「WTWオピニオン」
【第97巻の内容】
「宗教と独裁政治」
「求む大塩平八郎」
「見出しだけでもいい」
「経済と格差が問題」
「都民の都合より自分の都合」
「NHKの正体」
「改元に便乗するナショナリズムに注意」
「公私混同。改元儀礼も桜の会も」
「究極の反戦写真」
「リスクのない投資はない」
1571.宗教と独裁政治 19/11/14
・米国の民主主義の限界を試す宗教戦争。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52112150T11C19A1000000/
関連記事。ペンス大統領へ動き出した秘密結社。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58174
コメント:ほぼ題名だけの記事ですが、極めて重要な傾向(まさにトレンド)を示唆しています。ペンスだと宗教に直結しているだけ更に危ない。先日紹介した映画、ブラック・クランズマンでは、トランプがKKK支持を表明しています。トラプの声が神の声とは、どこまで信仰を歪めれば気が済むのかと言いたくなります。米国のキリスト教原理主義、福音主義は同国の大きな汚点であり、米国の民主主義の限界がそこにあります。背景にはおそらく教育水準の低さ(機会不平等)があるものと思われます
しかもここで振り返ってみるとい、日本でも同じことが起きていないかどうかです。日本の場合は、怪しげな新興宗教はともかく、影響力が大きいのは神道です。宗教が政治権力に利用されていないかどうかを、常に国民は厳しく監視する必要があります。今回の改元祭り(失礼)では、その境界線がかなり(しかも意図的に)曖昧になっていた印象も受けます。
宗教と政治の境目がおかしくなると何が起きるかは、第二次大戦での日独を見れば一目瞭然です。教理が優先され、人権も人道も踏みにじられるのです。ISがその最近、最悪の例です。
トランプが預言者扱いなら、米国のキリスト世界もおしまいです。米国のキリスト教原理主義は米国のISに変わらないとも限りません。異教徒は殺せというあれです。上記のFTの記事は、資本主義の暴走の陰で、宗教戦争が始まっていることを示唆しているという点で、重要な意味があると思います。
日本、いや世界の市民にとって、(似非)宗教に振り回されないためにも、自我の確立が今ほど求められている時期はないのです。そのためには、ある程度の高度教育も必要です。権力に容易に扇動され、政治権力の無批判な奴隷(経営者や官僚)にされることを防ぐには、分析比較判断能力と冷静さが欠かせないのです。それらの能力は、政治と経済における理性を保証するだけなく、開拓と技術革新を促すものであります。理性と感性と判断力を養うのが教育の目的でもあります。ところが萩生田大臣が目指しているものは、(身の丈をわきまえて)政権の支持に唯々諾々と従う国民なのです。
日本は無宗教の国だからと安心してはいられないのです。超保守の政権に国を預けているうちに、気が付かない内に、飛んでもないことになって、取り返しがつかなくなっている場合だって、十分にあり得るのです。太平洋戦争当時の日本のように。
関連記事。香港デモ、魂は広東へ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52070760S9A111C1000000/
関連記事。政治家、代表でないが45%。毎日新聞アンケート。
https://mainichi.jp/articles/20191113/k00/00m/040/241000c
コメント:日本の民主主義は、いつやってくるのでしょうか。
話は変わって、複数の週刊誌が異口同音に警告しているのは、英語試験の委託です。加計問題の再現だと、はっきり指摘している週刊誌もあります。それは安倍首相と、ベネッセとの癒着の疑惑です。
1572.求む大塩平八郎 19/11/15
11/13のNHKBS「英雄たちの選択」は、180年前に幕府に歯向かった、大塩平八郎の乱でした。番組の冒頭の説明は「政治に不正がはびこれば、名もない庶民でも黙ってはいない」でした。
天保の飢饉の直後、餓死者が多数出ているのに、民衆のことなど、知ったこっちゃない幕府は将軍交代の行事のために、大阪の米蔵から大量の米を江戸に送らせました。しかも庶民の困窮をよそに、コメ問屋で財を成した豪商と現地の役人の間では、わいろが常態化していました。
そうした役人の腐敗は、大阪だけでなく、幕閣の、それも老中に迄及んでいたのです。大塩は与力だったので、裏側の事情を詳細に知りうる立場にあったのです。
他の役人と違い、困窮と不正を見なかったことには出来なかった大塩(前川喜平の様に)は檄文を書き、300人ほどで決起しました。しかし幕府軍の銃撃で、半日で壊滅しました。お上は公の行事には金に糸目をつけない大盤振る舞い。個人的な知人・友人には破格の便宜。足りない分は増税で国民から巻き上げる。歴史は繰り返しているのです。
今日本に必要なものは大塩の乱です。たった一人で政権に立ち向かった前川喜平を思い出す人もいるでしょう。
江戸時代の腐敗した幕府と、某超保守政権の姿が、奇妙に重なって見えるのは、私だけではないと思います。
関連記事。首相野次に、「#共産党は私だ」、投稿広がる。
https://mainichi.jp/articles/20191114/k00/00m/010/218000c
関連記事。統一野党対自公なら必ず勝つ。小沢。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191002/pol/00m/010/009000c
関連記事。秋篠宮、大嘗祭27億円に疑問。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191113/pol/00m/010/004000c
関連記事。一晩のために税金27億円。反対集会。
https://www.asahi.com/articles/ASMCG4F5KMCGUTIL01B.html?iref=comtop_8_06
コメント:某首相の金銭感覚は異常です。しかも某政権は既に末期的症状を示しているのです。もういい加減に、その現実を認めて欲しい。メディアも国民も。
1573.見出しだけでもいい 19/11/16
WTWが取り上げる記事には無駄がないことをモットーにしていますが、最近のWTWは長くて、読みにくいというご意見も頂戴しています。WTWを読むのが負担だと思うときは、オリジナルのサイトには敢えて飛ばずに、見出しだけで流して頂いても、十分に参考になるはずです。なぜなら、「的確」また「手短に」社会と世界の趨勢(トレンド)を把握することが、WTWの目的だからです。編集者が毎晩、6時間かけて蒐集し、再編集した記事を、読者が10分で把握して頂けば、読者の貴重な時間を節約でき、それが積もり積もって、ひいては日本全体の生産性の改善にも寄与できるのではないかと、ひそかに期待しています。畢竟、情報サイトは、情報の質、即ち情報の価値(内容とタイミング)で勝負するしかないのです。コメントはおまけに過ぎません。紹介する記事を選択する段階で、既に編集者の意図や価値観は、明確に読者に示されているからです。
なおWTWは、初日を含めて5日間掲載しています。記事があったことだけでも覚えておけば、後で読み直すことも出来ます。
関連記事。日本人は世界に通じる教養が足りない。
https://toyokeizai.net/articles/-/303296
【気になる記事】
・桜を見る会の名簿、共産の請求当日に廃棄。内閣府。
https://www.asahi.com/articles/ASMCH51V1MCHUTFK00K.html?iref=comtop_8_03
関連記事。宴会は1万1千円から。差額はどこから。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019111502100047.html
関連記事。講演会支出ない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52254990V11C19A1EA3000/
関連記事。萩生田、一転推薦認める。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019111502000275.html
コメント:本件に関する、安倍内閣のうろたえぶりは、尋常ではありません。スネによほど大きな傷でもあるのでしょうか。
・平成から令和へ。なんとなく支持は危険。
https://www.asahi.com/articles/ASMCC5D27MCCUTIL03Q.html?iref=comtop_fbox_d1_02
・銀行、カジノ融資を虎視眈々。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52143000T11C19A1EE8000/
コメント:カジノで余裕をもって遊べる人たちというのは、どういう階層の人たちなのでしょうか。貧富の差が一層際立つような社会になることが望ましいとは、とても思えないのです。安倍政権は日本をどのような国にしたいのでしょうか。
・日本の格差社会がクレーマーを作る。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13388.php
・年金、アジアナンバーワンのシンガポール。自助努力重視でも、年金は拡充させる。
https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2019/11/no1.php
1574.経済と格差が問題 19/11/17
自民党は委員会の開催を拒否しています。桜を見る会の私物化はともかく、関電とベネッセ(第二の加計)は重大な問題です。しかも桜の問題を指摘したのは(今回も)共産党です。安倍首相は杉尾(国民民主)に対して「共産党か」と軽口の野次を叩いて、その後謝罪しましたが、野党が全部共産党のようになれば、自民党にとって、笑いごとでは済まなくなるでしょう。
主要野党は、自民党に明らかに責任のある重要問題の、しかも本質を突く努力を、(国民に代わって)なぜやろうとしないのか理解に苦しみます。その場しのぎのパフォーマンスだけで(だからすぐに忘れるし、自民党も火消し可能)に終始しているから、支持率が上がらないのだと、私は思います。
国民は意外にも、そういう野党の本質を理解しているのかもしれないのです。だから、他に選択肢がないという理由だけで、安倍首相が大きな顔をして続投してきたのです。しかも、まかり間違って、今後(人間的に)中身のない進次郎などが首相にでもなった日には、国難プラス人災で、日本は間違いなく破滅するでしょう(雅子妃が皇后なら、私は首相夫人よもいることだし)。
関電の汚職の問題は、原発を廃炉に追い込む絶好の機会なのです。自民党は桜の会で言い訳をして、平謝りすることで、規模が小さく、解決の容易な問題の方に野党を誘導しているのかもしれないのです。
しかも目の前にある、本当に大きい問題は、経済=景気なのです。安倍首相はいち早く景気対策を表明しており、ここでも野党は自民党に先を越されているのです。国民が野党を選択肢に出来ない理由がここにもあります。それは先見性と、捨て身の挑戦の欠如です。
上期(中間決算)に、日本の企業は軒並み業績を落としており、通年でも業績見通しを下方修正しています。景気の悪化が確実どころか、「確定」したのです。そういう状況であっても、株価が上昇しているのは、投資マネーが行き場を失い、市場に金があふれているから(だから低金利)です。これが最後の悪あがきなら、後は株価は下がるしかないのです。しかも株価が上がって儲かるのは、金融資産を保有できる富裕層(と企業利益の配分に直接あずかれる企業役員)だけなのです。
関連記事。役員報酬、強まる開示要請。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52207330V11C19A1EA5000/
配当や売却益の代わりに、庶民を待っているものは給与の頭打ち、或いは削減だけです。そういう時に、安倍首相が一晩の祭祀に27億の税金を使うことが、どれほど無神経で非常識なことか。逆に費用を疑問視した秋篠宮の方が、どれだけ正気かということでもあります。
年金保険料が上がるのに、交付額は削減されます。(大手企業の)冬のボーナスが過去最高、或いは増税後も消費は減っていないという(政府寄りの)報道を、鵜呑みにするのは危険です。可処分所得で考えるべきなのです。国民は確実に、安倍政権の悪政(とりわけアベノミクス)で、真綿で首を絞められるように、徐々に、しかし確実に貧困に追いやられているのです。
IT長者やタレントが億単位、中には百億の蓄財を豪語する者(中居や松本)がいます。個人的なやっかみを否定しないまでも、(タケシや所や前澤も含めた)彼らに人間性や才能で、収入に見合ったものがあるようには到底思えません。むしろ時代の潮流で、気を見るに敏であったことと、既得権、即ち庶民の常識では計り知れない業界の力学が、そういう不均衡を作り出しているとしか思えないのです。またそういう機会の不均等の陰で、本当は才能のある人材が機会を奪われているのかもしれないのです。そういう意味で、極めて不平等で歪んだ時代に、我々は生きているのかもしれないのです。
一つ具体例を挙げると、ある深夜番組で、指原ナニガシが、私、めちゃめちゃお金持っているのですと言いました。馬鹿さ加減も極まれりですが、ならばこれ以上TVに出て、持ち前の自己中と無教養ぶりで場をかき回す(例えばNHKの合点)のは止めにして欲しいと言いたくなります。米国なら、賞味期限切れはともかく、実力が伴わないタレントは、即アウトなのです。
芸能界は別にしても、私が言いたいのは、日本の経済の再配分の仕組みが間違っている、或いは彷徨、もしくは暴走しているという事なのです。本当に必要なところ、即ち使いたい人には金が回っていかない仕組みになっているのです。だから、経済も行き詰まってくるのです。(日本の)富裕層は蓄財する一方で、金融資産にしか金を使わない(会社は興さないし、自宅や趣味にしか使わない)から、いくら金を持っていても、日本の経済や景気の足しにならないのです。
なにより一般庶民の生活が厳しいという現実があります。社会保険料も、教育費もうなぎのぼり。まじめに働いている階層の生活がひっ迫しており、或いはもっとひっ迫するということが、日本の経済の現実なのです。だからこそ、消費税を5%に戻せというれいわの主張は、非現実な話どころか、最も有で現実的な「景気対策」でもあるのです。
1575.都民の都合より自分の都合 19/11/18
・小池ゆり子の出馬確実。
https://www.asahi.com/articles/ASMCD4V30MCDUTIL02Y.html?iref=comtop_list_gold_n02
コメント:隠れ自民党で差別主義。そのくせ国政とも噛み合わず、もはや都民のお荷物です。都民ファーストの会で、都民をさんざん裏切り、離脱者(音喜多など)を出しました。今や都民ファーストの会は司令塔なしで漂流している始末です。あまつさえ国政では、希望の党で旧民進党をかき回し、自分の独裁体質をさらけ出すような選別発言迄出ました。これで一気に国民の期待感が下がり、民進は惨敗。結果的にリベラル勢力を裏切り、国民に失望を残したことを(自分に都合よく)お忘れか。
豊洲の尻すぼみの騒動(しかも都民は今でも築地に愛着)を始め、小池ゆり子が知事として有能だと思ったことは一度もありません。被災時の被災者への無関心と冷血さも際立っていました。五輪でもマラソンの東京開催にこだわりました。選手でも観客でもない、自分がファーストでした。人間としてみた場合でも、押しが強ければいいというものではなく、自我肥大はもはや精神疾患に近いものを感じさせます。都民は自分達がどんなモンスターを選んでしまったのか、分かっていないのではないでしょうか。
関連記事。護憲は困る。前原承知。
https://www.asahi.com/articles/ASKCJ5F9FKCJUTFK013.html
都民が知事に求めるものは誠実さなのに、それが全く感じられない。週に2回しか登庁しなかった石原慎太郎よりましというだけの理由で、公職の私物化が許されるわけではないのです。
しかも国政に未練を残しており、二階や菅にすり寄ることを好ましいと思う都民など、どこにもいないでしょう。それでも知事の肩書にこだわるのなら、森田知事の後任があります。
小池ゆり子は、自民党の超保守で無能な女性議員たち以上に、安倍首相に近いイメージがあります。自民党の腐敗都政に嫌気がさして小池を選んだのに、それが隠れ自民党だったというのでは、都民が余りに可哀そうです。
民意を裏切ることを何とも思わないような、冷血で独裁者の腰掛け都知事は一日でも早く去って頂きたい。再選などとんでもない。今度こそ、宇都宮の出馬を期待します。
・人口減と借金で30年後に日本終了。
https://toyokeizai.net/articles/-/313455
コメント:これも裏付けのないアベノミクス(だから企業は保険のために剰余金を積み上げている)と、使い放題の安倍政府のお陰です。
1576.NHKの正体 19/11/19-20
【特集 NHKの正体】
週刊東洋経済の11/23号では、NHKの正体と題する特集記事を掲載しています。まさに我が意を得たりで、これこそ私が待ち望んでいたものです。WTWではほぼ毎日のように引用させて貰っている、東洋経済とダイヤモンドの2つの経済専門誌が、日経が右寄り(=安倍政権支持)の今の日本では、経済専門誌が中道リベラルのメディアの役割を肩代わりしています。それでも雑誌を手に取る時間のない現役の読者のために、抜粋をご紹介します。
「露呈する権力への弱さ」水島宏明(上智大教授)から
報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない」
NHKは取材・制作の基本姿勢を示す「放送ガイドライン」にそう記している。だが、公共放送として国家権力や特定の個人・団体などからの独立性を保ち、公正な報道ができているのか、疑問を抱く事態が起こっている。
その象徴的な事例が、今年9月に毎日新聞のスクープで明るみに出た、かんぽ生命保険の報道をめぐる対応だ。
…日本郵政でNIIK側への働きかけの中心を担ったのが、鈴木康雄上級副社長。NHKの監督官庁である総務省の元事務次官で、放送行政に強い影響を与えた人物だ。
鈴木氏がNIIKを追及する際、強調したのが「ガバナンス」の欠如だった。
…とはいえ、番組責任者に抗議しても動画の削除に応じないからといって、ガバナンスの問題と位置づけて、執行責任のトップである会長に「職員への教育がなっていない」などと抗議するのは、問顆のすり替えだ。因縁をつけて相手を脅すチンビラまがいの論法であり、NIIK側は本来、ガバナンスと動画の掲載とはまったくの別問題であると突っぱねてよいはずだ。
しかも報道に誤りがあったわけではない。日本郵政の長門正貢社長は今年9月の会見で、番組の内容について「今となってはまったくそのとおり」と話している。
それなのにガバナンスを持ち出された途端、NHKは内部調査を十分に経る間もなく、続編の放送を断念し、動画の公開も終了した。
これは異例だ。鈴木氏が元総務事務次官として現在も放送行政に一定の発言力を持つほか、政権幹部にも近い存在でなければありえない対応としかいいようがない。
…職員の説明上の不手際に付け込み、ガバナンスの問題を強調した抗議によって、日本郵政側は動画削除という目的を果たした。こうした無理筋でも政権に近い人物が
関わっていれば可能になる環境が、現在のNHKの体制にはある。
…NIIKの独立性、公共性に疑問を抱く事例はほかにもある。政治に関する報道だ。
第2次安倍政権の登場前後から、ニュースでの安倍首相・自民党総裁の露出が際立つなど「不自然さ」が目につく。アベノミクス、消費増税、特定秘密保護法、テロ等準備罪、安全保障関連法といった重要政策・法案の審議や国政選挙の前に、知見を持つ専門家の声を伝えたのはごくわずか。政府や与党の主張を記者が説明するだけの解説報道ばかり目立つ。
…各党党首らの露出時間(肉声を発している時間)を測定している。民放の場合、ほぼ各党で機械的に均等になるように編集されるのに比べて、NHKは与党党首である安倍首相の時間が極端に長い。
…社会部や科学文化部などのニュースには政権への付度を感じる場面はあまりない。NIIKの数々のドキュメンタリー番組を見る限り、その時々の政権の政策の不備を検証するなど批判的な視点から調査報道を進めている番組も多い。
筆者(水島教授、以下同様、編者注記)のように民放でニュースや報道ドキュメンタリーを担当した人間から見ると、社会の知られざる問題や不祥事などを深掘りするNHKという組織の力は民放の比ではないほど優れていると認めざるをえない。
…災害時に住民の命を守るため呼びかける緊急報道や、地域ごとのライフライン情報を伝えることにも公共性がある。ところが政治が絡むと、不自然といえるような報道が繰り返される。
…17年に最高裁判所が受信料支払いの義務規定を合憲とする判断を示して以降、謙虚な姿勢は影を潜めた。NHKが気にするのは、予算や法律などを握る国会や監督官庁である総務省と国家権力の中枢、首相官邸。そんな構図がその頃から一気に進んだ感がある。国民の声に耳を傾ける「みなさまのNIIK」から「安倍さまのNIIK」へと変貌したと椰揄されるゆえんだ。強制力を持つ法律的な後ろ盾を得たことで、視聴者との間に存在した番組をめぐる双方向のやり取りが薄れたと感じるのは筆者だけではない。
前述したかんぽの報道についても、元事務次官が経営委員会に接触し、経営委員会が従順に会長を厳重注意したことを、NHKは法定の議事録に残していない。これはNHKの歴史に汚点を残した。長く続く「安倍1強」政治の下、官僚たちが森友学園への国有地売却に関する公文書の改ざんに手を染めていたのと二重写しに見える。法律や規則の順守を徹底させないと、公共放送の運用が恣意的になってしまうおそれがある。今年7月、75歳でNIIKの生放送に初めて出演した久米宏氏が「NHKは独立すべきだ。人事と予算で政府と国会に首根っこを押さえられている放送局は先進国にあってはならない」と持論を展開した。NIIKが独立して民放になるのが「社会のため」と言い切った。
テレビ朝日社員で番組コメンテーターを務める玉川徹氏に「放送の公共性」を尋ねると「公共性とは突き詰めると、良心」と明言した。「番組編集の自由」は、一人ひとりの制作者の良心に行き着く。
NIIKのある有名な政治記者が「公共性とは国益」だと発言したとされるのとは対照的だ。
放送、そしてNIIKの公共性は、国民の知る権利に奉仕するものだ。
NHKは本当の意味で国から独立した組織になるべきで、制作者一人ひとりが「報道すべき」と良心に基づき取材した事実をしっかり吟味して番組制作を進めるべきだ。
経営陣は外部からの圧力に屈することなく、現場の良心を最大限発揮できるように環境を整える。それこそが、放送の公共性を確保する唯一の道だと筆者は考える。
「NHKのガハナンス体制を構築せよ」上村元NHK経営委員会委員長代行から
…NHKには放送法に詳しい人はいても、経営のガバナンスは苦手だ。私が経営委員になったばかりの時は、経営委員長の方が会長より偉いという雰囲気だった。経営委員会と理事会は本来、相手をチェックし合うような対等の権限関係にある。…今回の件を見ると完全に昔に戻ったと思う。…そうでなければ厳重注意という発想にはならない。
放送法上はっきりしているのは、業務執行の全権は会長にあり、経営委員会には監視・監督権があるということ。職員が間違ったことをした場合、処分する権限は会長にしかなく、経営委員会は番組編成を中心とする執行部の業務執行に干渉したり、規律づけをしたりしてはならない。…ガバナンスに対する基本的な理解が欠けている。
…経営委員会が間違った判断をした際に、それを糺す手段が今はない。監査委員会はあるものの、そのメンバーは経営委員会から選ばれる。自分で自分を管理しているようなものだ。更に総務省がNHKに対して業務改善命令を出来るという規定は、放送法にはない…。
「報道現場に気概はある。壊しているのは上層部」相澤元NHK記者から
…N国自身は泡末候補だった頃から何も変わっていない。今年の参院選挙の比例区で90万を超える票を獲得できたのは、度が過ぎた政権への忖度で、NHKが信頼を失ったから。NHKをぶっ壊しているのはN国ではなく、上層部だ…。
関連記事。NHK肥大化に厳しい視線(再掲)
https://toyokeizai.net/articles/-/314643
【気になる記事】
・日米貿易協定、衆院通過。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111900155&g=pol
関連記事。幕張で武器見本市。抗議の声。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019111902000148.html
コメント:NHKは国会を中継せよ。会期も残り少ないというのに、相撲中継の方が政治より重要だと、誰が決めたのか。
1577.改元に便乗するナショナリズムに注意 19/11/20
・ナショナリズム。250年の歴史。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2019/11/post-32.php
コメント:外国人記者の指摘ですが、重要な示唆を含んでいます。それは外国から見た時に、天皇の即位のセレモニーがナショナリズムに映ることです。だからこそ(ナショナリズムの祭典)、安倍首相があれだけ熱心だったと思うと合点がゆくのです。そこに桜を見る会がオーバーラップしてきます。外国人記者の見方は、日本人の国民感情とは一致しませんが、そういう見方が出来ることだけでも理解しておかないと、国民が意図していなくても、日本がとんでもない方向に漂流するおそれがあります。しかもそれこそ(右傾化とナショナリズム)が、安倍政権が抱えている最悪の闇の部分でもあるのです。
関連記事。桜を見る会。政権を奪還した人たちの集まり(?)だった。
https://mainichi.jp/articles/20191119/k00/00m/010/214000c
1578.公私混同、改元儀礼も桜の会も 19/11/21-22
・昭恵夫人も桜を見る会で推薦枠。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191120-00015625-bunshun-pol
関連記事。首相は千人。官房長官は数百人。
https://www.asahi.com/articles/ASMCN3580MCNUTFK005.html?iref=comtop_list_pol_n06
関連記事。徹頭徹尾、私物化。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191118/pol/00m/010/003000c
関連記事。会費の値引きは違法献金では。
https://www.47news.jp/politics/4235275.html
関連記事。こんなに多くの疑問。
https://www.47news.jp/47reporters/4232285.html
関連記事。自民党大会みたいな桜の会。
https://www.asahi.com/articles/ASMCN43X8MCNUTFK00K.html?iref=comtop_list_pol_n03
コメント:とはいえ、ご招待はどの政党でもやっているでしょう。だから問題は誰がその費用を負担したかです。安倍事務所は招待者の名簿も費用の明細も隠滅。誰が費用(正確には掛かった1万円超と、本人負担の5千円との差額)を負担したのかを明らかにしていません。しかし、別途首相主催の晩さん会が、同じニューオータニで開催され、その費用が1億7200万と聞けば、ホテルがそこで帳尻を合わせているのは、誰にでも容易に想像がつくところです。
ホテル側がいかに安倍首相のためとはいえ、損失を被ることはない(被れば倒産)ので、社外からの補填を前提にしないと前夜祭自体が成立しません。その出所が官房機密費だろうが、首相の晩さん会だろうが、招待客の費用(差額分)を国民が税金で負担していることに変わりはありません。
そういう場には決して招待される事がない(ましてリベラル派はあり得ない)我々庶民にとっては、費用だけを負担させられている、別世界の話です。
(自身に関わる)カネと女の問題では、懸命にクリーンなイメージを維持してきた安倍首相ですが、ついに(不明朗な)カネの問題で躓き、しかも珍しく、いつもの強気の腰が砕けた一幕です。
保守系の政治家、有名人(無論高給)が、他人の金(というより税金)で豪遊。国民は非正規雇用でボーナスもない。年金削減で高齢者にも働く必要があるが、景気後退のこの時期に、雇う余裕(もその気も)のある企業などありません。清掃か警備。道路工事なら、熱中症で手っ取り早く片が付きます。
日本には格差など存在しないと言い張って来たのはどこの首相でしたっけ。政治家と経営者と高額所得者(含むタレント)だけが、我が世の春を謳歌する日本。やり場のない(社会に対する)不満を抱えた個人が、散発的に自暴自棄の事件を起こしている。でもその背景には社会的病理としての不平等が現実に存在しているのです。個別の犯罪現象に留まらず、中間層以下の国民の不満が発火点(スレッショルド)に達した時、何が起きるかは予想がつかないのです。香港の騒動がそれを暗示しています。
関連記事。共感する力が権力の毒によって蝕まれる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019112002000164.html
関連記事。政治は最高の道徳。長さより中身。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019112002000167.html
関連記事。消極的選択で安倍一強。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191120-00010002-nishinpc-soci
コメント:一読を。もう安倍政権には交代して貰いましょう。仏頂面の幹事長も、傲慢不遜な副総裁も、令和おじさんも。
・サクラを見る会に反社勢力参加。映像。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191121/k10012185901000.html
・前夜祭主催は安倍後援会。菅長官。
https://mainichi.jp/articles/20191120/k00/00m/010/062000c
1579.究極の反戦写真 19/11/22
共に泣くことが出来る。それが人間の、人間たる原点ではないでしょうか。
関連記事。焼き場に立つ少年の写真。
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2019/08/0809.html
コメント:背負うた幼児は(長崎に落ちた原爆で)亡くなっているのです。涙なくしては見られません。火垂るの墓に通じます。これ以上の無言の戦争への抗議はありません。自我肥大の日米の独裁政治家たちには、到底理解できないでしょうが。
1580.リスクのない投資はない 19/11/22
・NYダウ続落で始まる。米中協議難航。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52472700S9A121C1000000/
関連記事。上昇の最終局面へ。SBをいつ売るか。カリスマ投資家。
https://toyokeizai.net/articles/-/315323
関連記事。後継者問題解決しないと、日本売りも。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/11/post-13439.php
関連記事。アクティビストの反省と新戦略。
https://diamond.jp/articles/-/220708
コメント:誰でもうまく売買が出来るわけではありません。基本的に上がれば下がるし、下がれば上がる。だから安値で買って、高値で売りたい。それが出来れば苦労はない。濡れ手に粟で、損する人などいなくなる。でもそれが旨くいかない。加えて中期でも、ギザギザした株価の変動の平均値自体が、上昇・下降する(季節変動)。更にそれが長期でもうねる(景気変動)。傾向だけでもつかめれば、株で損をすることもないのでしょうが、的確な判断は、神ならぬ身、容易ではない。だから大波と中波と小波の上で、投資家は日々翻弄される。それが株価ではないかと思います。
ということは、技法として、限りなく小さい時間単位で、小刻みな逆張り(と売り買い)を繰り返せれば、少額の積み重ねで儲かるということかもしれません(但しあくまで素人の憶測)。そうやって儲けている個人や組織もいると思いますが、それが効果を上げるためには、売買を停止することは出来ないし、相場から目を離すわけにもいかないでしょう。
そして秒以下の超高速取引を実現したのが機械取引であり、それを可能にする制度が手数料の軽減だろうと思います。一方で、機械による取引は、株というものの存在理由から考えると、本来の目的やあるべき姿からは、かなり逸脱しているようにも感じます。