「WTWオピニオン」

【第58巻の内容】


「機能不全の資本主義」
「移民問題」
「佐川の保護」
「格差助長内閣」
「原発事故は終わっていない」
「アカデミー賞受賞作品」
「デブリ」
「官僚の告発」
「独裁亭主と天然女房」
「分かりやすい森友問題」
「ホンマかいな」
「仕組みの見直しが必要です」
「内閣支持率、限界値へ」
「株安」
「官房機密費」
「国民を馬鹿にしているのか」
「国民を馬鹿にしているのだ」
「日本にカジノはいらない」
「安倍昭恵が問題なのではない」
「NHK予算審議」


1141.機能不全の資本主義 18/3/4


いまもっとも旬な週刊誌はサンデー毎日です。その3.11号が、アベノミクスは生活破壊政策と題して、法制の水野和夫のインタビューを掲載しています。前書きが長いと読んで頂けないので、極力短くご紹介します。

資本主義は崩壊に向かっている。アベノミクスは国民窮乏化政策。経産省勉強会では自己資本利益率(ROE)の最低ラインを8%にすることを求めている。加えて株主総会を乗り切るためにはコストカットするしか手がない。結論は賃金カット。実質賃金、生活水準がどんどん下がって行く。賃上げ3%とROE20%両立には名目成長率5.5%が必要。短観で良いという答えと、生活意識調査で悪いという答え。今回のように、二つが逆方向を向くことは滅多にない。ROE20%を強制すれば、10年後の生活水準は40%になる。

日本は銀行預金が多く、大多数は株高とは無縁。量的緩和を止めると、米国のような利上げと株価の急落が起きる。株価第一の安倍政権ではそれは困る。日銀は金利調整ののりしろを欲しがっているが、ITの発達で在庫状況がリアルタイムに把握できる時代には通用しない。在庫過剰の不況はなくなり、金利ののりしろもいらなくなる。

長短金利がゼロになり、資本主義のご臨終とも言うべき局面を迎えている。分配が今こそ行き渡らなければならないのに、それが外国人株主の方に厚く偏っている。資本主義が利潤を生めず、格差ばかりが拡大している。

ゼロ成長と言っても、日本は500兆円の富を毎年生産し、所得として受け取る。別に困ることはない。経済成長を目標としない定常型社会の出現だ。資本主義システムの移行には三つのハードルがある。財政の均衡化、再生エネへの転換、地方分権の実現だ。

資本主義はモラルとしてももたない。価値観を逆転させる必要がある。資本主義、近代主義の、より遠く、より速く、より合理的に、から、より近く、より遅く、より寛容にすることだ。ゼロ金利を異次元緩和によって意図的に作り出すアベノミクスは、利潤創出を自己放棄する、資本主義の崩壊を加速する政策である。

WTWが水野の見解に付け加えることはただ一つです。今世界中で極端に偏ってきている富を分配すれば、それが消費に回ります。少数が富を握っていても、それは消費には回らない。人一人の需要には限界があるからです。経済を刺激するのは、台数の少ないスーパーカーではなくて、数の多い大衆車なのです。富のしかるべき分配が経済を成長させるのです。

だからといって、経団連と交渉して、ちまちました賃上げをしても、焼け石に水です。根本的な発想の転換が必要なのです。具体的な行動としては、浜田教授を参与に登用して、金融緩和に進んだように、水野教授を内閣参与にすれば良いのです。

アベノミクスを抜本的に見直して、第二のアベノミクス、即ちバージョン2に進める事でしか、アベノミクスを正当化する方法はないのです。
関連記事。異次元緩和後始末の修羅場。
http://diamond.jp/articles/-/159534


【注目記事】

・森友問題、決済文書書き換えか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180303-00000012-asahi-soci
関連記事。国税庁前で千人が抗議活動。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018030301001716.html
関連記事。5日も論戦。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030300464&g=pol

・世界株安一か月。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27672900T00C18A3EA5000/
2/9に、NHKの映像の世紀プレミアム(BS)第8集「アメリカ自由の国の秘密と嘘」の放映がありました。こういう場組が出来るのは、NHKが未だ完全には政権の支配下にないという証拠であり、国民が視聴料を払う理由です。



1142.移民問題 18/3/5


・伊、総選挙。最大の争点は移民問題。映像。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20180304-00000036-jnn-int
コメント:この問題では、ひとつ素朴な疑問があります。それは、イタリーは、米国に移民を出していなかったかということです。移民は出すが、移民は受け入れないでは、筋が通りません。しかもこれは日本でも言える事です。

地球規模のスケールで人間の移動や棲み分けを考える。それが復活するナショナリズムへの特効薬にもなります。お互いに国境を厳守しながら、商取引の利益のみを追求する、モノの国際移動だけがグローバル化ではないのです。各国がお互いに国境を開いて、宗教や人種を超えて人事交流する。無論いつでも戻って良い。人の移動を通じて、価値観の共有を拡大する。それが真のグローバル化なのです。世界が均質になれば、経済格差も平準化します。

異質なものへの拒否反応だけで、自国(と自分の内側に)閉じこもり、同種間でこう配を繰り返していたら、種としての質はどんどん低下します。種の質の低下は、肉体的なものだけではなく、能力的、精神的なものも含まれるはずです。生物の進化、種の存続と発展という観点から見れば、純血種の固守などということに、何の意味もないのです。

ハーフにイケメン・美女が多いのは、異種こう配(多様性)を自然=ガイアが求めているからなのです。しかも生物の種の存続という命題の他にも、異種交配や交流を繰り返していけば、世界が同質になり、生理的な嫌悪感を背景にした争い(戦争=殺し合い)も減るでしょう。お互いに移民を交換しあう事で、少子高齢化の問題も緩和できます。しかも少子高齢化は、いつどの国で起きるか分からないのです。この問題の最終的な解は、日本人(特定の国家と言ってもよい)を残すのではなく、人類を残すことを最優先に考えることです。お隣に、肌の色が違う人が住んでいても良いではないですか。同じ人間なのだから。



1143.佐川の保護 18/3/5


日曜日のTBSのサンデーモーニングを見て腰を抜かしました。森友学園の文書で、元の文書にあった「本件の特殊性」そして「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行う」等が削除されていたからです。共産党の小池議員の指摘ですが、資料をスクープしたのは朝日新聞です。だからあれほど、首相が朝日を口汚くののしったのです。

これが事実なら、とんでもないことです。悪意と確信のある隠蔽工作であり、公文書の改ざんであって、もはや犯罪行為です。特殊性とは何のことか、誰でも気になりますし、しかもそういう意味なら、加計学園はさらに特殊です。

安倍首相(と麻生大臣)の足もとが崩れる日が、足音を立てて近づいてきています。百歩どころか千歩譲って、彼らから「直接・間接の指示がなかった」としても、行政府の長として、三権分立の憲法違反どころか、国民を裏切る行政機関の組織的な犯罪行為の責任は、辞任に十分値するものです。

一方で、事態がここまでこじれれば、私が佐川長官なら辞表を出します。国民の大多数を敵に回して今後も生きてゆくのはとても難しい事であり、引責辞任すれば、風当たりがかなり違うからです。(本当は違うにしても)「自分一人の判断でしたことだ」と、国会で自ら証言する事しか、もう彼が日本で生きてゆく手段は残されていないのです。

しかしこの問題は佐川個人の問題ではなく、組織ぐるみの画策と、首相夫人の「直接」の関与によるものです。そもそも「こんな下らない問題は」優秀な官僚が関わり、組織の存続のためだけに命がけで守るような案件ではないのです。

外国でこんな状況になれば、身の危険があります。しかも危険なのは、反対派の国民のデモより、政権に忖度する組織や個人です。むしろ国民は、「首相の犯罪の」証人保護のために、SPの動員を要請すべきだと思います。不慮の事故(自傷を含む)に会わせないようにするためです。籠池の監禁を見れば分かるように、政権と既得権階層は、追い詰められれば、何をしでかすか予測がつかないのです。

コメンテーターの荻上チキは、時間が掛かっているから森友問題はもういいという意見があるがおかしい、時間が掛かっているのは役所が資料を出さないからだと言っていました。また働きがいなどは大きなお世話であって、政治がなすべきは、労働者の権利をどう保護するかだという、正論も述べていました。ということは、労働者の代わりにそういう活動をしない連合や労組が、いかに理念から逸脱した、異様な存在になっているかということでもあります。

なお岡本行夫が、働き方改革で大事なことは、自分の仕事に誇りを持つことだと述べていました。確かにその通りです。生きるために働くというのでは、長続きはしません。八百屋にも魚屋にも(失礼)プライドがあるのです。

なおサンデーモーニングでは、アサドの残虐行為を厳しく批判していました。プーチンのアサド政権の支援だけはどうしても許すわけにはいきません。しかもロシアはシリアをし根来の実験場に使っているのです。

関連記事。一番大事な部分が改ざん。
https://www.asahi.com/articles/ASL34533PL34UTFK00C.html?iref=comtop_list_pol_n02
関連記事。森友文書、事実なら総辞職。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030400249&g=pol
関連記事。国家や社会がぶっ壊れる。枝野。
https://www.asahi.com/articles/ASL347J15L34UTFK00L.html?iref=comtop_8_02
コメント:BSTBSの時事放談の枝野の発言は私も見ました。また枝野は、最初に富裕層を豊かにするというトリクルダウン政策は、発展途上国の手法であって、日本にはそぐわないと批判しています。8割の国民が、アベノミクスの恩恵を実感できていないことでも、安倍政権の経済政策の失敗は明白です。
関連記事。小論文のネタ。
http://diamond.jp/articles/-/161404
コメント:一読を。数字を知らなければ議論も出来ません。



1144.格差助長内閣 18/3/7


一昨日の参院予算委で、山本太郎が質問というより演説をしていました。例えそれが演説であっても、生活保護費の度重なる引き下げを、正面から批判したのは彼くらいのものです。生活保護は生活困窮者を救うための、最後のセーフティーネットで、福祉の基本です。ところが生活保護受給者は犯罪者でもあるかのような風潮を、政府自らが作り出しているのです。

現在の富裕層や権力階層で、自分一代で地位と富を築いたという人は少ない。二世三世の政治家を見ればわかるように、生活に不自由のない家庭に生まれ、育児環境でも教育環境(とりわけ大学)でも不足なく育ってきた。資産、生活環境以外にも、DNAと人脈という無形の資産も、親から受け継いでいるでしょう。即ち人生のレースのスタート時点で、支配階級には、すでに大きな差がついているのです。「資本」を書いたトマ・ピケティも、世襲財産と高額所得者への優遇措置が不平等の原因だと指摘しています。

そういう人生レースの不平等を、何とか緩和して、人間が人間らしく、大きな差のない人生を送れるようにしようという仕組みの一つが生活保護なのです。最初から大きな差のあるレースで、それでも前方を走る人達に追いつき、追い抜いて成功を収める事が出来るのは、よほどの才能と運に恵まれた人であり、それはごく少数の人達なのです。それがあたかも万人に、平等な成功の機会が開かれているように言うのは、まやかしであって、実際には幻想に過ぎません。誰にでもチャンスがあるというアメリカン・ドリームには、競争が平等なものである、即ちスタート時点が同じだという前提条件が必要です。参加資格を平等にするところから始めないと、公平な競争にはならないからです。

但し、条件を均等にしても、それでも、レースの結果には差がつくのは当然です。だってレースなのですから。でもその結果を、優勝劣敗で片づけていては、国が国として成り立ちません。誰にでも、それぞれの能力と目標に適合した居場所が必要だからです。

同じ人間として生まれた以上、余裕のあるものが、余裕のないものを支える。それが民主主義国家のあるべき姿です。しかもこの姿勢は国際関係でも同じです。国同士が支えあう図式です。この「理想」がなかなか実現しない、或いは、始めても長続きしないのは、支える側と、支えられる側が固定化する傾向にあるからです。なぜ固定化するのかと言えば、それこそ世襲財産が大きな理由なのです。

人生レースが毎回ゼロからのスタートなら、勝ったり負けたりということもあるでしょうが、最初から大差がついています。なので勝ち組はいつでも勝ち組、負け組はいつまでたっても負け組なのです。富裕層にとって、自分達が将来生活保護を受けるようになることは想像出来ないのです。言い換えれば、困ったときはお互い様という気持ちにならないのです。

しかし、イスラムにも、キリスト教や仏教にも、施しという、表現が悪ければ、与える、或いは分け合う、言い換えれば助け合うというコンセプトがあります。だから米国でも寄付という行為がどんな階層であっても、普通に行われているのです。ところが日本では事実上無宗教です。だから外国に比べて寄付金が少ないのです。しかも寄付金をピンハネするような行為が組織的に行われているようでは話にならないのです。

キリスト教の信者が多い米国でさえ、健康皆保険には反対意見が多い。そこには「社会主義」に対するアレルギーもあるでしょうし、そのまた背景には、自助自立の精神的風土があり、それゆえ政府がお節介を焼く、大きな政府を嫌う傾向があります。

しかし日本の場合は、そういう自助の精神風土というより、富裕層から見れば、本当は働けるのに、怠けているだけではないのか、生活保護費も、酒とパチンコに消えているのではないかという悪意の解釈が優勢なのです。そこにあるのは、なぜ怠けている国民を自分達が援助しなければならないのかという卑屈な被害者意識だけなのです。進んで寄付(正確にはフィランソロフィー=慈善)を行う欧米とは意識において、雲泥の差があるのです。

そういう不満と心理的な背景があるから、生活保護の制度そのものにも否定的で、自身が富裕層である安倍首相も、生活保護費の削減に抵抗感がないのでしょう。政府のトップの、生活保護の受給が悪だという価値観が、行政全体に否定的な雰囲気を作り出しているのです。

生活保護の原点は、国民の生命と生活の維持です。あらゆる階層の国民を包含するから日本があるのです。中間層以下の国民が全部死に絶えたら、富裕層だけで国を回すことなど出来ないのです。更に、稼ぐだけでなく、利益を消費して「くれる」多くの国民がいないと、経済は回らないのです。その部分が停滞しているのが、いまの日本の経済の構図なのです。

支配層が、経済的弱者に対して、働く意欲がないという不満を持つのであれば、能力の開発や、能力に見合った職場を作り出す努力こそが、両者にとって望ましい、前向きの対応ではないのか。母子家庭なら、母親が安心して働きに出られる環境を整備することこそ、政治の役割ではないのでしょうか。生活保護を切り詰めても、日本として得になることは何もないのです。

企業(特に大企業)を優遇し、そこで出た利潤が、したたり落ちて大衆を潤すというのがアベノミクスのトリクルダウンの理屈です。でもこの時代遅れの、レーガノミクスの焼き直し版は、5年経っても日本ではまともに機能しませんでした。それがアベノミクスが失敗であることの、何よりの証左なのです。株価が上がった、求人倍率が増えたと安倍首相は自慢しています。でもそこには大きな誤解があります。企業の利益の多くが円安、即ち為替差益によるものだからです。しかも今年はいつ円高に振れ宇か分からない不安定な状況にあるのです。

企業の増益が、新製品や新市場の開拓によるもの、或いは売り方の工夫に伴う新規需要の喚起によるものなら、企業も安心して増産、即ち設備投資に動くでしょう。でも企業も今の利潤がそういうまともな理由ではないことを百も承知しているからこそ、「うかつに」利益を従業員に還元しようとはしないのです。

しかし従業員に利益を還元(再配分)しないような企業(経営者)なら、日本から出て行って頂きたい。それで困るのは日本の方だろうって?。いえいえ困るのは不正まみれで、経営理念も、企業倫理も見失った企業役員の方なのです。海外で、日本と同じようなこと(不正行為)をすれば、経済犯罪には実刑が適用されます。国によっては死刑もあり得るのです。

なおTBSの特番では、道徳教育の復活を批判していました。中でも冒頭で、当時下野していた安倍現首相が述べた言葉が印象に残りました。言葉通りに再現すると「教育の1丁目1番地に道徳心を培う。政治家がタッチしてはいけないのかといえばそんなことはないですよ。あたりまえじゃないですか」。

ならば嘘をつき、政権に胡麻を擦ることが奨励されている、いまの日本の政治や行政の何処に道徳心があるのというのでしょうか。率先垂範すべき首相や大臣、高級官僚が倫理違反の行為を繰り返していることを、どう説明するのでしょうか。道徳は国民が守るもので、自分達が守るものではない、国民はひたすら国に奉仕すればいい、自分達は支配者としてその上に立つからとでも言いたいのでしょうか。

同じ番組で、フジテレビ系列の教科書出版の育鵬社の代表執筆者が、ちゃんとした日本人を作ることが目的だと述べており、ちゃんとしたとはどう意味かと問われて、左翼ではないと言っていました。信じがたいような、戦争に直結するリアルなホラーが、我々の眼前にあるのです。


【注目記事】

・捜査は説明を拒む理由にならない。
https://www.asahi.com/articles/ASL364G9ZL36UTFK00J.html?iref=comtop_8_01

・新燃岳噴火。映像。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180306-00028380-mbcnewsv-l46

・為替と株の大変動に備えを。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKBN1GH0IR

・実感なき好況の理由。
http://diamond.jp/articles/-/161936

・政府、携帯番号を直接管理。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180306-00000040-asahi-bus_all
コメント:ファシズムの復活です。


1145.原発災害は終わっていない 18/3/8



昨夜のNHKの特番「被爆の森」は、ご覧になった方もおられると思いますが、今週で最も重要な番組でした。何故なら、いま世間で「意図的に」流布されている情報では、福島産の食材にしても、生活環境にしても、「無視できる」レベルまで線量は下がってきているという情報しかないからです。原発から離れた地域で生産される食材ならいざしらず、肝心の住民の生活環境には楽観的な見解だけが流されています。批判的な意見も、まして具体的な線量の情報も、発表される事は極めてまれなのです。これは暗黙の裡に、情報の統制(または自主規制)が行なわれていることを窺わせるものです。
関連記事。政府、報道の自由勧告拒否。
https://this.kiji.is/344094119507182689?c=39546741839462401
コメント:道徳教育の復活で分かるように、安部首相と日本会議は、検閲を始めたくてうずうずしているのでしょう。民主主義への悪質な挑戦です。

生活圏での線量は被災1年後の70%減になっていると番組では報じています。但し今後はその減り方は遅くなるとも述べています。とりわけ一番多いセシウム137の半減期は30年ですから、7年後の今は、未だ殆どが残っていると伝えています。なおセシウムは、森の土壌が吸収するため、地下水への影響は少ないということです。汚染全体の90%は土壌で、木を伐採しても効果はなく、林業の再生には土をはぎ取る必要があるとのことです。

福島原発に隣接する森は、今まで全く立ち入りができなかったが、最近短時間なら入れるようになりました。それでも線量は60マイクロシーベルトあり、これは自然の森の、千倍以上の線量とのことです。この森では植物がしげり、動物が暮らしています。そこで何が起きているのかを調べたのがこの番組です。食物連鎖を通じて、放射能が循環する様子を紹介しています。何より危惧されていた、染色体の異常が、ねずみやアライグマから、すでに検出されています。霊長類の猿にも影響が出ています。それがどういう具体的な奇形に結び付くのかは、今後の課題です。

驚くべきはスズメバチの巣の信じられないレベルの線量です。これは樹皮の汚染が原因とのことです。植物では、セシウムが花や実に集中しています。土がセシウムを吸収し、それを植物が取り入れているからです。

こういう状況を見て見ぬふりをして、原発再稼働30基を目指す経産省とは、どういうお役所なのでしょうか。そういう計画を国と国民に押しつけたいのなら、まず責任者自らが、家族ごと福島に移住してからにして頂きたい。自分は安全な場所にいて、他人の立場も思いやることができない発言を繰り返すのは、高級なお役人だけではありません。超保守の政治家と、お手盛りしか能のない経営者にも言える事です。

そもそも、汚染水の処理はおろか、汚染土の保管も、天井知らずの廃炉の費用も、そもそも放射性廃棄物の処理という根本的な宿題でさえ、目途は立っていないのです。それでよく再稼働などと言えるものだと思います。高齢者に免許返納を迫るのなら、それと同時に日本の行政の運転席に収まっている人たちにも、若年性アルツハイマーの検査をお願いしたいのです。

また来る311を迎えて、私たちは、いま一度、原発と放射能汚染の問題に、正面から向き合う必要があります。メルトダウンした原発と、再稼働を待つ原発群という、大きな負の遺産を次の世代に申し送って、知らん顔を決め込むなど、少しでも良心のある国民なら絶対に出来ないことです。どこにでも拡散して行き、生物の遺伝子を破壊する放射能には、臭いも色もありません。臭いものに蓋をすることさえ出来ない、厄介なしろものなのです。原発対策一つを取って見ても、保守政党と、それを支えるお役所の、「無責任体質」が透けて見えるのです。
関連記事。福島産ためらう過去最少。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6274568
関連記事。未稼働原発に5年で5兆円。
https://www.asahi.com/articles/ASL36624WL36UTIL03W.html?iref=comtop_8_02
関連記事。被災地、五輪への関心薄く。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000118-mai-soci



1146.アカデミー賞受賞作 18/3/11


今日は311です。
関連記事。避難生活、いまも7万3千人。
https://www.asahi.com/articles/ASL393FSLL39UTIL00Q.html?iref=comtop_8_02

また東京大空襲の日でもあります。
関連記事。東京大空襲の写真を守り抜いたカメラマン。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/09/koyou_a_23382008/?utm_hp_ref=jp-homepage


第90回のアカデミー賞で複数受賞を果たした2作品が、劇場で上映されているので、鑑賞しました。以下はそのた感想文です。

「シェイプ・オブ・ウォーター」
関連サイトhttp://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/story/
アカデミーでは作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞を受賞。舞台は1962年のアメリカ。アマゾの奥地で神のように崇められている不思議な生物が捕獲され、密かに研究所に持ち込まれます。研究所で清掃員をしている主人公は、幼児時期の虐待で声を失っています。この異生物は水棲なので、研究所ではタンクに閉じ込めているが、研究のために解剖されるという話を聞いた主人公(耳は不自由ではない)は、掃除婦仲間(2011年の助演賞オクタヴィア・スペンサー)に口止めをして、脱走計画を立てます。そこに生物の殺害を狙うソ連のスパイが絡んできます。
基本は研究所の警備主任との命がけの戦いです。1962年の設定なので、研究所も最新のそれとはかけ離れた、暗く、古臭い作りです。全体的に暗い雰囲気の中で、物語は進行します。同居している老人は、イラストレーターだが、解雇されました。生物は会話が出来ないので、主人公が手話を教えます。
ストーリーは、端的に言えば美女と野獣です。但し主人公は美女ではなく、しかも障碍者です。それでも不幸な環境にめげず、前向きに生きており、健常者と同じ感覚も備えているのです。但し結構あけすけなシーンもあるので、家族連れで見るような映画ではありません。また単純なSFでも、ホラーでも、おとぎ話でもありません。
この映画の主張は極めて明確だと思います。それは「差別」に対する渾身の抗議です。冒頭から異生物に対する度を超した虐待が始まりますが、「差別」はそこに留まりません。障碍者への差別、黒人への差別(だからこういう時代設定になっている)、老人への差別、ゲイへの差別、外国人への差別が全篇で渦巻いているのです。そこに権力の暴走が重なって、「差別という悪」が、人権は愚か、命まで粗末に扱うようになる。ここで観客は、差別意識と、異質なものへの嫌悪感が、戦争の原因でもあることに気付かされるのです。敢えてソ連のスパイ等という無理な要素迄入れたのも、戦争を連想させるためだと思います。
万人が見て、手放しで楽しめる映画ではありません。しかしホラーとも思える、気持ちの悪さだけを感じていたら、この映画を理解できないし、違和感しか残りません。ところがこの映画を、あらゆる差別に対する抗議と、障碍を抱えた無力な主人公が、目に見えない差別の悪に果敢に立ち向かって行くヒーローの映画だと考えれば、すべてが納得できるのです。

「スリー・ビルボード」
アカデミーでは主演女優賞、助演男優賞を受賞。
関連サイトhttp://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/
主演女優のフランシス・マクドーマンドが、授章式で、女性の候補者全員に起立させ、その数がいかに少ないかという、性差別に対する抗議をしたことでも話題になりました。マクド―マンドは「ファーゴ」で主演女優賞受賞、イェール大で修士号、監督のコーエンと結婚しており、トニー賞の受賞歴もあります。但し美女とは言いかねます。
ところで、まずこの題名が分からなかったが、ビルボードとは道路沿いの立て看板のことです。ミズーリ州のエビングと辺鄙な街の、しかも人通りの少ない道路に設置された巨大な三枚の看板は使う人も見る人もいませんでした。でも看板が遠くに見える家に住む主人公が、反抗期の娘を強姦、惨殺されるという事件の犯人逮捕のめどがついていないかったことから、車を売って、看板に警察に対する抗議文を掲載しました。そこから混乱の全てが始まります。
名指しで怠慢を指摘された地域の警察署長の気持ちが良かろうはずもなく、部下の警察官もいきり立ちます。やがてやり場のない怒り(と無知)が暴力事件に発展し、犯人捜しそっちのけの地域内でのトラブルに巻き込まれてゆきます。そこに、主人公と離婚して10代の女性と暮らす主人公の夫が一枚絡んできます。
監督が表現したかったのは、同じコーエン兄弟のファーゴやノー・カントリーでも見られたような、米国社会の底辺に流れる狂気と無知であり、非日常的な非条理が、一触即発で日常に潜んでいる事への警告だと思われます。映画を見た人はおそらく大半が結末には納得できないでしょう。でもこの映画の目的と主張を考えると、それもありかなと思えて来るのです。

スリルがあって楽しい映画だけが、映画ではありません。映画を見た後で、人間とは何か、ヒューマニズムとは何かを考えさせられる。それが娯楽映画と、人生映画(というのかどうかは知らないが)の違いです。前者は映画の楽しさを与えてくれます。後者は私たちの人生をより深く、また意味あるものにしてくれます。だからどちらも良い映画なのです。映画の良し悪しの判断基準も極めて簡単です。見た時間が、無駄でなかったと思えば、その映画は良い映画なのです。辛口の批評になりますが、日本の映画は、娯楽映画でも、人生映画でも、未だ遠くハリウッドには及ばないと思います。その最大の原因が監督のレベルの差だと思います。

但し「空海」(日本人の主役=染谷が中国語で話していたのが凄い)のように、費用を掛ければそれなりに見栄えのする映画も出来ます。なので日本はもっと映画に費用を掛けても良いと思います。そもそもクール・ジャパンなる代物に、どれだけ金を遣い、どれかけ成果を上げたのかを、政府は公表すべきなのです。都合の悪い事には口をつぐむのは日本の政府の特徴なのです。

更に芸能界におけるNHKという足かせも取り払うべきです。実力のある俳優(やアナウンサー)はNHKに出してもらう必要はないのです。

それにつけても最近の映像技術の発達には目を見張るものがあります。スーパーマンから始まる、一連のマーベル作品(はっきり言えばB級作品)でさえ、デザインから特撮映像まで、本当に良く出来ています。費用も掛かっています。それらもまた、見て楽しければ、良い映画なのです。

ところでワウワウで再放送があったので、昨年度の受賞作ララランドを見て、再度良い映画だと思いました。良い映画のもう一つの条件。それは何度見ても新しい発見があることです。二度見に耐える作品が良い作品なのです。ララランドの主役は二人ともプロのミュージシャンではありません。だから「本物」のミュージシャンが補強で登場するのですが、中でもジョン・レジェンドが劇中演奏する「スタート・ザ・ファイア」という曲が気になったので、楽譜を買いました。こと音楽に関しても、日本の映画は未だ遠くハリウッドには及びません。

生涯一映画ファンとして言えることは、ただ一言、「映画よ永遠なれ」です。


【注目記事】

関連記事。戦争の危険あるが85%。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180310-00000060-jij-pol
コメント:そんなことはありません。しかも最も信用できない内閣府の調査です。国民は、好戦的な安倍・河野に扇動され、踊らされるのも良い加減にして頂きたい。安倍・河野は、ビデオになった「ハクソー・リッジ」でも見て、沖縄戦の凄惨なシーンを直視して頂きたい。河野太郎はゴミ太郎です。

・文書書き換え、佐川が指示。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180311-00000002-mai-pol
関連記事。書き換え疑惑解明を。抗議集会。
https://this.kiji.is/345161742424720481?c=39546741839462401
関連記事。政治の力働いた。前川。
https://www.asahi.com/articles/ASL3B7TPBL3BOIPE015.html?iref=comtop_8_03
関連記事。政界も官界も腐っている。小沢。。
https://www.asahi.com/articles/ASL3B5RM7L3BOIPE00N.html?iref=comtop_8_04
関連記事。絶体絶命。
http://toyokeizai.net/articles/-/212098
コメント:加計でも文書書き換えがあったと報じられています。



1147.デブリ 18/3/12


廃炉問題。デブリを取り出せばそれで終わるのか。その後で、デブリをどう処理するのかと疑問には答がないということが、昨日の田原の激論クロスファイアで分かりました。原発が稼働すれば、毎年広島の原爆の千倍の死の灰が生産されるという事実についても、国民には余り知らされていないと思います。
関連記事。原発に抗議。青森で市民集会・
https://this.kiji.is/345488849278321761?c=39546741839462401
関連記事。偏見と差別。相馬市。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180311-00010005-bfj-soci
関連記事。唐土壁に疑問符。映像。
https://jp.reuters.com/video/2018/03/11/%E9%9C%87%E7%81%BD7%E5%B9%B4-%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%8C%E5%87%8D%E5%9C%9F%E5%A3%81%E3%80%8D%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%AB%E7%96%91%E5%95%8F%E7%AC%A6%E5%AD%97%E5%B9%95%E3%83%BB8%E6%97%A5?videoId=407430783&videoChannel=201



1148.官僚の告発 18/3/12


安倍首相の個人的な見栄の為にノンキャリアの真面目な職員が自殺しました。本件には殆ど触れようとしないNHK(パラリンピックと大相撲の専門チャンネル)とは異なり、今朝の8時からTBSが詳しく掘り下げています。遺書があり、未だ公表されていませんが、その中には、なんで自分が汚い仕事をさせれなければならないのかと書かれているとのことです。同番組で前川前次官が組織の犠牲者だと述べていました、この悲劇に全く関与も責任もないなどと言い始めたら、安部も麻生ももはや人間ではありません。私が親族ならはハッキリ言うでしょう。、このX殺しと。しかもこれが初めてではありません。ISの人質になった後藤氏を見殺しにした前科があるからです。残念ながら当時の首相が誰だったか良く覚えていませんが。

・森友書き換え、本省指示の可能性。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180311-00000074-jij-pol
関連記事。森友文書、複数存在。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180311-00000928-fnn-pol
関連記事。検察、書き換え前の文書を財務省に提供。映像。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180311/k10011360801000.html
関連記事。政府の森友文書対応不適切が80%。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180311-OYT1T50088.html?from=ytop_main2
関連記事。読売調査、安倍内閣支持率低下、過半数割れ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180311-OYT1T50085.html?from=ytop_main1
コメント:安倍首相は、自分は無関係だという立場(言い訳)を最後まで貫こうとしているようです。財務省(または佐川)が自分勝手にやったことだという立場です。でも森友学園に恩を売ることで、財務省がどんな得をするというのでしょう。支持政党を問わず、ほぼ全ての国民に分かっていることがあります。それは安部内閣の次の一手はもう決まっているということです。それは麻生大臣の引責辞任です。それが最後の一手であり、それでもなお、安倍首相は、首相を続投するつもりでしょう。
対北朝鮮でも、気の変わりやすいトランプの尻馬に乗ることで、完全に戦略を誤り、国際関係で日本を宙に浮かしてしまいました。私達が提言してきたように、日本が米朝の仲介を申し出ていれば、ノーベル賞の可能性すらあったのに。安倍首相を、国民が直接選んだのではないことが僅かな救いです。安倍晋三を総裁にしたのは自民党です。ならばその後始末でも「自民党が主体となって」きちんと責任を取って頂きたい。
防衛省のサマワの日報も、加計学園の文科省の省内文書も、財務省の森友の決裁文書の存在も、命がけの内部告発によるものです。即ち安倍独裁の下でも、安倍政治がおかしいと感じている役人が、どこかに居るという事実。それこそが、余り表には出ないが、国民に残された僅かな希望の光なのです。自民党にも自浄作用があることを、自民党自身が国民に示さなければならないところまで来ているのです。
風見鶏の二階を筆頭に、自民党の幹部も早々と安倍政権に見切りをつけ始めています。いま自民党内部では大混乱が起きているはずです。それを国民には告げないだけです。
官邸が役人人事を握ることの弊害、それが忖度政治の病原です。官邸が首相「個人」のサービス機関となり、伏魔殿となって暗躍を始めることで、どれだけ日本の政治が歪められてきたことか。「官邸政治の弊害」に、自民党自身が危機感を持たない限り、日本が国民の為の国にはならないのです。

・余裕のない日本の労働運動。古賀前会長。
https://www.asahi.com/articles/ASL355284L35ULFA019.html?iref=comtop_list_biz_n02
コメント:一読を。

・プリウスが絶対王者でなくなった理由。
http://toyokeizai.net/articles/-/210427



1149.独裁亭主と天然女房 18/3/16


自分の立場を弁えていない、一人の浅はかな女性が、国民全員に迷惑を掛けています。現代の悪女は「天然」の姿を取って現れました。そしてツイッターで分かるように、本人には自分が「悪い」ことをしたという自覚は全くありません。だから証人喚問でもしたら、何を言い出すか分からない。国民の前に出す訳にはいきません。こうなると、天然女子は、西太后というより、パンがなければケーキを食べよと言った王妃アントワネットに近いものがあります。
そこで窮地に追い詰められた安倍首相は、公費で夫人を日本から米国に連れ出すことにしました。御亭主もまた、広義の意味での公私混同が大のお得意で、身勝手な事では世界でも引けを取らない政治家だからです。
また世論が歯向ってこないように、NHKが国会中継をしないように、森友問題の報道を最小限度にするように、官邸を通じて無言の圧力をかける事も忘れません。
いまNHKの内閣支持率の世論調査は「厳禁」であって、局内で誰かが謀反でそんなことでもすれば、報道局長の首が飛ぶことは必至です。形は違っていても、財務省と同じことをNHKもやっているのです。
だからこそ野党が森友問題は民主主義の危機だと言っているのです。NHKは公共放送とは名ばかりで、その実態は政府(大本営)の御用放送局です。御用財務省、御用文科省、御用厚労省と同列です。そこで最近使われないおべっかや、追従という言葉を思い出しました。
首相夫妻の言動は、その地位と影響力から考えれば、天然だからで笑って済ませることは出来ません。公人のトップだからです。しかも私達国民には、安倍夫妻の個人的な「歪んだ」価値観や歴史観を拝領する義務はないのです。
これは、閣僚の多数が加わっている日本会議という「おぞましい」組織が、首相夫人も洗脳してきたという悪夢のような実態です。その実情を、安倍政権への遠慮も忖度も必要ない外紙は、いともあっさりと指摘しました。日本のメディアの行き過ぎた「忖度」は、民主主義とは相いれないからです。官邸に伏せている魔とは、他でもない日本会議の事かもしれません。
関連記事。森友いいねの説明を。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031501051&g=pol
関連記事。職員自殺の原因は改ざん指示。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180315/k10011366671000.html
関連記事。異を唱えればクビ。
https://www.asahi.com/articles/ASL3H4RCZL3HUTIL01Y.html?iref=comtop_8_01
コメント:キャリアの無法な暴走に、ノンキャリが命がけで抗議。防衛省の日報問題、加計学園の不自然な審査、そして森友の決済文書も、匿名の役人が情報をリークすることで、政治の独裁に一矢を報いようとしたのではないか。政権が人事権を濫用して、官僚に圧力を掛ける。それに対して、心ある役人が首や命をかけ、メディアや野党を使い、身をもって立ち向かっている。それが実態なのではないのか。
関連記事。官邸への権力集中、インサイダーグループ、あめとムチの使い分け。
https://jp.reuters.com/article/japan-politics-stability-idJPKCN1GR14V
コメント:米の学者の分析です。一読を。
関連記事。放送の政治的公平を撤廃。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018031502000274.html
コメント:NHKは変わりません。逆にネトウヨを放送局に持ち込む魂胆のようです。政治の右傾化、安倍首相の暴走には、限度も歯止めも効かないようです。



1150.分かりやすい森友問題 18/3/17


NHKは国会中継を。そのために4つもチャンネルを持っているのです。

政治も歴史も勉強したことがなく、庶民感覚にも疎い一人の女性が、日本会議の思想に洗脳されて、国粋主義にのめり込みました。安倍首相は、夫人が籠池に騙されたというが、それは正しくありません。それを言うのであれば、安倍「夫妻」を騙しているのは「日本会議」です。

夫人の有様は、新興宗教のにわか信者と変わらない状況でした。ということは、それは誰にでも起こり得る事であり、実際に多数起きている事でもあります。だから現象面だけを捉えれば、彼らの極右思想への傾倒も、思想と信教の自由だと言われてしまえば、それまでです。

むしろ問題は御亭主の方です。単なる洗脳どころか、自ら主導的な役割を担い、副会長まで勤めています。事ここに至っても、退会の意志などは毛頭なさそうです。その証拠に、首相は、国会や自民党集会より前に、ヨ日本会議の集会で、改憲の意志を真っ先に表明しています。

そのくせ、自分が日本会議の主要なメンバーで、国粋主義の信奉者であることが、平均的な国民の印象を悪くすることも十分に「承知」しています。だから日本会議との癒着の関係を大きく報道されることを好みません。また靖国の公人としての参拝も「自重」しています。

そういう二足のわらじ(目明しと盗賊=失礼)、或いは平和主義の「仮面」をかぶり続ける上で、籠池の「深情け」は、迷惑以外のものではありませんでした。しかし夫人は、首相のアウト・オブ・コントロールでした。熱狂的な国粋主義の籠池の応援は、「贔屓の引き倒し」になりました。

自分も籠池以上の、超保守、国家主義信奉者であることが、「国民の眼にあからさまに映る」ことは、自称中道保守の政権運営に支障を来すことが分かっていたからです。籠池夫妻とのズブズブの関係を認めるわけには行かなかったのです。

未だに多くの国民に戦争の記憶が残っている現在、常識的な日本人の眼には、日本会議の極端な思想と理念は、危険なものと映っているからです。

そこでいうなれば痴話げんかが勃発しました。ホストに裏切られた籠池が、首相夫妻の「不実」を、国民に涙ながらに、国会で訴えたのです。これが猿芝居の始まりです。

そんな茶番に付き合わされる国民こそ溜まったものではありません。1年以上にも及ぶ政局の混乱の本質は「安倍首相の心変わり」にルーツがあるのです。もし安倍首相の対応がもっと大人のそれであって、「籠池さんの教育姿勢には常々感服しています。しかし…」と一言付け加えるだけで、「袖にされた」籠池も、波風を立てず、黙って身を引いてくれたことでしょう。問題もここまでこじれなかったでしょう。

しかしその代わりに安倍夫妻が語った言葉は、森友とは一切関係はない、関係があれば議員を辞めるというものでした。両者、特に夫人との蜜月の関係は、映像も音声も公開されているので、そもそも国民に無関係を信じさせようとすること自体に無理があるのです。安倍首相のこの無関係発言は、国民への言い訳であると同時に、籠池夫妻への冷酷この上ない三くだり半でした。邪魔になった愛人を切り捨てた。それが森友問題の本質なのです。

尊敬と信頼の念を裏切られた籠池夫妻の恨みは、安倍夫妻の想像を絶するものでした。とはいえ、首相が国会で振り上げたこぶしも下ろすことは出来ない。だから、籠池の国会喚問の後は、無関係だという見え透いた嘘をつき続けるしか方法がなかったのです。

今になって改ざん書類がゾロゾロ出てきたのには違和感があります。しかしこれは安倍首相に取っては願ってもないチャンスだと思うと合点が行きます。一切合切を、官僚の文書管理の不手際が原因だと押し切って、それでもうまくいかない(すでに座礁しています)最後の最後には、麻生に泣いてもらうという筋書きが見えているからです。三選を諦めるつもりなどさらさらないでしょう。

この壮大な猿芝居が、国費と政治運営の時間の無駄使いであることは確かです。しかし他方では、執拗に野党が食い下がってくれたおかげで、飛んでもない問題が浮き彫りになってきました。それが政権と行政の不適切な関係、いわゆる民主主義の危機です。

三権分立は3つの権限、立法、司法、行政が、お互いに依存も拘束もされずに、独立して本来の権能を貫くことで、民主主義の実現を目的にした制度です。それは日本国憲法の精神でもあります。ところが実態は、自民党内閣が、立法府も行政府も、場合によっては司法も事実上支配、という言い方が悪ければ、「影響力」を「行使」しています。その影響力に対して、忖度があからさまに行なわれたのです。

森友問題では、官邸が官僚の人事権を掌握している事が問題であるという説明は間違いではありません。一方で、世間では非正規雇用が増えているのに、お役人だけが刑事犯罪でも犯さない限り、その地位が安泰で、終身雇用というのもバランスがおかしいし、お手盛りで人事も決済も出来るようになれば、省益に走って、歯止めが無くなる可能性が否定できないからです。外部によるチェック機能が必要なのです。

しかし内閣人事局の論法には、大きな欠陥があります。それは行政の不正を糺すのは、司法の役割だという点です。それ以前に、立法府には国会で行政府の運営や不正を糺すという権限がありますす。何より最高責任者の大臣を、首相が指名しているのだから、その時点で文民統制(?)になっているのです。となると内閣に人事局を設ける意味が良く分からないということになります。むしろその弊害だけが浮き彫りにされたのが、森友であり、加計なのです。

その結果起きたことは現在の目を覆いたくなるような行政の惨状です。官邸主導の官僚人事は、社会正義の為でも、国の為でもなく、与党と首相個人の都合の良いように濫用(または悪用)されるようになった。国税庁長官人事がその最たるものです。その結果、政権に対するおべっか行政が、派手にはびこり出しました。これは民主政治の悪夢です。

司法が本来の監視機能を発揮して、国民の代わりに役人(や議員)の不正を告発していれば、国民は安心して、枕を高くして寝られるのです。ところが近年の司法は、その機能を十分果たしているようには思えません。司法ではないが、会計検査院や公取(行政の自浄機能)もしかりです。権力に対する監視機能が風化しているのです。

大きな視野に立てば、日本の政治のシステムそのものが機能不全に陥っているのです。立法、司法、行政の棲み分けの境界線があいまいになっています。それを敢えてやっているのが安部政権と言うより自民党政権です。現に首相自らが、国会での答弁で、自分の立場を良く理解していないような発言を繰り返しているくらいなのです。彼は立法府の長ではないのです。立法府に長はいないのです。議決の前の、党内の意見集約の時、総裁が大きな影響力を持っていることまでは否定できません。行政府の長である首相も、立法府(国会=最高議決機関)の決定には従わなければならないのです。それが三権分立なのです。

いま森友問題で問われているものは、官僚の行き過ぎた忖度ではないのです。忖度を必然的に生むような体制になっていないかどうかの検証なのです。だから民主主義の危機なのです。森友問題の本質は、日本の民主主義政治の体制であり、三権分立のあるべき姿なのです。だからこそ、この問題はいくら堀り下げても、時間を掛けても良いのです。

生々しい表現を使うと、モリカケ問題の論点は、してはならない「忖度」を、「官邸」が「暗示=指示」したかどうかに尽きるのです。指示したら、最早それは(自主的な)忖度ではなく「命令」になるのです。今後の国会論争では、指示はしていないと首相も官邸も、最後まで粘るでしょう。でも官僚は忖度だけでは、違法行為まではしないと、石破以下、官僚経験のある専門家たちが口を揃えて言っています。

「暗黙」の、或いは「口頭」での「圧力」がなければ、森友問題には合理的な説明がつかないのです。これだけ状況証拠があり、仮に官僚が事実を証言すれば、官邸のクロが立証できるのです。そうして初めて役所も自分の立場を言い訳できるのです。仮に全く自主的な忖度で、このような違法行為を、省庁ぐるみで行っていたとなれば、そういう役所は、国と国民にとって、有害無益な存在に他ならないのです。私企業に同じ権能を外注した方が、ましなのです。

日本は、憲法の精神からも、民主主義の理念からも、遠くかけ離れた、歪んだ国になってしまいました。それが森友問題で、国民の前に、白日の下にさらされているのです。だからモリカケ問題の解明には大きな意味があるのです。その為に使った時間は決して無駄ではなかったのです。

この歪んだ政治のままで、日本を次世代に手渡す訳にはいきません。政治と行政の身勝手と悪を洗い流し、経済の不平等を糺して、清潔にした日本を次世代に手渡すことが、現代に生きる私たちに課せられた責任なのです。

関連記事。業者が嘘の報告書かされた。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/16/moritomo_a_23387244/?utm_hp_ref=jp-homepage
関連記事。個人に責任転嫁するな。国会前抗議集会。
https://this.kiji.is/347361743271658593?c=39546741839462401
関連記事。シールズ元メンバーもデモ。映像。
https://www.asahi.com/articles/ASL3J54NRL3JUTIL02Q.html?iref=comtop_8_05
関連記事。野党、全省庁に調査要求。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180316-00000099-asahi-pol
関連記事。会計検査院再検査。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031601185&g=pol
関連記事。石破、内閣人事局を問題視。大臣でなく官邸見るようになった。
https://www.asahi.com/articles/ASL3J5WB9L3JUTFK01Q.html?iref=comtop_list_pol_n01
関連記事。朝日社説。憲法70年。まず政治と行政を正せ。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13404656.html?iref=comtop_shasetsu_01
コメント:今年は政党政治100年でもあります。



1151.ホンマかいな 18/3/19


最近口コミを再評価しています。新聞記事は、それが冷静に書かれていることもあって、直ちには「説得」も「洗脳」もされませんが、人と人の直接のコミュニケーションは、発言する人が目の前に存在するという舞台装置もあり、、双方向のコミュニケーションなので、影響力が大きい。しかもフェイス・トゥー・フェイスなだけに、裏付けの取れない一方通行のTVのコメンテーターより説得力があります。だからこそ、デマの伝播力も強いのでしょう。三人寄れば文殊の知恵という、ミニ集会の意味もあります。

前振りが長くなりましたが、昨日御近所の「有識者」から、こういう話を小耳にはさみました。それは今回の森友の財務省の資料の出どころは大阪地検だというものです。大阪地検が朝日新聞にリークし、様子を見ているというのです。そうであるのなら、今の大阪地検が変に静かなことにも説明がつきます。だから今回、大阪地検は本気だと「有識者」が解説していました。

これに私が尾ひれをつけてみました。資料のリークは大阪地検だからできた、その理由です。まず知事が曲者です。右寄りだが、自民党とイコールではない。疑似自民党の某都知事とは違います。そもそも大阪には東京なにするものぞという、反骨の精神的風土がある。そして、大阪には朝日放送もある。

東京地検なら「忖度」で捜査に有形無形の横やりが入るところですが、幸い、森友学園は東京から離れている。とは言え、検察という大きな括りがある。そこで大っぴらに政権に楯突くのは、「機が熟してから」にして、(本当は其れが地検特捜部の仕事なのですが)、その代わりにいまは「民間」をつついて、様子を見る事にしたのではないでしょうか。

案の定、日本中が蜂の巣をつついたようになりました。本件が東京地検の扱いなら、おそらくこうは行かなかったでしょう。関西の(正直な)籠池だけに責任を押し付け、留置場に閉じ込めておくという、官僚と政権に対する反感があったのかもしれません。私の主張が信じられないというメディアがあれば、試しに世論調査で、森友問題に対する政府の姿勢の、大阪と東京の市民の反応の違いを比較して見て頂きたいのです。

政権への忖度が余り必要のない、地方の地検だからこそ、独自の観点と手段で、事件の真相に迫れる。そう考えれば、全てが納得できるのです。良かれ悪しかれ、変革は西からやってくるのかもしれません。中央にいて、既得権に胡坐をかいてきた政治家も官僚も、今回だけ正念場の覚悟が必要でしょう。平成の関ヶ原の戦いの幕が切って落とされたのです。そして今回は、都民は西軍(朝日と籠池)の味方です。それを信じるか信じないかは、あなた次第です。

関連記事。地中ごみの鑑定文書、全て削除。
https://www.asahi.com/articles/ASL3J5V3SL3JUTIL04J.html?iref=comtop_8_02
コメント:確信犯です。一度一線を超えてしまえば後は際限がありません。なんでもありです。毒食わば皿まで。赤信号、皆で渡れば怖くない。

関連記事。詳細すぎる文書。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180317-00000063-mai-soci

関連記事。調査状況踏まえず佐川に責任。麻生。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201803/CK2018031702000128.html

関連記事。首相に結果責任。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031601240&g=pol
コメント:あくまで夫人を悪評から守ろうとすれば、後は引責辞任しかありません。でもそれもまた、安倍首相の美学にはマッチしているのではないか。

関連記事。首相批判的報道に不満、民放解体を業界警戒。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180317-OYT1T50010.html?from=ytop_main4
コメント:安倍首相には、日本国憲法も、三権分立のシステムも、邪魔なだけなのでしょう。どこか南方の島国で、王様になるのが、御本人も、国民もハッピーになれるのではないでしょうか。



1152.仕組みの見直しが必要です 18/3/19


メイ、トランプ、習近平、プーチン、金正恩、ドウテルテ、エルドアン、そして安倍晋三。希望の21世紀が、頭上に黒い雲が垂れこめた、陰鬱な世紀になってしまったのはなぜなのでしょうか。五輪のような国際イベントもあり、世界がダイナミックに動いているので、社会を覆う閉塞感に気が付きにくい状況でもあります。社会の不合理になかなか注意が向かないのです。全体主義的な閉塞した空気を、国民自身がそれほど実感していないのです。

世界中で独裁者が権力を握る、その背景にあるのは「国民」の「ナショナリズム=国家主義」への回帰です。極端な表現をすれば、それは自分さえ良ければ、他人は二の次という利己主義の一つの側面です。しかもナショナリズムは不寛容で、多様性を認めません。自分と異なる国籍、民族、宗教を認めない。だからナショナリズムが蔓延すれば、民族間、国家間で、いつ武力紛争が起きても不思議はないのです。

超保守で「自分ファースト」のリーダーが次々に誕生するのは、彼らを評価する国民が大勢いるからです。各国の国民自身の価値観、倫理観が、自国優先、自分優先に傾いているからです。

覇権主義、侵略主義の大戦の反省から、先進国は民主主義を最善の政治形態であることを再確認して、国際紛争の調停機関として国連の役割を重視するようになりました。そうやって大きな戦争のない時代が続き、旧共産圏でさえ資本主義が拡大した結果、何が起きたか。それは資本主義の宿命でもある経済格差の拡大でした。冨の分配の平準化を図る代わりに、国全体の経済規模(GNP)が増えれば、貧困層でもなんとか食っていける。それが安部・レーガンの言う格差を前提にしたトリクル・ダウンのトリックです。

最低の生活でも、生きていければ、貧困層や被支配者層から革命の意欲や機運は生まれにくい。自分が置かれた「悲惨な」環境を、自ら肯定するようになるからです。戦前日本の国民も似たような境遇ではなかったでしょうか。自分が貧困層なのに、格差を見ぬ振りをする事で、自分境遇を正当化せざるを得なかったのではないか。これは婦人参政権に、最初に反対した人達が女性だったという史実にも通じる心境です。自分が被害者なのに、状況の打開を目指さずに、現状維持を選ぶのです。

こうした状況を言い換えれば、教育と情報の不足がポピュリズムの背景にあるということです。しかも政治権力は、大衆の考える力、知る努力を、言論統制や、戦前回帰の教育を通じて、奪う事に熱心です。

90年代以前の平等主義やグローバリズムの基本てある博愛主義に陰りが見えてきた背景には、国民相互の経済格差の拡大が背景にあります。資本主義の仕組みそのものは、民主主義とも、ヒューマニズムとも無関係です。それは非人間的で、機械的な「仕組み=システム」に他ならないからです。ということは、問題が起きれば、それはそれを運用する人間の側に問題があるということなのです。

一方でこの無機的なシステムは、自らも進化して、益々人の手に負えないモンスターに成長しました。金融工学は、物理学の成果としての原爆と同じものです。最大利潤の獲得を名目にして、人間を傷つけるものを生み出したのです。結果、そのモンスターはリーマン・ショックを引き起こしたのです。

資本主義の制度、特に自由市場と金融資本主義は、富が富を生まないと成り立たない仕組みです。それゆえ、富の集中が起きるのは、むしろ避けがたいことなのです。これは「抑制と調整」の仕組みがない、または意図的にその束縛を取り除こうとする圧力が、常に資本家側、政治権力から掛かってくる以上、必然的な結果なのです。

現代の格差の根本的な問題は、そうした政治と経済の「矛盾」を議論する以前に、矛盾と格差に国民が目を向けようとしないことです。事実認識の上に立って、合理的な対策を模索する代わりに、各国の国民が足並みを合わせるようにしたことは、短絡的な独裁者の選択でした。声の大きい政治家に希望を託したのです。しかもそれは論理的な選択ではなく、エモーショナルな選択でした。

眼には見えない閉塞感に閉ざされた、不平等な社会だからこそ、独裁者が生まれる余地が出てくるのです。そういう時に、大衆に支持されるリーダーは、まず大衆の人気を取ることに努めます。なので短絡的な、仮想敵を作って、利己的な感情に訴える政策(メキシコとの国境に壁を作るなど)で、手っ取り早く票を集めようとします。それがポピュリズム=人気取り政策、もっと言えば衆愚政治の実態です。

日本でも、戦争の記憶のない若い世代を中心に、政治や経済を深く考える習慣のない国民が増えています。それが日本のポピュリズムの温床にもなっています。野党議員を含むリベラルな国民が相手にしているのは、独裁政治家自身よりも、独裁者とその独裁政治を、唯々として、或いはやむを得ず(他に選択肢がないという理由で)受け入れる、国民の精神・思想的な風土なのです。

今の政治、経済の仕組みが、国のためにも、国民のためにもならないことを、どうすれば、現状肯定派の人達に理解して貰えるのか。しかし、国民の意識が変り、社会基盤の仕組みの見直しが出来れば、明治維新後の最大の改革になるでしょう。そこにWTWの存在理由もあるのです。

・内閣支持率過去最低。30%。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180318-00000028-nnn-pol
関連記事。朝日では31%。
https://www.asahi.com/articles/ASL3L4JJ1L3LUZPS004.html?iref=comtop_list_pol_n01
コメント:前者は日テレの調査です。公共放送なのに、NHKは世論調査を放棄しています。政権への忖度が疑われても仕方がありません。それなら、NHKの費用を国民が負担する正当な理由もないということになります。

関連記事。資本主義の終わりは悪い事ではない。
http://diamond.jp/articles/-/163825

関連記事。終わりゆく資本主義の先頭に立った日本。水野和夫。
http://diamond.jp/articles/-/112521



1153.内閣支持率、限界値へ 18/3/20


3/19の森友問題の集中審議で、安倍首相は、忖度はないと言い切りました。さすがに議場は騒然となりました。しかし共産党の小池が、決裁文書に昭恵の名前があるのは、総理夫人だかだという回答を理財局長から引き出しました。決済資料は近畿ではなく、本省の理財局が作成したことも指摘していました。
関連記事。なぜ夫人が決裁文書に。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/19/moritomo-akie-shingi_a_23389108/?utm_hp_ref=jp-homepage
コメント:後で、太田局長はこの発言を否定しようとしましたが、うまくいきませんでした。

安部内閣の支持率が、ついに安倍政権で過去最低の30%になりました。過去の国政選挙で、自民党への投票が有権者の25%だったことを考えると、内閣支持率が25%を切れば、政党への影響という意味で危険水域に入り、その時には、内閣総辞職が避けがたいものとなります。、

自民党支持のコアである、国民の保守層が離反すれば、安倍首相の意図している内閣改造、(大臣の半数以上の交代)だけでは、自民党政治を続行することは不可能になるからです。トップの交代が避けて通れないのです。

30%を単純に引き算すれば、少なくとも70%の国民が安倍内閣を肯定していないのです。支持率が40%と30%では、全く状況が異なるのです。

25%が破綻(カタストロフィ―)ラインだと思いますが、これもあくまで私見です。しかもこの数字が27%くらいで止まる可能性もあります。うと思います。なぜなら日本の国民は、良くも悪くも基本、現状維持で、現状肯定のスタンスを取ってきているからです。

ならば、せめて自民党の自浄作用に期待した、総裁の交代はあっても良いと思いますし、その点で、国民の良識を信じたいと思います。

関連記事。内閣支持率急落、時期が進むにつれ低下。
http://diamond.jp/articles/-/164034
関連記事。決裁参考メモが存在。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031900429&g=pol
関連記事。昭恵夫人の担当職員関与。
https://this.kiji.is/217560442480541702?c=39546741839462401
関連記事。森友側に値引き算定見積もり依頼。
https://this.kiji.is/348511699256525921?c=39546741839462401
関連記事。理財局長、自民質問に怒り。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/18/wada-ota_a_23389039/?utm_hp_ref=jp-homepage
関連記事。安倍首相信頼せずが51%。
https://this.kiji.is/294835761294591073?c=39546741839462401



1154.株安 18/3/24


3/23夜のBSフジのプライムニュースで、エコノミストが974円もの株安を分析していました。原因はトランプが始めた貿易戦争ですが、中国が対抗措置を打ち出したことで本格化。しかもこれはトランプが秋の中間選挙のために打ち出した保護主義政策なので、長引く見通しがある。日本が米国以上に株価が下がったのは、日本が対象に含まれることに加えて、円高が大きい。ドル円は、昨年平均が111円だったのが、昨日は104円で、5円以上上がっている。企業の採算レートは100円5銭であり、為替が10円上がるとGDPが0.5%下がる。5円上がればGDPは0.2-0.3%下がるだろう。そうした思惑の結果として、株が下がった。また今回は、株価の節目を割るほど下がったので、回復には時間が掛かるだろうとのことでした。
関連記事。ダブルパンチ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180323-88189889-bloom_st-bus_all
関連記事。米中衝突、世界経済に悪影響必至。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032301253&g=int
関連記事。東証一時1000円安。
https://this.kiji.is/349791501024756833?c=39546741839462401
関連記事。東京円、16年11月以来の円高。
https://this.kiji.is/349705040350741601?c=39546741839462401
関連記事。強硬策ではない。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yunosuke-ikeda-idJPKBN1GZ0ZA
コメント:ということは、あまり大騒ぎする必要もないのではないか。



1155.官房機密費 18/3/25


3/23のNHKEテレのシリーズ最終回、「欲望の経済史、日本戦後編、IT化グローバル化の嵐の中で」で、経済学者中谷巌が著書「資本主義はなぜ崩壊したのか」に記した以下の文章が紹介されていました。中谷は小泉政権で構造改革の最前線を担当しています。

…かつては筆者もその「改革」の一翼を担った経歴を持つ。これは「懺悔の書」でもある。未だ十分な懺悔は出来ていないだけに、黙っていることが出来なくなった。
…一時、日本を風靡した「改革なくして成長なし」というスローガンは、財政投融資制度にくさびを打ち込むなど、大きな成果を上げたが、他方新自由主義の行き過ぎからくる日本社会の劣化をもたらしたように思われる。
たとえば、この20年間における、「貧困率」の急激な上昇は、日本社会に様々な歪みをもたらした。
…「改革」は必要だが、その改革は人間を幸せにできなければ意味がない。人を孤立させる改革は改革の名に値しない。

今から10年前の話ですが、当時の「戦犯」の一人、竹中平蔵は相も変わらず自分だけは間違っていないという無責任な発言を繰り返しています。

3/22の深夜に放映された、総務委員会のNHKの予算審議は、昼間の会議の3時間に及ぶ録画の放映です。国会中継を録画して深夜に放映すれば、五輪や相撲や甲子園も中継できるし、それらを言い訳にした放映中止の理由も成り立たなくなります。国民は深夜に国会の審議の全容をじっくり見る事も可能になると思います。

中でも自身が総務大臣の経験のある、無所属の会の原口が質問に立ち、ポイントを突いた質問と指摘をしていました。私が一番関心を持ったのは、過労死問題より、放送法4条の取り扱いです。放送局は公正中立を旨として、公序良俗に反しない放送に努めるべしというアレです。これを安倍政権が廃止しようとしています。その理由は、(リベラルな)メディアが政権批判を繰り返すので、安倍首相が業を煮やして、ならば極右で、事実かどうかも分からに情報を流す放送も許可して、対抗しようとしたからです。でも4条には政治的中立以外に、公助良俗の尊重も含まれるので、さすがに野田総務相も、3条と4条は残すべきだと言っていました。
関連記事。規制改革推進会議。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180325/k10011377781000.html

更に、3/23の日テレのミヤネヤでは、官房機密費を取り上げて、武村元官房長官を交えて1時間超の議論が行なわれました。年間12億円の予算は、最初空の金庫で引き継がれ、その後補充され、交代時や年度末には空になるのが「慣例」だとのことです。百万円入りの封筒が40個くらい常に金庫に保管されており、官房長官の指示で、秘書官がそれを相手に手渡すとのことです。気になるのはその用途ですが、慶弔金のほか、議員の海外出張の祝い金(欧州100万、米国50万、中国30万)、各種勉強会などが最も多く、しかもその多くが毎年の慣例になっているとのことです。

中には理由は分からないが、アジアのある王様に毎年1千万払っているケースもあるとのことです。また選挙があると、その年は半年で金庫が空になるとも言われています。

支払い先の中で一番気になったのは、政治評論家に渡っているという説明です。政府から金を貰って、政権の肩を持つのなら、カネを出している国民に対する背信行為です。某白髪のジャーナリストのように、毎日のようにニュースショウに登場する人達は大丈夫なんでしょうか。彼らが仮に現ナマを受け取っていないとしても、少なくとも官房機密費で接待を受けていることは分かっています。メディアには直接渡せなくても、評論家を抱き込めば、同じことだからです。

落選議員への補償も考えられますが、暴力団は論外にしても、右翼団体や宗教団体、政党支援団体に流れていることは、容易に想像がつきます。政権寄りの評論家を含めて、タカリにくれてやるカネがあれば、交通遺児や、震災被害者、或いは人質を奪還するために、「そっと」渡した方が、未だしも国民の理解を得られるのではないでしょうか。

基本的に、官房機密費は首相には直接渡らず、それは首相には、55億円もの外交機密費から渡っているからとのことでした。以前外務官僚がそれで愛人のマンションや競馬馬を買ったという事件もありました。他方、暴言を吐くしか能のない議員一人一人に、年間1憶掛かり、しかも選挙では600億もの費用が掛かる事を考えれば、官房長官の12億などは端金と言えないこともありません。とはいえ、使い道が問題であることに変わりはありません。

官房長官の交際費であることを考えると、籠池に渡った100万円は、外交機密費より、官房機密費から出ている可能性が考えられます。なぜなら官房機密費のばらまき単位が百万円、しかも封筒に入っているからです。しかもこの事件では、官邸から指示が出ていた可能性が極めて高く、必要なカネも官邸から出ていると考えれば符合します。それもあって、絶対に白状しない佐川(しかも5千万の税金泥棒)より、今井秘書官こそ、証人喚問すべきなのです。

私が官房機密費でもう一つ気になっているのは、沖縄の仲井眞前知事が、官邸に安倍首相に会いに行った後で、東京で急病で倒れたことがあり、その後、政権に対する態度がころりと180度方向転換したことがです。仮にそこで何らかの名目で機密費の支出があったとしたら、これほど政府にとって効果的な機密費の使い道はないからです。

武村は、自分が市長の時も、大蔵大臣の時も機密費は一切必要がなかった。官房機密費も使い切るのに苦労するという、本来必要のない金だし、年間1憶もあれば十分で、しかも10年後に公開すべきだと述べていました。

国民の貧困率が上昇しているというのに、カネに麻痺した官邸と政府と自民党の姿が国



1156.国民を馬鹿にしているのか 18/3/28


世の中に、良い天然と、良くない天然があるとすれば、安倍昭恵は明らかに後者でしょう。昨日発売の週加朝日が、昭恵が関係する団体が他に20もあり、しかもその一つでも国有地の不正利用が起きていることを報告しています。昭恵は事の善悪の区別がつかない幼児と精神構造がそれほど変わらないように思われます。だからこそ証人喚問にも耐えられないし、口を開かせたが最後に、何を言うか分からないから、内閣総辞職に直結します。安倍晋三が嘘の上に嘘を塗り重ねて作った張り子の城が、はいそれまでよになるのです。だからどんな事態になろうとも、昭恵を証言台に立たせることだけは絶対に出来ないのです。

週加朝日によれば、昭恵はホテルを転々として活動を続けており、もはや凧の糸が切れた状態とのことです。おそらく自分の行動が原因で、複数の役人が自殺したという意識もないのではないか。トランプからはハローさえしゃべれないと馬鹿にされています。しかも本人は、間違いなく「善意」と言うか、「無邪気」さで、精一杯生きているのでしょう。亭主も義母も匙を投げ、不満を漏らしていると同記事では報じています。もはや精神病と言えなくもないが、それを言うなら御亭主こそ、自我肥大が極まって、脅迫神経症でしょう。

今思えば、首相と加計と萩生田が写っている写真に、昭恵が奇しくもつけた「悪だくみ」という題名が、真実故に、天然ならではの発想だと思います。

そんな昭恵の軽挙妄動が原因となった森友事件の、佐川の証人喚問は予想通りの結末でした。肝心の「誰が」「なぜ」書類の改ざんを行ったのかという質問には、刑事訴追の恐れがあるので答えられないの一点張り。改ざん前の資料で昭恵の名前を見たのかという単純な質問にさえ、証言を拒否していました。であるならば、もはや佐川は刑事告発されるべきでしょう。偽証を厭わない以上、それしか真実を引き出す方法はないからです。何故なら、自身が手掛けた発案ではないにしても、少なくとも事実を隠蔽する意図を持って、国民を欺き、国に損害を与えたからです。
関連記事。答えぬまま。
https://www.asahi.com/articles/ASL3T7FMXL3TUEHF00B.html
関連記事。野党議員や市民から怒りの声。毎日。
https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/010/148000c
関連記事。佐川は証言拒否で身を守れるのか。郷原。
https://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/sagawa-2018-0326_a_23394997/
関連記事。国会前デモに1000人。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032701204&g=soc
関連記事。何故が残る以上、問題は一件落着しない。
https://www.asahi.com/articles/ASL3W7X5VL3WUTFK02T.html?iref=comtop_latestnews_04
関連記事。政権と保身ばかり考えたもの。青木。
https://www.asahi.com/articles/ASL3W4DYXL3WUTFK015.html?iref=comtop_8_01

佐川が財務省と政権の間に挟まって消耗し、気の毒だと思った国民もいたかもしれませんが、佐川の態度は自らの責任と言いつつも、「一貫」して、財務省と政権への拝領(忖度)でこり固まっていました。そして証言には「国民」への忖度はかけらもありませんでした。民主主義を理解しているようには思えない、このようなお役人に、国費から5千万もの退職金を払う必要があるとは到底思えません。人間としても、前川前次官とは雲泥の差だと思います。

私はこれが財務省の体質なら、同省は有害無益であり、不要な組織だと思います。良い人材も中にはいるでしょうが、一度解体して、公募で財務省を作り直した方が良いと思います。その時には、できればT大出身者にはご遠慮願いたいものです。佐川と、官邸の影の総理である今井秘書官(元経産省)は同期であり、女性では後で出てくる丸川や、おなじみ片山も同大学の出身です。

佐川には自分が始めた事件ではないということが、免罪符になっていると思われます。自分が起こした事件でないから、あれだけ白を切り、嘘をついても良心が痛まないのでしょう。事の発端は前任者の迫田であり、しかも迫田も国税庁長官になりました。その全部を佐川が引き継いだのです。しかも今回も、迫田から引継ぎはないという絶対にあり得ない話をしています。以下は昨年も、引継ぎを否定した記事です。
関連アーカイブス。迫田から引継ぎなし。
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201803270000497.html

佐川の証人喚問の冒頭の問者は、自民の丸川でした。そこで同議員がどう発言したか。「安倍首相から指示はありませんでしたね」「安倍首相夫人から指示はありませんでしたね」「麻生大臣から指示はありませんでしたね」と畳みかけました。これはもはや質問ではなく、答えの誘導と確認です。しかもあろうことか、丸川は最後に「これで首相夫妻、麻生大臣、官邸が関係がなかったという証言が得られました」と勝ち誇ったように付け加えたのです。誰も纏めなど頼んではいないのです。

何という臭い小芝居、茶番であることか。これだけ国民を馬鹿にしておいて、支持率が上がるとでも思っているとしたら、自民党議員も安部政権の閣僚も、IQを調べ直した方が良いと思います。しかも政権御用放送局のNHKは「かたくな」に、世論調査を拒否しています。NHKの、政権の下請けの報道局は、一体誰の金で生活していると思っているのでしょうか。

そもそも「決裁書の改ざん」に、政治家が指示など出していないことは当たり前のことなのです。なぜなら書類を作ったり、書き換えたりするのは100%、役所の仕事で、政治家はそこまで口は出さないからです。こと行政の書類作成作業は、財務省内部の問題です。だから「書類改ざん」を政治家が指示していないのは当然だし、局内で処理が閉じているのも当たり前なのです。名目上責任者の地位にあっても、大臣が全ての書類に眼を通すことなどあり得ないし、自分で捺印するわけでもありません。どこでも同じ、細かい部分はお任せなのです。

森友の問題は、政治家や官邸の、役所の「意思決定」への「関与」と、森友を特別扱いした「理由」なのです。ところが佐川はそれらに関連する質問には、かたくなに証言を拒否しました。

しかも、今回の証言の有無にかかわらず、問題のもう一人の立役者が、首相の秘書官の今井であることが浮かび上がってきました。もうひとつの行政の不祥事である、加計学園について、官邸の今井秘書官管が直接関与していたことを、前川前次官が指摘しています。放送番組の情報によれば、明恵が森友を訪問する直前に、首相が大坂に行っており、その後で今井が現地に残ったと伝えられています。今井は加計でも、森友でも、「官邸のスタッフとして」暗躍し、佐川を含む関係者と綿密に連絡を取りあっていた疑いが捨てきれません。だからこそ、今井の証人喚問も必要なのです。

森友の陰に隠れてしまいましたが、一昨日(3/26)の参院予算委員会で、共産の井上が重要な指摘をしていました。それはオバマが核軍縮の宣言をした直後の、日米拡大抑止協議で、秋葉北米局審議官が、米国に驚くべき提案をしたというものです。それは核巡航ミサイルのトマホークと、潜水艦発射ミサイルの削減に反対し、小型の核兵器の開発を促したというものです。同席した米国の関係者が驚愕したというメモが残っているとのことです。これでは日本政府の非核三原則もなにもあったものではありません。河野は、打ち合わせは非公開だと繰り返すだけで、まともな説明にも弁解にもなっていませんでした。しかも国会中継が伝えた重大な案件なのに、NHK自身を含むメディアは、どこもこれを報道しませんでした。

WTWは、センセーショナルな情報(含むフェイク)で閲覧数を稼ぐ、マトメサイトではありません。ヒット数も余り意識していません。分かる人が読んでくれれば、それで良いのです。

インターネットに接続できる人なら、誰にでも入手できる情報から、重要な情報だけを選別して、政治権力の影響や忖度を排除しつつ、国民が自らの為になるように、「正確に」状況を把握する手助けをする事を目的としたネット瓦版であり、プライベートなジャーナリズムです。

最終的には、ポピュリズムではない、知性と理性の裏付けのある世論を喚起することを目的にしています。「良識ある世論」。いまの日本にも世界にも、最も必要なものが、それです。



1157.国民を馬鹿にしているのだ 18/3/29


安倍首相の個人的な支持者と友達に、国有地を安く払い下げたり、認可で特別扱いをした。それが森友と加計問題の本質です。森友では、更に国会答弁と書類を合わせるために、公文書改ざんが加わりました。安倍政権は、問題の本質(=首相夫妻のえこひいき)にではなく、公文書改ざんの点に国民の注意を引き付けようと躍起になっています。佐川の証人喚問の機会を逆用して、森友問題の全ての「責任」が、官僚の独断と勝手な振る舞いにあるかのように、民意を誘導しようとしています(丸川、二階の無理くりを見よ)。

かてて加えて、公文書改ざんという犯罪行為に対する、「行政の長」としての反省の弁を口にすることで、あたかも森友問題全体に対する反省、謝罪であるかのような印象の「偽装」までして、そのくせ現状は一切変えずに、政権のピンチを乗り切ろうとしています。

でも、「国民が怒っている」のは、そこではないのです。しかも国民の怒りは公文書改ざんの発覚以前からあるのです。公文書改ざんを、政権も官邸も直接指示していないことくらい、とっくに分かっているのです。今更のように、丸川に纏めてもらう必要など、全くないし、官僚が、建前上、自分の判断で、超えてはならない忖度の限度を踏み越えたことは、誰の目にも明らかなのです。

首相は二言目には、検察の捜査に任せていると言います。これは森友の値引きの問題で、会計検査院に任せると言った時と同じ論法です。ならばなぜ、大阪地検は、改ざんがあった事実を朝日新聞にリークしたのか。それは表立って政権と対峙したくはない、とはいえ、見過すのは余りに歴然とした証拠が目の前に出てきたからです。自ら手を染めたくはないが、不正も放置出来ないというジレンマがあったと想像できるのです。と言うことは、言い換えると、検察が及び腰であることを示しています。ならばそこから、今後何が起きるかも想像がつくのです。

政権が佐川の偽証覚悟の「忠誠心」を放っておくことはあり得ません。形の上で詰め腹を切らせる代わりに、いざ刑事告訴の段階となれば、なんらかの手を打つでしょう。だからこそ、第三者委員会など作られては困るのです。自民党政権得意のお手盛りが出来なくなるからです。最悪の場合、首相が強権を発動して、起訴猶予にしてしまう可能性もあるし、例え検察が告発に踏み切ったとしても、僅かな過料で済ませる事は間違いないでしょう。

5千万の退職金で、僅か20万(偽証罪の場合)の罰金で済めば、安いものです。即ち、これまでさんざん自民党政権が利用(悪用)してきた、「検察による忖度」を今回も、目一杯使うだろうということです。しかし客観的に考えれば公文書改ざんは、憲法違反であるばかりか、民主主義への悪質な冒涜であり、過料で済む話ではなく、数年の収監に十分値する行為なのです。

書類の改ざん指示を首相や官邸が出していないことくらい、丸川のような偽議員にドヤ顔されるまでもないのです。モリカケ問題の本質は、「政権とモリカケは、一切関係がない」という、子供にもわかる「大嘘」をつき続けていることにあるのです。そこにあるのは、モリカケへの優遇措置や、政権への忖度を超えた、遥かに重大な問題なのです。だからこそ、時間が掛かっても、国会でとことん追求する意味があるのです。

政権の姿勢を見ていると、「首相と政権は、自分の都合が悪ければ、国民に嘘を吐く事を何とも思わない。平然と黒を白と言い切る」政府だということが分かります。それが問題の本質なのです。そんな「信用できない」政府に、どこの誰が安心して日本のかじ取りを任せるというのでしょうか。だから、モリカケ問題は、「首相と安倍政権への不信感」、言い換えれば「内閣不信任」の問題なのです。だからこそ、連日「安倍辞めろ」のデモも起きているのです。

一方で、料金強制徴収のNHKは、政権に「忖度」して、一切世論調査をしません。やれば安倍政権の支持率の凋落ぶりが、一目瞭然になるからです。でもこれは欧米の公共放送では考えられないことです。いまこそ私はNHKの料金不払い運動を呼び掛けたいと思っています。その理由は料金の徴収が憲法違反だからではなく、政権から距離を置いた、国民の為の報道機関という、ジャーナリズム本来の役目を、自ら放棄しているからです。どうしても料金を取ると言うのなら、TBSかテレ朝に払います。

3/26の参院予算委員会の最後に、異色だらけのアントニオ猪木が冒頭につぶやきました。無論それがニュースで取り上げられることはありませんでした。それは「今は桜の季節です。嘘をついてはいけない」という言葉でした。首相をワシントンになぞらえています。安倍首相以下、全く無反応でした。

3/28の予算委員会での山本太郎の質問は、ここまで言うかという過激なものでした。短い持ち時間の中で、福祉の削減を糾弾し、首相に三度辞任を求めました。でも一見跳ね上がりのような山本太郎の質問ですが、何が重要かと言えば、それが国民の一部、或いは大部分の気持ちを代弁しているからです。

関連記事。史上最悪の誘導質問。
http://toyokeizai.net/articles/-/214357

関連記事。佐川、証言に矛盾。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/27/sagawa-summoning-nationaol-diet_a_23396215/?utm_hp_ref=jp-homepage
コメント:「書類を廃棄した」を、「廃棄する?―ルを確認した」と、言い換えました。

関連記事。佐川の沈黙、逆に国民の疑念深めた。田原。
https://www.asahi.com/articles/ASL3V5CXKL3VUPQJ00D.html?iref=comtop_favorite_02

関連記事。後世へ残す意志、あまりにも欠けている。進次郎。
https://www.asahi.com/articles/ASL3X6SVPL3XUTFK01K.html?iref=comtop_8_05

関連記事。疑惑の本質をとらえよ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018032802000162.html

関連記事。崖っぷちの安倍首相。
https://jp.reuters.com/article/column-abe-trade-war-idJPKBN1H30HA


【注目記事】

・日朝会談6月に。
https://www.asahi.com/articles/ASL3X4VPQL3XUHBI028.html?iref=comtop_8_01
コメント:結局日本からお願いですか。だったらこれまでの虚勢は、一体何だったのか。

・ゼロ金利は異常な政策が生み出した。日本の労働生産性はトップクラス。
http://diamond.jp/articles/-/164622
関連記事。日銀対政治。勝ったのはポピュリズム政治。
http://diamond.jp/articles/-/162580
関連記事。日銀の超緩和策は住宅ローンに例えると危うさがよくわかる。
http://diamond.jp/articles/-/164829



1159.安倍昭恵が問題なのではない 18/3/31


森友は安倍昭恵の問題ではありません。国民は安倍昭恵に「辞めろ」などと言っているわけではありません。しかも彼女の森友への関与は、状況証拠と籠池の証言で十分なのです。どうせ呼び出せても「私独りが浅はかでございました」とハンカチを目に押し当て、頭を下げてハイそれまででしょう。先が読めているいる猿芝居に拘るのはやめ、また問題を長引かせないためにも、昭恵喚問などは先送りにして、証人喚問を迫田と今井に集中するべきです。また通常の国会審議とは切り離し、議長が自民党議員でない第三者委員会として、公開審議で真相究明を行うべきなのです。

国民は昭恵個人ではなく、首相の昭恵「隠し」(ちなみに加計隠しもあります)に怒りを感じているのです。首相と母親が、昭恵にさじを投げようと、自民党が手を焼こうと、そんな内輪の事情は、国民にとってはどうでも良い事なのです。日本会議を信奉するのも、昭恵の思想、信条の自由なのです。

問題の本質はたった一つ、「安倍晋三」の、「政治の私物化」にあるのです。その私物化の「事実」を、嘘をつきまくって隠そうとする、首相の「不正直」さに嫌気がさしているのです。しかも佐川も、嘘と隠蔽のやりたい放題でした。国会と国民を馬鹿にするのにも、限度というものがあることが、何故分からないのでしょうか。端的に言えば、公務員失格、日本の公務員の恥さらしです。

正義を自ら否定する人物が、警察や検察の頂点に立って、しかも人事権を振り回しているのですから、これは国にも国民にも、恐るべき事態なのです。それが発展すれば、政敵やジャーナリストを、次々に暗殺してきたプーチンの姿とも重なるのです。殺さなくとも社会的に存在を抹殺すれば同じことなのです。

政治の観点では、森友問題は単独の出来事ではなく、モリカケ問題であり、官邸の「暗黙の」行政指導、或いは誘導こそが問題の焦点なのです。官邸の関与を明らかにすることが、真実を明らかにすることになるのです。また丸川のように、「首相夫妻の関与はありませんでしたよね」というあからさまな誘導尋問をするような、不心得な議員は即刻辞任させるべきです。よくもそれで真実を解明すべきだなどと言えたものです。真っ赤な嘘と、二枚舌で、正に安倍首相の同類項です。国民の代表という自覚が少しでもあるのなら、今更首相に媚びを売るよりも、自らを選んだ国民の方を向くべきでしょう。恥を知れ、なのです。

また各社、出揃っているにもかかわらず、未だにNHKは政権の支持率の世論調査をしようとはしません。このどこが公平、公正な報道機関の在り方なのでしょうか。



1158.日本にカジノはいらない 18/3/30


権力への飽くなき執着心。安倍と小池の独裁を一日でも早く終わらせないと、日本の将来に、間違いなく禍根を残すことになるでしょう。日本会議にどっぷりつかった、彼らの歪んだ価値観、民意等意に介さない傲慢な政治姿勢。それは、現在の日本の大多数の国民の不幸が、他ならぬ彼ら独裁者による「人災」であることをはっきりと示しているのです。

今日の前書は長くなっています。日本にはカジノはいリません。それが今回の前書きの趣旨です。米欧での私ならではの生活体験を含めて(分かり易く)自説を展開しています。

超保守の議員が神輿として担ぐカジノ法案。自民党は具体化のやる気満々です。カジノと言うと、抵抗関があるので、統合型リゾートと言い換えています。しかし種々のテーマパークが既に存在している以上、リゾートの為のカジノではなく、カジノのためのリゾートであることくらい、誰にでも分かります。

しかし日本に来たいと思う外国人は、決してカジノが目当てで来る訳ではありません。日本でなければ味わえない。日本らしさを求めて来るのです。カジノで遊びたいのであれば、(特に米国人にとって)日本に来る必要はないのです。

ギャンブル事業の持つ宿命として、全員が一攫千金では経営が成り立ちません。だから儲けた人間が一人出れば、その陰に、何倍の数の損した人間が居るのです。他人の不幸の上に成り立つビジネスなのです。他のリゾートと決定的に違うのは、アトラクションの為の入場料で経営されている施設ではないということです。不幸な人間がいなければ、成立しない異質な産業なのです。だからリゾートと呼ぶことにも無理があるのです。

カジノを公認して、良いことはただの「一つ」もないのです。最も懸念されているのがギャンブル依存症の増加で、それに伴う家族と家庭の崩壊、その結果、路上に放り出される子供たち、不正な資金のマネーロンダリング、裏社会とのつながりなどなどです。

ギャンブルの「基盤」は「射幸心」です。額に汗することなく、あぶく銭を狙う。その為に費やされる労力と時間は、そこからは何も生み出さないから、ある意味徒労であって、生産性という意味ではゼロなのです。

競馬、パチンコ、マージャンで生活している人や、そこそこ儲かったという人の話を聞いてみると、ならしてみればトントンだったという事です。儲かった人でもトントンなのです。負けた人の損害は推してしかるべきなのです。しかもギャンブル漬けの生活に慣れた人は、地道な職業につけません。精神構造が変わってしまっているので、地味に働くことが馬鹿馬鹿しくなっているからです。これは小規模ギャンブルのパチンコの場合でも同じです。

ギャンブルを趣味と実益等という言葉で表現はできません。勝たないと生活できないのだから、本人は楽しむどころか毎回、必死です。プロでない、一時的なアマチュアでも、負ければ、損を取り戻すために「熱く」なり、必死になります。そのすぐ横に、泥沼が控えているのです。才能と運に恵まれた、極めて少数の人達だけが、ギャンブルで儲ける、というより大損を免れているだけであって、それがカジノ側の宣伝に使われています。一般人が、自分もそういう賭博の勝ち組に入れると信じる根拠など、どこにもありはしないのです。

これは実は株式投資や相場でも言えることです。但し株の場合は、下がってもゼロ迄落ちる事は滅多にないが、ギャンブルの場合はオール・オア・ナッシングで、負ければゼロです。一銭も残らずに、すってしまうのです。人間には自制心がないので、途中で止める事は極めて困難です。ギャンブルに中間(中庸)はないのです。勝つか負けるかなのです。

「リゾート型のカジノ」という表現(発想)を使っているのは、カジノの為のカジノではないと言いたいのでしょう。ラスベガスをイメージしたものかもしれません。でも娯楽施設が充実していても、ラスベガスの本質はカジノです。カジノの為のカジノなのです。

特に欧州では、カジノでは、少額を賭けて、勝っても負けても生活には影響のない人達が「遊ぶ」ことを想定しています。ところが、日本人は、礼装でオペラや高級レストランに出入りしたり、夜会に出席する、ましてギャンブルを「たしなむ」という上流社会の文化がないし、それに慣れていません。そもそもタキシードや肩紐のないイブニングドレスも着慣れてはいないのです。

経済的にも精神的にも余裕のある、なにより「歴史」のある外国人富裕層と、戦後のにわか成金の日本人とでは、価値観も違います。日本人は「遊ぶ」事より「儲ける」ことを重視すするのです。しかも日本人は根が真面目であるだけに、何ごとによらず「打ち込んで」道を究めようとします。賭場では、刺青のヤクザが目を血走らせてツボを振る、それが日本人の賭博の古来の姿なのです。

という事は、カジノを解禁すれば、個人破産が山のように出るようになるのです。だからこそ、「カジノを日本に持ち込んではならない」のです。賭博という「文化」を受け入れる、精神的土壌ができていないからです。下世話な言い方をすれば、若者がパチンコの代わりにカジノに入りびたり、挙句両親に泣きついて、親が田畑を手離す姿しか想像出来ないのです。

同じ事は日米の競馬場でも分かります。米国で競馬場に行った人は多くはないかもしれないが、鼻息荒く馬券を握りしめている人の姿はありません。それよりも付属のレストランで食事する家族などがいて、競馬場に行く目的が少し違うのです。

自民党は総合リゾートを目指すと言いたいらしい。でもそれはカジノで長い経験を持つ外国、特に欧米だから出来る事なのです。品良く経営できるのか保証はないのです。東南アジアのカジノのように猥雑な場所になってしまう可能性が高いのです。ひいては社会の風紀全体が悪化するのです。

しかも、これが大事ですが、必ずしも、カジノ産業がうまくいってはいないのです。カジノから撤退する企業や、カジノを廃止する地域もあるのです。

自分の乏しい経験で言えば、賭博を認めている州は、ネバダ州(おなじみラスベガス)だけではありません。NYから車でいける隣のニュー・ジャージー州にもカジノがあります。それがアトランティック・シティです。この町は、伝統的なボード・ゲームのモノポリーの部隊になった街で、私も海沿いの、ホンモノのボードウォークを歩いてみた経験があります。予想以上に広大です。無論カジノにも入りました。その為に行ったからです。

しかも多国語(英独仏はもちろん、スペイン、中国、韓国、スワヒリ、ロシア)を操れ、しかもギャンブルの本質を知り尽くしたディーラーが必要です。そんな人材が日本に居るとは思えません。逆説的ですが、自分で立候補したいくらいです。

カジノ産業が斜陽になっているからこそ、彼らは日本という新市場を狙っているのです。しかし、なぜ斜陽産業になったのかを改めて考えてみると、先進国の国民が、「カジノなどにはもう飽きている」という現状が想像できます。彼らは、賭博などより、もっと「健全で」しかも「楽しい」娯楽があることを知っているからです。カジノが面白いに違いないなどと思っているようでは、文化的には開発途上国であり、アミューズメント(娯楽)のレベルが低いのです。

そこで文化的なレベルに疑念のある、萩生田と安倍に一億ずつ持たせて、ラスベガスに送り込んで、飽きるまで遊ばせてみればいいのです。勝っても負けても残るのは虚しさであることに気付くことでしょう。僅かの(?)国税を使っても、カジノを日本に持ち込むことで起きる、数々の国民の悲劇や不幸や、日本文化への弊害に比べれば安いものです。そもそもある程度の知性さえあれば、多数の不幸の上に成り立つ産業などというものが、長続きするものではない事は、誰にでも分かるのです。

欧州の例、例えばモナコなどでは、カジノの背景に社交界の存在があります。そこでは、すぐに熱くなって、全財産をつぎ込むような、「即物的で下品な」賭博は想定していないのです。日本人で、ギャンブルが好きでたまらず、また大負けしない自制心を備えている人は、そうした社交界のルールをきちんと理解し、最低でも英独仏の三か国語の日常会話くらいはマスターしてから、海外に遊びに行けば良いのです。通訳が必要では、即断即決を要求されるカジノで遊ぶこと自体、無理があります。中でも一番大事なものは理性、言い換えれば自制心です。そうでないと、ちと古いがハマコーや大王製紙の例もあり、一時的に勝ってはみたものの、下駄を履いてみれば億単位で大損しており、穴埋めをフィクサーにやらせたり、或いは会社の金を使い込むというような不祥事が起きるのです。

カジノ法案で私が不愉快に思う点が他にもうひとつあります。それはカジノが基本的に(ギャンブルに遣う資金力のある)「富裕層」の為の施設だという点です。富裕層が損をしても儲かっても、それは彼らの勝手ですが、我々のような「貧困層=貧乏人」を、あからさまに排除するような施設が存在すること自体が納得できないのです。但し、高級レストランや料亭にしても、高級ホテルでも、7つ星の観光列車にしても、既に富裕層向けの商品開発や価格設定がとっくに行われており、カジノで国民の経済格差の拡大が始まるわけでもないという異論はあるかもしれません。

でもANAのビジネスジェットを含め、富裕層専用施設の存在が当たり前だとする動きにこそ、とりもなおさず日本の社会が、富裕層と貧困層という階級の二分化構造が進んでいる明白な証拠ではないでしょうか。我々「搾取される側の」貧困層には、益々住み難くなっているということが、紛れもない事実であることを改めて実感する必要があるのです。こうなると、公平と、平等と、福祉と、民主主義を求めて、私たち「庶民」は、北欧かオセアニアにでも、移住を真剣に考えるべき時期なのかもしれないのです。
関連記事。カジノの入場料案(先月の記事です)
https://mainichi.jp/articles/20180224/k00/00m/010/198000c
関連記事。市場縮小のワケ(4年前の記事です)。
http://toyokeizai.net/articles/-/44368?page=2



1160.NHK予算審議 18/3/31


「NHK30年度予算審議、参院総務委員会」2018年3月30日早朝放映

本件は録画で放映されました。大臣、会長以下、口を揃えて、公平・公正な報道に努めるという、判で押したような発言には違和感を覚えました。なぜなら、視聴者の為の放送局という言葉も、(国民による)国民の為の放送局という言葉も、一回も出てこなかったからです。公共放送と国営放送の区別さえ明確に説明できておらず、いまでもなお関係者の意識の上ではNHKは国営放送として理解されていることを、問わず語りに述べていたと私には思われたのです。

こういう、国民が事実上、見る事が不可能な時間帯の放送で、しかもそういう放映があることさえ、十分に周知されていない。そこでなんとか、5時間に及ぶ放映の中に「埋もれていた」、自民党もNHKも最も触れられたくないと思われる部分を探し出しました。それは以下の民進の議員の質問です。翌日のメディアでさえ取り上げていなかったので、WTWがその概要を、心ある読者(国民)のために紹介します。但し放送を、言葉通りに文章化したところ、かなりの分量になりましたので、詳細はサイトを分けて別掲しますので、後刻、ご覧頂ければ、幸いです。。


民進党・新緑風会、杉尾議員の質問から
「公平・公正についてですね、私はちょっと違う意見を持っているのですが、実は私も民放出身で、NHKには友人・知人も多いですし、NHKが放送している番組は本当にリスペクトしています。とりわけ歴史ものですね。去年の夏ですと731部隊を扱ったもの、それから例のインパール作戦ですね。戦時中の記憶という題だったですかね。これ、本当に深く感動致しました。あの戦争がいかに、酷い戦争だったかというのが、よく分かった。前線の兵士たちの想いというのがよく分かりました。
そういう一方でですね、やっぱりがっかりさせられることも多いのですよね。…一杯あるのですが、例えば加計問題の時の、前川前次官のインタビュー、これNHKさんが最初にインタビューしたのですが、これ放送していないのですよ。例の一連の文書で、官邸の最高レベルが言っていることというくだりがあって、これもNHKが最初に放送したのですが、官邸の最高レベルという部分が黒塗りに、墨塗りになっているのですよ。一番肝心の部分が墨塗り。なんでこんな配慮をしたのかが分かんない。
それから総理の動向、例えば外遊に行ってもそうなんですが、ものすごく逐一放送するんですよね。全くそこになんの批判もなければ、まあ批判するのがいいと言っているわけじゃないんですけれども、要するに垂れ流しなんですよ。言葉は悪いんですけれど。
さっき8割の方が公平・公正だと言いましたけれど、そうじゃないんじゃないかと思っている人も一定程度いらして、私の周りでも、NHK受信料払いたくないという人も、正直いらっしゃるんですよね。こうした批判に対しては、会長、どう思われますか」

上田会長回答。
「お答え致します。先ほど申し上げたように、視聴者のアンケートというものを取っておりまして、その結果を真摯に受け止めて、番組の制作に当たるよう、現場には指導していきたいという風に考えております」

杉尾質問。
「もう一つ実例挙げますね。去年の衆院選挙。投開票日の前日の夜、党首奮戦という特集番組を組まれたんですよ。各党の党首に密着した番組で、70分の放送の内の自民党が1/3の22分間、安倍総理の自宅での私生活の一部を紹介した映像も流れました。残りの7党首が残りの40分ちょっとを分け合っている。これ普通に見ますと、質、量ともに安倍総理に好意的な編集なんです。これマスコミ研究者の間でも、異論が出ているんですね。ここで、どうしてこういう放送になったのか、先程から政治的な公平・公正ということを何度もおっしゃってますけれども、政治的公正というものをどんなふうに考えているのか、聞かせて下さい」

木田専務理事回答。
「選挙報道にあたりましては、NHKは放送法と公職選挙法の趣旨に基づいて、公平・公正で視聴者の判断に役立つ選挙報道に取り組むという事を方針としております。昨年の衆議院選挙、それからその関連番組でも、これまで通り、この方針に従って、政治的公平性を十分に担保しながら、視聴者の判断に役に立つ選挙報道を行ったというふうに認識しております。なおNHKの放送ガイドラインでは、選挙関係のニュースや番組の放送、選挙結果の速報などは、正確な取材と公正な判断によって自主的に行い、公職選挙法の趣旨に従って、選挙の構成を損なわないようにする、という風にしております」

杉尾質問(要旨)
「量的公正性の話ばかりしているようだが、昨年BPOが指摘したのは、質的な公平性の方が大事だというものだ。例えば少数者の立場もそうしたものだ。取材で仕入れた情報を偏よりなく報道し、有権者に必要な情報を提供する役割が大事だとBPOは指摘している。質的公平をどう考えているのか」

木田回答(要旨)。
「ご指摘のBPOの意見については承知している。放送法と公職選挙法の趣旨に基づいて公正な報道に努めている。個別の編集判断や取材の過程などの詳細については回答を控えさせて頂くが、昨年の衆議院選挙でも、これまで通りこの方針に従って、選挙報道が出来たものと認識している」

杉尾質問(要旨)
「お題目みたいに公平・公正を繰り返さないで頂きたい。問題は内実だ。NHKでは放送のトラブルも絶えない。今年1月の北朝鮮のミサイル発射の誤報で、局長以下が処分されているが、担当者が機器の操作を誤ったことが原因と報道されている。しかし一部には、本当の原因は、経営委員会などには隠蔽されたという内部情報もあるが、本当か」

木田回答(要旨)。
「これは芥川賞の情報を流そうとして、誤って、予め別に用意してあった、Jアラートの情報をネット配信したために起きた事故である。手順を示した資料があるが、担当者がその手順通りに行わなかった人為的なミスと認識している」

杉尾質問(要旨)
「マニュアルそのものが間違っていたという報告がある。この話には続きがあって、この誤報を契機に、かねてからあったNHKの偏向報道への批判が強まり、これにナーバスになった報道局長K氏が、例えば森友問題で、ニュースや映像の扱いを細かく指示をするようになった。Jアラートならぬ、Kアラートと言われるようになった。こんなことがあるのか」

木田回答(要旨)。
「NHKは報道機関として自主的な編集判断で報道している。放送に当たっては、国内放送基準に従い、報道の担当責任者が総合的に判断してニュース番組を制作している。各時間帯のニュース全般を見渡して重要度、緊急度、視聴者の関心を勘案して、総合的に判断しており、指摘のような事実はない」

杉尾質問(要旨)
「NHKは予算も握られているわけだし、NHKが政治に弱いと一般視聴者の人も思っている。それがしばしば放送内容の介入とか、逆に忖度を生みやすい構造の原因になっている。NHKの人事にも影響しているということも聞いている。ここは芸能報道機関としての矜持、ジャーナリズム精神は絶対に失わないで頂きたい…」。


後の質疑は、4K/8Kへの業務拡大、NHKの肥大化傾向、公共放送の在り方、放送法に関する議論に展開してゆくので、省略させて頂きます。
なお杉尾の後で、共産の山下が質問に立ち、BBCの例を挙げて、公共放送の在り方として、権力の監視役なのに、その機能が著しく低下している、むしろ権力に協力していると指摘していました。この委員会の様子は前国民に見て貰いたいものでした。市民の反対運動が殆ど放送されないことも指摘していました。録画はしばらく保存する予定です。