受け続けてきたと言うもの。

小誌は3月6日発売号で、料亭や銀座のクラプに始まり、研究を放り出して興じた日中の吉原ソープランド通いなど、まさに洒池肉林の供応接待の実態を代表の男性が実名告発する記事を掲載。以来ニュースやワイドショーを賑わせてきた。

「国立大学法人の教職員は、いわゆる.みなし公務員です。研究などで便宜を図る見返りに接待を受けたのであれば、収賄などの罪に問われる可能性もある。実際、警視庁の捜査二課もこの問題に強く典味を持ち、捜査に着手しているそうです」(社会部記者)

異様な蜜月が終わりを告げたのは、24年夏。佐藤教授側が、男性に接待費以外にも多額の現金を納めるように要求し、「いつ持ってくるんだ」「殺すぞ」「明日にでも講座を閉めてやるからな」などと脅したという。 男性は我慢の限界を超え、警察や東大側に恐喝被害を相談する事態になった。

「以降、教授らとは代理人を通じてしか話せなくなり、研究は中断。今月16日、男性の団体側が接待費や中断で発生した費用等約4200万円の損害賠償などを求め、東京地裁で教授 らを被告とした訴訟の提起 に踏み切ったのです」(同前)

注目すべきは、教授ら二人に加え、国立大学法人東京大学も被告として訴状に並んでいることだ。

訴状によると、昨年9月、男性は東京大学のコンプライアンス委員会に対して接待や恐喝被害について申し立てを行ったものの、いまだ大学からの聞き取りなく、”放置“が続いているのだという。四月には大学管理の研究ホームページが消去されるなどし、接待や恐喝を認知した東大が、共同研究を「廃止しこれを積極的に隠ぺいしよう
とした事案」だとも踏み込んでいる。

東大関係者が語る。
「東大のコンブラ通報窓口が機能していないことは、大学全体で囁かれており、特に医学科や大学病院で顕著です。職員や院生が不正を通報しても、窓口が担当部におうかがいを立てるだけで終わってしまう」

原告の男性は、告発や訴訟に踏み切った経緯について取材にこう語った。

「教授がこの有様で東大の管理体制もこの有様では、共同研究をする民間企業は今後も食い物にされ、泣き寝入りです。日本最高位の大学だからこそ、安全な研究環境を整えてほしい」

沈黙は許されないだろう。

コメント:私も現役時代に、接待し、接待された。相手は官の場合も、民の場合もあったが、常に折半を通し(店では領収書を2枚に分割)、そのおかげで、一度も不愉快な思いをしたことがない。会食は相手と親しくなることが最大の目的だが、同時に、本音を聞いたり、関連の情報を貰うなどという重要な目的もある。だから私は会食を否定しない。但し「抱かせる」話や、「現ナマ」はご法度で、そういう話で、サービスを受けたり、要求したことが会社に分かると、左遷は免れない。接待は、する場合より、受ける場合の方が危ない。節度が肝要。ゆえに上記の事例は論外。


同じく町山智浩の言霊USA「バンス副大統領は間違っている」から

(前略)先日亡くなったフランシスコ前教皇の後継者になったのは、ロパート・プレヴォスト。史上初のアメリカ人教皇だ。彼はサン・ビエトロ大型堂で群衆にこう挨拶した。

「人類は神とその愛が通じる架け橋を必要としています。私たちは、その橋を架けるために協力します」

それはフランシスコ前教皇の言葉に基づいている。トランプがメキシコとの国境に壁を築いた時、前教皇は言った。「壁を作るより橋を作るのが、正しいキリスト教徒です」と。

フランシスコ前教皇は何から何までトランプと正反対だった。前教皇は世界の貧困層や難民を救済しようとした。トランプは難民を追放した。前教皇は女性をバチカンの要職に採用し、同性婚を祝福した。 トランプはDEI(多様性、公平性、包括性)を敵とし、性は男と女の二つだけとする大統領令を出した。

前教皇は神の造った地球を破壊する温暖化を止めようと呼びかけた。トランプは地球温暖化を左翼のデマと呼び、温室効果ガス排出量を規制するバリ協定から離脱した。前教皇はウクライナに攻め込んだロシアとガザで虐殺を続けるイスラエルに激しく抗議し、自分が乗っていた防弾車をガザに寄付。トランプはロシアにウクライナの土地を勝手に譲渡しようとし、ガザからパレスチナ人を一掃して高級リゾート地にすると宣言。

前教皇はバチカンの金ぴかの装飾や法衣を嫌い、何もない質索な部屋に暮らし、遺品は聖書と安物の腕時計とボロボロの靴だけ。いっぽうトランプはホワイトハウスをカーテンから額縁まで金びかに改装した(通天閣か!)。

そんなトランブをアメリカのカトリックの半数は支持。彼らMAGA (トランブ支持)カトリックはフランシスコ教皇を「左翼」「悪魔Jと罵った。

トランブの副大統領JDヴァンス(カトリック)は、難民排斥を正当化するため「キリストが唱えた愛にも序列がある。まず身近な家族や国を先に愛すべきだ」と主張した。フランシスコ教皇は「キリストの愛とはそんな同心円的に遠くにいくほど弱くなるものではない」と反論した。だって「汝の敵を愛せ」がキリストだからね。

叱られたヴァンスはバチカンを訪れて教皇に直接謁見した。その直後、教皇は亡くなった。ネットでは「ヴァンスが殺した!」と騒がれた。

トランプもいちおう教皇の葬儀に列席したが、最前席で口を開けて眠りこける姿を全世界に生中された。

失礼はそれで済まなかった。4 月29日、記者に「次の教皇は誰でしょう」と聞かれたトランプは、「私がなりたいねえ」とニヤリ。 カトリックでもないしキリスト教徒かどうかさえ怪しいのに!

悪い冗談は続く。5月2日、トランブが自分のSNSに自分が教皇の法衣を着たAI画像を投稿した。さらにホワイトハウス公式アカウントがそれをリポスト!

これにはさすがに世界中のカトリックが激怒した。イリノイ州の,トーマス・パブロッキ司教は、大統領の謝罪を求めた。「カトリック教徒が教皇の死を悼み、新教皇選出のために祈っている神聖な時期に、あまりに不快だ」

だが、共和党の元全国委員会委員長のマイケル・スティールは、 Xへの投稿で「怒ったらダメですよ」となだめた。「トランブはみんなを怒らせたくてやってるんですから」
「この画像は、トランブの不真面目さと愚かさの証拠です。彼は78歳になった今でも、10歳の子供なんです。自己承認欲求で必死なんです」(以下略)

コメント:米国のカソリック団体はリベラルな教皇を阻止するため、候補者のスキャンダル集めに元FBIやCIAを動員したという。米国は政治だけでなく、宗教も狂気らしい。



2773.介護と家族 5.25

今回は週刊新潮(5.29)から
「4月施行、改正法で介護離職が増える懸念、仕事を休む前に知るべき介護の誤解」から

…子どもが直接親の面倒を見ることだけが介護ではありません。親と距離を置き、 プロの手を借りるのも立派な介護であり、むしろそのほうが親にとっても良質な介護が受けられて幸せに過ごせる場合が多いのです。

そして、子どもが直接介護するのではなく、親を施設に入れるのであればその下見をしたり、外部の力を借りる楊合はどのようなケアが必要なのか、またそれは可能なのかを調べたりと、介護の体制を整えるために仕事を休むのが介護休業法の正しい利用の仕方なのです。

具体的には、まず「地域包括支援センター(以下、包括)」に早めに相談してください。包括とは、各自治体に設けられ、介護に限らず、福祉、健康、医療などの面で総合的に高齢者を支援する公的な窓口であり、さまざまなアドバイスをしてくれます。「自分(子ども)だけで親の介護を全うしようと思っていたけど、もう無理、限界」という切羽詰まった段階で相談しても、包括の職員は対応に疲弊し、打てる手も限られてしまいます。

次に、包括に相談した上で、ケアマネジャー(介護支援専門員)を紹介してもらい、具体的なケアプランを一緒に考える。通所リハビリがいいのか、施設にショートステイするのがいいのか、さまざまなケアプランを考えてくれるはずです。

つまり、子どもは親の介護の「プレーヤー」である必要は全くなく、包括やケアマネジャーの助けを借りて親に本当に相応しいケアを手配する「総合マネジャー」であればいいのです。

例えば、それまで離れて暮らしていたのに、親を自分の住む家に呼び寄せ、プレーヤーとして直接介護を始めるのは絶対にお勧めできません。どうして介護が必要になるまで親子で別居していたのでしょうか。仕事の都合だったり、子どもの家庭環境だったり、親子関係だったり、それなりの事情があったはずです。それが、その親子にとっての「適切な距離感」だったのではないでしょうか。

にも拘らず、親孝行のつもりで「介護同居」して距離をゼロにすると、結局は、 子どもは親の介護に行き詰まり介護離職を余儀なくされる。親も、せっかく我が子が介護してくれているのだからわざわざ知らない人の世話になる必要はないと、介護のプロを含めた第三者の介入を拒んでしまったりする。そもそも、その介護には持続性がなく、いつか崩壊することでしょう。それは介護の破綻であると同時に、家族関係の破 綻でもあり、親にとっても子どもにとっても幸福な状況ではなく、逆に親不孝と言えるのではないでしょうか。

子どもが介護に専念するために仕事を休んだからといって良い介護ができるわけでも、親孝行になるわけでもない。本当に親孝行をしたいのなら、くれぐれも、介護休業法を誤用しな いでください。

コメント:自分でも経験がありますが、とにかくまず包括です。




2774.憲法と歴史の教訓 5.26

今回は朝日新聞(5.25)「百年 未来への歴史 憲法の水脈」です。
「憲法と歴史の教訓生かすには」
『法は生きもの 育てるという希望』一橋大学教授 江藤祥平から

―100年前の1925 年、男子普通選挙が実現する一方で、治安維持法が制定されました。

「体制側が恐れていたのは、 共産主義運動の高まりでした。治安維持法は『国体の変革』を目的とする結社などに刑罰を科す、としています」

「新たに有権者となったその多くが労働者や農民でした。体制が不安定になることを恐れた政府には、民主主義の勢いをそぐ狙いがありました」

―両者の抱き合わせは、明治憲法体制を象徴している気がします。明治憲法の構造が、自由主義や民主主義に即した面と、天皇の統治権を広く認める面を抱え込んでいるからです。

「後者の点でいえば、明治憲法を起草した伊藤博文は、欧州を訪問した際、憲法政治の機軸として『宗教』があるが、日本にはそれがないと気づきます。『我が国に在りて機軸とすべきは独り皇室あるのみ』と考えた伊藤は、明治憲法の正統性の根拠を『万世一系の天皇』という神話に求めました」

―35年の天皇機関説事件で、後者が前者をのみ込んでしまいます。憲法学者の美濃部達吉の学説が「国体に反する」と国粋主義者らの排撃を受け、著作は発禁処分となり、美濃部は公職を追われました。

「伊藤は、まさか自身が憲法に埋め込んだ天皇制がこんな事態を引き起こすとは思わなかったはずです。伊藤たちが手本にしたのは『上からの近代化』を推し進めたドイツの立憲君主制でした。人民に主権があるというフランスやアメリカ型の立憲主義は破壊力が強すぎたからです」

「明治維新は、外圧を契機に下級武士によって担われた革命でした。幕府を倒したその先にどういう国家になるのか、確たる見通しがなかった」

「この点で、ドイツ由来の国家法人説は魅力的でした。主権は国家にあるとすることで、人民主権を排斥しつつも、近代国家を法的に基礎づけることができたからです。明治憲法は、西洋式の立憲主義を取り入れた憲法として当時としては画期的でした」

―しかし、憲法で「機軸」を天皇に求めたことが仇になった、と。

「政局の安定を担っていた元老の時代が終わり、元々脆弱だった政党政治が軍部に屈するようになると、日本固有の国体信仰が社会の隅々に行き渡り、近代立憲主義は息の根を止められました」

―不思議なのは、機関説事件の被害者だった美濃部自身が、日本国憲法への改正に反対したことです。

「美濃部は、反民主的で軍国主義的な運用を改めれば、天皇を国家の中心とする明治憲法の下でも実質的な民主化を達成できる、と思っていたのです。これが美濃部の限界でした」

「国家の『機軸』を国民自身に求める新しい国家の姿を描けなかった。自分たちに何が足りていなかったのか、美濃部を含めてまだこの当時の多くの日本人は気づいていなかったのです」

―戦後、日本国憲法の下で立憲主義のプロジェクトが再び始まりました。しかし、近年では、2020年に政府から独立して政策提言をする「日本学術会議」の新会員について、菅義偉首相(当時)が、何の理由も示さないまま6人の任命を拒否しました。権力が恣意的に法を解釈していると感じます。

「原理がないということです。法は生き物ですから、十分な理由があれば、法の解釈や運用の変更は問題ありません。しかし、理由すら示されないと、どんな原理に従って政治家が判断をしているのかがわかりません。これは、立憲主義を揺るがす探刻な事態です」

―憲法の末来に希望はありますか。

「最近では、同性婚を認めない制度を違憲とする判決が地裁や高裁で多く出るなど、下級審の裁判官たちの活躍が目立ちます。法の原理を尊重しつつも、次々と新しい理由づけを打ち出しています。失敗と批判されることもある法科大学院ですが、そこを出た若い法律家たちが、新しい憲法訴訟に取り組み、憲法の中身を豊かに育てていま す。これが希望です」
(聞き手 編集委員・豊秀一)


同じく『権力太らす 権力による解釈』独協大学名誉教授 古関彰一から
…ただ条約には、双方が平時の防衛力強化や日本有事の際の対処を「憲法上の規定に従って」行うとも記されています。

「その『憲法上の規定』とは日本では『戦力不保持』の9条のままなのです。日本政府は憲法を『柔軟に解釈』して安保条約はその範囲内にあるとし、また自衛権行使や防衛力保有は『必要最小限』としながら、米政府との『協議』で防衛力や軍事協力の強化を決めていきます」

「米政府は改定後の安保条約の承認を議会に求めた審議で、日本が『憲法上の規定』に従うというのは、9条に基づき海外派兵はしないという意味だという見方を示してはいます。実際には、戦後日本の安全保障に関する日米両政府の『協議』は日本の憲法を棚上げして進んできました」

―具体的には。

「(中略)政府が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使を、同盟強化のためとし て2014年に閣議決定で部分的に認めたのもその表れです」

―憲法は「国の最高法規」(98条)であり、国会は「国権の最高機関」(41条)です。その関与なく日本の安保政策が決まる源流が、主権回復間もない頃にあったということですか。

「その通りですが、その後の高度経済成長と米国の対日戦略に支えられた自民党政権の長期化が、立憲主義の軽視を生んだ面もあるでしょう。このたび『虚構の日米安保』を刊行する中で痛感したのは、戦後日本では対米関係において、国家とその一機関である政府が区別されず、政府の権限がどんどん広がってしまうということです」

「権力を縛る憲法の『柔軟な解釈』は権力を肥大させ、チェックを難しくし、国民に対する説明責任の劣化も含めた無責任政治を繁殖させます。戦後80年に、改めて考えたいことです」
(聞き手 編集委負?藤田直央)

コメント:憲法は日本国民の平和と平等な権利を保障する、最も重要な法律であるにも関わらず、えてしてその具体的な内容を忘れがちです。私たちは機会がある都度、自分達の憲法の記憶をリフレッシュした方がよく、またその努力こそが、我々の安全や権利を、権力の横暴や、不毛な戦争から守る手段になるのです。
これを機会に、より詳しい資料にも目を通して、更に明確な憲法の知識を身につけることを、お勧めします。それは誰の為でもない、自分たちの自衛手段なのです。トランプが支配する米国国民の二の舞にならないようにするためにも、我々は常に政治や国際情勢、そして憲法に関心を持ち続ける必要があります。今回、少しでも、憲法への関心を呼び起こして頂ければ、この記事の紹介も、まんざら無駄ではないということになります。



2775.笑えないトランプ劇場 5.28

今回の前書きは朝日新聞(5.27)多事奏論「トランプ劇場 笑えないノンフィクション」編集委員 稲垣康介から

バンドの生演奏で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のテーマ曲が劇場に嗚り響くと、17歳でこの映画を初めて見たときの高揚感がよみがえった。
4月に東京で開幕した、劇団四季によるミュージカル版を鑑貨してきた。
(中略)
留学時は東西冷戦の最中だった。シルベスター・スタローンがヒーローを演じた映画「ロッキー」や「ランボー」では、ソ連出身の男がヒールとして描かれた。米国暮らしを満契していた高校生の自分には、世界最大の経済大国であり、自由と民主主義を誇りにする米国への共感と、無邪気なあこがれが強かった。

トランプ氏が牛耳る今の米国に、10代のころに抱いたあこがれは感じない。

実は、「バック・トゥ〜」とトランプ氏は縁がある。マーティや彼の父へのいじめを繰り返す悪役ビフのキャラクターは、トランプ氏から着想を得たと、映画の脚本家が米メディアに明かしている。映画の「パート2」では、2015年の未来で大富豪になったビフが、高層ビルに入ったカジノの金満オーナーとして登場する。言われてみると、公開当時、不動産王として嗚らしていたトランプ氏と、ビフの雰囲気、風貌は重なる。

残念ながらトランプ政権は架空ではなく、現在進行形のノンフィクションだ。

「バック・トゥー」では、さほど人気がなかった俳優から政治家に転身し、米大統領に上り詰めたロナルド・レーガン氏を揶揄する一幕がある。映画公開時の現職だった。元俳優らしく、抑揚をつけた演説が上手な人で、少なくとも、口汚くののしる現大統領よりは品格があった。

トランプ氏はロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナを巡る平和構築ヘの仲介に乗り出したが、超大国のリーダーらしい責任感は伝わってこない。気まぐれな「相互関税」で無人島への課税なんて、まるでパロディーだし、米映画産業の衰退を食い止めようと、海外製作の映画に100%の関税を課すとぶちあげる。さらには、ハーバード大の留学生の受け入れ停止まで通達した。

懐の深さをなくしてしまった超大国。見る人を幸せな気持ちにするハリウッドのコメディーと違い、少しも笑えない。

コメント:実はトランプには更に若い頃、ちょい役で映画に出たことがある。ちょい役とっても、自分自身の役である。その映画は「ホームアローン2」で、短いながらセリフもあり、トランプタワーのシーンもあったように記憶している。競馬の結果などが記載された年鑑を持って未来に行けなかったビフは、結局マックフライ家の使用人となり、車を洗うことになった。現在のトランプも、国際紛争の調整に失敗して、捨て台詞を吐きながら、国際外交のシーンから立ち去ることになるのかもしれない。


もう一件はサンデー毎日(6.8)牧太郎の青い空白い雲から
栄耀栄華を極めた権力者でも「糖尿病」には勝てない。

前回、【放っておけば死にそうな知り合いが人工透析を拒否する理由?】で紹介した「知り合い」も、重い糖尿病である。同い年の当方も三十数年前から糖尿病になっている。

でも…「知り合い」と違って(辛うじて、ではあるが)合併症が出ないのは多分、「病気を治す秘伝」なるものを信じて、実行しているからだろう。医師でも、薬剤師でもない「ごく普通の年寄り」が言い続ける「秘伝」(最近はネット検索でこの「秘伝」が最上位にランクされているらしいが)。 例えば肝臓はニコニコ笑って治すもの、腎臓はよく噛んで治すもの、胃病は大好物を食べないで治すもの、心臓はぐっすり眠って治すもの…。

なぜ「肝臓はニコニコ笑って治すもの」なのか?
東洋医学では、肝臓は「怒りの感情」と深いかかわりがあり、怒りの感情ばかりを持ち続けると、肝臓に不調が表れる。だから、いつも笑う。

なぜ、「腎臓はよく噛んで治すもの」なのか?
噛めば哺むほど唾液が出て、血液がキレイになる。血液を濾過する腎臓の負担が減る。

では、糖尿病患者に対する「秘伝」は?
「糖尿は汗をかいて治すもの」。
今までタクシーやバスに乗っていたところを歩くようにする。汗をかいて運動すれば、確かに「数値」が改善する。

「秘伝」というほど大げさな話ではないが…。藤原道長の時代にはなかった「日常的な努力」で、我々は長生きしそうだ(笑)。

コメント:牧太郎と私は同い年。


【注目記事】

・元総務部長の情報漏洩。斎藤知事と副知事の指示の可能性高い。第三者委の結論
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250527-OYT1T50156/
コメント:自分は指示していないの一点張り。そのくせ前総務部長は懲戒。自分の給与カットも具体案はない。斎藤は空気を呼吸するように自然に嘘をつく、しかも悪い事は全て職員や他人のせいにする。そのうえ自分の悪意の情報漏洩で、人が死んでいるのに何も感じない冷血漢。しかしこの恥知らずで吐き気のするような地方首長と地方行政の問題を一気に解決する唯一の方法がある。それは全てを知っており、知事の身内として加担してきた元副知事に、正直に事実を話してもらうことだ。それが兵庫県を救い、他県から信用される一流の地方自治体に戻す、唯一の方法なのである。

・鈴木エイトが旧統一教会に勝訴。
https://mainichi.jp/articles/20250527/ddm/002/070/101000c
コメント:当然です。

・杉田公認。
https://mainichi.jp/articles/20250527/dde/012/010/013000c
コメント:もはや言っている事は支離滅裂。公認が石破政権の命取りになってもおかしくない。

・立花が横領。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/407609
コメント:とうとう犯罪に手を染めたか、歩く蚊やり豚。



2776.消防庁のHP 5.29

今回前書きの代わりにご紹介するのは東京消防庁のホームページです。
5月25日発行の第57号が、既に各戸にポスティングされていると思います。
今回は熱中症対策の特集です。なくしたら以下で見ることができます。

東京消防庁のホームページ
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/

とうきょう消防第57号
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kouhyou/kts/kts_57/kts01.html



2777.進退が問われている 5.30

今回の前書きは朝日新聞からです。
朝日新聞(5.28)25面から
「どちらが正しい 再調査する手も」
元鳥取県知事の片山善博さんの話
告発が兵庫県知事に関するものだったので、前総務部長が独断で告発者の私的文書を議会に触れ回ることは考えづらい。私の役所での経験からしても、知事が漏洩を指示した可能性が高いという結論に違和感はない。
 前総務部長の行為は地方公務員法違反の疑いが強い。指示したとすれば知事も共犯や教唆に問われる可能性がある。
 知事は、報告書の内容に心あたりがあるなら、素直に認めるべきだ。ただ、その前から公益通報者保護法違反を第三者委に指摘されていた。どう身を処すべきか真剣に考えるべきだ。
知事は漏洩の指示を否定しているので、県議会は百条委員会を改めて開き、知事や前総務部長をもう一度調査する手もある。どちらが正しいのかを県民に示すことができる。


朝日新聞(5.29)24面から
…県人事課は27日に前総務部長を停職3カ月の懲戒処分とし、この処分を決めるにあたり、漏洩の動機について「知事からの指示があったと信じている状況にあった」と説明した。この処分を決裁した斎藤知事は、28日の会見で「その点(前総務部長の状況)も踏まえて処分の内容を了承した」などと語り、「指示していない」とする自身の主張とちぐはぐな答えを繰り返した。(以下略)


朝日新聞(5.29)社説
「斎藤氏の責任 進退が問われている」
斎藤元彦知事ら兵庫県にまつわる問題を告発した元県民局長の男性に関し、前総務部 長が男性の私的情報を県議に漏洩した。知事の指示のもと行われた可能性が高い。

男性の人格や人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性を弾劾する目的だった、との 説明に説得力がある。

県の第三者委員会が報告書をまとめ、公表した。県から独立した弁護士3人が資料を 分析し、聞き取りを重ねて導き出した結論である。驚くべき事態だ。

斎藤氏は自ら告発文書を入手し、前総務部長ら側近グループに調査を命じ、男性への 懲戒処分に至った。男性の人権を傷つけ、公益通報者保護法を踏みにじる一連の対応を主導してきた斎藤氏は「(前総務部長に)指示をした認識はない」としつつ自身の減給処分に触れたが、問われているのはその進退である。

前総務部長は今年2月、県に弁明書を提出。調査で押収した男佳の公用バソコンから 私的文書が見つかったことを斎藤氏に報告した際、知事から「議員に情報共有しといたら」という趣旨の指示を受けた、と説明した。

第三者黍が同席していた前理事や、知事の最側近だった前副知事から話を聞いたとこ ろ、3人の話がおおむね一致した。斎藤氏は指示を否定し たがその内容に不自然さが 否めないとして、第三者委は知事の供述を「採用することが困舞」とした。

前総務部長による漏洩疑惑は、昨年7月に週刊文春が報じた。斎藤氏は会見で、(前 総務部長ら)に確認したがいずれも関与を否定した、と述べていた。この説明は虚偽だったのか。

知事は県議会の不信任決議を経て失職し、出直し知事選で再選されたとはいえ、新た な事実の発覚に伴う責任は免れない。「私の責任は県政を前に進めること」と再び語ったが、県政を担う資格はないと言うほかない。

公益通報者保護法は、通報者への不利益な取り扱いを防ぐ体制整備を自治体にも義務 づけている。男性のマスコミなどへの告発は、県庁窓口以外への外部公益通報だと別の第三者委に認定された。

しかし斎藤氏は、整備義務の対象について「内部通報に限定されるという考え方もあ る」と繰り返し発言。法を所管する消費者庁が「外部通報も対象」として、全国の自治体に通知を出すに至った。

知事とともに県民を代表する県議会の役割が再び試されている。斎藤氏の再選後は慎 重な姿勢が目立つが、毅然と対応すべきだ。
原文:
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16223822.html?iref=comtop_Opinion_04

コメント:自分は情報漏洩せよと指示していないという。ところがついに、最側近の元副知事でさえ、その嘘には同意しなかった。だからこそ、斎藤の証言は虚偽だと、第三者委は判断したのである。一方で、斎藤は(漏洩を指示した自分を棚に上げて)、漏洩は部下の責任だと部下をとがめ、自分は「不始末をした部下の上司としての」責任を取り、減給を申し出た。自分の責任を部下に押し付け、お茶を濁して逃げようとしているのである。こうなれば自分が悪意を認識したうえでの確信犯ということになる。
記者会見では無礼者と怒鳴るシーンも。自分を何様だと思っているのか。
h ところが、未だに斎藤が被害者で気の毒だと思う県民は少なからずいるというのにはうんざりさせられる。だから県議会の動きも鈍い。でもこの問題に(私を含めて)メディアがこうまで食い下がるのは、知事だったら黒を白にひっくり返してもいいなどという理不尽を一つでも認めてしまえば、日本の地方行政も、民主主義も滅茶苦茶になってしまうからだ。
他の地域にもボス化した知事は散見される(東京=小池、大阪=橋下)が、斎藤の場合は3人の職員百条委の議員が、悪質な中傷で自死するという異常事態がある。しかも斎藤にとっては何もなかったような虚無感にはそら怖ろしいものがある。人間ではなく、脳の無い人形が歩いて、しゃべっているようなものだ。
加えて(背後の金の動きが気になる)立花一味の、民主主義や議会政治を踏みにじる行為も摘発されなければならない。この二つで、今や国民の選挙不信は頂点に達している。このままなし崩しに、斎藤が居座るようなことでもあれば、政治から正義が失われ、日本の選挙などに何の意味もなくなってしまう。
斎藤は、これ以上嘘をいくら言っても、もう誰も信じなくなるだろう。


同じく論壇時評
「自由をめぐる攻防 変質する政党の行く末は」政治学者 谷口将紀から
…学問の自由に関しては、トランプ政権が各大学に対し、DEI(多様性・公平性・包摂性)政策の撤廃などを要求し、それに応じなかったハーバード大学への補助金を凍結したり、外国人の学生や研究者の締め出しを図ったりと圧力を加えている。ジャーナリストの牧野洋は、第2次世界大戦前のドイツを引き合いに出しながら、学問の自由の侵害が「頭脳流出」を招くおそれがあると警鐘を嗚らす。

一方で、倫理学の宮本ゆきは、弾圧に直面する大学が社会的な同情を広く集めていない現状に注目する。大学へのバッシングを、自由の侵害というよりも既得権・特権階級の凋落と捉え、喝采する人が多いというのだ。日本学術会議法案が衆議院を通過した今、背筋に冷たいものが走ったのは筆者だけではないはずだ。

結社の自由に関しては、政策シンクタンク代表の原英史が、自民党・立憲民主党・日本維新の会・国民民主党は、国からの政党助成を国会議員に分配する「補助金卜ンネル機関」と化していると批判する。政党が本来果たすべき役割は、政策立案、社会とのコミュニケーション、人材の発掘・育成といった粗織的な機能として、政党法の制定を求めている。

これまで筆者は、政党こそが結社の自由の核心にある存在であり、国が政党の在り方を規制する政党法の制定には慎重であるべきだと考えてきた。しかし、政党本位の政治を掲げた平成の政治改革からすでに30年以上が経過したにもかかわらず、自民党議員の政治資金問題をはじめ、肝心の政党のガバナンスは依然として十分に確立されていない。こうした現状を見るにつけ、政党交付金を受け取る政党に一定の法的規律を課すこともやむを得ないのではないかという思いが強まりつつある。(以下略)

コメント:まずN党の助成金を直ちにやめてもらいたい。



2778.維新は正念場 5.31

・維新正念場。
https://mainichi.jp/articles/20250529/k00/00m/010/086000c
コメント:立ち上げた橋下は未だにしれっとTVに出ているが、一体維新は,府民や国民に何をしてくれたのだろう。一度否決されたのに、無駄な費用を使って都構想の府民の再投票を強行し、結局否決された。かと思えば、橋下は当時の安倍晋三にすりより、自民党以上に右寄り。そして安倍に頼んで万博とIRをセットで推進。実際、IRの工事は今も進んでいるのに、万博の陰に隠れて、殆ど報道もされない。そもそも議論の多いIRこそ、府民投票を行うべきだったのだ。IRに関しては市民の声を聞いても、否定的な意見が多く、実際に投票すれば否決される公算が高い。菅の地元の横浜でも、IRの誘致には、現地の事業者や住民が反対運動を繰り広げている。
都構想やIR誘致を見て思うのは、実は維新は府民の意見に意味を傾けるつもりはないのではないかという疑惑だ。そういう独断政治こそ、橋下が作った党の哲学なのではないか。
しかも無責任ぶりでも、群を抜いている。橋下の、自分の過去の言動を棚に挙げた評論はともかく、なかでも許せないのは斎藤の人物像を見抜けずに推薦して、奴が今でも兵庫県知事に居座っている事だ。亡くなった3人の職員や議員の無念はいかばかりか。3人は維新が殺したも同然なのだ。いわば冷血な知事の間接的な犯罪の共犯者である。
そもそもなんで維新がカジノに熱心なのかも分からない。業界との関係を精査する必要がある。
オンラインカジノの混乱や被害を目の当たりにし、公営賭博でさえ止めて欲しいのに、これ以上、日本に賭博場がいらないことは明白である。だいいち維新の議員は、自分でカジノで遊んだ経験はあるのだろうか。賭博ビジネスの何たるかも知らずに、ただ外国人が金を落としてくれればいいと思い込んでいるだけはないのか。
一つだけ、維新の取り柄を挙げるとすれば、コロナがパンデミックになった時、小池の無策・無能(そのくせ瞬間湯沸かし器)に比べて、吉村は動きが早く、現場で出来そうなことを取り入れ、通天閣にもサインを付けた。集団隔離、集団治療の場を作る事にも積極的だった。残念ながら、大阪は全国でも最大数の犠牲者を出すことになったが、素早い対処は、国民にさわやかな印象を与えたことは事実である。
それでもなお、現状の維新には特に選ばなければならない理由が見当たらない。政党助成金のただどりに終わるようなら、有害政党のN党と変わりがないということになる。

・日本製鉄電炉導入。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250530/k10014820771000.html
コメント:国が2500億円を支援するという。でもこれ以上の日鉄の爆走は控えるべきだ。日鉄のトップに天才的な経営者でもいれば別だが、そうは思えない(失礼、でも今井の時代はかなり昔のことだ)。だからいま日鉄のしている事は、USスチールへの投資ともつかない投資(子会社には出来ないと全く意味がない)を含めて、危険な綱渡りになる可能性がある。そもそもトランプの判断や施策に乗る、もしくは賭けること自体、自滅行為になる覚悟が必要。なぜなら彼の思考は論理的でなく、思い付きばかりで朝令暮改、更に取り巻きの閣僚にも、まともな人材など殆どいないからだ。しかもトランプの価値判断の基準は一つだけ。それは(米国や米国民の為ではなく)自分の得になるか、ならないかだけなのである。彼にこれ以上、米国や世界を混乱させてはならない。仮に日鉄の経営の失敗で、日本株が巻き添えを食って暴落でもしたら、冗談では済まない。


【国内政治】

・小室真子の出産を宮内庁が公表。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250530/k10014821081000.html
コメント:週刊文春も週刊新潮も、同種の記事を掲載。夫妻はコネティカット州に新居を購入したとある。但し秋篠宮家との関係が修復されたという情報はない。ただ言えることは真子には自分の人生を選ぶ権利があるということと、小室の母親には若夫婦に介入する権利はないという事だ。衝動のままに奔放にふるまい、真子と実の親の関係を破壊し、若夫婦だけでなく、秋篠宮家にも大恥をかかせたからである。

・自民農林族、小泉を警戒。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6540534
コメント:これまでの失政を棚にあげて今更何を。減反政策の失敗は、今回のコメ騒動でも明らかだ。一方で、JAは膨張し、政治に口を出すはおろか、慣れぬ海外投資で失敗し、巨額の赤字を積み上げた。しかも誰も責任を取らない。JAの再生こそ農林族の役割なのに、聖域化。JAにしがみつき、甘い汁(農村票)を期待するのみ。国民の方を見ようともしない農林族こそ、最も不要なグループだと言っても過言ではない。言われてくやしかったら、必要な都度、米を輸入して見せよ。生産者とJAへの過剰な忖度で、そんなことが出来るとは思えない。とはいえ、石破の後任は別の話。小泉より林ではないか。



2779.昭恵は身を弁えて 6.1

今回の前書きは朝日新聞(5.31)の社説の紹介ですが、有難いことにネット版に全文掲載されているので、原文を一読願います。

・学術会議法案 ごり押しは許されない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16225401.html?iref=pc_rensai_long_16_article
コメント:誰が考えても、杉田が学者の思想傾向をチェックし、菅が決定したのだろう。菅が現役のうちは言いたくないというのなら、それは自民党の勝手な都合だ。不正直な人間は総理大臣になるべきではない。ワシントンと桜の話を知らないのだろうか。


【注目記事】

・斉藤の矛盾。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6540691
コメント:指示していないのに、軽減とは。口がすべった、というより嘘は必ずどこかで矛盾する。利口を装う馬鹿の悲喜劇。

・投稿者を特定した秘策。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250528/k10014816991000.html
コメント:素晴らしい。


【紛争】

・日本に対ロ修復考える勢力。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6540632
コメント:昭恵は身の程弁えてほしい。どうせ自身の考えと言うより、旧安倍派を主体とする自民党の古参どもの差し金で、おぜん立て(含む通訳)は無論外務省だろう。トランプの次はプーチン。これが日本政府の本音とは、何たる無節操。自民党が、こういうあからさまなことを続けていると、最終的に日本は世界中で相手にされなくなる。そうなると正しい主張でさえ、耳を傾けて貰えなくなる。だから財界の下働きでカネカネカネ(ヒグラシ)の自民党の無責任さは到底看過できるものではない。我々日本人にはささやかながら誇り(プライド)というものがある。それが平和憲法を通じて日本の平和と人権を支えてきた。だからこんな体たらくでは、今後の政権運営を、自民党に任せる気には到底なれない。
いま昭恵がするべきことは、森友の名誉学園長に就任したことが、自分の浅慮だったという反省の一言でよい。それだけで、昭恵への国民の評価は180度変わる。しかも変わることで晋三の名誉も少しは挽回できるかもしれない。だからもうこれ以上、自民党の使い走りをしてはいけない。
ついでに一つ予言させて頂く、本件について野田はコメントしないと思う。それは自民党、中でも安倍派と気脈を通じてきたという、表には出したくない背景があるからだ。個人的な意見であるが。



2780.新植民地主義 6.4

今回の前書きは朝日新聞(6.3)声から、一般人の投稿です。
「老老介護 一日でも長く二人で」無職 平井眞喜子 (大阪府 77)
要介談1の夫と2人暮らしです。
81歳の夫は身体障害者4級でもあり、老老介護を乗り切るため、私自身がケガや病気をしないようにと注意する毎日を送っています。
体を動かすために、そろって外出するよう心がけています。「こけないように気をつけてね」と声をかけると、「気をつけても、こける時はこける」と返事が返ってきます。
私たちもいつかは施設へ入居するかもしれませんが、それまで少しでも自立して暮らせるようにと思います。夫は家事が何一つできない人でしたが、最近になって朝ごはんの用意をしてくれるようになりました。
パンと野菜と果物、乳製品や卵料理などをおいしく並べてくれます 時間がかかってもリハビリになると思って手は出さず、「鬼嫁」に徹して見て見ぬふりをしています。
心を支え合いながら、2人だけの今の生活が一日でも長く続くことをただただ願っています。

コメント:私が知っている世帯と似ています。


もう一件は雑誌選択6月号の巻頭の特別リポートです。まさにトランプがしていることは植民地主義です。自分(と自国)さえ儲かればいいという野蛮な価値観です。キリストは絶対にそんなことは言っていない。他人のものは自分のものというのが、福音派の主張なら、それはもはやキリスト教でさえない。

「米国、シン植民地主義の猛威」世界地図、激変の時代再び。
…米国の領土拡張を目指すトランプ政権の政策が世界を揺るがしている。相手国・地域の意向や国際法の常識を無視した「シン(新)植民地主義」は何を目指しているのか。世界はどう変容しつつあるのか。
トランプ流の「シン植民地主義」は、大国が、資源収奪などを目的に自国以外の地域を侵略し、支配する近世(中略)以降の植民地主義の21世紀版だ。(中略)

関税などをめぐるトランプ政権の経済政策は、かつて植民地支配をする上で欧州の宗主国がとった重商主義と重なる。財政確立のため貿易収支の黒字にこだわり、対米黒字国からの輸入に対して、高関税を課す。(中略)
国際法や過去の経緯を無視したトランプ氏のシン植民地主義とイスラエルの軍事拡張主義の台頭は、「法の支配」や「国際秩序」のさらなる弱体化につながるだろう。

国連や欧州連合(EU)などが、規範力の維持を目指そうとしても、国際社会には、米国やイスラエルをそれに従わせる手段がない。国連安保理が、ウクライナ問題でロシアの拒否権に、イスラエル問題で米国の拒否権に直面し、機能不全に陥っている状況を見ても明らかだ。

トランプ氏は、規範力を維持しようとする動きに力で対抗しようとしている。イスラエルのネタニャフ首相に、ガザ地区での戦争犯罪の疑いで逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)に対して、今年2月、制裁対象とする大統領令に署名したのはその具体例になる。

米国のシン植民地主義は、ロシア、中国にとっても有利な状況を生み出すだろう。
両国に限らず、領土紛争を抱える地域で、軍事力や経済力に勝る大国が、自国に有利な形で一方的な現状変更を試みる誘惑にかられることになる。

自由と民主主義など共通の価値観を共有してきた欧州と米国との溝はさらに深まる。日本を含め、米国との関係が深い国は、米国の立楊への支持と、規範力支持との間で「踏み絵」を求められることになる。

米国がシン植民地主義を伴いながら、ロシア、中国という大国とのディール外交に踏み切ればどうなるか。それぞれが勢力圏を競い合い、分割して大国の利害だけで世界地図を一変させる。かつてオスマン帝国解体後の領土を英・仏・ロシアが分割した「サイクス・ピコ協定」の 21世紀版に対して国際社会にはなすすべがないー。いま私たちの目の前にはそんな世界が現れようとしている。

コメント:振り返ればプーチンもネタニヤフも、領土拡大の欲求が、侵攻と攻撃の原点だった。トランプのしていることは彼らと同じことかもしれない。しかし(世界を)この3人の好きなようにさせるということは、人類が幾多の戦争を経て、多くの戦争犠牲者を出しながら学び、築いてきた民主主義のコンセプトや、世界の秩序を根底から覆し、人類の歴史を一気に200年も過去に巻き戻すことを意味している。
ところが、合法的にそれを阻止できるのは、彼らを国の代表に選んだ3か国の国民だけである。それぞれの国民が口車に乗せられず、理性と常識を取り戻し、自分自身で判断をし、代表を選び直すことが、世界に平和をもたらす、最善の方法だ。
具体的な対策として、あるいは熱に浮かされている国民に、我々冷静な国の国民が、直接働きかける方法も考えられる。一人が一通の手紙を書いて送ってもいい。メディアやSNSの力を借りてもいい。
今こそ必要なのは世界に通用する、インターナショナルなコメンテーターであり、グローバルなオピニオン・リーダーだ。残念ながら日本には、特に若手の論客にこれと言う人物がいないが(声が大きいだけで、内容はその場の思い付きで、一貫した主張も価値観もない(橋X,ひろゆX)。但し女性ではかなり優秀な人材もいる(安田菜津紀、浜田敬子あたりは直ぐにでも議員にしたい。女子アナは、クロ現担当以外は全員失格)。自分でも頑張ればいいのだが、いかんせん名実ともに高齢者。体の無理が効かない。判断力迄鈍って、著名なジャーナリストのような醜態を晒すのも気が進ない。ここは一つ、前川喜平と三木谷にでも頑張ってもらうしかない。


【注目記事】

・斎藤知事の処分案、議会は反発。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250603/k10014824111000.html
コメント:自分は指示していないが、組織の不始末の責任は(給与カットで)取ると。自分が命令したことは誰の目にも明らかなのに、部下が勝手に(独断で?)やったことだと。誰がそれを信じるというのか。こんな者の下で働いていたら、いつ上司の代わりに罪をかぶせられて、左遷やクビにされるか分かったものではない。
面白いのは斎藤の言い分(と言うより屁理屈)。選挙で選ばれたばかりの人に辞めろと言うのはおかしいと。悪事がばれたからだよ。今まではグレーだったものが委員会でクロ(しかも真っ黒)と分かったからだ。

・農協は悪の組織なのか。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6541009
コメント:これまたストレートな表現。でも真面目に働く職員を問題にしているわけではない。問題は幹部、というより組織とその在り方にある。体質と運営方針、何より政治への介入(むしろ圧力)が問題なのだ。ちなみに幹部の収入と出身元もこの際明らかにしてほしい。私は外地にいたころ、直接御一行様にお会いしたことがある。だからどうということではないが。