「WTW映画批評」

【オールタイムベスト】

「ベスト20」
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「ドラマ」
「コメディ」
「アクション/サスペンス」
「アニメ」
「アクトレス
「続アクトレス」
「アクター」
「続アクター」
「宮崎駿の世界」


「私の映画ベスト20作品」


「インディ・ジョーンズ」「スター・ウォーズ」「ロード・オブ・ザ・リング」「ハリー・
ポッター」「ハムナプトラ」「バットマン」・・・。皆それぞれに面白い。スリルがある
し、エキサイティングです。しかし、それは感動というものとは少し違います。映画
で感動するということは、面白いという感情とはまた別のものです。最近(2008年現在)
の作品なら「バベル」「トラフィック」「ミリオン・ダラー・ベイビー」、少し以前なら
「フォレスト・ガンプ」「プライベート・ライアン」。かなり昔の作品なら「カッコー
の巣の上で」、「アラバマ物語」や「真夜中のカウボーイ」など、決して見て楽しい、
わくわくする映画ではありません。しかし作者や監督の主張がストレートに観客に
伝わってきて、観客を動かし(まさに英語のmoveです)或いは泣かせます。そして
見た後で、人間と人生(生き様や死に様)の意義について嫌でも考えさせられます。
生きる勇気を貰う場合もあるでしょう。自分の人生を反省する場合もあるかもしれ
ません。以下は10年ほど前に書いた、独断で選んだベスト20作品です。皆さんと
同じものもあれば、違うものもあるでしょう。あえて、邦画は入れませんでしたが、
入れるとすればジブリの作品、特にナウシカや火垂るの墓が入るかもしれません。また
チャップリンのライムライトなど一連の名作、ウェスト・サイド(超の付く名作)
やオペラ座の怪人(名作というより自分が一番好きなミュージカル)などステージ
の映画化作品、カサブランカなどの古典は入っておりません。だから独断なのですが、
名画を一言で言えば、見た方がいいよと、他人に「強く」勧めたくなる映画という
ことになるのかも知れません。そういう意味でカサブランカを誰にでも勧められるかと
いうと、やはり相手を見て考えてしまいますので、今回は対象外と言うことになり
ます。

「渚にて」
冷戦は終わったものの、同時多発テロ、パキスタンやイラン、北朝鮮が核を持つという
新たな局面。核戦争の可能性と脅威はむしろ強まり、より危険な段階に達しているとさえ
言えます。即ち、この映画のもつ意味は作られた当時と全く変わらないものがあると
言わざるを得ません。被爆体験が再び語られ、風化を避けようという動きも出てきた
日本では、特に共感を呼ぶものと思われます。私が劇場で初めてこの映画を見たのは
45年前のことです。即ちこの半世紀、核軍縮は殆ど進まなかったということにもなります。

愚かな人類が引き起こした核戦争の末、最後に残された大陸オーストラリアにも
放射能の汚染が迫る。米国で家族を失い、ただ一隻残った原潜の艦長グレゴリー・
ペックとエバ・ガードナーの淡い恋。残された短い日々を向こう見ずの自動車レース
に懸けるフレッド・アステア。やがて艦長は、故国に戻りたいという乗組員の願い
を入れて、不帰の航海に旅立つ。核兵器を弄ぶ国の国民達は必見の映画だ。オースト
ラリア民謡、ワルツィング・マチルダもこの映画で有名になった。私のベストワン。
但しモノクロである。

「汚れなき悪戯」
スペインのモノクロ作品。修道院で育てられていた幼いみなし児、マルセリーノは、
修道士達に内緒で、キリストの像に食べ物を運んでいた。そして「何でも願いを言って
ごらん」と言うイエスに、マルセリーノがしたお願いとは。それは親の居ない子供なら
誰しもが願うことだった。しかもその願いをキリストは叶えるのである。ラストシーン
で涙をこらえることはほぼ不可能。この話は実話に基づくというが、さすがにそれは
信じられない。

「道」
旅回りの芸人、ザンパノ(アンソニー・クイン)は、身体に巻いた鎖を肺活量だけで切って
みせるのが特技だった。馬車を引いて巡業する彼は、食事係兼内縁の妻として、貧しい
家庭の知恵遅れの少女ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を金で買う。ジェルソ
ミーナの他人を疑わない純真さ。虐待して棄てられた彼女は狂気の内に死ぬ。歳老いて
から、彼女が自分にとっていかに大切な存在であったかに気づいて号泣するザンパノ。
この映画は人類の文化遺産である。

「真昼の決闘」
原題はハイヌーン。ゲーリー・クーパー扮する保安官のもとに、出獄したばかりの無法
なガンマン達が復讐に向かう。彼らは正午(High Noon=真昼とも訳す)に町にやって
来る。巻き添えを恐れて、手を出す町の者はいない。中年の保安官は、とりあえず若妻を
町から逃がそうとする。主題歌にもあるように、保安官も恐怖におびえる一人の弱い
人間に過ぎないという前提が、それ迄の西部劇にない新しい視点を与えた。西部劇に
リアリズムを持ち込んだ作品とも言われる。新妻役のグレース・ケリーが可憐だ。

「ジャイアンツ」
テキサスの大牧場の当主ロック・ハドスンの元に、リズ・テイラーが嫁いで来る。最初
は慣れない西部のしきたりにカルチャー・ショックを受ける。牧童のジェイムス・
ディーンは、リズに横恋慕する。もとより彼は到底ハドスンには太刀打ちできないが、
遺産で貰った僅かな荒れ地から石油が出たことで、彼の立場は大きく変化する。以後
両者はなにかにつけて張り合う。ディーンはいつまでも結婚せず、ひたすらリズ・
テイラーを慕い続ける。メイシコ人との混血の孫を持つことになったハドスンは嫌でも
人種差別の考え方を改めざるを得なくなる。年取ったハドスンは、リズに「君はいくつ
になっても神秘的だ」と語りかける。これは全ての女性に捧げたい言葉でもある。
悪評は充分承知しているが、リズはやはり天下の美女である。ひ弱で屈折した青年
を見事に演じるディーン(この映画が遺作)と、健全で保守的なハドスンとの対比が
印象的。題名のジャイアンツとは、テキサスとその大地を指しているものだ
そうだ。

「スパルタカス」
ローマの奴隷剣闘士カーク・ダグラスは、解放を求める反乱奴隷達のリーダーになる。
これは史実に残るスパルタカスの反乱の映画化だ。共演はジーン・シモンズ、トニー・
カーチス、チャールズ・ロートン。奴隷仲間のトニー・カーチスは悲惨な死に方を
する。しかし連戦連勝のこの烏合の衆の軍勢に、最後に差し向けられたのは、訓練
されたローマの正規軍だった。人間の自由の原点を再認識させる作品。「グラディエー
ター」の大先輩となる作品。十字架に掛けられたダグラスに、妻のシモンズが赤子を
見せてこう言う。「元老院から認証を貰ったのよ。この子はもう奴隷ではないわ。自由
なのよ」。グラディエーターのような、復讐が目的の映画ではない。

「野のユリ」
シドニー・ポワチエが、ちょっと立ち寄った町で、シスター(尼さん)達から教会の
建築の手伝いを頼まれる。そして、嫌々ながら手伝わされ、殆ど独力で建てたとも
言える教会の煙突の、未だ乾かないセメントに、自分の名前を指で残す。モノクロだが
まさしく心温まる話。とはいえアカデミー賞受賞作だ。

「ポセイドン・アドベンチャー」
津波で転覆し、天地が逆になった客船の中を、異端の牧師ジーン・ハックマンが、
女子供と老人を連れ、脱出路を求めて進む。浸水した区画は水中を進まねばならぬ
場所もある。一人また一人と、仲間を失う。しかし最後に、どうしても進めない箇所
に出てしまう。「神よ、どこまで私を試せば気がすむのか」と彼は絶叫する。この映画
を見ていると、人間、必ずしも畳の上で死ねるとは限らないと思うし、自分と、他人の
命を救う為に、全力を尽くす事ほど、尊いものはないと考えさせられる。最近、
リメイクが出たが、映画の技術は進歩したものの、精神を十分に引き継いでいるとは
言い難いようだ。

「アラビアのロレンス」
ピーター・オトゥールは当時無名の役者だったが、ロレンスに容貌が似ているという
事で主役に選ばれた。回りをベテランの役者が固めている。中でもオマール・シャリフ
は、この映画で一躍スターの座につき、「ドクトル・ジバゴ」にも主演。粗野な族長に
アンソニー・クイン。イギリス軍の司令部のロレンスは様々な作戦を立て、対トルコの
戦いを指揮しつつ、アラビア半島の民族の統一を願う。しかし老獪な政治家に裏切
られ、一方ベドウィンの部族同士も部族間の闘争に明け暮れる。青年の理想と挫折の
ストーリー。砂漠の景色が美しい。音楽も秀逸。

「ミッション」
中世の南米。ロバート・デ・ニーロは兄を殺して逃亡し、山奥で現地人に布教活動中の
イエズス会に加わる。しかしスペインとポルトガルの南米への圧政は限度を超え、
彼らの静かな村にも軍隊が迫って来る。無抵抗を標榜する伝道者達の中で、独りデ・
ニーロは防戦の準備を始める。

「愛と哀しみの果て」
原題アウト・オブ・アフリカ。ベルギー人で、ケニアに農園を持つ男と結婚したメリル
・ストリープは、農園のあるアフリカに行く。美しいケニアの自然を背景に、白人
社会とのつきあいや、冒険家ロバート・レッドフォードとの束の間の恋。実話がベース
といわれる。アフリカの自然とテーマ音楽が美しい。

「ゴースト」
友人が依頼した殺し屋に、誤って殺された若い証券会社員のパトリック・スウェイジー
は、ゴーストのまま、犯人を追求し、恋人デミ・ムーアを悪の手から守ろうとする。
彼は努力して物体を動かす力を身につける。デミ・ムーアに差し迫った危険を告げる
為、怪しげな霊媒、ウーピー・ゴールドバーグの身体を借りる。天から差し込む光で
束の間、スウェイジーの姿が見えるラスト・シーンでは、ハンカチが必要かも。

「イングリッシュ・ぺイシェント」
96年度アカデミー賞作品賞を含む9部門受賞作。第一次大戦当時、アフリカの砂漠で
撃墜された複葉機からベドウィンに救出された男は、全身に大火傷を負って、瀕死の
状態だった。彼は連合軍の医療部隊に引き渡され、看護兵ハナに看護が任される。
ハナは身近な人たちを次々に戦争で失うという不運な女性だ。看護部隊も、転戦する
爆弾処理部隊と共にイタリーを移動していたが、ハナは見捨てられた僧院に残り、
この患者の看護に専念する。男は徐々に記憶を取り戻し、実はラズロ・オルマシーと
いう英国の伯爵で、王室地理院から派遣されて砂漠の地図作成に従事していたと語る。
しかしその記憶の中には、友人の妻との辛い恋愛が秘められていた。彼をスパイと
信じて付け狙う元同僚にウィレム・デフォー。ハナ役のジュリエット・ビノシェが
オスカーの助演女優賞を獲得。主役はラルフ・フィネス。ヒロインのキャサリンに
クリスティン・スコット・トーマス。但し、看護婦と患者のロマンスではない。なお
原作「イギリス人の患者」は極めて難解で、お勧めは出来ない。

「サウス・キャロライナ」
原題はプリンス・オブ・タイド。入江の美しいサウス・カロライナで、漁師の子供と
して育ったニック・ノルティーは、今は結婚して高校教師をしている。一方ニュー
ヨークで夫との不和と、息子の教育に悩む、精神科の裕福な女医にバーブラ・ストライ
ザンド。ストライザンドはノルティーのノイローゼの治療に当たる傍ら、ノルティー
はストライザンドの息子に健全な少年の世界を教える。そしていつしか、医者と患者
の間に恋愛感情が芽生えるのであった。しかし、ノルティーには、自ら潜在意識に
追いやっていた暗い過去の記憶があった。ストライザンドが監督。テーマ音楽も秀逸。

「マディソン郡の橋」
屋根付きの橋の写真を撮りにきた中年のカメラマンと、農家の平凡な主婦の出会い
から芽生えた恋愛。しかしそれは決してゆきずりの恋などではなかった。その地を去る
カメラマンは、女に一緒に来てくれと頼むが、待ち合わせの場所に、果たして女は来る
のだろうか。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ主演。こういう映画を
さらっと作ってしまうところは、ダーティー・ハリーもただものではない。

「許されざる者」
イーストウッドの映画が続くが、かつて同名の映画で、バート・ランカスターとヘップ
バーン主演の西部劇があった。農場を維持する金を稼ぐ為、腕に衰えの来ている老ガン
マンが、娼婦たちが、娼婦を搾取し乱暴を働いている男に賞金をかけたのを知り、賞金
稼ぎの旅に出る。賞金を狙う殺し合いがいかに虚しく、銃で死ぬことがいかに無残な
ものかを伝える。仇役はジーン・.ハックマン。

「オールウェイズ」
森林消防隊のリチャード・ドレファスと、ホリー・ハンターは共に消防飛行機の操縦士
である。しかしドレファスは、自分の気持ちを.ハンターに告げようとはしなかった。
そして本心を告げる前に、友人の飛行機を助けようとして、乗機に引火して命を落として
しまう。ところが天使(オードリー・ヘップバーン)はそんな彼に、恋人の元に留まり、
心の支えになるよう指示する。そのうち、森林火災の消火活動に出動した彼女の飛行機
が、燃料切れで湖に墜落してしまう。湖の底に沈んだ彼女に死が迫る。「煙が目にしみ
る」をバックに、ハンターが独りでドレスアップしてダンスをするシーンが印象的。
ホリー・ハンターは、後年「ピアノ・レッスン」でアカデミー主演女優賞を獲得。
監督はスピルバーグ

「レオン」
ジャン・レノはマフィア御用達の殺し屋で、文字も読めない若者だった。彼の隠れ家
に、麻薬のディーラーに家族を殺された隣室の少女が転がり込んで来る。少女はレノ
が殺し屋だと気づき、復讐の為に殺しのテクニックを教えてくれと頼む。その代わり
に、少女はレノに読み書きを教える。少女の家族を殺した犯人が、麻薬取締局の、
半ば狂気の麻薬捜査官である事を突き止めた少女は、独りで復讐に向かうが、失敗
する。特殊な世界に生きる男の、それでも一途な人生。但し撃ち合いのシーンはかなり
むごたらしい。「完全版」ではレオンと少女との心の交流が詳しく描かれているが、
通常版との大きな差はない。

「フェノミナン」
現象とでも訳せばよいのだろうか。マイナーな作品なので、レンタル・ビデオ屋に
あるかどうかは保証の限りではない。
地方で農業を営む純朴で孤独な青年ジョン・トラボルタは、頭は弱いが人柄が良く、
町の皆に好かれていた。しかしある夜、街路で強烈な光を浴びて失神。その後彼は、
IQがどんどん増え、語学を短時間でマスターし、百科辞典も瞬時に読破してしまう。
彼は肥料の改良等、さまざまな発明や改良を行う。しかし周囲の人々は、自分達より
優れた頭脳を授かった彼を、よそよそしい眼で見るようになった。FBIもこの事件に
関心を示す。しかしこの突然の変異の原因は、誰しもが思っていたような、UFOの
仕業等ではなかった。善意を貫く青年を、トラボルタが好演。

「タイタニック」
皆さん先刻ご承知の映画であるが、97年度のアカデミー賞作品賞を含む11部門を
独占し、映画史上最大の予算と売上を記録した作品。いまなおニューファウンド
ランド沖に眠るタイタニック号の悲劇を、実物大の模型を作り、当時の内装から
食器に至る迄、スクリーンに忠実に再現した。
この海難事故で、1900名の乗員乗客の内1200名の命が失われた。しかしこの映画は、
特撮だけが売りの単なるパニック映画ではない。物語の枢軸をなすのは、貧しい青年
画家ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と、意に沿わない結婚を強要されている没落
した上流階級の娘ローズ(ケイト・ウィンスレット)との悲恋である。ストーリーは現代
から始まる。タイタニックには、大型のブルー・ダイヤが積んであったという
情報(無論このあたりは虚構である)を元に、深海潜水艇で調査していたグループが、
ついに問題の金庫を発見して回収する。しかし金庫の中に問題のダイヤはなく、その
代わりに若い裸婦のスケッチ画が納められていた。この海難事故から既に80年が経ち、
最後の生存者は、この物語では100歳になる老婦人で、この老婦人にスケッチを見せた
ところ、その絵のモデルは自分だと言う。そして老婦人、即ちローズが当時の出来事を
初めて明かすところから物語は始まる。スリリングなシーンの連続で、3時間はあっと
いう間だ。男なら誰しもジャックのようでありたいものである。


2008年8月23日




「SF/ファンタジー映画推薦作品」

「2001年、宇宙の旅」1968(☆)
記念碑的作品。難解というより、むしろ理解を絶する映画だ。この映画を理解するヒントは、謎の石板モノリスは異星人が置いたもので、人類の進化に一役買うと共に、人類の監視役でもあったという点だ。この点はアーサー・クラークの最新作「3001年」に詳しい。しかしこの映画、到底万人向きとは言えない。

「スター・ウォーズ」1977(☆☆☆)
現代SF映画の原点であると共に、未だに頂点に立つ作品。ユニークなデザインの宇宙船やエイリアン、使い込まれたメカの質感。そしてなによりストーリー展開の面白さ。SFを子供だましの映画から、大人の鑑賞に耐え得る映画にした功績は大きい。特別編、即ちトリロジー(三部作=2018年で10作品+)がリリースされ、前作の撮影当時には存在していなかったコンビューター技術を駆使し、デジタル処理された画像は、完全に前作を上回る。新たに撮影されたシーンを含め、追加されたシーンが数多く、前作では省略されていた、ストーリーの詳しい説明となっており、映画の時間も若干長くなっている。未だ見ていない人は無論の事、前作を見た人も必見のシリーズだ。特撮技術も、最近の作品に比べても遜色はない。ダースベイダーの幼年時代の活躍を描いたエピソード1、同じく青年時代の恋愛を軸にしたエピソード2もビデオ化されている。エピソード2では寿命600歳と言われるジェダイ・マスターのヨーダが宙を舞いながら、剣士としての実力を遺憾なく発揮するシーンもある。エビソード2の副題の「クローンの逆襲」のクローンとは、バウンティ・ハンターの父親のクローンのこと。各シリーズは綿密に連携しており、次作への謎解きの伏線が張りめぐらされている。スターウォーズ・ファンなら全作品を揃えて、繰り返し見たいところだ。このシリーズはウォーズ(戦争)というだけあって、大規模な戦闘シーンが必ずある。それが良いかどうかは議論の余地もあろう。かたや同じSFでも、特撮だけに頼った「スター・トレック」シリーズの方は、全く逆の方向、即ち、リアルさを欠いたまま、荒唐無稽の彼方を目指して、光速飛行中だったが、カーク船長(ウィリアム・シャトナー)の高齢化で、新作がない。かたや新スター・トレックはメンバーに魅力がない。スターウォーズ ・オフィシャル・サイト。http://www.starwars.com。

「E.T.」1982(☆☆)
「イー・ティー・フォーン・ホーム」は米国人なら誰でも知っている台詞。宇宙人は皆このように友好的であって欲しいものだ。2002年に未公開映像を加えて再公開の運びとなった。何故今、再公開なのか。エリア51との関係は。謎は深まる。

「ブレード・ランナー」1982(☆☆)
シド・ミードがデザインする未来のサンフランシスコは、酸性雨の降る陰気な街だ。脱走した、強力だが短命のアンドロイド達を追う賞金稼ぎにハリソン・フォード。アンドロイドの人権とは何か。アンドロイドの悪役、ルトガー・ハウアーが出色。

「コクーン」1985(☆☆)
地球に取り残された宇宙人は、救援を待つ間、海底の繭(即ちコクーン)に潜んでいた。救援に来た宇宙人は、その繭を屋内プールの水中に隠す。しかし知らずにそのプールで泳いだ老人達は、宇宙人の精気を得て、若者の元気を取り戻す。数少ない老人が主役の(しかもSF)映画。出演はブライアン・デネイ、ドン・アミチー、ジェシカ・タンディー他。一時帰国する2もある。

「バック・トゥー・ザ・フューチャー3部作」1985(☆☆)
マイケルJ.フォックスの出世作。タイム・パラドックスをコミカルに描く、家族向け娯楽映画。実はこの映画、富士通と若干かかわりがある。即ち2作目で、主人公が馘にされる相手が「富士通伊藤」氏だ。しかし、当社(=NY駐在当時の筆者)からのそれとない抗議で、3作目で馘は解消され、企業イメージの悪化をくい止めた(ようだ)。

「エイリアン2」1986(☆☆)
1の体内から飛び出すエイリアンの幼生はまさに悪夢だ。このシーンがあるので、1は勧められない。なお、1ではあまりにも無防備だった人類も、2では武装してエイリアン相手に武器を乱射するので、欲求不満が少しは解消される。3は出来が悪く、その結末は納得出来るものではない。4作目ではシガニー・ウィーバーのクローンが登場するものの、スプラッター映画に近い。

「アビス」1989(☆☆)
この映画に登場するエイリアンは、海底に住み、水を自由に操るという変わりもの。ネオンサインのように輝くところは、深海クラゲを思わせる。沈没した原潜から核弾頭を盗もうとするCIAのエイジェントと、それを阻止しようとする技術者の夫妻。ラブ・ストーリー(但し夫婦の)としても、なかなかの出来。一言で言えば愛は世界を救う。ちなみにアビスとは深淵の事。

「プリデーター2」1990(☆☆)
プリデータとは肉食獣の事で、宇宙人の餌は言う迄もなかろう。1ではベトナムでシュワルツェネッガーが、見えざる(なにしろ透明なので)敵と闘う。2ではダニー・グルーバーが独力で、過去にも再三地球を訪れていたこの惨殺エイリアンと対決する。蟹型エイリアンの武器は槍やナイフだが、切れ味がもの凄い。ダニー・グルーバーはこの映画がベスト。

「ターミネイター2」1991(☆☆)
驚異のCG映像。1では悪役だったシュワルツェネッガー扮する無敵のロボットも、ここでは主人公を守る善玉だ。悪役の液体ロボットのロバート・パトリックは余りに気持ちの悪さに、しばらく他の役がつかなかったが、TVシリーズ「Xファイル」で復活を果たした。

「ジュラシック・パーク」1993(☆)
恐竜の特撮だけがみもの。特に2はお勧め出来ないし、3も、翼竜が出るという事がポイントで、ティラノザウルスに負われる1の怖さはない。しかし3にの最後に出て来る恐竜は、説明ではティラノザウルスを凌ぐ凄い奴という事になっている。

「アポロ13」1995(☆☆)
月着陸を目前に故障して、着陸を断念したアポロ13号は果たして地球に無事帰還出来るのだろうか。出演はトム・ハンクス、ケビン・ベイコン、エド・ハリス(鬘が全く似合わない)等。

「インディペンデンス・デイ」1996(☆☆)
巨大宇宙船と、それによる都市破壊の特撮がみもの。その巨大さが底知れぬ恐怖を生む。ウィル・スミスとジェフ・ゴールドブラムはこの映画でスターの座を確立した。宇宙人とは所詮異質なもので、地球人との共存は不可能という、E.T.とは全く逆の理解に立つ。実際に宇宙人に出会う時、我々はどちらのタイプに遭遇するのだろうか。

「コンタクト」1997(☆☆)
故カール・セーガン原作の異星人コンタクトSF。主演、製作はジョディー・フォスター。特撮による巨大転送マシンの設置場所は、なんと北海道。いつも善玉のトム・スケリット(リバー・ランズ・スルー・イット)が悪玉。フォスターの恋人役の無精髭はむさ苦しい。宇宙船は登場しないが、ワームホールを通って遠い星へ旅をする。遠方より太陽系に接近する冒頭の特撮シーンは一見の価値あり。

「フィフス・エレメント」1997(☆☆)
宇宙の脅威から地球を守る為、善意の宇宙人が地球上に古代から用意しておいた装置を働かせる為には、火、水、土等4つの要素(元素)の他に、5つ目の要素(エレメント)が必要だった。主役のタクシー運転手にブルース・ウィリス。鰐頭の善意の宇宙人のデザインが秀逸。5番目の要素は、賢明な読者諸氏なら想像がつくはず。

「スターシップ・トゥルーパーズ」1997(☆)
ロバート・ハインラインのSF「宇宙の戦士」の映画化。但し原作のカラリと感じは少ない。特撮の技術は最高水準。但し、ストーリーは殆どなきに等しい上に、死体の数が多過ぎるし、スプラッター(但し相手は巨大甲虫で、スプリットされるのは人間の方)なので、家族向きではない。

「MIB、MIBII」1997/2002(☆☆)
メン・イン・ブラックの名前の通り、黒の背広が制服のトミー・リー・ジョーンズは宇宙人入出国管理局のトップ捜査官で、後継者を探している。特撮のエイリアンが見ものだが、気楽に楽しめるコメディーだ。武器も多数出てくるが、なぜか全部ステンレス製でも、一番小さいものでも、反動で人が吹っ飛ぶ程の威力がある(ことになっている)。ブラック・スーツにサングラス(これは記憶抹殺光線を自分で浴びない為)という服装から、ブルース・ブラザースを連想するのは私だけではないだろう。MIB2は、ウィル・スミスが主役だが、記憶を失って郵便局長をしているトミー・リー・ジョーンズを探し出して、一緒に仕事をするという想定。一言で言えば宇宙兵器で敵を吹っ飛ばすのが快感という映画だ。これって、宇宙人に対する差別じゃないだろうか。

「ミッション・トゥ・マーズ」2001(☆☆☆)
火星の人面岩は実在するのか。そしてそれは宇宙人の仕業なのか。宇宙人は人類の敵なのか、それとも味方なのか。壮大な構想と優れた映像技術で、夢とセンス・オブ・ワンダーというSFの神髄のあり方を示した作品である。火星上空での宇宙船事故と脱出のシーンも印象的だ。火星を舞台にしたSFでは、他に「レッド・プラネット」があるが、サバイバルが目的で、夢の要素がない。

「ハリー・ポッター」2002(☆☆)
通称ハリポタ。SFではないが、欧米ではSFアンドF(サイエンス・フィクション・アンド・ファンタジー)と言って一つのジャンルだ。たかが単行本の発売に行列を作るというのも異常現象だが、本より映画の方が面白い。主役の子供達のキャラもはまっている。ちなみに素顔の彼らはただの子供である。もし魔法が使えたらというそんな願いを映画の特撮技術が可能にした。まもなく次作「魔法の部屋」は日本での興行記録を更新中という。おそらくこの調子では、現在迄の全4作も次々に映画化されるのだろう。

「ロード・オブ・ザ・リング」2002(☆☆)
トールキンの指輪物語は読んでいないが、そこには、ファミコン・ゲームでおなじみのキャラが登場する。曰く、ノーム、ドワーフ、ホビット等で、「ウィザードリー」や「ウルティマ」でもおなじみだ。全3作を一気に撮影し1年おきに公開する。これだとキャラの成長を気に病む必要もない。ダンジョン(洞窟)のシーンや、泥人形から兵隊を作り出すシーン等、特撮の技術は一級だ。但し、一度映画館で見て、後でビデオで見た時は、最初程の感動はなかった。おそらくストリーより映像技術の方が勝っているからだろう。



「ドラマ推薦作品」

「オズの魔法使い」1939(☆)
竜巻で気を失った少女ジュディー・ガーランドが、イェロー・ブリック・ロードを辿って、臆病なライオンやブリキ男、藁男と魔法の国を探す。果たしてオズの魔法使いの正体は。J.ガーランドの歌う「虹の彼方に」は不朽の名曲。

「風と共に去りぬ」1939(☆)
クラーク・ゲーブルとビビアン・リーの大作。説明不用。主人公の人生観に共感を覚えるかどうかは別として、こういう大作が昔に作られたという事が凄い。

「怒りのぶどう」1940(☆)
スタインベックの小説の映画化。主演ヘンリー・フォンダ。米国の資本主義のひずみに苦しむ庶民。他にスタインベックの小説の映画化作品には「二十日鼠と人間」があり、そちらではジョン・マルコビッチが熱演。

「カサ・ブランカ」1942(☆)
男の中の男、ハンフリー・ボガートの台詞「……そんな昔の事は覚えていない。明日の事は分からない」でおなじみ。

「誰が為に鐘はなる」1943(☆)
スペインの反政府運動に加担した米国人と、ゲリラの娘のロマンス。主演はゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマン。

「アフリカの女王」1951(☆☆)
同じボガートの主演作品なら、私はこちらの方が好きだ。共演はキャサリン・ヘップバーン。たった二人で、最後迄ドイツ軍に抵抗しようとする小さな戦い。ボガートは決して英雄として描かれてはいない。ちなみに、アフリカの女王とは、ボガートが船長を勤める小型の川船の名前である。

「ジャイアンツ」1956(☆☆)
テキサスの大牧場の当主ロック・ハドスンが、馬の買い付けに行った東部から、花嫁のリズ・テイラーを連れて帰る。リズは慣れない西部のしきたりにカルチャー・ショックを受ける。貧しい牧童のジェイムス・ディーンは、リズに横恋慕するが、もとより彼はハドスンと対抗出来るような立場ではない。しかしハドスンの姉の急な死により、ディーンが遺産で貰った僅かな土地から石油が出たことから、ディーンの立場は大きく変化する。保守的で健全なハドスンと、屈折した成り金ディーンは、あらゆる場面で対立する。ディーンがハドスンの娘に目をつけた事から、ハドスンの怒りもついに爆発。ディーンの新ホテルの披露パーティーで酔いつぶれたディーンは、今でもリズを慕っている心情を告白。ハドスンの息子が牧場を継がず、メキシコ人の女性と結婚する等、時代の流れと無関係ではいられない西部のエスタブリッシュメントの半生を描く。影のある青年を見事に演じるディーンは、この映画が遺作となった。題名のジャイアンツ(Giant)とは、テキサスの大地を指すという。

「五つの銅貨」1959(☆☆)
名トランペッター、レッド・ニコルスの半生を描く。主演はダニー・ケイ。随分昔の映画だが、ダニー・ケイとルイ・アームストロングの、「聖者の行進」のアドリブの掛け合いは、今見ても鳥肌が立つくらいの感動だ。

「ベン・ハー」1959(☆)
チャールトン・ヘストン主演の一大史劇。洋画ファンになら今更説明の必要もあるまい。

「スパルタカス」1960(☆☆)
ローマの奴隷剣闘士カーク・ダグラスは、競技場から脱走し、奴隷解放を求める反乱奴隷のリーダーになる。史実に残るスパルタカスの反乱の映画化。共演はジーン・シモンズ、トニー・カーチス、チャールズ・ロートン等。しかし連戦連勝のこの烏合の衆の軍勢に、最後に差し向けられたのは、訓練されたローマの正規軍だった。反乱軍は敗退し、スパルタカスは捕らえられる。その妻は政治家に、自分達の幼い子供を奴隷から解放してくれるよう、特赦を願い出る。人間の自由の原点を再認識させるダグラス、入魂の名作である。

「ニュールンベルグ裁判」1961(☆)
ドイツのナチスの戦犯裁判。国民も有罪だという判決で有名。出演スペンサー・トレイシー、マクシミリアン・シェル、バート・ランカスター。現代人にとって、「シンドラーのリスト」の方が理解し易いかもしれないが、重厚さという点ではこちらの方が上だ。

「ウェスト・サイド・ストーリー」1961(☆☆)
現代(と言っても大分以前だが)のロメオとジュリエット。ジェローム・ロビンス(振付師)の不朽の名作。

「リバティー・バランスを撃った男」1962(☆)
ジョン・ウェイン、ジェームス・スチュアート、リー・マービンによるノスタルジックな、敢えてモノクロで作った西部劇。

「西部開拓史」1962(☆)
西部の3代の家族の人生を通じて、幌馬車隊、南北戦争等、西部の歴史を綴る。主演はデビー・レイノルズ、ジェームス・スチュアート、グレゴリー・ペック。元はシネラマ映画なので、ビデオだと2つの継ぎ目が見える。

「アラビアのロレンス」1962(☆☆)
ピーター・オトゥールは当時無名の役者だったが、ロレンスに容貌が似ているという事で主役に選ばれた。回りをベテランの役者が固めている。中でもオマール・シャリフは、この映画で一躍スターの座につき、「ドクトル・ジバゴ」に主演。粗野な族長にアンソニー・クイン。イギリス軍の司令部のロレンスは様々な作戦を立て、対トルコの戦いを指揮しつつ、アラビア半島の民族の統一を願う。しかし老獪な政治家に裏切られ、一方ベドウィンの部族同士も低次元の闘争に明け暮れる。青年の理想と挫折のストーリー。砂漠の景色が美しく、音楽も秀逸。

「マイ・フェア・レディ」1964(☆)
日本ではオリジナルのミュージカルを舞台で楽しむ機会が少ないので、せめてビデオで。ヒギンズ教授と花売りイライザのシンデレラ物語。全てセットの撮影なので、映画なのに舞台を見ているような雰囲気があり、その点、野外の撮影の多い「ウェスト・サイド・ストーリー」と対照的。ヘップバーンの歌は当然吹き替えだが、本当の舞台では吹き替えのいらないジュリー・アンドリュースが演じたとの事だ。

「ドクトル・ジバゴ」1965(☆)
ロシア革命に翻弄される医師にオマール・シャリフ。可憐なラーラにジュリー・クリスティー。

「サウンド・オブ・ミュージック」1965(☆☆)
ジュリー・アンドリュース主演の、不朽のミュージカル。説明不用。但し、私は「ドレミの歌」より、「マイ・フェイバリット・シングス」や、「全ての山に登れ」の方を好む。

「飛べフェニックス」1965(☆)
砂漠に墜落した飛行機を修繕して脱出を図るというアイディアが秀逸。主演ジェームス・スチュアート、リチャード・アッテンボロー、アーネスト・ボーグナイン。主題歌を歌を出すが。患者にデ・ニーロ、医師にロビン・ウィリアムズ。

「ミザリー」1990(☆)
愛読者に雪の山中で助けられたものの、結局監禁されてしまう作家の、必死の脱出の努力。狂気の中年女性を演じるキャシー・ベイツはアカデミー賞を受賞。共演はジェームス・カーン。キャシー・ベイツは「ドロレス・クライボーン」でも好演。
「プリティー・ウーマン」1990(☆)
ファニー・フェイスのジュリア・ロバーツの出世作。コールガールのシンデレラ・ストーリー。共演はリチャード・ギア。主題歌は戦前からあるポピュラー・ソングのリバイバル。同じギア/ロバーツのコンビで、10年後に作られたのが「プリティ・ブライド」。しかしこれは趣旨が良く分からず、成功とは言えない。むしろジュリア・ロバーツの映画なら集団訴訟の「エリン・ブロコビッチ」の方が良い。

「ダンス・ウィズ・ウルブス」1990(☆☆)
興行的には成功しないだろうと言われたテーマ、ネイティブ・アメリカンの問題に取り組み、見事成功した3時間のドラマ。主演のケビン・コスナーが監督、製作。

「羊たちの沈黙」1991(☆)
アンソニー・ホプキンス演じる猟奇犯、ハンニバル・レクター白紙と、FBI女性捜査官クラリス・スターリングの奇妙な友情。続編ではスターリング役が代わり、内容も一層おどろおどろしくなる。フヘレンツェに行きたくなくなる映画だ。

「ジャック・サマーズビー」(☆☆)
1860年代の南部。戦争から戻った農園主リチャード・ギアは、以前の冷酷な性格まで変わっていた。農園を再興した彼に、身に覚えのない殺人事件の嫌疑が掛けられる。妻ジョディー・フォスターは、実は夫は別人だから無実だと訴える。

「ザ・インターネット」(☆)
端末操作で秘密を知ったばかりに、正体の分からない相手に命を狙われるサンドラ・ブロック 。居場所が分かってしまう為、クレジット・カードも使えず、飛行機の切符も買えない。情報管理社会の恐怖。他にコンビュータ・ネットワークをテーマにした映画では、ロバート・レッドフォードの「ハッカー」がある。

「レジェンド・オブ・フォール」1994(☆)
モンタナの名家を舞台に、家族の葛藤を描く。主演のブラッド・ピットが熊と組み打ち。共演はアンソニー・ホプキンス。

「アウト・ブレイク」1995(☆)
ダスティン・ホフマンの、エボラ・ウィルスとの闘い。単なるパニック映画ではない。警鐘である。

「ディスクロージャー」1994(☆)
マイケル・クライトンの逆セクハラのストーリー。主演はマイケル・ダグラスとデミ・ムーア。バーチャル・リアリティーのシーンはコンピュータ・メーカーの社員必見。但し映画としては、同じマイケル・ダグラスのものなら「ローズ家の戦争」や、「「ゲーム」の方が面白かもしれない。

「ブレイブ・ハート」1995(☆)
イングランドの暴政に苦しむスコットランドで、自治権の為に闘った男の物語。メル・ギブスンが監督、主演。ギブスンの長髪姿はややむさ苦しい。

「ファーゴ」1996(☆)
米国の地方都市で起きた連続殺人は、狂言誘拐が原因だった。犯人達の狂気はエスカレートして、留まるところを知らない。平凡な生活に内在する犯罪の萌芽を、実話を元にリアルなタッチで描く。米国では、これが喜劇だと思われているというから驚く。

「ジャック」1996(☆)
予定より早く生まれた少年ジャックは、普通の人間の4倍の成長速度で育った為、10歳にして既に中年の身体であった。両親は家庭で教育しているが、彼は学校に通いたいと言い出す。結末はだれも予想しないもの。主演はロビン・ウィリアムス。
「戦火の勇気」1996(☆)
メグ・ライアン扮する、湾岸戦争の勇士は、本当は卑怯者だったのか。デンゼル・ワシントンの調査は進む。

「白い嵐」1996(☆)
若者達を乗せた訓練航海中の帆船に、襲いかかるホワイト・ストーム。実話がベース。主演はジェフ・ブリッジス。

「ジョー・ブラックをよろしく」1998(☆☆)
死神という発想は欧米では根強いものがあるらしい。その死神が、人間の姿(ブラッド・ビット)を借りて、現世を見学に来たらどうなるだろうかというのがこの映画の発想だ。しかも死神を、単なる恐怖と死の使いとして描くのではなく、純粋な心の持ち主として描いている。これにからむのが権謀術策が渦巻く企業のトップ、アンソニー・ホプキンスだ。ホプキンスが、ピットに「死とは恐ろしいものだろうか」と尋ねると、ピットが「あなた程の勇気の持ち主なら心配するく事はない」と答えるシーンが印象的。

「ショーシャンクの空に」1998(☆)
無実の罪で投獄された男ティム・ロビンスの、脱獄への飽くなき戦い。共演はモーガン・フリーマン。ティム・ロビンスは最近のインターネットを扱った「サベイランス」等、悪役が多いが、あまり怖くないので悪役には向かないのではないか。

「マスク・オブ・ゾロ」1998(☆)
アンソニー・ホブキンスが晩年のゾロに扮して剣戟に挑戦。あまり考えずに楽しむ方が良い。但し、往年の怪傑ゾロのTV放映か、映画を知っている事が前提となる。共演はアントニオ・バンデラス、キャリン・ゼタ・ジョーンズ。

「恋に落ちたシェイクスピア」1998(☆)
中世の衣装や、当時の欧州の習慣等は、我々になじみにくいものだが、シェイクスピアを主人公にした、軽妙なラブ・ロマンス。役者も揃っているし、ヒロインのグウィネス・パルトロウも、我々の美意識からすればファニー・フェイスだが、米国ではキュートな女優として人気が高い。中世やルネッサンスの時代感覚は、我々が江戸時代を振り返るくらいの違和感でしか、欧米人にないのであろう。欧州の古い石畳の町並にはそういう雰囲気が良く似合うのだろう。

「シックス・センス」1998(☆☆)
天才的な子役ハーレー・オスメントの実質的なデビュー作。幽霊が見えるという少年の、心理的治療に当たるのは、児童心理学者のブルース・ウィリス。果たして少年の第六感が告げるものとは何か。一種のホラー映画だろうが、最後迄人を引き込むという事は映画の大きな魅力である。但し、同じ監督の次回作「アンブレイカブル」はお勧め致しかねる。

「ライフ・イズ・ビューティフル」1998(☆☆)
ロベルト・ベニーニが監督、主演してアカデミー賞を受賞。ホロコーストを題材にした映画は多いが、これは一風変わった捕らえ方だ。いつも家族を愛して明るく生きてきた男が、妻と別々の収容所に入れられ、一緒に入った息子に希望を持たせようと、悲惨な環境にも関わらず努力する。

「海の上のピアニスト」1999(☆)
1900年に豪華客船の中で捨てられた赤ん坊が火夫達の手で育てられ、船内で天才的なジャズ・ピアニストとして成長する。彼は名前もなく、一度も陸の土を踏んだ事もなく、また陸に上がろうともしなかった。そんな彼でも恋愛はする。そして、この客船も船齢を重ね、ついに廃船として海に沈む時が来た。小泉首相絶賛の映画。

「ジャンヌ・ダルク」1999(☆)
英語読みならジョーン・オブ・アーク。同じテーマの映画はいくつかあるが、リュック・ベッソンは一味違ったミラ・ジョヴォヴィッチ(フィフス・エレメント)を登用。ジョン・マルコビッチやダスティン・ホフマンをわき役に据えて、聖女としてよりも一人の人間として描写。政治的に利用され、欺かれる中で、か弱い少女がどう対処してゆくのか。一言で言えばブレイブ・ハートの女性版。

「アメリカン・ビューティー」1999(☆)
アメリカの平凡な家庭の日常に弘、異常な要素を皮肉なタッチで描く。美しきアメリカがどれだけ病んでいるかを、ドライなタッチで描写する。米国人にとってはコミカルかもしれないが、我々にはやりきれなさも残る。主演はケビン・ス.ヘイシー。

「キャスト・アウェイ」2000(☆)
トム・ハンクスは多くの優良な映画に主演しているが、キャスト・アウェイ」とは遠くに放り投げるという意味だが、宅配便のFEDEXの社員として貨物便に乗り込んだハンクスが、貨物機の墜落で無人島に漂着してしまい、そこで繰り広げるサバイバル劇。ハンクスは3度目のアカデミー賞を狙った気配もあるが、それは無理で、実際受賞は出来なかった。試写会で見たが最後迄飽きさせない。

「ペイ・(イット)・フォワード」2000(☆☆)
「シックス・センス」のハーレー・オスメントが主演。サービスや物の対価を、後で支払うのではなく、いつ戻って来るという保障もないままに、自分から善意を施す事が、最後には自分にも返ってくるという考え方。オスメントはたった一人の力でこれを全米に普及させようとする。顔に痣のある事でコンプレックスを持つ教師にケビン・スペイシー、「ツイスター」で登場し、後日アカデミー賞を取る、ヘレン・ハントが母親役。しかし、この映画の結末は納得の出来るものではない。

「ショコラ」2000(☆☆)
だれでも幸せにするというチョコレートを作る母娘が、フランスの閉鎖的で排他的な片田舎に流れてきた。当然のように迫害もある。主演は「イングリッシュ・ペイシェント」のビュリエット・ビノシェ。共演のジプシー役にジョニー・デップ。ピーソラと負わし区音楽も雰囲気にはマッチしている。

「シッピング・ニュース」2001(☆)
ニューヨークで全く目の出ないケビン・スペイシーが、ニューファウンドランド島の家を相続する。その家は昔悪行で知られた祖先が建てたものだった。スペイシーは新聞社で職を見つて、両氏向けの記事を書き始める。過去に傷を持つ者たちがお互いに癒しあうようになる。

「アトランティスの心」2002(☆)
母親と少年の家庭の二階を借りた男(アンソニー・ホプキンス)には秘密があった。政府機関から負われていたのだ。ホブキントスと少年の心の交流を通じて、少年は勇気とたくましさを身につけゆく。ホブキンスの秘密とは何か。



「コメディ映画推薦作品」

「バリ島珍道中」(☆)
ボブ・ホープとビング・クロスビーの珍道中ものの一つ。二昔も前のコメディーだが、いま見ても可笑しい。共演はドロシー・ラムーア。昔の喜劇というと、すぐにチャップリンの名前が出て来るが、チャップリンなら、むしろシリアスな「独裁者」等の方が良い。ジェリー・ルイスも喜劇では定評があったが、抱腹絶倒というより、日本の故藤山寛美(顔も似ている)を思わせる人情ものが多い。

「おかしな、おかしな、おかしな世界」1963(☆)
大きなWという文字の下にあるという大金を求めて繰り出すいかれた連中。スペンサー・トレイシーがまじめな刑事役で、一人浮いている。

「ブルース・ブラザース」1980(☆☆)
コメディアンの天才と言われた故ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが扮する兄弟が、孤児院の募金の為に奮闘する。ブラック・スーツにサングラスというスタイルでステージに立つ彼らに飛んで来るのは、当然の如く、空きビンや野菜である。まもなくダン・エイクロイドを再起用したリメイク版、「ブルース・ブラザース2000」が1998年に公開。ここで出てくるジャズのプロ達の演奏はさすがだ。

「キャノンボール・ラン」1981(☆)
実在する大陸横断違法自動車レース。主役は当時全盛のバート・レイノルズ。スバルを駆るヘンテコな日本人にジャッキー・チェン。巻末のNG集はこの映画が元祖だろう。

「ゴースト・バスターズ」1984(☆☆)
特に1が良く、マシュマロマン登場のシーンで爆笑。主演はダン・エイクロイドとビル・マレー他。ゴーストを掃除機(のようなもので吸い込むという発想が面白い。なおビル・マレー主演のコメディーでは、ある一日に閉じ込められたTVキャスターの脱出の努力を描く、時間パラドックス映画「恋はデジャブ」も面白い。

「大災難P.T.A」1987(☆☆)
邦題のP.T.Aとは何のことかと思ったら、原題のプレインズ、トレインズ、オウトモビルズの略号だった。吹雪でシカゴに着陸出来ずに飛行機がニューヨークに戻った為、スティーブ・マーチンは、列車やレンタ・カーを使って、なんとかクリスマス迄に家にたどり着こうとする。結果的にそれを邪魔する、連れの行商人に故ジョン・キャンディー。

「裸の銃を持つ男」1988(☆☆)
底抜け警部のレスリー・ニールセンが、周囲の迷惑等お構いなしに繰り広げる捕り物帳。下ネタだが、「ゴースト」のパクリは悶絶もの。3(題名はふざけた33 1/3)まであるが1がベスト。

「星の王子ニューヨークへ行く」1988(☆☆)
原題はカミング・トゥー・アメリカ 。無敵のアフリカの王子が、王妃探しにNYのクィーンズへ。主演は言わずと知れたエディー・マーフィーだが、いとこ役のアルセニヨ・ホールが、その後TVで自分のトーク・ショウ番組を持つまでに至った。

「ワンダとダイヤと優しいやつら」1988(☆☆)
ヘンな邦題だが、原題も、ワンダという名前の魚で、もっとヘンだ。この魚は盗賊のドモリの仲間が飼っているエンゼル・フィッシュの事だ。ケビン・クラインが好演でアカデミー賞受賞。大人向きだが、抱腹絶倒間違いなし。特にドモリが急に直るシーンは可笑しい。共演はジェミー・リー・カーチス等。最近全く同じ顔ぶれで、動物園をテーマにした、「もっとも危険な動物」というビデオもリリースされているが、全く面白くない。

「ホーム・アローン」1990(☆☆)
低予算で作られながら、大ヒットした作品。旅行で出かけた家族に取り残されたガキは、やっぱり悪ガキだった。共演はジョー・ペシ。クリスマスの街の光景が美しい。但し、2は駄作で、それより「リッチー・リッチ」の方がまだまし。3はもっと駄作。

「キンダ―・ガーデン・コップ」1990(☆)
荒っぽい刑事のシュワルツェネッガーが、臨時に地方の幼稚園の先生を努める事になった。しかし銃を持てない彼のところに極悪犯人がやってくる。

「シティー・スリッカーズ」1991(☆☆)
都会の生活でストレスのたまった広告会社の社員が、リフレッシュの為に、西部の生活体験ツアーに出かけて、トラブルに巻き込まれる。主演と監督は、アカデミー賞の授賞式の司会でおなじみのビリー・クリスタル。共演は、シェーンの仇役ジャック・パランスで、この役でアカデミー助演賞を獲得。2もあるが、非推薦。

「逆転人生」1991(☆☆)
メル・ブルックス扮する会社社長は、貧民街地域の再開発を計画していたが、友人の悪巧みで、賭に乗せられてしまう。それは30日間、支援なしに路上でホームレスとして生活出来るかどうかというものだった。クレジット・カードから鬘迄取り去られた彼は、どのように生き延びて行くのであろうか。彼の他の作品に比べて、この映画は日本人に分かり易い。

「ベートーベン」1992(☆)
図体ばかり大きいセントバーナード犬、ベートーベンが巻き起こす騒動。最近4が出たが、3以降父親役がチャールズ・グローディンでないので、面白さは半減している。

「天使にラブ・ソングを」1992(☆)
気持ちの悪い邦題だが、原題はシスター・アクト。殺人現場を目撃したギャングの情婦で(一体どんなギャングならウーピーを情婦にするのだろう)、あばずれ歌手のウーピー・ゴールドバークが、刑事の手配で、事もあろうに修道院に隠れる。そこで時間を持て余したウーピーは、尼さんのコーラス隊を組織する。高校を舞台にした2もあるが、1の方が面白い。

「奇跡を呼ぶ男」(☆☆)
祈祷をショウとして演出する事で、庶民から金を集めている伝道師のところに、足の悪い少年が訪ねてくる。一方ショウのインチキを確信し、監視の目を注ぐ保安官。主演はスティーブ・マーチン。彼の他の最近のコメディーには、「サージェント・ビルコ」がある。ホバー・クラフトの戦車というのはいかにも無理があるが、それ以外は笑える。スティーブ・マーチンの映画では、家庭向けに「花嫁の父」がある。また題名は忘れたが、金持ち相手にリビエラで傷痍軍人を演じる、詐欺師の映画も面白い。

「ライアー・ライアー」(☆)
ジム・キャリーは金の為なら嘘も辞さない辣腕の悪徳弁護士。ところが彼の息子が星にお願いしたお蔭で、一夜にして嘘がつけなってしまった。口からとんでもない言葉が飛び出さないよう七転八倒するキャリーの演技が見もの。ジム・キャリーの映画では出来の良い方だ。

「スパイ・ライク・アス」(☆)
とぼけた味のチェビー・チェイスと、「ブルース・ブラザース」以来の喜劇役者ダン・エイクロイドは、スパイには到底なれそうもない間抜けな二人なのに、突然仕事を与えられた。それは本当のスパイを隠す為のただの囮だった。それとは知らない二人は、得点稼ぎの好機とばかり、とんでもない大活躍を始めた。チェビー・チェイスのナショナル・ランプーン(風刺)ものには、他にも、地方に引っ越した作家の生活を描く「ファニー・ファーム」や、家庭のクリスマス騒動の「クリスマス・バケイション」も面白い。但し最新作、「ベガス・バケーション」は駄作で勧められない。上記の二人にスティーブ・マーチンが加わった「サボテン・ブラザース」も面白い。

「誰がロジャー・ラビットを殺したか」(☆)
漫画と実写の本格的な融合に取り組んだ映画。主演はボブ・ホスキンス。アニメでは全編CGの「トイ・ストーリー」がある。

「ミスター・ビーン」(☆)
周囲の迷惑を省みない、セコイ独身中年男を演じるのは俳優ローワン・アトキンソン。英国のミニTVシリーズだが、私が一番笑ったのは試験のカンニングと、衛兵をテーマにしたもの。特に後者の、じっと動かない衛兵の、熊の毛皮の帽子にピンボン玉を貼りつけて顔にするシーンでは、NHKの幼児番組に出て来るガチャピンを連想して可笑しかった。

「隣のヒットマン」
ブルース・ウィリス演じる殺し屋が隣に引っ越してきたばかりに飛んだ騒動が巻き起きる。

「ミート・ザ・ペアレンツ」2001(☆☆)
看護士族の男が、ガール・フレンドの実家を尋ねて、父親に結婚の許しを請おうとするが、空港に手荷物が到着しなかった事から、さまざまな災難に見舞われる。看護士役にベン・スティラー、頑固な父親にデ・ニーロで、この二人の対立が良い味を出している。家族で楽しめる。



「アクション・アンド・サスペンス映画推薦作」

「駅馬車」1939(☆)
ジョン・フォード、ジョン・ウェインのコンビによる西部劇時代の幕開けとなった映画。馬車の暴走シーンは今見ても迫力。昔は特撮なんてないから、皆スタントマンの仕事だった。

「北北西に進路を取れ」1959(☆)
原題ノース・バイ・ノースウェスト。アルフレッド・ヒッチコック監督のスリラー。主演はケーリー・グラント。他の男と間違われたグラントが、理由も分からないままに命を狙われ、警察にも追われる。草原で複葉機に追われるシーンが有名。最後は歴代大統領の顔の巨大彫刻で知られる、ラシュモア山での逃避行となる。悪役はジェイムス・メイスンとマーチン・ランドー。ヒロインのエバ・マリー・セイントも知的な美女だ。最近NHKでも放映された。TVだとビデオのように画面の左右を切り落とされる事がないので、レンタルより放映で見る方をお勧めする。

「リオ・ブラボー」1959(☆)
ジョン・ウェイン、ディーン・マーチン、リッキー・ネルソン出演の、娯楽西部劇のカラー大作。小人数で大勢のならず者と対決するというパターン。ディーン・マーチンの歌う「ライフルと愛馬」、トランペットをフィーチャーした「皆殺しの歌」が有名になった。西部でも屈指の名作と言われる。

「荒野の七人」1960(☆)
七人の侍の西部劇版。リーダーはユル・ブリンナー。他にスティーブ・マックィーン、ナイフ投げのジェイムス・コバーン、チャールス・ブロンソンと、当時のアクション・スターが揃う。深刻に考えずに楽しむ西部劇のナンバー・ワン。バーンスタイン作曲の主題曲も不滅だ。2では「ララミー牧場」でおなじみのジェス役のロバート・フラーが共演している。続編は印象が薄い。1では、後で「電撃フリント」等に主演した、ナイフ投げ、コバーンの精悍な印象が良かった。なお同名で4作迄作られており、2作迄がブリンナーの主演。4作目はなんと、マカロニ・ウェスタンのリー・バン・クリーフの主演。1がベストである。

「ナバロンの要塞」1961(☆)
ボスポラス海峡に設置されたドイツ軍の巨大な2門の大砲は、海峡を通過する連合軍の軍艦にとって悩みの種だった。数名のプロフェッショナルが潜入してこの砲を破壊しようと試みる。チームのリーダーに登山家のグレゴリー・ペック、爆薬の専門家にデビッド・ニーブン、他にアンソニー・クイン等。巨大な大砲も質感がある。但しスパイの女を殺すシーンはいただけない。縛って転がしておけばすむ話だ。

「史上最大の作戦」1962(☆)
原題ロンゲスト・デイ。ノルマンディ上陸作戦の初日の様子を、モノクロのスピード感溢れる映像で描く。ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、リチャード・ベイマー等、当時の一流スター総主演。「プライベート・ライアン」のオマハ・ビーチの映像の方が、実際の状況に近いのだろうが、とても正視には堪えない。いつ頃から、そういうシーンをリアルに表現するようになったのか知らないが、最近の「ブラック・ホーク・ダウン」等はそれしかないような映画だ。「地獄の黙示録」の方が未だましである。しかしモノクロだとそういう部分がないだけ、戦争を美化する危険性もないとは言えない。

「北京の55日」1963(☆)
中国の義和団事件をテーマに、孤立した大使館員達の連携プレーを描く。膨大な数の中国の匪賊を相手に、城に立てこもった連合国側には大使館付きの僅かな武官しかいない。主演は、チャールトン・ヘストンとデビッド・ニーブン。義和団側はロケット砲台等を作ってせめて来る。この映画では、珍しく日本軍も連合軍側で善玉の扱いになっている。

「大脱走」1963(☆☆)
ナチスの捕虜収容所から集団脱走を企てる捕虜達の、奇想天外な計画。スティーブ・マックィーン、ジェームス・ガーナー、チャールス・ブロンソン等、当時のアクション映画おなじみの顔ぶれだ。マックィーンはオートバイのスタントで吹き替えを使っていない。マックィーンの魅力。

「007ゴールド・フィンガー」1964(☆)
007シリーズは数あれど、私はこの作品が一番印象が強い。次が「ロシアより愛をこめて」。この映画ではボンド・カーのアストン・マーチンがあまり役に立っていない。なおショーン・コネリーと、小説のボンドの、やや女性的な雰囲気とは相いれない。ロジャー・ムーアも、ティモシー・ダルトンもいま一つで、むしろ最近のピアース・ブロズナンのほうがややましだ。

「脱走特急」1965(☆)
原題は「フォン・ライアンズ・エキスプレス」。主役の軍人ライアンにフランク・シナトラ。列車を使った英米捕虜の脱出劇だ。この列車にはドイツ軍の戦闘機が遠慮なく襲いかかって来る。シナトラは、「地上より永遠に」でアカデミー助演書を獲得したが、映画自体は優れていても、シナトラの演技が良かったかと聞かれると答に窮する。むしろこの映画や、「ニューヨーク・ニューヨーク」のような娯楽映画の方が、シナトラの魅力が生かされているように思う。

「フレンチ・コネクション」1971(☆)
フランスからの麻薬ルートを叩く為、刑事ポパイ(ジーン・ハックマン)が、一作目ではシカゴで、2作目ではマルセイユで、走って、走って、また走る。

「激突」1971(☆)
スピルバーグ25歳の作品。ちょっとクラクションを鳴らしたばかりに、最後まで姿を見せない運転手が運転する巨大なタンク・ローリーに、どこまでも追い回されるドライバー。主演はデニス・ウィーバー。今見ても十分にスリリングだ。

「インディー・ジョーンズ三部作」1981(☆☆)
ハリソン・フォード主演のヒット・シリーズ。1作目の聖匱と、3作目の聖杯は、今なお探している人がいるという。日本ではインディーだが、原題はインディアナで、しかもそれは愛犬の名前。役の本名はヘンリー・ジョーンズ・ジュニア。3作目では、ショーン・コネリーが父親の教授役を好演。しかしこのシリーズ、刺激が強過ぎて、小さい子供に見せる事はお勧め出来ない。実はフォードは4作目を計画していると伝えられる。

「ファイア・フォックス」1982(☆)
旧ソ連から、最新の戦闘機ミグ31を盗み出そうと、現地に潜入するクリント・イーストウッド。戦闘機の飛行シーンがみもの。

「ビバリー・ヒルズ・コップ」1984(☆)
麻薬組織を追う破天荒な黒人刑事にエディー・マーフィー。軽快なシャベリが身所ーズだ。スラングだらけのエディー・マーフィーのジョークが聞き分けられれば、貴方も米語通だ。他にエディー・マーフィーのアクション映画では「ゴールデン・チャイルド」が面白く、コメディーでは「星の王子ニューヨークへ行く」がベスト。

「アンタッチャブル」1987(☆☆)
ショーン・コネリーがアカデミー助演賞を獲得。ケビン・コスナーがエリオット・ネスに扮して、デ・ニーロ扮するカポネと対決する。

「リーサル・ウェポン3」1987(☆)
すぐ切れるメル・ギブスンと温厚なダニー・グルーバーの凸凹刑事コンビが展開する痛快アクション。全4作あるが、3がベスト。

「ブラック・レイン」1989(☆)
日本が舞台のアメリカ映画。米国の刑事マイケル・ダグラスは、米国で人を殺したヤクザを追って日本に来る。犯人役は故松田優作で、その演技はなかなかの迫力。日本人の刑事役にはおなじみ高倉健。マイケル・する。その野望を阻止しようとする同僚。悪玉にジョン・トラボルタ、善玉にクリスチャン・スレーター。但しストーリーはややお手軽。トラボルタは、「サタデー・ナイト・フィーバー」の後目立たなかったが、「パルプ・フィクション」で悪役(チンビラ)で復活。最近では「ドメスティク・フィアー」にも主演。ただしB級SF「バトルフィールド・アース」では、扮装の奇抜さもあり、映画が駄作だった事もあって多いに評価を下げていた。

「トレマーズ」1989(☆)
所謂B級ホラー映画だが、地中に潜む、肉食の怪物と、西部の一般人の戦い。2もあって、そちらでは銃を威勢よく撃ちまくる。そして2002年に3が出て、こちらは怪物め、突然変異して空も飛ぶようになっている。トレマーとはトレモロ、即ち振動の事である。

「バックドラフト」1991(☆☆)
命懸けで火災と闘う消防士の活躍を描く。火災シーンの特撮が見事。「(If)You go、I go」というカート・ラッセルの台詞が印象的。しかし主役のウィリアム・ボールドウィンのにやけた感じは印象があまり良くないし、他にもいくつか気になるシーンがある。諸手を挙げてのご推薦とはいかない。

「ラスト・オブ・モヒカン」1991(☆)
モヒカン族の最後のリメイク。主演、ダニエル・デイ・ルイス。共演のマデリン・ストウの、煙るような眼差しが印象的。

「沈黙の戦艦」1992(☆)
スティーブン・セガール(日本で黒帯を取得した為、日本語も話す)が、戦艦のコックになり、戦艦の乗っ取りグループ(リーダーはトミー・リー・ジョーンズ)と単身闘う。沈黙シリーズではこれが一番というかこれしかない。アラスカの石油基地を舞台にした2は全くの駄作で、列車を乗っ取られる3も、他の映画より少しましという程度。

「パセンジャー57」1993(☆☆)
この数字は主人公の座る座席番号のこと。旅客機を乗っ取った非情のテロリストに対し、テロ対策の講師をしている、元黒人刑事のウェズリー・スナイプスが頭角を表した映画だ。但し「ブレイド」等はあまり頂けない。スナイプスは独力で立ち向かい、離陸中の旅客機に飛びついて、脚の部分から潜り込む等という事が、本当にできるのだろうか。マイナーだがアクション映画としては面白い。

「マスク」1994(☆)
私はジム・キャリーの悪ふざけは体質的に受け付けないし、多分日本人の多くがそうだろう。しかし、これは別格。キャリーのアクの強さがマッチしている。合成の特撮技術も優秀。呪いのかかったマスクを着けている間だけ無敵になる男が、夜の街に繰り広げるアクション。

「トゥルー・ライズ」1994(☆)
シュワルツェネッガーのアクション映画は多いが、これが極めつけ。垂直離着陸ジェット機をビルの谷間に乗り入れてのアクション・シーン。しかし家族で見るにしては言葉遣いも汚いし、共演のジェミー・リー・カーチス(トニー・カーチスの娘)もお色気過剰だ。

「クリムゾン・タイド」1995(☆)
国防省から届いた無線指令は、戦略核ミサイルをソ連に発射せよというものだった。その命令に従おうとする原潜の艦長に、ジーン・ハックマン。それを阻止しようとする冷静な副官にデンゼル・ワシントン

「クロコダイル・ダンディー」1985(☆)
オーストラリアのスーパー中年、ポール・ホーガンが、ニューヨークで場違いの強さを発揮する。2も3もあるが、原点である1が一番。ボール・ホーガンは豪州の有名人となり、シドニー・オリンピックの閉会式にも登場。

「逃亡者」1993(☆)
有名なTVシリーズの映画化。デビッド・ジャンセンが演じた濡れ衣を着せられた医師の役を、映画ではハリソン・フォードが演じている。冒頭の貨物列車の脱線シーンは超迫力。バーリー・モースが演じた刑事は、トミー・リー・ジョーンズ。彼はこれでアカデミー助演賞を獲得。その後、トミー・リー・ジョーンズを主役にした「追跡者」という映画も作られた。

「クリフ・ハンガー」1993(☆)
山岳救助隊にシルベスタ・スタローン。事故に関係して、現役を退いた彼に、山で遭難した犯罪集団から救助の依頼が来る。この映画は山岳映画をアクション映画にした点に価値がある。私はスタローンの映画のトップは「ロッキー」だと思っており、「ランボー」等はあまり買わない。むしろマイナーな作品ながら、警官の腐敗を描いた「コップ・ランド」(ニュージャージーにあるという想定)での、いつものスーパーマンでなく、一人の警官としての演技の方が好感が持てる。

「パルプ・フィクション」1994(☆)
トラボルタの殺し屋役が際立った作品。共演はサミュエル・ジャクソンでこれも殺し屋。出来心で犯罪に手を染めた無若者を追う二人。犯罪現場の掃除屋(ハーベイ・カイテル)が登場して興味深い。

「ジュマンジ」1995(☆)
呪われたゲームを見つけ出し、これで遊び始めた子供達が、次々に危機に見舞われる。猛獣の暴走シーンはCG合成。主演はロビン・ウィリアムス。

「12モンキーズ」1995(☆)
SFに入れるべきかもしれないが、最近に汚染された未来から送り込まれた囚人ブルース・ウィリスが、12モンキーという言葉だけを頼りに、人類滅亡の原因を探る。共演はマデリン・ストウとブラピ。

「 ヒート」1995(☆)
犯罪物の二大看板スター、ロバート・デ・ニーロとアル・バチーノの共演と対決が見せ場の映画。逃げ足の早い犯罪組織のボスにデ・ニーロ。ロス市警察の刑事にパチーノ。対決シーンの舞台は空港。

「F.L.E.D」1996(☆)
手錠でつながれた白人青年と黒人刑事の脱出行。シドニー・ボアチェの「手錠のままの脱獄」のリメイクではなく、よりコミカルな味付けだ。黒人役は怪人ローレンス・フィッシュバーン。

「ブロークン・アロー」1996(☆)
空軍の中尉がステルス爆撃機ごと核ミサイルを盗み出そうとする。その野望を阻止しようとする同僚。悪玉にジョン・トラボルタ、善玉にクリスチャン・スレーター。但しストーリーはややお手軽。

「TAXi」1997(☆)
フランス映画。改造車で走り回るスピード狂がドイツの強盗団と対決。原チャリでビザの配達をしているシーンもある。2もあるが日本の防衛庁長官誘拐という設定で、あまり面白くない。1がお勧め。監督はリュック・ベッソン。

「 ジャッカル」1997(☆)
「ジャッカルの日」のリメイクではないが、マフィアが米国大統領の暗殺を計画する。スナイパー対それを阻止しようとするプロとの対決という構図は同じだ。性倒錯の無慈悲なスナイパーにブルース・ウィリス。捜査を担当させられる元IRAのスナイパーにリチャード・ギア。息もつかせぬ展開だ。但し、かなり残酷なシーンもあるので子供向きではない。ウィリスの犯罪ものとしては近作に「バンディッツ」があるが、それほど勧められない。

「ダンテズ・ピーク」1997(☆)
今回は007シリーズは対象外としたが、その理由は余韻の残る作品が少ない事。ジェームス・ボンドのイメージも、常にミス・キャストの感じが拭い切れない。その中では最近のピアース・ブロズナンが最も無難とは思うが、肝心の映画が面白くない。そこでプロズナンの映画として、007の代わりにボルケーノものを挙げた。橋に人が乗ったまま流されるシーンは、特撮として出色の出来。同じ噴火ものでも、トミー・リー・ジョーンズ主演の「ボルケーノ」はストーリーが余りに荒唐無稽という感じがする。特撮の自然災害ものには、他に竜巻の「ツイスター」があるが、これもストーリーはあって無きが如し。

「LAコンフィデンシャル」1997(☆)
1940年代のロス市警の三人の警官が一つの事件を調査して行く内に、警察内部の腐敗に行き当たる。ここからで3人の行き方は分かれて行く。ラッセル・クロウ、ケビン・スペイシー、ガイ・ピアース。キム・ベイシンガーの美人娼婦役が印象的だ。

「交渉人」1998(☆)
ネゴシエイターと言った方が分かり易いかもしれない。人質解放の交渉を行うプロの事だ。シカゴ警察の交渉人ケビン・スペイシーは濡れ衣を着せられ、警察のビルに立てこもる。そして、もうひとりの優秀な交渉人サミュエル・ジャクソンを、交渉人に指定して交渉を始めた。

「マーシャル・ロー」1998(☆)
デンゼル・ワシントン、アネット・ベニング、ブルース・ウィリス共演の、対テロ・サスペンス映画。マーシャル・ローとは戒厳令の事。実はあまり記憶に残っていないので、そこそこの映画だったようだ。

「RONIN」 1998(☆)
デ・ニーロとジャン・レノの顔合わせ。6人のプロが雇われて、スーツケースを追う。読んで時の如く浪人だが、実は47士の事である事が分かる。討ち入りのミニチュアのジオラマ迄登場する。

「マトリックス」1999(☆☆)
キアヌ・リーブスのアクションと言えば、以前なら「スピードや「ジョニー・ニーモニック」があったが、今ではマトリックス一番だろう。英語の発音ではメイトリックスだ。人口過剰な未来の地球では、人間は自由に動き回る事は出来ない。現実の世界というものは実際には存在せず(実はある)、人間は夢を見続け居るだけだった。しかしそいうい体制に飽き足らない者もいた。彼らはバーチャルな世界で敵(支配者)と闘う。意識さえ高めれば、弾丸をも交わす事が可能だ。キアヌ・リーブスは果たしてこの世の救世主となれるのだろうか。スロー・モーションの特撮は、その後の殆ど全てのエクション映画に影響を与えた。

「ハムナプトラ」1999(☆☆)
どちらかというと、ファンタジーかもしれないが、「インディー・ジーョンズ」系の活劇である。西欧ではミイラは不死身と思われているらしく、無敵のミイラとの対決である。戦闘シーンはあっても、相手がミイラなのであまり血も流れず、楽しめる。2は場所をアフリカに移すが、1と同じ感覚で制作されている。

「ボーン・コレクター」1999(☆)
車椅子の科学捜査のエキスパートにデンゼル・ワウントン。女性捜査官が集めたデータを元に犯罪を推理する。

「ファイト・クラブ」1999(☆☆)
不眠症の青年エドワード・ノートンは、カリスマ的な青年ビラット・ピットと出会い、同居する事となる。ピットはケンカのクラブを設立する。このクラブでは素手でとことん殴り合う事を目的としたものだった。そしてピットはこのクラブを組織化して、破壊活動を行う全米組織に育てようとしていたのだ。そして思いもかけぬ結末が待っていた。

「エントラップメント」1999(☆)
伝説の美術品泥棒にショーン・コネリー。それを追う保険会社の調査員にキャサリン・ゼータ・ジョーンズ。マレーシアの超高層ビルを舞台に二人が敵になり時には味方になり、技を競い合う。しかし、ジョーンズの魅力だけで映画を持たせるのは難しい。ショーン・コネリーはもっと存在感を出すべきだった。

「グラディエーター」2000(☆☆)
ローマの剣闘士の物語というと、史実に基づいた「スパルタカス」が直ぐに思い浮かぶが、こちらは完全なフィクション。その為にストーリーとしては自由に、かつより刺激的に描かれている。主役のラッセル・クロウの、少し暗くて粗削りなイメージが主役にピタリ。倒れると背景の地面がゆっくり流れてゆくシーンが印象的だ。

「グリーン・ディスティニー」2000(☆)
香港の映画だが、秘剣グリーン・ディスティニーを巡る女性ファイター同士の闘い。高官の娘が実は盗賊である事を突き止める。宙を飛び、壁面を駈け、ついにはしなう竹藪の上で闘う。

「トゥムレイダース」2001(☆)
アンジェリーナ・ジョリー演ずるスーパーウーマンが撃ちまくり、暴れまくる。うるさい事を言わずに楽しむ作品。

「キス・オブ・ザ・ドラゴン」2001(☆)
伝説となったブルース・リーの後継者が現れては消えていったが、このリュック・ベッソンのフランス製カンフー映画の主役はジェット・リーだ。中国から犯罪者を追ってきた刑事が、パリで暴力組織と対決する。同じジェット・リーの新作、多元宇宙テーマの「ザ・ワン」はあまりぴんと来ないので、こちらをお勧めする。

「バニラ・スカイ」2001(☆☆)
トム・クルーズはいつのまにかアクション・スターになってしまっており、「7月4日に生まれて」は別としても、おそくそれは「トップ・ガン」にそのルーツを求める事ができそうだ。しかし「ハッション・インポシブル」等を見る限り、成功しているとは言いがたい。この映画は近未来の話で、SFと言ってもおかしくはない。しかしここでは、スリリングという点でアクションに入れた。冷凍睡眠が実用化された未来のニューヨーク。クルーズの満ち足りた生活は虚か実か。また愛人殺しの嫌疑をかけられた彼は、どうやって嫌疑を晴らすのか。最後迄飽きさせない。但し、性描写も多く、大人向きである。

「トレーニング・デイ」2001(☆)
ロスの麻薬捜査官デンゼル・ワシンシトンは、新任の刑事に捜査のこつを教えることになる。即ちトレーニングだ。決してスポーツの話ではない。しかしワシントンの捜査摘発のやり方は型破りというか、過激であり、しかもますますエスカレートする。新米刑事は次第に専売のやり方に疑問を懐くようになるのであった。ワシントン初の悪役。

「ワサビ」2002(☆)
ジャン・レノと、その娘役の広末涼子。広末は相当頑張ってフランス語をものにしたようだ。日本の暴力団との対決はむしろコミカルである。東京の人間なら分かる事だが、秋葉原を撮影して、新宿という字幕がで出るのは困る。気楽に楽しむ娯楽映画。山盛りのワサビを食べて、少しも辛そうな顔をしないというシーンがある。

「ソード・フィッシュ」2001(☆)
銀行のシステムに入り込む為に、暗号解読の名人を脅迫する悪役がトラボルタ。冒頭のパトカーが吹っ飛ぶ特撮が売り。アクションが過激になっている事だけは実感出来る。積極的にはお勧めしない。

「サウンド・オブ・サイレンス」2002(☆)
マイケル・ダグラスのスリラー。口のきけなくなった少女が見たものとは何だったのか。

「スパイダー(コレクター2)」2002(☆)
議員の娘を誘拐した犯人は何を要求して来るのか。犯罪操作の専門家にモーガン・フリーマン。私としては「サウンド・オブ・サイレンス」よりはこちらがお勧め。
 
他に「バットマン」や「スパイダーマン」があるが、映像は優れているが、漫画的要素が濃すぎるのが難点。「スーパーマン」と同様で、脇役というか、敵役のおふざけが過ぎてそれが原因で面白くないものになっているものもあります。
 


「アニメ映画推薦作品」

「もののけ姫」(☆)
日本の興行収入ナンバー・ワンのアニメ。時代は室町時代。場所はみちのく。西の国から走り込んできた巨大なイノシシは苦しみと憎しみの末、タタリ神となっていた。村を救う為、この猪を仕留めた青年アシタカは、自らも腕をタタリ神にとりつかれる。放置すれば毒は全身に回り死に至るであろう。治癒の手掛かりを求めて旅立ったアシタカは、カモシカに乗って西国を目指す。おりしも、西国では、製鉄所の民と、山の自然神達との間で戦いが始まっていた。これはいわば自然と人間との戦いである。そして自然神の頂点に立つシシ神の謎めいた振る舞い。その闘争の場で、アシタカは、巨大なオオカミに育てられた娘サン(もののけ姫)に出会う。このアニメの映像、特に疾駆移動する場面の映像は、世界最高レベルの出来ばえ。しかし、このアニメ、小学生程度では筋が理解出来ないかもしれない。事実私の親戚の子は怖いと言っていた。

「千と千尋の神隠し」(☆☆)
八百万の神々が心身を洗い清め、束の間の休息を取る為の湯屋(油屋)に迷いこんご千尋が、豚にされた両親を救い、自らも脱出する方法を誠意と忍耐で果たそうとする。神々が善意の存在として描かれている。顔なしというのは、テーマ・ソングを突くん手いる久石譲に似ているが、その正体は謎だ。旅館の下に浅い海が広がり、電車の線路が見えるなどというシーンは、ノスタルジーを感じさせる。竜が悶え苦しみシーンはいささか長すぎる。ともあれ、大ヒットした作品だ。私はDVDを購入。しかし、私としては「ラピュタ」と「ナウシカ」の方を評価する。宮崎に今後作って欲しい作品は、「猫の恩返し」等ではなく、大人向けの「ナウシカ2」である。

「天空の城ラピュタ」(☆☆)
かつて無敵の力を誇り、世界に君臨したラピュタ王国の末裔シータ姫は、飛空石で出来た謎のペンダントを伝えられている。そのベンダントを狙って、盗賊や、政府軍が彼女を追う。シータを助ける鉱山の町の少年バズー。彼らは、場所の分からない天空の城を目指して盗賊達と旅立つ。主題歌「君を乗せて」は小学校でも歌われている。このアニメは、やたら落っこちそうになるシーンが多いので高所恐怖症の人には不向き。レーザー・ディスクを所有。

「となりのトトロ」(☆)
田舎の古屋に移り住んだ一家の、幼い姉妹が遭遇する心温まるモノノケ達。入院している母親を訪ねようとして迷子になったメイを救ってくれたのは誰か。超優良児童映画。しかしネコバスはカナリ怖い。

「魔女の宅急便」(☆)
見習い魔女のキキは親元を離れ、いよいよ自分の住むべき街を目指して出発する。パン屋の屋根裏に部屋を借りた彼女は、街の人の役に立ちたいと願い、ホウキに乗って宅配便を始める。欧州の港街風のローカルな町を舞台にした、住民と魔女見習いとの、温かな心の交流。

「紅の豚」(☆)
かつてイタリー軍に所属していた戦闘機乗り、ポルコ・ロッソ(即ち紅の豚だ)は本当はマルコという名前の人間だ。しかしその本当の姿を見る事は滅多に出来ない。空賊や、政府軍との戦いで、アドリア海上空を駆けめぐる豚が、中年男性の夢と、大空への賛歌を代表する。豚が酒場に入っていっても誰も驚かない。一瞬、人間に戻るシーンもある。

「火垂るの墓」(☆☆)
原作は野坂昭如。戦時中に栄養失調で亡くなった子供のレクイエム。私などは、余りに可哀相で泣けて困った。米国人にも見せて、戦争の本当の犠牲者は日本の国民だという事を理解させたいものである。

「銀河鉄道の夜」(☆)
原作は宮沢賢治だが、猫を主人公に上手にアニメ化している。

「アラジン」(☆☆)
魔法の壺から飛び出す魔法使い(ジニー)の声優に、ロビン・ウィリアムス。漫画の顔もそっくりだ。他に「リトル・マーメイド」もある。しかしディズニー・アニメの主人公は、どうしてああも眉毛が下がり、目尻がつり上がっているのだろうか。

「美女と野獣」(☆☆)
アカデミー賞作品賞にノミネートされたアニメはこれが初めて。音楽は賞を取った。

「キャスパー」(☆)
子供のお化けキャスパーは、少女を悪い幽霊達から守ろうとする。キャスパーの願いとは何か。アニメと実写の合成。他にアニメと合成の映画には「誰がロジャー・ラビットを殺したか」がある。但し同様の映画「スーパー・マリオ」は全く頂けない。

「トイ・ストーリー」(☆☆)
絵ではなく、実写でもない、全編CGによるアニメ。これもコンビューター・メーカーの社員必見の映画。2も出ている。同じスタジオで「モンスターズ・インク」もあるが、前評判ほどではない。

「シュレック」(☆☆)
これもモンスターが主役だが、至って呑気で気のいい怪物が、チビでズル賢い王の代わりにお姫様を助けに行くというストーリー。声優として、エディー・マーフィーや、キャメロン・ディアスを揃え、大人が見ても十分に楽しい映画に仕上がっている。新しいアニメの方向を示唆する作品となっている。



「特選スター、アクトレス編」

「キャサリン・ヘップバーン」Katharine Hepburn 1907年生まれ
ペンシルバニア州の名家の出身。「モーニング・グローリー」でオスカー受賞。「アフリカの女王」、「旅情」、「去年の夏、突然に」、「冬のライオン」、等。神経質だが、知的な雰囲気。父親は学者で、東大に招かれ、日本にヘボン式(ヘップバーンがなまった)式ローマ字を導入した人とのこと。

「エリザベス・テイラー」Elizabeth Taylor 1932年生まれ
米国人女優としては珍しい黒髪。1950-60年代は衝撃的(ストライキング)な美しさと言われたが、私生活がマイナスとなった。「若草物語」の後、「太陽のあたる場所」で大人の役を認められる。「バターフィールド8」の高級娼婦役でオスカー。他に「熱いトタン屋根の上の猫」、「バージニア・ウルフなんか怖くない」、「ジャイアンツ」、「去年の夏突然に」、「クレオパトラ」等多数。

「バーブラ・ストライザンド」Barbra Streisand 1942年生まれ
「ファニー・ガール」、「ハロー・ドーリー」、「追憶」、「スター誕生」、そして「サウス・キャロライナ」。財団を作って環境保護活動等で活躍。顔はファニー・フェイスだが、知性が豊か。映画ではないが、「ワン・ボイス」という、ワン・ウーマン・チャリティー・コンサートのレーザー・ディスクを見ると、シンプルな白のセーターと長めのスカート姿で、雰囲気は最高。

「キャスリン・ターナー」Kathleen Turner 1954年生まれ
「ロマンシング・ストーン」、「ローズ家の戦争」、「二つの脳を持つ男」(共演スティーブ・マーチン)、「ナイルの宝石」、「スウィッチング・チャンネル」の他に、女性探偵のウォーショースキーがある。米国女性特有の押しの強い感じの美人。しかしいくら歳を取ったといっても、「シリアル・ママ」は最悪。母親の役は似合わない。

「メグ・ライアン」Meg Ryan 1962年生まれ
「トップ・ガン」、「インナースペース」、「めぐり逢えたら」(「スリープレス・イン・シアトル」共演トム・ハンクス)、「キスへのプレリュード」等。ベビー・フェイス系としては、ゴールディー・ホーンよりアクが少ない。お勧め映画は「恋人たちの予感」と、ケビン・クラインと共演の「フレンチ・キス」、そして「戦火の勇気」。唇の形が良い。

「ジョディー・フォスター」Jodie Foster 1962年生まれ
「タクシー・ドライバー」でデビュー。「告発の行方」(原題「アキューズド」)でレイプの被害者を演じ、オスカー受賞。「羊たちの沈黙」で大ヒット。「リトルマン・テイト」が監督第一作。最近ではカール・セーガン原作の「コンタクト」がある。但し、この映画ではやや演技過剰気味。いかにも癇の強そうな容貌には、好みも分かれそうだ。最近では「パニック・ルーム」がある。知的で魅力があるが、発音があまり良くない。

「グウィネス・パルトロウ」1973年生まれ
壮途は見えないが実は米国出身。「セブン」にも出演。「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー賞。日本人から見ればファニー・フェイスだが気品も感じられる。今後の成長に期待。

「リヴ・タイラー」1977年生まれ
現代の美人系女優のナンバー・ワン。「アルマゲドン」、「ロード・オブ・ザリング」。今様リズ・テイラーだ。

「キャメロン・ディアス」1972年生まれ
美人ではないが、印象が強くて一度合ったら忘れられないタイプ。「メリーに首ったけ」、「チャーリーズ・エンジェル」、「バニラ・スカイ」。「マスク」でデビューとは知らなかった。

「コニー・ニールセン」1965年生まれ
デンマーク出身。「グラディエーター」の憂いを含んだ皇太子の異母姉妹の役は忘れ難い。

「クリスティン・スコット・トーマス」1960年生まれ
貴族的な雰囲気。「イングリッシュ・ペイシェント」の悲劇のヒロイン。繊細かつ芯の強いマチュアな女性をうまく表現。女性の持つ、ある種類の美の頂点でもある。「モンタナの風に抱かれて」では、いささか老人ぽくなったロバート・レッドフォードと共演している。

「ジュリエット・ビノシェ」1964年生まれ
現代を代表する女優の一人。言わすとしれた「ショコラ」の他に、アカデミー賞を取ったの「イングリッシュ・ペイシェント」の看護婦役だ。
 
「イングリッド・バーグマン」Ingrid Bergman 1915-1982
「カサブランカ」、「誰か為に鐘はなる」くらいしか見ていないが、マイナーなオムニバス「黄色いロールスロイス」にも出ていた。「オリエント急行の殺人」ではオスカー助演賞ノミネート。高貴な雰囲気。「アナスタシア」(オスカー受賞)は適役だったろうと思われる。

「オードリー・ヘップバーン」Audrey Hepburn 1929年
ベルギー、ブラッセル生まれ
「ローマの休日」、「ティファニーで朝食を」、「オールウェイズ」。一時メル・ファーラーと結婚。他に「麗しのサブリナ」、「許されざる者」、「昼下がりの情事」(ラブ・イン・ジ・アフタヌーン)、「戦争と平和」、「シャレード」、「マイフェア・レディー」、「暗くなるまで待って」等名作がずらり。エレガントかつ妖精的な魅力。

「マリリン・モンロー」Marilyn Monroe 1926-1962
本名ノーマ・ジーン(同名の映画もある)。金髪、青い瞳、曲線的なスタイル。「ナイアガラ」、「紳士は金髪がお好き」、「帰らざる河」、「百万長者と結婚する方法」、「バス・ストップ」、「お熱いのがお好き」(サム・ライク・イッツ・ホット)、「荒馬と女」等。悲劇的かつ謎めいた死をとげた。犯人はJ.F.K又はその側近というのが定説。グラマーな女性が好みでない人でも、彼女の女性的な魅力は否定出来ないだろう。

「メリル・ストリープ」Meryl Streep 1949年生まれ
メリルは、本名のメアリー・ルイーズをつなげたもの。湯上がりのようなヌルッとしたイメージを嫌う人もいる。私にとっては顔だちより、発声が不明確で聞き取りにくい事が最大の欠点。「クレイマー・クレイマー」、「恋に落ちて」、「愛と哀しみの果て」、「永遠に美しく」(不死の悲劇、駄作)、「激流」(ボートの急流下り)、そして「マディソン郡の橋」。コメディーには向かない。

「デミ・ムーア」Demi Moore 1962年生まれ
とにかく「ゴースト」。他に「絶叫屋敷にいらっしゃい」、「ディスクロージャー」等。「素顔のままで」と「陪審員」は失敗作。やや暗い感じのエキゾティックな雰囲気。「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスと結婚している。

「シガニー・ウィーバー」Sigourney Weaver 1949生まれ
ば変な名前だが、ウィーバーは本名で、シガニーは「華麗なるギャツビー」から取ったという。なんといってもまずは「エイリアン」。しかし坊主頭の三作目は失敗。いつもきつい役だが、「デーブ」では女性的魅力も見せている。「ゴーストバスターズ」、「霧の中のゴリラ」、「ワーキング・ガール」、「デーブ」(ファースト・レディーの役)、「コビー・キャット」(非推薦)等。

「ジュリア・ロバーツ」Julia Robarts 1967年生まれ
リチャード・ギアと共演の「プリティー・ウーマン」が大ヒット。「フラットライナーズ」、「スリーピング・ウィズ・エネミー」、「愛の選択」、「ペリカン文書」等がヒット。口の大きい、ファニー・フェイスの美人だ。「エリン・ブロンコビッチ」ではグラマーな女性も演じている。

「キャサリン・ゼータ・ジョーンズ」1969年生まれ
ご承知のように大分歳の離れたマイケル・ダグラスとの結構で話題になった。モデル出身の美人でグラマーな女優ょの代表の一人。ショーン・コネリーとの「エントラップメント」の印象が強いが「トラフィック」でマイケル・ダルラスと共演。果たして性格俳優に脱皮出来るのだろうか。


「マリー・エリザベス・マストラントニオ」Mary Elizabeth Mastorantonio 1958年生まれ
長い名前で覚えにくい。ルーツはイタリア。ケビン・コスナーと共演の「ロビン・フッド」、「アビス」、ジーン・ハックマンと父子の弁護士を演じる「クラス・アクション」等。中堅の一翼を担う。

「キム・ベイシンガー」Kim Basinger 1953年生まれ
金髪の美女だが、あまりセクシーな感じがしない。「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」でボンド・ガール。「バットマン」、「花嫁はエイリアン」(共演、ダン・エイクロイド)、の他アレック・ボールドウィンと共演の、結婚を繰り返す「あなたに恋のりやれい」が面白い。なおこの二人は実生活でも夫婦である。あまり特徴のないブロンド女優という印象しかなかったが、「LAコンフィデンシャル」で薄幸の娼婦を演じて、美しさに脱帽。

「メラニー・グリフィス」Melanie Griffith 1957年生まれ
ティッピー・ヘドレンの娘。ドン・ジョンソンと結婚。「ワーキング・ガール」、「虚栄のかがり火」、「パシフィク・ハイツ」等。ちょっと反応の遅い美人役が多い。

「アネット・ベニング」Annette Bening 1959年生まれ
ダン・エイクロイドのコメディー「グレート・アウトドアーズ」でデビュー。ハリソン・フォードとの「心の旅」等に出演。佐久間良子(古い)風美人。よりにもよって、「バグジー」で共演した、女性遍歴で悪名高いウォーレン・ビーティーなどと結婚。

「サンドラ・ブロック」Sandra Bullock
若い世代を代表する、爽やかで優しい感じの女優。「スピード」で一躍スターダムに。「あなたが寝てる間に」がお勧め。

「ウィノナ・ライダー」Winona Ryder 1971年生まれ
「ビートルジュース」、「シザーハンズ」、「ドラキュラ」(非推薦)等。ポスト・ブルック・シールズの最有力候補。顔だちは古風。万引きの裁判で評判になってしまった。

「キャシー・ベイツ」Kathy Bates
性格俳優。なんといっても「ミザリー」のアニー・ウィルクス役が凄い。当然オスカー受賞。共演はジェイムス・カーン。そのほかには「フライド・グリーン・トマト」や「黙秘」(原題「ドロレス・クライボーン」)等。「ミザリー」と「黙秘」はミステリー・ファンには特にお勧めのクライム・ムービー。

「ウーピー・ゴールドバーグ」Whoopi Goldberg 1949年生まれ
コメディアン。「カラー・パープル」で映画デビュー。「ゴースト」でアカデミー助演賞。他に電子メールをテーマにした「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」がある。オスカーを2度受賞し、アカデミー賞授賞式の司会も経験している。最近の作品ではえせシスターの「天使にラブソングを」や、バスケットボールのコーチの「エディー」がある。

「スーザン・サランドン」Susan Sarandon 1946年生まれ。
中年の実力派。「テルマとルイーズ」等を見ても演技力に不足はない。「デッドマン・ウォーキング」でオスカー受賞。

「ジェシカ・タンディー」Jessica Tandy 1909-1995
これ以上の老女役は当分出ないだろう。「ドライビング・ミス・デイジー」でオスカー。他に「コクーン」、「東8番街の奇跡」等。しかし芸歴が長いだけに、「欲望という名の電車」にも出演。他には「ガープの世界」、「フライド・グリーン・トマト」等。



「その他の気になる名アクトレスと推薦作品」

「カトリーヌ・ドヌーブ」
「昼顔」虚無的な美しさ

「スーザン・ヘイワード」
「ボー・ジェスト」、「私は死にたくない」(米国司法制度の不備をつく)

「ジュリー・アンドリュース」
「サウンド・オブ・ミュージック」、「メリー・ポビンズ」さっぱりし過ぎて、あまり女らしさを感じないといえば失礼にあたるか。

「フェイ・ダナウェイ」
「俺たちに明日はない」、「華麗なる賭」、「男と女の名誉」

「ジーナ・デイビス」
「テルマとルイーズ」、「カットスロート・アイランド」、「ロング・キス・グッドナイト」(非推薦。ストーリーがいい加減で、メイクアップはホラーに近い)

「シャロン・ストーン」
「氷の微笑」、「硝子の塔」(非推薦)、「悪魔のような女」(非推薦)、「シザース」(非推薦)、「分かれ路」(原題「インターセクション」共演リチャード・ギア)、「スペシャリスト」等。現代のセックス・シンボルだが、何気ない役の方が美しさが際立つ。

「マデリン・ストウ」
「ラスト・オブ・モヒカン」、「リベンジ」(共演ケビン・コスナー)、「不法侵入」、「バッド・ガールズ」(非推薦)。けむった謎めいた煙った眼差しが特徴。

「ミシェル・ファイファー」
「バットマン」のキャット・ウーマン他

「ニコル・キッドマン」
「遙かなる大地」、「バットマン」、「或る貴婦人の肖像」等。「ムーラン・ルージュ」ではユアン・マクレガーと共に歌える俳優である事を披露した。新感覚スリラー「アザーズ」では英国の英語を話しながら、殆ど独り舞台。

「マドンナ」
「ディック・トレイシー」、「エビータ」(非推薦)

「ベット・ミドラー」
「フォー・エバー・フレンド」、「イーストウィックの魔女達」、太めだが、歌唱力は最高。人柄は良いのか悪いのか、そこまでは分からない。
他にも多くの美人、又は名アクトレスがおります。



「特選スター、アクター編」

「スティーブ・マックィーン」Steve McQueen 1930-1980
亡くなって久しいマックィーンだが、古くはTV映画「拳銃無宿」のジョッシュ・ランダルから、「大脱走」、「荒野の七人」を経て、「ブリット」、「ネバダ・スミス」、「ル・マン」、「タワーリング・インフェルノ」と、ずっとアクション・スターのトップの座を維持していた。大作ではダスティン・ホフマンと共演の脱獄もの「パピヨン」がある。一方ロマンスにはやや不向だが、フェイ・ダナウェイと共演の「華麗なる賭」もある。BK映画、筋はともかく主題曲「風邪の囁き」が良い。「シナシナティ・キッド」では、エドワード・G・ロビンソン演じるミソネソタ・ファッツを相手にした、カードの勝負師。「ある愛の詩」の大根女優、アリ・マグローと共演したのが「ゲッタウェイ」。整ってはいないが、一見飄々とした男くささと、清々しさが持ち味。

「ポール・ニューマン」Paul Newman 1925年生まれ
「ハスラー」当時は、精悍でニヒルな感じで、あまり好きになれなかったが、「スティング」や「明日に向かって撃て」で、独特の魅力が出て来た。トム・クルーズと共演の「カラー・オブ・マネー」、即ち「ハスラー2」がお勧め。なお他の作品に「熱いトタン屋根の上の猫」、「左利きの拳銃」、「栄光への脱出」等もある。最近では頑固な老人役を演じた「ノーバディー・イズ・フール」という映画もあるが、特にニューマンでなければとは思わない。

「マイケル・ダグラス」Michael Douglas 1944年生まれ
カーク・ダグラスの息子の一人。ルックスは取り立ててどうという事はなく、父親に似ているが、彼の主演する映画は外れが少ない。「ウォール・ストリート」のゲッコー役でオスカー。「ローズ家の戦争」、「ロマンシング・ストーン」、「ナイルの宝石」、「危険な情事」(共演グレン・クロウズ)、「ブラック・レイン」、「ディスクロージャー」、「アメリカン・プレジデント」、「ゲーム」、「トラフィック」、「サシンド・オブ・サイレンス」と飽くまで現役を続けるつもりのようだ。なお、「カッコーの巣の上で」は彼のプロデュース作品。

「ハリソン・フォード」Harrison Ford 1942年生まれ
大工出身のスター。出世作は「スター・ウォーズ」のハン・ソロ役だが、当時は未だ粗野な雰囲気が残っていた。しかしその後どんどん洗練されて、今や世界のトップ・スター。他には「インディアナ・ジョーンズ」、「ブレード・ランナー」、「目撃者ジョン・ブック」、「モスキート・コースト」、「パトリオット・ゲーム」、「いまそこにある危機」、「逃亡者」、「デビル」等、殆どがヒット。但しあまりロマンスものは得意ではなく「サブリナ」ではかなりギクシャクした感じだ。「エア・フォース・ワン」の宣伝で来日した時のインタビューでは、自分は役者に徹し、監督はしないと言っていた。

「ロバート・デ・ニーロ」Robert De Niro 1943年生まれ
アル・バシーノと同様、「ゴッド・ファーザー」で有名になったが、この人の役作りに懸ける熱意は並大抵のものではない。「アンタッチャブル」では実際に太ったし、オスカーを取った「レイジング・ブル」ではスタントなしでボクシングで打たれている。他に「タクシー・ドライバー」、「ミッドナイト・ラン」、「ディア・ハンター」、「恋に落ちて」、「アウェイクニング」、「グッドフェラス」、「推定無罪」、そして「バック・ドラフト」や、最近では「スリーバーズ」もある。コメディーでは「俺たちは天使じゃない」がある。芸域が広いが、中でも私の推薦は「ミッション」だ。この人に悪役をやらせても、どことなく人情味が残って、悪者にはなりきれない感じもする。だから「ケープ・フィアー」(以前ロバート・ミッチャムが主演した映画のリメイク)でもあまり凄味が感じられなかった。「フランケンシュタイン」は完全な空振りだ。アル・パシーノが刑事、デ・ニーロが犯人(これは逆が当然だと思うが)になる、二大スター共演の「ヒート」は、前評判程の出来ではないが、見て損をしたという程ではない。むしろ「ミート・ザ・ペスアレンツ」の頑固な父親役が必見だ。

「アンディー・ガルシア」Andy Garcia 1956年キューバ生まれ
「ゴッドファーザー」等、マフィア映画に出演しているが、バランスの取れた渋い二枚目の魅力という点で、最注目株。最近では「デンバーに死す」があり、一応お勧め。ダスティン・ホフマンとの共演作に「ヒーロー」があるが、ここでは三枚目的な役作り。

「ケビン・コスナー」Kevin Costner 1955年生まれ
スペリング通りならコストナーだが、Tは聞こえない。ジーン・ハックマンとのスパイ映画「ノー・ウェイ・アウト」が初期の作品ではお勧め。やや芋っぽいところもあるが、瞬く間に女性ファンの人気を獲得。また自分で監督した「ダンス・ウィズ・ウルブス」では、ただの二枚目スターでない事も証明した。当たり外れも多く、当たりは「ボディー・ガード」、「フィールド・オブ・ドリームス」、「アンタッチャブル」、「ブル・ダーラム」(野球映画)、外れは「ティン・カップ」(プロ・ゴルファー)、「リベンジ」、「パーフェクト・ワールド」(誘拐犯の役)、「ウォーター・ワールド」、「ワイアット・アープ」(長過ぎる)。どちらともつかないのが「ロビン・フッド」。最近腹が少々出てきたのが気になる。ゴルフの腕前は80台らしいが、それも「ティン・カップ」の撮影の為に少々練習しただけだというから羨ましいような話。「スコーピオン」で無慈悲(徹底的にという訳ではないのだが)な悪役を演じている。
「ジーン・ハックマン」Gene Hackman 1930年生まれ

フレンチ・コネクション」の刑事ポパイ・ドイル役でオスカー受賞。「俺たちに明日はない」にも出演。推薦映画は「ポセイドン・アドベンチャー」。他にアル・パシーノと共演の「スケア・クロウ」もある。多数の映画に出演しているが、例えば「ミシシッピー・バーニング」(人種差別もの)、「BAT21」(ベトナムもの)、「クリムゾン・タイド」、アクションで「ナロウ・マージン」、法廷もので「クラス・アクション」等がある。割合駄作が少ないが、それでも「スーパーマン」の悪役は頂けない。イーストウッドの「許されざる者」では仇役でアカデミー助演賞を獲得。舞台俳優でもあり、彼の「死と乙女」を見ようと、ブロードウェイに向かう途中、私はひったくりにあって、結局見られなかった。なお最近の映画では、ロビン・ウィリアムズ主演のオカマ映画「バード・ケージ」(お勧めしない)にも共演して、女装しているが、極端に気色悪い。「エネミー・ライン」では最も似合う軍人の役だが、映画そのものはつまらない。

「クリスチャン・スレイター」Christian Slator 1969年生まれ
クールなアクション俳優。「トゥルー・ロマンス」や「ブロークン・アロー」等。弁護士ものでは「告発」がある。私の好きな俳優の一人だが、「スコービオン」では登場早々に殺されてしまう。

「エミリオ・エステベス」Emilio Estevez 1962年生まれ
「ヤング・ガン」、「俺たちは天使じゃない」、「メン・アト・ワーク」等。最近では花屋をテーマにしたロマンス映画「マンハッタン花物語」がある。

「ジョン・キャンディー」John Candy 1950-1995
太めの役者で、探偵役のコメディー映画「フーズ・ハリー・クラム」があるが、迷惑な居候を描いた「アンクル・バック」が代表作。「オンリー・ザ・ロンリー」は変にまじめかつ陰気な映画で、勧められない。推薦の「大災難P.T.A」は一度お試し頂きたい。「ホーム・アローン」では終わり頃に、太めの楽団員で登場。残念ながら心臓病で亡くなった。

「チェビー・チェイス」Chevy Chase 1944生まれ
「スパイ・ライク・アス」や、「バケイション」、「ファニー・ファーム」、「クリスマス・バケイション」等の一連の風刺コメディーものや「サボテン・ブラザース」で活躍。とぼけた中にも、したたかな持ち味。

「 マット・デイモン」1970年生まれ
「グッドウィル・ハンティング」で主演し、アカデミー賞脚本賞を受賞。「戦火の勇気「」、「レイン・メーカー」、「ラウンダース」等。しかし「ドグマ」は聖書等拝見が分からないと理解しにくいし、「リプリー」のセンスになるともっと日本人には分からない。「プライベート・ライアン」のライアン二等兵でもある。現代を代表する若手俳優の一人。

「ベン・アフレック」1972年生まれ
「グッドウィル・ハンティング」では脚本賞をマット・デイモンと分けた。もう一人の若手俳優の代表選手。やや面長にも感じられるが、「パール・ハーバー」では主役だった。他に「グッドウィル・ハンティング」、「アルマゲドン」等。

「ケビン・スペイシー」1959年生まれ
私が最初にその存在に気づいたのは「セブン」。他に「ユージァル・サスペクツ」、「LAコンフィデンシャル」、「項少弐君」とあくしょん映画偽ゅ出て、記憶に残るのが「アメリカン・ビューティー」、「ペイ・フォワード」だが、近作では「K-PAX、光の旅人」がある。「シッピング・ニュース」にも出演。現代を代表する俳優の一人。

「ラッセル・クロウ」1964年生まれ
とにかく「グラディエーター」だが、「インサイダー」は映画そのものが面白くなかった。「ビューティフル・マインド」では一件粗削りな俳優が、こういう役もやれるという事を証明。他に「LAコンフィデンシャル」等。

「ジョージ ・クルーニー」1961年生まれ
ファン投票で、最もセクシーな独身男性俳優に選ばれた。TVシリーズ「ER」で有名になったが、最近作「オーシャンズ11」(「オーシャンと11人の仲間」のリメイク版)は失敗作。ブラピ、ジュリア・ロバーツ等有名所を揃えただけで、出来はいま一つ。クルーニーに関して言えば金閣、「オー・ブラザー」(コメディー)の方が映画としてはよほどましである。

「グレゴリー・ペック」Gregory Peck 1916生まれ
最近の人にはあまり縁がないが、知的で意志の強そうなマスクが特徴。出演映画多数で、「ローマの休日」、「眼下の敵」、「白鯨」、「多いなる西部」、「ナバロンの要塞」から「オーメン」等というホラー映画迄枚挙に暇なし。「渚にて」は言うに及ばずだが、特に演技面で高く評価出来るのは、人種問題を取り上げた「アラバマ物語」の弁護士役で、オスカーも獲得。

「ヘンリー・フォンダ」Henry Fonda 1905年生まれ
この人以上に、信頼感溢れる保安官の役がはまる役者を知らない。「イージー・ライダー」のビーター・フォンダ、「ドクトル・ジバゴ」のジェーン・フォンダの父親でもある。「荒野の決闘」、「ワーロック」、「西部開拓史」等西部劇にも多数出演。戦争映画では「史上最大の作戦」等。私が気に入っているのは、実は映画ではなくTVの西部劇のシリーズ「連邦保安官」だ。他に「11人の怒れる男」は自分でプロデュースもしており、今見ても面白い。他に「怒りの葡萄」、「ミスター・ロバーツ」等、名作の枚挙に暇がない。「戦争と平和」にも出ており、確か眼鏡をかけたピョートル役で、原作のイメージには合わないミス・キャストだった。

「チャールトン・ヘストン」Charlton Heston 1924生まれ
ノースウェスタン大卒。史劇の貴公子。ヘストンのいない「十戒」、「ベン・ハー」は考えられない。他には「地上最大のショウ」、「遙かなる地平線」、「猿の惑星」、「大いなる西部」、「カーツーム」、「ダンディー少佐」、「北京の55日」、「ソイレント・グリーン」、「エアポート75」等スペクタクルな映画が多い。しかし結構最近の映画にもチョイ役で出ている事があるので、注意していると面白い。

「ユル・ブリンナー」Yul Brynner 1915-1985シベリア生まれ
「王様と私」ではタイの国王になり、スキン・ヘッドも様になったが、そのままの頭で「荒野の七人」にも登場。更に「荒野の七人」の格好のまま「ウェスト・ワールド」のロボット役で出演。無論「十戒」では欠かす事の出来ない、エジプト王の役。「荒野の七人」で凄味のきいた笑顔をみせているが、淀川長治氏はセクシー(男の色気か)だと批評している。

「カーク・ダグラス」Kirk Douglas 1916年アムステルダム生まれ
推薦映画では「スパルタカス」を入れたが、西部劇でも大スター。「OK牧場の決闘」のドク・ホリディや「ガンヒルの決闘」等。「チャンピオン」のボクサー役で名声を確立。他には「バイキング」、「海底2万リーグ」、「ユリシーズ」、「5月の7日間」(米軍のクーデターを描く)、「テレマークの要塞」、「タフガイ」(ムショを出た年寄りギャング達の冒険を描く、共演はバート・ランカスター)等多数。顎のくぼみがトレード・マーク。

「バート・ランカスター」Burt Lancaster 1913年生まれ
サーカス出身の俳優で実際に「地上最大のショウ」等にも出演。「地上より永遠に」が有名。なお娯楽西部劇の大作「ベラクルス」(共演ゲイリー・クーパー)では黒づくめの衣装で、にやっと笑う白い歯が印象的。他に「薔薇の刺青」、「OK牧場の決闘」、「エルマー・ガントリー」、「許されざる者」、「ニュールンベルグ裁判」、「5月の7日間」(将軍役)、「プロフェッショナル」、「カサンドラ・クロス」、「タフ・ガイ」等。他にナチスが奪おうとする絵画を列車ごと奪回する為の作戦をめぐらし、特撮が発達していない時代なので、実際に機関車同士を衝突させる「大列車作戦」にも主演していた。

「リチャード・ウィドマーク」Richard Widmark 1914年生まれ
表現は悪いが、かめばかむほど味の出るキャラクター。米国で「ルーシー・ショウ」のリバイバルをTVで放映しているのを見ていたら、ゲスト出演していた。コメディーなのにやたら生真面目だったのが印象に残る。「ニュールンベルグ裁判」の弁護士、「ワーロック」、「アラモ」、「5月の7日間」、「オリエント急行の殺人」等。

「アンソニー・クイン」Anthony Quinn 1915年メキシコ生まれ
いかにもギリシャ人という感じだが実はアイリッシュ・メキシカン。なにしろ「道」の演技が不滅で、今だ本人がこれを超えられないのではないかと思う。老人になってもあまり変わらない。もう一つの名作が「その男ゾルバ」(ただしこのストーリーは、私は納得出来ない)。他には「ナバロンの要塞」、「アラビアのロレンス」、「日曜日には鼠を殺せ」等戦争映画や、西部劇では「ワーロック」、他に「砂漠のライオン」、「リベンジ」等。芸歴が長いだけに出演映画も多数。

「クリント・イーストウッド」Clint Eastwood 1930年生まれ
TV映画、ローハイドではフェイバーさんの補佐役、ロディ・イェイツの役だった。その後マカロニ・ウェスタンで活躍。しかし6連発から機関銃のように弾丸の飛び出す射撃シーンは、リアリティーが無さ過ぎて、私はマカロニ・ウェスタンは余り見ていない。西部劇では、その後の「ペイル・ライダー.」の方が良い。「ダーティー・ハリー」でスターの座を築いた。カリフォルニア州カーメルの市長も勤めた事がある。他にアクション映画として、「ガントレット」や、「アルカトラスからの脱獄」、「ファイアー・フォックス」等がある。ケビン・コスナーの「パーフェクト・ワールド」にも出演。彼はまじめな作品にも取り組んでおり、アフリカでの娯楽ハンティングを批判した「ホワイト・ハンター・ブラック・ハート」等という映画もあるが、映画としてはあまり感心出来ない。いつも無口な役ばかりだが、最近の「マディソン郡の橋」、「シークレット・サービス」、「目撃」(原作と筋が違う)では渋い味も出している。監督としては問題なく一流。

「フランク・シナトラ」Frank Sinatra 1915年生まれ
スーパー歌手だが、映画にも多数出演。「地上より永遠に」でアカデミー助演賞も受賞。しかし体当たりである事は認めても、あの演技が受賞に値するのかどうか私には良く判らない。他に「黄金の腕」、「錨を上げて」、「上流社会」、「オーシャンと11人の仲間」、「荒野の3軍曹」、「ニューヨーク・ニューヨーク」等、ミュージカルの方が楽しめる。しかし私が最も気に入っている映画は「ライアン特急」(フォン・ライアンズ・エクスプレス)である。収容所から列車でスイスに逃亡しようとする兵士達のリーダー役。青い眼で磁石のように多くの女性ファンを魅きつけたと米国の解説書にある。

「トム・クルーズ」Tom Cruise 1962年生まれ
米国の女性にはその甘いマスクで絶大な人気を誇る。米国の映画館で、「トップ・ガン」を見に行ったら、若い女の子達が、字幕に名前が出ただけでキャーキャー言っていた。それに対して、今度は若い野郎共がひがんでブーイングしていた。人気がある割合には謙虚で、より無名の女優である奥さんのニコル・キッドマンには頭が上がらない。両者共演の「遙かなる大地へ」は土地取り競争がテーマで健全映画。でもあまり深刻な役は似合わない。「7月4日に生まれて」ではアカデミー賞を逸している。主演作は「トップ・ガン」(共演のケリー・マギリスが成熟した女性の魅力)の他に、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイヤ」、「ミッション・インポシブル」等。一つを選べば、やはり「ア・フュー・グッドメン」か、「法律事務所、ザ・ファーム」という事になろう。学生の雰囲気の抜けないスターだが、「ハスラー2」ではポール・ニューマンを食ったと言われている。他にダスティン・ホフマンと共演の「レインマン」や、「リスキー・ビジネス」、「カクテル」、最近では「ザ・エイジェント」で主演男優賞の候補となったが、この映画自体、日本人の共感を呼び難いものがある。「バニラ・スカイ」では大分オスカーに近づいたようだ。

「メル・ギブスン」Mel Gibson 1956年生まれ
ご存じ「マッド・マックス」でさっそうと銀幕に登場したアクション・スター。オーストラリアで演劇を学ぶ。米国の女性をして、最もセクシーな男優と言わせしめたが、額の皺は年々深くなるようだ。「リーサル・ウェポン」等、軽い役の方が良く、「ハムレット」のハムレット役は成功とは言えない。「ブレイブ・ハート」でオスカー。他に「エアー・アメリカ」、「バーズ・オン・ワイヤー」(共演ゴールディー・ホーン)等。最近の作品ではタイム・マシンものの「フォーエバー・ヤング」が割合面白いが、「顔のない天使」と「身代金」は余りお勧め出来ない。

「リチャード・ギア」Richard Gere 1949年生まれ
人権運動家でもある。一般的には「愛と青春の旅だち」の士官服姿が極めつけという事になっているようだが、この映画、実はとんでもないシーンもある。私はその神経質な雰囲気がいま一つ好きではない。「ガラスの微笑」、「真実の行方」等、知的だが、いつもキレそうな役ばかりだ。推薦は「ジャック・サマースビー」、「プリティー・ウーマン」、「分かれ路」。

「トム・ハンクス」Tom Hanks 1956年生まれ
青年の身体と、少年の心が入れ代わった「ビッグ」でヒット。喉に掛かった声はやや聴きづらい。ヒット作は多く、「スプラッシュ」(人魚)、「フォレスト・ガンプ」(オスカー受賞)、ゲイとエイズをテーマにした「フィラデルフィア」(これもオスカー)、「アポロ13」等。コメディーでは「マネー・ビット」、「ドラグネット」等があるが「パンチライン」(米国風漫才)は余り面白くない。警察犬と共演の「K9」(「ターナーとフーチ」)や、共演のメラニー・グリフィスがセクシーな「虚栄のかがり火」もあるが、特にお勧めしない。「プライベート・ライアン」で戦争映画に挑戦。

「アーノルド・シュワルツェネッガー」Arnold Schwarzeneggar 1947年オーストリア、グラーツ生まれ
長ったらしい名前だが、日本ではシュワちゃんで通る。ミスター・ユニバース3回経験のムキムキマン。「勇士コナン」(駄作)でヒット。それ以来タフなアクション・スター一筋で「コマンドー」、「プリデーター」がある。「ターミネイター」の「アイル・ビー・バック」の台詞が有名。「T2」は大ヒットだが、他に「トゥルー・ライズ」、「トータル・リコール」(火星を舞台にしたSF)、「イレイザー」等もある。但し「ラスト・アクション・ヒーロー」は完全な失敗作。軽い味の映画も好きなようで「ツインズ」、「キンダーガーデン・コップ」(一応お勧め)、等。但し「ジングル・オール・ザ・ウェイ」は駄作。一見人が良さそうな点で、一見人の悪そうなスタローンより有利。

「アル・パシーノ」Al Pacino 1940年生まれ
「ゴッドファーザー」が出世作だが、私はこの映画はあまり好きではない。理由は前書きを参照されたい。但し、ギャング映画全てを否定する訳でもない。推薦は、「スケアクロウ」、「セント・オブ・ウーマン」、「カリートの道」。米国でヒットしたらしい「摩天楼を夢見て」(原題「グレンガリー・グレン・ロス」)は日本人には馴染みにくい映画だ。他に「スカーフェイス」、「ヒート」等がある。

「マイケル J.フォックス」Michael J. Fox 1961年生まれ
英国出身のような気がするが、実はカナダ生まれ。TVの家族向け番組「ファミリー・タイズ」で人気を得た。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のヒットは彼の存在抜きでは考えられない。他には「バラ色の選択」、「ハード・ウェイ」、「ドク・ハリウッド」、「ライフ・ウィズ・マイキー」、「さまよう魂達」等があるが、皆似たような役柄の設定だ。深刻な役ではベトナム戦争ものの「カジュアリティー・オブ・ウォー」がある。しかし深刻な役は似合わないような気がする。最近見かけない。

「リチャード・ドレファス」Richard Dreyfuss 1947年生まれ
推薦映画の「オールウェイズ」で主演。それ以前では、「アメリカン・グラフィティー」、「ジョーズ」、「未知との遭遇」を経て、「グッバイ・ガール」で最年少オスカー受賞。しかし彼の味はむしろコメディーで生かされる。ビル・マレーと共演した精神病の医者(「ホワット・アバウト・ボブ」)だとか、競馬で一山当てようとする山師(「のるかそるか」(レット・イット・ライド))等が面白い。自分の先祖を題材にした「ドレファス事件」は失敗。最近のものでは老音楽教師役の「陽のあたる教室」がある。

「マイケル・キートン」Michael Keaton 1951年生まれ
「バットマン」のマスクは彼の為に作られたようなもの。「ガン・ホー」では米国に進出した日本の自動車メーカーの工場長役で奮戦。他に「スクイーズ」、「ビートルジュース(ベテルギウス)」、「ドリーム・チーム」(バスケットとは関係ない。精神薄弱のチームで大仕事)等。また「パシフィック・ハイツ」では悪役を案じるが様にならず。癌をテーマにした「マイ・ライフ」等もある。これという作品には恵まれない。こう特異な顔立ちだとなかなか合う役がないのかもしれない。

「ジョン・トラボルタ」John Travolta 1954年生まれ
「サタデー・ナイト・フィーバー」と「グリース」で一斉を風靡した後、しばらく振るわなかったが、赤ん坊のおしゃべりをテーマにした「ベイビー・トーク」でカム・バック。その後「パルプ・フィクション」ではチンピラ役で注目を集めた。「ブロークンアロー」では悪役だが、あまり迫力はない。他に「ゲット・ショーティー」等。私の推薦は「フェノメナン」で、純朴な青年を好演。「バトルフィールド・アース」では評判を下げた。

「ニコラス・ケイジ」Nicolas Cage 1964年生まれ
フランシス・コッポラの甥。「ペギー・スーの結婚」、「コットン・クラブ」、「ワイルド・アト・ハート」等、アクション映画が多い。シークレット・サービスの「不機嫌な薔薇」は一応お勧め。ロマンスでは「あなたに降る夢」があるが、雰囲気は今ひとつか。「リービング・ラスベガス」でオスカー獲得。最近ではアル・カトラスを舞台にしたアクション映画「ロック」がある。しかし私はコメディーの方が良いと思う。

「チャーリー・シーン」Charlie Sheen 1965年生まれ
「プラトーン」や「ネイビー・シールズ」等、戦争ものが多いが、「三銃士」等にも出て入る。どちらかというと、三枚目的な役が似合うが、まじめな役では「ウォール・ストリート」がある。コメディーでも「ホット・ショット」は少しふざけ過ぎで、エミリオ・エステベスと共演の、清掃局員を演じた「メン・アト・ワーク」の方が笑える。なおエステベスは実の兄弟で、「地獄の黙示録」や「アメリカン・プレジデント」のマーティン・シーンは父親である。

「カート・ラッセル」Kurt Russell 1951年生まれ
小さい頃から子役で出ていたようだ。「遊星からの物体X」(原題「ザ・シング」)はホラーだが面白い。他に大ヒット「バックドラフト」や、「ニューヨークからの脱出」、「スターゲイト」、最近作「エグゼクティブ・デシジョン」。マッチョ役も演じているが、あまり様になっていない。

「ロビン・ウィリアムズ」Robin Williams 1952年生まれ
コメディアン出身だが、まじめな映画も撮っており、その中では「今を生きる」(原題「デッド・ポーエット・ソサエティー」)が推薦。軽いタッチの「ジャック」もお勧め。「フィッシャー・キング」では、気のふれた教授の役。また「フック」では中年のピーター・バンを演じているが、この映画自体それ程面白いものではない。「ポパイ」も興行的に失敗。私は見ていないが、「ガープの世界」でヒット。他の作品としては「グッド・モーニング・ベトナム」(軍隊放送のアナウンサーの役)、「アウェイクニング」、「キャディラック・マン」(自動車のセールスマン)、女装の「ミセス・ダウト」、「ジュマンジ」等。全てが面白いという訳ではないが、平均点は高い。

「スティーブ・マーチン」Steve Martin1945年生まれ
「ロクサンヌ」、「ペアレントフッド」、「マイ・ブルー・ヘブン」、「大災難P.T.A」、「L.A.ストーリー」、「奇跡を呼ぶ男」、「花嫁の父」、「パパとマチルダ」等があり、面白い映画も多いが、くどい(或いはくさい)演技が鼻につく事がなきにしもあらず。

「ダン・エイクロイド」Dan Aykroyd 1952年カナダ生まれ
「サタデー・ナイト・ライブ」というTVのレイト・ショウからは多くのコメディアンが輩出した。ビル・マレー、エディー・マーフィー、そしてロビン・ウィリアムズ、スティーブ・マーチン等と共にエイクロイドもその一人だ。中でもエイクロイドは一番くせがなく、いろいろな映画に出ている。一番有名な「ゴースト・バスターズ」を別にしても、「ドラグネット」や、チェビー・チェイス、デミ・ムーアと共演の「絶叫屋敷にいらっしゃい」や、まじめなところでは「ドライビング・ミス・デイジー」がある。お勧めは「ブルース・ブラザース」。キム・ベイシンガーと共演の「花嫁はエイリアン」は肩の凝らない作品。

「ビル・マレー」Bill Murrey 1950年生まれ
「ゴースト・バスターズ」が有名だが、他に「スクルージド」、「ホワット・アバウト・ボブ」、「恋はデジャブ」がある。私はこの人のギャグはあまり笑えない。

「デンゼル・ワシントン」Denzel Washington 1954年生まれ
知的な印象の黒人俳優。南坊戦争を描いた「グローリー」(共演マシュー・ブロデリック)でオスカー。他に「マルコムX」、「ミシシッピー・マサラ」、「ペリカン文書」(共演ジュリア・ロバーツ)、「クリムゾン・タイド」(共演ジーン・ハックマン)、そして最近の「戦火の勇気」(共演メグ・ライアン)や、地上に戻った天使を演じる映画もある。しかし基本的にクールな役が多い。「トレーニング・デイズ」でオスカーを取ったが、悪役はやはり似合わない。「ボーン・コレクター」の方がスリラーとしても面白い。

「ダニー・グルーバー」Danny Glover 1947年生まれ
メル・ギブソンと共演の「リーサル・ウェポン」の黒人刑事役が有名。「プリデータ2」の警官役でも好演。他には「プレイス・イン・ザ・ハート」、「イントルーダー」(戦争映画)等。

「エディー・マーフィー」Eddie Murphy 1961年生まれ
「48時間」でスターの座についたが、「ビバリー・ヒルズ・コップ」と「星の王子ニューヨークへ行く」や「ゴールデン・チャイルド」を除けば、自身で監督、主演した、ヴァンバイヤもの、「ハーレム・ナイト」(ギャングもの)、「ブーメラン」、「ナッティー・プロフェッサー」、等は、余りお勧め出来ない。なお黒人のコメディアンでは他にビル・コスビーの味も捨てがたい。
 


「その他の名アクターと推薦作品」

「ハンフリー・ボガート」
「カサブランカ」、「アフリカの女王」、「マルタの鷹」

「アレック・ギネス」
「戦場に懸ける橋」、「スターウォーズ」

「ゲイリー・クーパー」
「真昼の決闘」、「誰が為に鐘はなる」、「ベラクルス」

「ジェイムス・スチュアート」
「裏窓」、「ウィンチェスター73」、「翼よ!あれが巴里の灯火だ」、「飛べフェニックス」、「西部開拓史」、「シェナンドー河」、「リバティー・バランスを射った男」

「アーネスト・ボーグナイン」
「マーティー」でオスカー。「地上より永遠に」で印象の強い悪役。他に「ボセイドン・アドベンチャー」、「飛べフェッルス」等で名脇役。

「マルチェロ・マストロヤンニ」
「異邦人」、「ひまわり」

「ジョン・ウェイン」
「アラモ」、「黄色いリボン」、「リオ・ブラボー」、「リバティー・バランスを射った男」、「アラスカ魂」、「史上最大の作戦」

「ジェームス・ディーン」
「ジャイアンツ」、「理由なき反抗」

「スペンサー・トレーシー」
「老人と海」、「ニュールンベルグ裁判」、「おかしな、おかしな、おかしな世界」

「マーロン・ブランド」
「ゴッド・ファーザー」(非推薦)、「片目のジャック」(西部劇)

「ショーン・コネリー」
「007シリーズ」、「アンタッチャブル」と「インディー・ジョーンズ」の名脇役。

「ピアース・ブロズナン」
「007」、「ダンテズ・ピーク」(火山の爆発シーン等どうやって撮影したのか判らないシーンもあり、特撮は見事だが、基本的に単純なパニック映画)

「オマール・シャリフ」
「アラビアのロレンス」、「ドクトル・ジバゴ」

「ロバート・レッドフォード」
「華麗なるギャツビー」(一応推薦)、「追憶」、「愛と悲しみの果て」、「明日に向かって撃て」、「スティング」、「ウォーターゲイト」、「ハッカー」

「ダスティン・ホフマン」
「クレイマー・クレイマー」、「レイン・マン」、「真夜中のカウボーイ」、「ヒーロー」、「アウトブレイク」

「ジャック・ニコルソン」
「カッコーの巣の上で」、「男と女の名誉」、「ア・フュー・グッドメン」

「シルベスタ・スタローン」
「ロッキー」、「ランボー」、「クリフハンガー」、「デモリションマン」、「スペシャリスト」、「デイライト」(NYのトンネル事故)

「パトリック・スウェイジー」
「ゴースト」、「ハート・ブルー」

「キアヌ・リーブス」
「スピード」、「ハート・ブルー」、「JMジョニー・ニーモニック」(SF、共演はなんとビート・たけし)、「雲の上で散歩」、そして「マトリックス」

「ブラッド・ピット」
「リバー・ランズ・スルー・イット」、「レジェンド・オブ・フォール」、「セブン」(非推薦)、「スリーパーズ」(非推薦)、「じょー・ブラックによろしく」、「メキシカン」

「ブルース・ウィリス」
「ダイ・ハード」、「スリー・リバース」、「12モンキーズ」、「フィフス・エレメント」

「ビリー・クリスタル」
「シティー・スリッカーズ」、「恋人達の予感」、アカデミー賞授賞式の名司会でもある。

「スティーブン・セガール」
「沈黙の戦艦」、「暴走特急」

「ロイ・シャイダー」
「ブルー・サンダー」(最強戦闘ヘリ)、「ジョーズ」、「2010年」

「トミー・リー・ジョーンズ」
「逃亡者」、「沈黙の戦艦」、「天と地」(ベトナム女性との結婚、オリバー・ストーン監督)、「ボルケーノ」、「MIB」(推薦)

「ニック・モラニス」
「ミクロ・キッズ」、「ゴーストバスターズ」、「リトルショップ・オブ・ホラー」、「マイ・ブルー・ヘブン」

「バート・レイノルズ」
「キャノンボール・ラン」

「ジャン・レノ」
「レオン」、「おかしな大追跡」

「ダニエル・デイ・ルイス」
「マイ・レフトフット」、「ラスト・オブ・モヒカン」、「父の祈りを」(アイルランドに対する英国の差別)

「ジェフ・ブリッジス」(ロイド・ブリッジスの息子の一人)
「フィッシャー・キング」、「白い嵐」、「トゥルー・グリッド」(西部劇、オスカー受賞)

「ジェフ・ゴールドブラム」
「インディペンデンス・デイ」、「ロスト・ワールド」(非推薦)、「ジュラシック・パーク2」

「マシュー・ブロデリック」
「ウォー・ゲーム」、「グローリー」、ブロードウェイのミュージカル、シークレット・オブ・マイ・サクセスにも主演し成功

「ジョン・グッドマン」
「オールウェイズ」、「アラクノフォービア」(毒蜘蛛恐怖症)、「ラルフ二世はアメリカン」、「フリント・ストーンズ」

「ケビン・ベイコン」
「フラットライナーズ」、「フュー・グッドメン」、「スリーバーズ」(非推薦)

「キーファー・サザーランド」
「ヤング・ガン」、「フラットライナーズ」、「三銃士」

「ケビン・クライン」
「ダイヤとワンダと優しいやつら」、「デーブ」、「フレンチ・キス」

「エド・ハリス」
「アビス」、「アポロ13」(茶髪似合わず)、「ロック」

「リアム・ニーソン」
「シンドラーのリスト」、「ダークマン」(非推薦)、そしてなにより「スターウォーズ1」

「ウィレム・デフォー」
「ホワイト・サンズ」、「イングリッシュ・ペイシェン、「スパイダーマン」の悪役はマスクが奇抜過ぎる。

「ウェズリー・スナイプス」
「パセンジャー57」、「ドロップ・ゾー、「ブレイド」

「アンソニー・ホプキンス」
「羊たちの沈黙」、「日の残り、「ハンニバル」、最近では「アトランティスのこころ」という佳作がある。

「クリストファー・ウォーケン」
「ディア・ハンター」、「バットマン」

「モーガン・フリーマン」
「ドライビング・ミス・デイジー」、「ロビンフッド」、「ショーシャンクの空に」、「サウンド・オブ・サイレンス」

「ロバート・デュバル」
「デイズ・オブ・サンダー」(非推薦)と「ゴッド・ファーザー」の名脇役

「デニス・ホッパー」
「トゥルー・ロマンス」で名脇役、「スピード」

「ジェイムス・ウッド」
「ハード・ウェイ」、「ワンス・アポン・ナ・タイム・イン・アメリカ」(非推薦)

「ニック・ノルティー」
「サウス・カロライナ」、「命の詩、ロレンツォのオイル」

「トム・セレック」
「スリーメン・アンド・リトル・ベイビー」、「ミスター・ベースボール」(日本の球団で活躍する大リーガー)

「マコーリー・カルキン」
「ホーム・アローン」、「ゲッティング・イーブン」、「リッチー・リッチ」

「ヒュー・グラント」
「ウェールズの山」

「レスリー・ニールセン」
「ポセイドン・アドベンチャー」、「裸の銃を持つ男」

「チャールス・グローディン」
「ベートーベン」

「ジョー・ペシ」
「グッド・フェラス」(非推薦)、「ホームアローン」

「ジョン・グッテンバーグ」
「ボリス・アカデミー」、「スリー・メン・アンド・リトル・レイディー」

「ベン・スティラー」
「ミート・ザ・ペアレンツ」

「ブライアン・デネイ」
「コクーン」

「トム・スケリット」
「リバー・ランズ・スルー・イット」、「コンタクト」

「ミッキー・ローク」
「ハーレー・ダビッドソンとマールボロ・マン」

「レイ・リオッタ」
「不法侵入」と「ハンニバル」ではとんでもない役。

以上の他に数多くの名優がいます。



「世界に誇る日本のアニメ、宮崎駿(はやお)の世界」

特に「千と千尋」が大ヒットしてからはういもの、宮崎駿の分析やら、画集やら、スタジオ・ジブリ関係の本が多数出版されている。私は寡聞にして、そういう書物を読んだはないが、一番大事な本、即ち「風の谷のナウスカ」は全巻揃えている。しかしトトロを題材にしたグッズ等、どうしああも高い値段をつけるのだろうか。

1.宮崎駿の主な作品

1)「風の谷のナウシカ」1984年
最終兵器、巨神兵が世界を焼き尽くした7日間の後、僅かに生き残った人類は、璋気を出す菌類の森(腐海)におびえながら細々と生きていた。腐海には巨大な昆虫が住み、とても人類の太刀打ち出来る相手ではない。取り分けその王とも言うべき巨大な昆虫はオームと呼ばれる。風の谷の王女ナウシカは、昆虫達との共存を願うが、腐海を焼き、領土を拡大しようとする好戦的な民族同士の戦いに巻き込まれる。全人類必見のアニメ。日本の文化遺産。

2)「天空の城ラビュタ」1986年
かつて無敵の力を誇って世界に君臨したラビュタ王国の末裔シータ姫は
飛空石で出来た謎のペンダントを伝えられている。そのベンダントを狙って、盗賊や、政府軍が彼女を追う。シータを助ける鉱山の町の少年バズー。彼らは、場所の分からない天空の城を目指して盗賊達と旅立った。主題歌「君を乗せて」は小学校でも歌われている。このアニメは、やたら落っこちそうになるシーンが多いので高所恐怖症の人には向かない。

3)「となりのトトロ」1988年
田舎の古屋に移り住んだ一家の、幼い姉妹が遭遇する心温まるモノノケ達。入院している母親を訪ねようとして迷子になったメイを救ってくれたのは誰か。超優良児童映画。

4)「魔女の宅急便」1989年
見習い魔女のキキは親元を離れ、いよいよ自分の住むべき街を目指して出発する。パン屋の屋根裏に部屋を借りた彼女は、街の人の役に立ちたいと思って、ホウキに乗った宅急便を始める。欧州の港街風のローカルな町を舞台にした、住民と魔女見習いとの、温かい心の交流。

5)「紅の豚」1992年
かつてイタリー軍に所属していた戦闘機乗り、ポルコ・ロッソ(即ち紅の豚だ)は本当はマルコという名前の人間だ。しかしその本当の姿を見る事は滅多に出来ない。空賊や、政府軍との戦いで、アドリア海上空を駆けめぐる豚が、中年男性の夢と、大空への賛歌を代弁する。

6)「もののけ姫」1997年
時代は室町時代。場所はみちのく。西の国から走り込んできた巨大なイノシシは苦しみと憎しみの末、タタリ神となっていた。村を救う為、この猪を仕留めた青年アシタカは、自らも腕をタタリ神にとりつかれる。放置すれば毒は全身に回り死に至るであろう。治癒の手掛かりを求めて旅立ったアシタカは、カモシカに乗って西国を目指す。おりしも、西国では、製鉄所の民と、山の自然神達との間で戦いが始まっていた。これはいわば自然と人間との戦いである。そして自然神の頂点に立つシシ神の謎めいた振る舞い。その闘争の場で、アシタカは、巨大なオオカミに育てられた娘サン(もののけ姫)に出会う。このアニメの映像、特に疾駆移動する場面の映像は、世界最高レベルの出来ばえである。しかし、このアニメ、小学生程度では見ても筋が理解出来ないかもしれない。世界に配給しても、相当うまく翻訳しないと、受け入れられず、ヒットしない恐れもある。なお、白い人形みたいなものは木の霊、即ち木霊(コダマ)なのだそうだ。

7)「千と千尋の神隠し」2002年
日本に昔からある、神隠し、即ち突然の行方不明と復帰のよりどころを土俗的な信仰に求め、八百万の神々が集う湯屋を拝見に、人間の子供千尋が両親を助けていかに生還するかを描く。もののけと同様、主題歌が話題になった。


2.宮崎アニメの特徴

1)女性、それも少女が主人公の作品が多い
「風の谷のナウシカ」、「魔女の宅急便」、「となりのトトロ」、
「耳をすませば」、「思い出ポロポロ」等、そして「天空の城ラビュタ」、 「もののけ姫」でも少女が重要な役割を果たしている。取り分け「ナウシカ」では、作者は少女の中に、モンスターさえ従わせる母性を見い出そうとしているかに見える。
2)空を飛ぶことへのこだわり
宮崎氏は空を飛ぶ事に大きな夢をもっている。飛行機や戦車の本も出している。しかし彼のデザインは、一見鈍重そうで、到底空は飛べないのではないかと思うようなものもある。宮崎氏考案のユニークな乗り物は以下の通り。
「ナウシカ」ナウシカの愛用するジェット凧のメーベ。(北海道の技術社がジェットエンジンで実際に飛ぶ実機を作った)
トンボ型のガン・シップ。
「ラビュタ」なんたって飛空石そのものが凄いが、盗賊のハエ型の高速ヘリもなかなかのすぐれもの。
「紅の豚」 飛ぶことが生き甲斐の元戦闘機乗りの乗り物は、真紅の戦闘機サボイヤS-21だそうだ。
「魔女宅」 飛行船も出てくるが、主人公の主な足はほうき。ほうきがこわれたら、デッキ・ブラシを試そう。
「トトロ」 ネコバスも飛ぶ、というより跳ぶが、トトロはコマに乗って空を飛ぶ。

3)ノスタルジー
宮崎氏は子供時代のノスタルジーにこだわる。そもそもトトロなどというかわいいお化けは、これまで聞いた事がない。古家に巣くう、まっ黒黒助も宮崎氏の発明だろう。「トトロ」の主人公の姉妹の家族が田舎で借りた家こそ、実は作者の実家がモデルになっており、ノスタルジーの固まりなのだ。「平成狸合戦ポンポコ」の、狸と狐の化かし合いという発想自体ノスタルジー以前の問題。発想が古過ぎて映画もヒットせず。

4)環境保護主義。
「もののけ姫」は、全編これ環境問題がテーマみたいな映画である。「風の谷のナウシカ」では、核に似た最終兵器(巨神兵)の乱用が、地上を荒廃させる。菌類の森である腐海は実は放射能を浄化していたのだ。「平成狸合戦ポンポコ」は、多摩ニュータウンの開発反対がテーマだが、既にそこに住んでいる我々はどうすれば良いのか。「神隠し」でも河川の汚染が取り上げられている。

5)戦闘また戦闘
女性が主人公なのになぜか戦闘シーンの連続。しかし宮崎アニメの主人公は女性といえども、腕っぷしは半端ではない。

6)背景にこだわる
野草の緑を表現するにも何十色も使う。「魔女宅」の背景の街のリアルさは、「紅ブタ」にも共通している。「もののけ姫」の映像は更に凄い。

7)音楽
久石譲作曲の音楽。「ラピュタ」、「ナウシカ」、「トトロ」、
「もののけ姫」、「紅ブタ」等、テーマ曲はみな秀逸。


3.その他のアニメ

宮崎監督作品ではないが、他にも優れたアニメが日本にはある。

1) 「火垂るの墓」
原作は野坂昭如。戦時中に栄養失調で亡くなった子供のレクイエム。私など、余りに可哀相で泣けて困った。米国人にも是非とも見せて理解させたい。戦争の本当の犠牲者は日本の国民だという事を。

2) 「銀河鉄道の夜」
原作は宮沢賢治だが、猫を主人公に上手にアニメにしている。
「耳を済ませば」は、陽光台の近く、聖跡桜ヶ丘付近を舞台に、高校生の男女の心の触れ合いを描くアニメで、見たいと言えば、止めはしないが、まあ毒にも薬にもならないというところ。なお「ホンボコ」と「となりの山田くん」については、見る必要がないと積極的に申し上げたい。