「オンライン・オピニオン」
2753.赤帽大臣 4.23
今回の前書きは朝日新聞(4.22)天声人語からです。
[天声人語]
あの赤い帽子のことである。
ホワイトハウスが公開した写真を見て、考え込んでしまった。トランプ氏の唱えるスローガン「米国を再び偉大に」と書かれた野球帽をかぶって、両手の親指をたてる日本の経済再生相の姿である ▼かつて外交官の友人が教えてくれた。外交には「三つの目的」があるという。 順不同でいえば、国民の経済的な利益を守ることが―つ。多くの日本企業が頭を抱える米国の関税措置に対し、是正を求める今回の交渉はまさにそれだろう▼もう一つは国民の生命や財産を守ること。安全保障上の意義と言い換えてもいい。先日の会談でも、在日米軍の駐留経費が俎上に載せられた。対米関係において、通商はときに防衛問題に直結する▼さて三つ目である。友人は朗らかに言った。「ああ、この国の国民でよかった。そんな誇りを感じてもらうのも大事です」。目先の利益に目をつぶっても、人権を説いたり、平和を訴えたり。国民が誇りを覚える外交は、長期的な「国益」にかなうというのだ▼帽子の写真を見て、そんな友人の言葉を思い出した。国益といった表現を安易に振りかざす危うさは分かっているが、ひとこと言わずにはいられない。帽子の下の乾いた笑顔に「格下も格下」という阿諛のにおいを感じるからか▼交渉事には「韓信の股くぐり」が必要なときがあるのは理解する。毅然たる態度を、と肩を怒らせて批判するつもりもない。でも、いや、しかし。いくつもの逆接が頭をめぐり、離れない。
コメント:強者にへつらう者は、自分より「格下」の者にはパワハラで当たる。あたかも意趣返しのように。実際、赤澤のパワハラは悪名が高い。しかしこのざまでは、誇りに思うどころか、日本人のプライドはぺちゃんこだ。帽子はやむなく被ったかもしれないが、親指(同意のサイン)は立てるべきではなかった。将来民主党の政権になったらどうするつもりか。正に国辱ものである。こんな調子では現地でどのような交渉(もしくは約束)をしてきたのか背筋が寒くなる。しかもトランプは人心掌握の達人だ。日本の木っ端議員がまともに太刀打ちできる相手ではない。英語の問題もあるだろう。掌で踊らされた挙句、ハイそれまでよである。
非常識だから、いずれ転覆が免れないトランプの泥船に乗って、一緒に沈みたくなければ、今からでも距離を置くことだ。赤澤に言いたいのは写真が世界中に出回った時に、トランプの宣伝だけでなく、同時に自分の赤恥(まさに)を世界中に晒す事になるということだ。しかもそこには日本の政治家というものはこの程度だという、暗黙の注釈が付くことだろう。メディアでも、なぜ茂木では無かったのかという意見が多い。石破のミスキャストであり、この件でまた一歩解散に近づくことになる。
ちなみに逆接とは、前の文の内容と反対のこと、または前の文から予想されることとは異なることを述べるときに用いる表現。接続詞や接続助詞を使って、前の文の内容と後文の内容が対比される、または予想を裏切るような関係を示す場合に用いられるとのこと。分かりにくい説明だが、私も初めて知った。逆説の方ならしょっちゅうお目にかかるが。