「WTWオンラインエッセイ」

【第32巻の内容】


「トランプ帝国」
「映画、沈黙」

「ゴーマンな人々」
「トランプ、ゼッコーチョー」
「代表質問始まる」

「狸と猿」
「予算委、二国間貿易」
「トランプ政権の暴政」
「予算委、残業上限、天下り」
トランプ政権の暴言

UFOの写真です

責任者なき日本経済
トランプの難民政策

「不適材不適所、天下りよりプルで」


636.トランプ帝国。 2017/1/23


・毎日新聞調査、日米関係、今より悪くなるが56%。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170122-00000034-mai-pol
(寸評:トランプ大統領の誕生という異常事態は、米国の行き過ぎた金融資本主義、新自由市場主義、グローバリズムから発生した極端な経済格差の反動であり、失職し、労働運動の経験も無い労働者階級の不満の爆発です。資本主義の歪みが生んだ結果とも言える現象です。愚かなトランプが、本来掲げるべきはアメリカファーストではなく、市民ファーストであり、労働者ファーストで、その権利をどこまで守れるかなのです。しかし自身を含め、確定した閣僚の二人がともに億万長者であり、候補には極右の論客や軍人という特殊な政治環境下で、本当に労働者の立場も気持も理解できるのでしょうか。端的に言えば、労働者の不満に付け込み、それを悪用した大統領候補が、保護主義、自国主義の時流に悪乗りして、僅少差で勝利しただけではないのか。トランプが本当に目指しているのは、米国をトランプ帝国にすることです。私たちはスターウォーズの悪の帝国の実物を目の当たりにしているのです。それともアベノミクスのトランプ版でも展開して、トリクルダウン=おこぼれ頂戴=言うに事を欠いて、安倍首相も何という労働者を馬鹿にした言葉を使う事か、で労働者をなだめるつもりか。一方、米国の白人労働者階級には、共産主義、社会主義、労働運動への根強いアレルギーがあることが状況を一層ややこしくしています。彼らに政治経済の基礎的な知識があれば、民主党のサンダースが当選していたことでしょう。低レベルの論戦に負けまいとするあまり、強さばかりを強調したヒラリーは、選挙戦術を間違えたのです。かたや当選後に方針を変えることを怠ったトランプは、不人気を回復出来ませんでした。これは彼がいかに愚かであるかを示しており、そのことが今後の混乱と波乱を示唆しています。最悪、リンカーンやケネディの二の舞になる可能性もあります。騙されたと知った白人労働者階級がどう出るか、全く予測が付かないからです)
関連記事。150万人いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170122-00000013-jij_afp-int
(寸評:嘘をついてでも、真実を認めようとしない。これは誰かによく似ています。事実誤認で核のスイッチでも押されたら堪りません。正義と真実に無頓着な大統領なんて、最低ではないですか)
関連記事。世界各地で数百万人が抗議。
http://www.bbc.com/japanese/38709587
(寸評:ケリー国務長官も参加)
関連記事。反トランプの姉妹デモ。米国370か所。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/21/womens-march_n_14309550.html?utm_hp_ref=japan
関連記事。トランプ王朝は、北朝鮮の金体制に似ている。
http://toyokeizai.net/articles/-/153638
(寸評:娘をファーストレディにするというのですから、婿は事実上の大統領です。公職の私物化で、理念なき、お手盛りの自称民主主義です)
関連記事。価値観と現実を無視した演説。読売社説。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20170121-OYT1T50193.html?from=ytop_ylist
関連記事。オバマ、異例のワシントン残留。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48982
(寸評:アメリカを見捨てられないからでしょう。不測の事態に備えたのかもしれません。それにしても安倍首相の軽挙妄動には困ったものです。トランプと安倍の取り合わせでは、世界がぐしゃぐしゃ=愚者愚者、になります)

・株価はトランプ相場から、業績相場へ。映像。
http://www.nikkei.com/video/5290131300001/?playlist=4654649186001

・米中経済戦争は不可避。
http://jp.reuters.com/article/column-yoji-saito-idJPKBN1550DO
(寸評:でもそれって概ねホットな戦争に発展しますよね。以下の記事参照)

・トランプ側近。米中戦争の可能性高い。
http://diamond.jp/articles/-/114972
(寸評:軍と軍事産業とイスラエルに肩入れし、国連軽視。そんなトランプなら、手っ取り早い景気対策として戦争もやりかねません)



637.映画、沈黙。 2017/1/24

昨日、映画「沈黙」を見ました。3時間弱の大作です。内容が内容だけに、安倍首相が感想を問われて、沈黙、または絶句した気持は、むしろ分ります。と言うか、一般人ならそれが普通の反応だと思います。私も(なんと安倍氏も)学生時代に原作を読んでいますが、正直こんな筋だったっけという感じが先ずありました。しかし監督のスコセッシが22年間、肌身離さず英訳本を持ち歩いていたというのだから、原作を尊重していることだけは間違いないと思います。アカデミー賞の候補になりそうな作品で、可能性があるとすれば主演男優賞でしょう。テーマも筋も背景も、陰鬱の一言に尽きる重いテーマの作品ですが、先を知りたいというストーリーテリングの手法が生かされているので、最後まで見させる映画になっています。

島原の乱が収束して間もない頃、キリシタンの弾圧と、宣教師の追放が厳しさを増していました。何千人もの信者が拷問を受けて殺され、宣教師も追放や処刑されているといううわさがポルトガルの教会にも届いていました。そこで教会としても、これ以上宣教師を派遣する訳にはいかなくなっていたのですが、2人の若い宣教師、うち一人がこの映画の主役ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)が、どうしても日本に行かせて欲しいという願いを出します。そこで教会は最後の宣教師として二人を送り出します。二人はマカオで若い日本人キチジロウ(窪塚洋介)と会い、彼の手引きで九州に上陸します。二人の宣教師の目的は、彼らの指導者でもあったフェレイラ(ニーアム・リースン)が、棄教して日本人として住み着き、戻ってこないという話を聞いていたからです。宣教師なので、殉教はあり得ても、転ぶ、即ち棄教という事は想像もできないことだったので、会って真意を確かめたいと思ったのです。なぜフェレイラが棄教したのかが、この映画のポイントです。

二人は信者の村人の手配で、炭焼き小屋に潜んで、布教活動を始めますが、ある日、小屋の外に出ていた時に五島の村人に見られ、五島にも布教に来てくれと頼まれます。ロドリゴは五島でキチジロウに再会しますが、キチジロウは賞金と引き替えにロドリゴを奉行所に売り渡します。その時からロドリゴの獄舎での生活が始まります。キチジロウには家族を密告し、全員が処刑されたという経験があります。奉行所の手先でもあり、簡単に裏切るくせに、その赦しを乞うのです。命がけで信仰を守る人間ではなく、すぐに踏み絵を踏むような弱い人間の代表として、何度も画面に登場します。殉教者の美学も彼には無縁であり、自分可愛さにひたすら奉行所に媚びを売る人間です。

何とかしてロドリゴを転ばせようと企む、奉行所の井上筑後守(イッセー尾形=名演というよりは怪演)の策略で、ロドリゴがフェレイラと再会します。フェレイラと話し合ったロドリゴは、果たして信仰を捨てる(転ぶ)のか。また彼の人生は、そこで終わるのか。

日本人が多数出演しており、通訳の浅野忠信の英語は流ちょうです。浅野の役は最初、渡辺謙に話が来たものの、スケジュールが合わなかったと言われます。しかし渡辺ではあのいやらしい感じは出せなかっただろうと思います。この映画はれっきとしたハリウッド製ですが、それでも、服装や町の情景なども、少なくもラスト・サムライなどに比べれば、日本の映画と言って通るほどリアルです。

ポイントは、一にも二にも、映画の主題にあります。この映画が何を言いたいのかが、分からなければ、3時間が全くの無駄になります。

それでもこの映画を見た直後に何らかの感想が言えるのは、哲学か宗教を、少しでも学んだことのある人だけでしょう。だから安倍首相は答えられなかったのだと思います。一言で言えば、これは宗教と、信仰の映画であり、特に信仰が主要なテーマです。スコセッシは、自身がカソリックの信者でありながら、欧米ではおよそ考えられない神の存在を疑うという主題を取り上げました。同時に、信仰の本質と、奇跡や現世のご利益との関係にも踏み込んでいます。スコセッシの意図が理解出来れば、この長い映画を見た事が無駄にならないと思います。しかも画期的なことに、最後の部分で、仏教との違い(実はスコセッシの仏教の理解が完全とは言い難いにしても)の説明が登場します。因みに沈黙はこれが初めての映画ではなく、日本では1971年に篠田正浩が映画化しています。

信者が宣教師の目の前で拷問され、虐殺されているのに、神は手を下すは愚か、信者の悲痛な叫びにも答えようとはしない。そこにあるのは神の沈黙です。では神は信仰に対して、どう報いてくれるのか。それに答えようとするのが、原作であり、この作品です。但し、よくありがちな間違いは、イエス・キリストと神の違いです。イエスは神の子ですが、人間であり、神とは違います。
誤解を避けるために、更に一言付け加えると、遠藤周作もスコセッシもクリスチャンであり、作品中で神は死んだとは一言も言っていないのです。それは実存主義の概念であり、実存主義では神も天国も存在していません。この作品では、神は存在していますが、ただ答えないのです。

私はあらゆる(新興宗教や、カルトを含む)宗教が、この永遠のテーマにどう答えるのかを是非聞きたいと思っています。その答えを聞けば、この質問が、その宗教が本物か、それとも信者のカネ目当ての偽物なのかが分ける、リトマス試験紙になると思います。

この映画は、死ぬ前に見ておくべき映画のひとつです。というより、日本語を読むことのできる日本人なら、やはり原作を読むべきでしょう。

そもそも人間にとって宗教とは何なのか。それを考えさせる映画です。それは倫理も正義も平等も失われ、テロが無差別殺戮を繰り返し、金への欲望が人類を支配する、人間性も魂も荒廃しきったこの世界で、いま最も問われなければならない人類共通のテーマなのです。人殺しを正当化するような宗教(あらゆる聖戦を含む)は、信仰するに値しないことに、早く気が付い欲しいのです。
関連予告編
http://chinmoku.jp/




638.ゴーマンな人々 2017/1/24

・生活保護、正義の名を借りた暴力。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170123-00126570-hbolz-soci
関連記事。体売って働け。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/23/seikatsu-hogo_n_14329116.html?utm_hp_ref=japan
(寸評:何様のつもりか。もはや公務員として税金で養う必要のない人たちです。彼らこそ自分で稼がせよ。これが自民党が後押しする公務員の平均的意識なのでしょうか)

・安倍首相、プラカード批判。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000531-san-pol
(寸評:多数の議席を理由に、無駄あるいは有害な法案をごり押しで成立させている安倍独裁政権。無駄だったTPP,トランプにどうぞと差し出したカジノ法案。それらに比べれば、大声を出すでもないプラカードが、いかにささやかな抗議であることか。自我肥大の政治家たちが日本を悪くしているのです。不正が不正でなくなっている社会に、国民が置かれているのです。昨日の衆院代表質問の冒頭で、民進の野田が、消費税を先延ばししていると批判したのにはあきれました。未だに自分が間違っていたことを認めたくないようです。振り上げた手が下せないのは安倍首相も同じです。安倍首相より質の悪い政治家はそう多くはないが、野田幹事長と二階幹事長はあきらかに数少ない例外のようです)

・巨額おごりはいじめでないという判断に批判集中。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00010003-bfj-soci
(寸評:いじめではなく犯罪です)

・結論ありきの退位。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000159-jij-pol
(寸評:なぜ陛下の意思を踏みにじるのか。安倍政権はそんなに偉い存在なのか)




639.トランプ、ゼッコーチョー 2017/1/25

・米市民団体、トランプを提訴。外国政府から対価。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012400072&g=use
(寸評:金髪豚野郎という言葉を聞いて、これこそ新大統領にふさわしいニックネームだと思っていたら、これは泰葉が亭主の春風亭小朝につけたものでした。それはそれとして、トランプは金髪豚野郎ではなくて、単なる金豚のようです。なぜなら反対派がトランプタワーの前に金色の豚のアドバルーンを上げようとして阻止されたからです。これからは金髪豚野郎ではなく、金豚とお呼びするのがよろしかろうと。しかし東西の代表に共通するのは学歴がいささか見劣りすることです。東大・京大・東北大・早慶、ハーバード・イェールは政治家を出すようにもっと頑張って欲しいものです。結局それが世界の為になるのです)
関連記事。本を読まない。裸のトランプ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48965
観連記事。平然とウソをつくトランプ。
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2017/01/post-891.php
関連記事。就任演説は超絶暗い世界観。
http://toyokeizai.net/articles/-/154972
連関連記事。弁護士グループがトランプ提訴。外国金脈。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6796.php
関連記事。カリフォルニア州、トランプ政権で3人に一人が独立。
http://jp.reuters.com/article/california-trump-idJPKBN1580AK
関連記事。トランプ支持者の正体。チェンジを求めただけ。
http://toyokeizai.net/articles/-/155269
(寸評:私もそう思います。チェンジとトランプの本性を取り違えていたのです)
関連記事。トランプが不正投票説主張。
http://www.cnn.co.jp/usa/35095476.html?tag=top;topStories
(寸評:何が何でも自分が正しいと。これってAノミクスがうまくいっていると言い張る、A首相と全く同じ精神構造ではないでしょうか)




640.代表質問始まる 2017/1/25-26

国会中継が始まりました。昨日の参院での代表質問を録画で見ながら原稿を書いています。私の最大関心事、フィリピンへのミサイル供与の安倍首相の提案、どこの誰も触れようとはしませんでした。

共産党の志位の代表質問では、日本の労働者の平均収入がリーマン以降下がり続けているという指摘がありました。中間層が衰退し、貧困世帯が増えています。株の配当に対する不公平税制と、税金の使い方も指摘していました。奨学金の給付は、学生55人に一人しかないと述べていました。最初から安倍政権との妥協ありきの蓮舫とでは、志位の姿勢は立脚点がかなり違うように感じました。蓮舫の主張には野田=国民の裏切り者、の影響を感じさせます。むしろ政権与党の公明の井上の質問の方が遥かに国民の常識に近いものでした。

志位の1%の富裕層の政治ではなく、99%の国民ための政治をというスローガンも納得できます。更に異常な米国追随型の外交になっているという指摘や、憲法改正で新しい国をというが、具体的にどこをどう変えて、どんな国にしたのかという質問もありました。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにしている政治だと述べていました。テロ対策に必要な法案はすでにあるので、共謀罪は、思想を統制し、物言えぬ国民を作るための現代版治安維持法だという指摘もその通りだと思いました。下心と、本音を隠す安部首相に、いつまでも政権を預けておくと、日本は取り返しもつかないほどに、国民にとって荒廃した国になりかねません。下記で紹介する記事でも分かるように、地方行政を始めとして、その兆候が随所に現れてきているのです。

ところで沖縄の口きき疑惑。金品の授受でもあれば言い訳は出来ないが、口ききとなれば、上手の政党はほかにあります。この際、政党、地域を問わず、全ての口ききを対象にするのでなければ、今回の摘発が政治的な意図を持ったものと見なされても仕方がないでしょう。翁長知事つぶしの策略ではないという事を、与党は説明する義務があります。
関連記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170125-00000003-mai-soci
関連記事。蓮舫不発。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170124-OYT1T50120.html?from=ytop_main3


・首相、訂正でんでん。
http://www.asahi.com/articles/ASK1T62CZK1TUTFK00S.html?iref=comtop_8_06
(寸評:思い出します。麻生のみぞうゆうを)

・IS掃討作戦への参加考えていない。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/24/abe-isis_n_14374124.html?utm_hp_ref=japan



641.狸と猿 2017/1/26

提案型野党だという。維新も民進もです。維新が過去提出した法案は100本以上。でも誰がそれを知っているでしょうか。そもそも何故野党がいちいち対案を用意しなければならないのでしょうか。対案を出せとすぐに与党が言うのは、俺たちはこんなに苦労しているのに、文句ばかり言いやがって、だったら自分でやってみろという、開き直りの、いわば売り言葉です。子供のけんかじゃないのだから、いちいちそんなものに取り合う必要も時間も無いのです。

しかも対案を出せば、与党がそれを検討するのかと言えば、自党の利益になる場合以外は、そんな気はさらさらなさそうです。そもそも、与党には役所が付いています。その意味するところは、与党の政策と法案以上に、(少なくとも)現実的な代案が、野党から出てくる可能性が極めて低いということです。国民もそれが分かっているから、野党の法案などに関心は持たないのです。

自民党は、野党時代に対案を出していましたが、そのみすぼらしさは目を覆うばかりでした。法案の実行部門である役所がついていなかったからです。だから野党からろくな対案が出ないことは与党も百も承知しており、それゆえ確信犯たる与党が自分を正当化するためにふっかけてきたけんかを、野党がいちいち買っていた日には、良くても泥仕合で、結局は時間の無駄になるだけなのです。

本来の野党の仕事は、与党の法案や施策の不備や問題点を徹底的に洗い出し、国民に警告すると同時に、廃案に導き、最低でも大幅な修正を余儀なくさせることにあるのです。野党の存在理由は与党の対立軸なので、基本は反対活動なのです。いつも施策が同じなら政党を分ける理由さえありません。ということは、民進の議員の中でも、余り国民のためになっていないような、野田議員や蓮舫議員は、自民党(しかも右派)に入るべきだと思います。その方が国民を惑わす(もっと言えば騙す)より遙かにましだからです。

与野党論戦の意味をしっかりと国民が理解して、論戦で無駄な時間を使わないことが、地味ではあっても一番大事なことで、結果的に日本を良くするのです。自分が絶対的に有利な土俵に相手を引っ張り込む作戦に、うかうかと乗せられている民進の人達は、自分の立ち位置が良く分かっていないのです。論戦で勝つことが絶対条件であり、国民はそれを求めているのに、頼んでもいない妥協を繰り返す。自分たちが影の政権だと言いたい意識だけが先行しています。でも今は与党候補はおろか、まともな野党にもなり得てはいないのです。

大まかな方向性と代案は、施策を批判する時に示唆しない訳にいかないものであって、それ以上は不要なのです。敢えて法案にまとめる必要は無いのです。仮に法案にまとめたところで、いまのような国会の体制では、それが通る可能性は限りなくゼロに近いのです。実態がなく、現実艦もない国会論戦は、国民にとっては茶番か猿芝居と同じなのです。そう言えば民進を代表するお二人は、どことなく見た目もお猿さんに似ています。この学芸会に登場するキャラが自民だぬきと、民進ざるです。動物が演じる猿芝居なんて、それはそれで娯楽としては面白いかもしれないが、国民が真剣に見る価値のある物とは思えません。

ところで、昨日の衆院代表質問。民進・新緑風会の風間議員の切り込みには鋭さがありました。会計検査院の再就職・検査先への天下り、国交省、経産省、農水省の天下りの指摘もあり、担当大臣が次々に立って回答するという異例の事態となりました。しかし回答は判で押したように同じ。疑念払拭のために調査を行うというものでした。今のところ(午前4時現在)風間の発言をメディアが取り上げたという形跡はありません。




642.予算委、二国間貿易 2017/1/27

昨日の予算委で、自民党無所属の会の小野寺議員が、極めて分かりやすく、またポイントを突いた質問をしていました。トランプの二国間交渉になれば農業についても、TPP以上の要求が出るだろうが、日本の農業を守ってほしいと要請していました。小野寺は塩崎と共に、数少ない良識を備えた自民党議員であり、石破、岸田よりも総裁になって欲しい人材です。ちなみに稲田などは論外です。小野寺の質問には当然、安倍内閣も正面から対応せざるを得ないので、保革を問わない有意義な質疑になっていました。トランプの言葉に一喜一憂すべきでなく、自国の考えを持つべきだ、米国に自国の防衛を依存すべきでなく、自国の防衛は自国でという意見ももっともだと思いました。

小野寺の真意が、トランプに振り回されるな、出来れば日本がリードせよ、という点にあることは、誰にもはっきり分かる質問でした。私はこの質疑のどこを評価したかというと、自民党の拍手が少なかった点です。それは明らかに彼が安倍首相に個人的に依存する主流派とは異なる路線が、自民党内に現存することを意味しているからです。また小野寺の持ち時間で河野が下記の質問をしていました。
関連記事。日米二国間交渉に含み。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201701/CK2017012602000245.html
関連記事。河野議員が大臣追求。異例。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170126-00000116-fnn-pol
関連記事。国立大は文科省の植民地。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017012790070125.html
(寸評:再就職等監視委員会に外部の者を入れよ、泥棒に泥棒の見張りをさせても意味が無いと指摘していました。また文科省から国立大学法人に200人が現役出向しているのもおかしい。それでは大学が独立法人ではなく、植民地になっていると指摘。そもそもそんなに多数を出向させるのなら、省内に置いておく必要さえないはずです。文科省の膿が一気に吹き出したという印象ですが、他省庁でも大同小異ではないかと国民の誰しもが感じたと思います。

その後の、民進の玉木議員の質問中、安倍首相がヤジで我を失う場面が何度もありました。今回の補正予算は、税収が赤字なので赤字国債を発行することが目的であり、この手の補正予算は7年ぶりだそうです。原因はアベノミクスの楽観的な経済見通しにあり、しかも経費は6000億円も増えている。でもそのうちの災害対策は2000億円、残りは防衛省、外務省の上乗せ分だという指摘です。

更に玉木の持ち時間の範囲内で、細野議員が天皇退位の問題を取り上げており、安倍首相の回答を含め、極めて重要な議論となっていますので、新聞、ネットなど、何らかの方法で質疑の内容を確認される事を強くお勧めします。天皇は国民ではないが、最大限の人権を保証されるべきだという細野の主張は理解できます。私の理解では天皇は、明らかに民ではないので、国民ではない。その上にある存在だからです。でも日本に住む一人の人間であることに変わりは無く、運命共同体の一員でもあります。ならば最低限度の権利があってしかるべきです。例えば首相の任命で御名御璽を拒否することは、国政に関与するので出来ないにしても、私はことあるごとに、忌憚のない意見を述べることくらいは、重大な人権の一部として認めるべきだと思います)



643.トランプ政権の暴政 2017/1/27

・壁建設費3兆円どう工面。工事も地形で難航必至。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012600777&g=use
関係記事。共倒れの可能性。
http://jp.reuters.com/article/column-us-mexico-idJPKBN15A076
(寸評:歴代大統領の施策の中でも最悪の愚策です。何も生み出さないからです)

・メキシコ大統領、対決も屈服もしない。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012400489&g=use

・トランプ大統領誕生で、終末時刻早まる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN26H32_X20C17A1000000/?dg=1&nf=1
(寸評:トランプの姿勢は明らかにドル安の方向です。それは円高であり、日本の景気が悪くなることを意味しています。米国ファーストのトランプが日本の景気を考慮する可能性はゼロです。トランプは屈服させられる相手であって、話し合える相手ではありません。日本政府は強靭かつ狡猾な人材をしっかり用意しておかないと、安倍首相のように、ただハイハイ言っていれば、日本の国民は米国に骨までしゃぶられることになるのです。卑しいトランプの奴隷になるくらいなら、米軍の基地は全て引き上げてもらい、日中露で軍事同盟、不可侵条約でも結んだ方が未だましだと思います。地理的に見ても、米国は遠く離れているからです)
関連記事。トランプの防衛費増額要求はこうして突っぱねよ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48999

・トランプ、水攻め復活に意欲。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/26/trump_n_14412718.html?utm_hp_ref=japan
(寸評:先ず自分で体験してみてはどうか。その時はお手伝いしたいという人が大勢=500万人は、集まると思う)

・トランプ政権が初の無人機攻撃。イエメン。
http://www.cnn.co.jp/world/35095629.html?tag=top;topStories

・トランプ、中東・北アフリカ出身者の入国一時停止。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26HAQ_W7A120C1MM8000/?dg=1
関連記事。草案。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/26/trump_n_14411830.html?utm_hp_ref=japan
(寸評:二言目にはアム・アイ・ライトと叫ぶその姿は、ヒットラーのミニチュア版です)

・米大統領補佐官。南シナ海で中国への対抗措置を示唆。
http://www.cnn.co.jp/world/35095622.html?tag=top;topStories

・トランプは中国から工場と労働者を奪い返せない。
http://diamond.jp/articles/-/115713

・妊娠中絶で、勇気あるオランダの対応。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6818.php



644.予算委、残業上限、天下り 2017/1/28

・民進、残業上限80時間では不十分。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170127-00000029-nnn-pol
(寸評:私も録画で予算委員会の中継を見ながらこの原稿を書いています。井坂議員が、裁量労働制の拡大が労働時間上限の抜け穴になっていると指摘。しかも厚労省の80時間というのは過労死ラインとのこと。自分でやってみればわかるが、80時間というのは相当きついです。100時間なら土日は全くなしです。200時間ならその上に徹夜が1週間です。しかも休憩時間と称して夕刻の1時間は無給です)
関連記事。三菱電機の長時間労働不起訴。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170127-00000095-jij-soci

・文科省、北方領土等を我が国固有の領土と明記、
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170127-00000209-fnn-soci
(寸評:この省庁、こういう事だけは熱心です。私はいつか外国の同種の省庁と比較をしてみたいと思っています。昨日の予算委で民進の小川議員が天下り問題を追及していました。文科相の天下り斡旋問題の性質が悪いのは、天下り団体の中に分室を作り、事実上文科省の予算で、天下り斡旋組織を運営していることです。まさに組織ぐるみの不正行為です。斡旋していた組織は文教フォーラムで、その活動をボランティア=無償、と説明するのはいかにも無理があります。なぜなら理事の手当てや、部屋代を払っていたのは誰かという問題が残るからです。しかも前次官はこれで無念の詰め腹を切らされています。それは早めのトカゲの尻尾切りと思われてもしかたがないでしょう。次官様が辞職したのだから、もういいではないかと言うわけです。野党が参考人を呼んだのに、与党が阻止したという、安倍政権の体質が露わになるおまけまでついていました。無論それは国会という場で、課長クラスにうかつな白状でもされた日には、政権が揺らぎかねないからでしょう)
関連記事。天下り団体が家賃を負担。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700762&g=soc
関連記事。自民党部会、罰則を。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170128/k10010855751000.html

・木更津にもオスプレイ。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700882&g=soc
(寸評:そもそもそんなに多くの米軍基地がこの狭い国に必要なのでしょうか)

・書籍、雑誌協会が抗議。日本会議の研究差し止め。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700535&g=soc

・天下り、仲介役OBが報酬。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170130-00000086-jij-pol
(寸評:昨日の予算委員会の冒頭で、蓮舫が、各省庁から、利害関係のある関係団体に華麗な天下りをしていることを紹介し、福山がこの記事の仕組みを説明。その後行革担当の山本大臣が何度も曖昧な答を繰り返すので、審議がストップしてしまいました。この人に行革を任せておいても大丈夫なんでしょうか)
関連記事。内閣人事局30人体制で。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170130/k10010858211000.html



645.トランプ政権の暴言 2017/1/28

・トランプ側近、マスコミは黙って聞いていろ。
http://www.bbc.com/japanese/38766698
(寸評:まさに下品な外見が中身を現しています)

・自分第一、トランプ政権。粗野、虚言。
http://www.asahi.com/articles/ASK1W34MMK1WUHBI00T.html?iref=comtop_list_int_n04

・トランプ潜水艦増強。
https://this.kiji.is/197572614301876226?c=39546741839462401

・トランプがイスラム移民排除に布石。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6827.php
(寸評:サウジと縁を切らなければ筋が通らないし、民族間の対立をあおることが世界平和につながるとは絶対に思えない。頭の悪い米大統領は世界にとっての災厄です。)

・トランプがセレブから徹底的に嫌われる理由。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170127-OYT8T50005.html?from=ytop_os1&seq=02

・米国防長官、駐留経費増額の議論先送り。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H4J_X20C17A1PP8000/?dg=1




646.UFOの写真です 2017/1/29

10年近く天体写真を撮り続け、その総数は数千枚です。機器類も冷却CCDを含め、様々買い揃えましたが、70歳の大台を前にして、最早、深夜車を飛ばして河中湖の富士山麓まで行き、樹海を眼下に見下ろしながら、異界の魔物と遭遇しないことを願いつつ、人っ子一人いない高原で、重い望遠鏡を組み立てて、撮影が出来る歳でもなくなったので、思い切って観測機材や撮影機器を処分し、高性能の双眼鏡だけにしました。しかしデジカメの進歩はすさまじく、ISO感度も12000を軽く超えています。以前は最低でも30秒は追尾しないと、星が流れて撮影にならなかったものが、僅か数秒で写真が撮れるようになり、大掛かりな設備も、面倒なセッティングの手間なしに、気軽に天体写真が撮れるようになりました。

しかも水蒸気が多くて星座の輪郭さえ分からないと夏と違って、東京でも冬は空気の透明度が良くなります。しかもオリオンやすばるなど、対象が沢山あります。アンドロメダ銀河も、秋の天体ですが、午後6時くらいなら未だ天頂にあります。無論、外は寒いが、自宅の物干しでの撮影なら、いつでも室内に戻れるし、その場で画像処理もできます。

ところでUFOの話です。天文学者は、毎晩何時間も夜空と睨めっこし、星を観察したり、撮影しており、夜空との対応時間は、質、量共に、我々アマチュアとは比較になりません。ところが、その彼らがUFOを目撃した、或いは撮影したという話を聞いたことがありません。その最大の理由は、彼らが観察のプロであって、多少不思議な現象を目撃しても、冷静に科学的な分析、解釈をする習慣が身についていることです。或いはたまには目撃しているのかもしれないが、それは彼らの研究対象でもなく、研究者にとって重要な存在でないばかりか、時には大切な観察を台無しにするお邪魔虫でしかないからです。そこで一旦科学的なフィルターが掛かっているので、たまにいるUFO「現象」自体を研究対象にする場合を除いて、専門家による目撃例が極めて少ないのです。UFOの実在事態が疑わしい最大の理由がそこにあります。それは同時に、アマチュアの観察で、見間違いの可能性が多い事を示唆しています。

私が中学に入学したとき、天体望遠鏡を親にねだりました。そしてある日、それで太陽の黒点を観察していた時、私は初めてUFOを目撃することになりました。投影板に投射した太陽の前を、何かが回転しながら横切ったのです。飛行機なら、一瞬で飛び去るし、形も円形ではありません。まして編隊を組んで飛ぶこともありません。一緒に目撃させた私の父親以外と目撃談を話すこともなく、スケッチもどこかに散逸してしまいました。最近良く耳にする集団飛行のUFOと同じものを、私は「科学的な手法で」半世紀前に目撃していたのです。
そしてそれから半世紀、ハワイでの天体観望野機会もありましたが、私は一度たりともUFOに遭遇、または目撃することはなかったのです。ごく最近までは。

現在、夕方の西の空で一番目立つ星は金星です。衝の位置にあって、最大光度で輝いています。金星は月と同じように太陽光の反射で光っており、月と同じように満ち欠けをします。但し天体望遠鏡を使わないと、三日月になった金星の撮影も困難です。無論表目の模様など撮影は無理です。私は望遠レンズのピント合わせを行うために、金星を狙って何枚か写真を撮っていました。その時に下側に青い星が一つ映っていることは分かっていましたが、気にも留めませんでした。他の斜視の処理が終わって、捨てる予定の金星の写真を見た時に違和感を覚えました。それは青い星の位置が変化していたからです。

但しこの写真は、後日分析の結果、レンズの中に金星の光が乱反射したものだと見なすのが、最も科学的だと思うようになりました。キヤノンEOSKiss6i,ISO12800,シグマ望遠ズーム。1月24日18:00撮影。






647.責任者無き日本経済。 2017/1/30

今日の前書きは経済政策です。長めになっていることをご容赦ください。なお、この拙文を、日銀の体質変換を強く提唱してきた、内閣参与の浜田教授に捧げます。

アベノミクスがうまくいっていない最大の理由は、企業がアベノミクスを信用していないからです。もっと言えばその仕組みと欠点を完全に理解しているがゆえに、全面的に身を任せるつもりにはなれないからです。だから正規社員の雇用拡大にも、賃上げにも後ろ向きになるのです。いまの日本は、円安の為替レート(コントロールは難しい)と、マネタリーベース(これは政府で決められる)という金融政策だけに依存する、不安定、不健全な経済情勢にあり、しかもその裏付けとなる経済理論があるのかどうかさえ分からない状況にあるのです。これって実は相当に怖いことなのです。

かつてアベノミクスのきっかけを作り、その効果の最大の功労者である内閣参与の浜田教授自身が、その後何度となく政権に警告を発し、政策の修正を訴えてきたにも関わらず、一度振り上げ手を下ろすことを知らない、安倍・黒田コンビは、一度たりとも、それに耳を傾けようとはしなかったのです。あまつさえアベノミクスは自分達が考案した最善の経済政策だと主張し、それにこだわり続けているのです。

金利政策(いわゆるバズーカやマイナス金利)と円安期待(為替は、いくら政府が買い上げてもそれほど大きな効果はない)だけで、そこに日銀がいくらマネタリーベース政策を追加しても、実体経済を成長させるような政策そのものがないのだから、企業がアベノミクスを信用しないのは、むしろ当然なのです。

これから五輪で、建築土木業界はウケに入るでしょう。でも住宅用や商業用の施設と、五輪用の施設は決定的に違います。それは五輪の施設は経常的な利益は生まないからです。その理由は簡単です。五輪は百年に一度の大イベントであり、ということは、五輪以降の再利用はほぼ期待できないからです。その結果、いずれ巨大な廃墟になる事があらかじめ決まっているからです。だから経済的な見地では、無駄な施設を作っていることになります。でもイベントがアル以上、観客を収容する施設は必要であり、それを巨大なテントで一時的にしのぐ事も出来ません。

そこで、発想を逆転しましょう。まず大規模なイベントとして五輪以外に何が見込めるかを考えます。そしてそちらの最大規模に合わせた会場を設計します。五輪の観客の数=チケットの数、もその人数に合わせてしまいます。入場料が多少高くなってもそれは我慢して貰います。一生に一度なら、オペラ並でも仕方ありません。その代わり、厳正で公平な抽選でチケットを配布します。

会場に入れない人は基本、TVで見て貰います。と言うより、こういうイベントこそ、高精細TVで放映すべきであって、現場に行っても、遠くから豆粒にしか見えません。その代わり、TV中継のためには最新の機材や設備を最大限用意します。これは電機業界の特需にもなるでしょう。しかもその設備は、五輪後でも使えるのです。人集めで、その人数だけを競うのは、前時代的発想です。イベント自体を文字通りコンパクトにして、その代わり、全種目の全選手の一挙手一投足を、いつでも誰でも詳細に見ることが出来る。いわば協議の舞台を世界にまで広げるのです。それこそが真のイベントのサービスの部分=おもてなし、です。東京五輪はそういう近未来的なイベント会場のお披露目の場になるべきなのです。前近代的な頭しかない森元首相がトップに居座る限り、その結果出てくるものも、結局土木業者へのばらまきで終わる、前近代的な五輪イベントでしかないのです。

経済に話を戻すと、アベノミクスの最大の問題は、安部・黒田の頭の固さです。一度は浜田教授を登用して、新境地を開いた。でも未だにその時点に留まっている。世界は日々変化しているというのにです。金融政策、それも禁じ手以外は、事実上何もしていないのと同じなのです。三本の矢もどこまで飛んでいったのかは一切不明です。その結果として、現実問題として、経済政策は行き詰まっており、その責任が安倍・黒田にあることも、はっきりしています。しかも為替はいじるなとトランプから釘を刺されている。その結果、相変わらず先行き不透明なのだから、企業が財布のひもを緩めないのはむしろ当然なのです。

根拠なきアマチュア経済学のアベノミクスに全幅の信頼をおいて、それで経営計画など立てていた日には、いつなんどき、会社が現役、無配に転落して、役員のボーナスも出なくなるか分かりません。最低でも、倒産だけは避けたいという使命感から、必ずいつか来るであろう経営の危機の日のために、今は内部留保をため込んでいるのです。そもそも今のような派遣いじめがそう長く続かないだろうことは、常識のある人事担当者ならとっくに気がついています。いずれ労働者が立ち上がり、法規制が厳しくなる日が来る事は、間違いが無いからです。彼らは労働法や、労務管理がいかなるものかを理解しており、いわゆるブラック企業なるものは、所詮、経営の経験の浅い、新興のアマチュア企業に過ぎないことを彼らは知っています。それがまるで分かっちゃいないのは、むしろ他ならぬ安倍政権なのです。

もう一つ気がついたことがあります。それは以前優良企業と言われた日本の一流企業の名前が最近あまり出てこなくなっている事です。それはなぜでしょうか。それは彼らが新規の投資や、改革を控えていて、結果、その経営が相対的に目立たなくなっているからです。本当の一流企業にとって大事なことは、目立たないように頭を低くしていることなのです。一つにはネット炎上などいう無駄な現象に巻き込まれたくないと言うこともあるでしょうが、本当の理由は、今のような経済状況で、大幅な投資などで、派手に振る舞う事が、決して企業の将来にプラスになるとは思えないからです。何故なら、経済が拡大するという保証がないからであり、その点が、安倍政権と産業界の見方の決定的な違いなのです。いつどこに穴が空いているか分からないぬかるんだ道を、おそるおそる、抜き足差し足で歩いているような状況にある。それが日本企業の現状なのです。

その結果、いくら政府がかけ声を掛けても実質的な収入は増えない。アベノミクスがしくじっても(しかも多分しくじる)、安倍首相や日銀と心中はしたくない。そういう企業のスタンスには、従業員への還元が不足しているというマイナス面と、どんな政権になろうとも、どんな政策が出されようと、企業を倒産させずにしぶとく生きてゆくというプラスの面があります。私たちはその典型的な例をトヨタに見ることができます。安倍首相が退陣しても企業は生きてゆかねばならないからです。さらに露骨な企業になると、得なところだけはちゃっかり頂戴しても、経営或いは経営者に不利な政策は無視するという手法を使います。これは見方を変えれば、日本型資本主義の強靭さとも、柔軟性とも、理不尽さとも言えるのです、製造業は基本、独立独歩であり、金融業は基本政府におんぶにだっこで、高給を食んでいます。経営がおかしくなれば、税金での支援をあてに出来るからです。でも金融と製造と、そのどちらが本当に、日本と国民を支えているかは、言うまでもありません。親亀がこけると自分もこけるのが金融業界であり、海底をイソギンチャクなどを背中の乗せて、一匹でのそのそと地味に歩いているやどかりが製造業なのです。

ところで、1/30の岸田外相の説明では、第一次、第二次安倍内閣の対外援助費は総額54兆円とのことです。首相は多くは円借款だと説明していましたが。大塚議員が痛いところを突いたことは、首相の慌てた答弁で分かりました。大塚ははTPPのための予算も要らなくなったのでだから、その分の赤字国債発行を減らすべきではないかという指摘もしていました。また日銀の国債の多額の引き受けがいかに異常で、財政をゆがめるものであるかの説明もありました。昨日の予算審議では、民進常連の論客が安倍政権を圧倒していました。



648.トランプの難民政策。 2017/1/30

トランプはリトマス試験紙のようなものです。本人は意識していないようですが、それは極めて重大なテストです。即ちどの企業、どの政党が本当に民主主義を信奉しているのかいないのかです。いまの段階で合格しているのはスタバと三木谷と公明の山口だけです。安部氏は既に失格です。安倍総裁の民主主義なるものが、いかに口先だけのものであるかが、今回よーく分かりました。ところでトランプは、これまでどこにどれくらい寄付をしてきたのでしょうか。私はまともに納税もしておらず、強欲とはっきり米国で言われているこの人が、人道的な団体に寄付をする姿を想像できないのです。ナショナリズムは未だ国のためという言い訳が出来るが、非人道的な人間となれば、最早大統領どころか、一米国民としても、存在が正当化されるものではないと考えます。
関連記事。トランプは恥ずかしいの一言。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/29/trump-executive-order-protests_n_14486294.html?utm_hp_ref=japan
関連記事。トランプはヤクザの手法。
http://diamond.jp/articles/-/116099

・米スターバックス、難民1万人雇用。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/30/star-bucks_n_14489112.html?utm_hp_ref=japan
(寸評:これぞ企業理念です。アパホテルとは雲泥の差です。理不尽な政権の要求をいちいち呑んだとしても、その結果、反感を持つ国民全員を敵に回して受けるであろう企業の損失を、政府が補填してくれる訳ではありませんから)

・米国車は営業努力を。公明、山口。
http://www.asahi.com/articles/ASK1Z6SFLK1ZUTFK015.html?iref=comtop_8_05

・日米首脳会談がアベノミクス崩壊の序章か。
http://www.huffingtonpost.jp/yuichiro-tamaki/jpn-usa_b_14464610.html?utm_hp_ref=japan

・米の難民対応、安倍首相論評せず。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170130-00000013-mai-pol
(寸評:トランプの批判などという恐ろしいことを、弟分が出来るわけがない。管は状況見守り)
関連記事。永住者は適用外。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170130-00000025-jij_afp-int
関連記事。入国規制は違憲。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170130-00000007-jij_afp-int
関連記事。ANA,JALが搭乗断る。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170130/k10010858011000.html
(寸評:越権行為です)
関連記事。米国に物を言えない政権でいいのか。
https://this.kiji.is/198746098994118661?c=39546741839462401
(寸評:いいわけがないでしょう。是々非々でなく是々是々ですか)
関連記事。トランプが長々と言い訳。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017013000648&g=int
関連記事。人として間違っている。三木谷。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017013000645&g=eco
(寸評:安部さん、トランプにべったりだと自滅しますよ。国民を侮るのはご自身の自由ですが、首相が思っている=或いは望んでいる、ほど、国民は理解力が不足しているわけではないからです)



649.不適材不適所、天下りよりプルで。 2017/2/1

昨日の予算委員会で、きぼうの福島議員が、共謀罪は現行法の対応で十分であり、その意図が国民を縛る治安維持法と同じだとして、法理的根拠を政府に糺したのに対し、金田法相はその質問に答えるどころか、回答席に立とうとさえしませんでした。議長の山本一太が、見ているこちらが恥ずかしくなるくらい、懸命に官僚を指名していました。それはそうでしょう。安倍政権としては、六法全書が何かも分からない(或いは本当は分かっているのかもしれないが)大臣が、国民の眼の前で無様な姿をさらすのを、黙って見過ごすわけにはいかなかったからです。

自民党には他にいくらでも優秀な人材がいます。持ち回りで無能な大臣に続投させる必要はどこにもないのです。そんな形で政府が国民を馬鹿にする事があってはならないのです。安倍首相はことあるごとに適材適所を口にします。まさか今の内閣がそれだとでおっしゃるつもりなのでしょうか。防衛相、総務相、経産相、経済担当相、復興相、文科相、幹事長、官房長官、それから忘れてならない財務相を加えて、とてもまともとは思えない方々ばかり。警視庁特命係ではないけれど、安倍政権とは、自民党の人材の墓場なんでしょうか。でももう遅いのです。国民には法相の正体が分かってしまったからです。口の曲がった話し方をする某副総理を含めて、ダミ声の政治ボスなんて、そもそも時代遅れなのです。

大臣ともなれば、その分野の最高責任者だから、専門的な知識を持っていて欲しいとは思うけれど、でも100%は要求できません。それは分かっています。それより大事な要素は人柄であり、判断力であり、何より国民に誠実であることなのです。野党の質問に答えようともしない大臣に、私はその誠実さのかけらを見ることは出来ないのです。しかも基本的にこの誠実さこそは、安部政権に共通して欠けている要素なのです。安保法しかり、TPPの強引な批准しかり、今回の補正予算案しかりです。いつも顔は国民の方を向いていないのです。

あごのしゃくれた某経済担当相の、TPPがなくなってもその予算は使うという横車発言はともかくとして、問題はその態度です。人を食ったような慇懃無礼な話し方には、不愉快さを通り越して怒りさえ覚えます。我々国民が、国会で答弁に立つ全ての人達に求めているものは、100%の知識ではありません。100%の誠実さなのです。当然答えられない時もある。でもその時は、なぜ不勉強で申し訳ありませんとつけ加えることができないのか。憮然とするしか能の無い、金田法相はその典型的な例です。

質問に誠実、真摯に答えようとする姿勢が安倍政権に不足しているがゆえに、国会の審議が、時間ばかり掛かって(同じ答弁と同じ質問が、繰り替えされるので)いるのです。国民に対して丁寧な説明になっていないし、従って国民の理解も得られていないのです。それには閣僚が、国民の信用も信頼も得られていないという理由があります。首相がイエスマンだけ集めた王朝を作ると、得てしてこうなります。

現在の政治の仕組みでは、安倍首相は望むだけ続投が出来てしまいます。唯一の歯止めは、根拠の曖昧な、世論の内閣支持率だけなのです。いま僅かに評価されている閣僚は、首相にではなく、国と国民に軸足を置いた人だけです。どうか首相もその事実を認識して頂きたい。そうしないと、安倍政権は、戦後で最も恥ずべき政権として歴史に長く名前を留めることになりかねないのです。

ところで、私は官僚の転職に反対する者ではありません。但し転職と天下りは違います。天下りは省庁側からの押しつけですから、これは絶対に許されません。さすがに官僚には平均的な能力の高い人が多いし、仕事柄、国や地域や業界を俯瞰的に見る機会があり、またその習慣が身についています。先を見る目もある(場合が多い)のです。これを有効に使わない手はありません。しかも一部を除けば、順法精神とものごとのけじめについても企業人より厳しい場合が多いのです。即ち組織の倫理観が理解できるのです。

問題はいつに掛かって、転職の方法とタイミングにあります。私は能力のある人は早めに役所から出るべきだと思っています。一つしかない次官の席を競うのも方法ですが、そんな小さなことでは困るのです。特定の役所から離れて、日本全体を見るのです。その具体的な方法の一つとして、政治家への転身があります。行政の知識や国内法に詳しく、組織や企業のトップとの人脈でもあれば、かなり有利になれます。仮に第二のキャリアのスタートが、区議会議員であってもいいではないですか。

但し野心だけでは困ります。自分なりの理想を追求するという姿勢が不可欠の条件です。なぜなら企業人が企業の利潤に縛られるのに対し、官僚はもっと自由な発想が出来、国や国民の視点に立った価値判断が出来るからです。そういうことが、有能な人材の有効活用の意味であり、本当の意味での適材適所になるのです。

一方で、企業の方では、今後ますます人口が減ってゆくこともあって(求人倍率が上がっていることを手放しで喜んでいるのは安倍首相と、先が見えない人達だけです)、国際競争は激化し、有能な人材を確保できるかどうかは、企業の死活問題になってくるでしょう。何重もの試験に耐え、知能レベルが高い人材を官に求めるのは明らかにその一つの方策です。企業の側でもいろいろな噂を聞いて、これと思う人材がいれば、省庁の枠を越えて、何度でも足を運び、三顧の礼で迎えればいいのです。省庁の関連枠に留めようとするから(要は省庁の縄張り意識です)、天下りや癒着や利益供与に発展してしまうのです。文科省の問題は、いやがる組織に人材を押し込むような仕組みを省庁の権限と費用で作ってしまったことにあります。

転職活動においても、プッシュではなくプルの習慣を作れば、一気に天下りの問題は解決します。広く公開された人材バンクに登録して貰えばいいのです。また省庁もそれをパワハラの道具にしてはならないのです。省庁にとってその人が重要な人材なら、それなりの処遇をすればいいのです。バンクに登録しておいても、何年たっても、どこからもお声が掛からない場合もあるでしょうが、それは自らの不徳と諦めるしかないのであって、しかしそんなことは、民間では日常茶飯事に起きていることなのです。

ここまでくれば、どなたにでも、天下り問題の本質がお分かりになると思います。それは公務員の終身雇用制にあるのです。
関連記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170131-00000132-jij-pol





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