「WTWオンラインエッセイ」
【第30巻の内容】
「独裁民主主義」
「プーチンvsアベ」
「冗談では済まされない」
「格差問題を分かり易く」
「ローグ・ワン」
「ニューヨーク・ニューヨーク」
「辞世」
「室井と田原」
「ダマされた大賞は日本の国民に」
「紅白ムダ合戦」
「日本の市民になろう」
「与野党に宣戦布告、たった独りの反乱」
「正義は反トランプにあり」
「偽情報と偽の人間性」
「革命の予感」
606.独裁民主主義。 2016/12/15
カジノ法、年金抑制法が成立しました。誰が何と言おうとも事実上の強行採決で、数の暴力です。またもや国民の意思を踏みにじることなんとも思わない、権力者の為の独裁政治の姿です。審議と採決の手続きが正しかったら、内容がどんなに国民に不利な内容でも、自分たちの主張の正当性が担保されているのだ、どうだ文句があるかと言いたいのかもしれません。日米開戦だって政府が承認しているのです。政権や議会の採決がいつも正しいわけではなく、まして安保法以降、法案の大半は、国民の大多数が反対しているものばかりなのです。
安倍首相は、二言目には議論が尽くされた、審議には充分な時間をかけたと言われるが、その言葉自体が、まさに安倍政権の体質そのものを言い当てているのです。それは内容より形式です。質疑というものは、掛けた時間の長さの問題ではなく、質問に正しく答えることで、初めて成立するものです。肝心のその点が、安倍政権がまともであった試しがないことが最大の問題なのです。私は長たらしく、充実感の少ない国会中継を、録画でなんとかフォローしてはいるものの、日々の暮らしで精いっぱいの働く国民にそんなもの(失礼)に付き合う時間はないと思います。
だからこそ代議員制度があるのですが、この制度がまともに機能していないことが問題なのです。なぜまともに機能していないと言えるのか、それは民意とかけ離れた法案の採決を繰り返しているからです。これだけ自民党の極右勢力が好き勝手にできるということは、安倍首相がそれを認めているからに他ならないのです。これは政治体制がいかに歪んでいるかを如実に示すものであって、こうした弊害をこれだけ見せつけられると、もはや一部の既得権者、権力者の権利だけが優遇される日本の議会制度に、民主主義、文民政治を期待すること自体、無理があるのではないかと考えざるを得ないのです。
以前はTVの国会中継が今ほど発達していなかったので、重要な法案は国会質疑の全文が新聞に細かい字で印刷されていました。今やそういう記事を見ることさえ稀になりました。なので、私は本会議での質疑(委員会での審議は徹底していないと困る)はもっと簡潔であっても良いと思っています。結果が見えているからとは、さすがに申しません。しかし本会議では、政権が野党の質問に正面から向き合い、国民の誰にでも分かる言葉で、筋の通った説明をして、後の責任を確約することが不可欠なのです。なぜなら公約のようないい加減なものではなくて、法律であり、国の決定だからです。それが出来ていないからこそ、同じ質問が繰り返され、とりとめのない同じ答えが繰り返されて、その結果、せめて結果の分かっている採決だけでも、少しでも遅らせるための牛歩戦術のような姑息な手段に野党は頼らざるを得ないのです。
国会での質疑、言い換えれば議会政治の本質は、立法の趣旨と効果を国民に理解してもらい、国民の代わりに質問に立つ与野党議員の質問に答えることで、国民に納得してもらうことにあります。だから時間の長さより、国民にいかに理解してもらい、納得してもらうことで、賛成多数に持ってゆくことこそが、国会での議論の目標であるべきなのです。しかるに現状では、国会議員の過半数が賛成すれば、それが国民の意見を代表しているとみなすというのが、安倍首相のただ一つの拠り所です。ところが、衆参両院で最大多数を占めており、しかも以前のような党内派閥のせめぎあいもないから、党内での意見調整も、更には党の自浄作用も全く期待できないのです。議員が関心を持つのは、どうやれば首相の気に入られて、閣僚の椅子を貰えるのか、またどうすれば安倍首相のご機嫌を損ねないのかという点だけです。首相の意向次第で議員の生殺与奪が決まるという恐ろしい状況が現出しているのです。
最近小泉進次郎の報道が少ないのはなぜか。河野太郎の出番もありません。即ちその気になれば、安倍首相にはなんだってできてしまうのです。自民党辞退、国会で議席を多数取ったのだから、後は何をしようと自分たちの勝手でしょという本音が丸見えです。それがいかに民意とかけ離れているかは世論調査を見ればわかる通りなのです。世論調査の結果では、安倍政権は(他に代わるものがないから)支持するにしても、法案には反対なのです。
その世論調査そのものにも大きな問題があります。サンプル数が極端に少ないうえに、電話の自動応答だろうが、インタビューだろうが、昼夜を問わず、そんなものに付き合うほど日本人は暇ではないからです。暇な人だけを相手にするような調査のどこが民意を反映していると言えるのでしょうか。サンプルが偏っている世論調査の結果さえ与党は顧みないのだから、ハナから世論は眼中にはないのです。形だけの国会審議だと、政権が自分で宣言しているようなものなのです。
本当は改憲だけでなく、全ての法案で国民投票を実施することが理想なのですが、それは投票の準備もあるので、物理的に無理です。また議員数を少なくして、しかも中選挙区制や道州制に変えてゆくことで、いまより民意を反映した政治体制に持ってゆくことが、現行の民主的手段で可能であったにしても、それには気の遠くなるような時間がかかります。その間に保守政党が悪法を山のように成立させてしまうでしょう。そして体制が変わるまでに、国民は生かさず殺さず(派遣法を見よ)で、限界まで搾取され、米国の為の戦争に、一兵卒として駆り出されることになるでしょう。それにそもそも自民党に不利な中選挙区制に、自民党自身が賛成するはずもありません。ということは、政治改革、民主政治の正常化などは、いまの日本では夢のまた夢ということなのです
安倍首相も人間である以上、いつかは寿命が尽きる日が来ます。でもその時は、自分の息のかかった、しかもより右傾化した後継者にバトンタッチするでしょう。即ち安倍政権ではなくて、安倍王朝が代々続くという事を意味しているのです。私は安倍首相にお子さんがいないことが日本にとっても大きな不幸だと思っています。今からでも遅くないから子を設けて頂くか、養子でもいいのです。そうすれば、保育の問題にも、私たちが明日の日本を憂える気持ちも、当事者として少しは理解して貰えるようになるのではないかと思います。
これだけネットが普及すれば、私は、重要法案はことごとく国民投票に掛けてもいいし、またそうでもしないと、独裁政治の暴走を抑えることは出来ないと思っています。もし私に残された時間と、自由に使える資金があれば、非営利法人の世論調査機関を立ち上げるところです。多数の協力者を得て、民意を正確に把握することに心血を注ぎたいのです。それと同時に、平等で冷静な議論の場をネット上で提供できれば、言うことはありません。
突然のようにネットという近未来の手段を手にした国民が、ネットを使ってすることと言えば、匿名の誹謗中傷と、ネット炎上だけというのでは、余りに能が無さ過ぎます。これでは、棒を手にしたサル以下です。知的存在、しかも社会的な存在である人類のインテリジェンスはどこに行ってしまったのでしょう。ネットという手段を手にした以上、もっと有効、有益で人類の明日のためになる使い方があるはずです。その第一歩が、ネットを通じた情報交換と理性的な議論、そして民意の正確な把握を通じて、政治体制の正常化、多様性を維持した世界の統合であるならば、それこそがネットの最も理想的な使い方になるでしょう。
607.プーチンvsアベ。 2016/12/16
その場その場で耳当たりの事を言う。しかも言葉が本音ではない。だから後で、というより直後でも、矛盾やぼろが出てくる。でもそれには知らぬ顔。日本の政治はその繰り返しなのです。安倍首相然り、蓮舫代表然り、小池知事然りです。国民はいったい誰を信用したらいいのでしょうか。
・プーチン、世界の影響力ランキングで4年連続首位。
http://this.kiji.is/182168108659752966?c=39546741839462401
解説:安倍首相は何位なのでしょうか。理念も主張もない政治家に、影響力を期待する方がそもそも無理なのでしょうか。けなすだけでは能がないので、安倍首相にひとつヒントを差し上げたい。もし日本を強くて美しい日本にしたいと心底思うのであれば、いま貴方がしなればならないことは、自民党員をはじめとする議員のモラルの向上です。政治家の精神の浄化です。そのためには、自党を含む政治家の腐敗には厳しく臨み、、日本の政治が清潔であることを世界に示すことが必要なのです。
国民が貴方のことをどう思っているかを、おそらくあなたはご存知ないか、或いは知っていても知らぬ振りをされているのでしょう。それは時流に乗っているだけの富裕層のお坊ちゃんというものです。それゆえ、本人に少しでもダーティーなイメージが現れたら。もはやいかなる存在価値もなくなるのです。内閣は崩壊するでしょう。
或いはお坊ちゃんには影響力を期待していないのかもしれません。おとなしく官邸や、官僚や、経営者や、タカ派議員の御輿に担がれていてくれれば、それでよいのだと権力層に思われているのかもしれないのです。安倍首相が、そのあまり深くものを考えないという思考パターンと、時代錯誤の価値観から、最終的には国家総動員法までも日本に持ち込みたいと思っていたにせよ、支配層にとっては、自分たちのいうことを聞いて言いてくれる間は利用価値があるのです。それが国民の神経を逆なでしながら、ここまで安倍政権が長続きしている最大の理由なのです。
話は変わりますが、私はトヨタの安倍政権に対する反応、関わり方を興味深く観察してきました。豊田社長は、安倍首相のリーダーシップを持ち上げています。でもそれはまさにつかず離れずの絶妙なバランスを保っているのです。そこが、豊田氏が非凡な経営者である証拠なのです。本人はリベラルなのに、企業人として政権と付き合ってゆく必要があるからです。豊田氏は創業家出身、しかも若年にも関わらず、世界でもまれな優れた経営者です。二流の経営者であるゴーンなどは足元にも及ばないのです。その豊田が安倍政権と接してきたやり方は、実は、企業の短期的な私欲だけでなく、日本の将来も考える心ある日本の経営者がみなしてきたことでもあると思います。私は豊田氏を社長にした豊田の役員会やOBの、優れた判断力を高く評価しているのです。高給の代わりに役員に求められる唯一の能力、それは長期的なビジョンだからです。
話を戻すと、安倍首相は支配権力層にとって便利な存在であり、その代わりの右傾化傾向くらい多目に見ようというのが現在の日本の政治の風景なのです。言い換えれば、少しでも骨のある人物が首相にでもなった日には、やりにくくてしようがないというのが、日本の支配階層の本音だということだと思います。
608.冗談では済まされない。 2016/12/16
・反対派の文書入手し、防衛省内部で回覧。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12699692.html?iref=comtop_list_pol_f01
(寸評:些細なことですが、ここではシビリアン・コントロールの理念が完全に蹂躙されており、将来の日本の軍国主義化を予感させる出来事なのです)
・日ロ共同経済活動。帰属問題に隔たり。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016121500866&g=pol
(寸評:そもそも安倍首相の目的が不純です。衆院選対策だからです。しかも協力はタダではありません。いわばそれは安倍政権の延命のための費用なのです)
・自転車活用推進法。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161215-00000113-mai-soci
(寸評:冗談ではありません。運転モラルも交通マナーも、運転技術も著しく劣化し、車道と歩道の区別もない日本で、そんなことをしたら死ななくても犠牲者が増えるだけのことです。一体全体、議員や行政はどこを見ているのでしょうか。今必要なものは自転車の専用道路と、自転車の運転免許なのです)
・私立小中学生、年10万円補助。
http://this.kiji.is/182176917595915770?c=39546741839462401
(寸評:低所得層に私立に通わせる余裕があるとは思えない。それより、教科書と給食を無償化にしないと。それも私立、公立に関わらずです。本当は、日本人と生まれたからには、教育だけでも無条件で平等な権利であってほしいものです)
その場その場で耳当たりの事を言う。しかも言葉が本音ではない。だから後で、というより直後でも、矛盾やぼろが出てくる。でもそれには知らぬ顔。日本の政治はその繰り返しなのです。安倍首相然り、蓮舫代表然り、小池知事然りです。国民はいったい誰を信用したらいいのでしょうか。
609.格差問題を分かり易く。 2016/12/17
最初に長たらしい文章が来ると、読む気がしなくなるので、別にできないかという、率直かつ貴重なご意見を頂戴しました。さりとて末尾に書いたら、それこそ絶対に読んでは貰えないので、長文の場合は、冒頭にエッセイを書きましたとだけ、書かせて頂くことにしました。ちなみに、今日はエッセイはございません、と言いたいところですが、今日も短いながら、エッセイがあります。舌の根の乾かぬ内で申し訳ないのですが、記事ならご自分でネット、とくにYahoo=一種のまとめサイト、でも読むことができますが、この拙いエッセイはここにしかないものです。ない方がいいというごもっとも意見はひとまず措くとして、言葉は足らないかもしれないが、WTWは有名な有識者のご高説と、少なくも方向性ではそれほど異なっているとは思っていません。というよりも、ある明確な価値観と方向性を持った情報提供サービスということもできます。視点と立脚点が明確で、かつそれがぶれないことが、こうしたマイナーなプリベートなメディアでは一番大事なことだと思っています。冷たい言い方をすれば、価値観が違う人にも読んでは頂きたいものの、そのために自分の価値観を変えたり妥協したりすることはしない、即ち関心のある方にだけ読んで頂ければ良しとするということです。微力ながら努力だけはしているつもりなので、WTWに足りないものは知名度です。
今日のエッセイは格差の問題です。昨夜のフジTVの、池上のTV番組で格差を取り上げていました。3時間の長番組ですが、庶民が知りたいことの全てを網羅していました。池上の面目も躍如で、私としては今年の最優良番組に推薦したいくらいです。
ところで、格差の原因は、私は一言で言えると思います。それは、貧困層には収入を得るには自分の労働力を提供するしか方法がないのに、富裕層は資産を持っており、しかも資産は自分で増えてゆくからです。自分で勝手に増えてゆくのだから額に汗して働く必要もありません。ということは不老所得、とくに金融資産や遺産と、法外に高額な報酬への課税を強化するという解決方法があります。それこそが真の税の公平性なのですが、それを指摘したトマ・ピケティは、当然のごとく日本の支配層と安倍首相のお気には召しませんでした。日本での講演会には自民党の諸君は行かなかったのではないでしょうか。挙句、安倍首相は日本には格差がないとは言わないが、当時それは大きいものでないと言い切ったのです。
そこには安倍首相の悪い意味でのお坊ちゃん体質、庶民の現状を理解出来ない雲の上の政治家の資質があります。重ねて言いますが、安倍首相は言葉ではそうは言っていません。同一労働、同一賃金なども打ち出しています。国民の事を心配していると口では言っているのです。しかしリーマン以後、米国の貧困層の収入は横ばいなのに、日本の貧困層の収入は激減しているのです。私はこの数年の首相の言動を見聞きして、時々漏れる本音の方で判断させて頂いています。
アベノミクスが行き詰まった時に=今でも行き詰まっていますが、慌てて米国から高名な経済学者を招致しましたが、彼らの考えも、ピケティの考え方とそれほど変わりませんでした。自分で招へいしたのに、安倍首相やその政権が、ノーベル経済学賞の学者の意見を尊重することはなかったのです。
関連記事。ピケティに訊く。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3609/1.html
(寸評:最近の記事ではありません)
610.ローグ・ワン。 2016/12/22
SF映画ファンとしては絶対に見逃せないのがスター・ウォーズです。ちょうど1年前にエピソード7が公開され、今月更に新作が公開されました。但し7の続編の8ではありません。エピソード7は、ルーカスが監督していなかったので、やはり違和感が残り、とくにハン・ソロのぐれた息子は、存在感というより存在理由が希薄で、異質の存在でした。今回のローグ・ワンは、シリーズの流れで言えば、エピソード3と4の間に位置する、サイド・ストーリーです。
出演者もシリーズとの共通点は余りなく、俳優としても見知らぬ顔ぶれです。ストーリーが重なる部分、即ち反乱軍の陣容には見知った顔がありますが、20年以上も前の俳優がそのままで出てくるのはおかしいので、似た俳優科CGだと思います。それが顕著に感じられるのが、一種だけ登場するレイアです。エピソード4につながるので、むろんダース・ベイダーも生きていて、過去最強、最悪のダース・ベイダーです。声優は無論同じですが、体格が大きくなったので、中身は違う人かもしれません。なお反乱愚の将校の魚頭の将軍のメイクは一層グロになっており、これは全く感心できませんでした。
時期的にはデス・スターが完成する直前であり、大雑把に言えば、デス・スターの惑星破壊装置を設計させられた科学者と、その娘の活躍を軸に、どうやってデス・スターの設計図を盗み出すのかというテーマです。しかも冒頭何の説明もなく、いきなり帝国軍に科学者が拉致されるシーンから始まるので、予備知識がないとチンプンカンプンです。画面としても、全編を通して暗いシーンが多く、シリーズのように、すっきりした映画にはなっていません。
但し、特に惑星を背景にした宇宙船同士の戦闘シーンは、これでもかというほど緻密でリアルで、間違いなく技術的に現代の最高峰にあると言えます。デス・スターの試運転(?)として、惑星上の都市が破壊されますが、その崩壊シーンもリアルです。
スター・ウォーズが初めて世に出た時、それまでSFと言えば流線型でピカピカの宇宙船が相場だったのを、流星形でもないし、汚しの入った宇宙船で、リアルな質感を演出していたことを思い出します。SFをアニメから実写、即ち現実の世界に置き換えることに成功したのも、スター・ウォーズの功績です。それから何十年も経た現在、宇宙背にしても兄弟は装置に内部や機器類の質化にしても、まさに現実の機械そのものの質感が見事に描写され、金属の質感と、乗り物の重厚感が伝わってきます。支える棒や釣っている線を消した形跡も殆ど感じられません。映画の題名のローグ・ワンというのは、反乱軍が帝国軍から奪った貨物船に勝手につけた名前です。なお今回、初めて東洋人が戦士の一人で登場し、カンフーと杖で帝国愚のストーム・トルーパーを斃しています。ちなみにこれまで武器はレーザー銃もしくはブラスターだったのが、どうやら硬い弾丸が飛ぶ銃に変更されたようです。ライト・セーバーを振り回すのはダース・ベイダーだけです。主演級の俳優質が少なくも私たちに全くなじみがないという点が残念と言えば残念です。せめてTVドラマの俳優を使ってほしかったところです。
611.ニューヨーク・ニューヨーク。 2016/12/27
SMAP・SMAPの先週の番組(だから最終会ではない)にタモリが出演して、なんでスマ・スマと二つ重ねるのかと尋ねたら、これはプロダクションのJという経営者が命名したもので、その発想はニューヨーク・ニューヨークというので驚きました。NYには住んでいたことがありますが、シナトラが歌って有名になったニューヨーク・ニューヨ−クの意味は、ニューヨーク市、ニューヨーク州のことです。だから手紙の宛先にも二つ書くのです。しかも市、州の順です。
むろん反論はあるでしょう。東京と同じで、ニューヨーク市は一つしかないのだから、手紙の宛先はニューヨーク市だけでいいだろう、だから重ねることで、ある種の思い入れを表現しているのではないかという主張です。私もその発想を完全に否定はしませんが、それを言うのなら、米国のことも少しは理解しておいた方が良いと思います。重ねることで、シナトラの歌で、決して語感を楽しんでいるだけではないのです。米国では、州が日本の県以上の意味と権利を持っています。独自の法律も制定できます。外務大臣のことを国務長官、即ちセクレタリー・オブ・ステートと言いますが、これは州が力を持っていた南北戦争当時は、外交と言えば、州同士の交渉の事を意味していた、その名残です。州に力があったから南北戦争も起きたのです。米国政府は今でも連邦政府と言いますし、連邦政府の警察機構がFBI(連邦捜査局)なのです。
もう一つ、米国には欧州から名前をパクった都市や町が沢山あります。ボストンも、ニューヨーク(新ヨーク、かつてはニュー・アムステルダム)でさえそうです。中には映画にもなったパリ・テキサスもあります。単にパリと書けば手紙はフランスに行ってしまうでしょう。経営者が横文字の名前を名乗るのは、プロダクションの勝手ですが、たまには外国の事も勉強されてはいかがでしょうか。
ところで実際に英語が上手なタレントも何人かいます。例えばディーン・フジオカは米国の西部劇TVシリーズの「荒野のピンカートン探偵社」に出演していたことがあり、ほぼネイティブ並みに話します。後は唐沢寿明が意外に上手です。杉原千畝という映画を見ると分かります。「王様の私」の渡辺謙よりは、草刈正雄の方が発音にくせはなさそうです。但し天然で笑って済まされない非常識な娘をTVに出すのだけは勘弁してほしい。加山雄三も単語の発音は正確です。しかし今や外国人が日本語を日本人以上に流ちょうに話す時代です。日本人も今の段階で満足していては駄目でしょう。
巻き舌のラジオのディスク・ジョッキーのオネーチャンの英語は、アジア系移民のそれです。米国人のアナウンサーの英語はもっと聞き取りやすいものです。同じアナウンサーでもNHKの場合は、さすがにレベルは多少上です。そういう人たちも含めて、CNNでも見てもっと勉強してほしい。自分ではろくにしゃべれませんが、相手が英語力があるのか、それとも見せかけなのかくらいは分かります。
SMAPに話を戻すと、「世界にひとつだけの花」が有名ですが、「夜空ノムコウ」というヒット曲もあります。先日、小田和正が歌っているのを聞きました。特に前半はメロデイーが難しくて、我々素人の手には余る歌ですが、歌詞が素晴らしいのに気が付きました。機会があれば歌詞を読み直して見ることをお勧めします。
612.辞世。 2016/12/28
年末なので(さすがに正月に詠むわけにはいかない)、辞世の川柳と狂歌を考えてみました。
遊び暮らし、何も残さず、去る身かな。
面白くて、やがて哀しき、この世かな。
世の中は、眺めるだけでも面白い、されど不安なその行方。
子や孫が、苦労せぬかと気に掛かる。
ハワイ真珠湾のオバマ、安倍の所感の中継を見ながらこの原稿を書いています。安倍首相のスピーチの原稿は、誰が書いたのか分からないが、上手に書かれており、日米双方から反感を買わないように巧妙に構成されていました。これで安倍首相はまた得点した事は間違いがないと思います。という事は近い将来、衆院の解散もあり得るということです。但しいかんせん長すぎたことと、パフォーマンス狙いだと言われればそんな気もします。オバマが演説の中でイチローの名前出したのは驚きました。退役軍人との交歓の場面も周到に用意されていました。一見、安倍首相がリベラルになったのかと錯覚するほどですが、残念ながら、私たちはこれまで、何度もその言葉に裏切られてきているのです。言葉だけを信じることは危険です。価値観が変わらない限り、しかも人間の価値感は基本的に変わらないものなので、日本国民は常に身内に爆弾を抱えているという認識が欠かせないのです。それが、日本国民が自分たちを国家権力から守る唯一の方法なのです。
613.室井と田原。 2016/12/29
評論家の室井卯月が2週間ほど前の週刊朝日に書いていたエッセイの抜粋です。私もほぼ同じ意見です。プーチンとの会談(ほぼ失敗)や、真珠湾訪問(ほぼ成功)の前なので、その後の論評にも興味があります。
室井卯月、しがみつく女387号「みんなそれを知らない」から抜粋
…11月25日、衆院厚生労働委員会で、年全制度改革法案が自公により、また強行採決された。このことを、どのくらいの国民が知っているんだろう。
てか、年全榔度改革法案の中昇を、どれだけの人が知っているんだろう。
この法案は26日付の中日新開によると、<法案は、年金支給額を物価や現役世代の貰金に合わせて変動させる「賃金・物価スライド」の新ルールを盛り込んでいる。物価の下げ幅より賃金の下げ幅が大きい場合は、貫金に合わせて年金を減額。物価が上がっても賃金が 下がった場合は貸金に合わせ減額し、ともに減額する内容だ>という。
ん? つまり、吻 価や貫金がどうなろうと、どっちみち年金支給額は下がるんじゃない。
ほとんどの国民が、自分らが預けている年念が、株に突っ込まれ、すでに10兆円ほど溶けてしまったなんてことを知らない。
安倍さんがやりたかっていたTPPに参加することになれば、この国の農業や医療、保険がどうなってゆくけか、国民は知らない。
亭故を起こし5年経った福島第一原発が、今どうなっているのか、それもよくはわからない。
… 安倍さんは12月に来日するロシアのブーチンさんと仲が良い、そうさんざんテレビで流しておいて、その後、ロシア軍が北方領土の国後島と択捉島に新型ミサイルを配備したことについてはニュースでは軽く流す程度。
…野党のみなさんに告ぐ、安倍政椎を本気で倒したいなら、マスコミを責めるべきなのかもしれない。
今のままだと安恰政権がどんなにでたらめなことをしても、勝てない。だって、みんな知らされないから知らないんだもん。
もうひとつ同じ週刊朝日の、田原総一朗のギロン堂898号、失敗作「もんじゅ」の後継炉開発に「ちょっと待った!」から
11月初日に、政府は非公開の高速炉開発会議で、高遠増薩原型炉「もんじゅ」の後縦となる高速実証炉の開発を国内で進める方針を示した。
「もんじゅ」は、プルトニウムを燃やすと、逆にプルトニウムが増加する「夢の原子炉」として期待されたのだが、稼働後まもなくナトリウム漏れ事故を起こし、それから29年以上もまともに運転できなかった。つまり、使い物にならない原子炉だった。もちろん性能も安全性も確認できていない。それでいて1兆円以上の費用がかかっているのである。
「もんじゅ」は魔炉が検討されている。当然である。典型的な失敗例だ。
だが、それにもかかわらず、高速炉開発会議は今後10年程度で実証炉の基本的設計思想を固めるという。
ちょっと待ってくれよ。
原発の開発は、実験炉から原型炉、そして実証炉を経て実用化を目指すのが常道である。ところが、原型炉の「もんじゅ」が無賎に失敗したのに、なんと、いきなりその先の実証炉を開発するという。これは計画それ自体が無貢任ではないのか。
そもそも議論に参加したメンバーが偏っている。経済産業相、文部科学相、電力会杜でつくる電気事業連合会、原子炉メーカーの三菱重工業、そして「もんじゅ」の運営主体である日本原子力研究開発機構と、失敗した「もんじゅ」の閃係者ばかりだ。
失敗の責任者たちが集まって、新たな実証炉の開発を考えるというのは、あまりにも無貰任だ。
それにしても、なぜ高速炉開発にここまでこだわるのか。
…その理由の一つは、六ケ所村に再処理施設がある青森県が「再処理を認めないのならば、施設で保管している使用済み核燃料を、すべて全国の原子力発電所に送り返す」と言いだしたことだ。これには野田内閥は非常に困惑した。使用済み核燃科を送り返されたら、どの原発でも保管のしようがないからだ。
織局、野田内閣は六ケ所村での使用済み核燃料の再処理を認め、青森県の怒りを抑えるために大間原発の建設も認めたのである。
私は今回、政府が新たに高速炉開発を決めた要因の一つも同じではないかと考える。…もう一つ、厄介者の「もんじゅ」に長年、つき合ってくれた福井県への配慮もあるのではないか。
…だが、高速炉開発は米国も英国もやめてしまった。政府が頼りにしているフランスの「ASTRID」計画も、仏政府は数年後に建設の是非を決めると言っている段階である。
疑問だらけの高速炉開発を、お手盛りの会議で決めて莫大な税金をつぎ込むのは許されない。
614.ダマされた大賞は日本の国民に。 2016/12/30
二階幹事長が直近の衆院選を否定しました。だから私はむしろ近いと見ました。夏まで待つ理由が思いつかないからです。防衛大臣、復興大臣の年末の唐突な靖国参拝は、リベラル色が強すぎたという真珠湾宣言後の反省(?)から、右よりの国民への対応だと考えると合点が行きます。安倍・菅両氏はそう考えているとしか思えません。しかも原発再稼を唱える連合に依存し、民意から離れて漂い続け、イメージがお世辞にも良いとは言えない蓮舫・野田体制の民進には、いま集票能力はありません。反骨イメージだけで売り込む小池百合子でさえ、新会派は造っても、自民党から飛び出すつもりはなさそうです。むしろ安倍首相の後継指名を、二階の力を借りて狙うつもりかもしれません。但し、明確な根拠があるわけではありません。ともかく今総選挙になれば、野党に勝機がないことだけは確実です。だから自民党にとって、安倍が真珠湾で全力を出し切って演技した今こそ絶好の機会なのです。前回のように、年末のどさくさに紛れて衆院選を押し通すなどという姑息な方法を取る必要さえないのです。一方で、もう一度、安倍首相に真珠湾のような機会があっても、その時に安倍首相が今以上にうまくやれるという保証はないと、クールな菅は考えているのかもしれません。
最近の安倍首相は、言葉面では一見国民寄りでリベラルな風を装っています。安部夫人の反原発発言など、その嘘の最たるものです。しかし実際にやっていることは、強行採決の伝家の宝刀を、たまに抜くはおろか、毎回のように振り回し、当たるを幸いで国民を滅多切りしているのです。その姿たるや、まさに驕る平家そのままです。いまの自民党は選挙で負ける気などまったくないでしょう。民主主義の唯一の希望、それは野党連合の鍵を握る小沢一郎です。民進の長妻には、虎口を糊口をる清濁併せ呑んで人心をまとめ上げる度量はなさそうです。
以上のようなことは専門家でなくても、一般人が新聞を読み、TVを見ているだけで分かるのです。しかし情勢を分析しようにも、自分がどういう立場に立つかで、報道の受け取り方が違う。自分を大勢派=勝ち組と取るか、反体制派=負け組と取るかで、大きく変わります。そこで自分が大勢派だと思い込むのは個人の自由ですが、実はこの分け方には何の意味もないのです。権力側=政権にとっては、単に便利に使える相手か、使いにくい相手かの違いだけであって、自分達のために、仕えさせる相手であることに変わりはないからです。
自民党の戦術は巧緻を極めています。余程優れたブレイン、または広告の専門家が背後に付いているとしか思えない。だから今のままではいけない。ろくな宣伝技術もその意欲も、野党にはないからです。マジで野党の宣伝あるいはインテリジェンス担当を務めたいくらいです。但しタダで働く気はしませんけれど。状況も正確に把握できずに、安倍政治を論じることは議論の空転であり、国会審議と国民の時間の無駄以外の何物でもないのです。
自民党の実態は、強行採決という民主主義を否定する刃物をやたら振り回すだけの「暴力装置」だという見方に立てば、一気にその正体が見えてくるのです。
国民は、政党と政府が一丸となって国民をだます壮大な猿芝居に付き合わされているだけなのであって、素直で従順な国民の大多数は、大根役者たち=その殆どが悪役というのも珍しい、が舞台上でしゃべる台詞をそのまま鵜呑みにして、信じ込まされているのです。でもその傲慢さがいつか必ず権力者の命取りになる日が来ます。いや来なければ、日本は永久に借金まみれの金権国家から抜け出すことは出来ないのです。
関連記事。衆院選へ931人が出馬準備。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161229-00000062-jij-pol
関連記事。首相の真珠湾慰霊、評価85%。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20161229-OYT1T50067.html?from=ytop_main2
615.紅白ムダ合戦。 2017/1/2
去年の紅白、期待を遥かに下回る出来栄えでした。年々悪くなるのがこの番組です。しかも評判もあまり良くないようです。まず進行役が男女ともにほぼ機能しておらず、嵐を使うのなら全員で順番に対応させれば、負担も失敗も少なかったのではないか。プロデューサーはリハーサルをしなかったのでしょうか。最初から最後まで、カミカミの連続でした。
タモリとマツコの裏ストーリーは、ブラタモリを意識し過ぎて、舞台の裏側を巡るという発想が、紅白の華やかさと裏腹になっており、白けさせる原因の一つになっていました。逆境に置かれたわりには、二人とも)善戦していたので、ブラタモリ特別篇として独立して放送すれば、あれほどの違和感はなかっただろうと思わせます。ところでピコ太郎は出過ぎです。
観客席の真ん中にサブステージを作るという構想が、求心力という意味で全体のまとまりをぶち壊していました。歌の祭典なのに、良い歌をじっくり聞いたという印象が残りません。オスカー授賞式のように、思い出のコーナーを作るのは良いアイディアでしたが、ならば永六輔の歌をもっと紹介すべきでした。
思うに、NHKの制作チームの質が下がってきているのではないでしょうか。過去の番組の方が、ぎこちない部分はあっても、少なくとも制作側の熱意だけは伝わってきました。バラエティで一本筋を通すことができるのはNHKだけなのですから、不人気の歌手でも実力のある歌手や、地味でも質の高い音楽を提供するくらいの意気込みを見せて欲しかった。ビジュアルにこだわる過ぎて、もはや年に一度の歌の祭典でさえなくなっていました。
壮大なお金(しかも視聴者の)の無駄遣いです。多分それをNHKは理解できないし、理解しようともしないでしょう。メディアのアベノバブルです。反省の無い、自我肥大の伏魔殿。それがNHKなのでしょうか。率直な印象です。NHKでいらないものは報道部門と娯楽部門であり、文化部門だけ残せば十分ではないか。いやこれは新年早々、悪口雑言の数々、誠に失礼をば致しました。
関連記事。紅白、謎の演出。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170101-00000509-san-ent
ところで、話変わって日本酒です。銘酒と言えば久保田か八海山かと思っていたら、最近は獺祭(だっさい)が人気です。しかもこれが手に入らない。というかプレミアがついてバカ高い。元は千円くらいなのに、数千円です。しかも虫が入っていた問題(3割磨き)も起きました。それでも探し回ってやっと2割磨きを一本見つけました。私は下戸(酒を飲めないタチ)なので、ビールならコップ一杯、お酒の類は盃一杯が限度ですが、味は分かります。獺祭の飲み口はさわやかすっきり。しかも、酔い心地が格段に良く、後が残らない。但し下戸のお酒の批評はあまりあてにはなりません。ブランデーやウィスキーの高級酒は、匂いは良いが味は苦い。その点吟醸酒は飲みやすいので助かります。世界に誇る、日本のお酒です。
616.日本の市民になろう。 2017/1/4
米国ではトランプ大統領の就任式への反発が広がっており、歌手の出演拒否や、反対する国民が数十万人規模で、押しかけるという噂もあるようです。でもそれが市民としてあるべき姿のようにも思えます。それにつけても安倍首相が就任前に駆け付けたというのは、世界中に日本の恥をさらす結果となりました。日本の政治的代表の頭の中には、民主主義などは存在しておらず、一部特権階級の利益代表に過ぎないことを、世界中に公言してしまったようなものだからです。各国代表が陰で苦笑いする姿が彷彿とされる出来事です。しかも日本の政府御用達のマスコミはそれを批判しようともしませんでした。
今回の米国民の選択は、絶対得票数で下回るとはいえ、あけすけに言えば、衆愚の選択です。というよりも、大衆の心情を把握できなかったヒラリーが、敗けるべくして負けた選挙です。民主党が国民の政党ではなく、知的中間層の代表だとみなされたことも敗因です。しかも、ヒラリーが大統領になることで、閉塞感がこれからも続くのかと思えば、どんなものであれ、変化にすがりたくなる国民の気持ちも理解できなくはないのです。これは小池を選んだ都民と同じ心境だと言えます。
でも、富裕層を代表するトランプを選択することが、経済格差を一層拡大することになるという単純な理屈でさえ、米国民には理解できないということこそが大問題、というよりむしろ哀れを催します。なぜならそこには経済格差以上に、教育の格差が顕著に感じられるからです。一体米国で、大学に進学できる国民の比率はどれくらいなのでしょうか。
無論日本も米国の事を嗤える立場にはないのです。国民の25%しか支持していない政党が政権を握っているという、いびつな政治の実態があるからです。ここには、有権者の判断力の欠如以上に、情報の欠如と、政治の無関心が大きく影響しています。
最近よく使われるポピュリズムなどという耳当たりのいい言葉は欺瞞であって、差別用語だと言われようとも、衆愚政治だとははっきり言った方がいいのです。なぜなら米国でも日本でも英国でも、結果が如実にそれを示しているからです。
トランプを大統領にしたことで、富裕層、権力階層は一層の力を持ち、労働者である国民からの収奪は一層激しいものとなるでしょう。経済や教育の格差が一層拡大することでしょう。米国では国民が自分で自分の首を絞めているのであって、なによりそのことが問題なのです。しかもそれは米国だけではなく、移民を排斥する英国でもフランスでも起きていることなのです。ドイツでさえ風前の灯なのです。自国、或いは自分さえ良ければそれでいいという自己中心的な価値観が世界中を覆いつくそうとしているのです。
しかも既得権者の力は想像を超えるほどに強いものです。彼らは、民主主義と資本主義がそのあるべき姿から遠ざかって、いびつなモンスターに変貌しているというのに、いまだにそれを是として、矛盾や綻びを見て見ぬ振りをし、なりふり構わずに旧来のシステムにしがみつこうとしているのです。
しかし、世界中のあちこちで問題が噴き出していることで明らかなように、新自由主義の資本主義も、民意を代表できない民主政治の制度も、もはやともに制度疲労の限界に達しているのです。ISの台頭もそういう制度の矛盾と無関係ではないのです。
私たちは時代にふさわしい政治・経済システムが整わないままに、変動の時代に放り出され多と言っても過言ではないのです。それは、先人が作ったシステムに乗って、というより流されて、名ばかりの代議員たちに丸投げしてお任せにするのではなく、自分たちで新しい制度を設計し、提案し、実現する役割を背負わされているということを意味しているのです。
その大前提が、自分の足で立ち、自分の頭で考えるという習慣を身に着けることです。それが出来るか出来ないかが、自分が衆愚(権力者の奴隷)に一人になるのか、それとも市民(自分が自分の主)の一人になるのかの大きな分かれ道なのです。
今更言うまでもなく、私たちは政治や経済の専門家ではありません。それでも、できるだけ多くの情報を集め、人の意見を聞き、いつでも筋道だって説明できるように、自分の考えをまとめておく。それが合法的に、自分と自分の子孫の生命と財産を守る唯一の方法なのです。そういう皆様の日々の努力に少しでも寄与できるなら、それに勝る喜びはないのです。
2017年もWTWのご愛読を宜しくお願い申し上げます。
関連記事。前代未聞のトランプ就任式。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170103-00000526-san-n_ame
関連記事。オバマケア撤廃決議案。
https://this.kiji.is/189139545222561795?c=39546741839462401
関連記事。トランプ、GMのメキシコ産車に高額税。
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-gm-idJPKBN14N1Z6
関連記事。米通商代表、対中強硬派を採用。にじむ保護主義。日本も標的に。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H3K_T00C17A1FF8000/?dg=1
(寸評:論理も倫理もあったものではありません。日本企業も明日はわが身です。トランプにつき従うのではなく、理不尽をはねのけることが重要なのです。しかるに、安倍首相ではそれが実に心もとないのです)
617.与野党に宣戦布告、たった独りの反乱。 2017/1/5
民進が水中に沈んでいるという野田幹事長の発言には開いた口がふさがりませんでした。一体誰が民主党を沈没させ、しかも更に深く引きずり込んでいると思っているのでしょう。責任感のかけらもないようです。野田氏の座った眼つきを見ているだけでも、背筋が寒くなる思いです。自民党の狂気を代表している人が安倍首相なら、民進党の狂気の代表が野田幹事長です。国内政治は与野党双方で狂気の時代を迎えているかのようです。ここまでくると、野田氏の自我肥大も妄想の域を超えて、もはや精神疾患の領域です。
こここで何が問題かと言えば、こういう事を言って騒いでいるのは、ほぼ私一人だけだということなのです。まさか日本人の大半が常識と判断力を喪失したゾンビの群れになり下がったという事ではないでしょう。そんな恐ろしいことは想像したくもありません。
だからと言って、私は安倍首相のお情けにすがり、アベノミクスのトリクルダウンをあてにして、生き続けるつもりなどは毛頭ないのです。人権とプライドを捨てるくらいなら、野たれ死んだ方がましです。
一体安倍政権は国民の権利を何だと思っているのでしょう。安倍首相がこの世に生を受ける前から、日本という国は存在し、日本人が生活してきているのです。日本は某首相の私物ではありません。アベノミクスの理論によれば、労働者には正当な権利などないかのようです。全ては経営者と資本家の判断次第になっており、それはそもそも憲法違反でしょう。
日本の全ての国民に、早くそれに気付いてほしい。極端な言い方をすれば、資産らしい資産を持たない、今の日本の労働者は、物乞いとなんら変わることのない状況に置かれているという真実を、率直に認めるところからすべてが始まるのです。
618.正義は反トランプにあり。 2017/1/7
日本の政財界は日々、トランプの顔色だけを窺い、首相以下、そのご機嫌取りに躍起になっています。それは主権のある国家のあるべき姿とは程遠いものです。なり振り構わぬその様子は、寄らば大樹の陰というような表現を通り越して、滑稽どころか、もの悲しささえ感じさせる光景です。
誰が考えてもおかしい、腑に落ちないことは、やはり間違っているのです。トランプが常軌を逸した人物だということくらいは、日本の与党にもわかっているはずで、彼らを問い詰めれば、何とか日本の不利益にならないよう折り合いをつけるべく努力しているところだという言い訳が返ってくることでしょう。トランプは絶対に正しいなどと言い出したら、さすがに正気を疑われかねないからです。
日本の国民が進むべき道は、トランプへの屈服や妥協であってはならないのです。一度譲歩すれば後は際限がないからです。日本は惨敗して、事実上の51番目の州になるしかなくなるでしょう。まず最初に申し上げたいことは、これから日米貿易戦争の第二ラウンドが始まるということです。
いくらソフトバンクの孫がトランプに感謝されたと言っても、それは彼が買収した米国の通信会社が米国での雇用を増やしたからに過ぎないのです。その親会社がたまたま日本の企業だったというだけの事なのです。だからあくまでその限りの話なのです。トヨタを筆頭に、米企業と競争する日本企業は、ことごとく敵視され、つぶしに掛かられるでしょう。なぜならトランプの公約が米国ファーストだからです。トランプに遠慮や同情という言葉は通用しません。あるのは彼にとって得か損かだけなのです。
いま、日本と日本の国民が、この非常識で苛烈な時代を何とか生き延びたいと思うのであれば、味方につけるべきはトランプでも共和党でもなく、米国のリベラルな国民なのです。しかもその勢力の方が数ではトランプ支持派を上回っているのです。
私はいまや残り少ない、第一次日米貿易戦争の目撃証人の一人ですが、その時、日本が何とかなかったのは、結局、経産省と業界が一丸となって米国の横車に抵抗し、通商代表部とぎりぎりまで交渉したからなのです。その当時、米国のいいなりになっていたら、日本企業などとっくに消えていたことでしょう。
今進むべき道は、非人道的ともいえるトランプ政権への妥協ではありません。そンアこと江尾すれば、日本は自分で自分の首を絞めることになりかねないからです。トランプに盲従すれば、世界はますます息が詰まり、生きにくい場所になって行くのです。そうではなくてトランプやその政策に批判的な、世界中のまともな精神の市民たちとの連携を図ることこそ最重要なのです。国連も活用すべきです。
現在の日本、米国、ロシア、中国そしてフィリピンやトルコの独裁政治を是とする人たちに申し上げたいことは、独裁政治は必ず腐敗し、破たんする。それが歴史の教訓だということです。そして独裁者に肩入れした人たちも消え去る運命にあるということです。
正気の日本人がしなくてはならないことは、トランプがしていること、しようとしていることに、率直な感想を述べて、自分の価値観、正義感を明らかにし、それを世界に明言して、民主的な価値観の仲間を募ることです。不正や不平等を明確に指摘し、意見を言うこと。それが民主主義の原点だからです。
トランプは米国の大統領選挙の仕組みの不備のせいで、偶然代表の座に就いたのです。これは安倍首相ともよく似ています。手続きが間違っていなければ結果がどうあれ、それは正しいものと見なすというのは悪しき形式主義に過ぎません。正しい結果が導かれなければ、それは方法自体が違っているということを意味しているのであって、そのことを素直に認めなければ、いかなる改善も進歩もないのです。日本で言えば、首相は公選制にすべきなのです。与党が自分のお手盛りで、いくらでも任期を延長できるなどいうあたりから、もはや日本の民主主義もまともに機能しておらず、米国以下であることが分かると思います。
今世界中で一番大事なものは、「冷静な」民意です。米国でも国民の過半数がトランプに反対どころか敵意さえ感じています。その事実が最も重要なのです。米国の野党第一党の民主党は、暴走を始めたトランプと、それに悪乗りしている共和党に最大限抵抗して、民意を味方にして、徹底的に米国民を守るために戦う義務があります。そして国見のために戦う使命を持つ、メディアにもそれを支援する義務があるのです。
同じことは日本でも言えるのですが、民進の野田・蓮舫の妥協体質には多くを期待できません。民進には一部良質な政治家もいるが、御用組合の連合が仕切っているようでは、所詮国民のための政党にはなり得ないからです。野田・蓮舫なら、トランプにもすり寄りかねないと私は睨んでいます。
米国と日本という世界を代表する民主主義国家が、ともに国民の過半数が支持していない(日本の場合、厳密に言えば政策ごとに)代表が独裁政治を謳歌するようになりました。これを世界政治の悲劇と言わずしてなんと言ったら良いのでしょうか。国民の過半数の意見が無視され続けて、一部特権階級の利益だけが優先される国、それがいまの米国と日本なのです。そして国民が選んだと自称する、トランプ大統領と、安倍首相こそ、特権階級の利益を代表する人たちなのです。
関連記事。トヨタ困惑、米雇用減らない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170106-00000038-asahi-bus_all
関連記事。身構える日本企業。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010600793&g=eco
関連記事。トランプ大統領の就任式。公共の場所でのデモ、当局が許可。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6674.php
関連記事。オバマから長崎に折り鶴。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170106-00000154-jij-pol
(寸評:トランプなら絶対にやらないでしょう。というより、そもそもそういう発想自体がないでしょう)
619.偽情報と偽の人間性。 2017/1/8
・嘘のニュースが世論を作る、脱真実。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170107-00000001-wordleaf-n_ame
(寸評:事実と真実をベースに意見が形成されます。それがミックスした怪しげな文章は百害あって一利なし。自身の利益と快楽のため、あるいは扇動のためにメディアを悪用する。こういう犯罪には厳罰をもって臨みたいところですが、情報の規制は言論の弾圧と紙一重で、難しいところがあります。なので許容できる対策は、そういう悪意の偽情報に、市民レベルで反撃することくらいでしょう。関東大震災後の朝鮮人虐殺もデマから生まれたことを忘れてはなりません。トランプの暴言も事実誤認だらけ、しかも一切の反省も訂正もありません。この人は正義感、倫理観だけでなく、まともな大人の判断力さえ欠如しているようです。まさに米政界の毒キノコ的存在です)
620.革命の予感。 2017/1/11
世界中で独裁政権が誕生しています。でもその次に、必然的に何が起きるのかは、歴史が示しています。それは市民による革命です。願わくはそのときに、犠牲や混乱が最小限でありますように。でもその時の混乱や犠牲の責任は、蜂起するであろう市民ではなく、圧政を続けてきた独裁者自身にあるのです。
革マル派のアジト捜索。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170110-00000070-asahi-soci
解説:テロ計画の証拠でもあれば別ですが、過激派という分類だけで、強制捜査は無理でしょう。だったらカルト教団や日本会議も、極端な思想的偏向という意味では対象にすべきです。これはいよいよ始まった、安倍首相による思想と言論の弾圧と見る方が真実に近いのではないでしょうか。
安部夫妻は、まもなく公開されるスコセッシの沈黙を見た方が良いと思います。信教や思想の自由が、どれほど大きな意味を持つかを理解できるかもしれません。但し安倍首相は、基本的に堅い本は読まない性質だとお見受けしています。だからその内容や意図を理解できないかもしれない。少なくも麻生議員と萩生田議員は、行く気にもならないでしょう。
私は未だかつて、安倍首相ほど、表と裏の顔が違う日本の政治家を見たことがありません。そこには単なる嘘つきでは済まされない闇が潜んでいます。
トランプとの日米同盟の強化を宣言するということは、トランプの命令に従い、日本の企業と国民の生命や財産を米国に差し出すことを意味しています。それは安部氏個人の権力基盤のために、国と国民に犠牲を強いるということを意味しています。その最初の犠牲は自衛隊員です。
安倍首相の約束の悪影響の被害は、全て日本の企業と国民が引き受ける=但し防衛官僚以外の行政関係者を除く、ことになります。なぜ日本の国民が安倍首相のゴマすりにつきあい、そのツケを払わねばならないのか。論争して負けたというのなら未だ分ります。でも彼は最初から白旗を掲げて投降しているのです。しかもその相手が悪すぎます。
いいですか=私も今回は少し興奮しています、つきあいは大事だが、つきあいと隷従は違うのですよ。是々非々で良い関係を保ってゆきたいと、国民に対してなぜ言えないのですか。それが言えないというのは、タカ派のくせに実は奴隷の体質を、安倍首相が内に持っているからではないのでしょうか。私は奴隷体質の人をリーダーに頂くのは御免蒙ります。なぜならそういう人は、自身保身のためなら、領民を売り渡すことなどなんとも思わないからです。安倍首相は、日米露という独裁三大国の一角を占めることで、そのリーダーの一人として世界に名前を発信したいのでしょうか。
安部氏はトランプへの忠誠を誓ったことで、ダークサイドに落ちたのです。もはや日本にとっては獅子身中の虫、悪の皇帝=トランプ、につき従うダースベイダー以外のものではなくなってしまいました。それでも今様ヒトラーと呼ばれるよりはましでしょう。
出でよ日本のジェダイナイト。日本とその国民を救い、官邸というデススターを崩壊させてほしい。とりわけデススターの司令官たる管長官の、韓国への対応を含めた、権威主義に根ざしたタカ派の政治運営が、日本にもたらすマイナスの影響には、計り知れないものがあります。安倍首相がどう語ろうとも、市民意識のある国民が、反トランプの姿勢を貫くことが、結果的に、日本国民と民主主義を救い、生き延びさせることになるのです。