「WTWオピニオン」
【第82巻の内容】
「改元が政治ショーに」
「政治システムの制度疲労」
「アラビアのロレンス」
「地球系外宇宙船」
「経団連の思い上がり」
「華氏119」
「さらばハフポスト」
「年齢より人」
「革命の予感」
「権威主義」
1416.改元が政治ショーに 19/4/2
新元号が決まりました。
菅長官発表時の記者会見。予め指名されたのはNHKでも読売でもない、産経とフジテレビだけでした、しかも首相の場合は産経一社だけ。まさに政治ショー。こんなあからさまな報道規制は見たこともありません。一旦政府が決めたことにはつべこべ言うな、余計な質問は許さないと言わんばかりです。安倍政権のファシズム体質があからさまになった場面でした。しかも質問も答えも、予め用意された自問自答の質疑でした。これのどこが「記者会見」なのでしょうか。まさに「大本営発表」ではないですか。
発表時のNHK特番のコメンテーターの一人は歴史学者でしたが、リベラルな磯田ではありませんでした。また同席したタレントも、明白に体制派の中川翔子。しかも記者には、小池報道局長の直系で、自民党から参院選への出馬のうわさもある、岩田記者でした。政府もNHKも安倍一色だったのです。これは、今後も事あれば、「NHKは大本営発表の片棒を担ぐであろう」ことを意味しています。とんでもない事ですが、それ(NHKの政府寄りの体質)が分かっただけでも収穫です。今回の政府イベントで、うがった見方をしている「正気」のメディアはWTWだけです。これは世間をええじゃないかのムードに乗せ、政治経済外交の諸問題から、国民の目を逸らせたいのは何処のどなたかという問題でもあります。
しかも今回の改元の報道には、他の部分でも小池報道局長の影が見え隠れしています。朝7時のニュースで、岐阜のある団体が紹介され、そこでは住民が希望案を出して投票し、その中で最大の票数を集めた案が「安永」だったというのです。ちゃんと安の字が入っています。「国民」が安倍首相の世が永く続くように願っているとでも言いたいのでしょうか。なぜよりにもよって、そういう地域をサンプルとして選んだのか。そこにはNHKの、安倍首相への忖度があると思われても仕方がないでしょう。ちなみに安永も、令和も人名として実在するそうです。
ところでNHKが政府から独立した組織で、税金の補助がないのなら、予算審議に総務大臣が出席するのは筋が違うと思います。こんな歪んで色付けされた組織が、報道機関のトップに君臨するような世の中なら、WTW(とNHKと)の戦いが一生続くことになるかもしれません。なぜなら、この戦いには、国民の知る権利と、政権に左右されない情報が掛かっているからです。
・元号、初めて。和は20回。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319022
コメント:平成は平和に成るという意味だったそうですが、今回の元号では、国民は安倍首相の下で心寄せあい(首相の言葉)、政府が定めた令(律令、法律)に従っていれば、平和でいられると言いたいようです。次なる全体主義(第四次安倍体制)の幕開けなのでしょうか。ならばまず首相が範を垂れ、令(規律)に従うべきでしょう。トップだけはいつも例外=治外法権、では、国は治まらないからです。百歩譲っても、改元を安倍首相の個人的なパフォーマンスの場に利用したという事実は否定できないでしょう。これまで散々民意を裏切ってきておいて、今回だけは自分ファーストではないと、どうして言い切れるのでしょうか。
関連記事。元号に罪ないが、政治ショー化はフェアではない。内田。
https://www.asahi.com/articles/ASM415FB1M41UTIL03S.html?iref=comtop_8_02
関連記事。上から目線。デーブ。
https://www.asahi.com/articles/ASM415F3DM41UTIL03Q.html?iref=comtop_8_05
関連記事。祝賀ムードで何故株価が下がるのか。
https://diamond.jp/articles/-/198398
関連記事。政府6案に安の文字なし。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319005
コメント:安が入った途端に、国民が安倍首相に反感を持ち、皇室を徹底的に敵に回すことくらいは分かっていたでしょう。とは言いつつも、下記の4案でなくて良かったとは、誰しも思ったことでしょう。しかしそういう案を出してきた、有識者とはどういう人たちなのでしょうか。
関連記事。残り4案は、英弘、広至、万和、万保
https://www.asahi.com/articles/ASM4201XCM41UTFK02T.html?iref=comtop_8_01
関連記事。中国メディアが速報。
https://this.kiji.is/485398047875007585?c=39546741839462401
関連記事。手書き文字と異なる令。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019040100680&g=soc&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
・令和、欧米メディアは日本の右傾化懸念。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319063
・新元号、首相がしゃしゃり出すぎ。辻本。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190402-OYT1T50235/
・新元号、好感73%。西暦との併用45%。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019040201002128.html
関連記事。外務省の元号不使用に官邸不快感。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019040200905&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
コメント:正に政府の思惑通りです。但しその先にあるものは国家主義であり、改憲であることに国民は気づくべきなのです。まさに改元の政治利用なのです。
令和の令は命令の令。令和の令は号令の令。
関連記事。国書由来とは言い難い。しかも陰には政治ドラマ。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/04/post-1075_2.php
関連記事。実は突っ込みどころ満載。
https://diamond.jp/articles/-/198757
関連記事。令は命令の令。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/reiwa-hantai_jp_5ca41654e4b07982402401f6?utm_hp_ref=jp-homepage
関連記事。政府は海外報道を否定。
https://www.asahi.com/articles/ASM43577PM43UTFK01C.html?iref=comtop_8_05
1417.政治システムの制度疲労 19/4/3-4/5
昨夜はエリザベス女王の案内役を仰せつかる(但しロンドンで)という珍しい夢を見ました。そこで英国の話題ですが、ブレグジットの為に出来たメイ内閣が、議会でブレグジットの法案を通すことができません。何故なら国民投票が、国民の総意を反映したものではなかったからです。両者が一致していれば、国民の総意は議会の総意になるはずだからです。
英国議会が迷走するのは、現時点での民意が、国民投票当時の民意とは異なるからだとも言えますが、ブレグジットに反対の国民の多くが投票所に行っていないという調査結果の報告もあります。英国政府も、英国のメディアも、いい加減、現在の英国民の多くがブレグジットには反対だという「事実」から背を向けるのをやめるべきです。形式主義が英国議会を縛っているのです。この民意と議会の遊離。それこそが日本で起きている現象でもあるのです。
関連記事。離脱の再延期さぐる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43264100T00C19A4000000/?nf=1
議会の多数党(自民党)の判断と、国民の意志(民意)が異なっています。しかも自民党は形ばかりの国会審議で、結果的には毎回、民意を無視して法案を強行しています。そこにはいかなる正当性があるのでしょうか。両国のあり様を見ていて、政治には素人の私でも分かることがあります。それはこの二つの資本主義の先進国で、議会制民主主義が本来意図したようには機能せず、その結果、民主主義が損なわれているという事です。
即ち、民主主義を標榜する国であっても、政治と選挙制度の見直しが必要な時期に来ているということだと思います。タイムリーに民意を政治(政策、行政)に反映できるシステムに改めないと、将来に禍根を残すばかりでなく、(現在の日本と英国のように)壮大な税金の無駄(国民が望まない使い方をしているのだから無駄遣いです)と時間の浪費が起きてしまうのです。無論同じことは米国の大統領制にも言えます。制度に瑕疵があるのです。
安倍首相と自民党は憲法が時代にそぐわなくなったから、変えるべきだと主張しています。ならば、それより先にすることがあります。それは議院内閣制と、民意を反映しない選挙制度の見直しです。安倍首相を生んだ諸悪の根源とも言うべき自民党が、自民党議員を選んだ国民(の個々の判断)の責任だと開き直る。自民党議員は(相対的)多数の国民に選出された。だから好きなように振る舞ってもいいのだという身勝手な理屈です。でも国民の誰一人として、特定の議員に全権を、しかも白紙委任した覚えなどないのです。「意見の陳述」と「審議」を委託しているだけなのです。
だから自民党の議員に、なぜ民意は自民党の判断と異なるのかと問われると、途端に答えに窮してしまう。丁寧な説明で国民の理解を求めたい、国会で審議を深めたいという、その気もない、その場限りの説明を、オウムのように繰り返すだけです。そのくせ支持率を最も気にしているのは他ならぬ官邸なのです。即ち、政権の本音と建前に大きな矛盾があるのです。
議論が面倒なので、自分なりの結論を申し上げます。安倍首相が任期までお手盛りし、自民党の頭の軽い議員達が大臣は愚か、国会議員としてはあるまじき言動を繰り返し、法律も規則も無視しても(片山、桜田、根本を見よ)、なお現職に留まれるのは、もっと言えば安倍首相が日本の政治を好きなように出来るのは、自民党を日本の政財界の権力者が支持しており、40-50代の中間層が右傾化し、しかも自民党には自浄作用が全く無い(進次郎にも失望)からなのです。
現状を根本から(真の民主主義の方向に)変えるには、最早(野党を含めた)議員を宛には出来ないのです。市民の力が必要なのです。21世紀の日本に必要なものは、明治維新のような権力者同士の闘争(ニセ革命)ではなく、市民による市民の為の真の政治改革(革命)なのです。
塚田ナニガシは、山口、福岡は安倍首相、麻生大臣の地盤だから、忖度するのは当たり前だ、自分は忖度する(だから皆も忖度してくれ)と、見事に安倍政治の本質を言い放ちました。その後で、忖度すべきではなかったと言うのならまだしも、事実とは異なる(何と異なるのか)では言い訳にもなっていません。忖度(というより政府の命令に和する=令和)することは間違いではないと言いたいのでしょうか。折角の首相の改元のパフォーマンスもこれで台無し、帳消しです。上がこのように正義感もなければ政治倫理もなく、規則も法律も道徳も踏みにじる(どこが規則=令への和なのか)のだから、下々が卑劣な犯罪に走るのも当然なのかもしれません。このように問題大臣(片山、桜田、根本、ついでに岩屋)ばかりの「安倍への忖度、安部からの命令」内閣は、国民にとって最早全く無用な存在であって、即刻退陣を要求したい。
関連記事。忖度発言の詳細。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190403/k10011872051000.html
関連記事。首相、塚田議員の罷免を否定。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319220
関連記事。政府にも更迭論。
大阪知事選は、勝つまでじゃんけんだという批判があります。府民の民意などどこ吹く風で党利党略優先。頭も人も悪「そう」な政治家など、民主主義にとって有害無益の存在です。
NHKの歴史番組ヒストリアによると、いま信長の再評価が始まっているとのことです。信長に天下取りの野望はなく、ひたすら天下静謐を望んでいたと言います。天下布武の天下とは畿内の事だそうです。歯向かった浅井朝倉が逃げ込んだ比叡山の焼き討ちも、事前に叡山に丁寧な書状を書いて、せめて中立でいてくれと頼んでいます。しかし叡山からは返事がなく、それでも1年待っているのです。信長に反旗を翻した将軍義昭(信長が将軍にしたことを感謝)を放免もしているのです。その後は皇室の資産の回復に尽力し、将軍より高い官位を与えられています。唯一理由が分からない四国の長曾我部攻めで、間をとりなしていた明智に討たれたのです。信長の魔王の悪印象は、自分を良く見せたい太閤秀吉の演出でした。諸悪の根源は秀吉(日韓関係の元凶)だったのです。大阪維新の会は、今太閤にでもなったつもりなのでしょうか。
昨日の決算委員会。塚田の忖度発言の追及で、政府側の答弁は答えにはなっていませんでした。ところが野党の質問者の選択にも問題があり、参院選前の絶好の機会なのに、立憲と国民の追及は迫力と詰めに欠けていました。国民が納得できるような質疑の体を成していませんでした。唯一共産党の質問だけが光っていました。安倍も麻生も、以前から第二関門橋の推進派であることが知られていますが、その論拠である、トンネルや橋の渋滞説が誤りであることを指摘したのです。同時に留学生を食い物にする(外国人学生数千人!)東京福祉大学の異常な実態も告発しました。
現用のトンネルと橋の利用率は半分だとのことです。だからこそ、福田首相時代に廃案になっているのです。3000億円近い建設費用、4千万円もの調査費用は、他にいくらでも使い道があるでしょう。それでなくても国民は高い健康保険料、介護保険料と、実質賃金の低下に苦しんでいるのです。国策放送局の料金も強制徴収です。塚田の忖度発言問題の本質は、安倍麻生の地元だという理由で、「必要のない」橋を作ろうとすることにあるのです。
安倍首相も麻生財務大臣も、経済観念とは全く無縁のお坊ちゃんらしく、庶民とは感覚がずれています。税金は自分達が湯水のように使う為にあるとでも思っているようです。このように、財政に規律がないのだから、ハイパーインフレにならないほうがおかしいのです。実質賃金は下がり、法人税を下げ、しかも税金で不要な武器を言い値で買い、お手盛りで橋を作る。けじめもなければ節度もない。それが自民党政治であり、安倍内閣なのです。
関連記事。忖度発言、与党幕引きに躍起。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319334
関連記事。日本語学校と留学生と企業。互いに利用し合う危険な三角関係。
https://diamond.jp/articles/-/198743
・塚田副大臣、事実上の更迭。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019040501002266.html
関連記事。国民は事実が知りたい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019040502000172.html
関連記事。相次ぐ失言、政権体質に批判。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319420
1418.アラビアのロレンス 19/4/8
読者の皆さんにとって、名作映画とは何でしょうか。故淀川長治(昭和の映画評論家)にとって、それはジョン・フォードの駅馬車(モノクロ)でした。私は西部劇ならハイ・ヌーンだと思いますが、それはさておき、現代の観客にとって、スターウォーズや、ウエストサイド等、選択肢は沢山あるでしょう。
私にとっての最高の映画は、ジブリの作品を除けば、「アラビアのロレンス」です。これほどスケールの大きい映画を、私は過去も現在も見たことがありません。スケール感ではタイタニックのセットも大きいが、砂漠の大きさにはかないません。主演者の数も違います。昨年、この映画が4Kで放映されたものを録画して見ました。遠景シーンが多く、4K技術が最大限に効果を発揮する映画でもあります。
この映画を見るまで、私はローレンスという人の存在さえ知りませんでした。そういう意味でも勉強になりました。また良いかどうかは別にして、この映画の特徴の一つは、女性が全く登場しないことです。主人公が変った性癖の持ち主間だという、一種アブノーマルな要素もあります。加えて、戦争が狂気を生むという指摘が重要です。
アラビアのロレンスは、元は70ミリですが、1988年と2012年に再編集され、そこではスピルバーグも参加しています。オリジナル版から映像美に定評のある映画でしたが、4K化で一層、映像が際立ちます。音響も良くなっています。CGの無い時代であり、特撮を含めて全て実写であり、リアリティと迫力(史上最大の作戦を除く)は群を抜いています。史上最大の作戦も、CGでない戦争映画でした。
新人は主役だけで、脇役を名優たちで固めており、演技面の破綻がありません。演技の教科書のような映画です。映画の中の映画、人類の文化遺産です。まだ見ていない若い世代にとっては、死ぬまでに必ずみておくべき映画です。
アラブの独立、というよりトルコの支配からの解放の為に戦った英国人将校の半生を描いたものですが、ロレンスの民族独立の理想は、英国の利権外交(サイクス・ピコ協定を含む)と、ファイサルの権謀術数に翻弄されます。なによりアラブの部族主義が、儚い連合政府の夢を打ち砕きます。それから100年近い時が流れて、果たしてアラブ諸国は近代化できたのでしょうか。サウジの記者殺害、目には目をの刑罰等を見れば、実はそれほど進歩していないではないかと思わざるを得ないのです。
映画とは、信念とストーリー(脚本)、そして演技と映像が揃わないと名画にはなりません。この映画にはそのすべてが揃っています。
ところで話変わって、ハフポスト(朝日新聞がバック)は自由闊達さが取り柄で、ネットメディアの時代の到来を予感させる重要なプレーヤーですが、最近に気になることが二つあります。それはまず掘り下げが甘いというか、殆ど無いこと。もう一つは報道に理念が感じられないことです。一言で言えば情報のごった煮メディアであることです。スタッフにアマチュアが多いことも気になりますが、それよりも取りまとめる編集長の資質が気になります。政治部でも社会部でもいいが、記者として叩き上げた印象が薄いのです。記者として(辛い)経験を積んでゆく段階で、自然と身に付く(はずの)庶民の目線と社会正義の感覚が希薄なのです。時流に乗れればいいという感覚では、米国でのし上がったソニーの平井前会長を想像させます。ネットメディアであっても、骨太のジャーナリストの根性を持ったトップがいないと、いずれ衰退する可能性もあります。ジャーナリズムをなめんなよと言いたくなります。同じネットメディアでも、記者出身のヤフーニュースとは余りにも大きな違いがあります。むしろ朝日新聞自身が、ネットメディアを軽視した結果がこれなのかもしれません。
1419.太陽系外宇宙船 19/4/8
人間は好奇心の動物です。但し好奇心は人間だけの特徴ではなく、猿や猫を含む動物にも、好奇心はあります。そして人間の中でも、最も好奇心が強い人たちが、他ならぬ科学者です。ニュートンは果てしの無い海のような自然を前にし、旺盛な好奇心から、物理の法則を解明し、天体の動きや重力の法則を導き出しました。最近では山中教授や、福岡伸一のような世界に誇る生物化学の研究者がおり、日本の生命科学が飛躍的に発展しています。
全ての不可思議な現象を、超自然的な力の作用だと「安易に」結論付けていたら、我々人類は、今なお中世の時代から一歩も出られてはいなかったでしょう。私は、科学少年から出発して今は科学爺になっても、好奇心はそのままです。今でも超自然現象やマジックの番組は必ず見ています。しかし、最大の驚異は超自然現象ではなく、自然と生命そのものです。何故地球で、知的な生命が生まれ、しかも人類だけが、突出した文明を開花させられたのか。その根底には「好奇心」と、文字の文化があったからでしょう。
更に、宇宙がビッグバンから始まったことは「理論的に」間違いではないにしても、その原初のエネルギーは一体何処から来たのでしょうか。小さな点が無限に近い大きさに、ほぼ瞬時に膨張するなどという事がどうして可能なのでしょうか。無から有が生まれるのでは基本的な物理法則(但しニュートンの物理学)に違反してしまうのではないか。
無論そこではエネルギーと物質が相互に変換可能というアインシュタインの原理がないと説明がつきません。しかも素粒子は場から生まれたり消えたりを繰り返す一方で、何億年という長い時間、消滅もせずに、何億光年という正に天文学的な距離を旅して、地球に届くのです。
そういう物理学の本質的な話は別にしても、未だにUFOの説明一つ出来てはいないのです。NHKの超自然現象番組、ダークサイドミステリーの説明には無理があります。一見不可思議な現象を、錯覚や見間違いで括ることに説得力はないのです。言い換えればそれもまたこじつけなのです。なぜなら現象を現象として受け入れ、何とか筋の通った説明を考える努力から科学が生まれるからです。見間違いや、錯覚で片づけていたら、全ては神の御業(或いは悪魔の所業)で括っていた中世と少しも変わりません。
自民党だから信頼できる、安倍首相の説明だから間違いはないだろうというのも、それと同じことです。思考の放棄、或いは逃避であり、意図的な「錯覚」なのです。それは好奇心の喪失をも意味しています。前提を疑ってかかることから、自然科学も社会科学も発達するのです。盲目的或いはアプリオリに信じ込んでしまうのは、宗教の世界(だから安倍政権の支持者は自分の頭で考えることを放棄した安倍教の信者かもしれない=失礼)の出来事であって、科学者の姿勢ではありません。
例えば、UFOという発光体の飛行現象は確かにあり、ただ説明がつかないだけなのです。過度に恐れる必要はないが、存在を否定しても、解決にはならないのです。そういう時は、現象は或るもの、それがなぜかは「未だ」に分からないと言うべきなのです。NHKの番組のように(或いは安倍首相のように)「無理矢理」白黒をつけようとするのは間違いなのです。無理矢理結論を引き出せば、誤った結論に至ることも多い。安倍首相の安保法制と自衛隊憲法明記は、その最たるものです。しかも中には黒を白と言い換えている場合(モリカケも)さえあるのです。
話を天文に戻すと、私にとっていま最も熱心に取り組んでいることは、手元にある器材だけで、見るに堪える天体写真が撮影できないかという挑戦です。光害が多く、空気も濁っている都内で、ましな写真を撮りたいという、一種絶望的な試みです。以前、もっと大きな装置を使っていた頃に撮影した写真を、参考までにこのWTWの巻末にアルバムとして掲載してあります。
天体現象では、画期的な出来事がありました。それは火星の探査機でもなく、ハヤブサ2でもなく、太陽系から出て行ったボイジャーのことでもありません。初めて太陽系外天体が、太陽系に飛来したことです。世界中の天文学者がこの発見に沸き立ち、多くの望遠鏡がこの天体に向けられました。
オウムアムアと名付けられたこの天体が学者たちの興味を惹いたのは、その異様な形状でした。それは長さが1キロ以上もある細長い形をしていたからです。太陽系の内外を問わず、かつてこのような形状の天体が観測されたことはなかったのです。真面目な天文学車でさえ、人工物の可能性を排除しませんでした。また表面の色を観察する事で、回転していることも分かりました。でも彼らの結論は、太陽系外の彗星(だろう)というものでした。学者は人工物なら電波を出しているはずだと考え、電波を測定し、或いは電波を照射しました。しかしこの天体から電波は検出されませんでした。そこで人工物ではないという結論が出されたのです。
スペクトル分析で表面の材質が岩石であることが分かりましたが、なぜこのような形状が保てるのかの説明はありません。恒星や惑星の周辺で、細長い形状の天体が形を保つことが力学的に難しいからです。しかも移動中には、様々な方向へ回転する可能性があるので、余程丈夫な材質(例えば内部に金属の構造材)ないともたないと想像されます。
素人考えでも、腑に落ちない点がいくつかあります。まずその侵入経路です。太陽系の惑星面を避けて、円盤面に対して、垂直方向から侵入し、太陽の周囲を半周して(放物線ではなく)双曲線の軌道を描いて飛び去ったことです。他に本当の目的地があり、太陽は旅の途中でたまたま(または計算して狙って)スイングバイで使わせてもらっただけと言わんばかりの軌道だったことです。
そしてなにより重要なことは、太陽から離れた後で、今度は「自力」で「加速」を始めたことです。学者は彗星から目に見えないガスが噴出したためだろうという説明をしましたが、さすがに無理があります。というのは、都合よく進行方向と反対側にガスが出るとは限らないことに加えて、過去、太陽系内彗星で多少の軌道の変化は別にして、噴出したガスで「加速」した例など、私は聞いたことがなかったからです。彗星が背後に尾を引くのは、彗星の周囲に噴き出したガスが、太陽風で後方にたなびいているからなのです。なので、今回の場合は、何らかの推進装置を備えていて、それが使われたと考える方が自然なのです。
地球人は余りにも自己中であり、それはA首相やT大統領を見るまでもありません。しかし、自分だけにしか関心を持たない種族、或いは文明は、早晩滅ぶしかないというのが私の持論です。
私にとって、進化した文明が地球外にも実在していることを証明した画期的な事件(または現象)だと思いたいのです。私には、友好的でも知的でもなく、また理解不能な動き方をするUFO(実在してもしなくても)よりは、地球の存在など気にもかけない、素っ気ない巨大な宇宙船の通過という科学的な事実の方が、遥かに重い出来事であり、高い文明の存在を予感させる出来事だったのです。
関連記事。太陽系外衛星。
https://gigazine.net/news/20180412-narrowband-signal-from-oumuamua/
関連記事。加速の説明つかず。
https://japanese.engadget.com/2018/06/29/oumuamua-comet-asteroid/
1420.経団連の思い上がり 19/4/9
・経団連、原発推進
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319751
コメント:まず自宅を福島県に移してから言って頂きたい。自分は安全で贅沢な生活をしていて、面倒なことは他人任せですか。社内留保を積み上げるだけで、将来への投資もなく、無論従業員に還元もせず、正規従業員を減らし、非正規を増やす。原発推進を声高に叫ぶ前に、企業の明日の為にすることは山ほどあるでしょう。この発言からでは、経営者にとって最も大事な資質、先見性、度量、品格と見識が、その高収入に吊りあっているとは到底思えないのです。経営者の面々は自分たちが実は「無能」な金食い虫ではないことを、(従業員と)国民に対して自ら証明する義務があるのです。そうでなければ、どうぞ外国に移住して頂きたい。但し外国では兵役があります。経営の天才など滅多にいるものではありません。大方は平凡な人たちのはずです。人脈に乏しい編集子でさえ、現在の経団連のトップよりはましな経営者を、複数、推薦できると思います。
・4道県知事選で投票率最低。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319696
コメント:以前にも申し上げましたが、そろそろ選挙制度を見直すべきです。投票しない人たちの投票率を高める工夫が必要であり、それでも投票したくない人には、信頼出来る隣人、友人、親族に代理を頼める制度が望ましいと思います。もしくはネット投票です。
1421.華氏119 19/4/10
「華氏119」という、マイケル・ムーアの映画がビデオになりました。ドキュメントなので、アカデミー賞とは無縁でしょうが、私にとっては紛れもなく最近のベスト・ピクチャーです。日本でもなるべく多くの国民が見てくれれば、我々が、誤った米国(政治)観を持たされていたことに気が付くはずです。
様々な社会的出来事のドキュメントシーンが詰め込まれているので、分かりにくくなっている面もありますが、市民目線であることでは一貫しています。共和党、民主党に関わらず、政治家が、企業や富裕層の支援を受けて、有産階級の為の政治を推進してきたことへの、大衆の怒りも込められています。
題材は大統領選挙だけでなく、乱射事件、水道水汚染、教師の監視、住宅街の実弾演習まで、様々ですが、全て実際に起きた事件です。その殆ど全てで、背景に米国の、権力者や富裕層の優遇政策(米国流忖度)、政治の腐敗と不正が絡んでいます。しかも残念なことに、オバマでさえ、その例外ではありません。オバマは老朽水道管の鉛害による住民の健康被害の原因を作ったスナイダー知事を弁護し、住民を落胆させました。
誰もが(トランプ自身でさえ)ヒラリー-の勝利を信じて疑わなかった前回の大統領選で、トランプが勝ったのには、それなりの理由と背景があることも分かります。まず民主党の大統領候補者選びの段階で、サンダースが勝っている州なのに、民主党の事務局が数字を操作して、結果を書き換えたのです。民主党大会でヒラリーが勝利したかのように嘘の報告をしていたのです。また民主党の幹部がウォール街やライフル協会と、献金を通じて繋がっていたことも、暴露しています。
米国は階級社会なので、富裕層と貧困層がいます。その間に中間層がいるのですが、最近それが減ってきています。すると何が起きるか。貧困層には政治的な選択肢がなく、過激なスローガンを掲げる独裁政治家に投票するしか、事実上の選択肢がないのです。それがトランプが大統領になった理由なのです。トランプは黒人も移民も、口汚く非難して、白人労働者の票を集めたのです。ところが、達成した公約は、富裕層や企業の為の減税策なのです。
「華氏119」という題名は「華氏451度」というSFから取られており、この小説では知的な活動が制限され、書物が焼却される近未来のディストピアが描かれています。それは知性とはほど遠い、トランプの政治を暗示しています。451度とは書物が発火する臨界温度の事です。119とは911からの発想で、米国では消防も警察も電話番号は911です。無論、同時多発テロの起きた日でもあります。
911が起きた時に、ブッシュ大統領は、安全の為に自由を制限すると宣言しました。この映画では、テロ対策で必要なものは、ニセの安全ではなく、自由だと指摘しています。私見ですが、これは安倍首相の瀬策にも共通するものを感じます。即ち、テロや外国の脅威から国民を守る為に、国民も多少の不便(人権や自由の制限)や、費用の負担(防衛費)を我慢すべきだという理屈がそれです。
映画では、ニュールンベルグ裁判を経験した高齢の元判事のインタビューと、ヒトラーが登場する前のドイツに戻るべきだという当時の検事の言葉を紹介しています。ヒトラーの演説にトランプのナレーションをかぶせたパロディもあり、トランプの演説が、ヒトラーの仕草にと見事に一致しています。
3%の米国民が1憶丁以上の銃を持つ異常な社会なのに、共和党も民主党も銃規制には消極的。トランプ派は乱射事件の後で、教師にも銃を持たせれば良いと言い放ちました。
また米国には200年の民主主義の歴史があるという理解は誤りだという指摘もあります。1970年代までは、黒人の(それ以前は女性の)参政権が認められていなかったからです。
(民主党支持の)集会参加者が、トランプに憲法を読んだことがあるかと質問したら、答えはありませんでした。私も同じ質問を、安倍、麻生、菅、二階各氏にしてみたい。
トランプは、終身代表に自ら就任した習近平を称賛し、自分もせめてルーズベルト並みの16年の任期が欲しいと、ぬけぬけと言ってみせました。
米国でも選挙に行くのは半数に過ぎず、投票数も、民主党と共和党の支持がほぼ同数とのことです。その結果が民主主義とは名ばかりだという指摘は、日本でも全く同じでしょう。
この映画の最後はneed act immediatelyという言葉で終わっています。政治腐敗と事実の隠蔽、それらも決して米国だけに限った事ではありません。賢明なる読者諸兄諸姉も、やや長いのが難点ですが、機会を見つけて「華氏119」をご覧頂きたいと思います。
・官邸の意向でNHK理事返り咲き。2人棄権。
https://www.asahi.com/articles/ASM4943H2M49UTIL01V.html?iref=comtop_8_01
コメント:このどこが国民の費用負担による国民の為の放送局なのでしょうか。イヌアッチケーではないですか
・経団連、原発推進
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319751
コメント:まず自宅を福島県に移してから言って頂きたい。自分は安全で贅沢な生活をしていて、面倒なことは他人任せですか。社内留保を積み上げるだけで、将来への投資もなく、無論従業員に還元もせず、正規従業員を減らし、非正規を増やす。原発推進を声高に叫ぶ前に、企業の明日の為にすることは山ほどあるでしょう。この発言からでは、経営者にとって最も大事な資質、先見性、度量、品格と見識が、その高収入に吊りあっているとは到底思えないのです。経営者の面々は自分たちが実は「無能」な金食い虫ではないことを、(従業員と)国民に対して自ら証明する義務があるのです。そうでなければ、どうぞ外国に移住して頂きたい。但し外国では兵役があります。経営の天才など滅多にいるものではありません。大方は平凡な人たちのはずです。人脈に乏しい編集子でさえ、現在の経団連のトップよりはましな経営者を、複数、推薦できると思います。
・4道県知事選で投票率最低。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6319696
コメント:以前にも申し上げましたが、そろそろ選挙制度を見直すべきです。投票しない人たちの投票率を高める工夫が必要であり、それでも投票したくない人には、信頼出来る隣人、友人、親族に代理を頼める制度が望ましいと思います。もしくはネット投票です。
1422.さらばハフポスト 19/4/22
4/21のTBSのサンデーモーニングに出席したハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎の発言を聞いて、ハフポストの閲覧を中止することにしました。2016年に交代した前任者の高橋浩祐が確立したリベラルなメディアという路線で、少なからず方向性が変化したように感じたからです。
竹下は、池袋の暴走事故が原因で、若者の高齢者への反感が高まっていると述べました。両者が仲良くするべきだと取ってつけたようにも言いましたが、問題はそういう側面でしかこの事件をとらえていない事です。WTWの冒頭でも申し上げたように、この暴走事故の問題点は、「運転に不向きな人=年齢とは無関係、が運転した結果」パニックを起こして収拾がつかなくなったことにあります。メーカーへの忖度も働いており、車自体の不具合についても十分な検証がなされたとは言い難い状態です。
如何に表現はソフトでも、「短絡的に」高齢者から免許を取り上げろ、高齢者は若者を食い物にしているという意見をこの場で「紹介」するのは、メディアの代表として、如何なものか。問題の本質は何かを、論理的に考えることが、事故を減らすために最も必要なことなのです。それなのに若者の反感をあおるだけでは、ヘイトスピーチと変わりません。
極端かもしれないが、ドイツ国民の生活が苦しいのは、富をかすめているユダヤ人が悪い、だから「ユダヤ人」全員を収容所で殺してしまえという論理と変わらないのです。冷静な分析と、権力に対する身を挺した抗議、それらがジャーナリストの真骨頂なのに、今のハフポストにそれがあまり感じられないのは残念です。
同社の社内では、PCの前に座る多くの女性(記者)が実際に記事を書いているのでしょうが、その頂点に、竹下編集長が君臨する独裁体制とお見受けします。同編集長は、同じサンデーモーニングに出演している寺島、松原、青木から多くを学んで頂きたいものです。とはいえ、同サイトの閲覧を止める権利は私にはありません。判断は読者にお任せします。
WTWは政治権力と共に、(ハフポストがそうだとは言いませんが)理不尽なメディア(とその代表者)にもお手向いをする覚悟です。
1423.年齢より人 19/4/23
首相が新天皇に引き合わせる最初の国賓は、犯罪者に限りなく近い「押しかけ」トランプです。でもそんなこと、国民は望んではいないのです。
ウォーターゲート事件を取り上げた番組(NHK)によると、ニクソンは自分を訴追する特別検察官、司法長官を次々にクビにしました。内部告発した側近も、大統領支持の共和党議員が攻撃して潰しました。でも結局ホワイトハウス内での自らの録音が盗聴指示の動かぬ証拠となって、事件発覚後2年で、辞任に追い詰められたのです。トランプのしていることはニクソンと酷似しています。
関連記事。トランプの娘夫婦の正体。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-12021.php
コメント:米国の政治がファミリー・ビジネスになる異常さです。
トランプのご機嫌を取るしか能のない(=ジャイアンにへつらうスネオ)某首相は、令和、令和で押しまくる。ご自分が国会最高指導者にでもなったおつもりなのでしょうか。ならば我々臣民は、安部の御代万歳の提灯行列でもしてさしあげるべきではないでしょうか。吉本の舞台に立ったお姿は、実にしっくりと納まり、全く違和感がありませんでした。いつでも喜劇役者に転職出来ます。
話変って若手の政治家です。音喜多は北区長選で落選しましたが僅差でした。しかしその旗印は「政策」ではなくて「若返り」でした。ハフポストが音喜多の暴言を連載していた当時、さかんに高齢者を諸悪の根源のように攻撃し、世代間格差を訴えるだけの主張でした。以前見かけた、郷原伸郎や石破のブログも、ハフポストから消えました。同サイトの主張の質は低下して、ゴシップ系の記事だけになったのが、私が同サイトの閲覧を止めた理由の一つです。
若手の論客と言っても、古市のように極端に右傾化した「専門家」や、自民党の下請けの維新の若手議員、その先輩の橋下のような人たちだけが若者の代表であるかのように、言い立てるのはそもそも間違っています。音喜多を含む若手に共通するものは、その眼に宿る、一種狂気じみた光と、極端な自我肥大、そして虚無的な表情です。それらは、日本の将来に、表現しがたい恐怖感を抱かせます。
もはやリベラルでさえなく、むしろネトウヨのヘイトスピーチに近い感覚さえあります。その論調からは、冷静な分析や、誠実さ、他人対する配慮が欠落し、絶対的な自己正当化と、攻撃の為の攻撃に満ち溢れています。言い換えれば、そこにはアラブの原理主義者の急進的なテロリストの理屈に共通する何かを連想させます。そうした若手「論客」の中で、ほぼ唯一の例外が、荻上チキです。
若手が苦しい生活を強いられているのは、政府が二言目に言う、少子高齢化が原因ではなく、配分が平等ではないからです。政権が経営者を保護し、収入の格差拡大を推進し、労働組合が事実上存在しない(!)、日本の異様な労使関係と、資本主義の姿に問題の本質があるのです。
我々のような全共闘の世代は、のんびり引退生活等送っていてはならないのです。自民党政府が一生懸命演出しようとしている世代間闘争が、実は(経済)階級間闘争であることを再認識し、意図的に作り出された、若者対中高年の対立が、まかり間違っても、全体主義と民主主義の抗争という、為政者にだけ有利な展開にならないように、厳重に監視する必要があるのです。未だ気力体力が残っている今のうちに動かなければ、我々団塊の世代はどこで、日本とその将来の役に立てるというのでしょうか。
関連記事。都民ファ、議員倍増でも不安。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042200858&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
コメント:政治理念と主張なき政党。しかも主は自民党予備役です。
1424.革命の予感 19/4/24
日本だけではない、世界中で政治の仕組み、即ち立法、司法、行政が病んでいます。無論それはそれを担当する人たちが腐敗しており、疎の歯御らいの職責を果たしていないからには違いないのですが、それを許せる仕組みや制度自体に大きな問題があるという真実に、そろそろ全国民が気が付くべきなのです。安倍政権を見ていると、一度独裁政権が出来上がると、よくもここまで政治も経済も(社会も)腐敗できるものだとあきれてしまいます。まさに最初に菅長官が意図した筋書き通りに進んできたのですから、多分一番驚いているのは、他ならぬ菅本人でしょう。
ここまで腐敗が進んでしまうと、議員定数の削減などの小手先の対応では、もはや軌道の修正は不可能です。もっと大きな、それこそ抜本的な制度改革が必要であり、それは最早改革を超えて、生命や財産の損壊を伴わない(制度上の)革命が、避けて通れないところ迄来てしまっているのだと思います。但しそれに政治家も有権者も気がついていないだけ、或いは気が付いていても、敢えてそこから目を背けているのです。
現在の政治の仕組みは、関係者の性善説で構築されていますが、経営者は兎も角、議員も、官僚も、裁判官でさえも、正義や人権に対する意識が限りなくゼロの近いという現在の世間の異常な状況は、性悪説でないと説明がつきません。民主主義の不完全な仕組みを最大限悪用してのし上がってきた政権、それが安倍政権です。国会議員は派閥の論理で動く、官僚は省庁の権益の為に働く、裁判所は政権の判断に異を唱えない、しかも国民が顧客である報道機関でさえ、国民の立場ではなく、政府の立場で(国営放送は特に)報道しています。
でも国民というか人間は、そうそう長い間、理不尽に耐えられるようにはできていないのです。遅かれ早かれ、私達が予想できないような形で、大衆の不満が爆発(地方選での維新の躍進がその一つ)しないと言い切れないのです。国内の混乱と損害を最小限度にするためには、今から議員も国民も、制度改正に動き出す必要があるのです。
安部政権を批判しただけでも、反体制派の不穏分子のレッテルが張られて、当局に目をつけられる恐れはあります。取締りの理由なら、テロ対策でもなんでも、いかなるこじつけも可能だからです。そして次に起きるのは言論弾圧です。というより、私は有形無形の言論弾圧は既に始まっていると考えています。官邸からの記者の締め出しをはじめ、リベラルな論客がどんどんTVから遠ざけられ、その代わりに報道番組で程度の低いコメントをぶち上げるのは、キレ芸を取ったら何も残らないような(庶民派を装う体制派の)お笑いタレントばかり。もはや世も末なのです。ジャーナリズムをうんぬんする以前に、TVの教養レベルは下がるばかりであって、大宅壮一が言った、1憶総白痴の状態そのものに近づいているのです。
関連記事。安保法制判決、何も答えぬ司法。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019042302000176.html
関連記事。靖国例大祭、閣僚参拝ゼロ。
https://this.kiji.is/493334470528156769?c=39546741839462401
コメント:何がゼロですか。首相の親戚、加藤総務会長が参加しているではないですか。
関連記事。自殺生徒の献花台荒らされる。
https://this.kiji.is/493384171915248737?c=39546741839462401
コメント:些細な事のようですが、ここにも現代の少年たちの、偏狭さと排他性、人間性の喪失を垣間見る事が出来ます。正義も常識も通用しない安倍政権下にあって、日本人は一番大事なものを失いつつあるように感じます。
1425.権威主義 19/4/25
読まなければならない本や雑誌が溜まってきたので、古い分から処理してゆきたいと思います。今回は雑誌世界の4月号、権威主義の罠の特集から、気になった部分を抜き書きします。論者の趣旨がうまく捉えられていれば良いのですが。
「メディア批評」神保太郎
…官房長官記者会見で、望月記者が質問によって、政府の沖縄に対する非情な姿勢を可視化させた功績は大きい。
その望月衣塑子・東京新聞記者による、菅義偉官房長官の記着会見での質問内容をめぐり、首相官邸が内閣記者会に「事実に反する質問が行われたことは極めて遺憾。問題意識の共有をお願い申し上げる」とする申し入れを行なったことから、波紋が広がっている。
…新聞・通信の労組でつくる日本新聞労働組合連合(新聞労連)が抗議声明を出したのに続き、文化人や研究者、弁護士ら約350人が賛同した、申し入れの撤回を政府に求める緊急声明が発表された。しかし、政府は「今後も適切に対応していく」とする答弁書を閣議決定し、一歩も引かない構えだ。取材の自由が大きく揺らいでいる。
…朝日新聞が報じた加計学園の獣医学部新設をめぐる文部科学省の「総理のご意向」文書を「怪文書」呼ばわりした揚げ句、望月記者の追及の末に行なった再調査で省内から見つかっても無責任な発言の責任を問われることのない権力者なのだ。望月記者の質問はこの時に注目を集めた。
…安倍晋三首相のNHK番組でのサンゴを巡る発言などの二つの質問では一分半ほどの質疑に計七回も遮られたという。官邸からの東京新聞に対する申し入れは、一月までに計九回にも及んだ。
「独裁と権威主義をどう批判するか」太田昌国
…バー二―・サンダースがいう、現代世界において「独裁と権威主義」が台頭しているとする意見の片面に賛成する立場から書く。
サンダースは、新自由主義を基調とするグローバリゼーション、の世界制覇という現実を背景に生まれ出た経済的な富裕層と思想的に右翼の民族排外主義者たちが主導する独裁・権威主義に標的を定めて、批判的に論じている。
…だがもう一つの片面がある。この排外主義的潮流に有効に対抗すべき左派自身の中にも「独裁と権威主義」が現われているという事実である。これを無視しては、世界の全体像を掴み損なうだろう。
…サンダースが言うように、世界を覆い尽くす排外主義的右翼の独裁・権威主義には耐え難いものがある。その性格を微妙に異にしつつも、それは米国にも、甘本にも実在している。そして、民衆はこれに「自発的に従属」するという奇妙な現実が私たちの眼前にはある。これと有効にたたかうためには内なる独裁・権威主義への批判を止めるわけにはいかない。東アジア世界には独裁・権威主義体制の象徴というべき現実が複数の国に存在し、日本の現政権はそれへの大衆的な反発を思う存分利用している。近隣に敵をつくり、もってく城内平和を固めるのだ。
私たちは、「独裁・権威主義」体制の批判的な分析を、半世界ではなく全世界に及ぶ視野をもって行なわなくてはならない。
「進化する権威主義」宇山智彦
民主主義(より正確には自由民主主義)は世界的に危機を迎えているのかー欧米でのいわゆるポピュリズムの台頭と、中国などの権威主義的諸国の存在感強化は、民主主義をめぐる論争を引き起こしている。
…ポピュリズムをエリート批判の運動と定義することも可能だろう。だが、近年間題となっているポピュリズム現象の大半は、弱者としての民衆の利益を真剣に追求する方向性は鯑薄だ。むしろ、特定の指導者や集団が人民の名のもとに異論を攻撃・排除していく、反多元主義的な政治という色彩が強い。このような姿勢は、ソ連型・中国型共産主義の特徴でもあった。
…ポピュリズムは、西洋型民主主義に内在するだけではなく、権威主義と連続する現象としても捉える必要があろう。
今日の民主主義の危機が、エリート中心主義と民衆の復権の循環の中で一時的に生じたものではなく、長期的な現象であることを示す証拠として、世界価値観調査のデータがある。このデータによれば、過去30年余りの間に、欧米で民主主義を重視する回答者は減り、強い指導者を待望する者が増えている。しかも、若い世代になるほどその傾向が強いという
…そして中国もロシアも、一人当たり国民所得が一万ドル程度になっても民主化する気配がないどころか、権威主義体制を強化している。
…こうしたさまざまな実例は、経済発展と民主化は一体であるという20世紀的な近代化観念を壊し、権威主義的な国の指導部と国民にとって、経済を発展させるために民主化しようというインセンティヴを下げている。また、欧米で自由民主主義にこだわらなくてよいと考える人が増えることにもつながっている。
特に注目したいのは、権威主義的な国々が現在の世界経済の特性にかなり適応し、それを利用していることだ。市場原理主義と見なされることの多い新自由主義は、抵抗を排除して改革を実行するために強い権力を必要とするのであり、単なる自由放任ではなく、権威主義と親和性を持っている。
…情報技術を中心とする科学技術の国際競争においても、中国をはじめとする権威主義諸国は、国家主導の重点的な投資によってしばしば強みを発揮している。人権・プライヴァシーに配慮した制約に縛られる必要性が小さいことは、ITの利用に特に有利である。
他方、民主主義的な先進国においては、情報や知識の選別を担ってきたマスメディアや知識人の権威が、情報化、特にソーシャルメディアの発達によって低下している。熟練技術や知識の伝達と利益の共有によって支えられていた職場・労働組合など、中間団体の結束も弱まっている。その結果ますます原子化した個人が国家や扇動的政治家に支配される構図が強まり、民主主義が掘り崩されている。逆説的ながら、社会的な権威の弱体化が政治権力に対する対抗・調整の力を弱め、国家の権威主義化を助けているのである。
コメント:乱暴を承知でまとめると、カネカネの風潮が世界を覆い、また悪くしているのだと言えそうです。その代償には計り知れないものがあるのですが。