「WTWオンラインエッセイ」
【第28巻の内容】
「日本の役割」
「偽りの保守(続き)」
「アベトラ、傲慢さと卑屈さと」
「アベトラと資本主義の限界」
「世界の狂犬」
「したたかな英女王」
「全農の反乱」
「地震でNHKはあてにならない」
「疑い深い人々」
「振り子は戻る、必ず」
「新秩序」
「朝ナマとトランプ」
「英雄待望論」
「正常な神経」
「恐怖のアベトラコンビ」
576.日本の役割。2016/11/17
・美浜、運転延長認可。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161116-00010002-fukui-l18
(寸評:巨額を掛けて安全対策すればなんだって合格です。そんな結論しか出せないのなら、維持に金の掛かる委員会など不要です。消費者庁か、環境庁の一部門が担当し、検査官も一人でいいのです。そもそも規制委員会の目的が100%狂っています。危険な炉は再開を禁止することが本来の職務であり、条件付きで許可することが仕事ではないのです。即ち国民の安全を守るための組織ではなく、原発再稼働推進のための既得権に堕してしまっているということなのです)
577.偽りの保守(続き)2016/11/18
、岸井成格(しげただ)、佐高信(まこと)著
「偽りの保守・安倍晋三の正体」講談社α新書
から、今回は最後の部分をご紹介します。
(以下引用)
第8章 「安倍独裁」の正体
安倍は拉致を政治的に利用し尽くした
佐高 福田康夫は、安倍との関係は悪いでしょう?
岸井 安倍は本気で日中、日韓をやろうなんて気はないからな。安倍とその支持者にとっては、日中、日韓の関係が緊張しているほうがいいんだ。それに乗じて勇ましいことが言えるし、好戦的な主張が通りやすくなるから。だから戦後七十年談話があんな中途半端な内容になってしまった。安情の支持者は「中国なんかとつき合う必要ない」「韓国の栂陵締なんて放っておけ」という連中ばかりだ。
佐高 磁場が緊張しているほうがいい。ナショナリズムを煽れるし、タカ派的な政策・法案がすべて通る。安倍のそういう空気の掴み方は拉致問題からでしょう。
岸井 位致問題だって、安倍は本気でやる気があるのか、ないのか。これは大問題だよ。
佐高 蓮池透が『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)という本を出したけど、安倍は拉致を政治的に利用し尽くしただけでしょう。むしろ本音は解決しては困ると思っている。
岸井 本当に蓮池透が書いた通りだな。
佐高 小泉の罪も深い。
岸井 いや、小泉はそれなりにやる気はあったと研う。
佐高 そうじゃなくて、安倍を後継者にした罪だ。
岸井 最近、「サンデー毎日」のコラムで倉重篤郎が書いたな。歴史にifはないけれども、もしあの時5人をいったん帰していれば、挑戦半島との関係は変わっていたと.
佐高 私もそう思う。それにしても、安倍政権にとっては緊脹していたほうがいいどいうのは、なるほどだね。
岸井 むしろ、それこそが政権の基盤になっている。その一方でアメリカには言いなりになってしまうわけだろう。辺野古の問題も大きい。しかし、アメリカの記者たちも変わってきた。沖縄の現状を見るたびに、アメリカはやりすぎなんじゃないかと彼ら自身が思うようになってきている。沖縄の現状は日米安保の枠を超えている。基本的人権の問顕であり、民主主義の根幹に関わると、彼らにもようやくわかりかけてきたんだ。
佐高 しかし安倍に人権という感覚はない。
岸井 感じられないね。少なくとも沖縄については「アメとムチ」で、アメの振興策ばかり擾先する。米軍基地と原発の誘致はまったく同じ構造、差別そのものだ。
植民地主奏者が属国を見下す如く
佐高 沖縄に関しても、野中広機と菅の違いがやっぱりあるね。
岸井 全然違うよ。野中は情を大事にするという、保守政冶家の一つの基本精神を持っていた。「情」というのは精神論というわけではなくて、それはつまり、それぞれが持っている事情や歴史を重んじるということだ。だから野中は、沖縄の見捨てられた歴史に涙を流し、本気でなんとかしたいと思っているところがあった。
菅はまったく逆だ。片づくものは早く片づけたい、金で決着がつくのなら金で解決しよう。合理主義といえば合理主義だし、解決型の政治、そこが「何も解決できなかった」民主党政権との違いだと強調している面もある。まさに札束や脅しで人脈を握る感覚に通じる。
佐高 私は、野中に意外な場所で遭遇したことがある。岬度は、橋下徹が知事を辞めて大阪市長選に出る時に、平松邦夫の応援の車で一緒になった。二度目は宝塚市長選の時、元社民党の中州智子の選挙前の演説会だった。そういうところに菅が行くことはあり得ないからね。
岸井 菅は野中を絶対に許さない。菅からしたら野中は纂切り者だろう。
佐高 裏切り者というのは?
岸井 自分が金をあれだけ出して沖縄のことをやってきたのに、と。菅は沖縄のためにいちばん苦労したのは自分だと思い込んでいるんだ。でも、それは心や情や相互理解に基づく政策ではなくて、金だけだ。この間の普天間基地のある宜野湾市長選でも辺野古移設を焦点化させなかった。何をしたかというと、ディズニーランド誘致計醐だろう。ああいうことを今の官邸は平気でやるんだよ。
佐高 『未完の敗者田中角栄』(光文社)で書いたけど、金というのは貰うほうの屈辱感を拭い去らなければ生き金にならない。しかし菅や今の官邸は極めて下劣だ。相手を札束で叩いている。沖縄を理解するどころか、まさに植民地主義者が属国を見下すやり口としか思えない。
岸井 福島に対レしもそうだ。基地問題と原発問題が同じ樽造だというのは、権力の対し方が同じだということで、そこを批判しなければならないんだ。まったく恥を知れと言いたいよ。だからこそ、今度の大津地裁決定の意味が大きい。
しかしこれもいやになるような話だけれど、今の復興大臣は高木毅だよ。高木の福井二区は全国最多の原発立地だ。下着ドロボー賎惑よりも、こっちのほうが本質的な問題だ。ここに今の官邸の感覚があらわれている。原発銀座で先頭に立って原発を推進してきたやつが、どの面下げて復興大臣をやろうというのか。こういった根本的な政冶感覚の欠如が、この内閣の本質なんだ。
佐高 岸井が憂慮するように、人材不足というのが本当に深刻だね。ゲス不倫の宮崎謙介とか、「歯舞」を読めない沖縄北方担当相とか、ろくでもない政治家が次々と出てくるんだから。
岸井 今や二回生以下の公募組が四割を占めているんだから、本当に政界に道材がいなくなったね。これはえらいことだよ。
小沢がいたからこその共既
佐高 そしてやはり、変わるべき民進党が極めて心もとないでしょう。
岸井 統一候補、安保反対でどういう情勢がつくれるかだろうな。
佐高 共産党が頑張って、野党共闘を支えていくという形しかないんじゃないか。
浮勤票がどこへ行くかを考える時、ネット社会における抗議ということも今後の情勢では大きなテーマかもしれない。「保育園落ちた」の話なんか、今のメディァ環境から発せられ
ているわけでしょう。
(中略)
佐高 国会であの質問をした山尾志桜里はなかなかじゃないか。「日刊ゲンダイ」は山尾を党首にしろと書いてあったけど。
岸井 その声がけっこうあるんだよ。
佐高 山尾はその器なの?
岸井 簡単には言えないが、面白い仔在ではある。
佐高 この間、「週刊金曜日」に、去年の民主党福島県連での出来事について書いた。最高顧問の渡部恒三が、野田佳彦が来賓として来ているのを見て、「野田君、なぜこの席にいるのか。君は民主党を潰した張本人だ」と言ったそうだ。渡部は藤井裕久と一緒に、あそこで解散すべきでないということを野田に言いに行く予定だった。画会日まで決まっていたのに、それをキャンセルされて、民主党は解散してしまった。「あそこで解散していなければ、まだ民主党はここまで落ちぶれていない。だいたい玄葉(光一郎)君もなぜ野田君を呼んだのか。野田内閣で外務大臣にしてもらったからか」と演説した。この一件が永田町で評判になったらしい。
岸井 野田はもう一つ、小沢だけは許せないと.言っている。そんなことを言っているからだめなんだ。冷静に見て、この政冶状況に対して仕燭けができるのは、いまだに小沢しかいない。
共産党の志位和夫が候補者を降ろすことに納得したのは、小沢の影響が大きい。そんなこと、小沢以外、誰も考えなかった。
佐高 私は近々、小沢の会で喋ることになっているんだ。
(中略)
新しい遵携と抵抗へ岸井
岸井 官邸前デモの再現が、与党には悪夢なんだ。吉永小百台が党首の平和の党なんて、最悪の存在だろう。今度の選挙のカギを握っているのは、無党派層と若者だよ。今、無党派層が四割近くいる。彼らが選挙に行くかどうかだ。
安倍は今、口を開くと「今度の闘いの相手は共産党」と言っているんだ。前に佐高は私が叩かれる理由を整理してくれたけど、もう一つの理由が「赤旗」に取り上げられた回数の多さだ。吉永小百合もそれでやられ姶めた。政府は、共産党を有効に叩いておけば無党派層が近づかず、今度の選挙を乗りきれるのではないかという発想でいる。
佐高 今の若い人には共産党アレルギーが少ない。私なんかからすると、それで大丈夫かと心配になるほど、警戒心がないんだね。私は共産党から好かれていないから、岸井ほどには「赤膜」には取り上げられない。城山さんが言っていたけど、佐藤内閣時代に「赤旗」寄稿者リストというのが出回ったそうだ。エッセイを書いたというだけで減山さんの名前が載っていた。城山さんは、非常に怒っていたね。
岸井 今もまさにそうだよ。私が番組で取り上げたことが「赤旗」で記事になっただけなのに、私は主敵にされてしまった。まったく恐れ入る。もはや「赤狩り」の時代だな。
それと、これから最も大事な視点は、安倍内閣の最大の目的、「戦後レジームからの脱却」の本性が、いよいよ明らかになったということだ。つまり戦時体制づくりのための国家統制型政治が本番を迎えている。一に憲法改正、二に教育、三に言論統制だな。特定秘密保護法と安保法制にはじまり、「防衛装備」と言葉を換えた武器輸出解禁、沖縄の辺野古問題、原発再稼働と、戦後日本は極めて大きな曲がり角に立っている。特に、「電波停止発言」で露わになったメディァ支配の野望は、憲法が保障する「表現の自由」「言論の自由」「国民の知る権利」の根本的な侵害になる。この問題は、海外のメディアと国連人権理事会が強い関心と懸念を示しているわけだけど、日本は鈍感すぎるよ。
佐高 アメリカの「赤狩り」ではチャップリンのような自由主義者も告発されて追放されている。密告と相互監視が社会を支配して、メディアは自主規制に縛られるようになった。
「赤狩り」の潮流は、日本の民主主義と平和主義もおびやかしたわけだから、岸井の比揄は正確だよ。今、それをさらに深化させたような弾圧に対しては、新たな連携で抵抗していくしかない。岸井と私がこうして対談をすることも、これまでにない共闘をつくるきっかけになればと思うね。
(引用終わり)
578.アベトラ、傲慢さと卑屈さと 2016/11/19
我が国では.岸信介の祟りが国中を覆っています。平安時代と同じです。今日本に必要なのは、共闘拒否で死に体の蓮舫民進党よりも、安倍家にとりついた岸の怨霊を払う、白の祈祷師なのかもしれません。ところで貧富の格差が拡大すると必然的に起きる社会現象を何と呼ぶかご存知でしょうか。それは革命、または維新です。その近い将来でさえ、首相や閣僚には想像できないから、国会が茶番劇になっているのです。徹底的に国民を侮っているからなのです。自分より愚かな人たちに馬鹿にされることほど、腹の立つことはありません。一方で、いかなる形であれ、犠牲だけは避けなければなりません。迅速で効果的で、むろん民主的な政権交代を実現するにはどうすれば良いのかを、国民レベルで真剣に考えることしか、来るべき国全体を揺り動かすであろう争乱を避ける方法はないのです。
・朴大統領、退陣否定。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/19-3.php
(寸評:独裁者のすることはどこでも同じです。退屈なほどにワンパターンです。仲間=閣僚、には好きなようにやらせ放題。しかも自身の責任は完全否定。責任感と包容力の欠落。気が小さくて潔癖。ヒトラーがそうでした。滑稽なほどの自我肥大と、そしてなにより民意の全面否定です。翻って、極東の某大国はどうでしょうか。経済効果どころか、持ち出しの上、使用後は施設が巨大な負の遺産になることが分かり切っている東京五輪のごり押し。たかがスポーツの祭典にここまで固執するのは、国民の与党への矛先をかわしたいというトップと取り巻きの必死の思いがあるからではないのか。ローマ市民を剣闘士の殺し合いに熱狂させ、自分への批判を封じ、共和制を否定して皇帝に着任したシーザーと酷似しています。ポッドレースを開催したスターウォーズの皇帝と言い換えても良いでしょう。古今東西、独裁者=独裁政権、のすることはあきれるほど似ています。何処かに独裁者のガイドブックでもあるかのようです。それでも騙されない者は少しはいるのです。彼らを権力で黙らせることも一時的には可能かもしれない。それでも、腐り切って内部が空洞になった大木は、内紛や風の一吹きで、自らあっけなく倒れるのです。
某国の首相が、大統領就任前というのに、トランプに馳せ参じた姿を見て、情けないと思う同国の国民が一人もいないと思ったのでしょうか。外紙だってその姿を揶揄しているのです。そもそも、そんななりふり構わぬ軽率な事をすれば、同国はやっぱり米国の属国だかと、独立国ではないと、世界中の笑い者になることくらい、どうして思い至らなかったのか。またそれを側近はなぜ諌めるようとしないのか。それとも良い関係を作ったと自画自賛しているように、僕ちゃんよくやったねと褒めてもらいたいのでしょうか。独立国のプライドも何もあったものではありません。すっ飛んで行って、家来になりますといって自分の首ならともかく、自分の立場と引き換えに、国を差し出したようなものです。そんな事ならだれにでも出来るし、会談内容を秘密にもしたくなるでしょう。哀れな姿を見ていると、売国奴という言葉が脳裏から離れないのです。
同国の国民がどう感じているか等は、彼にはどうでもいいことのようです。喜んでいるのは、金融界をはじめとする業界、保守的な政治家、富裕層の既得権者くらいでしょう。いま私の眼前に広がる某国の未来の姿は、なんたらミクスという金融政策に依存した景気対策で失敗し、税金を無駄にばらまき、その分、福祉を切り詰め、結果これまで以上に経済格差が拡大し、トランプに命じられて防衛費を増やし、依頼されるがままに、米軍の支援のために自国の軍隊をどこにでも派遣する首相=最高司令官の姿です。それは某国ならぬ、亡国の首相です)
・トランプの移民政策は、日系人の強制収容所が手本。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/18/trump_n_13067578.html?utm_hp_ref=japan
(寸評:トランプの就任を肯定したら、後はなんでもありになります。トランプの就任を阻止し、就任したら弾劾に向けて戦う。そういう米国民を私は支援したい。安倍首相にはこの風潮が意味することが全く分かっていないらしい。トランプ自身は何をしなくても、トランプを支持する勢力が、次に持ち出すのは、ただ乗りと言われている日本への憎悪と報復です。独裁者は仮想敵国への国民の憎悪を煽って、国を一つにまとめようとする。某首相が、中国を仮想敵国にしているのと同じ手口です。米国の貧困層から、口を揃えてジャップに負担させろと叫ぶ声が出始めるのは時間の問題なのです。しかもトランプ自身が直接指示したり、意見を言わなくても、意を汲んだつもりの取り巻きが暴走を始めるのです。日本でも同じことが起きているので、よく分かります。トップが保守的、排他的な雰囲気を醸し出すだけで、米国も世界も変わってしまうのです。それが政治の持つ恐ろしさなのです。
現役当時、私は日米貿易摩擦を目の当たりにしており、渦中に立たされた当時の勤務先で貿易を担当していたので、会社の前でブラ下がり取材された経験もあります。盛田と慎太郎の、ノーと言える日本が出版された時期でもあります。一言申し添えると、上司だった後の副会長は、実際に命を擦り減らして、ソフトの問題で米国と渡り合いました。また当時の経済産業省の行政官も、米国に言うべきことは言う背筋のまっすぐな人たちでした。その当時の経験が、その後の私の行政組織への信頼感の基礎になっています。残念なことに、現状ではややその信頼が揺らいできていることも否定はできませんが)
関連記事。トランプが来るで逃げるゲーム、全米の学校で流行。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35092443.html?tag=top;topStories
関連記事。米報道、日本が駆け付け。
http://www.asahi.com/articles/ASJCL43DJJCLUHBI01G.html?iref=comtop_8_02
・トランプ後の世界は中世に回帰。水野和夫。
http://toyokeizai.net/articles/-/145510
(寸評:一読をお勧めします)
579.アベトラと資本主義の限界 2016/11/20
以下の記事でも分かるように、安倍首相がトランプの許にはせ参じたことは、眉をひそめるべきことなのに、日本のメディアはなぜか批判しようとしません。あまつさえ日本では、駆け付け警護や、沖縄の問題のデモの報道が極度に少ない。しかし以下で紹介しているように、デモは行われているのです。こういう状況を暗黙の言論統制と言うのです。
関連記事。報道と表現の自由、どう守る。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/71857
関連記事。トランプ派が、イスラム教徒登録論。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016111900178&g=int
関連記事。副大統領候補への呼びかけを嫌がらせと。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112000019&g=int
(寸評:早くもトランプ政権の狭量さを示す出来事です。日本政府はトランプ政権とは一定の距離を保たないと、やがてとんでもないことになります。世界の爪弾きにもなりかねません。ヒトラーに付き従うムッソリーニの姿の二番煎じなど、日本の国民は見たくもないし、洒落にもなりません)
・トランプ、強行派揃う。
http://www.cnn.co.jp/usa/35092452.html?tag=top;mainStory
関連記事。三人とも反イスラム主義。
http://www.asahi.com/articles/ASJCM5S0QJCMUHBI01R.html?iref=comtop_8_02
関連記事。トランプ外交出中東に危機。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09749500Z11C16A1TZN000/?n_cid=DF150220104320
(寸評:これが米国と世界の運命に影響を与えないはずがないのです。米国型新本主義が生んだグローバリズムと格差、その格差が生んだ右傾化と、保護主義。詰まるところ、カネがすべての新自由主義の資本主義が、世界中を悪夢の世界に引き込むことになるのです。エバンゲリオンで地上を破棄する使途は、金融資本主義という化け物が、世界を蹂躙し、破壊する姿を象徴しているのかもしれないのです)
580.世界の狂犬 2016/11/21
・国防長官に狂犬。
http://www.asahi.com/articles/ASJCN7SRCJCNUHBI02M.html?iref=comtop_8_05
(寸評:もはや大統領選をやり直さないと、世界中がとんでもないことになります。既成事実のままに流されていては、絶対にダメです。それにしても好戦的で差別主義、即ち民主主義の対極にあるトランプにすり寄る某首相とは一体どういう価値観の人物なのでしょうか。自分は国のために下げたくない頭を下げているのだ、それを分かってほしい、だからけなげな僕ちゃんを、よくやっていると褒めてほしいとでもおっしゃりたいのでしょうか。またそれを評価する、メディアを含む、同国の産業界、金融界というのは、どのような仁義なき怪物集団なのでしょうか。
某首相が、心から国と国民の将来を心配するのであれば、いまこそ毅然としてプライドを堅持し、結果として自由世界での存在感を高めるべきなのです。内政不安であてにならない米国などよりも、安定したアジアの同国への信頼感を高めることが、ビジネスの上でも絶対に有利なのです。米国からビジネスを奪う機会にもなるからです。一方で、民主主義の擁護者としての立場を世界に示すこともできます。某国の首相は、これ以上の絶好の機会はないというのに、それさえも思い至らないほど、自身の偏狭で独善的な思考にどっぷり浸かっているという事なのでしょうか)
581.したたかな英女王 2016/11/22
・英女王、トランプ招待。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161121-00000019-reut-n_ame
(寸評:さすが老大国、することがしたたかです。でも日本は絶対にその真似をしてはなりません。欧州では面従腹背など日常茶飯事。しかも外国もそれを百も承知している国だからこそできる芸当なのです。要領も悪く、したたかさもない、甘ちゃんの日本としては、いまは易々とトランプに組みしないことが、最善の策なのです。独自路線の旗をそれとなく掲げることで、アジアの民主勢力を結集できる、またとない機会なのです。今夏の大統領選挙で、正義はトランプ側にはないのです。米国民の民意を背景にしているとは到底言えないからです。日本が独自の価値観と立場を、アジアで持つことが、将来米国と交渉する時の切り札にもなるのです。妥協は後でいくらでもできます。今それを自分から進んでする必要はどこにもないのです。最初から白旗を掲げて軍門に下るなどは、そもそも知恵のある将のすることではありません。それなのにTPPで結集などと言い出して、全くもって、ピントがずれまくっています)
582.全農の反乱 2016/11/22
・全農改革に猛反発。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161121-00000003-khks-bus_all
(寸評:本当にそうでしょうか。巨大化した非効率な既得権であり、農民を収奪する仕組みになっていたからこその改革ではないのでしょうか。その目的は、農民へのサービス提供機関としての互助機関ではなく、自組織の存続と一層の拡大が最優先目標。しかも政府はこの交渉中に、存続を認めるという大きな妥協までしているのです。そもそも金融で儲け、資金力を背景に政治に圧力をかける組織など、農協の本来の姿でも何でもないでしょう。農村を基盤にする保守系議員の発言権拡大のための巻き返しが、今回の騒動の本当の目的ではないのか。競争原理を導入し、組織を小さく軽くして、農民に選択肢を与えて、結果、農民の経済的負担を少しでも減らす事がなぜ悪い。独占や寡占は資本主義の原理を否定するから禁止されているのです。そういう基本的なことさえ分かっていない。TPPへの反対なら未だ分かります)
583.地震でNHKはあてにならない 2016/11/22
5:59、福島沖の深さ25qを震源地とするM7.4の地震が発生。福島では震度5弱。東京で3.
直後に予想されていた津波は贈れており、6:50に引き波を観測。地震直後に港から船舶は避難を開始。
津波の予想の高さは3m。福島以外の沿岸では予想1m。311の時の予想は3mで実際は10mだった。
いわき市の呉羽化学コンビナートで火災発生。6時に20q沖で実際に津波を観測。
小名浜港でも60pの津波を観測。TV映像でも海水が港に流れ込んでいる様子を中継。
福島第二原発の沿岸部で1mの津波を観測。相馬、石巻でも1m近い津波を観測、仙台港では1m40cm。
潮位は依然上昇中。
福島第二原発の使用済み燃料の冷却プール冷却装置が自動停止。現在水温28度。1時間に0.2度上昇。
運転制限温度は62度。その後ポンプ再起動、冷却開始。
今回の地震で最も失望、というよりむしろあきれたのは、NHKの姿勢です。避難してくださいという連呼で終始 。それ以外の情報はほぼ皆無。ところが、例えばTBSでは、新幹線のホームの表示板が大揺れしている映像を
流したり、各地の避難状況を報告したり、原発の冷却水の東電の発表をリアルタイムで中継していました。 これは東電の発表はそのまま流さす、政府や籾井のOKが出るまで中継はしないとでもいうような方針が
、仮にでもあるとしたら、メディアにあるまじき、絶対に許すことの出来ない行為です。それでも避難の状況くらいは 伝えられるはずなので、明らかに報道局の怠慢です。
熊本地震の時も、民放ではいち早く現地からの映像が届いていましたが、NHKは後手でした。 NHKは、同社の経営者と職員のための放送局ではあっても、国民や視聴者の為の報道機関ではなさそうです。
584.疑い深い人々 2016/11/22
この時代、何が最も難しいことかお分かりでしょうか。それは市民の常識に基づく正常な判断力を維持することです。政権や、行政組織や、報道機関から、様々な横やりが入り、事実を報道しなかったり、報道しても関係者の独自の価値観で脚色されているからです。こちらは記者や報道機関の経営者による色付けを差し引いて、自身の持てる判断力をフルに駆使して、自分で真実に辿り着くという作業を余儀なくされます。WTWからのアドバイスは、額面を信じるな、全ての公表・発表内容を一度は疑って掛からないと、想定外の不利益を被ることもあり得るということです。その時に私たちの唯一無二の武器となるものが歴史と史実の知見です。とりわけ直近の記憶です。
日本中が疑い深い人たちで一杯になれば、雰囲気は悪くなるかもしれないが、争乱や、国家権力の暴走は食い止められるでしょう。最近の政治の暴走の例としては、南スーダンへの自衛隊派遣があります。そしていま私が最も警戒しているのは、トランプ政権の受け入れ、肯定の雰囲気です。日本のジャーナリストはどうして、揃いも揃ってこうも骨抜きになってしまったのでしょうか。安倍晋三氏の振舞も、とても正気の沙汰とは思えない。長いものに巻かれるだけなら政治家は不要です。今の安倍政権は単なる盲従、隷従であって、それなら莫大な金のかかる政府も議会もいらないのです。連絡役のお茶坊主が一人いれば済みます。というより、安倍首相こそ、その役割を嬉々として果たしているのかもしれないのです。
585.振り子は戻る、必ず。 2016/11/23
日本の政治シーンでめったに見られないもの。それは民主主義と議会政治です。一方、米国の民主主義はトランプが当選したくらいでおかしくなるほどヤワではありません。それは彼らが血を流して勝ち取ったものだからです。そこが国民が理不尽な政治であっても、我慢して寄らば大樹の陰と、従順に受け入れる日本とは決定的に違う点です。与えられた民主主義と自分で勝ち取った民主主義の違いと言っても良いでしょう。私は日本が真の民主主義国家になるためには、近い将来大きな試練を経なけれならないのではないかという気がしてならないのです。しかもこれは世界情勢についても言えることです。トランプが勝ち、ヒラリーが負けた。これは現象面としては米国でポピュリズムが勝利したという一政治現象に過ぎないかもしれない。でもこれからトランプ大統領が様々な愚策や無理で評判を落とすことが決定的です。しかも日本の国民と違って米国民は理不尽は認めません。そして一度右側に振れた振り子が元に戻り始めるでしょう。しかもその動きは米国だけではないでしょう。
振り子というものは、大きく振れたままで、その位置に永久に留まることなど出来ないからです。必ず揺り戻しがあり、その時もは争乱が起きる可能性もあります。それは歴史が示しているのです。この時代、何が最も難しいことかお分かりでしょうか。それは市民の常識に基づく正常な判断力を維持することです。政権や、行政組織や、報道機関から、様々な横やりが入り、事実を報道しなかったり、報道しても関係者の独自の価値観で脚色されているからです。こちらは記者や報道機関の経営者による色付けを差し引いて、自身の持てる判断力をフルに駆使して、自分で真実に辿り着くという作業を余儀なくされます。WTWからのアドバイスは、額面を信じるな、全ての公表・発表内容を一度は疑って掛からないと、想定外の不利益を被ることもあり得るということです。その時に私たちの唯一無二の武器となるものが歴史と史実の知見です。とりわけ直近の記憶です。
日本中が疑い深い人たちで一杯になれば、雰囲気は悪くなるかもしれないが、争乱や、国家権力の暴走は食い止められるでしょう。最近の政治の暴走の例としては、南スーダンへの自衛隊派遣があります。そしていま私が最も警戒しているのは、トランプ政権の受け入れ、肯定の雰囲気です。日本のジャーナリストはどうして、揃いも揃ってこうも骨抜きになってしまったのでしょうか。安倍晋三氏の振舞も、とても正気の沙汰とは思えない。長いものに巻かれるだけなら政治家は不要です。今の安倍政権は単なる盲従、隷従であって、それなら莫大な金のかかる政府も議会もいらないのです。連絡役のお茶坊主が一人いれば済みます。というより、安倍首相こそ、その役割を嬉々として果たしているのかもしれないのです。
586.新秩序。 2016/11/24
私は世界が、それと意識せずに求めているものは新秩序(new order)だと感じています。マルクス主義は理想国家を目指しつつも、努力して豊かになりたいという個々の人間の内在的、根源的な欲求と、競争を抑圧することで、挑戦の意欲と創造力を人間から奪いました。その結果得たものは、悪平等だけでした。しかも、国を管理する官僚独裁体制が、警察国家となり、一党独裁と腐敗を生んだ。そしてロシアではゴルビーという英雄が現れて、共産主義は事実上の終わりを告げたのです。
中国では政治はマルクス主義、経済は資本主義という無理な体制に移行して、強権で維持することで国家の形を維持しています。彼が腐敗を極端なまでに追及しているのは、それが共産主義体制を瓦解させる最大に要因だからです。日本は資本主義体制なのに、独裁の道を選んだ。これまでも事実上自民党の一党独裁でしたが、今政党の独資和え半句、孤児の独資内なっている。これは吉田茂以来の現象です。閣僚や議員の不祥事がこれだけ無数に発生しているのに、それでも政権が維持できているのは、個人による独裁体制だからです。中国と日本は実は酷似しているのです。それは個人の独裁で体制を維持しているという点です。
一方資本主義国では、資本家が蓄積してきた資本、即ち資金が膨大に膨れ上がりました。そしてついには資本自体が、自分自身の意志を持ち、それを名目上所有する個人や団体の手を離れて、より多くの利益を求めて独り歩きを始めました。グローバリズムの名のもとに世界中を荒らしまわっています。世界中を飛び回る凶暴なハゲタカの群に化したのです。新自由主義、市場主義、金融資本主義と形を変えながら、より効率の高い運用を至上の命題として様々は自己増殖の様々な仕組みを作り出しました。いまや人間がカネを支配するのではなく、カネが人間を支配しています。
その結果、資本主義体制がもたらした(負の)効果が経済格差です。資本主義体制下では、好むと好まざるとに関わらず、必然的に富が偏るのです。持てる者はより豊かに、持たざる者はより貧しく。これは資本主義の避けることのできない帰結なのです。結果、資本主義の恩恵を受けた人達は全体の僅か1%でした。この厳然たる事実が、資本主義が人類の幸福にとって最適なシステムではないことを明確に示しているのですが、だれも資本主義が失敗だとは言わないのです。そんなことを言おうものなら、良くてもアカ=古い、とか、悪くすれば非国民扱いされるでしょう。そういえば昔は共産主義は悪者扱いで、勝共連合などいう訳の分からない組織もあって、岸信介が旗を振っていました。
ところで民主主義なのになぜ独裁体制が生まれのか。民主主義から、その対極にある全体主義が出てくるのはなぜなのか。ナチを例に引くまでもなく、ロシア、トルコ、フィリピン、日本等、枚挙に暇がありません。しかも今後議会政治がまともに機能しなければ、大統領の権限が強大な米国でも、その可能性がないとは言えません。民主主義が独裁政治に移行するきっかけは、ポピュリズム、即ち大衆迎合主義が作用するからです。為政者が国民感情を刺激し、危機感を煽ることで、その過半数を(情緒的に)把握することさえできればあとは一気呵成です。しかも冷静で論理的な説明は必要がないのです。というよリ感情的なアジテーションの方が大衆の心はつかみやすいのです。興奮した一票も、冷静な一票も、一票に代わりはないのです。これに一番近い存在は新興宗教の教祖です。理性より感情、論理より情緒です。
民主主義の政治形態も、大きな矛盾と岐路に直面しています。自由意志を持つ人間が、自身の信念と価値観に基づいて判断して投票を行い、国の運営を付託する相手を選ぶ。その選択にあたり、事前に十分な情報を判断材料として得ていなければなりません。ところが今の選挙システムではその保証が全くないのです。結果冷静な判断結果も期待できないのです。英国や米国を見れば一目瞭然です。付和雷同で感覚的な判断で選ぶことになるのです。結局、美人コンテストのような単なる人気投票に堕するのです。見た目で選んで何が悪いと。無論この場合に限り、見た目で選んではいけないのです。政治家は外見や雰囲気で仕事をする訳ではないからです。だからポピュリズムは、民主政治のようで、それとは全く違う存在なのです。選挙は市民、言い換えれば公衆が行う選択です。公衆と、大衆の違い。それは公の文字が示すように、選択をする時に、個人的な利害を超えた判断が出来るか出来ないかの違いなのです。もし公衆の立場で判断すれば、トランプが選挙で勝利することなどあり得ないのです。大衆が情緒的に政治家を選ぶことで、独裁政権と独裁政治家が生まれるのです。自国優先のナショナリズムが、外国や世界に目を向ける余裕を失わせます。独裁者の自国優先の内向き思考に引きずられ、勢い国家間の摩擦が拡大し、それが紛争、すなわち戦争に発展し、やがては収集が付かなくなるのです。
独裁者の手口は退屈なほどに代わり映えがしません。まず敵が攻めてくるぞと危機感をあおる。自分強いリーダーシップで外敵から国を守って、国見の生活を豊かにする。安倍首相でさえ、言っていることはこの二点に尽きるのです。それが実現不可能な絵に描いた餅、幻想だとは絶対に言いません。強い(あるいは汚い)言葉で自己をアピールする。そのためにも見てくれと見栄にはこだわる。しかもまずいことには、国民の意識から第二次大戦の忌まわしい記憶は既に擦れている。なぜなら70年もたてば、体験した人の多くが故人になっているからです。
何しろ戦前のドイツという反面教師があるのだから、今後独裁国家で何が起きるのかは火を見るよりもはっきり分かるのです。財閥の拡大、軍拡、憲法改悪で国民の権利を制限、取り締まりを強化する警察国家、そしてついには事実上の国民主権のはく奪です。それを阻止できるのは国民しかいないのです。政治家も行政機関も、倫理観も規範も乗り越えて、違反には自己弁護を続けながら、組織のための組織に変異してゆくのです。企業でも同じ事が起きています。もともと企業は従業員のためにある訳ではないが、利潤追求、経営者のための組織であることが一層あからさまになってきているのです。一つには労働組合が風化して、形骸化しているという背景もあります。
いまや資本主義や民主主義を本来の目的と軌道に戻そうとする運動が顕在化し、国民的なレベルと規模で拡大しなければならない時期なのに、誰も惨憺たる現状さえ正視しようとしないのです。一つには政治家や行政官の知力が、現状を理解出来ないほど曇っているということも否定はできないと思いますが、制度自体が限界に来ている事の方が大きいと思います。それは資本主義と民主主義が制度疲労を起こしているということなのです。制度や仕組みが自分の意志を持って勝手に動き始めているのです。制度を大きく、しかも暴力的に変えることを革命と言います。しかし私は大きな犠牲をともなう革命という言葉は好きではありません。かといって漸進的な改良では間に合わないし、緩やかな変化なら、既成権力の力で、容易にもみ消されてしまうでしょう。だから、体制を変革するには、何らかのドラスティックな変化が必要なのです。
最近でも、閉そくした現在の政治・経済体制に対する反旗は何度も上がっています。アラブの春がそれであり、そしておぞましいISの存在の背景にも被抑圧階級の不満がありました。格差に対する国民の不満という点では、英国と米国の政変劇にもそれが影響しています。でもこれらは(米大楼稜選を含めて)大衆の不満の爆発に留まっており、それ以上ではありません。不満だけでは体制を変えることは出来ないから、また不満のマグマが溜まって爆発を繰り返す。でもこれ以上非生産的な大衆行動はなく、しかもその度に無関係な市民の血が流されるのです。
世界を、独り歩きしている制度や組織の手から、血の通った人間の手に取り戻す。そのためには大きな変化が必要なのですが、どうすればそれを最小限の混乱で達成できるのか、菲才な私には分かりません。自然科学の世界では様々な発見が相次いでいます。21世紀にふさわしい政治経済のシステムは何か。犠牲を伴わずに、そこに移行する方法は何なのか。新秩序を提言できる、天才的な社会科学の天才が現れてくれないものか。それが私の、そして世界中の心ある人々の、切なる願いなのです。
587.朝ナマとトランプ。 2016/11/26
トランプ特集の朝まで生テレビを見ながら原稿を書いていて思ったことは、トランプは米国の橋下徹ではないかということです。ところでこの番組に限らず、私を含む一般市民は、一流の有識者が持論を展開するのをかしこまって承るだけなのですが、でもそこでハタと気が付きました。同番組だけでなく、さまざまなニュース番組で、コメンテーターが意見を述べているが、その全部が正しいわけでも、まともなわけでもない。その時、それはいかがなものか、ちょっとおかしいでしょうと指摘することができない、あるいはしないところに日本の政治のすべての問題があるのではないか。世の中は多数の人たちが常に正しいという事にはなりません。むしろその逆かもしれないのです。少数派の意見の方が遥かに筋が通っている場合も多い。なぜなら少数派は、失うものの多い既得権、権力層と違って、利害関係にあまり左右されず、言うなれば欲に目がくらまずに、冷静な分析と判断が出来るからです。おかしいと思ったことに異を唱える習慣がないというだけで、少数意見が黙殺される。それが民主主義を掲げる国家において、いかに異常な事か。得心がいかない点を指摘し、そしてなぜ自分がそう思うのかを論理的に説明する。そこに民主主義が生まれるのです。そういう意味で、日本には未だ民主主義が育っていないと思うのです。ということは、近い将来、日本の政治シーンには、避けがたい大きなうねりがやってくるのではないか。言葉を換えれば、国民の意識面でドラスティックな変化、マイルドに言えば成長が起きるかもしれない。そしてそれこそが、保守政党が絶対に口にしないまでも、最も恐れていることではないか。ちなみに昨夜の朝ナマでは、宋=トランプ支持の中国人論客、があまりに騒々しいので発言の都度音声を切りました。なぜ司会の田原はたしなめないのか。マナーが守れないのならもう出さないでほしい。議論では、米国がもう他人のことを考えている余裕がなくなったと田原が指摘し、皮肉なのは私が全く評価していない自民党の山本一太が、最も分かりやすい説明をしていたことです。戦争体験のない女性論客たちの右傾化した現状肯定論にはいささかうんざりしました。最もまともな、言い換えれば正気の論客は孫崎だけでした。ところでトランプ支持の日本人には是非以下の記事を読んでほしいと思います。
・教会に鉤十字。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/25/trump-inspired-vandalism_n_13218664.html?utm_hp_ref=japan
588.英雄待望論。 2016/11/27
いま日本が、そして世界が必要としているもの、それはこれまでにない、21世紀の民主主義のリーダーにふさわしい、斬新な英雄像です。トランプ対クリントンの選挙戦が、先進国における民意と選挙の関係を、これ以上ないほどに明確に象徴しています。なぜかというと、まずは二人とも人気がなかったという事実です。民主党はなぜケリーを立てなかったのか。それが民主党の最初の失敗です。ケリーなら、トランプ相手なら圧勝していたでしょう。日本でも、政治家で、個人として人気がある人は限られます。しかも、政党や政権という見方でも、自民党や安倍政権が自分たちの支持率が高いといくら自画自賛しようとも、いざ国民に与党選択の理由を尋ねると、ほかに良い選択肢がないからという、消去法で選んだという答が返ってきます。それは安倍政権が絶対に口にしようとしない事実です。
同じことがトランプについても言えます。大差でぶっち切りで勝ったわけでは決してないのに、いつの間に圧勝したような印象を振り撒いている。実質得票数ではヒラリーの方が200万票も上なのです。そもそもこの選挙、不人気の二人の決選だったという事実を忘れると、政治情勢の現実を見誤ることになります。即ちトランプもヒラリーも、民意からは選びたい相手ではなかったのです。
ではなぜこの二人は人気がないのか。トランプの場合、その理由ははっきりしています。無作法で、非民主的な発言の数々。派手な私生活と脱税や女性問題。正義感や品格で大きな疑問符の付く怪しい人物です。ではなぜ高潔なヒラリーがワルに勝てなかったのか。ヒラリーのどこが嫌われたのか。知的で、政治家の実績もあるし隙がない。しかし知に走りすぎ、(夏目漱石風に言えば知に角が立って)、情の面を置き去りにしたからです。特に経済的に追い詰められている中間層にとって(更にその下の階層はむしろ民主党支持者が多数)、これまでの民主党の政策を継承するであろうヒラリーを選択する、積極的な理由がなかったからです。
現状をどんな形であれ変えてくれそうな人物はどちらでしょう。しかもヒラリーのタカビーな印象が火に油を注いだのです。端的に情が知に勝ったとも言えます。それが今回の大統領選です。かつて米国民がレーガンやブッシュを選んだ時も、理屈や人格ではありませんでした。対立候補が弱かったと言えばそれまでですが、リベラルでもケネディが勝ったのはTV討論の影響です。即ちTV映りと、印象が良かったからです。TV討論で、ヒラリーはトランプと同じ、非難野応酬という低いレベルに自分も貶めてしまったのです。こうなると、ますますヒラリーを選び理由がなくなります。世論調査の数字だけを過剰に意識し過ぎたことも敗因です。もっと言えばそれは自信がない、すなわち安定感を欠くという事だからです。トップたるもの、負けても堂々としていなければならないのです。間違った戦術を取ったということでは、ヒラリー敗退の原因の半分は本人にもあるのです。
米国民がブッシュ・ジュニアを大統領に選んだ時も、理屈ではありませんでした。ゴアの方が人格ではブッシュよりはるかに上でした。それでも米国民は高潔なゴアより、親しみやすいブッシュを選んだのです。その結果何が起きたか。湾岸戦争から911、ISとテロに至る辛酸を世界中が味わうことになったのです。このことが選挙で何が大事かを示しています。それは有権者の判断基準は知性と理性だけではなく、それを上回るものが、候補者の雰囲気、という言い方が悪ければ、好感度だということです。
だから小沢がいかに天才的な政治家であっても、ルックスと印象が良くないので、人気が低いのです。ヒラリーの場合は、男の、しかも特にマッチョなトランプに、イメージで負けまいとするあまり、力に力で向かってゆき、言うなれば突っ張りすぎたのです。その結果、女性の芯の強さはアピールできたかもしれないが、女性のイメージとはそぐわない冷たい印象を必要以上に有権者に与えてしまったのです。しかもそれは決してヒラリーの本質でさえないのです。
一方で、学歴に関わらず、モノを深く考える習慣を持たない(自分を含む)大衆にとって、候補者がいかなる人物であるかを分析し、国の将来を占う知的な判断を期待すること自体に無理があるのです。勢い、限られた時間と情報と、印象で選ぶことになります。人間は理性的な社会的存在、すなわち市民であるとともに、感情の動物でもあります。しかも個人的なレベルになればなるほどその傾向が強いのです。そのレベルになると、見た目=印象が大きな要素になります。レーガンも、ブッシュも、そしてリベラルではケネディでさえ、印象で選挙に勝ったのです。
トランプが大統領に就任することで、ひとつだけ良いことがあります。それは今の選挙制度が民意を反映できないこと、制度に問題があるという認識が出てきたことです。同時に仮に選挙が民意をできる限り正確に反映するものになったとしても、選挙が人気投票(ポピュリズム)になれば、容易に独裁政治体制になるという、いわば民主主義の脆弱性に対する議論が始まっていることです。
しかし、これが本稿の論点なのですが、今までの枠組みの中で何とかしようとしても、既成権力の壁は極めて厚く強固であって(何しろ富の大半を握っているのですから)、少数がいかに議論しようとも、国会で僅かな時間しかなく、結果、国民の大多数が反対している無理な法案(安保法やTPPのように)が、結局既得権=与党、の多数決で押し切られてしまうのです。
即ち少数が正しい見識を持つだけでは十分ではなく、それをもっと広く国民レベルまで押し広げて、多くの共感を得るような努力がないと、いつまでたっても選挙という一面だけの相対的な、しかも感覚的な一過性の選択で、国の方針が、暴力的に決定されてしまうのです。
そしていま、私たちと私たちの子孫に必要なものは、民意を代表する真のリーダーなのです。人格的に優れ、指導力と包容力があり、何より人間味と暖かさを備えた人物。それは現在の野党第一党にも野党第二党にも、見当たらない人物像です。市民意識をまとめ上げ、保守政党が作り上げてきた既得権の要塞の門を叩き壊すことのできる、現代のヒーロー。情緒面でも支持される、野心や私心のない、いうなれば「無私」の英雄なのです。
関連記事。ポピュリストの波、メルケルも飲み込むか。
http://jp.wsj.com/articles/SB10043214266851864327604582443671659309912
589.正常な神経。 2016/11/29
何かやらかすと世論やメディアがうるさいから、と自制するのは正常な神経。どうせ国民はすぐに忘れるから今だけ殊勝な振りをして頭を下げておこう、進退の責任を取る必要まではあるまい、というのは異常な神経。ということは政治家や経営者には、精神に異常を来した方が少なからずおられるということになりはしないでしょうか。多数の暴力劇場と化した国会審議、ブラック企業の全盛も、これで説明が出来ます。気違いという言葉は放送禁止用語(あろうことが仮名漢字変換にも入っていない)です。しかも都合の悪いことだけは記憶から消し去る一時的な健忘症も併発しているご様子です。まともな神経の市民が、おそらく自分でもゾンビだということを認識していない人たちに対抗するには、面倒でも一定の時間を取って、国会中継や新聞報道から、世間で何が起きているのかを自分の眼で見て頂くことです。即ち見て、知ることが、判断の大前提です。WTWが少しでも、そのお手伝いが出来れば望外の喜びなのです。
590.恐怖のアベトラコンビ。 2016/11/30
五輪会場、海の森に決定。この分では豊洲の工事も再開でしょう。都職員の尻尾切りで、この問題に決着が付いたその時には、私は小池の退任を断固要求します。但し、それより日本のスポーツ界から一日も早く出て行って欲しいのは、スポーツの清潔なイメージにそぐわない、ブラックな森です。
トランプ次期大統領に対して米国民が、そして日本国民が取るべき姿勢は、迎合ではありません。監視です。それが暴政や独裁から、市民の生命と財産を守る唯一の方法です。安倍首相が見習うべきはトランプでなくメルケルです。ところで、安倍首相はヒラリーが当選したとしても、馳せ参じたでしょうか。それは絶対になさそうなことを考えると、アベトラ政治の恐怖の未来図が眼前に広がる思いがします。ビッグブラザーとやんちゃな弟という冗談で済む話ではなく、国のトップの不必要な見栄や、偏った価値観で、実際に外国の大義なき戦場で、日本人の血が流されるかもしれないのです。
私は、選挙は、どちらが勝っても良いような、豊富な選択肢の中から争われるべきだと思っています。どちらが勝っても興ざめすような選挙は選挙の名に値しません。トランプとヒラリーの中から強制的に選ばせられているとしたら、アサドを選ぶ(選ばせられる)シリア国民とどこが違うというのでしょうか。日本でも、安倍政権を支持する大きな理由が、ほかに選択肢がないからというものでした。これでは米国とさほど変わりません。国民にいま最も必要なものは、不毛な選択を強いられているという現状認識に立つことです。豚とタヌキ、いやドジョウとタヌキのちらかを選べと言われても、私なら、せめて人間の中から選ばせてくれよと言うでしょう。
再集計で米大統領選の結果が覆されてほしい。トランプの政策では、福祉が切り詰められ、金融業界や富裕層が優遇され、経済格差が一層拡大します。それが現実になりつつあることを、トランプを支持した米中間層はどう受け止めるつもりなのでしょうか。大統領選でろくな選択肢がなかったことのほうが問題です。努力を怠ったヒラリーも猛反省が必要です。冷静な判断が出来ない米国の大衆に必要なものは、教育の機会均等と、考える習慣です。米国のみならず世界中が衆愚政治=ポピュリズム、になっています。大変残念なことには、多分日本でもそれほど変わらないと思います。安倍首相が続投すれば、それが証明されることになるでしょう。